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あずまんがSS書きの控え室8
- 1 :名無しさんちゃうねん :2005/09/13(火) 00:21 ID:???
- ストーリーの構成、キャラの造り方、言葉の使い方など、あずまんがのSSや
小ネタを作成する上で困ったことや、悩んでいること、工夫していること等を話し合う
スレです。
また〜り楽しんでいただければ幸いです。
ここで新作をUPすることも可です。
★主な注意事項
1. sage進行でお願いします。
2. 対象範囲は「あずまんが大王」及び、連載中の「よつばと」とします。
3. 他人の作品を善意であっても批評しないでください。(自分の悪いところを
教えてくださいというのは可です。)
※その他の注意事項は、>>2以降で記載します。
- 80 :名無しさんちゃうねん :2006/06/11(日) 21:45 ID:ez-Y/yZGnYc
- 勝手に投下!
- 81 :名無しさんちゃうねん :2006/06/11(日) 21:45 ID:ez-Y/yZGnYc
- 【願い】(あずまんが大王4巻131ページ参照)
部落差別は今の時代も続いている。地方のローカルな地域で、一人だけ東京生まれがいるとみんながその一人を何気なく都会生まれでかっこいいと思うことと理論は同じだ。
私の育った地は昔から忌み嫌われていた。貧困と差別と暴力だけが隠れて村を支配していた。私の家も町からは嫌われていた。
父ははやくして亡くなり貧しい生活の中、母は死にもの狂いで仕事をして私を育ててくれた。朝から畑で農作業をして、疲れきった体にムチを打って夜遅くまで内職をしていた。それでも貧しい生活だった。
私の十何回目かの誕生日の朝、母が私に僅かなお金を与えてくれた。
『ごめんね、お母ちゃん本当に忙しくて、あんたの誕生日のお祝いもしてやれないけど……これ、少しばかりだけど、なにかあんたのためになるものを買いなさい。』
そういった母に私は『お母ちゃん、ありがとう。』と一言だけ言った。
母がくれた硬貨ばかりの僅かなお金は、母の手垢がついて、錆びていた。毎日の農作業のため土もついて汚れていた。だが私にとってそれはどんなにかけがえのないお金だったか計り知れない。
私は隣町まで歩いていって、色んなお店を長く見ていた。このお金で買えるものはそう多くなかったが、それでも今日は特別な感じがして本当に楽しかった。
花屋さんの前を通りかかった私の目に映ったのは、色鮮やかな花の苗だった。
『そうだ、これを買って帰ろう。お母ちゃんもどんなにか喜んでくれるだろう。』そう思った。
苗をひとつだけ買って私は帰途を急いだ。もう空は暗くなっていた。
私の家まであと何十メートルかまで来た時に、私の家が騒がしいことに気付いた。妙な不安を感じて私が急いで家に駆け込むと、そこには布団に横たわった母がいた。
『お母ちゃん!!』
そういって私は母に駆け寄ると、近所で私達と同じように部落差別をうけている仲間のおじさんが私にいった。
『母ちゃんな、あいつらの子供に石投げられたんや! 見てみい、血いでとる……バイキン入って母ちゃん倒れてしもたんや!』
今でいう破傷風だった。体に元々疲労が溜まっていた母にとって致命的だった。
- 82 :名無しさんちゃうねん :2006/06/11(日) 21:45 ID:ez-Y/yZGnYc
- 私は朝晩つきっきりで看病をした。どうしていいのかわからずに言葉もでないくらいに高熱に病む母の額に冷たく濡らした手拭いを当てることと、有り合わせで栄養のない食事を作ることしかできなかった。
虐げられている身分で医者も診に来てなどくれないし、その医者に払う金もないまま、私の疲労も限界が来ていた。私は夜長に最後の母の額に手拭いを乗せるとそのまま力尽きて眠ってしまった。
朝になって目覚めてみると、母は穏やかに息を断っていた。私は疲労と悲哀の中、母に、母のため、母のくれたお金で買った花の苗を瞑った瞳の前に、だしてみせた。
『……母ちゃん喜ぶと思うて、母ちゃんから貰ったお金でこの花買ってきたんよ……なあ、母ちゃん、キレイな花やな……なあ……母ちゃん、何とかゆうてや……母ちゃん!!!!』
私は貧困が、差別……差別がこんなにも憎たらしいものかと思った。それからは自給自足で生活をしながら時間があるとそれだけおじさんがくれた本や町に捨てられた本を拾って勉強した。
母の今わの際に一輪の花も見せてやれなかったことが、どんなときも私の背中を押して勉強させた。差別への憎しみが私の背中を押した。
私が大学にでも入っていたなら、私の家は頭のいい子がいると思われてこんなにも酷い差別は受けなかったろう。私が稼げるほど優秀なら母にこんなにも負担をかけることはなかったろう。
そんな思いだけが私を押した。押されてここまで来たのだ。
「どうしたの、あなた?」
「……ん……? あ、いや……長い夢を見ていたようだ…………。」
「大丈夫かしら? 今日はあそこの神社にお詣りに行くって言ってらっしゃったけど、行けるかしら?」
「ああ、大丈夫だ……。」
「頼むぞー五百円――」
――チャリン パサ
(一万――!?)
「うわぁ! 一万円でなにを……」
――パン パン
「――世界人類が平和でありますように」
「何ィ!? 一万円でそんな願いでいいのか――!?」
「これ以上何を望むというのです?」
(――これ以上……何を、何を望むと……)
終わり
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