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よみとも萌えスレッド
- 1 :名無しさんちゃうねん :2002/10/15(火) 03:00
- あずまんが大王を純粋な心で楽しむことのできない咎人たちによるよみとも萌えスレ。
百合、友情なんでもあり。逆カプ上等。
sage進行ででしゃばらずに萌えませう。
※百合嫌いの方へ※
ネタだと思って放置してくれれば幸い。
よみともマンセー!
- 784 :『HOMI』《8》 :2003/12/08(月) 05:39 ID:???
- ねえ、よみ。
ん。
どんな感じ。
ん。
なんかいってよ。
「ぉ…んちは」
なに?
「こん、…は」
言葉にすればあらぬことをいってしまいそうで。
声にすれば、思いがけない告白をしてしまいそうで。
でも、挨拶は気持ちいい。
口にするたび、新しいともに会ってるみたい。
「ふふふ、よみぃ、なに泣いてるの? 」
目を開けると、潤んだともの目があった。深くまばたきするとも。一直線に滑り落ちる
涙。
ばか、目を開けるのは、ルール違反だろ。へへ、ごめんごめん。
ね、よみ。なんだよ。手と手を合わせるのもルール違反か?
「いや、そのほうが、お互いを感じあえるだろ? 有効だ」
じゃ、目を閉じて。
うん、目を閉じる。
はい、こんにちは。
うん、こんにちわ。
右手と左手が重なる。
こんにちは。
指先が触れて交差する。
こんにちは、智。
こんにちわ、こよみ。
指と指がからんで、隙間がぴったりうまっていく、心の真空状態。
おお、マデルブルグの半球よ。
- 785 :『HOMI』《9》 :2003/12/08(月) 05:40 ID:???
- す…。
なに?
…きだよ、とも。
ふふ、知ってる。
ともはどうなの。
す…だよこよみ。
あたしたちかんじあってるね。ああ、かんじあってるな。よみっていいにおい。とも。
なに? おまえは歯磨け。へぇ、そんなに匂うならこうだ。
額に風を感じる。顔が斜めにずれる。
唇に、さっきよりはっきりと意思を込めた、柔らかな吐息を感じる。
ともが私の唇を吸った。
ほんとに、あたし、そんなに臭う?
ぅ、そ、だ、よ、ぉん。
ばか。
舌だけがなめらかに咀嚼して、唇が傷口を慰めるように優しく動く。
こよみが、あたしの唇を吸い返す。
うさぎ罠みたいに、獲物を捕らえて逃がさぬように。
んっ、今度はどちらが発した声だろう。わからない、でもお互いの指先がお互いの手の
甲を強く掴んで、裂けたような爪痕を残す。お臍の裏の奥が、甘く締まった。
六時を告げるチャイム。タイムリミットはシンデレラの二分の一。
廊下が、蛍光灯の白に塗りつぶされる。
「あ」
「あ」
いつのまにかしっかりと抱き合っていた二人が、ゆっくり遠ざかる。ほんの10センチを
遠ざかる。途端、聞き覚えのある駆け足が聞こえて、未練を脱ぎ捨てもう30センチ離れた。
間一髪。しーさーやいびーみ。
- 786 :『HOMI』《10》 :2003/12/08(月) 05:41 ID:???
- 教室を、満面の笑顔が覗き込んだ。
「よーっ、まだ残ってたんだ、一緒にかえろーぜ! 」
「あ、あれえ? 神楽、どうして」
神楽の指先が、教室の明かりをつける。黄昏の残り香は、真昼の光に霧散した。よみが、
再び眼鏡をかける。汗ばんだ額をこっそりぬぐう。
「なんだよ、とも、数学の特別課外授業出てたんだよ。それより、こんな暗い教室で何し
てたんだよ」
「超能力実験」いばるとも。
「おいっ! 」こわばるよみ。
へー、とも、超能力つかえるんだ。うん、今日、それらしいことが出来て、よみと感じ
あったのだ。本当か、それ。本当だ! なー、よみ、あの感じ、超能力だよな。
「……私、ビックマグネバリューね」
え?
「私ビックマグネ、バリューね」
「な、なにいっての!? 」
「だって、とも、超能力の存在を認めたら、マグネ奢るって約束しただろ」
「ええ〜っ、でも超能力は、違うだろ! 」
「なーんだ、やっぱりともは嘘ついてたのか」
「な、神楽! 嘘じゃない、嘘じゃないぞー!! 」
「じゃ、あたしはダブルマグネダブルで」
「なんで神楽までーっ!! 」
「いいじゃないか、ついでだついで」
そこの泣き虫眼鏡、うるさあーい!!
- 787 :『HOMI』《11》 :2003/12/08(月) 05:42 ID:???
- 「それにしても」
神楽は帰り道、二人に尋ねる。
「実験って、どんな実験やったんだ? 」
もう辺りはとても寒い。白い息ほろほろ。深夜のマラソンに出るときは、さすがの神楽
も下着を二枚着る。寒さに思わず手を擦り合わせる。
ふふふ、挨拶がコツなのだよ。おお、で、どんなふうにつかうんだ? う〜ん、口で説
明するのは難しいな、実際やってみた方が。
とも。
「え? 」
いきなり呼ばれて、ともはよみの顔を見る。神楽も思わずよみを見る。
「あれ、封印な」
「えーっ」
「封印、な」
「わかったよ。でも、手、つなぐだけならいいだろ」
よみが頭をばりばりかいた。神楽は何となく、じっと手を見る、冷えた我が手を。
「好きにしろ」
「よし、神楽、手を出せ」
「お、おう」
戸惑いながら手を出すと、ともの手がきゅっと握り締めた。
「んん、さっきの想いのエネルギーだああああ」
「ばか」
よみがマフラーに顔をうずめる。あれじゃあまるで照れてるみたいだ。
握ったともの手は、なぜかまだ温かくて。
それにしっとり汗ばんでいて。
ともとのスキンシップは慣れているのに。
動悸が激しくなって
謎の恥かしさに真っ赤になった。
了
- 788 :『HOMI作者』 :2003/12/08(月) 05:56 ID:???
- というわけで、二作目です。原稿用紙、15枚くらいです。
シュークリーム分をとりながら書いて見ました。
近いうちにもう一本あげられたらいいなと思います。
長さはもしかしたら、『永遠の夏休み』くらいかもしれません。
……さくさく読めるよう、工夫しますので、どうぞよろしくお願いします。
- 789 :名無しさんちゃうねん :2003/12/08(月) 16:52 ID:???
- ぎゃ〜!
ごろごろごろごろごろごろ。
余りの百合百合っぷりに私はローラークリーナーと化しました。
あなた、それだけの才能を今までどこに隠してましたか?!
ええ、楽しませてもらいました。うーん、私も頑張らないと。
- 790 :名無しさんちゃうねん :2003/12/08(月) 20:39 ID:???
- またもや巧いです。
これはもはや本格的な小説ですね。
これからもどんどんあずまんがを書いてください!
- 791 :名無しさんちゃうねん :2003/12/08(月) 22:03 ID:???
- >>788
私、長文のカキコとか苦手でSSとかあまり読まないんですが(職人のみなさんゴメンナサイ)
昨日偶然「永遠の夏休み」読ませていただきました。
と言うか筆力で読まされてしまったという方が妥当でしょうか。しかも繰り返し。
会話が「」におさまってなくて会話以外の文と混在してるのも、
むしろ作者さん独特のカラーとか雰囲気があって自分的には好きです。
がんばってください。
- 792 :名無しさんちゃうねん :2003/12/08(月) 22:21 ID:???
- 乙です!
久しぶりに萌えまくれる百合ネタでした♪
>>738-785あたりなんてもう「神っ!」の一言につきる。
でも残念ながら前半は読みづらかった。
ちょっと冗長だし、なんていうか読んでてリズムに乗
れないみたいなぎこちなさがあって。
- 793 :名無しさんちゃうねん :2003/12/09(火) 20:44 ID:???
- もしかして、百合スレのリレーに華麗に乱入して、あざやかに去ったのもこの人でつか?
- 794 :さかちー :2003/12/10(水) 01:00 ID:???
- >>793
俺はそうだと思ってます。
だからわざわざ編集会議室の方でほのめかしてみました。
- 795 :あず青労同大阪派教労委員会 ◆ttKIMURA :2003/12/12(金) 11:37 ID:???
- 約一年の放置プレイには訳があったのです。取って付けた様な訳が・・・(汗
という訳で>>505の続きでおます。もう知らんという諸兄にはとんだスレ汚しですが・・・
- 796 :あず青労同大阪派教労委員会 ◆ttKIMURA :2003/12/12(金) 11:40 ID:???
- 【12】
あれから一年。京の町に、再び年の暮れがやってきた。
大文字山の方へ落ちていく夕陽を、ともは今年も帰郷せず、独りうつろな目で・・・・・
ではなく、その横にはよみが、同じ夕陽を浴びてたたずんでいた。
だが、この二人ならば掛け合いの一つもありそうなものだがその気配はなく、少し前に、
「・・・きれい、だな」
「・・・・・うん」
という会話を交わしたきり、二人とも黙っている。
- 797 :あず青労同大阪派教労委員会 ◆ttKIMURA :2003/12/12(金) 11:41 ID:???
- 13】
去年のあの日、あれからの、どこかの山あい。
限られた登山者の間で「温泉小屋」と呼ばれている、初老の夫婦がひっそりと営む一軒宿。
5キロほど先の人里から、狭い急坂ながらも舗装された道が通じてはいるが、バスの便も送
迎もなく、呼び名通り「山小屋」だ。明日あたりから正月登山の客がやって来るそうだが、
今日の泊まり客は、すっかり日が落ちてから戸を叩いて宿の夫婦を驚かせた、よみ一人きり。
「お加減はいかが?」
小屋の奥さんが、ガラス戸越しに声をかける。やや遅れて、よみの沈んだ声。
「・・・あ、結構、です」
「それにしてもびっくりしたわ。こんな時期にフリのお客さんが来るなんて」
無茶な行動を言外にたしなめる調子も入っていたが、なぜか険悪な感じがしない。
「・・・すみません」
「いいえ、ごゆっくりね」
「ふぅ」
湯気の中で、よみは人心地ついたかの様に息をもらした。とはいえ、表情には相変わらず
色濃い曇りがあり、山歩きを終えて一息、などという雰囲気とはおよそかけ離れている。
地面に四角く穴を掘り、コンクリートを打っただけの湯船から天井を見上げると、湯気の
向こうに裸電球がぼんやりと灯っている。腰の高さほどのトタンの仕切りの先は地底の様な
闇で、曇が出てきたのかまたたく星もわずかだ。傾いた鉛管が浴槽に湯を注ぐ音だけが、時
が止まっているのではないことを知らせている。
どれぐらい時間が経っただろう。憔悴した眼鏡のない顔に迷いの表情を浮かべ、外の闇を
見るともなく見つめていたよみは、不意に、ざぶん、と音を立てて立ち上がった。
何か悲痛な決断に至ったのか、それとももっと前向きな判断をしたのかは分からないが、
表情に決意の様なものがみなぎっている。氷点に近い寒さが、闇に白く浮かぶ裸身を猛烈に
突いているはずだが、よみは身じろぎもしなかった。
- 798 :あず青労同大阪派教労委員会 ◆ttKIMURA :2003/12/12(金) 11:41 ID:???
- 【13】
去年のあの晩、あれからの、京都の片隅。
寮の浴室に、バッシャーンと、勢いよく水音が、二度三度と響く。
相変わらず抜け殻の様な表情で、髪からしずくをたらして洗い場に座るとも。彼女が眺め
るともなく見ている鏡には、肩を落とした自分の裸の後ろに、石鹸をタオルにこすりつける
歩が写っている。
(よみちゃんごめんな〜、けど変なことはせえへんから・・・)
心の中で妙な謝罪をしながら、歩はともの背中を流し始めた。他に誰もいない銭湯の様な
広い浴室に、ゴシゴシゴシゴシ・・・と、タオルで体をこする小さな音が規則正しく響く。
「ともちゃん、寒ないか?」
浴槽から立ちこめる湯気が空気を風呂場らしくしつつあるが、沸かしたばかりで、しかもこ
の広さだから、まだ空気が冷たい。だが、ともはかぶりを振った。
「ならええわ・・・けど・・・・・私、寒い」
『けど』のところで、我慢の限界と言わんばかりに歩の笑顔が崩れた。腕や肩はもとより、
胸元や腰回りにまで鳥肌が立っている。
「ふぅ・・・やっぱ風呂は風呂に入らな・・・」
湯船に入らなければ、と言っているのだろう。歩は背中を流すのを中断してともを連れて
浴槽に浸かり、
「そやろ?」
と、ともの肩に触れながら彼女の顔をのぞき込むと、ともは目を真っ赤に腫らして涙を流し
ていた。
その時である。
ともが歩に抱きついてきた。
「・・と、ともちゃん?!・・・」
さっきより落ち着いて見えるのに相変わらず抱きついてくるのも妙だが、何より今度は裸
だ。歩は違和感たっぷりの感触をあわてて振りほどこうとしたが、きわどい所で「今それを
やったら相手はどう感じるか」に思い至った。
歩はとりあえず、ともの頭に手を回し、片手でその頭を撫でた。
「大阪ぁ・・・ひくっ、つらいよ・・・」
ともは歩の肩のあたりで、嗚咽しながら、つらい、どうしよう、といった言葉を繰り返し
た。歩はただ、「大丈夫、大丈夫や」と繰り返すしかなかった。
浴室はすっかり暖かくなり、湯気で向こう側がかすんでいる。歩は身も心もけだるくなっ
てきた。違和感をこらえていたはずのともの体の感触が、やわらかい布団の様に思えてきた。
「・・・大阪ぁ」
ともものぼせてきているのか、泣きっ面を抜きにしても顔が腫れぼったい。
「・・・抱いて・・・」
「・・・・・!!」
歩にも同性にぽーっとする気持ちがないわけではないから、その場しのぎだが効果的な
「慰め」になるかもしれないその行為は知っている。のみならず、ともの片足を挟む格好に
なっている両足にこころもち力が入り、頭を包んでいた両腕は肩を抱いている・・・・・。
・・・・・けれども、歩は先ほど心の中でよみにした「約束」を大事にした。そして、先
ほどから言いたくて言えなかった、自分の「勘」をともに打ち明けた。
「・・・・・帰ってくる、きっと帰ってくるよみちゃんに・・・怒られるのいやや」
- 799 :あず青労同大阪派教労委員会 ◆ttKIMURA :2003/12/12(金) 11:43 ID:???
- 【15】
ともは、『しっぽ』が処方してくれた鎮静剤で眠りについた。そして
歩は、受付の奥にある部屋で長い間、しっぽと『先生』とで話し込んだ。
「・・・・・・」
「なあ・・・力になりたいけど事情が分からんとどうしようもない・・・分かるやろ」
医学部に入る前は機械工だったというしっぽは、炬燵の台に散らばった何かの部品を組み立
てながら歩に話しかける。しかし片手間に話をしている感じはせず、お国なまりに由来する
ボソボソした語り口はむしろ暖かく聞こえる。彼流の気の遣い方なのである。
差し向かっている歩にもそれは通じている様だが、それがかえって迷いを長引かせるのか、
「せやけどなあ・・・・・」
と、畳を人差し指で掻きながら下を向いたままだ。そして二人とも沈黙してしまう。
「ともちゃんの人間関係の事で、人によう言わん話をワシは知ってるんやが」
炬燵から出て、窓を開けて煙草をふかしていた先生が、少し大きな声で何度目かの沈黙を
破った。
歩はつとめて驚きを隠そうとしたがそんな芸当ができるはずもなく、思わず先生の方を見
た彼女は、ただでさえ大きい目を飛び出さんばかりに見開いていた。瞳に、驚愕に交じって
恐怖の色が現れている。
「と言うてもぜんぜん悪い事やなしに世間のものの見方が狭いだけなんやけど・・・その事
が関係あるんちゃうか?」
先生は少し語調を和らげてそう続けると、歩の方を向き、ニヤッと笑った。がっちりした
体躯で、「背中に彫り物がある」などと噂される寮の主の「ニヤッ」はさらに恐いはずだが、
歩は目を丸くしつつも、その目から恐怖の色を消している。
「・・・どうして、知ってるん・・・」
「何度か遊びに来てる『東京のお友達』やろ。見たら分かるがな、ワシら何年学生見て来て
る思てんねん。で、女の子があそこまでになる悩み言うたら八割方は色恋に決まってるがな」
「・・・まあ、とりあえず今言えるのは・・・それを知った上で『何とかしたい』と思てる、
おせっかいな大人がここに二人いる、いう事やな」
いかにも関西風という早口で謎解きをする先生の話を、しっぽがボソボソと本題に戻した。
歩は、よみの失踪、そして大切な二人の友達の事を、余すことなく二人に話し、涙を流し
て助力を願った。とは言え歩の語り口は例によって冗長な「嬢(いと)はん」調だから、す
べて話し終えた頃には日付が変わっていた。
「・・・・・」
先生としっぽは、「失踪した人間を捜す」という課題の大きさに、揃って無言であらぬ方
向を眺めざるを得なかった。そして気を取り直して歩の方に向き直ると、彼女は炬燵の上に
肩から上を投げ出して熟睡していた。
ストーブの上の薬缶が、コトコト言いながら湯気を吹いている。
【16へ続く・・・次回投稿でようやく最終回】
- 800 :名無しさんちゃうねん :2003/12/12(金) 12:27 ID:???
- 待っておりましたぜ。先生。
- 801 :ツインテール ◆SKYOSAKAKI :2003/12/12(金) 12:54 ID:???
- >>796-799
夏に冬の話を書くのは難しいものですが、長い間待っただけのことはあり
時期的にも内容的にも充実したものになってますね。
ただ少し分かりにくかったのが>>796の時間的な位置づけです。
796の文章は一連の出来事が終わった後、最後に来る部分なのですか?
- 802 :名無しさんちゃうねん :2003/12/13(土) 02:02 ID:???
- お久しぶりに拝読しますが
先生の文章はやっぱりレベル高いなと再確認しました。
文中でけっこう頻繁に視点を変えていながらも
文の継ぎ方が巧みなためにスムーズに頭に入ってくるのが見事です。
- 803 :◆U6TearALOE :2003/12/13(土) 15:09 ID:???
- 元文:面白い。皆さんの作品に刺激されっぱなしです。
訳文:負けてらんねぇ。この借りは必ず返す(何)
- 804 :名無しさんちゃうねん :2003/12/13(土) 22:50 ID:???
- ,. -‐ '' '' ‐- 、.
.,.ィ´.:.:..:.:.:..:.:.:..:..:.:..:..:.\
. /..:.....:.....:.......:...:...:.:.....:.....:.ヽ
/.:.::.::.:::.:.::ト、:::.:::.::.::iト:ハ::.::.:::::::ヘ
,'.:.::::::::::|!:::i| ヽl::::::::::r|!''lハ::.::::::::::i
)'ーーノ( l ,イ.:::::!,.r|ハT.._!ト、:::::l ,l=ヽ!フ:::r 、l!|ー‐''"l
/ と |. l |{:.:::::iト、l/ィfい ヽリ トイソ} lレi !ハl と ヽ
l ・ i. ヽ∧!ヽi { Vリ リ ゞシ |) ノ/ ・ /
| も l , -ーゝ! ` ´ , !-'::::| も |
| ・ |/ |ヽ _,. ,.イ:::::::::l ・ |
| ! | | l ヽ、 , .イ| ヽ:::::::l ! |
| .| / | | ` ー ' ´ || ヽ:::| |
ノー‐---、,| / │l、 |レ ノハ、_ノ
/ / ノ⌒ヾ、 ヽ ノハ,. ヽ
,/ ,イーf'´ /´ \ | ,/´ |ヽl. |
/-ト、| ┼―- 、_ヽメr' , -=l''"ハ | l
,/ | ヽ \ _,ノーf' ´ ノノ ヽ | |
、_ _ ‐''l `ー‐―''" ⌒'ー--‐'´`ヽ、_ ノ ノ
 ̄ ̄ | /  ̄
某所で拾った。なんか好きなので……御免。
- 805 :名無しさんちゃうねん :2003/12/14(日) 10:05 ID:???
- >>803
返り討ちにしてくれるわ
- 806 :紅茶菜月 ◆5xcwYYpqtk :2003/12/15(月) 21:58 ID:???
- >>796
危うく見逃すところでした……
流石に日本語の使い方に隙がないですね。勉強させて頂きました。
また、もの凄く心理描写が細かいですね。
特に、雛鳥のように弱った智が風呂場で大阪に縋りつくシーンは、
素晴らしかったと思います。
次回(最終回)を楽しみに待っています。
- 807 :名無しさんちゃうねん :2003/12/16(火) 10:05 ID:???
- >>806
感想にも味があるなあ。さすが名士。
- 808 :あず青労同大阪派教労委員会 ◆ttKIMURA :2003/12/18(木) 05:44 ID:???
- >>800-807
書いたまま数日ROMもせずに過ごしてしまいました。すみません。
(その前も、このスレで本まで出しておいてたまに寄るだけでしたし…汗)
読み返して「…相変わらず一つの文が長ったらしいな(汗」と思っておりましたので、汗顔の至りです。
【12】は話が長くなってきたので、中だるみ防止の場面転換に1年後を持ってきました。
確かにもう少し挟み方を工夫しないと混乱の素ですね。
ラスト付近にアクション映画並みに場面が切り替わる箇所があるので、
今そこを書いたり消したりしておりますです。
『永遠の夏休み』『HOMI』の作者様
『永遠の夏休み』、お若い方でしょうに、「枯れて、それでもなお枯れず」という世界を
説得力豊かに描けていますね。
想像力や文章力だけでなく、人として「できた人」なのでしょう。
若返りの薬、倒れ伏す智…と、いかにも大事が起こりそうな話が出るけど何も起こらない。
でも、その風景がいい。すてきです。
『HOMI』は、クライマックス(<7>〜<9>の頭)とそれ以外の部分とではっきりと描写の仕方を変えられていて、
クライマックスが嫌が応にも盛り上がりますね。この部分の「」外での二人のやりとりが好きです。
それから、景色を描くのが上手で、かついい景色を選んでいますね。
ラストを読んでいて、冬の夕闇の中を3人が神楽が歩いていく絵が自然に思い浮かびました。
素早く批評を寄せていただいておきながら申し訳ない事に、久しくSSを探して
巡回する時間が取れず、紅茶さんやツインテール氏ほかのSSもあまり読めておりません。
年末年始に大阪板を全部見て回れる時間が取れそうなので、今から楽しみにしております。
◆U6TearALOE様、楽しみにしておりますよw
同人誌「大阪板名スレ劇場」でも2本採録させていただきましたが、
あなたの、小さいオチのあるほんわかした短編が好きです。
- 809 :滝野 智F(フラッシュ) ◆5bxoqXyOFo :2003/12/20(土) 21:17 ID:???
- 久しぶりに覗いてみたらなんか凄いことに!
- 810 :名無しさんちゃうねん :2003/12/22(月) 09:56 ID:???
- ともちゃんキターーーー
- 811 :◆U6TearALOE :2003/12/29(月) 14:25 ID:???
- ともちゃんキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
- 812 :名無しさんちゃうねん :2003/12/31(水) 08:00 ID:???
- , /
・)\_ , 〃´
| ⌒ー(∠;・
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.( cvー-、」´
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_π々、
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, ノ i-|
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,..チタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!
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- 813 :『あなたには手作りの』《1》 :2004/01/03(土) 23:04 ID:???
- どうしてこんなことになっちゃったんだろう。
あたしはぼんやり考えている。修羅場の中。
薄暗い部屋を照らすのはデスクランプだけ。
いつも見慣れた部屋。真夜中のよみの部屋。
二人の距離が随分と近づいたしるしの部屋。
どうしてこんなことになっちゃったんだろう。
珍しくよみはまだパジャマに着替えてない。
右手の袖がくちゃくちゃ。どうしたんだろ。
何で仁王立ちして睨みつけているんだろう。
どうして? どうして? どうしてだろう。
どうして箱の中のシュークリームが床に。
踏まれて潰れて、くちゃくちゃになっているんだろう。
「とも、あんた、たいがいにしなよ」
それはこっちの台詞だ! あたしのシュークリーム滅茶苦茶にしてっ!!
でもよみは怒っている。だからあたしは黙っている。
「そんなにあたしがおかしいか。
いつも偉そうなこといってるクセに、おまえは駄目な子供だって、思ってるんだろう」
どうしてだろう。
入室許可のカーテンが開いてて。
あたしはこうしてでしか部屋には入れなくて。ちゃんとノックもして。
床に落ちているのは、あたしが始めて作ったシュークリームで。
よみが、顔をそむける。いまさら気づいた眼鏡がずれてる。はははおもしろい。
右手が痛む。振り払われた手。さっきまでシュークリームの箱もってた手。
「とも、あんた私のこと好きなんでしょ」押し殺したよみの声。
うなづけない。今のよみを、好きだなんていえない。なんだか怖い。
「私はあんたが大嫌い」
嫌いでもいい。好きじゃなくてもいい。だからいつものよみに戻って欲しい。
「望みどおりにしてやるよ。あんたがしたかったこと」
つかまれた手首思わず力が入る振りほどこうとして阻まれる足元がカスタードクリーム
で、滑る。どうしてこうなっちゃたんだろう。こわばる全身が抱きすくめられて。
嘘。ものすごく乱暴にキスされた。
★
- 814 :『あなたには手作りの』《2》 :2004/01/03(土) 23:07 ID:???
- 今さら勉強したってたかがしれてるのに。勉強するよりも気分転換がむいている晴天な
のに。もう試験日まで今日を含めて3日しかないのに。
どうしてこんなふうになっちゃったんだろう、と水原暦は思った。今まできちんと勉強
してきたのに。こんなのは不条理だ。
試験するのは仕方ない。そのことに文句はない。受験より社会に出るほうがよっぽど大
変、担任もそういっていた。でもね、ゆかりちゃん、だから大変なんだよ私達みたいな高
校生は。受験で初めて現実の社会に触れるから。
「ふう」
ため息はCOより軽くCO2より重い。軽く目を閉じた。
「よみさん、お茶でも入れましょうか? 」
正面に座ったちよちゃんが読んでいた本から顔をあげる。
「え? ああ、気にしないで。ちょっと、疲れただけ」
この数日勉強を教えてもらうという名目で家に押しかけているのに、これ以上気を使わ
せるわけにはいかない。ただでさえお昼とおやつをご馳走になっているのだ。
「私は飲みたいな、入れてくるよ。ついでに、二人の分も」
コタツの右正面に座った榊がぽつりといった。そのさりげない気遣いがありがたい。普
段なら、気を使ってもらっても、友達だから気にならない。遠慮がかえって失礼になる関
係とわかっているから。だけど今日は変だ。何だかいらいらしている。原因はわかってい
る。ここにいる、榊とちよちゃんにはまるで関係のないこと。
不機嫌の理由はともがいないから。
とも、滝野智、幼馴染、腐れ縁。
よりにもよって大阪と二人で遊びに行くことなんてないのに。どうせすぐ同じ大学同じ
学部で同じ時間をすごせるんだから、ずっと。
そんなことばかり考えて、ノートのはしにぐりぐりといたずらがきしてみる。黒い毛糸
玉、私の心の底。今ごろ、二人で楽しそうにしているんだろうな。合格者が甘受する一足
早い春休み。このイライラは、そんなところからきているのだろう。オチた自分が悪いの
に。ああ、また後悔してる。嫌になっちゃう。あー死にたい、くっそおおお! じたばた。
「私も手伝ってきますね」
榊の後を追ってちよちゃんもコタツから抜け出す。
ちよちゃんが部屋の外に出たのを確認して、よみはコタツに突っ伏した。
- 815 :『あなたには手作りの』《3》 :2004/01/03(土) 23:09 ID:???
- そもそもともとはずっと仲良しだったわけではない。小学校低学年のころ、今でも昨日
のことのような気さえするのだが、顔を見るのも嫌だった。でぶバカめがねと囃し立てる
男子の先頭に立ってそう言っていたのは、確かともだった。男子が騒げるのも女の子が口
火を切っていたからということもあったろう。今ですらそう思うのだから、当時はもっと
深刻だった。しかも周囲の状況でともの態度はまるで違うのだ。
「二人で、ご本、一緒に、読みましょ」
二人きりのときは、ともはそんなふうに擦り寄ってくる。大勢のときと二人のとき、そ
のギャップにくらくらした。嘘みたいなかわりよう。
この子は子供で、私のことが好きで、その感情をどうぶつけていいのかわからないだけ
だ、と思ったのは十歳前後のころだろうか?
ともは、本当は私が好き。そう考えると、まんざらでもなかった。やがてともは家に遊
びにくるようになり、二人で本を読んだり、ぬいぐるみ遊びや、お人形さんごっこをした。
あいつはあの日のことを覚えているだろうか?
想い出せば顔が赤らむ。
あの頃のことは黙って墓まで持って行くつもりだ、恥かしすぎるから。コタツ台に頬を
つけるとぺたり、張りついた。あ、恥かしすぎて死にたい。
それにしてもどうしてあのころは家に遊びに来れたんだろう。突っ伏したままじゃまな
眼鏡を外す。
母さんはともが嫌いだ。うるさくて騒がしい子供みたいな人が嫌いなのだ。これだけ付
き合いが長いのに、今だにとものことを、滝野さんと呼ぶ。電話のやり取りは黙認されて
いるけれど、家に来ることは許されていない。だからこそ、今でこそ習慣になってしまっ
ているが、深夜のともの来訪が行われているのである。何故、小学校の頃はともが家に遊
びに来れたんだろう。眉間を軽くもみながら考える。
ああそうか。
ともにはお母さんがいないからだ。
あまりあたりまえすぎてすっかり忘れていた。ともは小学校の頃、母親を亡くしている。そんな境遇の子供をただ嫌いというだけで追い払うわけにはいかなかったろう。
でもそうすると、どうして家にあげられなくなったのか分からなくなる。中学になるか
ならないかのときから、ともは遊びに来るどころか少し疎遠にすらなった。私も避けてい
た。なんでだろう。二人きりのときは、お母さんが怒るほど騒いでいなかったはずなのに。
コタツの中でぽやぽや考えてみる。ともとの付き合いは片親の子供への同情から。そん
なのは、嫌だった。
私はいつのまにかともが好きだ。
- 816 :『あなたには手作りの』《4》 :2004/01/03(土) 23:11 ID:???
- 「今日もいい天気ですね」
窓から空を見上げてちよちゃんが呟いた。
「そうだね」よみはこたえる。榊が運んできた紅茶は、まだふーふー冷ましても舌にぴり
りとくるくらい熱い。上品な花の蜜のような香りをしばし楽しんだ。
そろそろ神楽さんがきますよ。おやつはそのときに出しましょう。うん、お茶、美味し
いね。そう榊が微笑むと、ちよちゃんもえへへと笑う。空気が乾燥しているからですよ。
神楽さんが来たらポットごと持ってきてもらいましょう。
ちよちゃんは、偉いね。そんな言葉がよみの口から洩れた。ちよちゃんの家のお父さん
やお母さんは忙しくて、よく家を空けている。だから、当番制、と以前ちよちゃんは言
っていたけれど、その比率は明らかにちよちゃんが高いに違いない。今だに反抗期で、
そのくせ親に甘えている我が身をかえりみれば、よみがそんな感想を持つのも当然とい
えた。
「お父さんもお母さんも優しい人だから、平気です」
おいおい、それじゃあまるでちよちゃんが血の繋がっていない子供みたいじゃないか。
ふと垣間見えた他人行儀によみは苦笑する。わざわざ突っ込む場所ではないが。
「そういえば、よみさんのお母さん、綺麗な人ですよね」
計ったようにちよちゃんが話題を振る。そうだね。口にすると、誇らしい気持ちと苦し
い気持ちがブレンドされて湧きあがる。似てますよね? 似てないよ、首を横に振るよみ。
でもほら目元が似てますよ。いや、目は父親似ってよく言われる。母さんは、綺麗で、痩
せていて、賢くて。私と似ているのは眼鏡をかけていることだけ。ちょっと愚痴がでた。
「そんな、みんな、よみさんのこと大好きですよ」
ね、榊さん。うん。うなづきあう二人。
「ともちゃんなんて、よみさんを追って、一緒の高校はいったじゃないですか」
「あれは嫌がらせだよ」
「嫌がらせじゃないと思いますよ。それとも嫌がらせって思えるって事は。よみさんは、
ともちゃんと離れたくて今の高校選んだんですか? 」
「うん、そういう側面はあった。いつもいつも私の周りでちょこまかしてるともが、何と
なく疎ましく感じたから、ね。距離をおきたいと思ってた」
「それでも、よみさんの後を追ってきたんですね」
「そう、あいつも知ってたはず。そう思われてるって。知ってて入った。だから嫌がらせ」
そっか、ともちゃんは、それでも追ってきたんだ。呟くちよちゃんに私はうなづく。
あいつはいつもいつも私の後を追って来るんだ、本当に仕方の無いやつだな。水原暦はそ
ういいながら紅茶を含んだ。微笑んで。口の中で溶ける想い出。恥かしくて、甘い。
- 817 :『あなたには手作りの』《5》 :2004/01/03(土) 23:12 ID:???
- ☆
サンダルがぺたぺた。夜は静かで、道に微かに響く。
歩いて10分としない道のりなのに、次の角を曲がるまで我慢できなくて駆け出した。
会うのがとても待ちきれなくて。
真夜中を一足で駆け抜ける。
誰も見ていないときにはどうしてこんなに速く走れるんだろう。不思議だ。
電信柱の蛍光灯、道の端から端まで照らす。サンダルぱたぱたぱた。
だからか。こんなに速く走れるのは。
誰も見ていないから、あたしは誰よりも速く走れる。誰よりも速く走れるあたしを見る誰かがいない限り。でもいい。あたしは一人でも走れるって分かった。一人で走っても、 一人じゃないから。見られてなくても、見てくれているから。
無理矢理つきあわせなくてもいつのまにか側にいれれば素敵。この思いが届かなくても、そんな生半な関係じゃ、あたし達は無いから。
「あ」
思わず足を止める。ほっちりと咲き誇る梅の花、白い花。蛍光灯の光を直接浴びていないのにほの明るくある。浴びてないからか。夜気を含む白梅、ほとほと。
ごお。
風が舞って思わず目をつむる。花弁が枝が夜が震えて後は何事も無し。びっくりしたー、呟く声さえ梅灯に融けて跡形もなし。膨らみ始めた春の香気、すっきり。立ち去りがたくて二三歩踏んで、また駆け出す音、ぱたぱたぱた。
どうして今夜はこんなに速く走れるんだろう? パジャマのすそぱたぱた、風。サンダルぱたぱたぱたぱた。ほら、もうつくよ、この家。
軽く息をつく、額の汗を拭く。今日はどうしてこんなにドキドキするんだろう。それはきっと、右手の白い箱のせい。シュークリームの一杯詰まったこの箱のせい。
そおっと門を閉める。すばやく回り込めばよみの部屋の電気は点いていて。カーテンは開いてて。ほっとする。閉まっていたら、引き返さなくちゃならなかったから。
こんこん。ノックして窓を開けると、机に突っ伏したよみが、ぱっと顔をあげた。
「よ」
「何しに来た」
鋭い声だった。
★
- 818 :『あなたには手作りの』《6》 :2004/01/03(土) 23:14 ID:???
- よみさんは。ちよちゃんは心配そうに問う。ともちゃんのこと嫌いなんですか?
うーん、別に嫌いじゃないかなあ。鬱陶しいときもあるし、仲間だって思うときもある
し。私は煮え切らない。言葉に出来ない関係というのもある。
好きなんだと思う
言い切られてよみは思わず榊のほうを見る。黒く長い髪を持つ友人。その断定的ともい
える口ぶりにちよちゃんと二人、目をぱちくりする。
「どうしてですか? 」
「困る困るっていいながら、すごく幸せそうな顔をしていたから」
思わず顔が赤まる。な、なにいってるんだよ。必死の抗弁は意味をなさない。かえって
暖かい微笑をかうだけ。あー、もう! 取り返しがつかないくらい焦った、そのとき。
ピンポーン。
玄関のチャイムの音がする。はーい、ちよちゃんが小走りに部屋を出る。ひとまず救わ
れて、よみはホッとした。榊の言葉が図星だったから。
「な、なんだよ。その顔」微笑む榊に、唇を尖らせて尋ねる。
「ん。ちょっと羨ましくて」
「なにが? 」
榊は、微笑んだまま答えない。その眼差しに寂しさが見えて思わず言葉をつぐむ。本当
に静かに笑う人だ。静かに哀しむ人だ。
「私にしてみたら榊のほうが羨ましいよ。本命もうかって、マヤーと一緒に暮らせるよう
になって」
「いや、そんなことはない。わたしには、幼い頃からの友達はいない。それどころか中学
の頃の友達もいない。みんな避けるか、遠巻きに眺めるだけだったから。だから、みんな
と別れるのは、辛い」
大丈夫だよ、私は根拠のない断定をした。
「それこそ死ぬわけじゃあるまいし、会いたくなったら会えばいいさ」
「でももう生活の中にはいなくなる。これから始まるのはまた新しい付き合いだ。これか
らの人も今までの人も」
私は、榊の言いたいことがよくわかる。新しい場所に行けば新しい付き合いがあるのは
勿論、古い付き合いも今までどおりとはいかなくなる。いつも一緒でいるわけでないなら
尚更。せっかく出来た繋がりも途切れてしまうかもしれない。
自分が大丈夫と思っていた繋がりも。
- 819 :『あなたには手作りの』《7》 :2004/01/03(土) 23:16 ID:???
- どんなに切れないと思っていた繋がりも。離れれば。他の人と一緒に、遠くへ行ってし
まうかも。そう思っているのに、気休めを口にする。榊の為。嘘をつく。
「だけど私は榊のこと友達だと思ってるぞ、これからもずっと」
「ありがとう」
肩を寄せて榊は目を伏せた。どうしてもだめだな、わたしは。いつも臆病になる。もし
かしたらもう二度と会えないか、捨てられてしまうんじゃないかって思う。
「そんなことないって! 」
私の強い言葉に榊は眼をぱちくりさせる。
「榊と私達はまだ三年だろう? 私とともなんてもうかれこれ十、二年か、一緒にいるけ
れど、わかっているようで、まるでわかってない」
本当にわかってない。遠くに行きつつある腐れ縁。それでも表面は穏やかに、私は榊を
説いている。
「思うに、一緒にいる時間の長さは関係ないんだ。いや、関係なくもないけど、どれだけ
いい時間がすごせたかってことじゃないかな。多分、しがみつく必要なんかないんだ。今
までのことに」
誰に説いている? 榊に? 自分に? もつれた心を解きながら。
「だからさ、榊の言ってたこれから始まる新しい付き合いってやつも、もう少し楽観して
ていいんじゃないか? もっといい出会いがあるかもしれないし、私達との付き合いも、
もっと広がるかもしれない」
「……そうだな」
深くうなづいて、榊は満面の笑顔を向けた。3年前には見せなかった笑顔。この頃、ます
ます綺麗になった。
とんとんとん、と階段を上がる音がする。
「おやつですよー」ちよちゃんの声と共に戸が開いた。ちよちゃんはお皿の載った盆を手
にしている。続いてポットを片手に持った神楽が入って来る。
「おっす」
夏のころに比べればやや色褪せたが、それでもよく焼けたトーストの色で神楽はにこに
こと挨拶する。手伝ってもらっちゃいました、とちよちゃんが笑う。構わないよ、運んで
きただけさ、神楽も笑う。それだけ集中してたんだ。榊はそういいながら戸の中に入って
きた新たな侵入者達に手を広げた。マヤー、定吉さん、言い終わるか終わらないかのうち
に小柄な猫が榊の胸の中に飛び込んだ。大型の犬、グレートピレネーという種類らしい、
がのそりのそりと近づいてきて側にきちんとお座りする。榊の頬がバラ色に染まった。
連載中)
- 820 :名無しさんちゃうねん :2004/01/03(土) 23:17 ID:???
- 「うなづく」じゃなくて「うなずく」ですよ、と不粋な突っ込み。
- 821 :『あなたには手作りの』作者 :2004/01/03(土) 23:18 ID:???
- しまった。
スレッドの寿命が尽きそうなので、急遽連載にしました。
もっと続くですよ、この話。様子を見てまた投下します。
- 822 :名無しさんちゃうねん :2004/01/04(日) 16:55 ID:???
- 泣ける‥(つд`)
続き楽しみにしてます
- 823 :名無しさんちゃうねん :2004/01/04(日) 18:32 ID:i/Vl9HwE
- >>820
いや、正統仮名遣ひだとそれで良いのだ。
現代仮名遣ひはむしろ邪道である。
- 824 :あず青労同大阪派教労委員会 ◆ttKIMURA :2004/01/05(月) 17:58 ID:???
- >>813-819
悩む人の心中を描くのが、とても上手ですね(特に>814)。
>815のともの過去の部分、ものすごく納得が行きます。
人間関係に重要な何かがテーマが敷かれている様に感じます。
楽しみにさせていただきます。
おっしゃるとおり、かなりまとまった分量になる予感がしますが、
これだけ緻密にお書きになれるのでしたら、それも当然でしょう。どうかご遠慮なく。
これは、次スレを誰がどう立てるか決めなきゃならなくなりそうな勢いですね。
では、私も2年越しのヤツ(苦笑)の完結編を。
- 825 :あず青労同大阪派教労委員会 ◆ttKIMURA :2004/01/05(月) 18:05 ID:???
- 【>>799の続き ちなみに出だしは>>430〜、以降>>499〜>>796〜と散っております】
【16】
翌朝、つまり、大晦日。
ともは毛布にくるまって、座っていた。
相変わらずやせこけた元気のない顔だが、目はうつろではなく、焦点が前方に合っている。
そして、一人ではない。左隣に、寄り添う様にして歩がいて、やはり前方をじいっと見て
いる。逆の隣では、先生、しっぽも、二人が見ているだろう場所を注視する。
さらに、ここはともの部屋でも、受付の横にある部屋でもない。何台ものパソコンの本体
やディスプレイ、その他いろいろな機器が三方を埋め尽くし、時折ハードディスクの回る音
や、キーボードを打つ音がかすかに聞こえる。その中央、両脇に書類が堆く積まれた機械に、
一人の大男が覆い被さる様に向き合っていて、4人の視線はその背中に注がれていた。
列車は小さな駅を出るとすぐ、高い鉄橋にさしかかった。
左手はるか下に海岸が見えた。よく晴れているせいか、鉛色であるはずの冬の海が、青い。
旅行客のグループが立ち上がって、空から見おろしているかの様な絶景をのぞき込む。
そのすぐ後ろのボックス席で、よみが窓枠に頬杖をついて座っていた。窓の外に顔を向け
てはいるが、景色を楽しんでいる顔色ではない。ためらいというか、迷いというか。
「・・・・・・本当に、大丈夫か?・・・」
そのつぶやきを覆い隠す様に、やおら車内が轟音に包まれる。鉄橋を渡り終えるとすぐに
トンネルだった。よみのためらいをよそに、列車は定められた通りにずんずん進んでいく。
列車はあらかじめ終着駅を決められているが、よみは一体どこへ行くのか。
- 826 :あず青労同大阪派教労委員会 ◆ttKIMURA :2004/01/05(月) 18:06 ID:???
-
【17】
「あの・・・・・ほんまに・・・大丈夫ですか?」
歩は大男に恐る恐る話しかけた。大男の作業を見守り始めてから、何時間も経っている。
疑っていなくても、そう尋ねたくもなろう。
「ガハハハ、大丈夫や。そのかわり、これを人捜しに使ったいうのは、ここだけの話にしと
いてや」
「それは、もちろんや」
パソコンに向かい続けてさぞやカリカリしているかと思いきや、大男はのんびりと、かつ
豪快に返してきた。
大男の名は、真戸さんと言う。つまり、昨夜ともが刃物を振り回すのを止めに入った、三
人目の「主」である。
今朝になってから、一人でも大勢で考えた方がいいだろうと彼に事情を話したところ、
「その子、携帯電話持ってるやろ」
「・・・は、はい。でも出ないし・・・メールを打っても・・・」
「けど、毎回やなくても鳴るわけやな。で、会社はどこや」
「・・・・・確か、○○○、です」
「うーん、ほないけるかもしれんな」
「・・・え?!」
「実は携帯の会社から仕事もらっとって、ちょっとアテがあんねん。あのな・・・」
これに続く饒舌にして微に入り細に及ぶ説明は省くが、とにかく、携帯電話のシステムに入
って大まかな居場所をたどれる可能性がある、という。
「あんな、圏外やったり電源が切れとったりしたらしゃあない。その前にシステムをうまく
動かせるかわからへん。けど、ま、こういう時は何とかなるもんや、ガハハハ」
こうして、パソコンに向かう真戸さんを4人で見守る運びとなったのだった。
- 827 :あず青労同大阪派教労委員会 ◆ttKIMURA :2004/01/05(月) 18:06 ID:???
-
【18】
「・・・あ、すみません」
もう何回リュックを人にぶつけただろう。と言っても、背中にしょっているだけなのだか
ら、半分は相手の不注意であるわけだが・・・。
よみは列車の旅をやめて、大晦日の街中をさまよい歩いていた。人が大勢通って行くが、
山行きの服装をしてリュックをしょっている人間は他にいない。師走の名にたがわず誰も彼
もが急ぎ足の中で、ひとり左右を見ながら狭い歩道をとぼとぼ歩いているのだから、時折ぶ
つかられるのも無理はない。
よみは、不意に足を止めた。そして、後ろの人が顔をしかめるのも構わず、目を細めて先
の方を見上げた。
「・・・これか?」
前方には、電車の駅が口を開けていた。そのさらに背後に見える、この街を囲む山々の方
へ行く様だ。ただし長旅をする列車ではない様で、路面電車の様な小さい電車が着いて普段
着の人々を吐き出しているのが、駅の奥の方に見える。
「もうお昼やな・・・。分かったら知らせるから、下でお茶でも飲んでたらええがな」
真戸さんが、振り向きもせずに言ってよこした。開業しているというだけあって機械類の
量が半端でなく、この部屋には電気ストーブどころか電気ポットもないのだった。
「ああ、ほんなら頼むわ」
先生としっぽは、すぐに立って部屋を出た。長いつき合いの間柄に長いやりとりは無用だ。
「ほな、すんまへんけど、お言葉に甘えて・・・。ともちゃん、下で待とか」
歩は真戸さんに軽くおじぎすると、ともの顔をのぞき込んで肩に手をかけたが、ともは、
「私、ここにいる」
と、かぶりを振った。前を見つめる眼差しが、時間の経過とともに濃くなっていた。
「ともちゃん、そんなにじぃーと見られたらディスプレイに穴が開いてまうがな。それに、
ワシにもお昼持ってきてや・・・・・大丈夫、大丈夫や、ガハハハハハ」
真戸さんがこちらを振り返り、にっこり笑って見せた。
こころなしか、ともの口元が緩んだ様に見えた。
- 828 :あず青労同大阪派教労委員会 ◆ttKIMURA :2004/01/05(月) 18:07 ID:???
-
【19】
古き良き閑静な住宅地に面した駅で、よみは電車を降りた。木造の板塀が続く通りを、時
に立ち止まって電柱や曲がり角の左右を見ながら、よみが歩いていく。
「な、真戸さんもああ言うてるし・・・」
歩があらためてともを促しながら立とうとして、そこで初めて自分の足の痺れを強烈に
感じて床に転げたその時、
「来た、キターーーーーーーーーーーーーーーー!!(AA略)」
作業に戻っていた真戸さんが、のけぞらんばかりに叫び声を上げた。
刹那、ともの目に、あのいつもの、いたずらっぽそうな輝きが走ったかと思うと、彼女は
飛びかかる様に進み出て、真戸さんの巨体を左からねじ曲げる様にしてディスプレイをのぞ
き込んだ。
黒い画面に、数字文字混じりの横書きが、ほの白く何十行も並んでいる。
「どれがそれなの?!ねえ!!」
ともの別人の様な語調に気圧されて、さすがの真戸さんも少しうろたえている。歩も足の痺
れに顔をしかめながら、這いつくばって真戸さんの右横にたどり着いた。
「えーと・・・・・これ、これやったがな・・・で、この基地はどこか言うと・・・」
真戸さんはポインタで指すと、その行の右端をクリックした。
カチッ、という音。画面が切り替わるための暗転が、一同にはものすごく長く感じられた。
切り替わった先には、一行の文字列があった。
京都市○○区○○○○通・・・・・・
真戸さん、歩が「え?!」という顔をするのと、ともが
「よみぃーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
と叫んで駈け出して行くのとが、同時だった。
ドタドタドタドタッガタガタガタガタン!・・・トタトタトタトタ・・・
階段の途中で足を踏み外した様だが、ものともせずに走っていく、とも。
「そらびっくりやけど、近く言うても2キロ四方あんねんで・・・電話してみいや・・・」
真戸さんの伝言を伝えるべく、やや遅れて玄関まで出てきた歩の眼の前には、涙を流して
抱きしめ合う、ともと、よみの姿があった。
- 829 :あず青労同大阪派教労委員会 ◆ttKIMURA :2004/01/05(月) 18:07 ID:???
-
【20】
「・・・戻る時は、まずともに見てもらおうって思っててさ・・・もうそろそろいいかな、
って何度も思うんだけど、いざともに会うって考えると、自信がなくなって・・・」
その晩、寮の受付部屋。
鍋物の匂いが充満しているが、鍋はあらかた空き、二人以外はビールや酒の瓶の間に間に
雑魚寝を決め込んでしまっている。やかんの載った石油ストーブだけが頼りだ。
「でもさ、何度聞いても、電話にも出ないなんてひどいよ!」
ともは語気を強めるが、棘はなく、むしろ甘えている様にさえ聞こえる。もっとも、鍋の
始めの頃にみんなの前で聞いた時には本気でむくれていたが。
「出れば、会いたくなっちゃうから・・・そのくせ電源切れないんだよね。もっとも山歩き
だから、中頃はほどんど圏外だったけどな」
「本当に、本当に心配したんだから!」
「・・・ごめん。でも、ともが柄にもなく学祭で頑張ってるから、私も・・・」
- 830 :あず青労同大阪派教労委員会 ◆ttKIMURA :2004/01/05(月) 18:08 ID:???
-
【21】
ともが大学祭実行委員として頑張っている事は歩から聞かされていたから、連絡を取り合
う事が減ってもよみに不安はなかった。むしろジャマしちゃダメだと思った。
しかし、行事といえばジャマしてばかりだった高校時代のともからすれば、そんな役目が
ちゃんと勤まっているというのは驚くべき成長だ。一方で、よみは授業に出て、たまに京都
へ遊びに行く以外、これといって何か目標を持って活動している訳ではなかった。振り返る
と、大学に入って以降、いろいろな点でだらしがなくなっている。
「ともがやっと、何かに熱中して成長する様になってくれたのだから、私も応えなきゃ」
そういう思いが、彼女にサークル活動を選ばせた。
お菓子研究会
メンバーはいい人ぞろいで、すぐに仲良くなった。また活動も熱心で、ただできればいい
というのではなく、研究しながら同じ種類のケーキや大福を何回も作ったりしていた。よみ
もたちまちお菓子づくりに日夜没頭する様になった。
しかしサークルの先輩たちには唯一、計画性だけがなかった。材料の仕入れが非常におお
ざっぱで、毎回大量に余る。また、研究の一環として既製品を食べる事があるのだが、これ
も人数に関係なく大量に買ってくる。そして、食べ残す。
言わずと知れた事だが、よみは甘い物に目がない。この様な状況に直面したら、どういう
事になるか。あえて結果は書かない。
「・・・・・絶っ対、ともには見せられない・・・」
自分の体が横に膨張していく事への嫌悪は彼女の精神を不安定にさせ、睡眠薬を処方して
もらう様になった。それでいて残り物を食べることはやめられない。ついに初冬のある晩、
風呂上がりに姿見と向かい合うや、よみの心に悲壮な決意がこみ上げてきた。
そして思い立ったが吉日と、その晩のうちに誰にも告げずに旅立ち、減量をすべく山野を
彷徨したのだった。もっとも両親には携帯電話のメールで連絡を入れたつもりだったのだが、
圏外から発信して届いていない事を先ほど気づかされ、あわてて電話をかけた次第である。
- 831 :あず青労同大阪派教労委員会 ◆ttKIMURA :2004/01/05(月) 18:08 ID:???
-
【22】
どこかで、除夜の鐘を撞いている。とても小さい音なのに、なぜかやかんが鳴る音にも、
そして二人の話し声にもかき消されることがない。今年も、あとわずかだ。
角を挟んで斜めに向き合っていたともが、膝で歩いてよみの横に移ってきた。
「よみもバカだなー。だらしないとか太ったとか、そんなのでよみの事嫌いにならないって」
バカというのに反応したのか、よみが、キッ、とともの顔を見据えながら返す。
「いや、そういう問題だけじゃ・・・」
「じゃ、どういう問題?」
ともが興味津々の眼差しで、見つめ返す。間が開く。鐘が静かに、ごおぉぉぉん、と鳴る。
「う・・・」という顔をしていたよみは視線を外すと、机の下でともの手を握りしめて、
ぼそりと言った。
「・・・そういう問題、だけだった」
その晩、二人はともの部屋で長い時間、愛し合った。
- 832 :あず青労同大阪派教労委員会 ◆ttKIMURA :2004/01/05(月) 18:09 ID:???
-
【23】
翌年も、やはりよみは秋頃から横に膨張して、山ごもりをしなければならなかった。ただ
し今度は計画を立て、家族、そしてもちろんともに告げた上でだったが。
一方、今年のともは実行委員などせず、適当に講義をサボりつつ学生という身分を楽しむ
という生活に戻った。この変化というか退行というかの理由は、特にない。気分だ。
そして今年の大晦日も、二人は京都にいる。こうして西の空を眺め出してから、もう小一
時間も経っただろうか。
黙っているのは、美しい夕陽を二人きりで見ている事を楽しんでいるせいももちろんある。
が、二人とも、言いたいことがあるのだが言い出しづらくて、という顔にも見える。
沈黙を破ったのは、よみの方だった。
「なあ」
「ん?」
「その・・・去年のあの時も訊かずじまいだったけど、その・・・、私、前に会った時より
・・・少しはスマートになったか?」
よみが立ち上がる。ともが振り返り、上目遣いでよみの体を見回す。
今年は、着替えを持ってきた。落ち着いたグレーのワンピースに淡い色のカーディガン。
全身に夕陽を受けながら、よみはそっぽを向いて、少し頬を赤らめている。
「・・・んーと、スマートになったよ。やせたね」
「本当か!・・・よかったぁ、またブニョブニョとか言われるかと思った」
よみは、真面目な顔でそう言ったともの方を向き直り、しゃがんで彼女の手を取った。
「でもね・・・」
「ん?」
よみが顔を近づけると、ともの顔が急にいたずらをする子どもの様な笑みを浮かべた。
「毎年毎年、進歩がないよなぁ〜、よみは」
よみは手を取ったまま、ガクッ、と、うなだれた。
「あ、ゴメンね・・・本当のこと言っちゃった」
ともが悪い冗談を重ねてから、さて本当のフォローをするか、と頭を垂れているよみを見
つめると、よみのその頭はわなわなと震えていた。
(やば・・・うなだれてるんじゃ・・・・・ない・・・)
よみの方から不意に両手が振りほどかれると、
「ダブルチョーップ!!」
あとは、部屋の中をぎゃーぎゃー言いながら、追い、追われる二人。
冬らしい料理の匂いがここまで届き、
「よみちゃーん、ともちゃーん、少し早いけど、そろそろやるで〜」
という歩の声がしているが、よみもともも、気づかない。
【 完 】
- 833 :大阪XP ◆HaiBaNe. :2004/01/05(月) 18:09 ID:???
- 乙です!でも容量が・・・
>「来た、キターーーーーーーーーーーーーーーー!!(AA略)」
ワラタ
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