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[他作品]クロスオーバー・あずまんがSSスレッド-2-[コラボ]

1 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2006/01/12(木) 20:01 ID:???
クロスオーバースレも2スレ目となりました。
ここはあずまんが×他作品のクロスオーバー作品用スレッドです。
あずまキャラを他の世界観に置き換えたり、また逆も然り。
そんな想像を作品にしてどんどん投下していって下さい。
また〜り楽しんでいただければ幸いです。

★主な注意事項
1.原作の対象範囲は「あずまんが大王」及び、連載中の「よつばと」とします。
2.ここの作品はいわゆる「戦い系」の長編作品を多く含みます。
3. その場合、あずまんがキャラでの戦闘を描いている為、原作の雰囲気を変化させ、またキャラクターも
  精神的・身体的に強化されているものもあります。
4. あずまんがキャラと、SSの作者のオリジナル・創作キャラクターとの共演もあります。
5.他人の作品に対し罵倒、中傷は絶対にしないでください。
※その他の注意事項は、>>2以降で記載します。

2 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2006/01/12(木) 20:03 ID:???
★このスレッドでの注意事項
1. 作品の展開・都合により「『あずまんが大王』『よつばと!』のキャラが死亡する」、
 「『あずまんが大王』『よつばと!』キャラの身体・精神が傷つく」
 等の(精神面を含む)暴力的な表現、またグロテスクな描写が出る場合があります。閲覧は自己責任でお願いします。

その様な描写を含む場合、作者は、自身で文章中の暴力・グロ表現の程度を考えた上で、
予め注意書きのテンプレートである

===========================
この作品はグロテスクな表現が含まれています!
閲覧は自己責任で!!!!!
===========================

を投稿する文の一番上に記載する事をお勧めします。
また、単純に殺人・猟奇・グロのみを扱ったSSの投稿は
『グロまんが大王』
http://so.la/test/read.cgi/oosaka/1081698529/1
でお願いします。

2. クロスオーバーなので他の作品との絡みがあります。
   その系統が苦手な方には、申し訳ありませんがあまりお勧め出来ません。

3.エロ、非エロのどちらを書かれても構いません。
  但し、板の性質上、過激なものは避けてください。
  (ソフトなえっち程度ならOKです。)

4.常にsage進行でお願いします。強制下げになっていますが、万一スレが上がってしまった場合は、
  感想などでスレに書き込む際、メール欄に「supersage」と入力してください。

5. 大型AAについては文章スレッドであるので使用しないでください。

6. スレの趣旨に関係のない書き込みはしないでください 。

7.作者さん達はどんなに遅くてもいいので自分で創作した物語を完結させるように頑張ってください。

8.合作・リクエスト等の打ち合わせや、長くなりそうな議論・雑談等は『あずまんがラウンジ』の「SS書きの編集会議室」
  にて行ってください。

9.他のスレ、板、およびHPから、このスレに転載された作品は批評しないでください。

3 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2006/01/12(木) 20:04 ID:???
主な関連スレッド・及びサイトへのリンク

前スレ
【他作品】クロスオーバー・あずまんがSSスレッド【コラボ】
http://so.la/test/read.cgi/oosaka/1125758648/
SS書きの編集会議室 4
http://so.la/test/read.cgi/azuentrance/1131446577/
【あずまんが】SS書きの控え室7
http://so.la/test/read.cgi/oosaka/1115481963/l50
あずまんがSSを発表するスレッド パート4!!
http://so.la/test/read.cgi/oosaka/1115996693/l50
SS書きの控え室@大阪板 SSまとめ
http://azu.qp.land.to/
修正した作品のまとめサイト転載用うpロダ
http://azu.qp.land.to/upload.html

4 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2006/01/12(木) 20:09 ID:???
コラボスレの次スレです。
テンプレートも新しいものを使用致しました。

しかし・・・すみません。
強制sage機能を付けるのだけを見逃してしまいました。
本当に申し訳有りません。
投下する際や、感想のレスの際は、メール欄が「sage」になっている
のか否か確認を行ってからレスをして頂くよう、どうか宜しくお願いいたします。

5 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2006/01/12(木) 20:11 ID:???
投下作業です。
ご協力をお願い致します。

強制sage機能に関しましては・・・本当に申し訳有りません。
謝罪を致します。

6 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2006/01/12(木) 20:18 ID:???
リンク先の追加です。

あずまんがSS書きの控え室8
http://so.la/test/read.cgi/oosaka/1126538514/l50

7 :眠名有 :2006/01/12(木) 21:15 ID:???
おつー

8 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/01/14(土) 23:45 ID:???
『仮面ライダーゼルバ』 〜文章版パイロットフィルム(?)其の弐〜

−試作用『必殺』的シーン−


青い目の仮面の女性−谷崎ゆかり−の大きな双眸がより青く輝くと、上空に突如、黒雲が現れた。

Goooooo…
ゆかりが脚を開いて腰を低く落として構えると、それと同時に上空の黒雲から雷鳴と共に稲妻が放たれた。

Bigaaa!!

その稲妻は、すぐにゆかりの元へと舞い降り、そして、ゆかりの周囲を螺旋状に回りながら、再び空へと戻っていく。

「はぁぁぁぁ!……たぁっ!!」

ゆかりも稲妻の渦の中を気合を込めて高く跳躍し、稲妻と共に空へと舞い上がる。ゆかりは、今の自分の跳躍力の
限界まで跳ぶと、空中で捻りを加えた回転をして、右脚を眼下の蜘蛛怪人に向けてキックの体勢をとった。

「はああああ…」

その周囲を旋回していた稲妻が、ゆかりの右脚に、巻きつくようにして収束する。稲妻を纏ったゆかりは落下の勢いと
稲妻の勢いを合わせ、力強く蜘蛛怪人へとキックを放った!

「たあぁぁぁぁぁっ!!」
「Gugyaaa!!」

Baga!zuo…Bagaaaaaaan!!!

ゆかりの稲妻を纏った急降下蹴りが、蜘蛛怪人の身体を貫いた!それと同時に蜘蛛怪人は自分の体内を
侵略する凄まじい電気に悶える暇もなく、断末魔の咆哮を上げて、蜘蛛怪人の身体は破片一つ残さないほどに
激しく爆発したのだった。

9 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/01/14(土) 23:46 ID:???

一方、たった今ゆかりが倒した蜘蛛怪人に先ほど、酒井と大友と呼ばれた二人の蜘蛛怪人を相手にしていた
紅い目の仮面の男性−小岩井修輔−も、ゆかりとほぼ同様に、大きな双眸がより紅く輝いた。
すると、小岩井の周囲の地面から炎が円陣を描くようにして浮かび上がり、一瞬で炎の輪が小岩井を囲んだ。

GouOoooooo……

小岩井も脚を開いて腰を低く落として構える。すると、それと同時に、小岩井を
囲んでいた炎が立ち昇り、ゆかりの稲妻と同様に、小岩井の周りを螺旋状に回りながら、
空高く上昇していく。まるで龍が天に昇りでもするかのように……。

「はぁぁぁぁっ!……たぁっ!!」

小岩井も炎の渦の中を、気合を込めて高くジャンプし、炎と共に空へと舞い上がり、先ほどのゆかりと
同じように、「『今の姿』の自分」の跳躍力の限界まで跳ぶと、空中で捻りを加えた回転をし、眼下にいる
二人の蜘蛛怪人に向けてキックの体勢をとった。

「はああああ…」

すると、その周囲を旋回していた炎が、小岩井の右脚を、巻きつくようにして包み込んでいく。
血のように紅い炎を纏った小岩井は、落下と炎の両方の勢いを合わせて、力強く二人の蜘蛛怪人に
キックを放った!!

「だぁあああああっ!!」
「Ugya…」
「GAaaaaa!!」

Zudo!DogAaga!baga…DobaaBaaaaan!!!!

小岩井の炎を纏った急降下蹴りが、蜘蛛怪人の一人の身体を上半身と下半身に真っ二つに圧し折り、
さらにその勢いに乗じて、身体を圧し折られた蜘蛛怪人の背後にいたもう一人の蜘蛛怪人も貫いた!
それと同時に、身体を圧し折られたほうの蜘蛛怪人などは断末魔の咆哮を上げ終えることさえ許されず、
分かれた上半身と下半身両方が、背後にいたもう一人の仲間の身体と共に破片一つ残さないほどに
激しく爆散したのだった。

10 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/01/14(土) 23:46 ID:???
はい。以上、「試作用『必殺』的シーン」でした。
これで、もし、こちらの必殺技のイメージが掴めていただけたのでしたら幸いです。
「合作」の相談とかをするときとかに役に立ってくれると嬉しいです。
なお、今回は特にグロ描写がなかったので、あの「この作品には〜」というアレは意図的に
使いませんでした。

11 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2006/01/14(土) 23:50 ID:???
>>8-9
お疲れ様です。
全体的にレベルが高い文章だと思えました。
コラボスレ初の作品ですね。

それではついでに一つさげておきますね。
今後の方も、沈下にご協力下さい。

12 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2006/01/16(月) 01:55 ID:???
>>1
乙です

>>8-9
お疲れ様です。ライダーキックの描写がとても分かりやすく、
こちらにもその迫力が伝わってきました。

http://so.la/test/read.cgi/oosaka/1125758648/460-469
ここからの続きを投下します。

13 :第64話 「恐るべき怪獣魔境」 :2006/01/16(月) 01:58 ID:???
そうしてついにグランゴンとラゴラスは向かい合った。
向かい合った二匹は同時にダッシュして体当たりする。
一度弾かれた二匹だが、グランゴンが上からのしかかってきた。
ラゴラスはそれを支えきれず地面に倒れこんだ。そして腕に噛み付いてきた。
ラゴラスはそれから必死に逃れて、起き上がった後にグランゴンの頭を殴り蹴り飛ばした。
地面に倒れこむグランゴン。

「おい、あの二匹戦い始めたぞ!」
「大変です!もしあの近くにゆかり先生と小岩井さんがいたら・・・・・・」
ちよの推測は正しく、その近くにはゆかりと小岩井がいる。

「こんな近くで戦いあわなくてもいいじゃないのよ!このバカ達――!」
「よせって!聞こえたらどうするんだ!!」
慌ててゆかりの口を抑えようとするが、おぶっている為にそれは出来ない。
しかし、グランゴンとラゴラスはそれに気づいた様子はなく、お互いの得意な
火炎と冷気を吐いてきた。火炎球と冷凍光線がぶつかりあい、爆発した。
その際に物凄い衝撃が伝わり、みな少し吹き飛ばされかかった。

「通信が出来なくなったぞ!!」
神楽が通信機を見て叫んだ。確かにノイズだらけで何も映っていない!

「一体、何が起こったの?」
「熱と冷気、相反する要素が拮抗して特殊な振動波が発生したんだ!
そのせいで通信が出来なくなった」
懇切丁寧に千尋は説明した。

「どうしたらいいの?」
「何とか通信の回復を試みてはみるけど、みんなが無事である事を祈るしかないわ」
「榊さん・・・・・・」
かおりんは何も映らなくなったモニターを見て呟いた。

「とにかくここにこれ以上いると危険だ。でもゆかりちゃん達をどうする?
これ以上は乗せきれねーぞ!」
と智は言った。

「じゃあ先に行ってて!私が助けに行く!!」
「あたしは援護するんや〜」

14 :第64話 「恐るべき怪獣魔境」 :2006/01/16(月) 02:00 ID:???
榊と歩は他のメンバーの返答を待たずにブラックイーグルを発進させる。
ブラックイーグルを操縦しつつの攻撃は難しい。救助者を乗せるなら尚更だ。

「やよい、あゆむ。たのんだぞ」
走っていくブラックイーグルを見つめながらよつばは呟いた。

「私達も行きましょう!」
「とも、道覚えてるか?」
「あったり前じゃん!」
「お前、勉強以外の記憶力はいいからな」
胸を張る智に対して暦は言った。

「それじゃあ行きましょう!!発進します!」
シルバースコーピオンが動き出した。智の先導のもと魔境を出ようとする。

グランゴンとラゴラスはラゴラスがグランゴンの頭を掴んで殴っていた。
グランゴンは逃れようと尻尾の攻撃を繰り出してきた。させじとラゴラスも
尻尾ではたこうとする。両者がぶつかりあった際に位置がずれたのか、
それぞれの尻尾攻撃がゆかりに目掛けて飛んでくる。

「危ない!!」
「え?あ、ちょっと」
それを庇おうとする小岩井だが、あっさり吹き飛ばされて気絶してしまった。
小岩井はゆかりを守るように覆いかぶさっていた。グランゴンの尻尾と
ラゴラスの尻尾の攻撃を受けて、小岩井は気絶した。
ゆかりもショックで気を失ってしまう。
そこへブラックイーグルに乗った二人が到着した。

「ゆかり先生、小岩井さん!しっかりしぃ?」
「気絶しているだけだから大丈夫」
榊は微笑すると二人をブラックイーグルに乗せた。

グランゴンは体を起こしてそのままラゴラスを振りほどいて投げた。
大きく宙に浮かされ、倒れこむラゴラス。そこをグランゴンは追い討ちを
かけるように今度は背中に噛み付いてきた。しかし、それから逃れて
ラゴラスはグランゴンを地面に叩きつけた。
歩はジャストランサーを握り締め、榊に向き直る。

15 :第64話 「恐るべき怪獣魔境」 :2006/01/16(月) 02:01 ID:???
「弥生ちゃん、あたし」
「分かってる。頑張って」
歩と榊は互いに何かを確認してそうして頷きあった。
そして榊はブラックイーグルを発進させる。

「行ってくるで!」
歩は怪獣達が戦っている場所へ近づいていった。ジャストランサーを真上に掲げて変身しようとする。

「うっ!!」
しかし、その時胸に強烈な痛みが走った。思わずその場にかがみこんでしまう。

「何や?いきなり、胸が急に苦しく・・・・・・・」
『君の体に異変が生じているのか?』
その時頭に誰かが語りかけてきた。それはジャスティスの声だった。

「ジャスティス!何や急に胸が苦しくなってきたんや」
『私も君もジェネシスとの戦いでエネルギーを吸い取られてまだ完全に回復
していないのかもしれない。その影響がここに出てきたのかもしれないな』
「あたしはどうすれば・・・・・・・」
『つらければレイに変わりに戦ってもらったらどうだ?』
「あかん!それだけはあかん!!」
歩は顔をあげてそれを否定する。ゆかりと小岩井を乗せている
ブラックイーグルを操縦できるのは8人の中では榊一人だけである。
その彼女に変身させる訳にはいかない。

「あたしが変身する!」
『大丈夫なのか?』
グランゴンとラゴラスはじりじりと組み合いながらこちらに徐々に迫っていた。

「大丈夫や。今は大分気分も楽になったし」
『では急ごう』
歩はゆっくり立ち上がる。

「行くで!ジャスティース!!」
ジャストランサーを掲げて歩は赤い光に包まれる。

16 :第64話 「恐るべき怪獣魔境」 :2006/01/16(月) 02:03 ID:???
赤い光が上空より降り注ぎ、戦っているグランゴンとラゴラスを吹き飛ばした。
そこに赤い巨人ウルトラマンジャスティスが出現する。

「お〜ジャスティスだ〜」
「あれがジャスティスか。やっぱでけえな」
初めてジャスティスを間近で見るやんだはそんな感想を洩らす。

「ていっ!」
まずラゴラスがこちらに向かってきた。ジャスティスはそれに対応して
ラゴラスのみぞおちを蹴ってさらに顔面に回し蹴りを入れて後ろに退かせる。
続いて襲い掛かってきたグランゴンはその口を掴んで後ろに押してゆかり達から遠ざける。
そして拳を突き上げ、それを顎に叩き込んで地面にひっくり返させる。

「いいぞ。ジャスティス、やっちゃえ〜。わ〜!」
みうらがジャスティスに声援を贈って体を乗り出した為に危うく落ちそうになった。
それを助けたのは智だった。手を引っ張ってもとの位置に戻す。

「大丈夫か?みうら。まったく何やってんだ!?」
「と、とも!ありがとう。ごめん」
助けられたみうらは申し訳なさそうに顔を下げた。

「いつもはともが言われる事なのにな」
やりとりを見ながら暦は言った。

「何だあ〜よみ〜やるか〜?」
「やめなさい二人共!!」
喧嘩しようとする二人をみなもが諌めた。

「よーし、よつばも!」
「駄目だってよつばちゃん!」
「だから飛び込むなって!!」
飛び出そうとするよつばを恵那と神楽が押えた。

「あいつは本当にどんな時でもあんな調子だな」
「凄いといえば凄いですよね」
ジャンボとちよはよつばを見てそう思った。

17 :第64話 「恐るべき怪獣魔境」 :2006/01/16(月) 02:04 ID:???
「であっ!」
ジャスティスは高く跳躍して急降下からの蹴りをラゴラスの背中にあてる。
前につんのめるように倒れるラゴラス。今度はグランゴンの方に飛び、蹴りでグランゴンを倒す。
さらに起き上がったラゴラスを左の裏拳で顔面を殴って動きを止めて、
もう一度同じ箇所に肘打ちを決めて倒れさす。
ジャスティスは距離をとってクラッシャーモードにチェンジしようとした。

「はあああああ、うっ!!」
しかしその時ジャスティスの体に強烈な激痛が走った。思わず地面に膝を着けてしまう。
それは変身前に歩が感じた苦しみと同等のものだった。
そしてその隙をつかれ、二大怪獣の尻尾攻撃をくらってしまった。

「ぐはぁ!!」
「ジャスティス!!」
榊が後ろを振り返る。

「どうしたんだジャスティスは?」
「急に苦しみだしましたね。エネルギーが足りないんでしょうか?」
暦やちよも異変に気づいた。

「でも今回はジャスティスに頑張ってもらうしかないぜ!私達は攻撃できないから」
神楽の言う通り今回はこの魔境の脱出が最優先だからだ。

「まだかとも?出口はまだ見えないのか?」
「もうすぐな筈だよ!」
みうらに聞かれ智はそう答えた。どうやら道をしっかり記憶しているのは智だけのようだ。

「ぐはあっ!」
ラゴラスとグランゴンの突進攻撃を受けてジャスティスは倒れる。
その時に胸のカラータイマーが青から赤に変わり点滅を始めた。

「くっ!!」
榊はたまらずブラックイーグルから降りて攻撃する。
しかしグランゴンとラゴラスは当ってもこちらを見向きもしない。
その時の衝撃でゆかりと小岩井が目を覚ました。

18 :第64話 「恐るべき怪獣魔境」 :2006/01/16(月) 02:05 ID:???
「ここは・・・・・・・あれはウルトラマンジャスティス!」
小岩井は近くで巨人が戦っているのを見て、少し驚いていた。

「こらぁ〜ジャスティス!あんた頑張んなさいよ―!あんたが負けたら
あたし等死ぬかもしれないじゃん!分かってんの!?こんなダサい奴等にさ」
「ゆ、ゆかり先生・・・・・・・」
ゆかりらしい激励といえば激励になるんだろうか。榊も呆気にとられた。
なぜかゆかりの言葉には反応するグランゴンとラゴラス。
冷凍光線と火炎弾を吐いてゆかりを狙う。

「何であたしばっか狙うのよ〜!」
しかしそんなゆかりをまたも小岩井が救った。抱きかかえるように転がって
それを回避した。彼等のいた場所が爆発して凍る。

「あ、あんた・・・・・・」
「よつばと同じくらい無茶苦茶な人だな、あんた」
しばらくゆかりと小岩井はそのまま見詰め合う。
その激励が効いたのかジャスティスは立ち上がった。

「はっ!ずおおおおおお!!」
ジャスティスは高速スピードでグランゴンの後ろに回りこみ、尻尾を掴んで
ジャアイントスイングをする。投げられたグランゴンはラゴラスとぶつかり、
二匹はもつれ合うように地面に倒れこんだ。

「見えた!出口だ!!」
「行きましょう!!ジャスティスならきっと勝ちます!!」
出口にさしかかろうとした時、グランゴンは火炎、ラゴラスは冷凍光線を吐いてきた。
だが、ジャスティスはそれをジャスティスブレードで切り裂いた。

「よーし突入!!」
よつば達は出口へのゲートを見つけ出し、そのゲートをくぐっていった。
そこは確かに霧隠山の入口だった。

「何とか戻ってこれたみたいね」
とみなもが一息つく。

19 :第64話 「恐るべき怪獣魔境」 :2006/01/16(月) 02:06 ID:???
「おおおおおお、でぃああああ!!」
ジャスティスはビクトリューム光線の発射体勢に入った。グランゴンがそれを
阻止すべく動き出す。しかし、それより早くグランゴンに命中。グランゴンは粉々になる。
残るラゴラスもそのまま放たれたビクトリューム光線によって粉砕された。

「やった!」
榊が小さくガッツポーズをとる。

「怪獣を倒したのもあたしの声援のおかげよ〜感謝しなさい〜」
「また、あんたはそういう事を言う」
しかし、ジャスティスはゆかりに向かって敬礼する。

「シュワッ!!」
そしてジャスティスは飛び立って行く。

「マジかよ・・・・・・」
「分かってるねジャスティスも」
ゆかりは鼻高々になっていた。それからしばらくして歩が姿を現した。

「大阪〜!お前どこほっつき歩いてたんだ〜?」
「え〜あたしはただゆかり先生達を助けようと思たら迷っただけや」
「それじゃ駄目だろう」
歩の発言に小岩井もダラ汗をかいた。

「とにかく急ごう。みんな乗って!!」
榊はブラックイーグルに三人を乗せて走り出す。ブラックイーグルは変型しても
乗れるのは最大四人までなので、これ以上は乗れないのだ。

「こちらちよです!かおりん、千尋さん!聞こえますか?」
「こちら千尋!聞こえてるよ、良かったみんな無事なんだね」
「はい、一応」
「怪獣反応が無くなってるから怪獣も倒せたんだね。あれ?でも何か足りなくない?」
千尋は画面に榊、歩、小岩井、ゆかりの姿が無い事に気づいた。

「はい、実は・・・・・・」
ちよは事情を話した。

20 :第64話 「恐るべき怪獣魔境」 :2006/01/16(月) 02:07 ID:???
「何ですって〜!早くしないと魔境への出口が閉じちゃうわ!」
「一度閉じたら、次はいつ開くか分からないよ!!」
「そんな・・・・・・・」
愕然となる一同だが、よつばは違った。

「だいじょーぶ!やよいたちはかえってくる!」
「そうですね。榊さん達ならきっと無事に帰ってきます!信じましょう!」
よつばの意見にちよも同意見だった。

そして榊達は出口目指して猛スピードで走っていた。そして出口を見つけた。
だが、その出口はだんだん小さくなっていた。

「まずい!閉じかかっているぞ!!」
「弥生ちゃん!」
「榊――!!失敗したら絶対許さないぞ〜!!」
「大丈夫、まかせろ!!」
榊はキリっとした表情でブラックイーグルを疾走させる。そして閉じるギリギリの
寸前で魔境から脱出した。榊達が脱出した後に魔境への入口は消えた。

「榊さん、大阪さん!無事で何よりです!!」
「ゆかり!あんたもちゃんと戻ってきたわね!」
「うん、この通り」
「大丈夫やで〜」
ちよとみなもがまず駆け寄る。歩と榊は笑って応えた。

「小岩井、また災難だったな」
「大丈夫ッスか、先輩!」
「ああ、大丈夫だ」
ジャンボとやんだは小岩井とそれぞれ握手する。

「ねえ。あんたの名前なんて言うの?」
ゆかりは小岩井にそう尋ねた。

「俺の名前か?小岩井修輔(こいわいしゅうすけ)だ」
「そう。修輔ね。じゃあこれはほんのお礼。ありがとう修輔」
そう言ってゆかりは小岩井の頬にKISSをした。

21 :第64話 「恐るべき怪獣魔境」 :2006/01/16(月) 02:08 ID:???
小岩井も一瞬呆然となったが、それに以上に周りが騒然となった。

「わ〜、とーちゃんとゆかり、ちゅーした〜」
「な、な、何やってんですか!?ゆかり先生!!」
よつばははしゃいでちよはパニくった。

「おーゆかりちゃんやる〜」
「お、大人だよな!」
智は大げさに祝福し、神楽と榊は顔を真っ赤にして目を背けてしまった。
こういう所神楽らしいといえばらしい。

「ね、ねえみうらちゃん、あの人達KISSしてるよ」
「あ、ああ」
みうらと恵那にとっては刺激が強かったらしく、あたふたしている。

「榊、ゆかり先生って意外と大胆だよな?」
「う、うん」
暦と榊は他のメンバー程は動揺していないが、榊は落ち着きなく目をキョロキョロ
させており、暦は意味もなく髪をかきあげている。

「千尋、得意のデータリンクでゆかり先生と小岩井さんの事何か分かる?」
「こ、恋人同士なんじゃないの?」
かおりんも千尋も冷静を装っているが、全然明後日の方向を見て話している。

「やっぱりゆかり先生と小岩井さんラブラブやん」
歩はのんびりした口調で言う。

「あー!何やってんだよ!あの女!」
「おいおい怒る事じゃねーだろ!」
「そうよ、そんなに騒いだらみっともないわよ。KISSくらいで大げさなのよ、みんな」
大声あげるやんだをみなもとジャンボが大人の対応で諭す。

「え?」
しかしみなもの発言を聞いた全員がみなもに注目する。

「それじゃあにゃも先生はもっと凄い事してるんですか〜?」

22 :第64話 「恐るべき怪獣魔境」 :2006/01/16(月) 02:10 ID:???
「え?や、やーね。春日さんったら。別に深い意味はないのよ」
皆を代表しての歩の質問に、無理矢理笑みを作ってごまかすみなも。

「帰ろうか、ゆかり」
「そうね」
初めて小岩井がゆかりの名前を呼び、そして二人は並んで歩き出す。

「名前で呼び合った!?」
またも反応するほとんどの人達。

「あ〜うっさい!あたしがどうしようが勝手だっつーの!!」
「あ、ちょっと待て!」
「よつばもかえる〜」
よつばと小岩井はゆかりの運転する車に乗って帰っていった。
ちなみにそれは小岩井の車だったりする。

「小岩井さんとよつばちゃん、無事に着けるといいわね。それはそうと私達も帰りましょうか」
みなもの意見に二つの意味で賛成の意を示すメンバー。

「じゃあな、とも」
「じゃあな、みうら」
恵那達はジャンボの運転する車で、榊やちよはブラックイーグルや
シルバースコーピオンで帰る事になった。

「全く無茶な運転するんだな。死ぬかと思ったよ」
「そう?でもよつばちゃんはすやすや眠っているみたいだけど」
車から降り人気の無い海岸線を並んで歩くゆかりと小岩井。その言葉通り
よつばは小岩井の背中ですやすや寝息を立てている。はしゃぎ疲れて眠ってしまったのだろう。
ふと小岩井は振り返り、立ち止まる。ゆかりも同じように止まる。向き合う二人。

「してもらうってだけってのもあれだしな」
「いいわよ、それでも」
小岩井とゆかりはお互いに目を閉じる。そして顔と顔を近づけてKISSをする。
「修輔」「ゆかり」と呼び合った後、二人は再び歩き出す。
ゆかりは小岩井に寄り添うように歩いていく。      第64話 終 第65話へ続く

23 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2006/01/16(月) 02:56 ID:???
次 回 予 告
歩は久し振りに家族全員で出かける事となった。
総監より休暇が出たのだ。

「お姉ちゃん、こうして家族一緒ってのは久し振りやな〜」
「そうやな〜翔」
その休暇を目一杯楽しむ歩達。だが・・・・・・・

次 回 ウルトラマンジャスティス
第65話 「今、そこにあるもの」(仮)

『私は以前と同じ思いはもうしたくはない!』

24 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2006/01/16(月) 02:57 ID:???
リクエスト第2弾後半終わりです。
えーとレウルーラさん、こんな感じでよろしいですか?

次回は予告を作りましたが何にも決まってません。
もしかしたら24話みたいな感じになるかもしれません。

25 :名無しさんちゃうねん :2006/01/18(水) 00:06 ID:???
乙でしたー

ちょいテスト

26 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/01/18(水) 19:08 ID:???
>>11-12
どうもありがとうございます。

>>13-24
お疲れ様です!
>>22
お!「ありがとうございます」。
私のほうのライダーのSSのほうでも必ず参考にさせていただきます。

>>1
お疲れ様です

27 :名無しさんちゃうねん :2006/01/29(日) 23:09 ID:???
そういえば推奨いいんちょさん。
前スレで27氏が質問をされていましたよ?

28 :質問推奨委員長 ◆EIJIovdf8s :2006/02/02(木) 17:10 ID:???
>>27
あ、すいません見忘れてました
最近忙しくて前みたいに頻繁にチェックできない…
27氏申し訳ありません

今更かも知れませんが答えさせていただきます


原作でのGの速度についてはとても的確でわかりやすかったです
表現の仕方もあれは最適でした

29 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2006/02/02(木) 21:50 ID:???
>>28
ご回答くださり、どうもありがとう御座います。
そのお言葉を聞いて、胸のつかえが取れた気分です。
もうそろそろ一年経つのに、まだ展開を長引かせている状態ですが、
どうかよろしくお願い致します。

あとこれは別の場所でのことなのですが、艦の大きさは5000km〜6000程度ってコトにしました。
原作と比べるとやや大きいかもしれませんが、これはちょっと訳ありってコトで。
艦載機は以前の控え室通りの質量で。

30 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2006/02/12(日) 00:39 ID:???
チェジゲストが一年を迎えました。
非常に書く速度と展開が遅いのが今の現状ですが、
なるべく本日、あるいは2〜3日中には纏まったのをうpしたいと思っています。

このペースだと完結には時間を要しそうですが、何卒、よろしくお願いいたします。

31 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2006/02/19(日) 02:22 ID:???
えーと予告と全然違うものになりました

32 :第65話 「リバーシブル」 :2006/02/19(日) 02:23 ID:???
ウルトラマンジャスティス
第65話 「リバーシブル」
植物怪獣 グリンショックス 登場

月面にはムーンキャッスルの基地がある。そこで今とある物が完成した。
ゆっきー達は橘に呼ばれてそれを見せてもらう事になった。

「先輩、完成したものってどれだ?」
「ああ、これだ。ゆっきースイッチを入れてくれ」
「は〜い」
長谷川に聞かれ橘は顎でそれを指した。するとそこに人間のホログラフィーが現われた。
分かりやすい者としては募金の時にいた茶髪セミショートのお兄さんの姿と、
よつばが市民プールに行った時にいた監視員のお姉さんの姿だった。
何故この姿なのかは不明である。

「私はバーミンガムのAIです」
「同じくユグドラシルのAIです」
完成したてだからかどこかぎこちない。

「これってAIって奴なのかしら?」
「そうだ。バーミンガム、ユグドラシルにそれぞれ付ける事になった。
俺としては面倒だたけど、作ってしまったからしょうがない。あとついでに
サラミスのはまだ完成してない」
「つまりこれを使えばある程度は負担が軽くなる訳ですか?」
松田の質問に橘は頷いた。和田はそれを凝視している。

「そうだな。これで俺たちは寝ていてもいい訳だ」
「遊び放題って事?それはいいよね!」
「だったら俺たち地球に戻っちゃおうぜ!」
「私、行ってみたかった場所にこの前は行きたいな〜」
「そんな訳ないでしょう!ふざけないの!!」
だらける四人に和田はビシィ!と喝を入れた。

「冗談だってのに頭固いね。だからシェットコースター乗れないんだよ」
「今、それとこれと関係ないでしょう!!」
橘の言った事に対して和田は怒鳴り返す。するとまたえらく小型なSF映画に
出てきそうな丸っこいロボットがやってきた。

33 :第65話 「リバーシブル」 :2006/02/19(日) 02:25 ID:???
「先輩、あれは何ですか?」
「あーあれはこの艦内のパトロールロボットだ。仮にコロムと呼んでおく」
パトロールロボットは四人に気付くと頭を下げて挨拶する。そして去っていく。

「昔理科の授業で見たTVにあんなのいた気がする」
「あんなんで大丈夫なのか?」
「丸っこくってかわいいじゃない。マスコットには十分よ!」
「そういう問題ではないわ、松田さん」
珍しくボケる松田に突っ込みを入れる和田。するとコロムが的確に長谷川を
狙ってレーザービームを発射してきた。かろうじてかわす長谷川。

「何で俺を狙うんだ!?」
「そりゃあ悪口を言ったからでしょう」
長谷川の疑問に当然のように松田は答えた。
これを見せた後、各自それぞれ持ち場に戻る。

「そういえば、かなめちん。HOLYの連中にみやげを届けたんだって」
「だからかなめちんはやめてください!ええ贈りましたよ」
露骨に嫌な顔をするゆっきー。

「ええ!?ゆっきーあれ贈ったの!?だってあれって・・・・・」
「だから面白いんじゃない」
「相変わらず腹黒いね、かなめちん」
「先輩にだけは言われたくないです!!!!」

さて所変わって地球―
そのゆっきーのプレゼントとやらが届いた。


「みんな〜これゆっきーからのプレゼントだってさ。何かお菓子らしいぞ」
それを持ってきたのは神楽だった。

「へぇ〜ゆっきー気が利くなあ」
「早速皆で食べましょう!」
「あれ?歩は?」
榊は歩がいない事に気付き、ちよに尋ねる。

34 :第65話 「リバーシブル」 :2006/02/19(日) 02:27 ID:???
「大阪さんなら今家族で買い物に出かけていますよ〜」
とちよは答える。

「そうなんだ」
「まあいいじゃないか榊。たまには家族水入らずって事でさ」
神楽にそう言われ、榊は「うん」と頷いた。

「それよりもそれ、うまそうじゃん」
「何かクッキーみたいね。しかも赤いクッキーなんて珍しい」
「私も食べた〜い」
智、かおりん、千尋も寄ってきた。

「それじゃあ大阪さんの分も少しとっておいて、みんなでゆっきーの
お土産を食べましょう。あれ?よみさんは食べないんですか?」
ちよが声をかけるが暦はそっぽを向いていた。

「私は今、ダイエット中だから食べない。皆で食べてくれ」
「なんだよよみ〜。どーせまた体重変わんないんだから、食べちゃえよ〜」
智はそう言って暦にその真っ赤なクッキーを近づけてくる。

「やめとけって。あたし等だけで食おうぜ」
神楽がそんな智を止める。

「それじゃあいただきま〜す」
暦を除く全員がそれを食べた。その赤いクッキーはとても甘いものであった。
しかし次の瞬間、全員に稲妻のような衝撃が走った。

その頃歩は、家族と一緒に買い物をしていた。妹の翔も一緒だ。

「歩にはこっちの方が似合うと思うんやけどな〜」
「何を言うんとるん?こっちの方が似合うとるやん」
「お父もお母も分かってへんな〜お姉ちゃんがこういうの選ぶ訳ないやん!」
三人揃って、歩にどの服が似合うかを言い争っている。

「そういえばみんなどうしてるやろ〜?」
当の歩はまるでそんなやりとりに関心がなかった。

35 :第65話 「リバーシブル」 :2006/02/19(日) 02:28 ID:???
「これなんてどうや?」
と父の浩一が持ってきたのはゴスロリ衣装だった。

「やっぱり歩ちゃんにはこれやと思うわぁ」
母親の遥が持ってきたのはワンピースタイプの衣装だった。色はピンクを基調としている。

「たまには弥生お姉ちゃんみたいな格好なんてどうなん?」
と翔が選んだのは榊がよく着ているパンツスタイルの衣装だった。

「お母さんのがええと思う」
少し悩んだ末に歩は遥の選んだ物を指差した。

「歩ちゃん、わかっとるなぁ」
「何で俺らの選ばないねん!」
「納得いかんわ」
喜ぶ遥に対して浩一と翔は不機嫌になる。

「せやかてそれが一番ええと思ったからしゃーないやん」
少し困った顔をしながら歩は答えた。と、こんな調子で歩は久し振りの
家族での外出を満喫している。

その頃、遠く離れた宇宙空間ではちよ父が漂っていた。

「今度の敵はこれで行くとしよう。惑星ソーキンからの奴をな。地球へ向かうのだ」
命令を受け、それらしい緑色の隕石が現れ地球を目指して飛んで行く。
それはルイジアナ州の森林地帯に落下した。隕石から現われたそれはまるで植物のようであった。

さてその頃HOLY基地内でも、ゆっきーのクッキーを食べた面子に異変が起きていた。

「お、おい。みんなどうしたんだ?」
食べなかった暦はこの事態にただただ呆然となるばかりだ。

「何だか体が熱くなってきたです!すっごい燃えてきましたよ〜矢でも鉄砲でも
怪獣でも宇宙人でもきやがれってんです!みんなまとめておしおきです!!」
ちよはいつもと異なり、異常なハイテンションになっている。
さながら暴走状態の智のように。

36 :第65話 「リバーシブル」 :2006/02/19(日) 02:30 ID:???
「だ、駄目だよちよちゃん。女の子がそんな乱暴な言葉を使っちゃ」
その智だが、涙目になりながらとても丁寧に振舞っている。まるで普段のちよみたいだ。

「と、とも!?」
幼馴染みの変わりように言葉が出ない暦。
視線を移すと榊が何かポーズをとっていた。

「そんなに見ないでくれ。いくら私が美しいからといって・・・・・・」
いつの間にか宝塚風の衣装に身を包んでいた。

「だる〜、あ〜何もやる気しねーよ。ダラダラ行こうぜ」
神楽は普段のやる気はどこへやら完全にダラけていた。

「お、おい榊、神楽?」
声をかけても自分の世界に入ってしまっているのでどうにもならない。
残るかおりんだが豪快に寝ていた。と言っても別に寝言とかは言っていない。

「かおりん、こんな所で寝たら風邪引くよ!起きてかおりん!」
千尋が必死に揺さぶってかおりんを起こす。しかし、かおりんは明らかに
不機嫌な表情をしている。

「何人たりとも私の眠りを妨げるのは許さん!」
目が半開きになった状態のままかおりんが千尋に襲い掛かって来た。

「うわちょっと待ってかおりん!落ち着いて!!」
普段なら宝塚スターみたいになってる榊を見てときめくはずのかおりんも
今回は完全に目に入っていなかった。

「やめろって!!」
暦が後ろから強めにダブルチョップを脳天にくらわす。智と違って
耐性のないかおりんはそれで再び眠る事になる。

「一体どうなってるの?」
どうやら千尋だけは食べても普段と変わらないらしい。

「私の方が聞きたいよ。何でこうなったんだか」

37 :第65話 「リバーシブル」 :2006/02/19(日) 02:33 ID:???
「少なくともゆっきーがくれた赤いクッキ−が原因があるのは確かだな」
「らしいわね。それと効き目には個人差がある事もね」
「おいおいこんな時に怪獣が攻めてきたらやばいぞ!!」
流石に暦もこれは心配になってきた。

「そうだ、舞先生に聞いてみよう」
「今日舞先生、休みだよ」
「大丈夫、こんな事もあろうかと携帯の番号聞いているから」
暦は携帯電話を取り出して舞と連絡をとる。

「はい?もしもし」
明らかに今起きたと思われる不機嫌な声で舞は電話に出た。

「あのもしもし、水原ですけど」
「夜勤明けで折角眠りについたのに、一体何の用?」
いつもと違いその声には棘があった。流石の暦もそして側でやりとりを
聞いていた千尋もビクッとなった。しかし今更後には引けない。
舞と相性がいい相田京子も休みなのか、それともTEAM FLAMEの任務があったのかここにはいない。
ゆかりやみなも、それに栄子とかがいればすぐに機嫌を直してくれたかもしれないが。

「舞先生、ちょっと聞いてほしい事があるんです!」
そのままにしていても仕方ないので暦は舞に事情を説明する。

「赤いクッキーね。これって浅霧高原にあるお店で売っているものね。
これは味自体は普通においしいんだけど、副作用のせいで中々売れないのよね」
「副作用?」
「そう。今水原さん達がなっている状況かな?」
言われて暦はまた周囲を見渡す。相変わらずメンバーは暴れていた。
その時、千尋の肩にちよがぶつかった。

「痛いなぁ!」
「ご、ごめんちよちゃん!もしかしてキレた?」
「キレてないですよ!私キレさせたら大したものですよ」
TVで聞けそうなセリフを言うちよ。

「何で芸能人の真似をしているんだ!?」
思わず怒鳴ってしまう暦。

38 :第65話 「リバーシブル」 :2006/02/19(日) 02:37 ID:???
「まあ、それが副作用の一種ね」
舞はちよのとった行動を把握しているようだ。

「でも私は何ともないんですけど」と千尋。
「人によって違うのよ。基本的にその赤いクッキーと体質の合わない人が食べるとそうなる。
だから佐倉さんは体質的に合うのかもね。上條さんはその中でも軽い方ね。
水原さんは食べたらエロくなるんじゃないかしら?」
「どういう意味ですか?それ」
「冗談よ。ところで春日さんはどうしたの?声が聞こえないけど」
「今、家族と出かけています」
と答えたのは千尋だった。

「とにかくこれどうにかならないんですか?」
暦は後ろを見ながら舞に尋ねた。

「あー何もやる気しねー。何やるのもかったりぃ」
そこら辺でだらしなく寝そべる神楽。

「だ、だめだよ神楽さん。ちゃんと仕事しないと」
「そうです!心に熱く燃える炎を灯せばやる気は充填されます!」
「私が美人だって事は十分すぎるくらい分かっているよ」
各人それぞれ好き勝手な事をしている。かおりんはたまに寝返りをうっている。

「効力は一日だけだから、待ってればいいと思うけどそんな状態で怪獣や宇宙人が
出現したら大変だものね。確かそれの薬があったと思うから探してみるわね」
そう言って舞は電話を切った。

「大阪がもしこれを食べたら逆に標準語で喋ったりしてな」
「ありえるかもね。かおりん以外はみんな普段の性格を逆にしたような感じだし」
想像してみたが、似合っていないと思う二人。
その時、千尋の使っているメインコンピューターに通信が入った。
それを聞いた千尋はため息をついた。

「悪い事ってのは重ねて起きるもんなんだね」
「って事はもしかして・・・・・・・」
「うん。今連絡があってニューオリンズに怪獣が出現して、防衛隊と交戦した後に
こっちに向かって来ているって」
「最悪だな。大阪も呼び戻すしかないなこれは」
思わずため息が洩れてしまう暦だった。

39 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2006/02/19(日) 02:39 ID:???
前半終わりです。

40 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/02/19(日) 18:46 ID:???
>>31-39
お疲れ様です!!
ところで、少し前に姉(リクエスト者)に電話して聞いてみたのですが、
サラミス級とかのAIは、生産コストを安めにするためにバーミンガム級と違って映像姿を持たず、
喋るときの音声だけので、登場後はメインシーンをやる必要が無い時はほぼ
モブキャラ(モブメカ?)扱いにと伝えた、と、言っていましたよ?
それと、バーミンガム級戦艦のはともかく(どうせ1隻しかないですし)、ユグドラシル型戦艦と
サラミス級軽巡と言ったような同型艦が多数存在する量産用の戦艦にはルザルとかネレイドとか
ツーロンとかユイリンとかナッシュビルとかモンブランとかって何でもいいから適当に名前を
考えておいてほしいとも伝えた、とも言ってましたよ?
それと「コロム」は量産型のロボットで、ムーンキャッスル艦隊の構成艦全艦の艦内に複数配備されてると
思っておけば良いでしょうか?(いや、私、合作になったとき月城のことも主に書く身の上ですので、ちゃんと
把握しとかねばいけないので…)
(偉そうに聞こえたのでしたら、どうも申し訳ありません)
…あと、お手数ですが、御返答は、あずラウンジの編集会議室でお願いします。

41 :名無しさんちゃうねん :2006/02/19(日) 18:51 ID:???
>>31-39
乙でーす。
千尋のような標準値な性格の子は、性格が反転しても普段と変わらないのですね。
・・・ゆっきー・・・クッキー・・・一瞬、駄洒落かと思いましたよ
あと、失礼ながら、>>32
>「私、行ってみたかった場所にこの前は行きたいな〜」
単語の並び順が、かなり滅茶苦茶になっていると思います。

42 :眠名有 :2006/02/19(日) 21:04 ID:???
>>31-39
乙ですー
恐るべし赤いクッキー

あっと、ちょっとミスがあったのでご報告ー
>>32
> 「冗談だってのに頭固いね。だからシェットコースター乗れないんだよ」
シェットコースターになってますー

43 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2006/02/20(月) 00:07 ID:???
>>41
最初はチョコレートにしようかと思ったんですけど、何となくクッキーの方が
いいかなと思ってそうしました。

本当に無茶苦茶ですね。すいません

>>42
あー本当だ。気付かなかったです。

44 :第65話 「リバーシブル」 :2006/02/24(金) 01:05 ID:???
千尋が捉えた生命体は空から円盤の如く体を丸めて日本に上陸した。
植物がそのまま巨大化したかのような姿をしたそれは無数の触手を生やして動き始める。
生やした触手でビルを掴み上げ、花弁の中にある溶解液でドロドロに溶かしてしまう。
またそれがなくても、移動する時にビルをぶつかり壊してしまう。

「なんなん?何か起こったん?」
それは歩達が買い物をしているデパートの近くに出現したのであった。
大きな揺れを感じて驚く歩。

「お姉ちゃん、これって・・・・・・」
翔が歩と顔を見合わせる。

「どうしたん?二人共、そんな真剣な顔で」
「もしかしてお腹すいたんとちゃうん?」
こんな状況でも春日夫婦は呑気だ。

「お姉ちゃん、あれ!」
翔が窓から見える風景を指差す。そこには植物怪獣がこちらに向かって侵攻してくるのが見えた。

「怪獣やな〜」
「あらあら大きい植物さんやね〜」
「あんな大きいのに襲われたらひとたまりもないやん」
翔以外の三人はいまいち緊張感がない。特に真ん中の遥のセリフはそれを思わせる。

「もうお姉ちゃんも、お父ちゃんもお母ちゃんもそんな事言うてる場合ちゃうやろ!
はよ逃げな!」
この中で比較的まともな翔が二人を引っ張って、脱出を試みる。
歩は通信機を取り出してHOLYに連絡をとる。

「あたしやけど〜近くに怪獣が出てきたん!すぐ来てほしいんやけど」
「こちら千尋。状況は把握しているわ!すぐにこっちに向かうわ!!」
「待っていて下さい!大阪さん、天才な私が助けだしてみせますから!」
「え?ち、ちよちゃん?」
歩はどういう事か聞きたかったが、通信はすぐに途切れてしまった。

45 :第65話 「リバーシブル」 :2006/02/24(金) 01:07 ID:???
「では早速出撃しますよ!あんな植物の出来損ないなんて敵じゃありません!
さっさと倒しちゃいましょう!」
言うが早いかちよは止める間もなく走り出してしまった。

「あっ、ちよちゃん!仕方ない!私も行こう!今のちよちゃんを一人で出撃
させるのはあんまりにも危険すぎるからな!榊、そこのやる気ない二人を
ブラックイーグルに乗せてやってくれ!はっきり言ってそんな状態じゃ
戦闘機の方は無理だからな!」
「分かってるって。私が綺麗だって事はもう十分に」
「そうじゃねーよ!」
かみ合ってない会話をする二人。

「了解した」
そう言うと榊は智と神楽の体を軽々と持ち上げ、基地を後にする。
暦も後に続く。

「じゃあ私はあの怪獣のデータリンクに入る。それとレッドファルコンを
自動操縦にして大阪さんを迎えに行かすわね。居場所は分かったからそれは容易ね」
千尋はパソコンに向き直り、怪獣のデータリンクを始める。今回かおりんが
寝ている為にこの手の作業は一人でやらなくてはいけなかった。
まずレッドファルコンを自動操縦にして歩の元へと出撃させるよう遠隔操作をする。
レッドファルコンは歩の元を目指す。

「ブルードラゴン、美浜ちよ行きまっす――――!!」
いつも以上にハイになっているちよはさっさと行ってしまった。

「あっコラちょっと待つんだ!ホワイトウイング出撃する!!」
慌てて暦も後を追う。それの後にブラックイーグルが出撃する。

「怪獣を発見した!」
「今データを取るわね。ちょっと待って」
「そんな必要ありません!太陽のように燃えている今の私ならあんな怪獣イチコロです!
美浜レーザー照射です」
ちよは怪獣を発見するなり、いきなり攻撃する。勝手に名前まで付けている。

「ってちよちゃん!まったく普段のともみたいになってるな」
「怪獣のデータが出たよ。怪獣の名前はグリンショックス。
惑星ソーキンからやってきた植物怪獣だね。もしかしたらグリーンモンスの時の
作戦が使えるかも」

46 :第65話 「リバーシブル」 :2006/02/24(金) 01:09 ID:???
「そうか、炎であいつを焼いてしまおうって訳だな」
暦もその時の事を思い出した。

「私は蝶のように舞い、蜂のように刺すのだ!!」
完全に自信過剰となっている榊は千尋のアドバイスもロクに聞かずに地上で
ブラックイーグルに乗りつつグリンショックスを攻撃する。
智と神楽は現場に下りた段階で降ろしている。邪魔になるからだ。

「私だるいから寝るわ。つーか酔った」
「だ、駄目だよぉ、こんなとこで眠ったら」
智はが神楽の体を揺すり、神楽は顔を真っ青にして起きた。

「酔ってる時に起こそうとすんなっての!」
「ご、ごめんね」
神楽が不機嫌を露にした表情で言うと、泣き出しそうになりながら智は謝った。
普段ではまず見れない光景である。

「要は火で焼いてしまえばいいんでしょう!それなら簡単です!皆さん行きますよ!
私達TEAM FLAMEの名にふさわしい炎で焼き尽くしてあげましょう!」
「そうなんだけど、私達はFLAMEって名前じゃないよ」
念の為にツッコミを入れる千尋。

「あ、来たで〜」
歩達がビルの外に出ると待っていたかのようにレッドファルコンが到着した。

「じゃあ、お父さん、お母さん、翔!行ってくるで!!」
「頑張ってやお姉ちゃん!!」
「ファイト一発やで!」
「歩ちゃん、無茶せんといてな」
家族に見送られ、歩はレッドファルコンを発進させる。

「あれ?どうして彪乃ちゃんとともちゃんは乗ってへんの?」
「色々あってな」
「大阪さん!遅いですよ!あなたには燃えるようなスピリッツがないんですか?
私のコスモはこんなにも燃えているんですよ!!」

47 :第65話 「リバーシブル」 :2006/02/24(金) 01:12 ID:???
「す、スピリッツ?コスモ?」
「かの人は言いました。元気があれば何でも出来る!気合です大阪さん!!!」
「な、何言うとるん〜?ちよちゃんしっかりしぃ」
流石の歩もちよのあまりのハイテンションについていけない。さらにだるそうに
している神楽、泣き虫智、妙にポーズを決めて走る榊などを見て歩は唖然となる。

「何かみんな変やで、一体どうしたん?」
「詳しい説明は後だ。とにかく今はこいつを食い止めるぞ!!グリーンモンスの
時に使ったバーナー作戦で行こう!」
三機は攻撃をミサイルからバーナーに変えてグリンショックスの体に放出する。
グリンショックスの体が炎に包まれる。

「そういう事なら私も参加しよう!」
地上の榊も火炎放射器を取り出してそれをグリンショックス目掛けて放つ。
火炎がグリンショックスの全身に燃え広がる。

「やったか!」
「私にはかかればこんなものです!」
「あんまり華麗じゃないが仕方ないか。次はもっとエレガントに行こう」
快哉の声をあげるものの、グリンショックスは中の花弁の溶解液を雨のように
降らせて炎を逆に溶かしてしまった。

「な!?」
「バーナーが効かないなんて!!」
千尋も暦もこの事態に驚いている。

「だったらもっと接近して浴びせるまでです!!」
「あ、待つんや!!ちよちゃん!!」
「待ちません!ナポレオンの辞書に不可能がなかったように天才である私にも
不可能はないんです!だから行きます!」
歩の制止の声も聞かず、ちよはさらに接近する。
しかし、そこをグリンショックスの触手に絡め取られてしまった。

「ちよちゃん!!」
それを見た榊がブラックイーグルで翻弄しようとするが、
触手の一撃に吹き飛ばされる。

「何とか引き離さないと今のちよちゃんはどんな無茶をやるか分からない!」
暦はホワイトウイングに乗って側面から攻撃するが、やはり触手に絡め取られてしまった。

48 :第65話 「リバーシブル」 :2006/02/24(金) 01:13 ID:???
「しまった!!」
「ちよちゃん、よみちゃん、弥生ちゃん!!」
残る歩もグリンショックスが発した溶解液によって機体の一部を溶かされてしまう。

「あかん、不時着や!!」
レッドファルコンはどんどん降下して不時着した。幸いそこに建造物はなかった。
グリンショックスは春日親子のいる場所を目指して歩きだした。

「あかん、こっちに来るで!逃げな!」
翔が浩一と遥の手をひいて走り出す。本当ならコスモスに変身してこの状況を
打破したいのだが、親のいる目の前で変身する訳にもいかない。

「歩、大丈夫やろか?」
「怪我とかしてなきゃええんやけど」
歩の方の心配をする浩一と遥。
歩はその状況を見て、慌ててジャストランサーを取り出す。

「ジャスティース!!」
左胸にジャストランサーを付けると歩の体を赤い光が包んでその姿を変えていく。
赤い光球がグリンショックスをかすめて、春日親子を掴んだ。
それは赤い巨人となり、彼女達を安全な場所へと移す。

「ジャスティス!あんがと〜」
「まあ、ジャスティスさんやないの。またお会いしましたな〜」
「あら近くで見ると男前やないの。惚れてしまうかもしれへん」
相変わらずマイペースな夫婦にその場にいる全員が固まる。

「せいっ!」
向き直ったジャスティスはジャスティスカッターと呼ばれる楔状の光線で
グリンショックスの触手を切って、ちよと暦を救出する。

「助かったよジャスティス!」
「感謝します。赤い巨人」
「二人共無事みたいだね」
機体を動かし、二人共グリンショックスから離れる。

49 :第65話 「リバーシブル」 :2006/02/24(金) 01:15 ID:???
「だあっ!!」
グリンショックスは触手を伸ばして襲い掛かって来たが、ジャスティスは
その触手を掴んで投げ飛ばした。道路を転がるグリンショックス。

「ん?あれは?」
榊も目を覚まし、状況を把握する。グリンショックスは再び触手を伸ばしてくるが、
ジャスティスはそれを手刀で切り裂く。しかし、グリンショックスのそれは
切ってもすぐに再生するのであった。

「あれじゃキリがないな。どうする!?」
暦が舌を巻いた。ジャスティスはグリンショックスの溶解液をかわして、飛び上がって
蹴りをグリンショックスの胴体にくらわして、地面に倒れさせる。
しかし相手はまるで何事もなかったかのように起き上がった。

「はああああ、しぇあっ!!」
ジャスティスは両腕を前に組んで放つ必殺光線ビクトリューム光線を発射した。
だが、グリンショックスは何とその体を宙に浮かせてかわしてしまった。

「嘘やろ。あんな体で光線をかわすやなんて」
「何て醜いんだ。美しくない」
翔はびっくりするが、榊は別の事で怒っていた。グリンショックスはその
飛び上がった状態のままジャスティスに体当たりする。
予期していなかった攻撃の為にジャスティスは吹き飛ばされた。

「ぐはっ!」
のしかかろうと再びグリンショックスは飛び上がる。だが今度は地面を転がって
回避する事に成功する。グリンショックスは地面勢い余ってビルにぶつかり、
ビルを破壊して倒れこんだ。
ジャスティスはお返しとばかりに体当たりして吹き飛ばす。

「はっ、うおおおおお」
ジャスティスはクラッシャーモードにチェンジしようとした。
だが、グリンショックスの触手がジャスティスの手と首を捉えた。

「ジャスティス!」
「ごふっ」

50 :第65話 「リバーシブル」 :2006/02/24(金) 01:18 ID:???
グリンショックスはその触手を利用してジャスティスを引き寄せる。
そして溶解液が入っている花弁を開きだす。

「まずいぞ!いくらジャスティスでもあれをまともに浴びたら・・・・・・・」
ジャスティスの胸のカラータイマーが青から赤に変わり点滅を始める。
その間にもジャスティスは触手に引きずられ、開いた花弁の元へどんどん近づいていく。

「そうだ!もうひとつの弱点を忘れてた!」
千尋が何か思いついたように大声をあげた。

「みんな、グリンショックスを倒す方法があるよ!あいつが植物である事に
変わりないならきっとそれが弱点のはず」
「海水か。だが本当に効くのか?奴はバーナーすら平気だったんだぞ」
「そんなのやってみなければ分かりません!やるだけです!」
ちよはそう言ってブルードラゴンのレーザーで触手を引きちぎる。
榊も同じようにもう一つの触手をハンドガンで切断し、ジャスティスを救う。

「ジャスティス、海だ!海に引きずり込んだ!」
「ジュワっ!」
暦の言葉に了解したのかジャスティスはグリンショックスの体を掴み飛び上がる。
そして海上まで飛んでいき、海面に降下していく。
途中、グリンショックスが暴れるが、榊の援護射撃もあり、触手をまたも切断する。

「でやああああああ!!」
ジャスティスはそのままグリンショックスを掴んで海中に潜る。
物凄いスピードで二人共、海底へと潜っていく。しばらくするとジャスティスが上がってきた。

「やったな!これで安心だ!」
「ちょっと物足りないです!」
安心する暦に対し、ちよは少し不満らしい。
だが、グリンショックスは切断された箇所から復活を遂げる。
そして再びジャスティスを触手で捕らえる。

「そうでなくちゃ!ありったけのミサイルを叩き込んであげます!」
ちよは不敵に笑い、ミサイルを乱射する。全弾命中してグリンショックスは動きが鈍った。
そのスキをついてジャスティスはグリンショックスの蔦を振りほどいた。

51 :第65話 「リバーシブル」 :2006/02/24(金) 01:19 ID:???
「ちよちゃん、ちょっと怖い。性格が反転するとあんな感じになるのか」
「私もそう思う。でもちょっとだけ頼もしいかも」
暦と千尋の感想だった。

「しぇあっ!」
ジャスティスは水面に立ち、周囲の海水を吸い上げてそれを指先から
グリンショックスに向けて放った。ウルトラスパウトと呼ばれる技だ。
海水が苦手なグリンショックスはたちまちその体を縮めていき最後は蒸発してしまった。

「やったで!!」
「勝ったんやなぁ」
「ジャスティスさん、ありがとな〜」
「シュワッ!!」
ジャスティスは春日一家や隊員達に手を振りつつ、飛び去っていった。

「どうやら戦いは終わったみたいね」
そこにちょうど井上舞が車で到着した。

「それにしてもこれはまたえらい事になってるわね」
舞は周りを見てそう呟いた。まあ無理もない。オドオドする智、ダラダラする神楽、
やたらポーズをとる榊、ハイテンションなちよを目の当たりにしているのだから。

「佐倉さん、悪いけれど上條さんもこちらに連れてきてくれる?その方が
手間も省けると思うから」
「分かりました。ほら、かおりん行くよ」
千尋はかおりんを連れて現場にまでやって来た。

「揃ったわね。はい、みんなこれ飲んで」
舞は手際よく薬を飲ませた。戦闘機に乗っていたメンバーは地上に降りている。

「あれ?私なんでこんなとこで寝転がっているんだ?」
「あたしもこんなとこで何やってんだ?」
今までだらけていた神楽やオドオドしていた智は事情が分からずあたりを見回す。

「熱き心の勝利です!・・・・・・・あれ?どうして私はここに?」
元に戻ったちよもきょとんとしている。

52 :第65話 「リバーシブル」 :2006/02/24(金) 01:22 ID:???
「この美しさはもはや罪かもしれない・・・・・・・え?どうしてこんな格好を?」
榊も元に戻って普段の自分なら着ないであろう衣装を見て驚いている。

「というか榊、それ持ってきていたのかよ」
暦が流石に呆れていた。戦いが終わった後にすぐ着替えたのだろう。
かおりんに飲ますとかおりんはすぐに目を覚ました。

「何だかとってもよく寝た気がする。さ、榊さん!その格好なんだか
とても素敵です!」
かおりんは目覚めるなり、目を輝かせて榊の手をとって見つめた。

「あ、あの・・・・・・」
榊はどうしていいか困っている。

「それにしてもゆっきーってば本当にいたずら好きね」
「全くだ。こうなるって分かってて渡したんだから迷惑な話だ!」
「そうやな〜」
別に自分は迷惑を被った訳ではないが、千尋と暦の言った事に同意する歩。

「そういえば聞いたわよ。ゆかり先輩と小岩井さん結婚するんですって?」
「ええ―――――――!!」
舞の発言に誰もが驚き、大声をあげる。

「誰と誰が結婚するん?」
「歩!まさかお前やないよな?」
「歩ちゃん!隠さんでええで!お母ちゃん怒らへんから正直に言うてみ!」
そこへ春日夫婦がやってきて歩にピントはずれな事を言ってきた。

「お、落ち着いてや!あたしやのうてゆかり先生や」
「ええ、ゆかり先生結婚するのん?意外や」
歩の言葉に今度は翔が反応した。

「舞先生も大阪さんも翔ちゃんも、大阪さんのお父さんお母さんも落ち着いて下さい!
ゆかり先生は別に結婚するとは言ってませんよ。確かに小岩井さんと仲良くしていますが」
「あら、そうなの?私がみなも先輩から聞いたのを聞き間違えたかしら。
でもどっちにしろゆかり先輩がね〜凄いわ」
舞はそれを聞いて納得したようだが、それでも十分にインパクトのある事だったらしい。

53 :第65話 「リバーシブル」 :2006/02/24(金) 01:24 ID:???
「さて、私はそろそろ帰らせてもらうわよ。何せまだまだ寝足りないのよ。
これは詳しく聞く必要がありそうね。それじゃあお休み」
何を思ったかその場で寝ようとする舞。暦に全力で止められる。

「何してるんですか!?舞先生!」
「いやねぇ冗談よ。それじゃあ行くわね」
舞は冗談めいた事を言って笑った後、車に乗って帰っていった。

「それじゃあ歩、ウチ等は先に帰ってるで」
「夕飯の準備とかせなあかんからな」
「あたしも帰るわ。またなお姉ちゃん、それにみんな」
結局最後まで緊張感のない春日夫婦だった。彼女達は自分の家へと帰っていった。
歩もそれに手を振る。

「私達も戻ろうか。何かどっと疲れたし」
千尋の意見に反対するものはいなかった。そしてメンバーは基地へと帰還するのだった。

「あははははは、みんな思った以上にはじけてたね」
「あの美浜さんがあんな性格になるなんて予想外ね。それよりも後であの子達に
謝っておきなさいよ」
モニターでその様子を見ていたゆっきーは大笑いし、和田は渋い顔でモニターを見ていた。

「それにしてもあのクッキー食べても何ともないなんて。愛しの千尋ちゃんの
その状態を見てどう思う?」
と橘は意地悪く長谷川に聞いた。

「愛しのってつけんのやめろって!」
「裏も表もないって事なのかしらね」
松田は冷静に分析していた。

「今うまい事言ったと思ってるなまっつん?そんなんじゃ点はやれないな」
「いや別にそんなつもりで言った訳じゃ。まっつんって私の事ですか?」
「さて十分楽しんだし、任務に戻ろうっと」
「あ、そうだった」
(こんなんで本当にいいのかしら?)
持ち場に戻るゆっきー達を見て、和田は密かにそう思った。
第65話  終      第66話へ続く

54 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2006/02/24(金) 02:11 ID:???
次 回 予 告
広大な宇宙空間で繰り広げられるムーンキャッスルゆっきー率いる艦隊と
宇宙の無法者達が乗っている艦(俗に言う海賊)の戦闘。
その名をモンブランという。

しかし、事件はこれだけに留まらなかった。地球でも異変が起きていたのだ。

「何だ、この船?宙に浮いてる!」
一体、この現象は何を意味するのか?

次回 ウルトラマンジャスティス
第66話 「呪われし船」
「私だってやる時はやるんだよ!」

55 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2006/02/24(金) 02:13 ID:???
終わりました。春日一家を久々に出しましたが、いまいち話に絡めて
なかったです。珍しく今回舞先生だけ出てたりします。(いつもは京子とセットが
多いだけに)
次回はレクシオンの話にしようかと思いましたが、ゆっきーの艦隊戦(リクエスト)
が出来なくなる為にこうしました。

56 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/02/24(金) 19:38 ID:???
>>44-55
お疲れ様です!
>>54
>その名をモンブランという。
何の名前が「モンブラン」なのかを念のために聞いておいても良いでしょうか?

57 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2006/02/25(土) 00:17 ID:???
>>56
ゆっきーの乗るものって事で。

58 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/02/25(土) 23:48 ID:???
>>57
わかりました。

それと、http://so.la/test/read.cgi/oosaka/1125758648/437-439でのライダーのデザインでの変更点があります。
>全身にフィットする薄手のレザースーツのような黒い体皮と〜腰に金属製の大きなベルトをつけ、そのバックル部分は
>装甲と同様に青く輝いている。
って部分は
全身は、人間の筋肉を形作ったような黒を基調とした装甲に覆われ、
胸部、上腹部、肩、太股等の装甲のみ青く染まっている。
腕部、脚部、肩、首、上腹部等の関節部分は筋肉繊維が剥き出しにでもなっているかのようで少しグロテスクであるが、
その体躯は胸部と臀部の丸みをおびた膨らみと脇腹から腰にかけての括れなど身体の 格部分に見られる曲線は
女性のそれである。
腰に、金属製に見える大きなベルトのような外骨格が施されており、そのバックル部分は胸部等の
装甲と同様に青く輝いている。
ってのに変更します。

59 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/02/25(土) 23:48 ID:???
>口と思わしき部分は牙−それも肉食動物の歯というより、昆虫の顎−のようなカバーに覆われており、
>額からはアンテナのように伸びる触覚器のようなモノが上空に向けて伸びている。
ってとこは、
口と思わしき部分は牙のようなカバーに覆われており、
額からはアンテナのように伸びる触角器らしきモノが伸びている。
…というふうに変更します。

>全身にフィットする薄手のレザースーツのような体皮、筋肉繊維が剥き出しになったような腕部や脚部等の関節部分、
>ドクロ(バッタ)のような顔の、額の触覚器、牙のようなカバーに覆われた口、
>と、先ほどの仮面の女性−谷崎ゆかり−に似た姿が現れた。ただし、こちらは少し違い、
>胸部と上腹部や肩等の装甲と、腰の金属製のベルトのバックル部分の色は紅く、
>全身の格部分に見られる直線的で引き締まったラインの体躯は男性のそれである。
>そして昆虫の複眼のような僅かに吊り上りぎみの大きな双眸は、装甲とベルトのバックル部分と同じ色で
>血のような紅い輝きを放って蜘蛛怪人達を威圧している。
という部分は
全身を覆う人間の筋肉を形作ったような黒を基調とした装甲、筋肉繊維が剥き出しになったような腕部や脚部等の関節部分、
ドクロ(バッタ)のような顔の、額の触覚器、牙のようなカバーに覆われた口、
と、先ほどの仮面の女性−谷崎ゆかり−に似た姿が現れた。ただし、こちらは少し違い、
胸部と上腹部や肩や太股等の装甲と、腰の金属製に見えるベルト状の外骨格のバックル部分の色は紅く、
全身の格部分に見られる直線的で引き締まったラインの体躯は男性のそれである。
そして昆虫の複眼のような僅かに吊り上りぎみの大きな双眸は、装甲とベルト状外骨格のバックル部分と同じ色で
血のような紅い輝きを放って蜘蛛怪人達を威圧している。
っていうふうに変更します。

60 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/02/25(土) 23:48 ID:???
今イラストを描いてるんですが、なんか、仮面ライダーというより『装植機甲ガイバー』みたいな
デザインになっちゃってます。(変更点説明ごときでレスを沢山使ってしまい申し訳ありません)

61 :CHANGE GETTER ROBOT THE STORY 第9話 −DEEP RED−(2) :2006/02/26(日) 13:02 ID:???
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この作品は暴力的・及びグロテスクな表現が含まれています!
閲覧は自己責任で!!!!!
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CHANGE GETTER ROBOT THE STORY
第9話 −DEEP RED−(2)

交錯した刃と鉤爪の間で火花が散る。
そして赤い二足が、褐色の大地を蹴り飛ばした。

「うおおおォォォおおおおおおおおりゃああああ!!!!!!!!!!!!」

跳躍の反動を利用し、蟻の体にその全身を叩きつけるゲッター1。
同時に、「傷だらけの右足」が弧を描きながら空を切る。
瞬きの半分程度の時の後に、
蹴り上げられた右足の折り曲げた膝が不気味にぼこっと膨らんだ蟻の腹部へと
真紅の破壊槌となって叩き込まれていた。

「グギャアアッ!!!!」

蟻がくぐもった叫びをあげる。
鋭い蹴撃によって蟻の体がグラリと揺れ、その巨体が大きくよろめいた。
そしてその瞬間に一筋の閃光が空気が中で一閃し、
その先から紫色の液体が霧の様に噴出した。

「ギャアァァァァァァァァァアアァァァッァァァァァアアッァァ!!!!!!!!!!!!!!

体液が噴出している根源は、蟻の叫び声が溢れ出ている、牙で満ちたクチのすぐ真下にあった。
蟻の首の根元の辺りに、正面から見て左下がりの一筋の裂傷が刻まれていた。
傷は大して深くは無いようだが当り所が悪かったらしく、損傷と反比例して溢れ出る体液は量が多い。
そしてそこにもう一対の刃が、その刃渡りの半分以上を深々と突き立てた。
装甲の割れ目の隙間から体液に混じって、ぐちゃぐちゃに抉られた挽肉が飛び散った。

62 :CHANGE GETTER ROBOT THE STORY 第9話 −DEEP RED−(2) :2006/02/26(日) 13:02 ID:???
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「うゥるせぇエ!!!!!!!!!!!!!!!」

叫び声を上げる蟻の口元目掛け、再び戦斧が振るわれる。
今度は刃ではなくその背面に備えられたトゲ付きの棍が、蟻の顔面に振り下ろされた。

「もォらったァァァあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」

両手で握り、機体の全重量を上乗せし、耳障りな音のその根源へと
無数の黒トゲの群れを振り下ろす。

「くたばりやがれぇえええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

激昂を上げる竜馬。
だが、次の瞬間。

ベキッ・・・!!!

鋭い破裂音と共に、機体の眼前を何かが横切った。
何かの破片が。

「なッ!?」

破片の正体を認識しかけたその瞬間、傾いていた蟻の体が解き放たれたバネのように反り返り、
ゲッター1へとその身を叩き付けた。

「ぐッ!!!!!!」

それに弾き飛ばされ、土砂と土煙を吹き上げながら機体が地面を滑走する。
そして蟻の前方。
距離にして2、300m程離れた場所で、地面に幾筋もの亀裂を刻みながら機体は静止した。

「ヤロォ!!!!!」

滑走の速度を抑制するために地面に突き立てた戦斧を引き抜き、再び機体が立ち上がる。
だがこのとき、引き抜いた戦斧は斧の形をしていなかった。

63 :CHANGE GETTER ROBOT THE STORY 第9話 −DEEP RED−(2) :2006/02/26(日) 13:03 ID:???
本来、今頃は蟻の顔面を爆砕しているはずのトゲは、その部分をごっそりと抉られていた。
先程の破片の正体はそれだ。
振り下ろしたハズのこちらの方が、砕け散っていたのだ。

だが、一体何に?

その答えを得る前に、巨大な黒影が、機体と大地の上でゆらめいた。

「散れッ!!!!!」

そう、隼人が叫んだ直後だった。

「ググウウウウウギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!」

耳障りな咆哮が虚空を切り裂き、大地に激震が走る。
四本の長い足が、大地に突き刺さっていた。
その間を、突き刺さった刃と蟻の巨体で塞がれたその僅かな隙間を掻い潜り、
三つの影が空へ吸い込まれるようにして飛び立ち、白熱した太陽を背に一つに合わさった。
そしてそれは、紅蓮の炎を吹き上げながら火矢さながらの勢いで地上に向かって落下、否。
地上に向かって撃ち出されていった。

「舐ァァァァめンじャねえェ―――――――――――――――ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

空気の層を、渦巻かせて回転する銀槍の切っ先を、怨敵へと向けながら。



「・・・んで」

「なんでよ!?」

「なんで、なんであいつらは………………なんで戦えるのよ!?」

64 :CHANGE GETTER ROBOT THE STORY 第9話 −DEEP RED−(2) :2006/02/26(日) 13:04 ID:???
そう言った。
そう叫んだのは、谷崎ゆかりである。
切れた右頬の内側から垂れる一筋の乾いた血線と、赤紫に腫れて生々しく盛り上がった
殴打の痕跡がしい。

「・・・って」

消え入りそうな声が、響いた。

「が・・ん・・・・って」

腫れ上がった喉から、声が零れていく。

「がん・・・ばっ・・・て・・・くだ・・・さい・・・」

長身の少女に抱き抱えられたまま、涙が染み付いた顔をくしゃくしゃにさせながら、
幼い女子高生の少女が言った。

「ちよ……ちゃん……」

その名の少女を抱く榊が、その腕の力を強めてちよを抱いた。
自分よりも、ずっとずっと小さな体を。

小さな体を、強く抱いた。











TO BE CONTINUED

65 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2006/02/26(日) 13:10 ID:???
どうも。
一周年を二週間ほど過ぎましたが、なんとか投下できました。
目処としては、5月前には少なくとも場面を本格参戦にまで移行させたいと
思っています。
今まで散々に時間を消費してしまって申し訳ありませんでした。

一年が経過してしまいましたが、どうかこれからもよろしくお願い致します。

66 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/02/26(日) 23:42 ID:???
>>61-65
お疲れ様です!!!

67 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/03/02(木) 23:46 ID:???
『仮面ライダーゼルバ』 〜文章版パイロットフィルム(?)Vol.3〜

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この作品は暴力的・及びグロテスクな表現が含まれています!
閲覧は自己責任で!!!!!
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−試作用『ラブコメ?』的シーン−


BUOoooo…

変身を解いた小岩井は自分のバイク『ゼルヴァリンガー』の車体色をブルーラインに変化させた後、
それに乗り公園に戻っていった。

「あ…」

公園に着き、バイクから降りると、雪がちらほらと降り始めた。

「(そういえば、もう十一月も末だな…)」

と、小岩井は改めて思った。
公園内を見回すと、既に変身を解いたゆかりがだるそうにベンチに座っていた。
そのすぐ側には、車体色をブラックヘッドに変化させてある、
ゆかりのバイク『ベアルナージェ』が停められている。

「ご苦労さん。やっと終わったな」

そう言って小岩井はゆかりの隣に座った。

「そうね。……ほい。アンタの分」

ゆかりは、ベンチの隅に置いた二本の缶コーヒーのうち一本を彼に手渡した。

「え?(ひょっとして、これが雪の原因か?)」
「何よ?そんな顔して」

68 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/03/02(木) 23:50 ID:???
小岩井は、いつもの破天荒で自己中心的な彼女にしては、
率先して他人に飲み物をおごるなどという、非常に珍しい行為に、
一瞬、唖然となったのだ。

「バカね。安心なさいよ。コーラじゃあるまいし、何か仕掛けたりなんかできるわけないでしょ。
それとも何?いらないからこっちも私にくれるっての?…あー、そんじゃ遠慮なく…」
「あ!!待て!誰がいらないなんて言ったよ!?」
「ふふっ…ほらよ。はやく飲まないと冷めちゃうわよ」

ゆかりは悪戯っぽく(見ようによっては、ある意味、艶やかしく)笑みを浮かべて缶コーヒーを1本手渡した。

「あ、ああ。………本当、やっと終わったんだよな。一応、仇討ちってのは…」
「あー、そうね…」

二人は同時に缶のプルタブを開いた。小岩井は、そのコーヒーを一口飲んで小さく溜め息をついた。
十数年前に殺された小岩井修輔の両親の、
一ヶ月前にホテル「あかつき」で開かれた城南大の同窓会の時に殺されたOB達、
その数日後にゆかりが英語教師をしている高校の文化祭の最中に虐殺された生徒をはじめとする人達、
その数時間後に周辺民家の人達ごと惨殺されたゆかりの家族らの
復讐は終わった。だが…

「これで、奴等が全滅したんなら、それでいいんだけどな…」
「ん?…ま、確かにそうね…」

小岩井が訝しげに呟く。彼らの復讐は終わったが、
あの『新人類』という怪生物が突然発生したことを考えると安心していられないのかもしれない。
これから先、もう新人類が現れないという保証は無いわけだし、いつどこに現れるかも判らない。
最悪の場合、日頃から充分親しみを感じている人達が新人類に今度こそ殺されてしまうかもしれない。
数日前に、ゆかりが勤めている高校の文化祭が襲撃された時は、偶々、その時初めて変身した自分達が
近くにいたから何とか救うことができたが……。

69 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/03/02(木) 23:53 ID:???
「…!……あー、考えててもどうにもなんないわね。なるようにしかなんないんだから」
「え?あぁ…そうだな…。帰るか」

ゆかりは、あと少しだけ残った缶コーヒーを一気に飲み干し、そう言った。
小岩井も考え事を止め、帰ることにした。

「そうね。はやいこと帰って…ふぁ…寝るとするかな」
「また遅刻すると教頭に小言言われるしな?」
「うっさいわねー」

眠たそうに喋るゆかりに、小岩井はからかうように言った。
二人はフルフェイスのヘルメットを被ると、小岩井はゼルヴァリンガーに、
ゆかりは、ベアルナージェにそれぞれ跨り、帰路についた。

BUOoooooo…

なお、そこから少しだけ離れた場所で、オードソックスなフォーマルスーツの上に
丈の短い黒いコートを羽織り、丸く黒いサングラスを掛けた男性が、コートの色と対照的な
白い乗用車に乗り、その車を発進させてその場から離れていくのに二人は気づかなかった………。



−試作用『敵』的シーン−


小岩井達が暮らしている街からそれなりに離れた地にある、日本では非常に珍しい、
街の中心部をも横切る大型運河がある、海に臨んだその街の中心部の運河内に
豪華客船「ビーティンブル号」が停泊している。この船は、発進することは無く、
常にこの場に停泊したままで、表向きは少し趣向の変わった高級ホテルとして営業している。
そう…表向きは……。

70 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/03/02(木) 23:57 ID:???
ホテル・ビーティンブル号の船楼内にある船内バー「COLORBAR」の照明を落とし、
カウンターの奥にある水槽のブルーライトと酒棚のライトのみに照らされた
少し不思議な雰囲気のする店内のカウンター席に、客と思わしき
撫で付けられたオールバックの髪型をして、
少し扱けた頬と、僅かに彫りの深い眉間と、口元と目元に少し皺がある顔をして、
黄色いテックタイを襟に巻いた白いワイシャツの上に、の部分が緋色で
ウエストに絞るためのベルトが装着された丈の長く、一枚襟でダークパープルのジャケットを着て、
左右の外側サイドに黄色いサイドストライプが一本ずつ入った黒いズボンを穿き、茶色いロングブーツを履いた
壮年の男性が鎮座している。
カウンターの奥では、この船内バーのオーナーバーテンダーであろう、顔の左側にだけ、髪を顎のあたりまで垂らし、
それ以外の頭髪を後頭部上方で纏めてアップスタイルの髪型をし、
黒い蝶ネクタイを襟に巻いた白いフォーマーシャツの上に、ダークレッドのベストを着て、
同じくダークレッドのスラックスを穿いた女性がカウンターの奥でシェーカーを振っている。

KA・tya… KA・tya… KA・tya… KA・tya…

その女性バーテンダーはシェーカーを振るのを止めると、その中のカクテルをグラスに注いでいく。
注ぎ終えると、そのグラスをカウンター席に座るダークパープルのジャケットを着たオールバックの
壮年男性の前に置いた。

「モンキーズランチだったわよね。ゼムザ様」

アップスタイルの女性バーテンダーに「ゼムザ『様』」と敬称付けで呼ばれた、
その壮年男性は、差し出されたカクテルを一口飲んで言った。

「…うむ。相変わらず素晴らしいな、景丘冴子君。少なくとも、都合上
旧人類を殺戮したり試食したりすることができない時に気分を少し紛らわすには充分だ」
「ありがとう…結構、辛口批評ね」

ゼムザに「景丘冴子(かげおか・さえこ)」と呼ばれた、その女性バーテンダーは妖艶な笑みを浮かべて礼を言った。

BUruuuu…

その時、ゼムザは自分の服のポケットに入れてある携帯電話が振動するのを感じて、
ポケットから携帯を取り出した・

71 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/03/03(金) 00:00 ID:???
「もしもし?…あぁ、君か。栖堂昌司警部補」

ゼムザに電話越しにだが、「栖堂昌司(すどう・まさし)」と呼ばれた
オードソックスなフォーマルスーツの上に丈が短く黒いコートを羽織った二十代後半ぐらいの男性は、
サングラスを外して、自分の乗用車を走らせながらハンズフリー装置付きの携帯電話を使って
ゼムザと通話していた。先程、ゼムザに「警部補」とも呼ばれたからには警察官なのだろう。

BUuuuuuuuu…

「ええ。例の二人のことですが、大友さんと酒井さんをはじめとするスパイダー・タイプの『クラスB』を
数日中に四名も亡き者にし、更に大友さん達に付き従っていた鈴木さんをはじめとする『クラスC』を
十数名も一緒に屠ったという事実から考えるに、あの二人もゼムザ様…貴方と同じく『クラスSS』だと見て
間違いないでしょう」

栖堂は先程の公園付近等で見ていた、彼の言う「クラスB」やら「クラスC」を変身して倒した
小岩井とゆかりの事をゼムザに報告した。

「そうか…しかし妙だな。その二人も新人類だというのなら、旧人類を殺そうとしないばかりか…
それ以前にクラスSS用の『新化細胞』の新化に耐えることができる旧人類がそうそういるとは思えんが
…一気に完全に『新化』させずに、一時的且つ半端な新化を繰り返して少しずつ慣らさせながら
新化させることで耐えれるようにしたとも考えられるが…しかしクラスSS用の新化細胞は
一つ生産するのに時間がかかりすぎるばかりか、その新化に耐えれる者が私を除いて皆無なので、
もう生産中止にした筈だが………とにかく、君のほうでも近辺の仲間に注意するように呼びかけておいてくれ」
『わかりました。では、また後ほど…』

PI…

栖堂からの通話が切れたのを確認したゼムザは携帯をポケットにしまった。

「何だか、少し面倒なことになったかもしれないわね…だけど、これは楽しめるかもしれないわね…」

景丘の口調は、まるで他人事のように、そしてその表情は何やら面白そうだと思っているようだった。

72 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/03/03(金) 00:03 ID:???
ゼムザも景丘ほど楽天的そうではないが、少しだけ口元に余裕そうな笑みを浮かべ…

「ふ…確かにそうだな。…栖堂警部補と君、景丘君の二人は『クラスS』の数少ない成功例だ。
もっとも、身体面と能力面が完全に新化するのにかなり時間がかかってしまうのが難点だが…」

そう言ってゼムザはカクテルを飲んだ。ゼムザのその言葉を聞いた景丘の表情は、
余裕の笑みから苦笑いに変わっていた。

「(アメリカで陸軍に紛れて新化細胞の実験活動を行っている
『クラスA』のゾル・ヴァンファ少将を呼び寄せておくとしようか……)」

ゼムザがそこまで考えた時、その思考は中断された。

「ヒック…」
「ごめんなさい。今日は貸切なの…」

COLORBARに、このホテル・ビーティンブル号の客とであろう眼鏡を掛けてフォーマルスーツを着た
サラリーマンだと見て間違いないであろう酔漢が入ってきた。酔いどれているが、高級ホテルである、
このビーティンブル号に泊まるぐらいなのだから、かなりの一流企業の社員なのだろう。
その酔漢に景丘は丁重に今日は退きとってくれるように言う。

「なーに、一杯ぐらい飲ませてよぉ」

ゼムザはカクテルを飲みながら、その酔っ払った男のことを横目で…
冷ややかな視線で見つめていた。

「ケチケチしないでさぁ〜」

男がよろついた足取りでゼムザの側を通ろうとした、その瞬間…

DOguzyaa!

「おっと…これは失礼……」

そう言ったゼムザの腕が男の胸板を貫き、男の心臓を潰していた…。
ゼムザが男の体から腕を抜くと、男は口から血を垂れ流し、
また、胸と背中に空いた風穴から噴水のように多量の紅い血を噴出しながら床に倒れた。

73 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/03/03(金) 00:06 ID:???
「フっ……」

その様子を見続けていた景丘は、「実に面白いものを見せてもらいました」とでも
言い出しそうな表情をして鼻で笑った。
ゼムザはポケットから、また携帯を取り出してある人物に電話をかけた。

「あ、船長。私だ。実はな…」

ゼムザが電話越しに船長と呼んだ、
頭髪に白髪が混じり、
襟にボーラタイを巻いた白いフォーマーシャツの上に、
襟の色が黒い、赤色のスペンサージャケットを着て、
左右の外側サイドに赤いサイドストライプが入った黒いスラックスを穿き、黒いブーツを履いた、
初老の男性は、ゼムザと景丘がいるフロアから多少離れた、船楼最後部の他の船楼フロアよりも
一階分高くなった最上階の船橋室内のシートの一つに座って、自分の携帯にかかってきたゼムザからの電話に出ていた。
常に停泊したままで、ホテルとして営業しているビーティンブル号の「船長」ということは、
ホテルとしてのビーティンブル号の総支配人ということなのだろう。

「わかりました。すぐに片付けさせておきましょう」
「ああ、頼む。あ、それとただ片付けるだけではなく、料理長に伝えておいてくれ。
嗜好品が手に入ったので、解体して冷凍庫にしまっておくようにとな…」

ゼムザは、先ほど殺した男の死体を見やりながらそう言った。

「畏まりました、ゼムザ様」
「うむ…」

PI…

この、ホテル・ビーティンブル号の総支配人である船長からゼムザ『様』と呼ばれ
先程通話した栖堂警部補から「クラスSS」とも呼ばれた、この壮年男性は
船長との通話を切ると携帯をポケットにしまった。

「ところでゼムザ様。着替えておいたほうが良いわ。流石に目立つわよ…」
「む?そうだな…」

景丘に言われてゼムザは自分の衣服を見た。先ほど殺した男の返り血でジャケットが
赤黒く染まってしまっている。ゼムザは顔色一つ変えずに席を立つと自分の客室に歩いていった…。

74 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/03/03(金) 00:07 ID:???
はい。以上、
「試作用『ラブコメ?』的シーン」と「試作用『敵』的シーン」でした。
後者で、あずキャラの出番が全然なくて、どうもすみません。
今回はいろんな意味で長くなってしいました。

75 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/03/14(火) 23:02 ID:???
『仮面ライダーゼルバ』 〜文章版パイロットフィルム(?)Vol.4〜



−試作用『ほのぼの?』的シーン−




西暦2016年の十二月も半ばに入りかけた、ある晴れた日の朝。
小岩井家の畳・数畳分の寝室には、大人用サイズの布団が二枚敷かれ、
向かって右に小岩井修輔が、真中に小岩井修輔の娘(拾われっ子だが)である小岩井よつばが、
その向かって左隣には谷崎ゆかりの、三人がもう朝だというのに気持ち良さそうに寝ている。
おまけに三人揃ってかなり寝相が悪い。
半月ほど前にゆかりの家が蜘蛛型の新人類に襲撃された襲撃され、その際にゆかりの家族も全員
あの蜘蛛怪人に殺された挙句、家も周辺民家数件ごと全壊させられて以来、新人類という怪生物と
自らも異形の怪物に変身して戦った者同士という縁(と言っては変かもしれないが)もあって、
ゆかりは小岩井宅に居候させて貰っている。住人が一人増えたぐらいなら生活には経済的に特に支障は無かったし
義理の娘であるよつばも、元々、人懐っこい性格だということもあって、すぐゆかりに懐いた。
その−小岩井(こいわい)よつば−という、緑色の頭髪を後頭部の上方と下方に二対づつ束ねた六歳の少女は、
ついさっきまで眠っていたのが嘘のように、目をパッチリと見開き万歳するようなポーズで飛び起きた。

バッ!

「朝だ!!」

そして、自分の左隣で寝ている育ての父である小岩井修輔の腹部に飛び乗って叫んだ。

ドン!

「とーちゃん!」
「おぶっ」

バチィッ!!

「んぎゃっ!?」

小岩井は、よつばが上に飛び乗ってきた時の衝撃で、振り上がった自分の腕を
無意識のうちに振り下ろすときに隣で寝ていたゆかりの顔を思いっきり叩いてしまった。

76 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/03/14(火) 23:07 ID:???
「あさだぞ!!」
「……わ、わかったから、どいてくれ…」
「うん!」

小岩井の上からよつばが降りると、小岩井も自分の上半身を起こした。
すると、その視界に、ウェーブのかかったロングヘアーをした女性が
起き上がっているのが見えた。

「ん?何だ、珍しいな…ゆかりが先に起きてるなんて……って…」

その、ウェーブのかかったロングヘアーをした女性・谷崎ゆかりが凄い形相でこちらを睨んでいた。
誰がどう見ても怒っていることが一目瞭然な表情だった。

「え?…あ…お?…ゆ、ゆかり?」
「!!!!!〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
「うわっ!ちょ、やめろって!あたた!!」
「おー!どっちもがんばれー!!」

怒りの咆哮を上げて小岩井に組みかかるゆかり。よつばはというと、
その二人を試合の観戦でもしているかのように応援している。
小岩井とゆかりが一緒に暮らすようになって以来、ほぼ毎朝こんな調子である。

…寝室で一悶着あった後、よつばと小岩井は、居間に置かれた卓袱台に向かって座った。
よつばの前には、牛乳に漬かったコーンフレークが入った皿が置かれている。

「いただきます!」
「おあがりなさい…」

よつばはコーンフレークをスプーンですくって、それを自分の口に含み、飲み込んで言った。

「ぷはーっ!やっぱりこっちの牛乳はうめぇな!!」
「だから、いっしょだろう…それと、もう体の上に飛び乗って起こすのは勘弁してくれよ…
…あ、ゆかりー。俺の分は?」

本日の食事当番はゆかりなのである。

「ほい」

小岩井に呼ばれて居間に入ってきたゆかりは小岩井の前に
まだ蓋を開けていないカップラーメンを置いた。

77 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/03/14(火) 23:10 ID:???

「…って、カップ麺かよ!」
「うっさいわね、しょうがないでしょ。コーンフレークも牛乳も少ししか残ってなかったし、
パンも昨日で切らしちゃったし、それに今から目玉焼きなんか作ってたら遅刻しちゃうでしょ」

ZIiiii…

ゆかりがラバー製のライダースーツのファスナーを閉めながら捲し立てていると、

「だいじょうぶだ!とーちゃんのぶんは、よつばがつくる!!」

朝っぱらからハイテンションなよつばが、元気よく言った。

「えぇ?」
「あらー、偉いわね、よつばちゃん。とーちゃんはダメね〜」
「とーちゃんはだめだなー!!」
「………」

よつばの頭を撫でながら上機嫌に言うゆかり。英語教師として勤めている高校で
一癖も二癖もある生徒達で埋め尽くされたと言っても過言ではないクラスの担任をしているゆかりにとって
六歳の少女であるよつばを手なづけることぐらい特に雑作も無いことだったらしい。

ゆかりがライダースーツを着終えると、よつばが言った。

「おー!きょうもとーちゃんのとおそろいのでいくんだな!」
「「『御揃い』って、ゆーな!!」」

二人で同時によつばにツっこむ妙に息が合っている小岩井とゆかり。
只今ゆかりが着ているライダースーツは、
黒を基調としてサイドが赤く、上半身がノースリーブでホールタータイプになって、
膝の部分等に分厚いプラスチック板が入ったラバーキャットスーツの上に
丈が短く、鳩尾の辺りぐらいまでしかないジャンバーを羽織り、
グレーのブーツを履いた物である。
小岩井の持っているライダースーツも、サイズが男性用サイズである以外は
ゆかりのと同じデザインで同じカラーリングの物であるため
それ故によつばに「御揃い」と呼ばれたのだ。

78 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/03/14(火) 23:15 ID:???
ホテル「あかつき」で開催された城南大学の同窓会が新人類に襲撃された際に
蜘蛛型の新人類に殺された、小岩井やゆかり達の大学生時代の教師だった
今は亡き紫河教授が設計した「ゼルヴァリンガー」と「ベアルナージェ」という
二台の大型バイクを譲り受けて以来、バイクに乗る機会が増えるであろうことが想定されたため、
調度よく近所で超特価の大安売りをしている専門店があったので、二人で一緒に買いに行ったのだが
少し遅かったらしく、そのデザインのしか売れ残ってなかったため、やむを得ず
その「御揃い」のデザインのライダースーツを男性用のサイズのと女性用サイズのを一着づつ購入したのだった。
成人男性にしては腋毛が相当薄い小岩井にならノースリーブのでも(上着のジャンバーも
付いているということもあって)特に問題は無かった。

気を取り直して、いそいそと出掛ける準備を進めるゆかり。
小岩井修輔の仕事は翻訳家で、谷崎ゆかりの仕事は高校の英語教師。二人の職業柄、
ゆかりの方が外に出る機会が小岩井よりも多い。

「けど改めて思うと意外だよな。ゆかりが大型自動二輪の免許を持ってたなんて」
「御互い様よ。私だって、あんたが大型二輪の免許持ってるなんて、全然、想像できなかったんだから」

フルフェイスヘルメットを被りながら、小岩井に答えるゆかり。
ふと彼女は、当の小岩井がしげしげとこちらを眺めているのに気づいた。

「何よ?」
「え?あ、いや…結構、似合ってるなって思って…不二子みたいだし」
「は?」
「いや…一応、誉めたつもりなんだけど…」
「え…………ははーん。さてはあんた、私の魅力に見取れちゃってたってことぉ?」
「…そ、そんなんじゃないっての!」

確かに小岩井が言うように、全身にピッチリとフィットして身体のラインがクッキリと
よく浮き出たラバーキャットスーツに身を包み、ウェーブのかかったロングヘアーを靡かせて
オートバイに跨るゆかりのその姿は、先程、彼が言った有名な怪盗の孫が活躍するアニメの
メインヒロインそのものなのかもしれない。

79 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/03/14(火) 23:19 ID:???

なお、小岩井宅で、こんなやりとりが行われたのとほぼ同時に、ここから少し離れた場所で……

「へっくしゅんっっ!!」
「わっ!…こっちを向いたままクシャミするなよ!」

ゆかりが担任をしているクラスの生徒で、その有名な怪盗の孫が活躍するアニメの
メインヒロインに憧れている、硬そうな頭髪で外ハネのセミショートの髪型と
丸い大きな目をしてた自称「暴走女子高生」が、
一緒に登校していた、その幼馴染である
茶髪のロングヘアーで、黒っぽいオーバーニーソックスを履いて、
眼鏡を掛けた垂れ目の大人びた少女に
向けてくしゃみをしてしまい、
その眼鏡の少女にそのことでツっこまれていた。


「じゃ、行ってくるわね」
「ああ。行ってらっしゃい」
「いってらっしゃい!!」

出勤準備を終えたゆかりが、玄関まで歩いて行くのを小岩井と、
朝食を食べ終えたよつばが見送っていた。

「…………」

ゆかりを見送る小岩井の視線は、ゆかりが歩を進める度に、右へ左へと揺れるゆかりのお尻に釘付けになっていた。
ライダースーツ越しにとはいえ、スーツが薄めのラバー製であるため、ヌード同然とまではいかないまでも、
身体のラインがかなりクッキリと浮き出ているので、スーツの皺の寄り方で尻の割れ目や尻と太腿の境目等が
どの辺りなのかが、それなりにわかるようになっているのだ。
彼は、まだ半月弱だけとはいえ、今自分が見つめている尻を、肢体を持つ異性と同じ家で暮らし
同じ部屋で寝ていた(流石に、一緒に風呂に入ったりは、まだしていないが)という事実を改めて思い返すと
今更ながら少なからず興奮をおぼえていた。

80 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/03/14(火) 23:26 ID:???
ゆかりはブラックヘッド状態にしてあるベアルナージェに跨って出発しようとしていたが、
彼女はふと動作を止めて小岩井の方を振り向いて言った。

「あー、そうそう。あんた…」
「…!」

尻を見ていたことに気づかれたのか!?と思い、少し動揺した小岩井だったが
その心配は杞憂に終わった。

「今は冬なんだし、ズボンぐらい履いとかないと風邪ひくわよ」
「え?…あ」
「とーちゃんはいっつもパンツまるだしだなー!!」

ゆかりに言われて小岩井は、視線を下に向けて自分の姿を見た。
彼はシャツとトランクスを一枚づつだけの姿だった。

「ほんじゃ…二人共、また後でね〜」

BUOooooo…

そう言うとゆかりは自分のバイクである「ベアルナージェ」を走らせて学校に向かった。
ただし、ゆかりが自ら運転するのは、せいぜい発進時と駐停車時ぐらいで、その時以外は、
ほぼ全てベアルナージェに搭載されている人工知能よる自動操縦である。
ちなみに、亡き紫河教授が設計した、小岩井用のバイク「ゼルヴァリンガー」と、ゆかり用のバイク「ベアルナージェ」は、
フロント部分のデザインが少し変わっている以外は、一見、よく見かける大型自動二輪車のように見えるが、
それに搭載されている人工知能とバイオセンサーにより、
小岩井とゆかりの体内に普段は分散してナノマシンのようなモノと化して埋まっている
「新化細胞制御ベルト」(これも、故・紫河教授が開発した)の宿り主の脳波に敏感に反応して、
自動操縦だけではなく、遠く離れた場所から、制御ベルトの宿り主である小岩井やゆかりの元へと
自走して駆けつけたりすることもできる。
それと、ゼルヴァリンガーとベアルナージェの車体の塗料は特殊な磁気加工というかマトリクス機能が施されており、
普段はゼルヴァリンガーは「ブルーライン」というダークブルーと銀のカラーリングで、
ベアルナージェは「ブラックヘッド」という黒一色のカラーリングだが、主人的存在である小岩井やゆかりが
バイク自身がいる位置から半径200メートル以内で変身しているのを感知すると、
ゼルヴァリンガーは車体色はライトレッドとブラックを基調としたカラーリングに変わり、
二つあるライトの色も真紅に変わるためフロント部分が変身後の姿の小岩井の顔のようにも見え、
更に車体の装甲の硬度も強化される。
ベアルナージェも車体色はコバルトブルーとブラックを基調としたカラーリングに変わり、
ライトの色も青く変わるのでフロント部分が変身後の姿のゆかりの顔のように見え、
ゼルヴァリンガーと同様に車体装甲の硬度も強化される。
あと、ゼルヴァリンガーとベアルナージェは双方共、車体内部に搭載されている
ナノマシンによる自己修復機能もあるため、少々の破損ならば数秒で自ら修復することができる。

81 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/03/14(火) 23:28 ID:???
「(さて…俺も仕事にするとしようか)」

ゆかりが出掛けて行ったのを確認すると、小岩井は仕事部屋に向かおうとしたのだが…

「う〜、寒!…その前に服着ないとな…」

確かに十二月に下着のままだと風邪をひきかねない。

「とーちゃん!!」
「ん?何だ、よつば」
「パンツからなんかはみでてるぞ!」
「あ?…!!!」

実は小岩井は、先程ゆかりのお尻を見つめた時に少し興奮して
股間にある男として大事な部分が勃起し、その時に少し捲れたトランクスの裾から
ついさっき寒さに震えてしぼんだ際に斜め下に向けて垂れた自分の男根の先端が
トランクスの裾の隙間から少しはみ出してしまっていたのだ。
彼は、六歳児にとはいえ、そのことを口に出されて、思わず赤面した。

82 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/03/14(火) 23:30 ID:???
以上、「試作用『ほのぼの?』的シーン」でした。
まさか、このシーンだけでこんなに長くなるとは自分でも思いませんでした。
ところで、投下しておいてから聞くのもなんですけど
このスレってソフトエッチぐらいならOKでしたよね?
あと、バイクについての説明もしときました。
それと、念のために言っておきますが、主人公はあくまでも
小岩井修輔こと「とーちゃん」ですから。
(何度も言うようですが、正式版は仮面ライダー板に投下する予定です)

P.S.
とーちゃんとジャンボとやんだとゆかりとにゃもらは、
絶対に二十代なんだと思うことにしとく。ジャンボは
無精髭を全部剃り落とせば、ちゃんと若く見えるんだと
思っときます(ただ、それだけです)。

83 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2006/03/15(水) 00:38 ID:???
>>61-65
お疲れ様です。ちょうど新を見終えたとこだったので、戦闘や
竜馬達がどういう顔で戦っているかイメージしやすかったです。

>>67-82
お疲れ様です。ライダーとして戦ってた時に比べてとーちゃんは
普段はかっこわるいですねw
表現の細かさには恐れ入ります。ただ、

<新人類に襲撃された襲撃され、
襲撃がひとつ多いですね。少し気になったもので。

84 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/03/16(木) 18:42 ID:???
>>83>>67-82
どうもです。

申し訳ありません。見落としていたようです。

85 :第66話 「呪われし船」 :2006/03/24(金) 18:46 ID:???
ウルトラマンジャスティス
第66話 「呪われし船」
暗黒戦艦 バラックロックス 登場

広大に広がる無限の宇宙。その宇宙空間を今、数隻の艦隊が動いていた。
それは月に基地を持つムーンキャッスルの戦艦のものであった。
その中でも小型の戦艦であるサラミスが3隻である。
対峙する艦隊は赤黒い船体に、無数の砲台を有している。数はサラミスの3倍、
つまり9隻である。

「ふへへへへへへ、たった3隻で俺らを止めようって考えるなんざ舐められたもんだなぁ!ええおい?」
相手は顔は猛牛で、鋭い角が生えており、それが武装しているのだ。

「うーんあたしも出来れば面倒だからパスしたかったんだけどね。先輩に言われちゃしょうがないでしょ」
「何訳のわかんねぇ事言ってやがるんだ!」
相手から発せられる通信にまったく緊張感のない声で答えた。

それは少し前に遡る。
宇宙ステーションV7に所属するイリーナ・ジュレスからムーンキャッスルへと連絡が
あったのだ。それはHOLYとも通信が繋がっていた。

「今そっちにそこらじゅうの星で荒らしまわっているブラックノアが向かっているわ。
気をつけて」
「ブラックノア?何だそりゃ?」
イリーナの説明を聞いて智が首をかしげた。

「牛のような姿をしているバファロア人を中心とした荒くれ者達で構成される
いわば宇宙の海賊ってとこだな。指名手配リストにも載ってるぞ」
橘が今度はブラックノアについて説明する。

「まったく地球でも宇宙でも争いごとってのは絶えないのかよ」
神楽があーやだやだと首をふる。
前回は特に目立った事をしていない歩だったが、今回はこの段階で既に寝ていた。

86 :第66話 「呪われし船」 :2006/03/24(金) 18:48 ID:???
「それよりもブラックノアってかっこわるいネーミングねぇ。
もう少し何とかならなかったの?」
「やかましい!赤羽咲月のネーミングセンスに比べればマシってもんだろ!」
かおりんにダメ出しされて橘は少しムキになって反論する。

「まあ確かに咲月さんのネーミングセンスはどうかと思う」
「あの、今は咲月さんのネーミングセンスの事を話し合ってる時じゃ」
「そうですよ!その宇宙海賊を何とかしないと」
同意する千尋に対して、話の軌道修正をする榊とちよ。

「おっとそうだった。でそのブラックノアは俺達ムーンキャッスルの
陣営に近づいてきているわけだ。当然迎撃する。で、行ってもらうのはかなめちんだな」
「え?」
言われたかなめちんは心底意外そうな表情で橘を見た。

「何であたしなんですか?」
あまりに意外な出来事にかなめちんと呼ばれた事にツッコミを入れるのを忘れるほどであった。

「何か不満か?」
「いやだってアッキーや長谷川君、それに松田さんもいる
中でどうしてあたしなんですか?それに先輩だって」
「まあそういう気分だったからかな」
橘らしい実にいい加減な回答であった。他の三人は恐らく別の場所にいるのだろう。

「いやそれじゃ納得できないよ!みんなもそうでしょ?」
とHOLYに聞く。

「頑張ってゆっきー」
と千尋、暦、歩の三人以外のメンバーが満面の笑みで手を振っていた。
どうやら前回の赤いクッキーで性格が反転させられてしまった事をまだ根に持っていたらしい。

「まったくみんなしてもう!いいよ、それならモンブランで出撃するだけだから!」
「モンブラン!?」
やや高めのテンションで暦が食いついた。

87 :第66話 「呪われし船」 :2006/03/24(金) 18:50 ID:???
「あれあれよみちゃんってば、妙に食いつきいいね」
「よみは甘いの大好きだからな〜」
「う、うるさい!ちょっと意外に思っただけだ!」
ゆっきーと暦に指摘され顔を真っ赤にして否定する暦。

「よみちゃん、耳まで真っ赤やで〜」
「わかりやすいなぁ、よみ」
神楽や歩にまで指摘されてしまう暦だった。

「だから別に私の事はいいだろ!」
「そんな食いしん坊なよみちゃんの為にも早いとこ見せてあげなきゃね。
そんじゃ先輩行ってくるね!あともう2隻くらいサラミス借りていいですか?」
「それぐらいは別に構わない。じゃあしっかりな」
「はい!」
普段はおちゃらけた会話が多い二人も、真面目なところは真面目に決めるのである。
ゆっきーと橘はハイタッチする。

「何だかあなた達HOLYもそうだけど、ムーンキャッスルも変わってるのが多いわね」
通信を開いていたイリーナがそんな感想をもたらす。
その後、ゆっきーはそのモンブランと呼ばれる専用の艦で出撃する。

「どうよみちゃん?あたしのモンブランは?」
それは名前の通り、あのモンブランを連想させる艦体だった。
チョコレート色に塗られており、真上には栗みたいな主砲があった。
もちろん戦艦なので、他にも発射口はある。
共に行動する二隻のサラミスと同じ機体とはとても思えない。

「うわ!おいしそう!じゃなかった本当にモンブランそのものだな!」
「よみさん・・・・・・・」
「よみってば・・・・・・・・」
「第一声がそれなの?」
ちよ、かおりん、千尋の三人は呆れた目で暦を見ている。

「ごめん、私もそう思った。とてもおいしそうだと」
「ありがとう榊。そう言ってくれるのはあんただけだよ」
意外にもその発言をしたのは榊だった。
今の暦には榊がデイーヴァ(女神)のようにも見えたという。

88 :第66話 「呪われし船」 :2006/03/24(金) 18:52 ID:???
「榊さんまでそういう反応とはちょっと意外だったけど、まあいいや。
じゃあ行くわ。モンブラン発進!」
「我々も発進します!」
ゆっきーはモンブランを宇宙海賊団に向かって発進する。
後にサラミス二隻が続く。
ほどなくして宇宙海賊ブラックノアと接触して現在に至るのである。

「そんなお菓子みたいな機体で俺達と張り合おうってか笑わせるなよな!
おい、お前等やっちまえ!!」
「おうよ!」
数で勝っているからかブラックノアの面々は余裕の態度を崩さない。

「それじゃあ私は真ん中のをやるからあなた達は左右をお願いね」
「了解しました!」
ゆっきーの指示を受けた二隻のサラミスはそれぞれ左右に散った。
そして彼女達は何を思ったのか、彼らの直前で右に曲がって移動を始めた。

「それじゃまぁ、逃げますか!数も多いしね」
「な!?てめーら逃げるのか!?今になって怖気づいたか?」
「あいつら何考えてやがるんだ!逃げられると思うなよ!!」
「まとめて片付けてやるよ!!蜂の巣にしちまえ!」
逃げるサラミス艦隊を追うブラックノアの艦隊。そして各艦隊が一斉砲撃を始める。
サラミスは大きく外に回る形で、その攻撃を回避する。

「そうやっていつまで逃げ切れるかな?」
弱い獲物を狩れる事に喜びを感じるのか余裕の笑みを浮かべる敵の艦隊。
しかしゆっきーのモンブランは背後をとられながらも正確に回避している。

「この野朗、ちょこまかと動きやがって!」
「野朗じゃない!私は女だよ!」
バファロア人に対してゆっきーはそう切り返す。
そうしている内に無数の障害物が散乱しているエリアへと出た。浮遊隕石がごろごろ転がっている。

「ちっ、暗礁空域かよ!」
バファロア人は舌打ちする。サラミスは障害物の間を縫うように進んでいる。
よく見ると廃棄されたステーションらしきものもあった。

89 :第66話 「呪われし船 :2006/03/24(金) 18:54 ID:???
「さーてここに来てまで当てられるかな?」
ゆっきーは後ろを振り返りながら敵に向かって言い放つ。
サラミスはムーンキャッスル艦隊の中でも小型な為、この暗礁空域でも障害物や浮遊隕石をスレスレで抜ける事が出来る。
しかし、ブラックノアはそうはいかない。
大型戦艦で構成されている為に、思うように動きが取れないのだ。

「うわーぶつかる〜!」
二隻が浮遊岩石とぶつかって宇宙の藻屑となった。

「うろたえるなお前等!こういう戦闘なら俺達も経験しているじゃねーか!奴等にそれを教えてやろうぜ!!」
「お、おう!」
リーダーのバファロア人の喝によって士気を取り戻す海賊たち。
しかしサラミス二隻を追った海賊三隻はここの地形を熟知している
サラミスによって待ち伏せをくらい、逆に一斉射撃を浴びて撃破されたのだった。

「結城指揮官!こちら任務を完了しました!」
「あとは指揮官のところだけです!」
「わかった。お疲れ様」
そのゆっきーの乗るモンブランは二隻によって前後に挟まれていた。

「追い詰めたぜ!」
「観念するんだな!!」
相手は下卑た笑いをあげる。しかしゆっきー達は動揺しない。

「指揮官!シールドを展開しましょう!」
「この様子だと同時に撃ってくるね。ギリギリまで惹き付けて艦の位置を少し左にずらしましょう」
「了解です!」
敵から長距離用のレーザーが同時に射出される。
ゆっきーの言ったとおりにモンブランは当るギリギリのタイミングで左に位置をずらした。
まさに当るか当らないかの紙一重の差での回避である。

「な、うわああああああ!」
「避けられない!ぎゃあああああ!」
哀れ、海賊達は自分達の武器で自滅してしまったのである。

90 :第66話 「呪われし船」 :2006/03/24(金) 18:55 ID:???
「やりましたね指揮官!」
「調子に乗るなよ!地球人如きが!!」
喜びも束の間、最後に生き残ったバファロア人率いる船が砲撃してきたのだ。
いつの間にか正面にいたのだ。

「シールド放射して!!」
「はい!」
とっさの指示でシールドを張って敵の砲撃を防ぐ事に成功した。

「シールド持っていやがったとはな」
バファロア人は歯噛みする。

「出力を最大にしろ!今度はあんなチンケなシールドでは防げんようにな」
「了解です!」
「次はこっちの番だね。一斉射撃用意!!」
「了解しました。一斉射撃用意!!」
それぞれの頭の指揮で一斉射撃体勢に入る。主砲、副砲全ての照準が敵艦に向けられる。
どちらの艦もエネルギーが溜まっていくのが手にとるように分かる。

「撃て――――!!」
二人の指揮官の命令と共に一斉に発射された。
モンブランの方に向かって発射されたものは軸がずれていたのか、戦艦の横をかすめる事だけで終わった。
それでも横に傾きかけるほどの衝撃で何とかバランスをとった。
かたやモンブランが放った砲撃はピンポイントで敵に直撃した。

「ダメです!回避できません!うわあああああ!!」
「お、おのれ!我々無敵を誇ったブラックノアがあんな地球人如きに〜!!」
それが彼らの最後の叫びだった。ブラックノアは跡形もなく消滅した。

「やりましたね指揮官!」
「当然!あたしだってやる時はやるんだから!!」
ゆっきーはVサインをして隊員達に答える。

「さあ、みんな月に戻ろう!」
「了解です!」
モンブランは他のサラミスとも合流してこの空域を抜ける。

91 :第66話 「呪われし船」 :2006/03/24(金) 18:57 ID:???
だが、ゆっきー達も映像を見ていた他の者達も気付かなかった。
爆破されたバファロア人の船の中から一筋の青白い光が地球に向かって降下していくのを・・・・・・・

「ゆっきー、やるじゃん!」
「ああ、ちょっと見直したよ」
「でしょでしょ。やっぱそう思うでしょ」
智と神楽に褒められすっかり得意になるゆっきーであった。

一方こちらは所変わって地球―――
船着場ではあるものの、その一方で不法に捨てられた船や、
海底にはいくつもの沈没船が沈んでいるであろう港町。
そこにおよそふさわしくない人物がいた。その外見は小学生くらいのそれだが、誰かを彷彿とさせる。
髪を短く結わえている。

(ここだと思うんだけどな)
「待ってよあずさちゃん!あずさちゃん足速いよ!」
後ろから息を切らして抗議してくる声があった。澪こと木村夫妻の娘であった。
彼女の名前は結城あずさ。ゆっきーの妹である。

「遅いよ澪!それに無理してついてくる事もないのに」
「だってあずさちゃんったら、急に真剣な顔して走り出したりするんだもん!心配になっても仕方ないじゃん!」
あずさは姉のゆっきーに比べると随分ぴしゃりとした物言いだった。
だが、澪もあの奥さんの娘だからか、それくらいの事で怒ったりはしなかった。

「仕方ないな。とりあえずあの店でジュース買ってそれ飲んでからにしよう」
「そうだね。あたしちょっと疲れたし」
やれやれとばかりにあずさはすぐ近くにあった店でジュースを買うことになった。

「で、あずさちゃんが感じた何かは発見出来たの?」
「そんな簡単に見つかれば苦労しないって!」
あずさは澪達と遊んでいたのだが、急に何かが落ちてきたのを感じたのだ。
それはあずさにしか感じられなかった事で、他の誰も皆気づかなかった。
直後に姉のゆっきーからメールで宇宙人の艦隊を倒したと写真付きで贈られて来たのだ。

92 :第66話 「呪われし船」 :2006/03/24(金) 18:58 ID:???
「それにしてもあずさちゃんのお姉さん凄いよね。宇宙人の艦隊倒しちゃったんでしょ?」
「まったくお姉ちゃんったら。嬉しいのは分かるけどわざわざ写真にとらなくてもいいじゃない」
あずさの手にはVサインをするゆっきーの画像が映っていた。あずさはそれを恥ずかしそうにしまう。

「でもあずさちゃんも結構嬉しそうに見えるけど」
ジュースを飲みながら澪がそう言ってきた。あずさは飲んでいたジュースを噴き出しそうになってむせる。

「べ、別にそんな事ないわよ!それよりも早く行きましょう!」
あずさは慌てて立ち上がり、捜索を続ける事にした。

「お嬢ちゃん達、何を探しに来たが知らんけどな、ここには何もありゃせんよ。
海の中には沈没船くらいしかない。港の船もほとんど使用されとらん船ばかりじゃからの」
この港で漁師をしていた思われる老人に二人はそう告げられる。
しかし、今更やめる訳にもいかない。そういう訳で二人は港に向かって歩き出した。

(ここらへんだと思うけど・・・・・・・)
あずさが着いた船着場には多くの船が停泊していた。しかし、特に変わった様子はない。

「ねえ、あずさちゃん」
ここではないと思って移動しようと思った時、澪に肩を掴まれた。

「どうしたの?」
「あそこの船、動いてるんだけど・・・・・・・」
澪が指差す先には帆はボロボロで、船体もはっきりいって修復不可能なくらいに壊れている船があった。
しかし、その船は動いていた。大砲までとりつけて。
そしてその大砲だけは新品のようにピカピカだった。

「おいおいどうなってんだこりゃあ!あんなので何で動けるんだ!第一どこの誰が動かしてやがるんだ!?」
作業をしていた船員達も異常事態に気付いたらしく、声を荒げる。

「澪!危ない!あの船、あたし達を狙ってる!!」
さらにその主砲はあろうことかあずさと澪に向かって発射された。

93 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2006/03/24(金) 19:00 ID:???
ゆっきーの妹あずさの登場です。
前半のゆっきーの艦隊戦はリクエストにあったものです。

94 :名無しさんちゃうねん :2006/03/24(金) 23:05 ID:???
>>85-93
お疲れ様です!!!
あずさちゃん登場ですか…後半を楽しみにしてます。
ただ、失礼ですが>>89-90を読んでみたところ、>>85で説明されたブラックノア艦の数とは
一隻足りないと思います。

それと、今回の話で、姉曰く
「病み上がりでありながら、どうもお疲れ様でした。
序盤の、結城かなめ艦隊の艦隊戦も結構、格好良かったと思います。
ただ、私としては、サラミスのAIに一言だけでもいいから台詞を
喋らせてやってほしかったかなとも思いました。
御病気だったようですが、どうぞ安静にゆっくりと休養を御取りになってくださいませ。
どうぞ御大事に」
とのことです。

95 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/03/24(金) 23:13 ID:???
失礼しました。>>94の書き込みは、この私、レウルーラです。
ケンドロスさん。病み上がり中に、改めまして本当にお疲れ様でした。
どうぞゆっくりとご療養なさってくださいませ。では、お大事に。

96 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2006/03/26(日) 22:41 ID:???
>>94-95
確かに一隻合わないですね。
まあそれはゆっきーあたりに撃沈されたって事にしといて下さい。

97 :第66話 「呪われし船」 :2006/03/26(日) 22:43 ID:???
あずさが澪を抱えてとっさにその場を動いた事で、主砲は地面を爆破した。
その船は今度は狙いを船の方へ変えた。

「うわああああ!逃げろ〜〜〜〜!!」
慌てて逃げ出す船員達。船は次々に他の船を破壊していく。

「あずさちゃん!逃げよう!!」
「澪!あれだ!多分あれの中にいるんだ!あたしが感じたのが!!」
あずさが指差すと、船はまるで意思を持ってるかのように反り返った。
そして船は次々に近くの同様の廃棄された船を自分の元へと吸い寄せていった。
するとどうだろう。みるみるうちにその外装が変化していくではないか。
砲台の数も三つに増えている。

「敵を発見!所属等一切不明です!」
そこに要請を受けて出撃した海軍がこの謎の船を包囲する。

「こちらの通信にも一切応じません!」
「ならば仕方ない!全力を以ってあの船を叩く!撃てぃ!!」
司令官の命令によってその船への一斉射撃が行われた。
艦隊の数は数隻だが、あの船を駆逐するだけの火力を備えているはずだった。
だが、この船は全く効いていなかった。いやそれどころかむしろパワーアップしているのだ。今度は船から戦艦へと。

「ダメです!我々の攻撃が通じません!!」
「バカな!一体あの船は何だというのだ!?」
「艦長!向こうから砲撃が来ます!」
「回避だ!回避するんだ!!」
「駄目です、間に合いません!!」
艦隊を攻撃したのは超巨大なレーザー砲であった。あまりの素早さに逃げる間もなく艦隊は消し炭となった。

「そんな!中には誰もいない!!」
あずさが大声で叫んだ。あずさは連合艦隊に注意が向いているスキに船の中に乗り組んだ。
澪も一緒だ。無論この船が反撃する時にだ。
そして船内を見た時、誰一人として乗組員がいない事に気付いたのだ。

98 :第66話 「呪われし船」 :2006/03/26(日) 22:45 ID:???
「じゃあこの船は幽霊船って訳?」
震える声で澪は聞く。

「多分・・・・・・・」
「怖いよあずさちゃん帰ろうよ」
澪はあずさの腕にしがみつく。

「待って澪。あそこに何かある?」
あずさは何かを見つけたらしくそちらに行く。澪もピッタリついていく。
そこは操舵室らしく舵があった。
さらにあずさが指差した先には黄色く光る球が設置されていた。
それは海図の上に浮くように設置されていた。

「何だろう?何かの球だって事は分かるけど」
「この船を動かしてる奴かなぁ?」
「それに触れるな!」
突然、凍りつくような声が船内に響いた。直後に白い発光体が現われた。

「これって人魂かなぁ?」
「多分、これがあたしの感じた奴だ!」
『貴様等、この船から今すぐ出て行け。出て行かないのならば殺す!地球人である貴様達をな!』
その発光体が喋りだした。発光体は威嚇するかのように光線を発射した。
あずさ達の足元に小さい爆発が起こる。

「もしかしてあんたはお姉ちゃんが倒した宇宙人の霊!?」
その言葉に発光体の動きが止まった。

『お姉ちゃん?そうか、貴様あの指揮官の妹か?ならば生かしておけんな』
「何でそんな姿になってまで船を集めたりしてんの?」
『貴様の姉に復讐する為だ。無敵を誇った我々の艦を全滅させられた恨みを晴らすべくな。
今度は負けはせん!このバラックロックスを使って奴に復讐してやる!』
話が終わるとその発光体は猛烈な勢いであずさと澪に迫る。

「澪!走るよ!!」
『逃げられると思っているのか?』

99 :第66話 「呪われし船」 :2006/03/26(日) 22:47 ID:???
あずさは澪の手をとって船からの脱出を試みる。だが発光体は追いかけてくる。
その時、何者かがこのバラックロックスに攻撃を仕掛けた。
これによって船体は大きくバランスを崩した。

「キャッ!!」
「うわっ!!」
あずさと澪は悲鳴をあげて外に投げ出される。そこを誰かにキャッチされた。
長髪でスラッとした体格の榊である。

「あなたは・・・・・・・姉さんと同じ職業の」
「榊さん・・・・・・・どうしてここに?」
「私達も異変を聞きつけてここに来たんだ。澪ちゃん達が来ている事までは分からなかったけど」
抱き上げた二人を地面に降ろす榊。澪もあずさもホッとしていた。

「榊ちゃん、ナイスキャッチ!!」
「澪ちゃんともう一人は誰やろ?」
「ゆっきーの妹らしいぜ」
先程の攻撃ボンクラーズの乗るレッドファルコンによるものだった。

「それよりもあいつは何なんだ?戦艦にしてはゴテゴテしすぎているし」
ホワイトウイングに乗っている暦もバラックロックスの異様なフォルムに圧倒されていた。
それはもはや船と呼んでいいのかさえ分からないくらいに無数のパーツで組み合わされたものだった。

「千尋さん、これは何なのか分かります?」
「どうもこれ人が乗って動かしてる訳じゃないみたい。バラックロックスって言われてるのは分かる。
あとはこの周辺にある沈没船や廃棄した船を吸収する事でパワーを得ている事もね。
そしてこれを動かしてるのは恐らくゆっきーが倒したバファロア人の亡霊ね」
「亡霊?フロッグ星人みたいな感じなの?」
千尋の出した答えにかおりんは尋ねる。

「はっきり言ってアレよりも性質悪いよ。アレはアクマニヤ星人に乗っ取られる形だったけど、
こっちは完全に船を支配しているからね。ファントムともいった方がいいかも」
「カエルの霊の次は牛の霊かよ!どっかの芸人じゃあるまいし!」
神楽は頭を振る。

100 :第66話 「呪われし船」 :2006/03/26(日) 22:48 ID:???
「まあいいじゃん!一気に倒しちゃえばいいんだ!神楽、大阪!あれやるぞ!」
「お、そうこなくちゃな」
「待ってました〜」
レッドファルコンは照準をロックする。

「ローリングサンダー発射!!」
レッドファルコンが合体している時のみに発射が可能なビーム砲である。
それは左舷に命中してバラックロックスは大きな穴を開ける。
しかし、瞬時にそれを再生してしまう。

「うわ、嘘だろ!あんなにあっさり再生するなんて!」
「やべぇ、今度はこっちに来るぞ!!」
「あかん〜」
今度はバラックロックスの主砲がレッドファルコンを狙い打ちする。

「分離するぞ!!」
「了解!!」
智の指示ですぐさま神楽と歩は分離する。それぞれ分離した事で攻撃は避けられた。

「この!」
「今度は私達が行きましょう!!」
暦のホワイトウイングと、ちよのブルードラゴンがそれぞれバラックロックスの砲台をたたく。
だが次にバラックロックスは驚くべき行動に出た。何と空中を浮遊したのだ。

「そんなんありかよ!?」
「何でもありですね!」
空中からバルカン砲で砲撃してくるバラックロックス。二機ともバラックロックスより高度をとる事で難を逃れた。
バラックロックスは再び海の中へと潜った。
バラックロックスは今度は地上にいる榊に狙いを定めた。

「二人共乗って!!」
ブラックイーグルを四人乗り形態に変型させて榊はブラックイーグルを発進させる。
発射されたビーム砲が地面を貫いた。榊達がいた部分が音を立てて切り裂かれ、海に沈んでいく。

「弥生ちゃん!助けな!」

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