世の中のすべての萌えるを。

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きのうものすごい、恐ろしい体験をした

1 :名無しさんちゃうねん :2002/08/18(日) 15:15
夜、部屋に一人っきりのとき
どこからともなく・・・
壁のむこうから誰かの喘ぎ声が聞こえてきたんや・・・




みたいな感じで書いていってやー。

232 :別荘にて@:PASCO ◆LNZbyB1zfI :2004/03/04(木) 12:55 ID:???
「…以上がこの別荘を使う上での注意事項です。みなさん、よろしいですか?」

2年目の夏休み。
今年もちよ達一行は、ゆかり・にゃも両先生同伴の上で美浜家別荘にやってきた。
別荘利用の注意事項については、ちよは去年もみんなに説明したのではあるが、
今回は新メンバーとして神楽が参加していることと、やってはいけないことを敢えて
してしまう者が約1名いるため、再度改めて説明したのであった。
特に後者については、合宿の初っ端からやってくれたので、ちよは念を入れた。

みんなの顔を見回していると、ゆかりが手を挙げた。
「おい。ちよすけ」
「はい。ゆかり先生」
「前回も気になっていたのだが、何で風呂は深夜12時以降は入っちゃいけないんだ?」
「え…と、それはですね」
ちよは、説明しようとして言い淀んだ。
入っちゃいけない理由はお父さんから何度も言い聞かせられている。
だが、ここで言ってしまっていいものかどうか。
いや、言ってしまえば楽しい別荘合宿がぶち壊しになるかもしれない。
第一、話したところで信じてもらえるかどうか。
ここはやはり適当な理由をつけて黙っておくべきだろう。
(実際、私も見たわけじゃないですし…)
「この別荘のお風呂は、私の家族が過ごす分には十分にお湯があるんですが、今回は8人も居ますから、
 途中から水になってしまうんですよ」
「ふ〜ん。電気温水器かなにかか。ん。分かった。どうしても入りたかったら水風呂ってことだな」
「(ん〜それも少し困るけど…)あ、あぁそういうことです。はい」
長い説明で待ちくたびれた智が仕切りだす。
「はいはいはい。説明は終わったね。ね?」
「あ、はい。以上です」
「ん!そんじゃー早速!海水浴だー!」

昼間、彼女たちはまぶしい太陽の下、大いに海水浴を堪能した。
しかし、最近の真夏の太陽は紫外線が強い。ちょっとやそっとの日焼け止めでは効果が無い。
もともと日焼けしていた神楽、高価な日焼け止めを持ってきたちよ、及びそれを使わせてもらった
暦、榊、日中ずっと傘の下にいたゆかり、みなもは大丈夫だったが、残りの智、大阪は
安い日焼け止めだったせいか、夕方頃から肌がひりひりしてきた。
沖まで流されていた大阪は特に肩の辺りの日焼けがひどかった
肌の火照りは夜になるとますますひどくなり、気になって眠れないほどになった。

233 :別荘にてA:PASCO ◆LNZbyB1zfI :2004/03/04(木) 12:55 ID:???
「なぁ、大阪。起きてる?」
「ん?起きてるで。どうしたん?」
「あたし体が火照って眠れない」
「わたしもや。肩がヒリヒリや」
「わー。なんか火ぶくれ寸前って感じだなぁ。どうしようか?」
「別荘に置いてある薬で、何かええのんないやろか…」
「そうだなー。でも薬の場所がわからんな。ちよちゃんを起こすか」
「え?でも、ちよちゃんぐっすり寝てて起こすの気の毒やわ」
「いやいや。あんたのほうがもっと気の毒だ。こういう場合はしょうがないよ」
「そやな。ちょっとお願いしようかな」
「じゃぁ起こそう」
智と大阪はふとんから出ると、ちよを起こした。

「わ〜大変ですね。火傷みたいになってますよ」
気持ちよく眠っているところを起こされて始めは不機嫌だったちよだが、大阪の肩の状態を見て
目が覚めたようだ。心底心配そうな顔をしている。
「何か軟膏があった気がしますよ。下に行きましょう」
3人は1階に降りていき、薬を探した。
「確かここの棚の奥なんですが…。大阪さん取ってもらえますか?」
「ええよー」
薬はすぐに見つかった。しかし速効で冷やすタイプのものは無かった。
大阪の日焼けの状態は、薬よりもまず冷やすことが大事と思われた。
「薬よりもまず冷やした方がよさそうですね。氷と氷嚢を持ってきましょう」
「ちよちゃんそれはたぶん駄目だ」
「え?なんでですか」
智は冷凍庫を開き指し示した。コンビニで買ってきた氷は残って居らず、
製氷器の氷もまだ充分には凍っていなかった。
「さっきみんなで散々冷たいモノ飲んだからな。氷を補充したのも寝る前にやったばっかなんだわ」
「そうでしたか。じゃぁ保冷剤は…。あっ、出しっぱなしですね。」
「あちゃ〜。駄目か…」
「なぁなぁ、ちよちゃん。水風呂なら全身冷え冷えでええんとちゃうか」
「おっ。大阪、それは良い考えだ」
「え?でも深夜0時以降はお風呂使っちゃいけないんですよ?」
「水風呂になるだけだろ。何も温かいお湯に入ろうってわけじゃないんだからさ。な?な?」
ちよは迷った。入っちゃいけない本当の理由を言うべきだろうか…。
でも大阪の日焼けはすぐに冷やした方がいい状態だ。
ちよは目の前の問題を優先することにした。
「わかりました。確かに今は冷やす方が大事です。入ってもいいですよ」
「おおっ。ちよすけ偉いぞ」
「…私はタオルとか薬を塗る準備をしますので先に入ってて下さい」
智と大阪はいそいそと浴室へ向かっていった。
そんな2人を見送るちよの脳裏に、父の言葉がよぎった。
『いいかい?別荘のお風呂には、夜中の12時から朝までは入ってはいけないよ』
『夜中のその時間だけは、あのお風呂は×××の貸し切りになるからね…』
お父さんはあんなことを言っていたけれど、今まで別におかしなことはなかったから、大丈夫だよね。
いつものお父さん一流のジョークなんだと思う。きっとそうだ。そうに違いない。
ちよは予備のタオルを取りに行った。

234 :別荘にてB:PASCO ◆LNZbyB1zfI :2004/03/04(木) 12:56 ID:???
脱衣所に入った智と大阪は、早速パジャマの脱ぎ始めた。
服が皮膚に擦れたとき、2人の口から思わず苦痛の悲鳴があがった。
「っぃ〜〜〜。シャツが擦れただけで痛いや」
「私もや〜。肩の裏がめっちゃ痛いわ〜」
「早く冷やそうぜ」
智は大阪が服を脱ぎ終わるのが待ちきれなくなり、風呂場の戸に手を掛けた。

ザパーーッ    カコン。

風呂場から湯浴みの音がした。
「あれ?誰か入っているのか?」
「どーしたん?智ちゃん」
「大阪ぁ。今中でお湯を流す音しなかったか?」
「えー?聞こえへんかったよ?」
「??気のせいかな…」
カラカラカラッ
智は首を傾げながら戸を開けたが、中には誰もいなかった。
湯船の蓋を開けると、湯気が辺りに立ち込めた。
しかしお湯自体は大分ヌルくなっており、今の2人にはちょうどいい塩梅になっていた。

ザッパーン。
「うは〜〜っ気持ちいい〜〜」
「はぅあ〜〜。ええ気持ちや〜。熱がぴよぴよ抜けそうや〜」
この別荘の湯船は2人で入るにもかなり大きいため、智も大阪も目いっぱい足を伸ばしてくつろいだ。
「入ったついでだ。頭も洗っとこうかな〜」
「あ〜わたしも〜」
智と大阪は湯船から出るとシャワーの前に座り、頭を洗い始めた。

智がガシガシ頭を洗っていると、何か違和感があった。
妙に洗いにくい。
どうも頭皮をかき回している手が1本多いようだ。
「大阪〜やめろよ〜。洗いにくいだろ〜」
「へ?何?わたし何もしとらんよ」
「ああん?」
かき回していた手がふっと離れた。同時に洗面器にボトリと何かが落ちた。
大きな青黒い手首が洗面器の中をカサカサと蠢いていた。
「な?!」
自分の目に映ったモノが信じられなかった智が、もう一度よく見ようと目を見開くと手はもう消えていた。
「なんだ?今の…」

235 :別荘にてC:PASCO ◆LNZbyB1zfI :2004/03/04(木) 12:57 ID:???
大阪がゆっくりと髪を洗っていると、カラカラカラッと戸が開く音がした。
「あ、ちよちゃんおかえり〜」
智も大阪も頭を洗っている最中で、戸のほうは見なかった。
突然、大阪は背中に抱きつかれた。背格好からしてちよちゃんのようだった。
「わぁびっくりや。ちよちゃん止めてぇな、今手が離せんねん」
抱きついていた者はスっと離れた。

「ああぁっ!!」

同時に叫び声が聞こえた。
何事かと智と大阪が戸口の方を向くと、ちよがタオルを持ったまま凄まじい形相で立っていた。
目をカッと見開いて2人を凝視し、口も大きく開いていた。
何かとてつもなく恐ろしいモノを見たような顔だった。

「あれ?ちよちゃん、なんでそこに立ってるのん?え?さっき抱きついてきたのって…」
別荘の風呂場は広い。大阪が座っている場所から戸のところまで5m近くある。
大阪に抱きついてきた者はちよちゃんだと思っていたが、そのちよちゃんらしき者が離れたのと、
ちよちゃんが叫び声をあげたのは同時だった。
しかも彼女は5mも離れた場所に立ち尽くしている。
「えぇ〜?さっきのはちよちゃんじゃないの…?ほんなら…」
ちよは智と大阪を凝視したまま固まっている。口の端が引きつっているようにも見える。
「お…おい…。ちよちゃん。どうしたんだよぅ。何を見たんだよぅ」
「ひっ…ひっ…ひっ…、ひゅぅぅぅぅ」
ちよはしゃくりあげるように奇声を上げた後、ゆっくりと仰向けに倒れていった。
「わぁ!ちよちゃん!しっかりしろぉ」
「ちよちゃ〜ん」

236 :別荘にてD:PASCO ◆LNZbyB1zfI :2004/03/04(木) 12:58 ID:???
智と大阪はちよを1階のリビングまで運んで寝かせた。
騒ぎを聞きつけて、残りのメンツも全員起きてきた。
体育教師のみなもが介抱してやるとちよは意識が戻り、
その大きな目をぱちくりさせ上体を起こした。
一体何事かという皆の質問には、智が説明した。自分の体験は伏せて
ただ、ちよが何かに驚いて失神したとだけ言った。

一体何を見たのかという質問に対し、ちよは頑なに口を閉ざした。
ただ一言、
「やはり規則は守るべきでした」
とだけ呟いた。
全員が、恐怖に怯えた顔のまま失神してしまったちよの顔を見ている。
立ちくらみだとかそんな理由では納得しないだろう。
それに一言の内容も気に掛かる。
その場の雰囲気に押されるように、大阪がちよに尋ねた。
「あんなぁちよちゃん。智ちゃんは黙ってたけど、私も変な体験したんやで」
「…」
「私らが頭洗ってたときにちよちゃん戻ってきたやろ?」
「…」
「私そのとき後ろから誰かに抱きつかれたんよ。背格好が似てたからてきりちよちゃんだと思ったんやけど」
「……」
「でも、ちよちゃんはその時はまだ戸のところにいたから、抱きついてきたのはちよちゃんやなかったんやな。
 智ちゃんは私の隣で頭を洗ってたし」
「………」
「ちよちゃん見たんやろ?私に抱きついてきた何かを」
ちよの小さな身体が小刻みに震え始めた。
目は虚ろになり焦点が合っていない。何かをブツブツ言っている。
「お父さん…、ごめんなさい…、ごめんなさい…。もう約束は破りません…」
「お、おい。ちよちゃん…」
「ちゃんと言いつけは守ります…。だから、許して…、許して…」
「ち、ちよちゃん?」
「いやぁぁぁ!もう出て来ないでぇ!あぁぁぁぁぁぁ」
「ち、ちよちゃん?落ち着きなさい。落ち着きなさい!」
結局ちよを鎮めるのに1時間近くを費やし、鎮められたというよりは怯え疲れて、彼女は寝てしまった。

237 :別荘にてE:PASCO ◆LNZbyB1zfI :2004/03/04(木) 12:58 ID:???
当事者3人を除く5人は納得のいかない顔をしていた。
怪奇現象のようだが、話の捉えようによっては痴漢がこの別荘に侵入したとも考えられる。
教師2人の指導のもと、手分けして別荘内を、特に浴室周辺は念を入れてチェックしたが、
鍵は全て内から掛かっており、また誰かがどこかに潜んでいる様子もなかった。

「なんかすっきりしないなぁ。一体ちよちゃんは何を見たんだ?」
「もうええやんか。これ以上ちよちゃんを追求したら、ちよちゃん壊れてまうで」
「…ちよすけが昨日言ってた風呂を深夜に使ってはいけない理由ってこのことだったんかね?
 どうりで歯切れの悪い回答だと思ったよ」
「まっさかー。ゆかり先生までそんなこと言わないで下さいよ」
しかし、皆、先ほどのちよの錯乱振りに圧倒されて、やはり怪奇現象だったのではないかという雰囲気になっていった。
「いや。何かの見間違いとかじゃないのか?私は怪奇現象なんか信じないぞ」
現実主義の暦はまだ疑っていた。榊も青い顔をしながらコクコクと頷いていた。

ザバーーッ、バシャーーン…     カコーン

風呂場から一際大きな湯浴みの音が聞こえた。
合宿のメンバーは今全員リビングにいるのに、だ。
皆、互いの顔を見合わせた。
「…寝よっか。とりあえず」
ゆかりの一言により、皆すごすごと寝室に戻っていった。


それ以後の合宿の日程は順調にこなされていった。
極めて順調に…何事も無かったように。
努めて何かを忘れようとするように…。



この別荘は今でも美浜家の所有になっている。
ロケーションが素晴らしく良いため、少々の難点は取るに足らないとされたからだ。
ちよの友人以外でも美浜家の知人が何度か利用しているが今のところトラブルはない。
実際、アレは規則さえ守れば実害はなかった。

あくまで、今のところは、だが。

(Fin)

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