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【あずまんが】SS書きの控え室7
- 1 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/05/08(日) 01:06 ID:???
- ストーリーの構成、キャラの造り方、言葉の使い方など、あずまんがのSSや
小ネタを作成する上で困ったことや、悩んでいること、工夫していること等を話し合う
スレです。
また〜り楽しんでいただければ幸いです。
ここで新作をUPすることも可です。
★主な注意事項
1. sage進行でお願いします。
2. 対象範囲は「あずまんが大王」及び、連載中の「よつばと」とします。
3. 他人の作品を善意であっても批評しないでください。(自分の悪いところを
教えてくださいというのは可です。)
※その他の注意事項は、>>2以降で記載します。
- 2 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/05/08(日) 01:07 ID:???
- ★その他の注意事項
1. 上記の2.において他作品の批評は不可としましたが、このスレ内で新作をUP
した場合にのみ、常識的な範囲での作品単体に対する批評、感想はOKです。
但し、その場合でも、罵倒、中傷は絶対にしないでください。
2. 他のスレ、板、およびHPから、本スレに転載された作品についても批評しないで
ください。
3. 新作をUPする場合についてですが、エロ、非エロのどちらを書かれても構いません。
但し、板の性質上、過激なものは避けてください。
(ソフトなえっち程度ならOKです。)
3−2.あずまんが、よつばとのキャラが殺される、または虐待されるなど、
残酷な描写はしないでください。(2003/12/01追加)
4. AAについては文章スレッドであるので使用しないでください。
5. スレの趣旨に関係のない書き込みはしないでください 。(2005/02/03追加)
前スレ【あずまんが】SS書きの控え室6
http://so.la/test/read.cgi/oosaka/1107441801/
- 3 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/05/08(日) 01:17 ID:???
- http://so.la/test/read.cgi/oosaka/1107441801/487
の続き
第四部「作戦名その名は“フリーザ”」
8月3日・0900・東京・臨海副都心・ATDF本庁
「で、準備は整ったのかね?」海自の制服を着た裕正が部下に尋ねた。
「ええ、陸自の展開は昨日の段階で完了しました。さらに、追加部隊として第一師団・第六師団に待機命令、特殊部隊群と第一空挺団に対して入間への前進命令を発令いたしました。」加賀美が報告した。
「うむ、で、作戦スケジュールは?」
「閣下の作戦開始の指示が下り次第、早急に開始できます。」
「分かった。防衛庁と官邸、ならびに各機関へ通達。本1000をもって作戦コードネーム「フリーザ」を発動する。」
「分かりました。」加賀美が書類を裕正に提示した。彼はそれにサインすると加賀美に渡した。
「問題は海のモンスターですが・・・」
「安心したまえ。今頃「ピッコロ」作戦が発動されている。」
同時刻・太平洋上
太平洋上を海自の哨戒機P−3Cが飛行していた。
「ソナーに感。追跡中のボギーです。」
「了解した。センサー投下準備!」この機体には魚雷・ASMではなく大量のセンサーを今回搭載していた。このセンサーはある種の不協和音を生じさせて海中に潜む巨大生物を追い出すことが可能である。
「投下、投下、投下!」大量のセンサーがばら撒かれた。
「で、誘導地点は?」防衛庁内の作戦情報センターで寺林海幕作戦部長と松田統幕作戦情報部長が協議していた。
「東海村だ。」
「東海村?!陸自は各施設でわが国を崩壊させる機か!!」
「適当な平地がそこしかない。安心してくれ。現在第一師団第21普通科連隊がオンステージしているし、出現とともにいっせいにあれを発射するから実害はあまり無いはずだ。」
「そんな問題じゃないだろう。国民感情をどう考える?」
「“勝手に”モンスターが出現したことにすればいい。情報操作は簡単だよ。」同じ頃、首相官邸内の危機管理センター・シチュエーションルーム(ホーム)では国家安全保障常任委員会、通称EXCOM JのメンバーがTV回線を通じて協議していた。
「寺林君、問題ないのかね?」
「は、出現と同時にUNG麻酔弾を発射、海の巨大生物を眠らせた後に空輸を開始します。」
「実行の時間は?」慎一郎が尋ねた。
「約6時間です。問題ないと私は思いますが・・・」
「そうだな。」皆が同意した。
「私が興味あるのは発射手段ですが・・・」岡田安全保障担当首相付顧問が質問した。
「73式小型トラック10台にすでに106ミリ無反動砲を搭載しています。その部隊をすでに沿岸部に配置完了していますし、上空にはAC−1“ラドン”を3機空自の協力の下配置完了しています。あれなら正確な射撃が可能です。」
「分かりました。抜かりは無いということですね。」
「無論です。」
「長谷川警察庁長官、当該地域の住民の避難状況は?」
「すでに茨城県警に対して国民保護法制に基づく避難準備指示を発令しました。」
「和気海上保安庁長官、当該地域の船舶の状況は?」
「立ち入りを禁止しました。」
「剣崎経済産業長官、東海村にある原子力関連施設の状況は?」
「運転は継続中ですが、各施設には陸自の警備防衛・警備歩哨連隊が展開しています。各部隊とも必要な装備を持っております。」
「よろしい。」
「首相閣下。」後藤官房長官が声を上げた。
「どうしました?官房長官。」
「巨大生物の名前をまだ決めていませんが・・・」
「陸の生物は“サンダ”、海の生物は“ガイラ”と命名する!」
- 4 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/05/08(日) 01:18 ID:???
- 1000・栃木県宇都宮市・陸上自衛隊第72普通科連隊司令部
「支倉一佐、ATDFから作戦開始の指示が下りました!」慌てて島津2佐が連隊長室に駆け込んできた。
「そうか!各部隊に出動を命令!」
「イエス・サー!!」そう言って島津が敬礼した。
「そう硬くならんで良いから。由樹。」そう言って支倉は島津を励ました。
「そうは言ってもなかなか緊張するけどね。」この2人は実はいとこ同士。このコンビネーションを生かして東ティモール派遣PKOの普通科部隊の指揮官と副官を見事に勤め上げ、各国の指揮官から賞賛を受けていた。
「まあ、今回は空自の支援もあるし任務はあまり深刻に考えなくてもいいだろう。」同時刻、作戦開始の指令は東海村に展開している部隊にも届いていた。
「指揮官閣下、作戦開始です。」
「了解した。」指揮官は何と東部方面総監部防衛部長の川島豪志陸将補であった。
「よろしい。海自諸君の作戦展開は?」
「現在、この地点を中心にセンサーを哨戒機5機でばら撒いています。」海自派遣の幹部、3等海佐が報告した。
「なるほど・・・後どれくらい掛かりますか?」
「そうですね・・・ガイラしだいでしょうか。」
同時刻・東京・臨海副都心・ATDF本庁
作戦名フリーザ、構想段階では「L作戦」となっていたこの作戦の骨子は「纏めて叩く」ということである。より具体的には、ガイラをあえて出現させてUMG麻酔弾で完全に眠らせ、しかる後に中禅寺湖へ空輸。サンダとともに撃滅する。
「この計画は当初から存在していた。」裕正が高嶋に言った。ここは裕正の執務室、壁にはサルバドール・ダリの絵が掲げられている。電気ポットはポコポコ音を立てていて湯気が出ていた。
「コーヒーでも飲むかね?」
「いただきましょう。」裕正の入れるコーヒーは塩が効いている濃いものである。伝統的な海自のコーヒーである。
「で、閣下。問題はTEAMの連中ですがコミットメントしないのでしょうな。」
「安心したまえ。今回の作戦に連中の関与する余地は無い。ひとつのチームは隊員が入院中につき行動不能。もうひとつには情報すら提供されていないのだからな。」裕正は不敵に笑った。
「ありがとうございます。閣下、今回の作戦には我々は関与しないのですか?」マグを受け取りながら高嶋が言った。
「高嶋君、今はそれどころじゃないよ。太平洋の状況が分かっているだろう。」
「ええ、今回は防衛庁にアウトソーシングということで・・・」
「そうなるな。」
- 5 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/05/08(日) 01:19 ID:???
- 1100・茨城県東海村・現地作戦指揮所
「司令、海自哨戒機よりコール!沿岸まで後10!」最新鋭の作戦指揮所では地図は電子式、通信システムも通信衛星やデジタル回線で構成されている。さらには・・・
「上空の「ダークスター」の映像を見せて欲しい。」そう言って指揮官の寺林が指示した。
「『夏目雅子』の映像です。」受信機はカラーの映像が映し出された。このダークスターは無人の偵察機で上空に約10時間滞空することができ、しかもステルス機能が備わっている。つまり、敵の映像は丸見えでこちらの映像が敵からは見えない。
「おお、きちょるわい。地上の部隊の状況は?」
「特科一個大隊が沿岸にオン・ステージ。施設科と普通科の混成コンバット大隊も準備完了です。」
「指揮官、ガイラ上陸します!」
「『ラドン』3機、百里をテイクオフ!」
「よろしい。オープンシステム、オン!」寺林が指示した。同じ頃、首相官邸危機管理センターシチュエーションルーム(ホーム)で指揮を執っている篠田センター長はそのシステムの凄さに改めて感銘を受けていた。
「現地の状況を東京のここにいても瞬時にして知ることができる。このシステムさえ有効に機能していれば60年前に我々は戦争に負けることは無かったかもしれないな・・・」
「室長、このシステムはデジタル化時代の賜物です。」そう言って副室長の大林敏樹傍らにマグを2つ持って立っていた。
「首相は?」マグを受け取って篠田が言った。
「この件は担当の者に任せると。万が一の際には至急呼んでほしいと・・・」
「室長、状況が始まりました。」
「ファイア!!」AC−1、通称「ラドン」の4門搭載されている35ミリ機関砲と20ミリ6連装機関砲4門が一斉に火を噴いた。この火力は地上のいかなる目標を撃破する。この火力がいっせいにガイラに向いた。その音はかなり離れた現地の指揮所にまで届いた。
「やはり何回聞いても我々にとっては神の声だな。」
「ええ。私もこの声にはイラクで何回も救われました・・・」イラク戦争に極秘裏に従軍した幕僚の3等陸佐が寺林に言った。
「クローズドシステムの状況は?」
「順調です。」クローズドシステムとは、情報・画像・通信・後方支援・作戦支援などの作戦指揮上のデータベースを現場指揮官→現場最高司令官→師団・旅団司令部→方面総監部司令部→陸上幕僚監部→統合幕僚会議の間で、
さらには陸・海・空の各部隊間で共有するシステムのことである。
このシステムの結果、一元的な作戦指揮が可能になった。オープンシステムは、情報・画像の情報のデータベースを危機管理官庁と首相官邸に、場合によっては地元自治体間で共有するシステムのことである。
「特科に連絡!作戦を開始!」攻撃を受けてガイラが弱りつつあることを確認した寺林が指示を下した。
「茨城県に巨大生物が出現。自衛隊が攻撃を開始した模様。」という文字放送を我らが大橋孝明と森田菜穂子は新潟市の大橋家で見ていた。すでに大橋家は地上デジタル放送とBSデジタル放送、CSのスカイパーフェクトTVに加入していた。
「なかなか面白くなってきたね。」孝明はコーヒーの入ったエクセルシオールのマグをもちながら言った。
「どういう事?」
「兵器にはマーケットが存在している。これは知っているね?」
「ええ。」そう言って菜穂子はマグを持った。いつの間にか奈津美や綾菜が来ていた。
「しかしながら実際の性能は「実戦でなければ」実証されなければならない。いい例が1982年に発生したフォークランド紛争だ。アルゼンチン軍が放ったエグゾセASMがイギリス軍の駆逐艦を撃沈した。これ以降、エグゾセの価格は急上昇した。」
「つまり兵器はカタログ値では計れない・・・・?」
「そういうこと、綾菜。」そう言って孝明はコーヒーをすすった。
「今回は行かないほうがいいな。恐らく父さんたちには絶対の自信があるはずだ。それが何かは僕は知らないがかなり危険じゃないかな・・・」そう孝明は菜穂子に耳打ちした。
「さあ、ケーキが焼けましたよ。」佳奈の声がキッチンのほうからして彼らは声の下方向に向かっていった。
- 6 :名無しさんちゃうねん :2005/05/08(日) 01:20 ID:???
- とりあえずさげ
- 7 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/05/08(日) 01:21 ID:???
- ATDF本庁では裕正が舌なめずりをしていた。
「政府筋の情報を知っているかね?」
「何でしょうか?」高嶋が聞いてきた。作戦情報センター内では担当官たちが慌しく情報分析や情報収集を行なっていた。
「政府の一部には今回の作戦で使用する兵器の輸出を検討する動きがあるらしい。」
「なるほど。それで今回こんなに張り切っているわけですね。」
「そういうことだ。」そう言って裕正はメインスクリーンを見ていた。
「発射!!」UGM麻酔弾を搭載した106ミリ無反動砲を搭載した73式小型トラック10台から一斉にそれが発射された。その弾頭は孤を描いてガイラに命中した。それを食らったガイラは意識を失い始めた。
「どうだ?」
「『夏目雅子』搭載のセンサーでも意識は失ったようですね。開始しましょう。」部下の進言を受けた寺林は決断した。
「コンバットチームに連絡!作戦開始。」その映像はhttp://www.dokkiri.darkstarと言うアドレスで公開された。
「ちっちちちちちちちち〜ち。」とジャズのリズムを取りながらパソコンを操作していた孝明の友人、尾崎征也は偶然そのサイトを見つけた。
「な、なんだ?!このサイトは!」彼は慌ててその件を知っているかもしれない友人、孝明にメールを送った。
1200・新潟県新潟市・大橋家
孝明と菜穂子は彼の部屋で一緒に夏休みの宿題を片付けていた。その時パソコンのメールの着信音がした。
「孝明へ。こんなサイトがあるのだが・・・」と言う内容のメールを見た孝明は不安を感じながらも、http://www.dokkiri.darkstarにアクセスした。
そこに映し出された映像は、意識の無いガイラに気球を10個取り付ける作業をしている陸自施設科部隊と警護をしている普通科部隊の映像だった。しかもそれはリアルタイムで流れており、カウンターでは爆発的に増加していた。
「なおちゃん。僕の認識が甘かったよ。これを考え出したヤツはよほどの悪魔に違いない。」
孝明が悪魔だと思ったその人物は自分の執務室でコーヒーを楽しんでいた。
「失礼します。」そう言って彼の秘書が入ってきた。
「次席補佐官、作戦は順調に進んでいます。全世界中からアクセスが殺到しています。」
「それは良かった。我々の行動の正当性がこれで証明されますね。」内閣総理大臣次席補佐官ジャック=大志=ライアンは笑顔でそう言った。
日系三世の彼は海兵隊で特殊部隊といわれるリーコンを経験した後、日本に来て大学院に入っていた。その時に大橋慎平氏に見出されて次席補佐官として「ダーティーワーク」に従事していた。
「映像は無修正ですよ。分かっていますね。
- 8 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/05/08(日) 01:21 ID:???
- 自治医科大学病院では、ちよがこの状況にはじめて気づいた。
「みなさん。状況が、状況がだんだん悪化しているみたいです・・・」
「どういうこと?ちよちゃん。」
「このサイトを見てください。」よみがちよのPDAを見ると、ロビン・ウィリアムズの「グッドモーニングベトナム」調で軽快なナレーションをしている声とともに状況が映し出された。BGMには軽快なロックが使われていた。
「なんなの・・・?このサイトは・・・」
「このままではともちゃんを助けてくれたあの怪獣さんもどうなるか分かりません。戻りましょう。」そう言って彼女たちは駐車場に戻って車のエンジンを駆けた。
「やってくれるじゃないか!」慎平は新潟にある大河内総研の理事長室で榊にコーヒーを渡しながら言った。
「どういう事ですか?」
「ジャックめ!やりおるわい!」
「だからどういうことなのですか?」
「生で無修正の映像を政府が公開している。つまり、マスコミの修正もブログの個人の価値判断も一切加わる余地のない映像だ。政府は情報公開の責任を果たしつつ、非難を加えるヤツには『これを見ろ!』と攻撃できる。最高の武器だ。」
「そんな・・・」
東海村のガイラの現場では、東京製綱<東証5981>製の「原子力時代の繊維」によって固定されたガイラが水素が満載された気球によって上空に運ばれていった。それを2機のCH−47JAヘリが牽引し、中禅寺湖に展開する連隊戦闘団まで運ばれていく算段であった。
「中央作戦指揮所、こちら「ピッコロ」状況終了、状況終了。UMG麻酔弾のうちもらしを回収後に撤退する。オーヴァー!」寺林はそう報告すると部下に指示を下した。
ダークスター、コードネーム『夏目雅子』はすでにガイラ輸送部隊の後方を飛行しているEH−60JAのコントロールに置かれていた。
「ご覧ください!ガイラは現在いる地点に運ばれつつあります!」その映像を見て新潟の大河内総研では慎平が、大橋家では孝明が大笑いして画面を見ていた。あまりに突然のことだったので隣にいた弥生も菜穂子もびっくりして同じことを言った。
「どうしたの?」
「だってさ、なおちゃん。冷静に考えてごらんよ。行く地点て言ったら中禅寺湖しかないじゃないか。」
その中禅寺湖では支倉一等陸佐と島津二等陸佐が指揮する混成連隊戦闘団5000名が手薬煉引いて待ち構えていた。
「指揮官。ヘリが来ます!」UH−1J改ヘリに乗って老神らがやってきた。
「よろしくお願いします。博士。」
「お任せください。」
「以下のポイントに92式メーサーバトルタンク(MMBT)と93式ツインメーサーバトルタンク(TMBT)、95式メーサーバトルタンク(IMBT)に90式メーサー殺獣光線車(MBBT)を配備しました。」そう言って電子地図を使って示した。
「私たちには状況を説明しなくてもいいですよ。私たちは貴官の作戦立案に科学的側面から支援を出します。」
大河内総研のツインタワーに一台の車が滑り込んできた。中からはPDAを持った男の子と女の子が降り立って最上階の大橋慎平理事長室に向かって行った。
「じいちゃん、入るよ。」そう言って孫は部屋に入ると60インチのスクリーンにPDAと同じ映像が映し出されていた。
「わお!こいつは凄くなったね!」孝明は思わず声を上げた。
「今回の件にはTEAMもウルトラマンもコミットメントしないほうがいいな。」そう言って慎平はデスクの機器を操作した。壁の中からはまた別のスクリーンが現れて中禅寺湖周辺の状況が示された。
「中禅寺湖周辺は民間人は立ち入り禁止。部隊展開はこんな感じだよ。」
「わぉ!これは完全に殲滅戦だぁ!」またも孝明は興奮したような声を上げた。
「どうやら政府は中禅寺湖で『戦争』をやる気らしいな。お陰で重工業を中心にマーケットでは株価が上昇しているよ。そう言って日経CNBCとブルームバーグをつけた。
「今日の午後の東証の取引は「ガイラ」事件の関係を受けて、重工業関係を中心にして大幅高、2万3458円36銭で現在取引しています。」
「ジャックらしいな。今回の件でマーケットに刺激を与えることまで計算していたとはね。私も気づかなかった・・・」
- 9 :ミルクチョコ ◆.kY34XtGRg :2005/05/08(日) 01:22 ID:???
- スレ立て乙です。
- 10 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/05/08(日) 01:23 ID:???
- 対空レーダーに反応です。目標まで後50キロです!」
「81式短SAMスタンバイ!目標、気球!」
「イエス・サー!」81式短SAMの目標認識システムが気球を捕らえたがまだ射程圏内には入っていない。
「射程圏内に入り次第発射!」射撃管制システムがいっせいに動き出した。
「5・4・3・2・1・0!!射程圏内に入ります!!」
「発射!!」4発の81式地対空誘導弾、通称短SAMが発射された。
ミサイルは全弾見事に気球に命中した。気球の水素は移動可能な状態になっていたために爆発の火力によって一気に火がついて気球全体が炎上してしまった。その結果としてガイラは中禅寺湖畔に叩きつけられる結果になってしまった。
1500・中禅寺湖畔・現地司令部
「『夏目雅子』のデータでガイラの活動再開を確認。」
「了解した。第一次攻撃開始!」支倉の右手が振り下ろされた。TMBTとMMBT計10台が一斉にガイラに向けて射撃を開始した。数本のレーザーの光は見ごとにガイラに命中した。「ンギャー!」吠えるガイラ。
「作戦の開始を確認。」ホームで情報の管理をしていた篠田の元にも情報が入ってきた。
「首相閣下に報告!」
「あくまで目的は“2匹”の殲滅だ!」市ヶ谷の防衛庁内では副長官の西谷が怒鳴っていた。
「副長官閣下、そんなこと承知しています!」負けじと統幕副議長の仲村が怒鳴り返した。防衛庁内の作戦情報センター内も慌ただしかった。
「UX−4、宇都宮をテイクオフ!」
「百里のF−15EJユニット、発進を確認。」
「三沢のF−2Cユニットの発進を確認。」
「副長官、第一攻撃部隊の攻撃でもガイラの進撃は止まりません!」開示の制服を着た情報幕僚が報告した。
「んなこったわかっとる!第二次攻撃部隊に指示せんか!第一次攻撃部隊と協力してガイラを攻撃せんか!」
「副長官、そんなことは現場指揮官の判断に任せるべきだ!」筆頭副長官の大滝がとうとう怒鳴った。
防衛庁内が“戦闘状態”になっている頃、現地では順調に作戦が進行していた。
「まだサンダは出てこないですか?」支倉が情報幕僚に質問した。
「まだです。」
「どういうことでしょうか?ドクター?」
「サンダとガイラはいわば分身です。兄弟などではありません。ひとつの細胞から生まれた分身と言っても過言ではありますまい。」
「つまり、惹かれあうものがあってもおかしくないと?」
「そう言ってしまえば科学の根幹に触れますから何とも言えませんが、何かしらのことがあったとしてもおかしくは無いでしょう。」
「指揮官、偵察衛星の写真です。」そう言ってモニターに衛星写真が映し出された。
「ここが確認されたサンダの巣ですから・・・移動していますね。」
「なるほど・・・敵は近いぞ!レーザーをガイラに集中!」
「なんなんやねん!この映像は!」やっとのことで春日翔は今発生している事態に気づいた。ここは桜花市にある平井家。この日、翔は百合子の家にお泊りをしていたのだった。
「この事態は・・・」そう、彼女たちが見ているのはhttp://www.dokkiri.darkstarである。この状況を「夏目雅子」は中継していた。作戦のためには新しくダークスター「原峰子」を投入していた。
「どういうこと・・・」わけが分からずに百合子と翔はパソコンのモニターを見ていた。
「いったいどういうことなんや〜」同じことを姉の歩は中禅寺湖に向かう車内で言っていた。依然としてちよのPDAからは映像が流されていた。
「このままだったらきっとあの怪獣さんが出てきます。そうなれば・・・
「これ幸いと攻撃が始まる。」よみはそう言ってアクセルを強く踏みしめた。
- 11 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/05/08(日) 01:27 ID:???
- 「OK。これで我々の武器輸出三原則は実質上骨抜きになりますな。」そう言って慎吾はにやりと笑ってサインをした。
その様子を同じくニヤリと笑って見ていたのは与党民進党の船木幹事長、最大野党国自党の遠藤誠一幹事長だった。
「次の臨時国会にこの法案を上程すれば賛成多数で可決します。これで我々の国連常任理事国入りも近いですな。」
「遠藤さん、国連の常任理事国入りとこの件は関係ありませんよ。」
「船木さん、実質P5は“死の商人”ですしドイツもインドもそうです。我々だって世界の安全保障に寄与できるのですからな。ハハハハ」
「OH−1J6番機より報告!サンダを確認!まっすぐにこっちに向かってきます。距離30!」情報幕僚が声を上げた。
「了解、とうとう来たか・・・ガイラの状況は?」
「約17箇所からの出血を確認。『原峰子』のセンサーでは生命反応は最盛期の30%にまで低下。」
「よろしい。上空のUX−4にコール!止めを刺せ!」
「シキシマキャノン、エネルギー充填!」
「エネルギー充填よし。」
「ファイア!!」上空にいる4機のUX−4のうち2機からシキシマ砲が発射された。そのエネルギー波は一直線にガイラに命中した!
「ドオオオオーーーーン!!!」というとてつもない大きな音がしてガイラの体は原子レベルに分解されて四方に飛び散った。
「・・・凄いな・・・」支倉は隣にいた島津に言った。
「ええ・・・」新潟の大河内総研理事長室では慎平も孝明も菜穂子も弥生も、中禅寺湖に向かう車内では歩もよみもちよも、桜花市の平井邸では翔も百合子も言葉が無かった。
それだけではない。大手町のビジネス街でも、マーケットでも、ネット中継されている先の誰もが声が無かった。
「よっしゃぁ!!!」首相官邸の次席補佐官執務室やホーム、市ヶ谷の防衛庁作戦情報センターや臨海副都心のATDF作戦情報センターでは歓声が響いた。
「これで我々人類は自力で防衛が可能だ!」現地指揮所では一時期の完成も止み、サンダの攻撃に備えていた。
「来るぞ!攻撃準備!」メーサー砲が準備を整えていた。
「来ます!」サンダが姿を現した。
「攻撃!」支倉は指示を下した。
「何でこんなことになるんですか!」相田京子がTEAMの作戦室で松岸に噛付いていた。
「今回の件は政府の上層部しか知らなかったんだよ。」
「だからってこんな破壊力のある兵器を・・・」
「これでウルトラマンでも出現してほしいものですね。インパルスとトリニティー以外の。」
「まあ、それは過大な期待というものだよ。ジャック。」首相執務室で『夏目雅子』が映し出す映像を見ながら慎吾と慎一郎、ジャックはコーヒーブレイクをしていた。
「これでコスモスでも現れてサンダを保護する姿勢をとった瞬間にシキシマ砲をぶち込めるんですけどね・・・」
「過大な期待はせんことだ。」そう言って慎一郎が窘めた。
「それはそうですね。」
「見たまえ、サンダも大分苦しそうではないか?」そう言って慎吾がスクリーンを向けた。そこにはメーサーの幾筋もの光を浴びているサンダの姿があった。
「なんでこんなことになるんですか!?」
「ちよちゃん!私に聞いても分からないよ!!」よみが怒鳴った。PDAには官邸と同じ状況が映し出されていた。
「何でこんなことになるんや!!」ついには歩まで怒鳴った。車は栃木県警の規制線による渋滞による渋滞に嵌ってしまい動けなくなってしまった。
- 12 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/05/08(日) 01:28 ID:???
- 「あたし行くわ。」そう言って翔は百合子の部屋から出ようとした。
「お待ちなさい。行くってどこへ?」
「決まってるやろ。サンダを助けるんや!」
「無茶よ!わからないの?これはトラップよ。私たちがサンダを助けた瞬間に“ウルトラマン脅威論”を作る政府の陰謀だわ!」百合子が怒鳴った。
「そんなこと無いやろ。」
「翔さん、さっきの威力を見たでしょう。あれではきっと変身しても助からないかも・・・」
「そんなこと無いって。行ってきます。」百合子が止めるのも聞かないで翔は出て行った。
「コスモース!」翔はコスモスに変身するとサンダと自衛隊が交戦している現場へと向かった。
「サンダの状況は?」
「『原峰子』のセンサーの分析では最盛期の50%まで生体反応が落ちました。」
「よろしい。シキシマ・・・」そこまで言ったときに情報担当幕僚が叫んだ。
「ウルトラマンです。パターン3。ウルトラマンコスモスです。」それを聞いて支倉と島津はニヤリと笑い、そして舌なめずりをした
「諸君!神殺しがいかなるものか教えてやる!シキシマ砲のエネルギーを最大にさせろ!」
ルナモードで現れたコスモスは「ムーンリバースパイク」というバリアーでサンダに向いていたメーサーを防いでいた。
「ガッデム!!」慎平は思わず英語で悪態をついた。
「どうしたの?じいちゃん。」唖然としている三人の中でとりあえず孝明が聞いた。
「弥生さん、すぐに翔ちゃんに呼びかけて逃げるように言うんだ。そうしないと、コスモスは完全にやばいことになる!!連中はウルトラマンで実験する気なんだよ、シキシマ砲の!!」
「ええー!!」
エンディング
大橋孝明日記・西暦20XX年8月3日
結局コスモスは、ハッキリ言ってしまって春日翔さんはシキシマ砲の犠牲になった。UX−42機から最大出力で発射されたシキシマ砲はコスモスの「ムーンライトバリア」を貫通してコスモスに命中した。
http://www.dokkiri.darkstarについていたシキシマ砲のエネルギー分析では貫通した段階でも最盛期の50%の威力があった。
貫通したシキシマ砲はそのままコスモスのカラータイマー部分に命中しコスモスを吹き飛ばしてしまった。その結果、コスモスはその後すぐに姿を消してしまった。全く、人類はとうとうウルトラマンという“神”に近い存在すら葬り去ってしまう兵器を開発してしまったのだ。
一方のサンダもシキシマ砲の餌食となってしまった。ガイラと同じく原子レベルにまで分解されて四散してしまった。
(この日記は彼の死後発見され、今日では当時発生したことの詳細な分析に使用されている。)
ENDE
- 13 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/05/08(日) 01:30 ID:???
- 予告
死の床にある小笠原財閥総帥、彼には大陸での汚点があった。
「お前には言っておかねばならないことがある。」
ときを同じくして中国・ハルピン市郊外に巨大生物が出現した!
「日本政府に対処を求めます。」中国政府の要請で最強の混成部隊が今、出動する!
次回 LIBRO9「assets and liabilities 負債と資産と」
- 14 :名無しさんちゃうねん :2005/05/08(日) 06:14 ID:???
- >>13
お疲れ様です。
あなたの作品は、いつも実に面白く読ませてもらっており、スルーしようなど微塵も思わないのですが
しかし、何故なのでしょう?私は、いままで別にあずキャラが殺されたり虐待されたりするSSとかも
全然平気で楽しく(ちょっと残酷?)読んでいるのですが、何故か国防委員長さんの作品になると、
あずキャラがマジで不憫に思えてきてしまうのですが、いったい何故なんでしょう?
……「大阪Ver.2」(「あずまんが漂流大戦」の)来てくれ!!
…と、長ったらしくてくだらない冗談はさておき、本当に面白かったですよ。
ところで、大阪妹、死にました?
- 15 :名無しさんちゃうねん :2005/05/08(日) 06:58 ID:???
- >>13
おつかれさまです。面白かったです。
話が進むにつれ、どんどん面白くなってきます。
オリジナルキャラクターがなかなか魅力的ですね。
これからも頑張ってください、期待しています。
- 16 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/05/08(日) 08:22 ID:???
- >>15
スレ立て乙。
俺も書かな・・・ん?
「シキシマ砲」・・・(ゾクッ!!)いや、なんでもないっす。
- 17 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/05/08(日) 14:07 ID:???
- >>13
スレたて乙
しかし、どんどんと恐ろしい事になってますな。
- 18 :(ー・∋眠)<.。oO(眠い名有り) ◆4sS6D/pkQc :2005/05/08(日) 14:08 ID:???
- >>1-13
スレ立て&作品投下乙
サンダとガイラですか。懐かしいなぁ……(見たことないけど
凄く良い作品なのですが、あずまんがキャラの出演の割合が少ないような気もしました。
続きに大期待。
- 19 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/05/08(日) 14:08 ID:???
- >>17
そうですか?
- 20 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/05/08(日) 14:10 ID:???
- >>18
今回はあえて少なくしました。
結構いろいろな作品のオマージュを入れてみました。
分かるかな?
- 21 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/05/08(日) 14:25 ID:???
- >>19
少なくともあのレーザー砲は脅威です
- 22 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/05/08(日) 14:30 ID:???
- >>21
今回史上初めて人類側がウルトラマンに”ビーム砲”を向けましたからね・・・
(コントロールされていない状態で)
- 23 :ミルクチョコ ◆.kY34XtGRg :2005/05/08(日) 16:51 ID:???
- 前スレ>>603-606さん、モツ鍋です。
- 24 :名無しさんちゃうねん :2005/05/08(日) 18:15 ID:???
- >>20
オマージュ…
…張りつめたぁ〜♪ ゆ……って、こんな時代に弓なんか使ってる訳無いですね
どーも、失礼しました
- 25 :名無しさんちゃうねん :2005/05/08(日) 18:23 ID:???
- >>22
お前たちのやってることはただのネタ雑文であることを忘れるな、正規のウルトラとは何の関係もない
- 26 :(ー・∋眠)<.。oO(眠い名有り) ◆4sS6D/pkQc :2005/05/08(日) 18:27 ID:???
- >>25
確かにそうだけど、別にそこまできつく言う事はないかと。
さて、ここで投下ですよ。
- 27 :(ー・∋眠)<.。oO(眠い名有り) ◆4sS6D/pkQc :2005/05/08(日) 18:27 ID:???
- 第伍章【『やまと』と『大和』】
『やまと』艦橋
「偽装解除完了」
「両舷、航跡偽装板収納」
「投錨!『大和』の右舷50に停泊完了」
「システム・オールグリーン」
CICからの声を聞きながら、神楽は大阪を探していた。
一応自分が留守の間、艦長代理の代理となってもらうためだ。
「くっそぉ〜、大阪のやつ。一体どこにいったんだよ?」
「ZZZ……」
「…………」
大阪はデイビットの膝の上で寝てしまっていた。
まあ、起こす必要もないし、起こすのも可愛そうなので、このまま動かない事にしているが……
どうやら艦は停船したらしい。今なら脱走できるかもしれない。
だが、脱走してどうするというのだ。どっちにしろ敵基地のど真ん中という事になる。
このままなるようになるのを待つしかない。
コンコン!と、ノックする音がした。
「鍵は掛ケてませんヨ」
「デイビット中佐、大阪知らな―――」
そこで神楽は声を止めた。すぐに状況が把握できたからだ。
「起こしテいいのカ?」
「問題無い」
「まぁ、可愛そうダカラこのままにシテおこウ。ドウセ俺は暇ダ。ソレニ……」
デイビットが神楽を見上げる。
「レディには優しくするノガ主義ダ」
「あ、そう……」
――別に起こしてもすぐ寝ると思うけど……
まぁ、別に寝ててもいいだろう。
それよりも今は大日本帝国との接触の仕方のほうを考えねばならない。
「あ、そうだ。デイビット中佐。この戦争の大まかな経緯を教えてもらいませんか。主な海戦とか」
「知らないノカ?」
「ええ。まぁ」
「別にイイガ……?」
- 28 :(ー・∋眠)<.。oO(眠い名有り) ◆4sS6D/pkQc :2005/05/08(日) 18:27 ID:???
- ちよは窓から『大和』を見ていた。複雑な思いで。
『大和』の形が本来あるべき姿とまったく違うのだ。
史実なら『大和』の艦舷の副砲撤去や高角砲、対空機銃座の増設はもっと後のはずである。
――『大和』の形といい、ミッドウェーの結果といい……
歴史が動かされているのは間違いありませんね。まぁ、まずは乗り込んでみるのが良さそうですけど……
と思ったが、今の自分の現状を見た。自分は今、首から上しか無い状況なのだ。
流石に、この格好を見せるわけにはいかないだろう。
と、神楽が制服で前を横切った。『大和』に行くつもりだろう。
「神楽さん」
「ああ。ちよちゃん」
慣れない制服姿で神楽が振り向く。
「あっちには誰と?」
「ん?ああ、私とコピーと史樹が行く事にするよ。榊は軍人じゃないし、ちよちゃんを見せるわけにもいかない。
大阪は、相手が困りそうだし…… それにお昼寝中」
的確な判断だ、とちよは思った。
「艦長!」
史樹がインターカムで神楽を呼び出した。
「向うから電信ですよ。『一八〇〇、ソチラニ会談ヲ行ウタメノ使者ヲ送ル』です」
「手間が省けましたね。それにしても、正体不明の艦に乗り込んでくる人が、この時代の帝國海軍にいたなんて……」
「ま、そんな人なら、会談も上手く行きそうだな」
五星は置いてあった軍帽を冠った。
「行くの?」
「ああ。面白そうじゃないか。未来から来た戦艦だぜ」
「そう?別に楽しいもんじゃなねーぞ」
「それじゃぁ私も行くわね。調べてみたい事とかあるし」
桜も行く気のようだ。
「何だ―――?それじゃぁ私だけ仲間はずれみたいじゃないか―――!」
「お前にはやってほしい事がある」
「何?」
「それはだな―――」
ヒュウゥゥゥゥ……
突然、強い風が吹き、あたりの音を掻き消す。
「―――ってことだ」
「なーんだ。そんなの簡単じゃん!」
「できるか?」
「よーしともちゃんに任せとけ!!」
智は元気一杯でそう答えて、艦橋の中へと駆け込んでいった。
――相変わらず使いやすい奴だ
「さて、こっちも行くとするか」
五星と桜は――酒とかはほったらかしにして――後甲板へとあるいていく。
「内火艇の準備はもうできてるみたいだよ」
「じゃ、すぐ行けるな。久しぶりに面白そうな仕事だ」
そう言いながらあくびをしてて、艦内――『大和』は主砲の衝撃波が凄いので、内火艇や偵察機は艦内にある――へ入っていった。
- 29 :(ー・∋眠)<.。oO(眠い名有り) ◆4sS6D/pkQc :2005/05/08(日) 18:28 ID:???
- 『やまと』前甲板
カツ、カツ、カツとタラップ――船の横についている階段のことだ――を上がってくる音が近づく。
こっちの世界に来て、初めて会うこっちの時代の日本人。
流石に緊張する。
ゆっくりと上がってきたのは三人の軍人だった。
一人目は肩ほどまで髪のある男性。
二人目は銀髪に桃色の瞳で、子供かと思えるほどの女性。
最後は少し長い髪のどこにでもいそうな女性。
――!!
その最後の女性に、神楽だけは見覚えがあった。
彼女と、智だけが見えた存在。あの時代では幽霊だった由だ!
先頭の男性が軽く敬礼をする。
「貴艦の調査に来た、大日本帝国海軍中佐の五星大和です。後ろにいるのが―――」
「土井桜大尉です」
「少尉の西島由です」
名乗りながら、二人が敬礼する。
「あ、ああ。日本国の神楽少佐です。一応この艦の艦長代理です」
神楽もつられて敬礼する。
「では神楽少佐。早速ですが、この艦についてお話をしたいのですが……」
「あの、ここで話すのもなんですから、どうぞ士官食堂の方へ……」
コピーが機転を利かせて三人を誘導する。
その時、五星が一瞬だけコピーに驚いたのには、誰も気づかなかった……
士官食堂には、入り口側の椅子に五星、桜、由。壁側に神楽、コピー、暦がテーブルを挟んで座った。
「あの、どう言えば良いのか分らないのですが……」
神楽はこの状況をどう言うか、必死に言葉を探している。
「いえ、状況は分ってます。西島少尉から話は聞いているよ」
桜が静かにフォロー――本人はそのつもりはないだろうが、結果的にはそうなった――した。
そして、五星が口を開く。
「偶然かどうかは分りませんが、西島少尉には貴方々の歴史の記憶を持っていた、と言う事です。
そのおかげで、話がかなり楽にできます」
「今回は任務として貴方と話しますよ。神楽“三佐”。貴方たちも知っていると思いますが、すでに歴史は大きく変わっています。
真珠湾を緒戦で占領。インド基地への大規模攻撃と東洋艦隊の壊滅。そして、貴方たちも見たミッドウェーの占領」
由がそう言った後、桜が話を続ける。
「貴方たちの歴史では空母四席が沈没するはずだよね?
でも実際には中波一、大破一、沈没三、相手は沈没二、大破一、という報告を受けているの」
「それについて貴方たちに聴きたいことがあるんです」
と、言葉を発したのはコピーだ。
「貴方たちと我々の歴史はつながっていないということですよね。
ならば、どこかでその分岐点があるはずなんです。そこを探らなければならない」
「探ってどうするんですか?」
桜に言われて、コピーは言葉に詰まった。
「探ったところで、もうこの歴史は変えられません。貴方たちにできる事は、この歴史の中を生き抜いて行くことだけなんです」
「まぁ、歴史がどうとかそういう問題はおいておこう。とりあえず単刀直入に言います」
五星はそう言った後、少し間をおいた。
「大日本帝国海軍の一員として本対戦に参加してもらいたい」
予想できている質問だ。
強大な兵器を搭載した軍艦。
この当時の空母機動部隊―――否、地球上の太平洋艦隊や連合艦隊に匹敵する能力を持った戦艦なのだ。
- 30 :(ー・∋眠)<.。oO(眠い名有り) ◆4sS6D/pkQc :2005/05/08(日) 18:28 ID:???
- 「お断りします」
神楽はすぐに答えた。
「史実と違い、連合艦隊は空母をや巡洋艦を戦争に備えてかなり前から準備し、
それに伴って敵艦隊を史実以上の大損害で壊滅し、太平洋、インド洋の制海権は連合艦隊にある。
そんなところに本艦が加勢すれば大日本帝国の勝利は確実」
「そうすれば誰が軍令部や陸、海軍の好戦派を止めるんですか?
南京大虐殺や、強制労働、従軍慰安婦などをさらに強要されている中国や韓国の人々がいると思うと、そんなことはできない」
暦も神楽と同意見のようだ。
「何も貴方方に攻撃してほしいのは米艦隊だけじゃない」
五星が一息置く。
「無能な軍令部の長野や、陸軍の東条とかの好戦派の奴らも、できれば貴方方に叩いてもらいたい」
「!!」
この言葉には流石に驚いた。
「この前、敵のB-25(ミッチェル)が本国を爆撃したんだが、期待してたところには落ちてくれなくてね」
「まぁ、そのおかげで長官が『フ号』を許したんだけどね」
「「『フ号』!?」」
暦とコピーが驚く。
ただ、神楽だけが状況を理解できないようで、よみに小さな声で聞いてきた。
「なぁ、よみ。『フ号』って何だ?」
「日本軍が開発した風船爆弾のことだよ」
そういえばなんか聞いたことだけはあったなと、思った。
「またぞろ偏西風に乗せて、アメリカ本土で山火事を起こそうとでも?」
「いいえ。乗せているのは爆弾じゃありません。
すでに制海権を手にしている我々なら、爆撃は空母機動部隊にやらせればいいことですから」
暦の質問に対する桜の答えに、コピーには思い当たる節があった。
対戦中、この『フ号』にはアメリカ政府は恐怖に襲われた。日本軍がもしも―――
「まさか……」
「細菌兵器だよ。一種類ではなく複数の伝染病の細菌……
やり始めたのがつい一ヶ月前ですから、そろそろ効果が出始める頃だと思う」
「あ……あんたたちはそんなことをして何とも思わないのか!!」
暦がいきなり怒鳴った。
「終戦近くに、アメリカ軍は日本人を軍民問わずにB-29の空襲や原爆投下で何十万と虐殺しました。それとどこがちがうの?」
「私が言いたいのはそんなことじゃない!いくら戦争といっても、民間人にはまだ幼い赤ん坊だって……」
「たとえ赤ん坊でも、敵であるならば殺さねばならない。それが戦争だ。生かしておいたら、平氏と源氏みたいにほろぼされてしまうぞ」
「でも…… ほら、由も何か言ってくれよ!」
暦はこの中で唯一この戦争を体験した由の方を見た
「まぁ、ここでそんなことを議論していてもしかたないと思う。どっちにしたって戦争がおこると民間人が犠牲になる。
だから、早く戦争を終わらせなきゃいけない」
「そういうことだ。軍人の仕事は戦争に勝つことなんでね」
確かに、この三人の言う事は筋が通っている。
「貴方たちが我々に協力しないというのは良くわかった。ですが、このまま補給無しというわけにはいかないのでしょう。
ま、いきなりの訪問でしたから、乗組員との話し合いなどもせねばならないでしょう」
五星は机に置いていた軍帽を手にとると、立ち上がりながらそれを深々と冠った。
「では明日、また伺わさせて頂きますよ」
- 31 :(ー・∋眠)<.。oO(眠い名有り) ◆4sS6D/pkQc :2005/05/08(日) 18:30 ID:???
- まぁ、ここまで投下。
え―――っとぉ、突然ですが、このSSを途中で発表スレに移すかもしれません。
最初はそういう気は無かったのですが、やはりこんな戦いで死者が出ないのはおかしいだろう、と。
できるだけ殺さないようにストーリーを考えているつもりですが、そうなる可能性も無きにしも非ずなので。
まだ確定ではありませんけどね。
- 32 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/05/08(日) 20:34 ID:???
- >>31
乙、それにしてもちよちゃんはタフだなァ・・・・。
- 33 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/05/10(火) 01:46 ID:???
- >>31
乙かれです。
創作板でもあんまり死者は出てないように思うけど・・・・・・
- 34 :(ー・∋眠)<.。oO(眠い名有り) ◆4sS6D/pkQc :2005/05/10(火) 21:44 ID:???
- >>33
そうですかね。
米英人は結構殺してますけどw
まぁ、この後から日本の惨敗も結構出すわけなので。
このような戦いの中、死者が出ないのはちょっと甘っちょろいかなぁとか思ってるんですよ。
残虐じゃなかったらいいのかな?(ぇ
- 35 :名無しさんちゃうねん :2005/05/10(火) 22:12 ID:eVHJkGKQ
- SSスレ作ったはいいが綴りを間違えてしまったために
なに書いても「違うよ」ばっか・・・
まぁ、下手に内容に干渉されるよりゃいいかとも思ったり・・・
そのために削除から逃れられたけど・・・
しかし、最近はJP以外のサーバーは拒絶されてしまうから(うちはCATVの.net)
書きづらくなったしなぁ・・・
- 36 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/05/10(火) 22:24 ID:???
- sage進行で。
ここは好き嫌いの分かれるスレの様なので
- 37 :(ー・∋眠)<.。oO(眠い名有り) ◆4sS6D/pkQc :2005/05/10(火) 22:38 ID:???
- >>35
トレックスレの人ですか?
まぁ、書いてるのが一人だし、スペルミスがなかったら削除されてたかも知れませんよ。
でも、リレー小説を希望してるのに、リレーじゃなくなると結構寂しいんだよなぁ……
気が向いたら、違う短編でも作って、こことか発表スレに投下してみてください。
- 38 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/05/11(水) 08:31 ID:???
- >>35
私のこれまでのSSを読まれれば分かるかもしれませんが・・・
実はスタートレックマニアです。しかし、SSが思いつきません!
あなたのSSを面白く読んでいるものですので、どうかがんばってください!
長寿と反映を!
- 39 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/05/11(水) 08:39 ID:???
- 予告
シキシマ砲の犠牲になった春日翔は大橋家で保護されていた。しかし、何者かが彼女を誘拐する!
「歩くん、菜穂子くん。一緒にニイガタ、走ろうよ。」
新潟祭りに沸く新潟市を舞台に犯人と交渉チームの行き詰まるレースが始まる!
次回 LIBRO9 「適当なタイトルがネエ!」
次回作は変更します。
- 40 :名無しさんちゃうねん :2005/05/12(木) 07:39 ID:???
- 次回でいきなりネタ晴らしか
生きてるのか、原作キャラじゃないんだから一思いに殺した方が面白いのに
- 41 :名無しさんちゃうねん :2005/05/12(木) 10:12 ID:???
- >>40
いや、なんでもケンドロスさんの許可を取った後、「ジャスティス」の世界観でやらせて
もらっているらしく(つまり「ジャスティス」&「シェイド」とそれなりにリンクしてい
るらしい)迂闊に殺してはならないのだそうですよ。
- 42 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/05/12(木) 17:19 ID:???
- >>41
まあそういうことです。
>>40
http://so.la/test/read.cgi/oosaka/1065709859/126-150
こういうことです。私は「固有名詞」で登場する人物は殺さない方針ですので。
- 43 :名無しさんちゃうねん :2005/05/18(水) 00:03 ID:???
- キャラが強化&美化になってるのが好かないなあ。
- 44 :名無しさんちゃうねん :2005/05/18(水) 00:06 ID:???
- >>43
じゃあ読まなきゃ良いじゃないですか。読むのは強制じゃないんだし。
- 45 :名無しさんちゃうねん :2005/05/18(水) 00:12 ID:???
- 前スレの最後で似たようなやりとり見たなぁ
- 46 :名無しさんちゃうねん :2005/05/18(水) 00:14 ID:???
- >>44
なんていうか、すっごい排他的な感じだね
叩かれるのもわかる気がするわ
- 47 :名無しさんちゃうねん :2005/05/18(水) 00:19 ID:???
- >>46
誰が?
- 48 :(ー・∋眠)<.。oO(眠い名有り) ◆4sS6D/pkQc :2005/05/18(水) 19:26 ID:???
- 確かに>>44の言うとおりだが、別に>>43はキツイ言葉じゃないから、そこまで言う必要はないと思う。
どっちかというと>>43意見であって、自分たち作者が聞いてそれを参考にすべきもののような気がする。
>>46もそこまで言う必要はないと思います。
まぁ、ここからはマターリと小説を投下してください。自分はまだ書き終えてないから誰か(ぇ
- 49 :名無しさんちゃうねん :2005/05/18(水) 20:37 ID:???
- >どっちかというと>>43意見であって
この言葉の意味するところがイマイチよくわからん
- 50 :名無しさんちゃうねん :2005/05/19(木) 01:20 ID:???
- >>49
おそらく
>どっちかというと>>43は意見であって
と言いたかったのだと思われる。
- 51 :(ー・∋眠)<.。oO(眠い名有り) ◆4sS6D/pkQc :2005/05/21(土) 14:28 ID:???
- >>50
ありがとうございます。
そういうことです。
- 52 :名無しさんちゃうねん :2005/05/22(日) 00:42 ID:???
- 待ちくたびれましたよぉ。誰でもいいから何かSSの続き書いて!ね?
- 53 :第51話 「変貌」 :2005/05/22(日) 01:46 ID:???
- ウルトラマンジャスティス
第51話 「変貌」
宇宙電気クラゲユニバーラゲス 水瓶超獣アクエリウス 天女超獣アプラサール登場
地球より遥か彼方に位置する惑星。名をフロッグ星という。
ここである宇宙人が地球侵略計画を立てていた。
「諸君、かねてより我々の悲願であった地球侵略を実行に移す時が来たであります!
皆の者準備はいいか!?」
緑色のカエルのような姿をした宇宙人が芝居がかった口調で話す。
彼がフロッグ星人である。
「やなこった。俺は地球侵略になんか興味ないね。やるなら自分ひとりでやりな」
「拙者、武者修行中の身の故、そのような事にうつつを抜かしている場合ではないでござる」
しかし彼の仲間と思われる青色のフロッグ星人と黄色いフロッグ星人は
あっさりその申し出を断った。青い方は忍らしき格好をしていた。
「たるんどる!ぶったるんどる!そんな志で侵略活動なんて出来ないでありますよ!」
「そんな事言って、この前惑星を侵略しに行った時、お前俺達を思い切り盾にしたよな。
そのせいで赤いのと黒いのは未だ入院中だぜ」
「う・・・・・・」
「しかもその手柄を自分一人のものにしたでござるな」
「う!!!」
ジロリと睨まれ狼狽するフロッグ星人緑。しかし、次の瞬間逆ギレする。
「あーそうさ!我輩はどーせ卑怯者さ!もうお前等みたいに薄情な奴等には
頼らないであります!我輩一人の手で地球を侵略をしてみせるさ!」
緑のフロッグ星人は自分の体と同じ緑色の宇宙船に乗って母星を出た。
「あいつ死ぬな。地球にはやたら強い守護神がいるのにな。
確かウルトラマンだったか」
「拙者にとっては死んでくれた方が好都合でござるな。もうついてゆけぬ」
黄色いのと青いのは緑色の星人を見送りながらそんなやりとりをしていた。
- 54 :第51話 「変貌」 :2005/05/22(日) 01:47 ID:???
- その頃、地球では何事もなく時が流れていた。現在TEAM HOLYに所属する
メンバーが通っていた高校も例外ではない。
終業を告げるチャイムが鳴り、今日の授業はすべて終了となる。
あとは部活をしたり、帰ったりと様々だ。
「じゃあ、ゆかり先生。私達翔ちゃんのお見舞いに行くんでこれで帰ります」
「あたしもついていくよ。じゃあなゆかり先生」
「おう、神戸に風邪うつされないようにね」
翔の親友である日吉美空と風森瑠奈は担任の谷崎ゆかりに挨拶して急いで帰っていった。
ゆかりも教室を出て職員室で同僚の黒沢みなもと一緒になった。
「ねえゆかり、今日春日さん出ていなかったけどどうしたの?」
「風邪だってさ。神戸が風邪ひくなんてこりゃ何か起きそうね」
「縁起でもない事言わないでよ!」
「冗談だって」
机の上に無造作に置いてあるお菓子を食べながらゆかりは言った。
「それよりにゃも。今日この店で食べに行こう」
「また急にそんな事」
ゆかりが見せた紙には「本日に限り焼肉半額キャンペーン」と書いてあった。
みなもはため息をつくが、言い出したら聞かないゆかりの性格を知って
いるので断りはしなかった。
「いいわ。じゃあ行きましょう」
「よーしそうと決まればさっさと帰ろう」
大声でゆかりは叫んでしまった。
教師の後藤がジロリと睨んだがゆかりは見ていない振りをして職員室を出た。
みなもは申し訳なさそうにしながら後に続く。
「全くけしからんな。ん?そういえば木村先生の姿が見当たらんが」
「奥さんと子供が迎えに来て帰られましたよ」
「・・・・・・・・・」
二の句が告げられなくなってしまった後藤先生。
「ちょっとあんな言い方はないでしょ!後藤先生、凄い目で睨んでいたわよ!」
「はっ、そんなの関係ないね!それより早くしないとなくなっちゃう!にゃも急げ!」
「そんなに急がなくても大丈夫よ」
そんなこんなで店に目指す事になった二人。
- 55 :第51話 「変貌」 :2005/05/22(日) 01:49 ID:???
- 「とーちゃん、これからどこへいくんだ?」
緑色の髪をしており、その髪を後ろにまとめている少女が笑顔を浮かべながら聞いてきた。
とーちゃんと呼ばれた男性はその子と手を繋ぎながらある場所へ目指している。
「今日はこれから焼肉を食べにいくんだよ。これがあるからな」
といって「本日限定。焼肉半額キャンペーン」と書かれた紙を見せる。
「そーか。やきにくをたべにいくんだな。でもえなたちはいない」
「しょうがないだろ。久々に家族揃って旅行に行っちゃったんだから」
むくれるよつばに少し困った顔をしながらとーちゃんは言った。
少女の名前は小岩井よつばという。
「だからお姉ちゃん達の分まで腹一杯食べるぞ」
「うんわかった。たくさんたべる!」
それを聞いて気合を入れたポーズをするよつば。
そしてその焼肉の店へと着いた時、それはゆかりやみなもと同時だった。
「あっ、どうも」
「こんにちは小岩井さん。クリスマスの時以来ですね」
「おう、ゆかりにみなもだ〜げんきか〜?」
「元気よ〜あんたも相変わらずねぇ、よつばちゃん」
再会の挨拶を交わす四人。
その時、上空より謎の物体が姿を現した。それはクラゲを模した姿をしているが大きさは怪獣ぐらいだった。
それは空に浮遊していた。オレンジ色をしている。
クラゲは電気を発して近くを飛んでいた旅客機の燃料を
吸い取って墜落させる。そしてゆっくりと降下して建物を破壊する。
「さあ、暴れるであります!ユニバーラゲス!暴れれば必ずHOLYは
誘い出されるであります!その時こそ、ケロケロケロ」
そのさらに上空でフロッグ星人があざ笑っていた。
「何でこんな時に怪獣が現れるんのよ〜!?にゃも〜」
「私に言ってもしょうがないでしょ!」
「よつば、こっちだ!!」
「うん!」
- 56 :第51話 「変貌」 :2005/05/22(日) 01:50 ID:???
- とーちゃんはよつばの手をひいて逃げる。ゆかりとみなももそれに続く。
そしてフロッグ星人の予想どおりHOLYが現れた。
今回は空より、レッドファルコンとホワイトウイングの2機が姿を現した。
レッドファルコンに乗るのはボンクラーズ、ホワイトウイングには暦と榊の二人だ。
「そいつの名前はユニバーラゲス。水瓶座第3星雲に生息する生き物だって」
千尋が示したデータベースにもそれはあった。
「怪獣を街から遠ざけるよう誘導してください!まだ避難が完了していません」
「東の方向なら何も障害物がなく、人もそっちに逃げていないわ」
「よし、そっちに誘導するか?」
今回は美浜ちよは残って作戦を指揮する事となった。
「よーし、じゃあまず私から行くか!」
まず神楽が先陣をきってユニバーラゲスの眼前を飛行する。ユニバーラゲスは
それを見てすかさず神楽を上昇して追い始める。
燃料を吸い取るユニバーラゲスにとって飛行機は食料なのだ。
既に三機に分離した状態だ。
「あたしらも続こうぜ〜」
「おー」
ユニバーラゲスの背後からミサイルを叩き込む。続いてホワイトウイングが
真上からロケット弾で攻撃する。効いたらしくユニバーラゲスは高度を少しずつ落としていく。
神楽も正面からレーザーで攻撃していく。
「手ごたえあったな榊」
「うん」
暦と榊は確かな手ごたえを感じた。だが、ユニバーラゲスが伸ばしてきた触手に
よって歩の乗る2号機が絡めとられてしまう。
ユニバーラゲスは燃料を吸い取っていく。
「あかん!このままだと落ちてまう!」
流石に歩も焦った。
「ケロケロケロ、そうやってそいつと遊んでいるがいいであります!
我輩はその間に作戦を遂行するであります」
フロッグ星人のモニターにはゆかり、みなも、とーちゃん、よつばが映っている。
- 57 :第51話 「変貌」 :2005/05/22(日) 01:51 ID:???
- そして何かでみなもとよつばをサーチしていた。
「ロックオンしたであります!さあこれをくらえであります!!」
フロッグ星人は手元のボタンを押した。すると緑色の光線がみなもとよつばに襲い掛かる。
はずだった。何と狙いは大きくそれ、それぞれゆかりととーちゃんに当ってしまった。
「あ、あれ?おかしいでありますな」
予想外の事態に首を傾げるフロッグ星人。
「ゆかり!」
「とーちゃん!」
「もう、何なのよこの光!?」
「今のは一体!?」
緑色の光に包まれるゆかりととーちゃん。
「ケロケロケロ、しかし計画に変更はないであります!」
フロッグ星人は今度は黒いボタンを押した。すると円盤から黒雲が発せられ、
太陽を覆い隠してしまった。するとその緑色の光が反応を示し、
二人の体に異変が起きる。
「今度は何よ〜!?」
「か、体が・・・・・・・」
二人の体がみるみるうちに変化していく。
その頃、ユニバーラゲスに捕まった歩は仲間の援護もあって何とか脱出した。
しかし機体は燃料切れ寸前の為に不時着せざるを得なかった。
「これでどうだ!?」
神楽の放ったミサイルが致命打となり、ユニバーラゲスは
そのままフラフラと墜落していった。
「やりぃ!怪獣を倒したぞ!!」
「気をつけて!近くに超獣反応があるわ!」
かおりんはモニターにてすぐ近くに超獣反応があるのに気づいた。
そしてその言葉はすぐに現実のものとなる。
ユニバーラゲスが爆発した直後に、一体の超獣が姿を現した。
- 58 :第51話 「変貌」 :2005/05/22(日) 01:52 ID:???
- 一体は天女のごとく衣装をまとってオレンジ色の羽衣をしているものの、
その顔は醜悪な化け物だった。
「さあゆくのであります!天女超獣アプラサールよ!」
アプラサールはその羽衣でたちまち智と神楽の乗る1号機と3号機をからめ取って
しまった。
「な、なんだよこいつ。どっから現れたんだ!」
「とも、それより早く脱出しないとやばい!」
確かにこのまま叩き落されたらただではすまないだろう。
「二人を助けよう」
「そうだな!」
「そうはいかん。水瓶超獣アクエリウスよ!出番であります!」
フロッグ星人が指示をするともう一体別の超獣が姿を現した。
アクエリウスはアプラサールと同じ様な白い衣装に身を包んでいる。
だがその顔は河童と悪魔を合成したかのように醜かった。
右側は赤茶けた色の髪の毛で覆い隠している。
そしてそれと同じ色の角のようなものが二本頭に生えている。左手には花弁がある。
肌は緑色でその体型はとてもがっしりしている。
さらには背中や腕の後ろには凶器らしきものがびっしりついている。
左側の目には明らかな悪意が見え、赤く光っている。
「超獣が二体同時に!?どうなってるんですか千尋さん?」
「分からない。多分あの黒雲のせいだと思うけど」
千尋は突然発生した黒雲について調べている。
突然目の前に現れたアクエリウスに動揺する榊と暦。慌てて攻撃して
何とかアクエリウスの一撃は避けたが、その影響で機体が不安定となった。
「まさか、いきなり現れるなんて!一体今までどこにいたんだ?」
「急がないと、二人が危ない!」
榊と暦は智と神楽を助け出したいが、目の前のアクエリウスが邪魔で出来そうもない。
それを見て歩はジャストランサーを握り締める。
「あたしがやるしかないんやな!」
その時、ジャストランサーが赤く輝く。歩は「ジャスティース!」と叫んで
ウルトラマンジャスティスへと変身した。
- 59 :第51話 「変貌」 :2005/05/22(日) 01:54 ID:???
- 「だっ!」
赤い巨人ウルトラマンジャスティスは出現するなり、両手からジャスティスカッターと
呼ばれる楔状の光弾を出して、アクエリウスとアプラサールの右手に命中させる。
二匹共後ずさり、アプラサールは智と神楽の乗る1号機と3号機を手放した。
「とも、今のうちにこいつから離れよう!」
「やー危ない危ない。ジャスティスいなかったらやばかったな」
二機は全速力でアプラサールから離れた。
それを見て、榊と暦はうなずきあった。
「シャッ!」
ジャスティスは走り出して、まずアプラサールに体当たりして吹き飛ばす。
次にアクエリウスの首を掴んで首投げを決める。地面を転がるアクエリウス。
アプラサールは羽衣を伸ばして襲い掛かってくる。
「フンッ!」
しかし、ジャスティスはそれを掴んで逆に投げつける。
アクエリウスが後ろから襲い掛かってくるが、ジャスティスはアクエリウスの
パンチを受け止めて逆に電気を帯びた蹴りをくらわせてアクエリウスを感電させて地面に倒した。
それをくらった為か、アクエリウスは起き上がってこない。
「ヘアッ!」
アプラサールに殴りかかるジャスティスだが、アプラサールは幻影を使い、
ジャスティスの攻撃をかわした。しかし、直後にジャスティスは手からガスを
噴射して、アプラサールの実体を突き止めた。そして顔面へのストレートパンチで
後ろに大きくよろめかす。
とどめを刺そうと光線の発射ポーズに入ろうとする。だが・・・・・・
「まってジャスティス!撃ってはだめ!」
「ジャスティス、まって〜〜〜!」
地上でジャスティスに訴えかける声が聞こえ、ジャスティスはそちらを向く。
するとそこには黒沢みなもと小岩井よつばの二人がいた。
「お願いジャスティス!光線を撃たないで!あの超獣二匹はゆかりと小岩井さんなのよ!」
「とーちゃん、かいじゅうになっちゃったんだ」
その言葉に衝撃を受けたのはジャスティスだけではない。HOLYメンバーも同じだった。
- 60 :第51話 「変貌」 :2005/05/22(日) 01:55 ID:???
- 「何だって!ゆかり先生が超獣に!?」
信じられないといった表情で神楽は言った。
「確認してみたけど本当みたい。確かにゆかり先生と小岩井さんの生命反応があったわ」
かおりんが二匹をスキャンした結果だった。
「そんな。なんて事だよ」
暦の操縦桿を握る手が震えている。ちよもショックの為か、座り込んでしまう。
「ケロケロケロ。その通りであります。もしここで超獣を倒せばその二人も
死ぬであります。それでも構わないなら撃てば〜」
フロッグ星人は不気味にかついやらしく笑った。
そうと知ったジャスティスは反撃できなくなった。
「これじゃうかつに手出しできない」
榊も呆然となる。アプラサールは頭部からフラッシュを発してジャスティスの
目をくらました。さらにアクエリウスが花弁から火花を散らして襲い掛かってくる。
「ぐおおおおお」
ジャスティスは地面にうつ伏せに倒れる。そして二匹に起き上がらせられ、
左右から両手を掴まれてそのまま地面に投げ飛ばされた。倒れた所を足で踏みつけてくる二体。
何発かくらった後、ジャスティスはそれから何とか抜け出した。
「てやっ!」
アクウリウスの電撃光線をかわし、ジャスティスが二体に向かって冷凍光線を発射する。
すると二体の動きが止まった。ウルトラダブルフリーザーで一時的に活動を停止させたのだ。
以前ネグロードとレイディアス星雲人に使った技だ。
だが、そこに謎の緑の光が降り、二匹の超獣の姿を消し去った。
そして直後に声がした。
「ゲロゲロゲロ。ウルトラフリーザーで活動を停止させるとは考えたでありますな。
しかし、それでは何の解決にもならぬであります。HOLYに告げるであります!
二人を元に戻して欲しければ、大人しく基地を明け渡すであります!
戦っても構わないけど、その場合二人を倒すという事になるでありますぞ!
3時間与えるのでその間にゆっくりと考えるがいい。3時間後に貴様達の基地を
襲撃させるであります!元に戻す事など考えない事ですな。
過去にそれをやろうとして失敗しているのだからやるだけ無駄。ケーロケロケロ」
- 61 :第51話 「変貌」 :2005/05/22(日) 01:56 ID:???
- 憎たらしい笑い声がした後、フロッグ星人の声はしなくなった。
厚い雲もいつの間にかなくなっていた。ジャスティスも元の姿に戻る。
「ゆかり先生と小岩井さんが超獣に!」
今、千尋の頭の中ではかつて幼馴染みの藤沢がドルズ星人の手によって
怪獣アルゴンに変えられてしまった時の記憶が蘇っていた。あの時はなす術なく
彼は星人の陰謀の犠牲となってしまった。
「もう、あの時の思いはしたくない!」
千尋の中で強い決意が芽生えた。
「よつばのとーちゃんが怪獣になったって本当か!?」
「それで元に戻せるのか?」
HOLY基地にみうらとジャンボが現れた。知らせを聞いていてもたってもいられなかったんだろう。
「今、それで対策立てているところです。申し訳ないんですけど、これから
先は入れる事は出来ないんです。でも私達を信じてください。
きっとゆかり先生と小岩井さんを元に戻してみせます!」
作戦室に入ろうとするみうらとよつばを宥めながら、ちよは中に入っていった。
「信じるしかないわね。今はあの子達を」
「なあ、とーちゃん元に戻るよな?」
「あたりめーだ!お前はそんな事心配しなくていいんだよ」
不安そうに聞くよつばに渇を入れるジャンボ。ともあれ4人は作戦室を後にした。
作戦室の中では重苦しい雰囲気に包まれている。ただ智だけいつもと
変わらない表情をしていた。
「どうすればいいんでしょう?ゆかり先生ととーちゃんを元に戻すには」
戻ってきて椅子に座るとちよは大きなため息をついた。
「あの時ジャスティスはウルトラダブルフリーザーで凍らせて活動を停止させるのがやっとだった。
つまりジャスティスでも二人を元に戻せないって事だよな」
確認するように暦は尋ねる。しかし、誰からも答えは返ってこなかった。
- 62 :第51話 「変貌」 :2005/05/22(日) 01:58 ID:???
- 「こんな時にコスモスがいてくれたらな。コスモスなら奇跡の力でゆかり先生や
あの人を元に戻せるかもしれないのに」
腕組みをしながら神楽は言った。
「神楽さん。今ここにいないコスモスを頼ってもしょうがないよ。私達で何とか
しなきゃ。多分レイやシェイドでも無理だと思う」
「そりゃあそうなんだけど」
かおりんに指摘されて神楽はむくれる。不思議なのはいつもなら
率先して発言する智が今日に限って黙っている事だ。
(なあ、弥生ちゃん。本当にレイでもあかんのん?)
(さっき聞いてみた。やっぱりだめだって言われた。それにもしそれが出来たら
ジャスティスもレイもアルゴンやジャミラの時にやっていたと思う)
(そやな)
期待をこめて歩は聞いてみたが、榊の答えを聞いてがっくりうなだれる。
そして千尋はひたすらコンピューターを使って何やら分析している。
「今度ばかりは救いたいです。私達は過去に二度、人間が変異した怪獣を
救う事が出来なかったから」
ちよはアルゴンとジャミラの事を思い出していたのか泣きそうになっていた。
「おい、とも!お前も何か意見はないのかよ!さっきから黙ってばかりいやがって!」
たまりかねたのか神楽が智の胸倉を掴んだ。しかし、智は動じない。
「やめろ、神楽!ともにあたったってしょうがないだろ!」
暦に言われて神楽はその手を離す。
「あのさぁ。ずっと思ってたんだけどさ。みんな単純な事忘れてない?」
ようやく智は口を開いた。その声はいつものように呑気だ。
「どういうことなん?」
「だからゆかりちゃんがアプラサールになった時と、とーちゃんがアクエリウスに
なった時の事で思い当たるのがあったじゃん」
全員の視線が智に集中する。しかし、千尋だけは未だに何かを検索している。
ちなみに分析の結果、ゆかりはアプラサールに、とーちゃんはアクエリウスに
変異させられている事が判明した。
- 63 :第51話 「変貌」 :2005/05/22(日) 02:00 ID:???
- リクエストを受けての話前半終わりです。
- 64 :名無しさんちゃうねん :2005/05/22(日) 08:08 ID:???
- 美化の極みと言う意見はそーとー前から出てたけど
まあ、アニメ版からして明らかに美化だし
ここはさらに美化だなあ、まー原作まんまの奴らじゃ戦いにならんだろし。
役どころも所詮作者の偏見にすぎないし。
むしろ主役側が次々に戦死していく展開になれば面白いのに
(冨野アニメみたく)
- 65 :& ◆vmWobDYp6U :2005/05/22(日) 11:58 ID:???
- >>53-63
お疲れさまです!つ…ついにこの日が来たっ!!私がリクエストした話が!!!
大変面白かったです!…しかしですね、気を悪くしたら申し訳ないんですけど、なんか本当にゆかりと小岩井が
結婚や懐妊や出産は流石に無理だとしても本当に(私がリクエストしたように)くっついてくれるのか少々不安
ですね。Bパート?に期待致します。あと、ちよちゃ…否、美浜隊長まで小岩井さんのことを「とーちゃん」と
呼ぶことがあるというのはなんか意外でしたね。
- 66 :名無しさんちゃうねん :2005/05/22(日) 12:20 ID:???
- >>64
>むしろ主役側が次々に戦死していく展開になれば面白いのに(冨野アニメみたく)
…そんなあなたには http://azuhawk.fc2web.com/azu/ryuki/taka/mokuzi.html を紹介しましょう。
>>53-63
お疲れ様です。面白かったですよ。ところでアプラサールとアクエリウスはフロッグ星人が御丁寧に
”服まで変身させてくれた”んで……しょうねきっと(笑)。
- 67 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/05/22(日) 15:35 ID:???
- >>65
すいません。ちよのその部分は単純なミスです。
(千尋がちゃんと言ってたのに)
>>66
まあそういうことで(笑)
- 68 :女教師の事情@ :2005/05/24(火) 01:31 ID:???
- 「ゆかりー、あんたのクラスに転入生が入るんだって?」
事の次第を詳しく知らない体育教師があっけらかんとした声で尋ねてきた。
「まーねー」
「どうしたのよ、暗い声を出して? それに表情も浮かないわね」
「ちょっとねー、色々とあって」
「あっ、分かった。まだクラスの全員の顔と名前が一致してないのに、また新しく入るも
んだから、もっと分からなくなるんで困っているんでしょ?」
「ちょっと、にゃものようなバカ体育教師じゃないんだから、そんなことないわよ」
横目で少し蔑むような視線を送りながら、小さくため息をついた。隣の体育教師の気楽
さに対する呆れた気持ちなのか、それとも転入生に対する心配のため息なのかは自分で
も分からないが。
「バカとか言わないでよ。じゃあ、一体何なの?」
「実はさ、転入生ってのがまだ10才って言うのよ」
「10才? どうして10才の子が?」
「何でもとても優秀だから飛び級で高校に入ることになったらしいのよ。しかも入試でも
トップクラスの成績だったみたいでさ」
「へぇ、すごいじゃない。でも、それとあんたが浮かないのとどういう関係があるのよ?」
やっぱり体育教師は気楽だ。私が懸念していることにはまったく気付く様子がない。
「あのね、周りが中学から高校に入った人の中で、ついこの前まで小学生だった子が入っ
てみなさい。イジメの標的になる可能性があるじゃない」
「あー、なるほど。それはあるかもね。だけど、そこはゆかりが担任としてちゃんとすれ
ばいいだけのことじゃない」
「そりゃ、私だってそれなりにやるつもりよ。でもね、10才で飛び級したガキなんて、き
っとすでに世の中を斜に構えたり、周りに対して見下した態度をとっているに決まってる
わよ。そんな生意気なクソガキのお守りをすると思うと、気が重くてやってられないわ」
「そういうことを言わないの」
「その上、親はかなりの金持ちらしいのよ。金持ちのボンボンが飛び級なんて、もう人生
勝ち組のど真ん中じゃない。そんなの許せないわ!」
一気に捲くし立てると、頬杖をついて、再びため息をこぼした。あまりの立場の違いに
最早やるせなさしか感じない。
- 69 :女教師の事情A :2005/05/24(火) 01:31 ID:???
- 「ねぇ、あんたのクラスにトレードしてくれない?」
「ちょ、ちょっと、それは無理よ。でも、学年主任の後藤先生がゆかりのクラスに入れる
って決めたんでしょ?」
「まーね、だいたいそんな飛び級の生徒なら、後藤のクラスにすればいいじゃない。それ
を私のクラスだけ39人だからって理由だけで押し付けるなんてさっ」
「確かに、ゆかりのクラスだけ39人だもんね。それじゃ仕方ないわよ」
「ねー、この前借りた1万円を利子つけて返すから、転入生をあんたのクラスの生徒にし
てくれよー」
「だから、それは無理だって。私の一存で決められる問題じゃないし」
「じゃあ、1万円は私がもらってもいいわね」
「何でそうなるのよ!」
「あーぁ、この先どうなるんだろーなー」
気分的にどうでもいい感じになったこともあり、立てていたひじを崩すとそのまま顔を
伏せた。いっそのこと現実逃避して寝てしまいたい気分だ。
「谷崎先生」
突然、野太い声が頭上に響いた。
「あっ、後藤先生」
振り返った先にメガネをかけ、白髪まじりの髪をした初老男性がいたので、慌てて立ち
上がった。男性の後ろに一人の少女が立っているのが見える。
「谷崎先生、この子が今日から新しく入る美浜ちよさんです。美浜さん、こちらが担任の
谷崎ゆかり先生です」
「美浜ちよです、よろしくお願いします」
ちよという名の転入生が、礼儀正しくぺこりと頭を下げた。
「あっ、谷崎です。よろしく……」
自分の予想を大きく裏切る転校生の姿に私は思わず言葉を失った。さっきまで想像して
いた生意気なクソガキの構図とは大きくかけ離れている。あどけなさがまだ残っていて、
制服を着ていなかったらどこにでもいそうな小学生そのものだ。
「それではよろしくお願いしますよ」
後藤はそれだけ言うと、校長室へと向かった。どうやら、父親が校長室にいるらしく、
色々と挨拶をしなくちゃいけないとのことらしい。
- 70 :女教師の事情B :2005/05/24(火) 01:32 ID:???
- 私は目の前にいる、両側におさげをぶらさげた10才の女の子を見つめた。育ちの良さを
裏付けるような従順さが感じられる。
そうだ、この子をうまい具合に手懐けておけば、お金持ちの親御さんにもいいPRになる
わ。で、あわよくば玉の輿のクチを紹介してくれるかも……。
そう思うと、笑みがこぼれそうになってきた。だが、今は不敵な笑みをこぼすわけには
行かない。しかし、自分の中で湧き上がってきたやる気は抑えることができなかった。
「ちよちゃん、楽しい高校生活を送れるように頑張ろうね。私も応援するから」
さっきまでこらえていた不敵な笑みを曇りのないにこやかな笑みに変えて、目の前の転
入生を見つめた。とにかく、いい先生ぶりをアピールせねば。
「さて、早速教室へ行きましょうか。あと、分からないことがあったら何でも聞くのよ」
「あっ、はい」
軽く背中を押しながら、「一緒に行こう」と促して、そのまま教室を出た。背後でにゃも
が「何で態度が急変しているのよ」と呟いていたこと何てお構いなしだ。
「はい、転入生を紹介しまーす。美浜ちよちゃんです」
「み、美浜ちよです。よろしくお願いします」
おぼつかない口調で自己紹介している小さな女の子が、どうしても金の成る木に見える。
この子に楽しい高校生活を送らせることができれば、私には輝かしい未来が待っているの
よ。玉の輿を手に入れるためにも、ここは頑張らねば。
「ちよちゃんは10歳だけど、とーっても優秀なので高校に編入してきました」
「おぉー!」
教室中がどよめいている。そりゃ、私だってビックリしたんだから当然か。とにかく、
並の生活を送っているあんたらとは別格なのよ。だから、間違ってもイジメなんてするな
よ。ここはクギを刺しておかないとな。
「ガキのくせに勉強ができるからっていじめないで下さいね」
そう言った途端、教室中が静まり返った。返事がないけど、私の言ったことは理解して
くれたのか? それとも、私がドスを利かせた一言に震え上がったのか?
いずれにせよ、理解さえしてくれればそれでいいわ。とにかく、私がバラ色の未来を歩
けるように協力しなさいよ。あと、早く玉の輿のクチを紹介してね、ちよちゃん。
(終わり)
- 71 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/05/24(火) 23:35 ID:???
- >>68-70
お疲れさまです
どす黒ぇなゆかり先生(w
内心そんな事考えていたとは。
- 72 :質問推奨委員長 ◆EIJIovdf8s :2005/05/24(火) 23:36 ID:???
- >>68-70
さすがゆかり先生ww
ぬかりない…
- 73 :第51話 「変貌」 :2005/05/25(水) 00:07 ID:???
- 「あーまったくついてないわね。折角焼肉半額だったのに、超獣に変えられちゃうなんて」
アプラサールの中でゆかりは悪態を吐く。ゆかりは超獣化した後もその意識は残っていた。
「随分落ち着いてるんだな。超獣に変えられたってのに」
同じようにアクウリウスに変えられた小岩井にも意識はあった。
しかし二人共、その意識を他の人間に飛ばす事は出来ない。
今二人はフロッグ星人によって異次元世界に転送されている。
「今更ジタバタしてもしょうがないでしょ。なるようにしかならないんだからさ」
「まあそうなんだけど」
「あんただって随分落ち着いてるじゃない」
「俺の場合は諦めに似たようなもんだしな」
「情けないわねぇ。私はそんなつもりはないわ」
「あの子達が元に戻してくれるって信じているのか?」
「元に戻せるかどうかは分からない。でもどうせなら最後まで
明るく生きた方が楽しいじゃない。そう思わない?」
「・・・・・・・・・・」
ゆかりの言葉をとーちゃんはただ黙って聞いていた。
「変わってないな、あの頃と」
「え?何か言った?」
「いいや別に。ま、確かにその通りだな」
二人がそんな会話をしている頃、フロッグ星人は呑気に城のプラモを
作っていた。
「ケロ?パーツがあと一本足りないであります!」
そんなこんなであっという間に3時間は過ぎ去っていった。
「3時間過ぎたであります。さあアクエリウス、アプラサール。行くのだ!」
フロッグ星人の力によってアプラサールとアクウリウスはHOLY基地の近くに
その姿を現す。フロッグ星人は交渉する気なしとみて、HOLYを壊滅する作戦に出たのだ。
自動防衛システムが作動するものの、二体の攻撃の前には無力だった。
「出動します!作戦はともちゃんと千尋さんが提案したので行きます!
皆さん、今度こそゆかり先生と小岩井さんを助け出しますよ!」
「了解!」
アクエリウス、アプラサールの出現を受けてHOLYも出撃する。
- 74 :第51話 「変貌」 :2005/05/25(水) 00:09 ID:???
- 「だからさぁ、あの黒雲だよ。あれが出てきてからアクエリウスとアプラサールは
出てきただろ。ゆかりちゃんととーちゃんが超獣化したのはそこに原因があるって事さ」
作戦室での会話の時、智は皆にそう説明した。事実今もHOLY基地周辺を
黒雲が覆っている。それは超獣出現の少し前だった。
「なるほど。お前よくそこに気づいたな」
神楽も暦も素直に感心している。滅多にお目にかかれない光景である。
「ともにしてはいいセン言ってるね。でもそれだけじゃない。もうひとつあるわね。
それはアクウリウスとアプラサールはある光線を受けて超獣化したって
黒沢先生やよつばちゃんは言っていた。それでその光線を分析してみたんだけど、
それにはあの黒雲と連鎖反応させる事で、怪獣と生物を合成させなくても
超獣を生み出せるようになっていたみたい。もちろん対象となる者に
浴びせる事が前提になるけど」
「つまり、黒雲を消す事と、その光線の影響を遮断できればゆかり先生と
小岩井さんは助けられるんですね」
「多分ね」
ちよの問い掛けに千尋は答えた。
「3時間もあれば、技術班の人達と急ピッチで進めれば何とか完成できるかもしれない。
でもそれだけじゃあ、あの宇宙人がまた妨害してくるかもしれない。
それに万が一撃墜される危険を考えると戦闘機には積めないし、
かといってあんまり遠いと効果が出ないかもしれない」
「つまり地上でそれもかなり接近して撃たなくちゃならないって事か?」
暦はまた眼鏡をいじる。どうも考え込む時の癖らしい。
「役割を考えるとまずフロッグ星人を惹きつける事、黒雲を消す事、空中で
二匹の超獣の注意を惹きつける事、そして中和剤を打ち込む事、さらには
万が一に備えて地上からもサポートする役割が必要ね。今回は結構役割分担が多いわね」
かおりんがそれぞれの役割分担を説明する。
「何がなんだかわからへん」
歩は早くも頭がこんがらがってきている。
「大丈夫?」
「ちょっとそこ、榊さんに何してんのよ〜」
心配そうに榊が歩の頭に手を置く。そしてかおりんが怒る。
- 75 :第51話 「変貌」 :2005/05/25(水) 00:10 ID:???
- 「ちよちゃん、今回の役割分担私にきめさせてくれない?」
それを無視して千尋はちよに尋ねる。
「分かりました。今回は千尋さんに任せます」
「ありがとう。そしたらまずちよちゃんはブルードラゴンで、黒雲を消し去って。
それを無効化するのも作っておくわ。それで神楽さんは宇宙人の注意を惹きつける役。
よみと私とかおりんでホワイトウイングと分離したレッドファルコンを
使って超獣の注意をひきつける。榊さんと大阪さんは地上からのサポート。
そして、とも。ともは中和剤を超獣に打ち込む。出来る?」
「あったりまえじゃん。やってみせるさ」
千尋は挑発するように尋ねたが、智は自信満々に答えた。ただ胸にドンと手を
打つとこで思い切り咳こんだ所に一同は不安な気持ちにさせられたが・・・・・・
「みんなもそれでいい?」
「いいと思うで〜」
「よし、宇宙人相手に頑張ってみっか」
そうして作戦会議は終了したのである。3時間後、千尋は黒雲を消し去る
レーザーと超獣化した二人を元に戻す中和剤を完成させていた。
「本当に大丈夫なんだろうな?」
「どうなの?榊さん」
地上では不安そうな顔をしてみなもとジャンボが榊さんに聞いていた。
地上の歩と榊には彼等の護衛もしなくてはならないのだ。
「なあやよい、とーちゃんもとにもどるよな?」
「当たり前だろ!姉ちゃん達ならきっとどうにかしてくれるって」
「うん。約束は守る。歩、この人達を頼む」
「分かったで〜」
よつばの頭を撫でた後、榊はブラックイーグルに乗って動き出す。
ブラックイーグルは8人の中で唯一榊だけが乗りこなせるマシンだ。
「私達の役割は超獣を惹きつける事だ、分かってるなかおりん」
「分かってるわよ」
ホワイトウイングの機体から暦はかおりんに連絡を入れる。
かおりんが乗っているのは歩が乗る2号機、千尋が智の乗っている
レッドファルコン1号機である。神楽はいつものように3号機に乗っている。
- 76 :第51話 「変貌」 :2005/05/25(水) 00:11 ID:???
- 「神楽さん、敵の宇宙船は雲の上よ。いける?」
「当たり前だ!よーし一番乗りだ!!」
千尋の指示で神楽はさらに上昇する。黒雲のさらにその上に敵の宇宙船があった。
「私と千尋はアプラサールの注意をひきつける。かおりんは榊と連携して
アクエリウスを攻撃してくれ。大阪はしっかり黒沢先生達を守れ。あととも、絶対に失敗するなよ!」
「榊さんと!?任せて!榊さん、二人でアクエリウスをひきつけましょう!」
「う、うん」
「言われなくっても絶対成功させるっての」
「分かったで〜」
「作戦開始します!」
ついに作戦が決行される。千尋と暦はアプラサールにミサイル攻撃、かおりんと榊は
地上と空からアクウリウスを波状攻撃して注意を惹きつける。
「見つけたぞ、フロッグ星人!」
「ケロケロケロ、我輩を見つけるとは大したものであります!しかし、我輩は
簡単に落とされないでありますよ!」
円盤から無数の砲台が出され、一斉に神楽に向かって発射される。
「うわ、こいつこんなに武器を持っていたのか!?」
驚く神楽だが、きっちり回避していく。ただ流れ弾が後ろのちよの乗るブルードラゴンに
当りそうになったりしているが。
「そう簡単にレーザーを撃たせてくれないって事ですか」
レーザー砲を使う訳にもいかず、ちよはそれを回避する。神楽が反撃に
レーザーを使うが円盤はシールドを展開させてそれを防ぐ。
「甘いであるな。たった2機で我輩を落とそうなどとは笑止千万であります!」
どうやらフロッグ星人はちよの本当の狙いには気づいていないらしい。
アプラサールを攻撃していた暦と千尋だったが、アプラサールは再び実体を消す。
その為に攻撃はその体をすり抜けてしまった。
「あいつまた体を!?」
「アプラサールは実体を自由に消したりできるみたい。厄介ね」
- 77 :第51話 「変貌」 :2005/05/25(水) 00:12 ID:???
- そう言っている間に暦がその幻となった体を通り抜けようとした瞬間、
突然アプラサールは実体化した。それにより、暦はアプラサールの伸ばした
羽衣に捕まってしまう。
「なっ、しまった!!」
「よみ!」
千尋も危うく捕まりそうになるが、ギリギリで回避する。
榊とかおりんの波状攻撃を受けてもまるで効かないとばかりに平然としていた。
それどころか、以前の戦いでは見せなかった手から光線を発射して榊を、
かおりんには左の花弁から火花を出して攻撃してきた。
「くっ!榊さん大丈夫ですか!?」
火花の攻撃で機体が不安定になり、落ちそうになるも何とか
かおりんは持ちこたえた。
「大丈夫。これくらい」
しかし、榊の周りで爆発が起こり、かなり厳しい状況だ。
「これじゃ、中和剤を使えないな」
智の近くでも二体の攻撃の影響で爆発が起きている為、中々接近できないのだ。
「どうしたら」
歩は動こうか迷っていた。自分はみなもをはじめとする物達を守らなければならない。
しかし、今の状況だと恐らく変身しなければ事態を打破できない。
「行きなさい!」
そう言ったのはみなもだった。
「にゃも先生、でも・・・・・・・」
「私達は大丈夫だから、あなたは今一番するべき事をしなさい!」
「がんばれ〜あゆむ〜」
「俺達の心配はすんな。自分の身くらい守れる」
「そうだよ、歩。行ってきなって」
「にゃも先生、ジャンボさん、よつばちゃん、みうらちゃん。あんがとな!」
歩は決意を固めて戦場へと走り出す。
そして胸につけているジャストランサーを外して、天高く振りかざす。
- 78 :第51話 「変貌」 :2005/05/25(水) 00:14 ID:???
- 「ジャスティース!!」
歩の体を赤い光が包み込む。そして空中でウルトラマンジャスティスとなり、
二体を蹴り飛ばした。また、暦の機体もその時掴んで救出する。
「ジャスティス!」
暦は急いで離脱する。ジャスティスは二体に掴みかかる。ジャスティスは一度
アクエリウスを蹴り後退させ、アプラサールも膝でよろめかす。
「でやっ!」
しかし、アプラサールは閃光を発してジャスティスの目を晦ます。後ろから
アクエリウスが光線を発して攻撃してくる。背中に直撃してジャスティスは
地面に倒れこむ。
「てやっ」
アプラサールに攻撃を仕掛けたが、アプラサールは再び実体を無くした。
その為、攻撃がすり抜けてしまう。すぐ後ろにアクエリウスがいたのでジャスティスは
そちらを攻撃した。
だが、いくらパンチを浴びても平気とばかりにアクエリウスは平然としている。
さらに背後からアプラサールが再び実体化し、羽衣でジャスティスの首をしめる。
「ぐあっ!」
アクエリウスの火花が炸裂する。さらにアプラサールにより投げられて地面に
叩きつけられてしまう。そこにアクエリウスが倒れているジャスティスを蹴り飛ばした。
その時、ジャスティスのカラータイマーが青から赤に変わり点滅を始めた。
アプラサールは再び実体を消そうとする。
「そうはいくもんですか!?」
千尋と暦が実体を消す寸前に、爆弾をアプラサールの腹に投下した。
消える時にアプラサールはそれを腹に飲み込んでしまった。
それはすぐにアプラサールの腹で爆発した。苦しさからか、アプラサールは実体化する。
「さっきのお返しだ」
少し感じの悪い笑みをする暦。
「こっちも行こう、かおりん」
「はい、榊さん!」
ブラックイーグルに乗った榊はアクエリウスの足元に手榴弾を投げつけた。
それはアクエリウスの足元で爆発してアクエリウスはよろめく。
- 79 :第51話 「変貌」 :2005/05/25(水) 00:15 ID:???
- 後頭部を狙ってかおりんがレーザーで攻撃する。
「だあっ!」
二匹が怯んだ隙をついてジャスティスは後ろから二体をガッチリ掴んだ。
そして智に向かって撃つように首を振る。
「待ってました。よーし中和剤発射!」
目一杯接近して智は中和剤を発射して、二匹に命中させる。
同じ頃、上空の神楽とちよも行動に出ていた。ちよはフロッグ星人の攻撃を
抜け出した。
「行きます!レーザー砲発射!」
ちよの機体から発せられるレーザービームが黒雲を一瞬にして消し飛ばした。
みるみるうちに晴れていき、太陽が姿を現す。
「し、しまったであります!奴の狙いは黒雲だったでありますか!」
「隙あり!くらえ!!」
フロッグ星人の動揺を見逃さず、神楽はメインエンジンをシュートする。
「ゲロ〜〜〜!ま、まさか地球人に我輩が落とされるなんて!!」
フロッグ星人の円盤はどんどん高度を下げていき、やがて墜落した。
これにより二人にかかっていた呪いも解けた。アプラサールはゆかりに、
アクエリウスはとーちゃんへとそれぞれ元に戻った。
「やった!成功だ!二人共元に戻ったぞ!!」
神楽が機内でガッツポーズをする。
「いえい!」
智はジャスティスにガッツポーズをする。ジャスティスもそれに応えて
同じ様にポーズを決める。
「ゆかり!」
「小岩井!」
「とーちゃん!」
「二人共大丈夫なのか?」
- 80 :第51話 「変貌」 :2005/05/25(水) 00:15 ID:???
- 駆け寄ってくるみなも、ジャンボ、よつば、みうらの四人。
揺すってみると反応があった。二人が目を覚ましたのだ。
「う、うん。ここは?どうやら俺達元に戻ったみたいだな」
「あーひどい目にあった。あんた達助けるならもっと早く助けなさいよね」
助けてもらっておきながらゆかりは文句を言っている。
「ゆかりちゃんらしいな。榊ちゃんもそう思わない?」
「うん」
智と榊は互いに笑いあった。
「ゆかり!無事でよかった!!心配したのよ!」
みなもは泣きながら、ゆかりに抱きついてきた。
「見てのとおり私は無事よ、にゃも」
普段はとても見せないであろう穏やかな笑みでゆかりは答えた。
みなもの背中をポンポン叩く。
「小岩井、この野朗驚かしやがって!」
「とーちゃんがもとにもどった!とーちゃん!」
「ゆかりに言った通りだよ。諦めなくて良かった」
とーちゃんはよつばを肩車しながら答えた。
「ケロケロケロ、これで買ったつもりでありますか?甘いでありますな」
その時、墜落した円盤から不気味な笑い声がした。
「円盤から生命反応が!気をつけて、あいつはまだ生きているわ!!」
千尋が警告の声を発する。
「こうも作戦が見事に失敗するとは思わなかったであります。こうなったら
我輩自らがお前達を地獄へ送ってやるであります!ほあたあ〜〜〜〜〜〜」
雄叫びをあげるとフロッグ星人は巨大化した。
「ぎゃー!か、カエルが巨大化した〜〜〜〜〜〜!!」
ただでさえカエルが大の苦手なみうらは巨大化したフロッグ星人を見て気絶してしまった。
倒れるのを抱きとめたのは榊ではなく意外にも智だった。
- 81 :第51話 「変貌」 :2005/05/25(水) 00:17 ID:???
- 「榊ちゃん、みんなを」
「うん」
急いで榊はゆかり達をブラックイーグルに乗せる。
「ゲロゲロゲロ、こうなったら前ほど優しくはないぞ。何しろ力があり余っているからな。
うっかりやりすぎてしまうかもしれん」
巨大化すると態度まででかくなっていた。腕をグルグル回す。
「覚悟するであります!」
フロッグ星人はジャスティスに殴りかかってきた。しかし、その繰り出される
パンチをジャスティスは軽く首を横に動かすだけでかわす。
「ちょこまかと逃げるなであります!」
フロッグ星人が蹴りを仕掛けるが、ジャスティスはその足を掴んで逆に地面に叩きつける。
「ゲロ!?そんなはずはないであります!」
「トアッ!」
ジャスティスはダッシュしてフロッグ星人を殴り飛ばす。そして後ろに高速で
回りこんで吹き飛んでいるフロッグ星人を上空へと蹴り上げる。最後に上空に
飛び上がり、真上からハンマーナックルを叩き込む。
フロッグ星人はまっさかさまに地面に落下した。
凄い音がして星人は地面にめり込むような体勢になっている。
「バカな!そんなはずはないであります!奴はモードチェンジもしてないでありますよ!」
「想像を絶する雑魚だな」
「見掛け倒しって言うのか?こういうの」
物凄くきつい一言を放つ神楽と暦。
「ま、待つであります!拙者が悪かったであります!大人しく星に帰るから
見逃してくれであります!」
ジャスティスはフロッグ星人の申し出を受けようかどうか迷った。
しかし、結局フロッグ星人を見逃してやる事にした。ジャスティスは星人に
背を向けて飛ぼうとする。
「バカめ!甘いであります!」
だが、フロッグ星人は腕に光線銃らしきものを装着して発射体勢に入る。
- 82 :第51話 「変貌」 :2005/05/25(水) 00:18 ID:???
- 「危ない!ジャスティス!」
ちよが警告の声を発する。
「死ぬであります!!」
ジャスティスの背中目掛けて緑色の光線が発射される。
「かあああああああ!」
しかし、ジャスティスは振り返ってそれを左手で弾き飛ばした。
「まさか、読まれてたでありますか?」
さらにジャスティスはチョップでその光線銃を吹き飛ばした。
「ま、待つであります!今度こそ本当に反省したであります!そうだ、
二人で手を組もう。そうすればどんな敵が相手でも無敵であ・・・・・・」
最後まで言い終えない内にジャスティスはパンチで星人の腹を貫いた。
流石に今度は騙されなかった。
「ゲロアッ!ま、まさか光線を一発も撃たせる事なくやられるとは。
屈辱であ・・・・り・・・・ま・・・・す・・・・げぼあ」
フロッグ星人からジャスティスが離れると星人の貫かれた箇所から火花が飛び散り、
やがて星人はそのまま大爆発を起こした。
それは遠いフロッグ星にも届いていた。黄色いのと青いのがそれを見ている。
「死んだな。ま、当然の結果だけどな」
「往生際が悪かったでござるな。さて拙者は修行の続きをするでござる」
彼等はそれぞれ自分の持ち場へと戻っていった。
「シュワッ!」
ジャスティスはその場から飛び去っていった。
千尋やかおりんはそれに向かって手を振る。
「千尋さん、ともちゃん。作戦うまく行きましたね」
「ジャスティスの助けもあったけどね。でもあの時のようにならなくてよかった」
「ま、ともちゃんの作戦はいつも完璧ってな」
みうらをおぶりながら智は自信満々にピースする。
- 83 :第51話 「変貌」 :2005/05/25(水) 00:19 ID:???
- 「よく言うよ。たまたまだろ?」
「右に同じ」
神楽も暦もそんな智をしれっとした目で見た。
「やりましたね、榊さん!」
「うん、良かった」
かおりんと榊は互いに笑いあう。その後彼女達は地上に降り立つ。
「う・・・・・・ん」
この時にみうらはようやく目を覚ました。その時にみうらは自分が智に
おぶられている事に気づいた。
「と、とも!?あのカエル宇宙人は?」
「ジャスティスがやっつけたよ」
「そうか。あ、あのとも」
みうらの顔は真っ赤になっている。
「ん?」
「た、助けてくれてありがとう。それとそろそろ降ろしてくんない?
何か恥ずかしいから」
「なーに恥ずかしがってんだか。まあいいか」
そう言って智はみうらを降ろした。
「何はともあれ事件は解決ね。ってあら?」
「おやおや?」
みなもとジャンボはゆかりととーちゃんの方を見てニヤニヤする。
「あ?」
「何よ?そんな目して」
不思議そうに首を傾げる二人。
「二人共とっても仲良さそうに見えるで〜」
歩がやってきてゆかりととーちゃんを指差す。
何がなんだか分からなかった二人だが、数秒後にその謎は解けた。
何とゆかりととーちゃんの手がしっかり繋がれていたのだ。
それはまるで最初からそうであったかのように・・・・・・・
- 84 :第51話 「変貌」 :2005/05/25(水) 00:20 ID:???
- 「お似合いだと思う」
と榊は優しい微笑みをする。
「なっ、榊!ちょっと待てって!これは事故よ事故!誰がこんな奴と」
「そ、そうそう事故だって」
必死に否定する二人だが、周りの人間はニヤニヤしている。
「へぇ〜ゆかりちゃん、そうだったんだ〜」
「似合ってますよ、ゆかり先生」
「慌てるとこが怪しいよな」
智、神楽、暦が冷やかす。
「意外よね。ゆかり先生って小岩井さんみたいな人が好みだったなんて」
「うん、意外だね」
真顔で話すかおりんと千尋。
「とーちゃんとゆかり、けっこんすんのか?」
事態がよく飲み込めていないよつばが爆弾発言をする。
「えー!?ゆかり先生と小岩井さん結婚するんですか〜〜〜!!」
さらにその言葉を真に受けたちよがとても大きな声で言った。
「だー違う!何でそういう事になるのよ〜!?」
「よつばも変な事言うんじゃない!!」
「あっ、また息ピッタリだ」
みうらに指摘されて二人はハッとなる。
それからというもの顔を合わすたびに妙に意識してしまう二人だった。
「え〜あなた大学時代の先輩の竹田さんなの!?何かショックだわ」
「そういう事言われる俺がショックだ〜〜〜〜!」
ちなみにみなもいわく昔のジャンボはもっとスラっとしていたそうだ。
ちなみにどうやらとーちゃんとゆかりも同じ大学だったらしい。
ゆかりはさっぱり覚えていなかったのだが・・・・・・
「それじゃ任務も終わりましたし、あとゆかり先生と小岩井さんも仲良くなった
事ですし、そろそろ解散しましょう」
「ちょっと待て!二つ目いらないだろ!!」
またまた同時に突っ込んでしまい、皆から笑われる二人。もう陽が暮れようとしていた。
- 85 :第51話 「変貌」 :2005/05/25(水) 00:38 ID:???
- HOLYがこの場を去って、しばらくは一緒に歩いていたとーちゃん達だったが、
時計を見てにわかに焦りだすゆかりととーちゃん。ちなみにジャンボは
みなもに言われた事がショックだったのかどうか知らないが、いつの間にか
いなくなっていた。
「あっ!もうこんな時間!?早くしないと半額キャンペーン終わっちゃうじゃない!
にゃも急ぐわよ!」
「ちょ、ちょっとゆかり!」
「あっ本当だ!よつば早く行かないと店が閉まっちゃうぞ!」
「それはだめだ〜!はやくたべにいこう!」
とーちゃんはよつばを肩車して、ゆかりはみなもの手を引っ張って
逃げるように走り去っていった。
「あ、ちょっとみんな待ってって!」
暗い夜の道に一人取り残されるみうら。段々不安になってきて泣きそうになったその時、誰かが
みうらの肩に手を置いた。恐る恐る振り返るとそこには私服姿の智の姿があった。
「とも!どうしてここに?」
「どうしてって、こっちあたしの帰り道だからだよ。それよりみんなとはぐれたのか?
しょうがねーな。あたしん家の近くだし、途中まで一緒に帰るとすっか」
「あ、うん」
差し出された手をしっかり握ってみうらは智と一緒に帰り道を歩いた。
とても心細かったので、みうらにとって今ここに智がいる事は非常に嬉しい事だった。
一方のゆかり達は、珍しくみなもの方が酔いつぶれてしまいたまによつばには
まだ理解出来ない単語を言って周りをあたふたさせた。
帰る時にはみなもはゆかりにもたれかかる体勢になっていた。
「しっかりしろよ〜にゃも」
「よつばの方もぐっすり寝ているよ。よほど疲れたんだろうな」
とーちゃんの背中でよつばは静かな寝息をたてる。
「ねぇ」
「ん?」
「もし、良かったら今度は二人で食べに来ない?あ、もちろん変な意味じゃないわよ」
「それもいいかもな。ここの焼肉うまかったしな」
あんな事があったからかちょっと照れくさそうにしている二人。
特にゆかりの方は非常に珍しいといえるだろう。そんな二人を満月が明るく照らしていた。
第51話 終 第52話へ続く
- 86 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/05/25(水) 00:54 ID:???
- 次 回 予 告
宇宙から飛来した怪奇隕石アクマニヤが地球に姿を現す。
千尋のデータリンクをもってしてもその正体はつかめない。
次々に引き起こされる怪奇現象。
果たしてこのアクマニヤの正体とは何か?
次 回 ウルトラマンジャスティス
第52話 「恐るべき眼」
その眼が真っ赤に充血する時、何かが起こる!
- 87 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/05/25(水) 00:56 ID:???
- え〜という訳でリクエスト51話終わりです。
正直、ゆかりととーちゃんの話の部分かなり無理矢理です。
思う通りに出来ていなかったらすいません。
智とみうらのやりとりはちょっと前にその二人の話があったので
やってみました。
- 88 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/05/25(水) 00:57 ID:???
- >>87
お疲れ様です。
次回は・・・ニヤニヤ出すね。
- 89 :ウルトラマン板でCMを書いた奴 :2005/05/25(水) 01:52 ID:???
- >>73-87
お疲れさまです!こ…これだ、これ( >>84 )が見たかった!!リクエストにちゃんと応えていただき
ありがとう御座います!…でも、私としては…智あたりが、
「あのゆかりちゃんが『天女』かよ!」
…みたいなこと言って、そのあと何故かアプラサールが智の方に突進してきたり…とかも欲しかったかも…
…いえ、気にしないでください。非常に面白かったです。これからも頑張ってください!
P.S.
>>85 の最後の辺を読んでいるとPSソフトの「やるドラ」シリーズの「ダブルキャスト」のグッドエンディング1での
”赤坂美月(CV・平松晶子)が頭に浮かんだ私。
- 90 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/05/25(水) 01:54 ID:???
- >>89
いまHPをつくっているのですが・・・
CMも乗っけて良いですか?
- 91 :& ◆VRbsWISMdU :2005/05/25(水) 02:01 ID:???
- >>73-87
お疲れさまです。大変面白かったです。…照れるゆかり先生……やっぱ”萌え”はこうでなくちゃいけませんね。
…ところでケンドロスさん、私がリクエストした和田さん&長谷川くんのクラタ隊長?の話でのことで
少々追加注文が…いや、追加注文と言ってもたいした内容では無いと思うので安心してください。そういうわけ
ですので、一足先に「SS書きの編集会議室」に注文内容を書いておいてよろしいでしょうか?
それとですね、私が和田さんの性格の参考に紹介した「行間あずまんが サブキャラストーリー」っての結構、
面白いでしょ?
- 92 :ジャスティス第54話予定リクエスト者 :2005/05/25(水) 02:02 ID:???
- 失礼しました。 >>91 は私です。
- 93 :89 :2005/05/25(水) 02:04 ID:???
- >>90
え…私に質問…ですか?…そのHPのCMと言いますと?
- 94 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/05/25(水) 02:08 ID:???
- >>93
ウルトラマン板のCMです。
- 95 :& ◆5sAS.SfQss :2005/05/25(水) 02:11 ID:???
- >>94
あれをですか?…まぁ、私もどのようなHPか見てみたい気もしますし…よろしいでしょう。
乗せてみてください。
- 96 :89 :2005/05/25(水) 02:12 ID:???
- … >>95 は私ですよ
- 97 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/05/25(水) 02:22 ID:???
- >>89
敵の宇宙人を間抜けに書くのにウエイトを置いてしまったもので。
>>91
どうぞ。
和田さんは茶髪なんでしょうか?サブキャラって結構黒い性格してますね
- 98 :92 :2005/05/25(水) 02:30 ID:???
- >>97
どうもです。和田さんは茶髪ですよ。…では早速書いて参ります。
- 99 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/05/25(水) 02:34 ID:???
- >>96
http://www.geocities.jp/myoukou1945/CM.html
- 100 :& ◆5sAS.SfQss :2005/05/25(水) 02:53 ID:???
- >>99
うわぁ…凄げぇ…つーか、よくこんなに写真とかそろえましたねぇ…
うん、凄いです!作成頑張ってください!…しかし…私、もうCMのネタ尽きちゃいましたよぉ…
…どうしましょう……
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