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一行小説リレー「あずまんがバトルロワイヤル」

551 :ゲネラルプローベ ◆9BzY4nJx3c :2005/04/18(月) 23:11 ID:???
十一月三十日 午前七時十分 通学路
 呂比千尋はゆっくりと歩いていた。
歩きながら考えていることは、もちろん昨日のことだけだ。
左右の石壁の先の、実をやっと落として葉を散らし始めた木々たちが、時々風に揺られて気持ちよさそうに笑った。
つられたように千尋も微笑む。その様子がおかしかったのか小鳥が声をあげた。
秋の空気は軽すぎて、千尋は浮かんでしまいそうだった。
そんな風に思えるなんて、私はいつから詩人になったのかしら。
もちろんそれは昨日のあれのせいだ。
昨日の………。
「おーい。おはよーう」
同じクラスで同じ天文部の梨丘かおりが、回想にふけりかけた千尋を現実に引き戻すように、千尋の肩を叩いた。
「あ、かおりん。おはよ」
「どしたの?なんだかうれしそうじゃない」
かおりはいきなりそう聞いてきた。顔にでていたらしい。
「うん、判る?」
「そりゃわかるわよ、だって千尋ったらにやにやして歩いてたんだもの。
 私が肩叩くまで気づかないしさ。………ねえねえ、何があったの?」
「うん、昨日の夜ね………」
そう言っただけで頬が緩んだ。
「あのね、観測の帰りにね………」
そこまで言うと、今度は口からため息がもれる。
「ああ、ああ。もう最高だわ」
勝手に昨日の晩の記憶が頭の中で再生されて、千尋は両手を胸の前で組んだ。
「ちょ、ちょっと。自分の世界に入ってないで、教えてよ」
「ええ、うん。あのね」
千尋は深呼吸した。頬が、だらしないほど緩んでいるのが自分でも判る。
空から降りてきた釣り針が引っかかったに違いない。
千尋は両手でほっぺたを押さえつけた。熱い。
「………かおりん、耳貸して」
「もー。もったいぶるんだから」
そう言って笑うかおりに、千尋はキスしてしまいそうなほど近づいて、そっと囁いた。

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