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スレッドが大きすぎます。残念ながらこれ以上は書き込めません。

【あずまんが】SS書きの控え室4

1 :紅茶菜月 ◆5xcwYYpqtk :2004/03/04(木) 21:49 ID:???
 ストーリーの構成、キャラの造り方、言葉の使い方など、あずまんがのSSや
小ネタを作成する上で困ったことや、悩んでいること、工夫していること等を話し合う
スレです。
 また〜り楽しんでいただければ幸いです。
 ここで新作をUPすることも可です。

★主な注意事項
1. sage進行でお願いします。
2. 対象範囲は「あずまんが大王」及び、連載中の「よつばと」とします。
3. 他人の作品を善意であっても批評しないでください。(自分の悪いところを
教えてくださいというのは可です。)
※その他の注意事項は、>>2以降で記載します。

201 :溢れ出す優しさと強さと勇気 :2004/05/21(金) 02:11 ID:???
「頑張ってレイ!負けないで!!」
「レイ頑張れ!!」
百合子や翔のそばに来た恵那と少年が必死の思いで叫ぶ。
マヤーもじっとレイを見つめている。

「へいきだ、レイはつよい!むてきだ〜」
「そうだ!そんな奴やっつけちゃえ!!」
反対によつばとみうらは笑っている。何が来ても大丈夫と言った感じの顔だ。

「そうや、レイは無敵や!」
(そんなものではないでしょうレイ。あなたの本当の力を見せて)
翔もそれに答える。

「ぐぉ!はああああああああ!!」
その言葉が届いたのかレイは気合の声をあげると、拘束しているハサミを取り外した。
そして立ち上がる。回転ジャンプをして一気にミーモスとの間合いを詰める。
そこから自分の体を半回転させて相手側に倒れこむ。倒れたミーモスに
追い討ちを先ほどと同じ要領でのしかかる。
起き上がったミーモスは蹴りを放つがレイはそれを両手で受け止め、逆に
ミーモスの体を回し、頭から地面に叩きつける。
さらにミーモスの体を抱え込み、そのまま後ろにスープレックスの要領で叩きつける。

「スロォッ!!」
レイは倒れているミーモスの足を掴み上げ、再び地面に叩きつける。
不利を悟ったのかミーモスは液化して姿を変える。今度はウルトラマンジャスティスに姿を変えたのだ。

「今度はジャスティスかよ!」
うんざりした表情で神楽は言った。

「あたしももうあんたの物真似は見飽きたんだよ!」
神楽と一緒に智はジャスティスとなったミーモスにレーザー攻撃をする!
それに介さず『ジャスティス』はクラッシャーモードへとチェンジした。
そしてすぐさまダグリューム光線を放つ。
しかし、レイは『デュエルセイバー』を出現させて光の剣を回転させて光線を完全に無効化する。

そこに別の所から光線が飛んできて『ジャスティス』のカラータイマーに命中する。
すると『ジャスティス』はその体を維持出来なくなり、みるみる装甲が剥がれ落ち、ミーモスへと戻った。

「往生際が悪いわね。でももうこれで変化は出来ないわよ!」
それは百合子の『デスブリンガー』から放たれた。『フォトンブーム』と
呼ばれる粒子状の光線を放ったのだ。単独で行動する祭に百合子がよく使う機能の一つである。
傍にいた少年少女達はポカンとその様子を見ていた。翔もである。

「おーすごいぞ〜ゆりこ〜」
ただ一人よつばははしゃいでいる。

「この子って本当に緊張感って物がないのね」
百合子は少し呆れてしまった。

202 :溢れ出す優しさと強さと勇気 :2004/05/21(金) 02:13 ID:???
「あーもう!何で怪我してるのにいるのよ百合子は〜!翔ちゃん達まで連れて〜」
「まあまあ京子ちゃん。大目に見てあげなさいよ。今の所無茶な事はしてないんだから」
モニターで百合子達の姿を捉え、怒る京子とそれをなだめる舞といつもの光景が展開される。

(君達もある意味緊張感ないな)
声に出さず松岸はツッコミを入れる。

「へーやるじゃん百合子。私らも負けてられないな」
暦は珍しく百合子の行動を褒めた。

「私達も続きましょう!」
「了解や〜」
再びミーモスに攻撃を開始する。レイがダッシュしてミーモスの体を掴み、
そしてそのまま頭上高く持ち上げ、地面に叩きつける。

「はぁぁぁぁぁぁ!!せいやぁ!!」
レイは腕を大きく広げ、腕をL字型に組む。するとそこから強力な金色の
光線が発射された。命中したミーモスはその体を完全に消滅させた。
レイの新たな必殺技『レイバーストショット』である。

「やったぁ!!レイが勝ったぁ!」
それを見て一番に喜んだのはあの少年であった。

「やっぱりレイは強いんだな!」
「そうやレイは無敵なんやで〜」
いつの間にか意気投合している翔とみうら。

「とにかく良かった」
ホッと一息つく恵那だった。こんな戦いを間近で見たのは初めてなのだから無理もない。
するとレイが少年達に向かって親指を立てたガッツポーズをした。

「かっこいいぞ〜レイ〜」
「ありがとう〜」
少年とよつばが手を振る。その横で百合子も不敵に笑っている。

「せあっ!」
レイは空へと飛んでいく。そしてHOLYの面々にも同じ様にガッツポーズをする。

「いぇい!」
と智と神楽は声をあげ、同じ様にガッツポーズをする。

「全く何やってんだかあいつらは」
「さようならレイ〜」
文句を言いつつも手を振る暦と笑顔を浮かべながらちよも親指を立てる。

203 :溢れ出す優しさと強さと勇気 :2004/05/21(金) 02:15 ID:???
そして、歩の前に榊が姿を現した。そのすぐ後に翔と百合子が現れた。

「やったな弥生ちゃん」
「心配したんやで〜弥生お姉ちゃん」
「歩、翔ちゃんごめん。でももう大丈夫」
その笑みに陰りはない。優しさと力強さを感じさせる瞳がそこにあった。

「ゆりゆり、ありがとう」
「私は別に何もしていないわよ。立ち直ったのはあなた自身によるものでしょう。
でもおめでとうとは言っておきましてよ」
「うん」
榊と百合子は互いの変身アイテム(シャインリングとデスブリンガー)を
見せ合った後、腕と腕をガッチリ組んだ。二人の顔に笑顔が浮かぶ。
遅れてマヤーと少年と恵那、みうら、よつばの三人が現れた。
マヤーはすぐに榊になつき、榊もマヤーを抱き上げる。

「お姉ちゃん!お姉ちゃんの言った通りだね!レイが来て怪獣をやっつけてくれた!ありがとう!」
少年はやや興奮気味に話す。

「ううん。君のレイを信じる心がレイに通じたからレイはきてくれたんだと思う」
「うん!」
少年はニッコリ笑って答えた。

「あ、もうこんな時間!帰らないと。今日は皆さん本当にありがとうございました。
みうらちゃん、よつばちゃん行こう」
見ると陽が沈みかけていた。恵那は丁寧に挨拶する。

「おうまたな〜」
「今日はすごい日だったな〜」
満足そうな顔をしてよつばとみうらも恵那に続く。榊達はそれに手を振った。

「私達も帰るわよ、翔さん」
「何で〜?」
「気を使ってあげなくてよ。では私達もこの子を連れて帰るわね」
「ほな、またな〜」
「お姉ちゃん達じゃあね〜」
少年を伴って百合子と翔は帰ろうとする。そこに歩の通信機を通じて
京子から通信が入る。

204 :溢れ出す優しさと強さと勇気 :2004/05/21(金) 02:17 ID:???
「百合子!それに翔ちゃん!」
「何よ、もう」
また説教が来るのかと思って百合子はうんざりした表情になる。しかしそれは来なかった。

「怪我をしっかり治しなさい。それとその子をちゃんと送り届けてね」
「え?ええそうするわ」
意外な反応だったので百合子は拍子抜けしてしまった。

「私も言いたい事は京子ちゃんと同じよ。分かった?」
「分かったで〜お姉ちゃん達またな〜」
翔と百合子は少年を送り届けるために一緒に帰っていった。

「キョロちゃん、珍しいやん。怒らないなんて」
「別に。いつも怒ってばかりいるのもあれかな?と思っただけよ」
「京子ちゃんは百合子さんと翔ちゃんの怪我を誰より心配してたのよ」
「優しいんだね、キョロちゃんは」
「わ、私はただ当然の事をしただけよ!」
顔を真っ赤にして、両手を左右に振りながら否定する京子。榊と歩の二人は
京子の事を「キョロちゃん」と呼んでいる。
そして、彼女等が帰った後、そこにHOLYの仲間達が現れた。

「みんな、ごめん心配かけた」
榊はまず一言そう謝った。

「謝るなよ、榊。私はお前が戻ってくるって信じてたんだからよ」
ニッと白い歯を見せながら神楽は笑う。

「諸君、ご苦労だった。そして榊君、もう大丈夫だな?」
松岸から通信が入る。

「はい、ご心配おかけしました」
「ふむ。ならば君の復帰を認める。これからも仲間達と共に頑張って
くれたまえ。以上だ」
それだけ言うと松岸は通信を切り、作戦室を後にした。恐らくATDF本部に
向かったのであろう。

205 :溢れ出す優しさと強さと勇気 :2004/05/21(金) 02:19 ID:???
「また、一緒に榊さんといられんですね〜最高です〜!」
「か、かおりん。とにかく復帰おめでとう榊さん」
幸せオーラ全開のかおりんに少し圧倒されつつも千尋は榊に祝いの言葉を送る。

「これからもよろしく」
「良かったわね榊さん」
舞と京子も祝いの言葉を述べる。

「榊、戻ってきてくれて何よりだよ」
暦は手を差し出す。それに応えるように榊も握手する。

「そうそうやっぱ榊ちゃんがいないと張り合いがないもんな〜」
「おい、それ私のセリフだろ。榊のライバルは私なんだよ!」
「うっせーな神楽は。そんな細かい事どうでもいいだろ〜これだから胸ばかりデカい奴は〜」
「む、胸は関係ないだろ!大体ともは榊のライバルにふさわしくないだろ!」
「何だと〜ボンクラーズリーダーのくせに〜」
「リーダーじゃねえ!!」
小競り合いを始める智と神楽。

「喧嘩はあかんで〜ともちゃんも彪乃ちゃんもそれぐらいにしとき〜」
やる気なさそうに止めに入る歩。

そして最後にちよが榊の胸の中に飛び込んだ。よくみると泣いている。
ちなみにマヤーはその際にひらりと地面に着地している。

「榊さん、私本当に心配したんですよ。もうひょっとしたら榊さんは
戻って来てくれないかもと思ったりもしてたんです。そうしたらどうしようか
と思ってすっごく不安になったりもしました。でも戻って来て・・・・・・くれて・・・・・・
私・・・・・・・・私・・・・・・・・」
涙で言葉が詰まっているせいか、ちよは後半の言葉の部分が詰まった。

「ごめんちよちゃん。本当に心配かけたね。そしてありがとう。私の悩みは
もう解決したから。みんなからもらった優しさと強さとそして勇気のおかげで」
泣きじゃくるちよの頭を榊はそっと撫でる。

206 :溢れ出す優しさと強さと勇気 :2004/05/21(金) 02:22 ID:???
「帰ろうか」
「はい!」
榊の言葉にちよは瞳を輝かせて返事をする。一同は基地へと帰還するのであった。
その後、榊がアパートに戻ると同居人の久瀬怜香が出迎えてくれた。
マヤーは榊の腕の中で眠っている。

「ただいま」
「おかえり。その顔だと悩みは解決したみたいね。とても嬉しそうな
表情をしているもの。その子もね」
「うん。もう大丈夫」
榊の顔に自然と笑みが溢れ出す。マヤーも笑ったように見えた。

「夕飯作ったから一緒に食べましょう。あなたの復帰を祝ってね」
「そんな大げさな。でも、ありがとう」
怜香の好意を榊は素直に受け取る事にした。怜香の作った夕飯はとても
おいしかった。

その頃、とある場所では。
「復活したか。まああの程度の苦難も乗り越えられないような奴は
こっちから願い下げだけどね」
「とりあえずこれで計画の変更をせずに済んだな。せっかくのデータ
が危うく無駄になるとこだった」
例の二人もまた、この様子を見ていたのである。後藤とTEAM GENESIS隊長である。

「ウルトラマンシェイド同様パワーUPしたか。またデータを入れ直さないとな」
文句を言ってはいるが、その言葉にはどこか楽しんでいる節があった。
そして再び、計画は動き出す。   
第32話 終 第33話へ続く

207 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2004/05/21(金) 02:48 ID:???
次 回 予 告
ある日、歩は北総海岸の岸辺で弱っている宇宙人の少女を発見する。
そして、その少女を助ける。

「ありがとうございます。お礼にあなたを私の住処に案内します」

そこには信じられない世界が広がっていた。

「綺麗やな〜」
それに魅了される歩。だがしかし彼女にはある秘密があった。

次回 ウルトラマンジャスティス
第33話 「異星人の恩返し」
助けた異星人に連れられて・・・・・・

208 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2004/05/21(金) 02:50 ID:???
という訳で榊さんのエピソード終わりです。前回といい今回といい
かなり長くなってしまった。

209 :へーちょ :へーちょ
へーちょ

210 :名無しさんちゃうねん :2004/05/21(金) 18:11 ID:???
おお、ケンちゃんではないですか!
今から読みます。


話は変わるが、藁とかワラとか笑とか文末につけるの精神的に嫌い。
対談記事なんかで付いてるの見ると破りたくなる。

>>209
ああ、上記は客観的な意見ではないし、
使うなと強制してるわけじゃないから好きに使ってくれてかまわないよ?

211 :名無しさんちゃうねん :2004/05/21(金) 20:25 ID:???
でも藁ってつけてる時点で自分はまともな意見ではなく
ただ人を嘲笑しているだけというアピールでしょ?

212 :210 :2004/05/21(金) 21:58 ID:???
>ケンちゃん
読みました。
よつばとかと絡めて榊さんを復活させたやり方がいいね。
まあ、もう少しどん底に落としてから復活させてもよかったかな。
偉そうなこと言ってすんません。
次回も期待してます。

>>209
そういう使い方は確かにいやだ。
加えて、一般的に使われてるのであろう「面白いことを言いました」みたいなことを
わざわざ(笑)とか付けて明示しているところが、何故か許せんのです。
(笑)とかつけないと意図を伝えることもできんのか!
わざわざ強調すんな!・・・ってな感じで。

213 :名無しさんちゃうねん :2004/05/22(土) 00:31 ID:???
ケンドロスさん乙です。
次回作も期待してます。

ところで藁というのはどういう意味なんでしょうか?
なんだか話題に登っているようですが…

214 :名無しさんちゃうねん :2004/05/22(土) 00:50 ID:???
>>213
(笑)→ワラ→藁 というネット用語
209が文末に煽りでつけてたんですよ

215 :名無しさんちゃうねん :2004/05/22(土) 01:20 ID:???
大阪は「みんな」に捧げる無償の愛
榊さんは目の前のものを守りたいと思う衝動に似た慈愛
百合子は特定の人物への強い思慕と尊敬の念
翔は見上げ続けた先達たちへの憧れ

ウルトラマン板のも含めて読んでみて
それぞれのヒーロー像(女性だけど)にも
違いがあるもんだと思った。
その「戦う理由」に優劣があるってわけじゃないけどね。

216 :あずまんが太平洋戦記 :2004/05/27(木) 09:07 ID:???
コトコトコトと、ポットが音を立てている。
五星がその中身を山本のカップと、飲みきった自分のカップに注いで、それらを机の上に置いた。
「どうぞ長官」
「すまんな」
二つから三つになったカップからほのかに湯気が立ち上っている。
「どーぞ」と五星が砂糖とミルクを出したが、山本はブラックで飲んだ。相変わらず五星は砂糖を多めに入れている。
「で、あれは順調に進んでるんですか?」
「ああ」
「年貢の納め時ですかね」
ズズ…とコーヒーをすすりながら、五星が軽く笑った。
「なーなー?『あれ』ってなんだ?」
「お前は本当、鈍いと言うかなんと言うか… 真珠湾攻撃の作戦内容だよ」
「へー、でどんな内容?あとさ、人数空いてたら行かせてくれない?」
「は?」
唐突にとんでもないことを言われた五星の目が点になる。
「いや、だから、私も真珠湾に飛ばさせてくれない?」
「…長官に聞け。自分に決定権はない」
五星はチラッっと山本を見た。
「未来から来たと聞いたが… まぁ、いいだろう。行かせてみようじゃないか。だが、貴官の腕次第だな」
「任せて――。戦闘機の扱いなら慣れてるし」
―こいつ、敬語を使うってことを知らないのかよ…(汗
そんなことを考えているときだった。
「じゃぁ五星君、相手をしてやれないか?」
「は、はぁっ!?自分が…ですか?」
山本は小さく頷いた。
「司令部勤務になったとはいえ、昔は結構飛ばしていたそうじゃないか。まだ腕は鈍ってないだろう」
「…わかりました。では、横須賀の飛行場に行ってきます」

217 :あずまんが太平洋戦記 :2004/05/27(木) 09:07 ID:???
第二章【赤色の零戦】
「で、何でお前はこの時代に来たんだ?よくある空想小説のタイムマシーンか?」
「わけわかんないんだ。何か、沈んでく船に雷が落ちてさー、気づいたらここに…」
広大な東京湾――現在とは違って、排水などが流れていなくて澄み切っている――の上空で、
二機の零戦がその真っ白な機隊を輝かせている。智の機隊は、ピッタリと五星機を追いまわしており、射線を確保している状態だ。
「なるほどね…よし、じゃぁこの状態から始めるぞ」
五星はそう言うなり急降下に入った!智もそれを追って急降下する。高度はぐんぐん下がっていく…
「おい五星、何処まで下がる気だ!?おい!」
しかし、彼の機はまだまだ急降下していく。
「よーし、この暴走智ちゃんをなめるなよー!」
『暴走智』というのは――他にも『突撃士官』とか『暴走艦長』などのあだ名もあるが――、
自衛隊で艦長になってから智についたあだ名である。彼女に撤退や沈黙という類は無く、まさに猪突猛進なのである。
隊員の中には生きた心地がしないものが何人もいるが、そのおかげで彼女は数々の功績をあげたのだから、まあよいのだろうが…
さて、五星は高度1000を切ったところで操縦桿を引いた!機体は海面ギリギリで浮き上がり、その風で海面が波立つ。
そのまま高度10あるかないかというところで急旋回を繰り返している。かなり危険で荒っぽい操縦であるのだが…
―おっ、しっかりついてきてやがる。
智の機体も同様に水面に大きな波を作りながらも、五星の後ろを取っており、確実に照準機で五星の機体を捕らえている。
「やるじゃないか」
「ったりめーだ!無茶苦茶に飛ばしやがって…っておい、聞いてるのか!」
智の声を聞いているのか聞いていないのか、五星は背面飛行しながら宙返りをかけた。
コクピットが水面についてしまうほどの高さ――10mないだろう――で空中に飛び上がった。
それに続いた智の照準機には、五星の機が捕らえられなかった。
五星はそのまま旋回して、智の機に向かってこようとしていた。
―やべっ!
そう思った智は、すぐに機首を右に向けた。二人の機は、そのままお互いの至近距離をすり抜ける。
「よし、合格だ」
五星の声が通信機を通して聞こえてきた。
「またずいぶんと過激な操縦ですなぁ…」
「このくらいの腕なら十分よしだな。真珠湾の切符をやってもいいだろう」
すでに時は黄昏時。真っ白だった零戦は、いつの間にか赤く染まっていた…

218 :あずまんが太平洋戦記 :2004/05/27(木) 09:08 ID:???
「う――ん。こんだけ飛んだのは久しぶりだなぁ―――」
智の顔に、くっきりとゴーグルの跡が刻まれている。
「そだな… でもその前に言いたい。何でお前がここにいるんだ?」
確かに、今いるのは五星の部屋だ。
「だって帰る場所ないしー、お腹減ったし…」
そう言った智のお腹がグ――と音を立てる。
「ま、こーなると思ってたよ。ほら、食え」
と、お茶漬けを差し出す。出汁と、海苔、山葵の何とも言えない香りが湯気と共に立ち上っている。
「サンキューサンキュー  あ、うめ――」
漂流してからコーヒーしか口にしていない智は、そのお茶漬けをガツガツと食い始める。
「で、これから、軍部の石頭には秘密でお前を航海に出す。当然男として、だ。」
その言葉に「んぐっ!」と、智が喉を詰まらせた。少し向けてから怒鳴った。
「だ―――!そんなことできるかぁ!」
「今のままで十分男だ。現に、誰も気づかなかったし」
確かに、廊下を歩いてても、格納庫で飛行機に乗るときも誰も女だと言う事に気づいていなかったような気がする。
「問題は風呂だが… ま、最後か最初と言う事にしておくよ。あとは女に間違えられる問題は無い」
「こっ、この智ちゃんが女に見えないってのか――――!?(怒」
「うん。まったく」
五星はキッパリと言い切った。わめきちらす智を無視して、自分の話を進めた。
「そんで、この『箱』見せてもらったぜ」
と取り出したのはノートパソコン。智が持っていた――というか、漂流中に掴んだのだが――トランクの中に入っていたらしい。
「中に戦争の歴史のものがあったから読ませてもらった。真珠湾攻撃ねぇ…」
慣れない手つきでキーボードをいじりながら、何かのデータを読んでいる。
「なるほど、ねぇ…」
落ち込む智を無視して、なにやら独り言を呟いている。ま、くよくよしない智はすぐに立ち直り、お茶漬けに箸を伸ばしている。
日は沈んで、窓から入る光もなくなっている。ラジオからは何かの曲が流れており、それのために部屋は沈黙になっていなかった。
窓の外には蛾やカトンボ、蝙蝠が飛んでいて、いかにも昭和といった雰囲気をかもし出している。
―何でこんなところに来ることになっちゃったんだろう…
夢か現実か、運命か偶然か。だが、やっぱり意味があるのだと智は思った。この世界に来なければならない何かが…
「ところでさー。そのノートパソコン誰の?」
「ノートパソコンって言うのか… お前のじゃないのか?」
「うんにゃ。漂流中に捕まってたの」
「へー」
五星はパソコンを調べても何も無いので、トランクの方を見ると、答はすぐに見つかった。
「『美浜 ちよ』って書いてあるぞ」
「ちよちゃんのか… ねぇ、他に何が入ってたの?」
「えーっと…」
五星はトランクを開けた。防水加工がされているのか、中に水は入っていない。
「何かの板だ。たぶんお前の言ってたパソコンとかのやつじゃないか?あとは、拳銃に、もう一つ箱が…インクが入ってる」
おそらくフロッピーとかと印刷機のことを言っているのだろう。
面倒くさがり屋の智は調べようとしなかったが…
「じゃ、私は寝るわ〜」
といって、智は布団にもぐりこんだ。
「ああ…っておい、自分の布団なんだけど…(汗」
その言葉を聞く前に、智は急速潜航で熟睡に入っていた。

219 :( ̄〇 ̄)。○(眠い名有り) ◆CRIUZyjmw6 :2004/05/27(木) 09:16 ID:???
>>194
そのことについては、後でふれます。
作品、乙です。次回作期待してますよ〜

220 :名無しさんちゃうねん :2004/05/27(木) 16:17 ID:???
へえ……
久しぶりに見たけど
文章力だいぶ向上してるかもだ
お茶漬けをほおばる生活感みたいなのがよかった

221 :異星人の恩返し :2004/05/30(日) 13:03 ID:???
ウルトラマンジャスティス
第33話 『異星人の恩返し』

ピンクのカーディガンに白いロングスカートを履いたセミロングの髪をした
少女が北総海岸を歩いていた。HOLY隊員でもあり、ウルトラマンジャスティスでもある春日歩である。
何故来たのかそれは本人にもよく分かっていない。

「何か、ちよちゃんのおさげをどう外そうか考えてたらそれからなんやったっけ?」
だそうである。まあ歩らしいというか何というか・・・・・・
3月のこの時期になると大学もほとんどやっていないので欠席にはならないのが
幸いといえば幸いだろうか。
そんな感じで歩は海沿いをボーッと歩いていた。

(そういえばよみちゃんの子供のアレックスはどうしてるんやろ〜?)
かつてここでバレンシアという怪獣の子供のアレックスが暦によって育てられた事を
思い出したのである。そしてここはそのバレンシアを狙うレイディアス星雲人と戦った場所でもあった。
しばらく歩いていると、人が倒れているのを発見した。

「大丈夫か、しっかりしぃ〜?こんな所で寝てたら風邪ひくで〜」
緊張感のない声で呼びかけながら歩はその人間を抱き起こした。
しかし、それはよく見ると人間ではなかった。少女の顔と体をしているものの、
その体は全身青色だった。歩は試しに持っていた飲み物(麦茶)を飲ませてみた。
すぐ傍にある海水を使えばよいはずなんだが、歩の中にその選択肢はなかった。

「う、う〜ん」
少女はその水を飲んだ事で意識を取り戻した。始めは歩の姿を見て警戒していた少女だが、
やがて歩に敵意がない事が分かり、お礼を言った。

「ありがとうございます。あなたが私を助けてくれたんですね?」
「そやで〜」
「私の名前はジュリス。見ての通り私は地球人ではありません。
アクア星から来た宇宙人です」
その青い髪をなびかせながらジュリスは衝撃的な一言を告白した。

222 :異星人の恩返し :2004/05/30(日) 13:05 ID:???
「ふ〜んそうなんや〜。あ、それとあたしは春日歩言うんやで〜」
歩はさほど驚かずに言った。

「あんまり驚かないんですね」
「だってあたし、一杯宇宙人見とるから、もう慣れてるんや〜」
確かにこれまで侵略目的あるいは何か別の目的で幾度も宇宙人達が来ているので
それくらいでは驚かないであろう。

「そうですか。それよりあなたに助けてもらったお礼に恩返しをしたいのですが・・・・・」
「ええのん?大した事してないんやで」
「いいえ。もしあのままでしたら私は助からなかったかもしれません。
ですからあなたは私の命の恩人です」
「何かそう言われると照れるな。ほなら、お言葉に甘えるって事でええ?」
その言葉どおり、歩の顔は朱に染まっている。

「はい。お礼にあなたを私達の住処へご案内いたします」
ジュリスは指先を斜め上にかざし、光らせる。するとジュリスと歩の体がバブル状の球体に包まれる。

「な、何やこれ?」
「心配いりませんよ、害はないですから」
戸惑う歩に対してジュリスは笑って答えた。するとその球体はふわりと浮かび、
海の中へと潜っていった。

「溺れたりしないのん?」
「ええ」
その球体はどんどんと下へと潜っていく。しばらく眺めていると泳いでいる生物達を目にする事が出来た。
そしてそれより先に進むと、ある物が見えてきた。何と海中に建物があるのである。
それも何か城を連想させるようなものであった。

「うわぁ〜竜宮城みたいや〜」
目の前に広がる光景に歩は感嘆の言葉を洩らした。
そして球体は城の中へ入ってゆく。そして中に入ると球体は消えた。
城の中に降り立ち、歩はここに空気があり、普通に呼吸が出来る事に気づいた。
海水もここには流れ込んでは来ない。

223 :異星人の恩返し :2004/05/30(日) 13:06 ID:???
「ようこそ、私達の海底世界へ」
ジュリスは歩に振り返っていった。中は幻想的とも言えるほど綺麗な空間だった。
もう一つの世界と言ってもよいだろう。美しい自然に覆われていたのだ。
その中を歩いていくと、やがてジュリスと同じ格好をした人間と何人も出くわした。
仲間のアクア星人だろう。彼らもジュリス同様歩を最初疑いのまなざしで
見ていたが、すぐに打ち解けた。

「みんなええ人やね」
「異星人の方でこんなに打ち解けたのはあなたが始めてですよ」
クスっとジュリスは口に手を当てて笑う。突き当たりと思われる所まで来ると
豪華な衣装に纏った女性が一段高い玉座に座っていた。

「乙姫や〜」
その格好を見て歩はそう言った。

「そなたがわらわの仲間を助けてくれたそうじゃな。感謝いたすぞ」
その姫が発した言葉は思い切り、時代劇がかった口調であった。

「そうやで〜」
「わらわはこの者達を束ねる女王リナールじゃ。歩よ、そなたを歓迎して宴を開こうぞ」
女王の言葉に他の者達から歓喜の声が上がる。
そして歩を歓迎する宴が盛大に開かれる事となった。豪華でおいしい食べ物を
食べたり、一緒に踊ったり、子供の星人と遊んだりして大いに楽しんだのである。

「へぇ〜、お姉ちゃんはHOLYってとこで悪い奴等と戦ってるんだ〜」
「凄いな〜」
子供達に普段どんな事をしているのか聞かれ、歩は話した。大学に行きながら
HOLYとして悪しき怪獣や侵略者達と戦っている事を。
さすがにウルトラマンジャスティスに変身できる事までは言わなかったが・・・・・・

「そういえばジュリスちゃんは何であんな所に倒れてたん?」
歩は飲み物を飲みながら、ジュリスに尋ねた。するとジュリスの顔に影が落ちる。

「私は悪い奴に追われて命からがらあの海岸まで逃げ延びたんです。
そこをあなたに助けられた」
「そうなんや」

224 :異星人の恩返し :2004/05/30(日) 13:07 ID:???
それ以上は歩も追及しなかった。

それからどれぐらいたっただろうか?歩は地上に帰ることにした。

「あんま遅いとみんな心配するから帰らな」
「そうか。残念じゃのう。ずっと歩にいてもらいたかったが、仕方がない。ジュリス」
「はい」
ジュリスが前に出てきて、歩を地上に帰す事にしたのだ。しかし、その時
大きな揺れと何かがこの城を襲った。

「何や?」
歩が外に出てみると、一匹の巨大生物がこちらに向かって突進してきていた。
その生物はサメとクジラを合成したような生き物であった。赤い目をしている。
海の中を猛スピードで移動しながら、ここを襲撃してきた。

「あれがジュリスちゃんを襲った奴なん?」
「違います!あいつではありません。あいつは恐らく海底生物の突然変異体でしょう」
名前はその外見通りサメクジラという。海獣である。

「応戦するのじゃ!ここを死守するのだぞ!」
「はっ!」
女王の指示に従い何人ものアクア星人がその手からバブル状のリングを放ち、
サメクジラを拘束する。しかし、それもすぐに解かれてしまいサメクジラは再び
こちらに向かって突進してきた。女王リナールは何かの詠唱を唱えながら、城にシールドを張った。
サメクジラは一度弾かれるものの、それでも突進をやめない。リナールもいつまでもつか分からない。

「このままではここも滅んでしまう。折角あいつから逃げてきたのに」
ジュリスは地面を叩きながら叫んだ。

「諦めるにはまだ早いで」
歩がサメクジラの方を見ながら言った。

「でも、あなたは今武器を持っていないのでしょう?」
「だから今あたしはこれを使う。ジャスティース!!」
ジャストランサーを天空にかざし、歩はウルトラマンジャスティスに変身する。

225 :異星人の恩返し :2004/05/30(日) 13:10 ID:???
「あれは光の巨人!!まさか彼女が!?」
ジュリスも目の前でそれを見て驚いている。

「赤い巨人・・・・・・」
女王リナールも他のアクア星人もそれに魅入っている。

「しゃああああああ!!」
サメクジラの上にジャスティスは跨り、攻撃して蹴り飛ばす。前のめりに倒れこむサメクジラ。
次にジャスティスは巴投げをサメクジラに決める。
サメクジラが突進してきてジャスティスは吹き飛ばされる。
水中の戦いだからかジャスティスはいつもよりも動きが鈍かった。

「はぁぁぁぁぁ!!」
再び突進してくるサメクジラの背中を転がり、後ろに回りこみジャイアントスイング
の要領で投げ飛ばした。
空中にジャンプして蹴りを放ちサメクジラをのけぞらせるものの、
水中である為か蹴りの威力が半減していた。

その時である。逆方向からやはり鮫と思われる角がこちらに向かってきていた。
そしてそれはジャスティスとサメクジラの近くで姿を現した。
やはりその姿は鮫の怪獣といった感じであった。
その色は銀色で眼は青く輝いてるが、生気が感じられない。ヒレは黒くなっている。

「ゲオザーク!!じゃああいつが近くにいるのね!?」
そのもう一体の姿を見た途端、ジュリスは動揺した。

ジャスティスは判断に迷った。グドン、ツインテールの時同様囲まれてしまったのである。
しばらく三者の睨み合いが続く。先に動いたのはサメクジラである。
ジャスティスに襲い掛かってきたので、ジャスティスはその角を押さえ、投げ飛ばした。

「てやっ!」
それを見て今度はゲオザークがジャスティスに襲い掛かる。足元を攻撃され、
ジャスティスは転倒してしまう。また攻撃しようとするゲオザークの体をジャスティスは掴み、投げ飛ばす。
その上に跨りパンチ攻撃するが、ゲオザークはそれを押しのける。

起き上がったゲオザークにまたがり上からパンチの連打を浴びせていると、
後ろからサメクジラが突進してきてジャスティスとゲオザーク両方共吹き飛ばした。

226 :異星人の恩返し :2004/05/30(日) 13:11 ID:???
うつ伏せに倒れるジャスティス。活動限界を知らせるカラータイマーが青から赤に変わり点滅を始めた。
サメクジラはその後、ゲオザークに襲い掛かった。どうやら味方ではなかったようで二匹は争い始めた。
サメクジラとゲオザークは互いに突進し、ぶつかり合い、相打ちとなる。
しかし、双方のダメージは差が出ていた。サメクジラはその時の一撃で角を折られ、
ゲオザークは体の一部が剥がれ、何かのメカが姿を見せた。

「あいつはロボットだったの!?」
ジュリスはゲオザークの正体に驚愕する。

角を折られたサメクジラは一気に弱り、ゲオザークの角でその体を貫かれてしまった。
絶命し、サメクジラはその場に倒れた。
ゲオザークはジャスティスに向き直った。しかし・・・・・・

「もう良いゲオザーク。一端退け!」
どこからかゲオザークに命令する声が聞こえ、ゲオザークは地面を潜っていった。
ジャスティスは追いたかったが、既にエネルギーが限界に来ていて一度歩に戻らねば
危険と判断して変身を解き、歩の姿に戻った。

「歩さん、あなた・・・・・・・」
「そういう事やで」
歩はそう言うと通信機を取り出し、連絡を入れた。

「大阪さん!一体どうしたんですか!?」
通信に応じたのは隊長の美浜ちよだった。歩は事情を話した。

「分かりました、すぐにそちらに向かいますから待っていてください」
「助かるで〜」
そこまですると歩はへたっと地面に座り込んだ。

「大丈夫ですか?」
「これくらい平気や。それよりジュリスちゃん。あのゲオザークってのが・・・・・」
「ええ、そうです。あれが私達を襲ってきた奴です。凶悪な侵略者バルキー星人
の使いなのです」

227 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2004/05/30(日) 13:14 ID:???
とりあえず前半部分完了。ケンドロスの時以上に他のキャラの出番がない。

>>219
五星が創作板とはまるで別人のようにコミカルですなぁ。
これも智の影響なんだろうか?

228 :( ̄〇 ̄)。○(眠い名有り) ◆CRIUZyjmw6 :2004/05/31(月) 22:44 ID:???
>>227
いえ、もとから創作板でもそーゆーキャラにしようと思ったけど…
(例えば、いきなり大声で「これだぁ!」って叫ばしたりしたんですが…)
戦いの時はまじめですが、平和なときはコミカルって設定です。

じゃ、ついでに自分も続きを…

229 :( ̄〇 ̄)。○(眠い名有り) ◆CRIUZyjmw6 :2004/05/31(月) 22:44 ID:???
「ふがっ!?」
五星はその日、とある人物の踵落しの直撃で起こされた。
無論、その人物とは智のことだが…
「ったく人の布団で寝たうえに踵落としのお見舞いかよ…」
愚痴をこぼしながら甲板に出ると、早朝だというのに大和の整備を行っている。
試験運転もすんだし、武装もほとんど装備は完了している。もう少しで完全に完成する。
「ふぅ―――… ま、こんなもんが手に入れれたのは良かったというべきか…」
咥えていた葉巻を持って大きく息を吐いた。
その反対の手には「太平洋戦争の過ち」と書かれている本が…
この本はあの「美浜 ちよ」と書かれていたカバンに入っていたものだ。大まかだが、大体の太平洋戦争の戦史が書かれていた。
「さて、真珠湾をどう変え…」
「飯だ――――!!」
ガツン!と、踵落しを食らった場所と同じ所に、智が開けたドアが直撃した。
「五星〜〜飯くれ〜〜〜!!」
「痛ててて… お前女だろ。料理くらい…」
「面倒くさい」
智がキッパリと言い切る。その言葉にため息をつきながら、五星は部屋に戻っていった。
天気は晴れだが朝焼けができていて、飛行場に並んでいる零戦はまた赤色に染まっている。
時は昭和16年10月3日。日米開戦まで、あと66日のことであった…

230 :( ̄〇 ̄)。○(眠い名有り) ◆CRIUZyjmw6 :2004/05/31(月) 22:45 ID:???
第三章【真珠湾突撃】
「えっ?司令が行かれるのですか?」
士官の一人が驚いたように聞いた。当たり前だ。司令官の五星自身が真珠湾に乗り込むというのだから…
「いいか、司令官ってのはなぁ、状況を見て判断をしなきゃいけない。なら、前線に赴くのが一番手っ取り早いってもんだ」
「ですが…」
「それに南雲司令長官もいるだろ。自分一人いなくなったぐらいで戦闘指揮が取れなくなってちゃだめだぞ」
そう言うと五星は零戦に乗り込んでエンジンを回し始めた。
「チョーク外せ!」
車輪止め(チョーク)を外すと、五星の機が加速をはじめ、航空母艦――赤城の甲板から飛び立った。
上空を旋回すると、赤城のDG旗と、智の機が飛び立ったのが見える。
日米開戦が、今始まろうとしていた…

バルルルルルル……
昭和16年、12月8日、雲量8。現在、現地時間7:00。今のところ計画は順調に進行中…
「なー!なー!なー!真珠湾はまだかよー!!もう暇すぎ!ただ飛んでいるだけなんてよー!」
場違いな声が五星の無線機から流れてくる。が、そのままブチッと無線を切ってしまった。
「うるさい。すこし黙ってろ」

「ったく、五星の奴〜 あー暇だ暇だ暇だ――――!」
智の落ち着かない性格は、今も昔も変わっていない。
待つということは彼女にとって一番嫌なことだ。自分は人を長時間待たせるくせに…
「はー… 巡航ミサイル(トマホーク)があればあっという間に片付くのになぁ…」
無論、この時代にそんな代物は無い。
その時、五星から無線が届いた!
「信号弾だ!滝野、自分について来い」
五星と智の機は、まっすぐに飛行場へ向かって行った…

231 :( ̄〇 ̄)。○(眠い名有り) ◆CRIUZyjmw6 :2004/05/31(月) 22:48 ID:???
ドォォォォォ……
飛行場に爆発の炎が、艦艇に雷撃の巨大な水柱が立ち上がった!
その上空では、零戦隊が邀撃機を待ち構えていたが、一向に敵は出てこない。
「滝野、飛行場の機銃照射に移る。あそこに機体を出そうとしている奴がいる。撃ち殺すぞ!」
その言葉に、智はビクッ!と震えた。
「ひ…人を撃つのか?」
「当たり前だ!敵に反撃される前にやるぞ!!」
そう言っている間に、五星の照準機が対空砲火を捕らえた!兵士は五星に気づいて銃口を向けようとしたが…
「遅せぇよ!滝野!早く撃て!!」
「……っ!」
智は意を決して機銃を発射した!
ダララララララ……
五星と智の機銃が火を吹き、兵士を片っ端から撃ち殺していく。
「グアッ!?」「ギャアァァァァ――――!」
鮮血と肉片が辺りに飛び散る。ひどい所には内蔵や脳髄が…
「! 嫌あぁぁぁぁぁ――――!!」
いきなり智が叫んだ。智は人の心が読める。
苦痛、怒り、憎しみ、恐怖、絶望…
だから何人もの感情が一斉に智に飛び込んできたのだ。
「私、こっ、壊れちゃう!いっ、嫌っ!」
智が頭を押さえ込む。そうして苦しむところに、その飛行場からではない、艦艇、他の基地からの死者の苦しみが襲ってくる。
「なっ、何なのよこれっ!?なんで、なんでっ… うわぁぁぁぁぁ!!」
「おい、滝野!?どうした、大丈夫か!」
智の後ろに敵機――P-40が追っかけてきているのが五星の目に映った。
「滝野回避しろ! くそっ!」
五星は素早く敵機の後ろにもぐりこんで、照準機の中に捕らえた。
「させるか!!」
五星が機銃を撃つと、その光弾が敵機に吸い込まれていく…
敵機はあっという間に蜂の巣になり、ブスブスと煙を上げて墜落して、途中で爆発を起こした。
「あっ、またっ!!」
その感情が、また智の心に飛び込んでくる。
「滝野、調子が悪いんなら母艦に戻れ!このままじゃ撃ち落されるぞ!!」
「う、うん」
智はやっとの思いで答えた。ここにいると気が狂ってしまいそうである。
「? 自分は基地の機銃照射に向かう。お前は雷撃隊と一緒に戻るんだ。できるな?」
「ああ…」
五星は智に手を振ると、基地の方へと機体を向けた…
「あ、あとだな  戦艦大和に移ってお前が戦艦部隊の指揮をとれ」

232 :( ̄〇 ̄)。○(眠い名有り) ◆CRIUZyjmw6 :2004/05/31(月) 22:49 ID:???
いよいよ真珠湾突撃です。
さぁ、がんばってこー

233 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2004/06/07(月) 23:13 ID:???
>>232
ガンガレ
さて俺も続きUP

234 :異星人の恩返し :2004/06/07(月) 23:15 ID:???
「綺麗なところだ」
出動要請を受けて海底世界へやってきた榊が大きなため息をついた。

「あ〜あたし水着持ってくるの忘れた〜」
「私もだよ。泳げねぇじゃん!」
「こらこら。遊びに来た訳じゃないんだぞ!それにこんな深海で
泳ぐなんて無理に決まってるだろ」
残念そうにしている智と神楽の二人に暦がツッコミを入れる。

「よみは夢がないなぁ。人間その気になれば何でも出来るって!」
「おっ、いい事言うじゃん神楽。そうそう信じるってすっごく大事」
「無理なものは無理だし、大体今そういう話をしているんじゃない!」
「楽しそうやな〜」
さっきまで戦っていたとは思えないほど、歩はのんびりしていた。

「と、とりあえず事情をお聞かせ願えませんか?何故異星人であるあなた方が
この海底に住んでいるのか」
暦達のやりとりにダラ汗をかきつつ、ちよはジュリスに尋ねる。

「はい。私達の住むアクア星はこの地球以上に海で覆われた惑星です。私達は
そこで平和に暮らしていました。私達の本来の姿は地球の方々が人魚と呼称して
いるものに非常に近いのです」
そう言ってジュリスは姿を変えた。するとその言葉どおり足がヒレになり、耳も変化していた。
確かにそれは我々地球人の言う人魚の姿だった。

「本当に人魚みたいだ」
と、榊は呟いた。

「ところがある日、ある者が私達の星を侵略してきたのです」
「それがさっき言ってたバルキー星人やな」
歩の問い掛けにジュリスは頷いた。

「バルキー星人は先程現れたゲオザークを引き連れ、私達の星を攻めてきた。
私達も必死に応戦しましたが、力及ばず侵略されてしまったのです」
その時の事を思い出すと悔しいのかジュリスの拳は震えている。

235 :異星人の恩返し :2004/06/07(月) 23:16 ID:???
「わらわ達は必死の思いでこの地球に逃げ込み、そしてここに海底世界を作り、
平和に暮らしていたのじゃ。しかし、バルキー星人はわらわ達の故郷だけじゃ
飽き足らずこの地球の海も占領しようとしているのじゃ」
今度は女王リナールが事情を説明した。

「どうやらそうみたいだね」
そこに千尋が通信してきた。

「バルキー星人は海が好きみたいで、あらゆる海のある星を狙っては次々と略奪しているの。
さっきのゲオザークやそれにサメクジラもそうみたい。それを使ってね」
「でもサメクジラはバルキー星人にとっては失敗作だったらしくてそれであの時、
ゲオザークに始末させたのよ」
そこにかおりんも割り込む。

「そう考えると今度はこの地球の海を占領しようと来たって考えて間違いなさそうだな」
「それだけじゃないだろう。話を聞く感じじゃ他の存在を認めない奴っぽいからな。
恐らくあんた達アクア星人や私達地球人を根絶やしにするつもりだろう」
神楽の推察に暦が補足する。

「どっちにしたって放っておけないよな。かおりん、バルキー星人がどこにいるか分かるか?」
「ちょっと待って、今調べるから。あ、出たわ。そこからポイント1974地点に
それらしき宇宙人反応が検地されたわ」
すぐにかおりんは居場所を突き止めた。

「ポイント1974地点ですか。割と近いですね。ここから北西に行ってすぐですね。
ではこうしましょう。私とよみさん、榊さんで潜水艇『スカーレットマリンライザー』で
そこを攻撃して地上に星人もしくはゲオザークを誘い出します!そして地上に現れた所を
ともちゃん、神楽さん、大阪さんの三人で攻撃してください」
「了解!」
歩が行きにきた時の方法を使い、三人はジュリスと共に地上へと出る。

「そや、ゲオザークを誘い出すいい案があんねん」
歩が何かを思いついたらしく、二人に提案する。

「大阪の事だからどうせろくでもない作戦なんだろうけど、一応聞いてみるか」

236 :異星人の恩返し :2004/06/07(月) 23:18 ID:???
「どういう作戦なんだ?」
「ゲオザークの好きな物で誘い出すんや」
「ゲオザークの好きな物って言ってもあいつロボットなんだろ?どう誘い出すんだよ」
「これや!」
歩はどこから持ってきたのか倒されたサメクジラそっくりのレプリカを地上に投下した。

「おいおいこんなもんどうやって積んでたんだよ?大体ゲオザークは食べるために
サメクジラに戦いを挑んだ訳じゃねーだろ」
今日はやけに歩に突っ込む神楽。

「まあいいんじゃねーの。とりあえずそれでやってみよう」
大して期待してないけどと付け加えて智は言った。歩いわく作戦名は
「餌で誘い出しす作戦」、まんまである。
しかし、二分としないうちにゲオザークは誘い出されて地上にその角を出現させながら突進してくる。
闘争本能を刺激されたのか、それとも歩の言う通り、食欲を刺激されたのかは分からないが・・・・・・・

「嘘・・・・・・・」
「大阪さんの作戦が当たるなんて」
「ほら〜あたしの言う通りやろ〜」
本部のかおりんと千尋も信じられないといった表情をしている。歩は得意そうな表情をする。

その頃、『スカーレットマリンライザー』で水中を航行していた、ちよ、榊、暦の
三人はそれらしき建物を発見する。

「あれですね。榊さん、よみさん、用意はいいですか?」
「こっちはOKだ」
「うん」
攻撃を開始すると、果たしてそこには星人が姿を現した。バルキー星人は一言で言うと
ウルトラマンレイの出来損ないのような顔をしていた。複雑な頭部に赤い目、
額と胸にはカラータイマーそっくりのタイマーランプがあった。黒い体はシェイドを連想させる。
そして手にはバルキーソードと呼ばれる宇宙槍を持っている。

237 :異星人の恩返し :2004/06/07(月) 23:21 ID:???
「ふはははは、私の居場所を突き止めるとは褒めてやろう。そしてゲオザークを
誘い出した事もな。しかし、お前達は致命的なミスをした」
「どういう事だ?」
暦が詰問する。

「ゲオザークは本来地中鮫の意味合いで作られた。水中も自由に動けるが、奴が
本領を発揮するのは地上だ。これが何を意味するか分かるな」
「しまった!歩達が危ない!」
「もう一つはこのバルキー星人に戦いを挑んだ事だ」
バルキー星人は額のランプから光線を断続的に発射してきた。『スカーレットマリンライザー』は
これを右に避け、反撃のレーザービームを放つ。バルキー星人の胸に命中して、バルキー星人は消滅する。

「やりましたね!」
「いや多分まだ生きてる。手ごたえがなさ過ぎる!」
「多分どこかにテレポートしたんだと思う」
「とにかく急いで地上に戻りましょう!大阪さん達が心配です!」

その頃、地上のボンクラーズは現れたゲオザークに苦戦を強いられていた。
ゲオザークは角のまま突進し、歩達の攻撃を受け付けずにサメクジラのレプリカを
破壊して尚も前進を続ける。付近の住居などが壊されていく。

「くそ、何て装甲の固い奴なんだ!」
「とにかく分離してまた攻撃しなおそうぜ!神楽、大阪!準備はいいか」
「了解や〜」
三機に分離して、攻撃を展開する。しかしそれでもゲオザークの前進は止まらない。

「ジュリスちゃん!何かあいつに弱点みたいなもんないのん?」
歩は地上にいるジュリスに向かって問いかける。

「残念ですが、分かりません。ごめんなさい」
申し訳なさそうにジュリスは謝った。

「謝らなくてええよ。今度は『ひっぺがし作戦』や〜」
「お、それは行けそうな気がするな」
「よーし、それで行こう!」
今度は三方向から釣りの要領でゲオザークの角にレーザーロープを巻きつけ、
引っ張り出そうとする作戦である。相変わらず歩はネーミングセンスがない。
これはジュリスも手伝った。果たして作戦は成功し、ゲオザークを引っ張り出す事に
成功したかに見えた。しかし、ゲオザークは死に物狂いで暴れてロープから逃れ、地上に落下する。
また潜ろうとするゲオザーク。また潜られたら被害は大きくなるばかりだ。

238 :異星人の恩返し :2004/06/07(月) 23:23 ID:???
「くそぉ、何て奴だ!」
「こんな奴の食ってもうまくない事だけは確かだね」
智と神楽はゲオザークに悪態をつく。

ゲオザークが宙に浮いて襲い掛かる。前回のハングラーと似た攻め方だと思われる。
歩はその一撃をくらってしまった。どんどんと下降していく。

「大阪!!」
「ジャスティース!」
すぐさまジャストランサーを取り出し、ウルトラマンジャスティスに変身した。
もちろんオートコントロールに切り替えるのを忘れていない。歩の機体は何とか不時着した。

「せやぁ!!」
ジャスティスはゲオザークを引きずり出し、投げ飛ばした。地面に仰向けに倒れるゲオザーク。
ゲオザークはジャスティスに向かって地面を滑りながら、突進してくる。地中鮫の異名を持つ
ゲオザークは地上の方が動きが素早いのだ。
ジャスティスは両手で押しとめる。しかし、徐々に後ろに押されてゆく。そして弾き飛ばされた。

「はあああああ、だあああああ!!」
ジャスティスは両手を大きく円を描くように動かし、クラッシャーモードへとチェンジした。
そしてゲオザークの突進を今度は逆に押し戻し、蹴りで地面に倒す。
そしてその尻尾を掴み、ジャイアントスイングの要領で投げ飛ばす。

「ジャスティスに続くぞ!とも!」
「撃つぞ〜」
神楽と智のレーザー攻撃にゲオザークの装甲が剥がれ落ちる。ジャスティスも
その圧倒的なパワーでゲオザークを追い詰める。

「ふふふふふ」
しかしその時、不気味な笑い声と共にバルキー星人が姿を現した。バルキー星人は
出現するなり胸と額のランプから断続的に光線を出してジャスティスを狙う。
ジャスティスはそれをバック転する事で回避する。

「はぁ!」
バルキー星人が手に持った宇宙槍(バルキーソード)で襲い掛かってくるが、
ジャスティスはこれを横にかわし、逆に膝蹴りを腹に入れ、後ろの首にチョップを入れダウンさせる。

239 :異星人の恩返し :2004/06/07(月) 23:25 ID:???
追撃をかけるジャスティスだが、逆にかわされ、羽交い絞めにされてしまう。
そこにゲオザークが口から光線を吐いてきた。ジャスティスのカラータイマー付近に当たる。

「のわぁ!」
後ろからバルキー星人に突き飛ばされ、ジャスティスはうつ伏せにダウンする。
さらにゲオザークが宙に浮きながら突撃、バルキー星人も頭を低くして体当たりしてきた。
二体の攻撃をまともにくらい、ジャスティスは地面を滑っていく。
活動限界を知らせる胸のカラータイマーが青から赤に変わり、点滅を始める。

そこに『スカーレットマリンライザー』が浮上する。ウルトラマンがその体を
モードチェンジするように、この機体も水上でも戦えるのだ。

「ジャスティスを援護します!バルキー星人に総攻撃!!」
「了解!」
浮上してすぐさまバルキー星人に砲弾攻撃をかける。攻撃を受けたバルキー星人は
それに構わずジャスティスに攻撃しようとするが、そこに二機が立ち塞がる。

「おいおいどこ見てんだ?」
「お前の相手はジャスティスだけじゃないぜ!」
妙に頼もしいセリフを発しながら、智と神楽がバルキー星人とゲオザークにミサイル攻撃する。

「せいやぁ!」
ジャスティスはゲオザークを抱え上げて投げ飛ばし、バルキー星人も体当たりで吹き飛ばした。
ゲオザークはまたも飛び上がろうとするが、そこをジュリスが泡状の球体を発生させ、
ゲオザークの動きを止めた。空中で静止状態になるゲオザーク。

「私だって助けられてばかりじゃない!皆さんの役にほんの少しでも立ってみせる!」
「がああああ!デュワ!!」
ジャスティスは球状の波動エネルギーを作り出し、それをゲオザークに投げ付ける。
新必殺技『バーニングシューター』である。それはゲオザークの口に入り、空中で爆発した。

「ここまでか」
バルキー星人はテレポートして逃げようとするが、させじとジャスティスは
『ダージリングアロー』をバルキー星人の胸のランプに命中させ、動きを止める。
そしてHOLYの面々に指を指す。

240 :異星人の恩返し :2004/06/07(月) 23:26 ID:???
「分かってます!皆さん行きますよ!」
「了解!ウイングマリンオーバーアタック!」
海と空からの同時攻撃でバルキー星人の額のランプを打ち抜いた。どうやら
ここが弱点だったらしく、バルキー星人の体は一気に燃え上がる。そしてそのまま
体をゆっくりうつ伏せに倒し、そのまま大爆発を起こした。

「シュワッ!」
ジャスティスはそれを見て飛び去っていく。

「ありがとう歩さん。そしてHOLYの皆さん」
ジュリスは飛び去っていくジャスティスとHOLYの機体を見渡しながら言った。

そしてその夜、バルキー星人やゲオザークの脅威も無くなったという事でアクア星人達は
自分達の星に帰る事になった。

「そなた達には本当に感謝しておるぞ。わらわ達がこうして生きているのは
そなた達のおかげじゃ」
「いやいや大した事じゃありませんよ」
リナールの礼の言葉に珍しく智は謙遜した。

「お姉ちゃん達凄いんだね〜」
子供の星人が尊敬のまなざしで見つめる。

「べ、別に大した事してねぇって。私達はただ自分の星を守っただけだよ」
何故か恥ずかしそうに答える神楽。

「そこでじゃ、そなた達にはお礼の気持ちにこれを与えようと思う」
「わー何ですか〜?」
ちよが期待に満ちた目で尋ねる。

「これじゃ」
「玉手箱?」
「榊もそう思うか?私もそう思った」
暦と榊は差し出された箱を見てそう呟いた。

「決しては開けてはならぬぞ。と言いたいとこじゃが、別に開けても
問題ないぞ。ただここでは開けんようにな」

241 :異星人の恩返し :2004/06/07(月) 23:27 ID:???
「分かったで〜」
リナールが箱を渡す祭にニヤリと笑ったが歩はそれに気づかなかった。
そして、宇宙船が浮上し、アクア星人達はそれに乗り込む。

「ありがとう、あなたたちの事はきっと忘れません。もし、あなた達が危機に
陥ったら真っ先に助けに行きます」
ジュリスはそう言って歩と握手をする。

「元気でな〜ジュリスちゃ〜ん」
「あなたも。ウルトラマンジャスティス、いえ歩さん」
この言葉は聞こえないように言った。そして彼女達は宇宙へと帰っていった。

「へぇ、これがその玉手箱って奴なんだ」
「何だか浦島太郎みたいだね」
かおりんと千尋がアクア星人から渡された玉手箱をまじまじと眺めていた。

「そういやそうやな〜」
「助けた異星人に連れられてその上歓迎パーティーまでしてもらえたんですよね。
大阪さんいいなぁ」
私がなってみたかったと言い出すちよ。

「それにしてもこれ何が入ってるんだろうな?何か願いを叶える龍が出てきたりしてな」
神楽はどうやらある少年漫画に出てくる龍を連想しているようである。

「食べ物だったりしてな。あたしお腹すいたよ」
智の腹が鳴る。今はもう陽も沈み、夕食を食べる時間帯となっている。

「いやぁそれはありえないだろ。このパターンだと煙が出てきておばあさんに
なっちゃうんじゃないか?」
「ねこさんが出てきたりして」
「いやそれはない」
きっぱり暦に言われてしょげる榊。

「で、でもそういうのが出てきてもいいとおもいます」
「そ、そうですよ榊さん。きっとねこのぬいぐるみですよ!」
慌ててかおりんとちよがフォローする。

「あたしはちよちゃんのおさげがええなぁ。それで空飛ぶんや」
誰もつっこめない。

242 :異星人の恩返し :2004/06/07(月) 23:29 ID:???
「というより、誰も金銀財宝の可能性は考えないね。まあこの大きさじゃ無理だろうけど」
千尋がそう指摘する。

「とにかく開けてみましょうよ。開けても問題ないっていわれたから大丈夫ですよ〜」
「せやな〜ほな」
歩が箱を開ける。暦は万一の事態に備えてその場から離れようとする。

玉手箱を開けるとそこから煙が噴出してきた。しかし別にみんな特に変わった様子もない。

「何やったんやろ?今の?」
「演出じゃねーの?」
「それにしてもよみ君はひどいですな〜一人だけ逃げようだなんて」
「う、うるさい!あの状況なら逃げても仕方ないだろ!」
智にからかわれて暦はムキになって反論する。

「結局何が入っていたの?」
榊が二人の傍にくる。するとそこには珊瑚の形をした小さなクリスタルだった。
色は星人と同じアクアマリンだった。この地球の材質では出来ないものだった。

「うわぁ〜きれいですねぇ〜」
「そうやな〜」
「うん、そうだね」
「な〜んだ願いを叶えてくれる訳じゃないんだ」
「何だか余計にお腹すいたよ」
「地球材質だったらなぁ」
「夢がないわねぇ。こんなに綺麗なクリスタルなのに」
「いやよみが一番夢がないかなぁ。お金の問題じゃないよね」
それぞれ反応は異なった。その後、お腹をすかした智の為にちよが
手作りの料理を振舞うのであった。

その頃アクア星人の宇宙船ではジュリスと女王リナールが会話していた。
「地球の昔話では開けたら年寄りになるという箱じゃったらしいが、それでは
あまりにも失礼じゃろう」
「だから、中に我々の星でしかとれないクリスタルをプレゼントしたんですね」
「そうじゃ、喜んでもらえるといいがのぅ」
「喜んでくれますよ。彼女達なら」  
その言葉どおり、彼女達はもらったプレゼントに程度の差はあれ、喜んでいたのだった。

第33話 終  第34話に続く

243 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2004/06/07(月) 23:36 ID:???
次 回 予 告
次の怪獣は何と榊に一目ぼれしてしまうんだ。
そして自分のお嫁さんにしようとさらっていってしまう。

「そんな事、言われても、困る」
困惑する榊。

HOLYのメンバーは何とか取り戻そうとしますが、はてさてどうなる事やら。
そして宇宙からも何かが・・・・・・

次回 ウルトラマンジャスティス
「怪獣のお嫁さん〜榊を取り戻せ〜」
この事態にウルトラマンはどう出るのだろう? 

244 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2004/06/07(月) 23:37 ID:???
第34話って入れるの忘れた。
とりあえずウルトラマン絡み以外で歩さんのエピソードと昔話を混ぜて
書いてみました。

245 :( ̄〇 ̄)。○(眠い名有り) ◆CRIUZyjmw6 :2004/06/08(火) 00:19 ID:???
>>244
乙乙
榊さんの「ねこがでてきたりして」ってのはウケました(笑
次回もがんばってください

246 :名無しさんちゃうねん :2004/06/08(火) 00:44 ID:???
>>245
書くのは1000歩譲って良しとしよう・・・だがな・・。

ageんな!ボケ!!!

247 :名無しさんちゃうねん :2004/06/08(火) 00:46 ID:???
>>246
同意。目立たんとこでやってくれって感じだな。
だから・・・スーパーで。

248 :怪獣のお嫁さん〜榊を取り戻せ〜 :2004/06/15(火) 21:11 ID:???
ウルトラマンジャスティス
第34話 「怪獣のお嫁さん〜榊を取り戻せ〜」

桜入り乱れる季節―
この久宝山も桜に満ちている。何度も激戦に見舞われるこの山だが、そんな事は
まるでなかったかのように雄大に構えている。
ここは春になると一面桜景色となる。そういう訳で登山客も多い。この桜景色を見ようと来るからだ。
そしてここに、その人達と同じ様に登山をしている者がいた。長身で黒く長い綺麗な髪、
そして切れ長の目の少女こと榊である。そして頂上に辿り着く。

「綺麗・・・・・・」
榊もまたこの山の頂上からの景色に見とれていた。背負ったリュックの
中からマヤーが出てきた。そして榊の肩に飛び乗る。

「は〜疲れた。それにしても弥生さん早すぎるよ。私疲れちゃった」
そこに三つ編みの少女が抗議の声をあげながら上がってきた。榊と同居している
大学で知り合った友達久瀬怜香(くぜれいか)である。榊も怜香も登山に適した服装をしている。
怜香は大分息が上がっている。榊と違い運動が苦手な方なのであろう。

「ごめん」
「ん〜まあいいや、許す。こんな綺麗な景色が見れたから」
怜香も目の前に広がる風景に魅入っていた。ここに来たきっかけは怜香にここの
景色を見たいからと誘われたのがきっかけだった。しかし、マヤーをそのまま
歩かせるのは流石にまずいとの判断で後ろのリュックに隠していたのだ。
幸い、今は他に頂上に来ている人達はいなかった。

「あれ?怜香先輩じゃないですか?」
不意にそんな声がしたので振り向くと、そこには亜麻色の髪に
ポニーテールの少女がこちらに向かって挨拶していた。

「あら、七瀬。久し振り。いつも一緒にいる先輩達はどうしたの?」
「いつもは一緒にいませんよ。先輩達だって、忙しいんですから」
「そうかしら?」
などとやりとりをはじめる怜香と七瀬と呼ばれた少女。しかし、榊は
七瀬と呼ばれた少女をどうしてか知っている気がした。

249 :怪獣のお嫁さん〜榊を取り戻せ〜 :2004/06/15(火) 21:13 ID:???
「あ、あの」
「あ、ごめんなさい。この子は私の中学時代の後輩で青森七瀬(あおもりななせ)って言うの。
高校は違うとこ行ったんだけどね」
「七瀬?あっ!確かゆりゆりの・・・・・・」
榊はあっとなった。オペレーターの相田京子が話していたのを思い出したからだ。
高校時代の事を聞いたら答えてくれたのだ。百合子はこういう事はあまり話さないので
京子か井上舞に聞くしかないのだ。青森七瀬は平井百合子の二つ下の後輩なのである。

「あれ?もしかしてゆりゆり先輩やキョロ先輩の事を知ってるんですか?」
「知ってるも何もこの人はそのキョロ先輩と同じHOLY隊員よ」
「榊弥生。よろしく」
「うわぁ、こんな身近でHOLY隊員に会えるなんて感激だなぁ。よろしくです!」
舞い上がって榊と握手する七瀬。肩に乗ってるマヤーにも気づいたが、七瀬は特に気にした様子もなかった。

「私も本当は先輩達や友達誘って行きたかったんですけど、都合が合わなくて
仕方なく一人で来たんですよ。でもまさか先輩達に会えるとは思いませんでした!」
やけにハイテンションな七瀬。この辺は智やゆかりに通ずるところがあるなぁと榊は思った。
智を知っているとは思えないので、百合子か咲月のどっちかの影響かな?とも考えていた。

「相変わらず元気ねぇ七瀬は。さて、弥生さんそろそろ降りましょうか」
「うん」
「あっ私もご一緒します!」
榊の後を怜香と七瀬が続いていく。だが、そこに地震が起こり、そしてそこに巨大生物が出現した。
二足歩行で体に羽が生えており、顔は緑色に覆われた体毛のせいでよく見えない。

「か、怪獣!?」
七瀬と怜香も目の前に怪獣が現れた事に驚く。さすがにこれだけでかい生物が現れれば、誰でも気づく。他の登山客は一斉に逃げ出した。

「二人共、早く逃げて!私が何とかするから!」
「何言ってるの!武器もなしにどうやって戦うのよ!?」
「そうですよ!それにここ頂上だから逃げようにも逃げれないですよ!」
榊が二人に逃げるよう言うが、二人は従わない。これではウルトラマンレイに
変身して戦う事は出来ない。そうこうしているうちに怪獣は三人に向かってきて、三人を見下ろす。

250 :怪獣のお嫁さん〜榊を取り戻せ〜 :2004/06/15(火) 21:15 ID:???
そして怪獣は榊を見て、何か喜ぶかのような仕草をするとそのまま榊を手の
ひらに乗せ、飛び去ろうとする。

「あっ!待て〜!!」
「ちょっと七瀬、危険よ!」
何と事もあろうに七瀬は怪獣の足にしがみついた。七瀬もそれを止めるためにしがみつく。
しかし、怪獣はそんな事おかまいなしにこの久宝山を飛び去ってしまった。

「みんなに連絡しないと!」
榊は通信機を使ってみんなに呼びかける。

非常召集という事もあり、それぞれ休日を楽しんでいたメンバーは大急ぎでHOLY基地へと急行した。

「榊さん、一体どうしたんですか!?」
「それが・・・・・・怪獣に捕まった・・・・・・」
「えぇ〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
これにはさすがにメンバー全員驚愕した。

「ちょっと待ってモニターに出してみる!まったくどこの怪獣よ!
榊さんを捕まえるだなんて許せない!」
少し怒りながらもそれまで担当していた隊員と変わり、かおりんは榊の
通信機から発せられる音波を頼りに位置を割り出す。
そしてそこには怪獣の手のひらに乗った榊の姿が映った。

「榊ちゃんだけじゃない!足元にも人がいる!」
足元にしがみついている七瀬と怜香の存在にも智は気づいた。

「くそぉ、これじゃあ攻撃出来ない!」
「とにかくあいつを追跡しよう!出撃しよう!」
「あたしも行く〜」
「怪獣のデータリンクはこれからするから、ちょっと待ってて!」
神楽、暦、歩、千尋はそれぞれ自分の持ち場につく。

「私も行きます!」
今回はちよも「ブルードラゴン」を駆り出撃する。

「あたしを置いていくなよ〜」
遅れて智も搭乗する。

251 :怪獣のお嫁さん〜榊を取り戻せ〜 :2004/06/15(火) 21:17 ID:???
怪獣はしばらく飛行を続けていたが、やがてある小さな島に向かってゆっくり上陸した。
そこは日本本国を離れた場所にあった。

「あんな島あんなとこにあったか?」
「恐らく地殻変動の影響で新たに出来た島なのかもしれません」
モニターに映し出された映像を見つつ、暦の疑問にちよは推測を口にする。

「ちよちゃんの推測は当たっているわ。そこは最近の地殻変動の影響で
浮上した地図には載っていない無人島よ!そしてその怪獣はその地殻変動の影響で
出現したものね、でも変なの?」
「何が変なんだ?」
神楽が尋ねる。

「この怪獣、名前をリアードって言うんだけど、手元の資料によると凄く大人しい怪獣らしいの」
「その怪獣がどうして榊ちゃんをさらうんだよ!?」
「分からない。どうしてリアードがこんな行動に出たのか。それに元々無人島
出身のはずのリアードが何故久宝山にいたかも分からないし・・・・・・・」
「それにあんまりゆっくりしてられないみたいよ。宇宙から何かが接近しているわ!」
かおりんは宇宙で何かがこちらに向かって接近してくる事を知らせた。
確かにレーダー上では何かが地球に向かって急速接近しているのが分かる。

「またあのぬいぐるみみたいなんが、送り込んできたん?」
「そことは発生場所が違うわ。宇宙人なのか、怪獣なのか現段階では分からないけど
このまま行けば30分後に地球に落下するわね」
「急ぎましょう!皆さん!榊さんを一刻も早く助けないと!」
「了解!」
ちよ達は島へと急いだ。

その頃、無人島では何とか無事に七瀬と怜香は辿り着いていた。リアードはすぐに奥に行った。

「生きてる七瀬?まったく無茶する子なんだから」
「生きてます。無茶は私の高校時代の先輩からの影響もありますけどね」
汗ダラダラな二人。先日も七瀬は怪獣キングザウルス三世に生身で立ち向かっていく
先輩を見てきたばかりだ。言うまでもなくそんな事をするのは百合子しかいない。

「その先輩達がどんな人達なのか少しだけ興味あるわね。
ともあれ、今は弥生さんを探しましょう」
「はい」

252 :怪獣のお嫁さん〜榊を取り戻せ〜 :2004/06/15(火) 21:18 ID:???
その頃、榊はリアードに下ろしてもらった。そして困惑な表情を浮かべる。

「あ、あの・・・・・・・」
榊を下ろした途端、リアードはとても嬉しそうな表情をした。そしてこの島で
取れたと思われる木の実や食べ物を渡してきた。

「こんなに渡されても・・・・・・・食べられない」
しかし、そこにマヤーが飛び出てそのごちそうに手を付け始めた。するとリアードは
マヤーを物凄い形相で睨み始めた。マヤーもリアードを睨み返す。火花が散らんばかりの勢いだった。

「喧嘩しちゃだめだ」
榊が仲裁に入ると二匹ともそれに従った。

「あっ、ここにいたんだ」
「弥生さん無事〜?」
そこに七瀬と怜香が入ってきた。女性が入ってきたからかリアードは少し反応
するものの、やはり視線をまた榊に戻した。

「怜香さん、七瀬ちゃん。何かこの怪獣様子が変?」
入ってきた二人に榊はそう言う。リアードはまた奥で何かゴソゴソし始め、そして一着の服を持ってきた。
それはドレスだった。もちろん人間用だ。何故、リアードがこんなものを持っていたのかは分からないが・・・・・・
それを榊の前に置く。

「これを着ろって事?」
榊が尋ねると、リアードは大きく首を縦に振る。そうらしい。

「着てみたら弥生さん」
「着てみても損はないと思いますよ」
「でも・・・・・・私が着ても似合わないから・・・・・・」
「そんな事ないわよ、案外似合うと思うな」
「でも・・・・・・」
「もう、まどろっこしいなぁ!怜香先輩、あたし達で着せちゃいましょう!!」
「そうね、弥生さん、ごめん」
「え!?ちょ、ちょっと!!」
有無を言わさず着せ替えられてしまう榊。この間、何故かリアードは目を背けていた。
マヤーは興味なさそうにボーっとしている。

253 :怪獣のお嫁さん〜榊を取り戻せ〜 :2004/06/15(火) 21:20 ID:???
あっという間にドレスアップさせられる榊だったが、自分が想像していた
ものよりは酷くはなかった。

「ほら、結構似合うじゃない」
「うんうん。似合ってますよ。えーと弥生先輩」
どうも七瀬は年上の人間は誰彼構わず先輩と呼ぶ癖があるらしい。
そしてそれを見たリアードの体毛から顔が見えた。その顔は優しい表情をしており、
榊のドレス姿を嬉しそうに見ていた。

「本当に似合ってる?」
疑い深そうに榊は聞く。

「本当ですよ〜」
「私もとってもよく似合ってると思うわ」
二人に褒められ、榊はまんざらでもない表情をした。柔らかい笑みを浮かべる。

「似合わないかと思ってたから何か嬉しいな」
どうやら榊はこの格好を気に入ったようだ。

「ねぇひょっとしてこの怪獣、弥生さんに一目惚れしたんじゃないのかしら?」
「ありえますね。さっきからこの怪獣弥生さんばかり見てますし・・・・・・」
「え?」
七瀬と怜香の言った言葉が分かるのか、リアードは緑色の身体を真っ赤に染めていた。
どうやら図星だったようだ。

「私達の言葉が分かるみたいね」
「ひょっとしてお嫁さんにするつもりでドレスを渡したりして・・・・・・」
するとリアードは勢いよくぶんぶんと首を縦に振る。しかもはしゃぐものだから、振動が凄い。

「やっぱり、そうみたいよ」
「これは大変なのに目つけらちゃいましたね」
「そんな事急に言われても・・・・・・困る・・・・・・」
困惑する榊。しかし確かに、これまでに出会った怪獣、シーモンス、シーゴラス、
リドリアスに比べると反応が明らかに違う。この3匹はどちらかと言うと友達の感覚で接してきた。
それに対し、リアードは花束まで用意してきている。ただこれは人間サイズじゃなく巨大だった。

「何だって〜!!」
この島に辿り着いたHOLYメンバー達の一斉にあげた叫び声だった。

254 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2004/06/15(火) 21:21 ID:???
今回はここまでです。

255 :( ̄〇 ̄)。○(眠い名有り) ◆CRIUZyjmw6 :2004/06/15(火) 22:25 ID:???
おお、次作キタ

256 :( ̄〇 ̄)。○(眠い名有り) ◆CRIUZyjmw6 :2004/06/15(火) 22:27 ID:???
―作戦は順調に進んでいるな…
上空から見ていた五星は、真珠湾の現状を見て思った。
美浜という人物のバックに入っていた本。もしあの通りに進むなら、その根本的な流れを変えなければならないからだ。
今の攻撃隊には、敵の基地と駆逐艦と巡洋艦だけを狙わせる。歴史上では今月16日に竣工の大和を急遽仕上げて、この戦場に送った。
あとは、大和の砲撃で敵戦艦と基地を破壊すればよしだ。これならばアメリカは空母の量産ではなく、戦艦の量産に手をつける…
「おっと、逃がさねぇぞ」
雷撃機の後ろについた敵機に対して、銃弾の雨を降らせる。鉄片が飛び散り、敵は爆発を起して木っ端微塵になった。
「あとは、智に任せてあるけど…大丈夫だろうな…」

それから3時間後、智は大和の艦橋にいた。
真珠湾の上空には、豆粒のように小さく見える航空機と、それを落とそうとする対空砲火の煙が見えている。
「高柳艦長、射撃の準備を」
「はっ。主砲、射撃準備!!」
智に言われて大和艦長の高柳儀八大佐は命令を下した。無論、智よりも年上だが、智のほうは階級が上だ。
「主砲発射用意!目標、真珠湾敵飛行場及び施設。方位0270、距離41000、仰角44」
大和の主砲がウウゥゥゥ…と動き出した。
「射撃開始まで後10分!!」

その10分間が、智にはとても長く感じられた。
さっきのあの感覚は… 由に会った時と同じ感覚。たくさんの人が自分の中に入ってくる。
一体あれは…
「あー、やめたやめた!!」
そう言う事を考えるのはやめることにした。そんなことを考えていたら壊れてしまいそうだ。
今までにも空母やらイージス艦やらを沈めてきた。さっきのは少し気分がおかしかっただけだ。
自分にそう言い聞かせながら、智はまた真珠湾の方を見ようとした時だった。
「艦長、主砲の発射準備完了しました!」
士官が報告をしてきた。
―いよいよだ。この時代での初めての戦争…
智は覚悟を決めた
「いよいよ46cm砲の威力を米軍に思い知らせるときがきましたな。司令、下令を…」
高柳の言葉を聞いて、智は1回つばをゴクリと飲み込むと、思い切ってその言葉を言った!
「よし、主砲を発射しろ!!」
ズガアアァァァァ!!
巨大な閃光と爆音が大和を揺らした!

257 :( ̄〇 ̄)。○(眠い名有り) ◆CRIUZyjmw6 :2004/06/15(火) 22:28 ID:???
「うわっ!?」
超低空で敵機を追っていた五星の機を、突如巨大な振動が襲った!
大和の主砲が水中弾となって岸に激突したのだ。追っていた敵機は水柱に飲み込まれてバランスを崩し、そのまま海面へ激突した。
一方五星は、――智との訓練の時のように――海面ギリギリを背面飛行して、戦艦の主砲の上をすり抜ける。
直後、戦艦に水柱炎が上がった!
大和の水中弾が、戦艦――アリゾナに命中したのだ。刹那、アリゾナは――付近を飛んでいた航空機を巻き込んで――大爆発を起こした!!
どうやら火薬庫に直撃したらしく、すでに艦の陰は海面から消えている…
戦艦大和の46cm砲は想像を絶する威力だ。砲弾一発の重量は1.4屯もあり、最新鋭の一式陸攻の搭載量よりも多い。
「流石は46cm砲だな…」

「攻撃隊より報告!!大和主砲弾、敵艦艇、及び施設に多数命中!すでに戦艦2、駆逐艦1の撃沈ないし大破を確認せり!」
士官の一人が、智と高柳に報告した。
「司令、大戦果ですな」
高柳が満足げな表情で智の方を見た。
「ああ。そうだな…」
智は頷いたが… 何処と無く元気が無い。
―これだけ離れてるのに… 心の声が聞こえる…
先ほどほど辛くは無いが、少し頭が痛い。どうやら、声は近いほど強く聞こえるらしい。
そう考えている間にも大和から主砲が発射され、真珠湾に爆発の煙があがり、声が入ってくる… さっきからその繰り返しである。
―貴方達に恨みは無い。けど…
これは戦争である。殺らなければ、殺られる。戦争をする者の常識だ。
また眩い光が、真珠湾を照らしたのだ見える。
「敵戦艦に命中!!」
炎と煙が真珠湾の基地を、艦艇の残骸と漂流者が真珠湾を埋め尽くしていた…

258 :( ̄〇 ̄)。○(眠い名有り) ◆CRIUZyjmw6 :2004/06/15(火) 22:37 ID:???
第四章【帰航】
昭和十六年十二月十一日、ウェーク島沖300km
「第一、第二航戦、基地の爆撃に入りました!」
五星の部屋に士官からの連絡が入った。
「わかった」
智と将棋をさしながら、五星はそれだけしか言わなかった。士官が行儀良く敬礼をして、部屋を後にする。
この大和からは見えないが、現在ウェーク島では戦闘が続いている。さすがにこれだけ離れているからか、あの声は聞こえない。
「そっけないな」
「全ては計画通りに進んでる」
パチンと、五星が銀を前に出した。王手だ
「そうかねぇ…」
こっちの世界にきてから約二ヶ月。五星に付き合わされて、智の将棋も板についてきている。角でその銀を取る。
「そんなもんさ」
そう言って角を桂馬で取り、金になる。これで…
「あっ!!」
「詰みだ」
確かに、金を取ろうが横に動こうがもうダメである。
「う〜〜」
「まだまだだな」
そう言うと五星は、机の上の種類に目を通した。
「そこらに置いてあるもの触るなよ」
といいながら、書類をめくっていくと、お目当てのものが見つかった。それを見て五星はニヤリと笑う。
「なぁ五星、これなんだ?」
と智が腕輪のようなものを持っている。
「馬鹿っ!それは…」
ビュッ!タァン!!
と五星が注意する間もなく、腕輪から何かが発射され、智の頬をかすめて飛んでいった。
壁を見ると、鉄製の矢が突き刺さっている。
「なっ、何これ…」
「…………」
五星は智をじっと見つめている。智の頬に一文字の傷ができて、血がにじんできている。
「なんだよ」
「運がいいな、塗り忘れだ」
「塗り忘れ?」
智の脳裏に嫌な予感がよぎる。
「普段なら猛毒が塗ってあって…」
五星はそれを取り上げると、智に見せた。
「お前は何か言う前にあの世行きだ」
と、壁に刺さった矢をとる。確かに比べて見ると、いま腕輪に仕込んであるほうには何かが塗ってあるのがわかる。
智の顔からサ――――っと血の気が引いていく…
「そっ… そんな危険なものを置いておくなぁ!!」
「触るなと言ったのに触るお前が悪い。自業自得だ。死ななかっただけありがたく思え」
「ゔ〜〜〜」

259 :( ̄〇 ̄)。○(眠い名有り) ◆CRIUZyjmw6 :2004/06/15(火) 22:38 ID:???
ふと、智が気づいたように言い出した。
「ところでさぁ、何でウェーク島に大和を出さなかったんだ?そっちのほうが楽だろ」
腕輪に矢を装填しながら、五星は答えた。
「今回の目的は攻撃じゃなくて占領だ。大和の砲撃だと威力が強すぎるし…大和がいなくても十分こなせる任務だ」
「ふ―――ん。 これから大変だねぇ…」
「まぁな。それに…」
「?」
―この本の内容は来年の四月初頭のインド洋作戦まで。それ以降の戦いは乗ってない…
と、口には出さなかった。特に言いたくは無いことは言わないたちだからだ。
「いや、何でもない。さて、真珠湾の報告書の続きでも書くか…」
と、五星はノートパソコンの前に座る。
「って、何でお前がこれを使ってるんだ?」
「これが慣れると使いやすくてさぁ」
と、すでにブラインドタッチで文字を打ち込んでいる。
ガガァ―――ン!!
いきなり、巨大な振動が大和を揺らした。巨大な船体がグラリと大きく揺れる。
五星は内線の電話に駆け寄った。
「どうした!?」
「座礁です!」
高柳艦長の声が聞こえてきた。
「左舷が岩礁と接触した模様!」
「わかった。今行く」
五星は制服の上着を着ると、士官室を出て、エレベーターに乗り込んだ。快調な音を立てて、エレベーターが上がっていく。
艦橋に入ると、高柳が大和の図面を出して待っていた。
「で、何処を損傷した?」
「岩礁は、左舷艦首を抉っただけですが、速度が低下しました。まだ詳しくは計っていませんが…」
「なら、問題はないんじゃないの?」
智が横から首を突っ込む。
「いえ、それが…」
高柳からの言葉に、智と五星が声をそろえて驚いた。
「「岩礁が動いた!?」」
「ええ。いつの間にか消えたんです。一体何が…」
考える高柳を見て、五星は一言言った。
「まぁ、そういうのは自分達軍人が考える事じゃないな。報告するだけでいいだろう。で、修復にかかる時間は?」
「数週間ほどで」
「そうか、なら問題にすることは無い」
と、智も五星も… いや、この事実を知っていた人物のほとんどは、このことを数日後には忘れていた。
ただ、横須賀港の修理のときにされた報告を聞くまでは…

260 :( ̄〇 ̄)。○(眠い名有り) ◆CRIUZyjmw6 :2004/06/15(火) 22:39 ID:???
真珠湾終りです〜
近々続きを載せます。

ageてしまって、大変ご迷惑おかけしました

261 :怪獣のお嫁さん〜榊を取り戻せ〜 :2004/06/20(日) 02:21 ID:???
「へぇ、リアードって言うんですかぁ」
「地殻変動の影響で現れた巨大生物ねぇ」
合流したHOLY隊員の説明を聞き、怜香と七瀬はそんな言葉を発する。

「それにしてもさすがは百合子の後輩といったとこだよな。無茶するとこまで一緒だ」
「その百合子もお前の影響を受けてああなったんだけどな」
七瀬がリアードに飛び乗った話を聞いて呆れる智に暦は指摘する。

「こっちの榊の同居人のえーと・・・・・・・怜香だっけ?こっちも同じだと私は思うけどな」
「おっと無謀さならあたし等も負けてへんでぇ〜」
神楽が頭を掻きながら怜香を指差す。何故か歩は木にもたれかかり、腕を組む仕草をしている。

「あ、あの〜今はそんな話をしている時ではないと思うんですけど・・・・・・・」
遠慮がちにちよが言った。まだ榊はリアードに迫られて困惑しているところだった。

「そうよ!問題はこの際七瀬さんはどうでもいいとして、怜香さん!どうして
榊さんと一緒に住んでいるのよ!?」
通信機ごしにかおりんが怒鳴り込む。

「どうしてって?大学で知り合ったからとしか言いようがないわ」
「それよりも私がどうでもいいってひどいじゃないですか〜?」
少し困った顔で答える怜香と抗議の声をあげる七瀬。

「うるさい!あんたは今関係ないの!!怜香さん、それは理解できたわ!
でもそれに何であたしがそこにいないの!?」
「か、かおりん、言ってる事無茶苦茶だよ」
「何でって言われても・・・・・・・」
取り乱してしまい、かおりんは何を言ってるのか自分でも分かっていない。
怜香も困り果てている。千尋もなだめるのに必死だ。いつもなら京子なり舞が
フォローしてくれるのだが、あいにく二人共今日はいない。
京子は『TEAM FLAME』の隊長としてやる事が色々あるのだ。

「と、とにかく今は榊さんに結婚を迫ってるリアードを何とかするのが先決でしょ。
宇宙からも何か接近しているみたいだし」
「そうだったわね。今は怪獣の方を何とかしないと」
千尋の説得にようやくかおりんは落ち着きを取り戻した。

262 :怪獣のお嫁さん〜榊を取り戻せ〜 :2004/06/20(日) 02:23 ID:???
「でもさ〜榊ちゃんを取り戻すたってどうすんだ?元々リアードは大人しい生物なんだろ?」
「やっぱここは勝負しかねぇだろ!」
「それじゃああいつを倒す事にならないか?」
神楽の提案を即座に却下する暦。

「でもガラキングの時は成功したやん」
「あの時だって怒りだして、飛行機襲おうとしたのをジャスティスが何とかしただろ」
「とりあえず私が説得してみます。言葉は通じるみたいですし」
そう言ってちよはリアードの前に歩み寄る。

「あ、あのぅ、榊さんを好きなあなたの気持ちも分かります。でもやっぱり
怪獣と人間が結婚するのは無理だと思うんですけど」
するとちよを見たリアードは興味なさそうに追い払う仕草をした。どうやら
子供には興味ないと言いたいらしい。もちろんそんな事されて黙っていられるちよではない。
以前ケンドロス戦で使用したレーザーワイヤーを使ってリアードを捕獲しようとしたが、全員に止められる。
そりゃそうだ。

「離してください!あの怪獣に凄くバカにされた気がして許せないですのだ!」
半分涙目になりながらちよはみんなを振りほどこうとする。

「落ち着けちよちゃん!それじゃあ全く意味がないぞ!」
「らしくないで〜」
歩や暦のおかげで何とか落ち着きを取り戻すちよだが、結局振り出しに戻ってしまった。

「ほら、やっぱりそんなんじゃダメだって!よーし、榊をかけて勝負だ〜!」
「え?」
「本気かよ!?」
神楽が怪獣に呼びかけたのを見て、一同目が点になる。しかもリアードはこの要求を無視。

「あいつ本当にムカつくな〜。とも、『レイストーム』を私に貸してくれ」
「ほらよ」
「だからやめろっての!」
「だめじゃないですか」
七瀬にダメだしされてしまう有様だった。

「ここはあいつを一端眠らせてから救出すればいいんだよ!榊、離れろ!!」

263 :怪獣のお嫁さん〜榊を取り戻せ〜 :2004/06/20(日) 02:24 ID:???
暦はリアードに向かって何かを投げる。言われたとおり榊はその場から離れた。
するとその物体はリアードの足元に落ち、そこから煙を巻き上げた。みるみるうちにリアードを包み込む。
どうやら一種の『麻酔ガス』のようだ。しかし、リアードには効かず逆に怒り出す始末。

「余計怒ったじゃねーか!」
「お、おかしいな。直撃させた方がよかったかな?」
「ダメダメお前ら、そんなんじゃあいつは止められないって。ここはあたしに任せな」
いつもの事だが、自身満々でリアードの前に立つ智。

「ともちゃん、何をするんでしょう?」
「あたしにもわからへん」
固唾を飲んで見守る一同。しかし、智はこの後、信じられない行動に出た。

「ここはやっぱりその身体を武器にするしかないでしょう〜」
声音を高くしながら、智はセクシーポーズと思われる姿勢をとった。全員硬直。

「バカ〜!あんた何やってんのよ〜!!」
「ともはどういう状況でもともね」
作戦室でかおりんと千尋は頭を抱えた。が、しかし・・・・・・・

「何かこの怪獣悩み始めたわ」
怜香の言う通り、リアードは榊にするか智にするか悩みだした。

「あいつは何で怪獣には妙に人気あるんだ?」
「さすがです。百合子先輩を魅了しただけの事はあります!」
「百合子を魅了した覚えはねぇぇ!!」
不思議そうにその光景を見る暦に対し七瀬は絶賛していた。
しかし、有効に思えたその作戦も結局リアードが榊を選んだ事で失敗。

「だめかー」
「お前のその自信だけは見習うべきかもしれない」
などと神楽は呟いた。

(歩、どうしよう。このままじゃレイに変身出来ない)
「(待っててや、今何とかするで〜)あたし、呼んでくるさかい!」
榊とテレパシーで会話した後、歩は皆にそう告げて見えなくなるまで走り続ける。

264 :怪獣のお嫁さん〜榊を取り戻せ〜 :2004/06/20(日) 02:25 ID:???
「大阪さん、一体誰を呼びに行ったんでしょう?」
「私に聞かないでくれ」
歩の行動が理解出来ずに悩む一同だが、遠く離れた場所で歩はジャストランサーを取り出し変身した。
この無人島に赤い巨人ウルトラマンジャスティスが姿を現した。

「あっ、ウルトラマンジャスティス!」
「TVとかでは何度か見るけど、こうして間近で見るのは初めてだわ」
「私はこれで二度目です。前はシェイド、今回はジャスティスです」
怜香は初めて近くで見るその姿に圧倒されていた。一方の七瀬は何だか楽しそうだ。
突然の赤い巨人の出現にリアードは動揺している。榊はそのスキをついてリアードから
逃げ出し、ジャスティスの元へと駆け寄った。

「リアードごめん!私はジャスティスが好きなの!」
榊が衝撃的な一言を発する。

「えぇ〜〜〜〜〜〜〜!!」
全員、驚愕。特にかおりんの驚き方は尋常じゃない。リアード大きくよろめく。

「なるほど考えたわね。好きな人がウルトラマンなら怪獣も諦めるしかないものね」
「そういえば榊は好きとは言ったけど、結婚や恋人とは一言も言ってないな。言葉の魔術って奴か」
ただ一人冷静だった怜香とそのショックからいち早く立ち直った暦が話し合う。

「えぇ〜私、そのまんまの意味で捉えてましたけど」
「私も」
「あたしも〜」
「ごめんなさい、私も」
七瀬、智、神楽、ちよの四人は本気でそういう意味でとらえたらしい。

「ふぅ〜そういうことかぁ。そうよね、いくら榊さんでもそれはありえないよね」
「かおりん、ちょっとは気づこうよ」
さっきとはえらい違いの反応をするかおりんに千尋は白い目で見ていた。

「とりあえず皆さん、ここから離れましょう。危険ですし」
「了解」
ちよの指示に従い、メンバーはリアードから離れた。榊も合流する。
そしてリアードは怒りに満ちた形相でジャスティスを睨み、襲い掛かってきた。

265 :怪獣のお嫁さん〜榊を取り戻せ〜 :2004/06/20(日) 02:27 ID:???
「だぁぁ!!」
突進してくるリアードをジャスティスはジャンプしてかわす。リアードは
勢いを止められず、そのまま地面を転がり込んだ。

「はぁぁ!!」
ジャスティスは走り出し、回し蹴りを三連発頭部と腹部に決める。その後投げ飛ばす。
リアードも負けじとその拳でジャスティスを吹き飛ばす。

「ジョアッ!!」
ジャスティスは空中へと飛び上がる。リアードも羽根を広げ、追い始める。
両者はしばらく追跡劇を繰り広げていた。その間に撃ち落そうとリアードが口から
光弾を発射するが、それを後ろ向いた状態のままジャスティスはかわしながら空中で一度激突する。

「おおおおおおお、でやぁぁぁ!!」
ジャスティスはリアードに向き直り、右手を前に突き出して撃つ『ジャスティススマッシュ』を
発射する。
リアードも口から光線を発射して応戦する。すると二つとも相殺され、上空で物凄い爆発が起こった。
その爆発に巻き込まれる両者だが、ジャスティスの方が一瞬早く立ち直り、
リアードの真上に回りこみ頭に肘うちをくらわした。くらったリアードは地面に真ッ逆さまに落ちていった。
物凄い轟音を響かせ、リアードは大地にたたきつけられた。ジャスティスはその後ゆっくり着地する。

「デュオッ!!」
両拳を前に出してリアードの腹部を殴るジャスティスに対し、リアードも蹴り返してきた。
両者同時にダウンする。

「凄い戦いだな。二人共榊ちゃんと結婚する為にあんなに必死に戦ってるんだから」
「てかウルトラマンと結婚出来るものなのか?」
「リアードはともかく、ジャスティスは別に榊と結婚するつもりで戦ってる訳じゃないだろ」
智と神楽に暦がツッコミを入れてる間に両者は腕を組み合いながら力比べをしていた。
しかし、そこに何かが空から落下してきた。

「気を付けて!さっき言ってた奴よ!!」
「この反応!怪獣に間違いないわ!!」
それぞれかおりんと千尋がみんなに警告をする。

「一体どんな怪獣なんでしょう?」
ちよは警戒しつつ、落ちてきた物に視線を移す。

266 :怪獣のお嫁さん〜榊を取り戻せ〜 :2004/06/20(日) 02:28 ID:???
落下してきたそれは最初は丸い球体に見えたが、すぐに形が変わり、怪獣に変化した。
ただこの怪獣、どことなくリアードに似ていた。ただし、肌の色は黄緑っぽく
体つきも女性を感じさせる事からもどうやらメスらしい。羽があるところも同じである。

「何かあの怪獣ものすごく怒ってないですかぁ?」
七瀬が指摘した通り、新たに現れた怪獣は怒りを露にしている。

「あの二匹は夫婦で夫をやられて怒ってるのかもしれないわね」
「怜香さんの言う通りね。その怪獣はリアードのメスでしかもオスと夫婦関係にあるみたい」
千尋はリンクし終えたデータを読み終える。

「って事は榊さんが危ないんじゃないの?榊さん!」
かおりんの心配は当り、メスのリアードは榊を見た途端、さらに激しく怒り出した。

「はぁ!!」
ジャスティスは榊を救うべく、オスを蹴り飛ばしメスの前に立ちはだかる。

「歩・・・・・・・」
榊はスキを見てシャインリングで変身しようと考えている。

「また前回同様2対1になるのか?」
「待ってください!何だか様子が変です!!」
ちよの言ったとおり、何か変だ。何故かオスのリアードがメスが出現したと同時に怯えているのだ。
そしてメスのリアードは立ちはだかるジャスティスを頭突きで吹き飛ばして、オスの元へ猛突進する。
そしてメスはオスのリアードに顔面をひっぱたいた後、拳による猛ラッシュを仕掛けた。

「お、おいこれどうなってんだ?」
「わ、私に聞くなよ!?」
「仲間割れか?」
神楽も智も暦にもそしてジャスティスさえも何が起こっているかわからなかった。

「もしかして榊さんに浮気をしたから怒ってるんじゃないですか?」
「ああ、そういう事ね」
「夫婦ですもんね〜」
ちよの推測に七瀬と怜香は頷いた。突風を起こしてオスを吹き飛ばしたりしている。

267 :怪獣のお嫁さん〜榊を取り戻せ〜 :2004/06/20(日) 02:29 ID:???
「ど、どうすれば?」
榊も変身するかどうか迷ってしまった。何とかメスを落ち着かせようと近づくが、
メスはオス同様口から光線を吐いてきた。ジャスティスは左に体を傾けてかわした。
邪魔するなという意味らしい。
そしてメスはオスに謝らせながら、自分も謝っていた。

「シュワッ!」
もうこれ以上自分の役割はないと判断し、ジャスティスは飛び去った。

「私は別に怒ってないから大丈夫」
「あたしもですよ〜」
「私もよ」
榊、七瀬、怜香がそう言ったのを見てメスは安心した表情をした。

「結局何がどうなってんだ?」
「多分あのメスのリアードは宇宙旅行に行っててその帰りなんだろう」
「それで暇を持て余したオスが久宝山に遊びに行って、榊を見つけてお嫁さんに
しようとした訳か。全く何て迷惑な怪獣なんだ!」
神楽は憤慨しながら言った。

「全くよ!メスにされた事は自業自得ね!」
「かおりん、今日はすごいテンション高いね」
神楽以上に憤慨しているかおりんを横目に、千尋は怪獣のデータを閉じた。

「疲れたで〜」
そこに歩が戻ってきた。

「あ、大阪さん!凄いですねジャスティスを呼ぶなんて!」
「へ?あたしそんな事言うたっけ?あれ?何で走ったんやろ?」
「しっかりして下さい、大阪さん」
相変わらずの反応の歩にちよはダラ汗をかいた。

オスのリアードがいる時は睨みっぱなしのマヤーだったが、メスの出現時からは
榊の後ろで丸くなっていた。本能的にメスの方に恐怖を感じたのだろうか?
今は榊の足元に寄りかかっている。
そしてメンバーはこの島を後にする事になった。リアード二匹に見送られながら、
この島から日本に帰るのであった。

268 :怪獣のお嫁さん〜榊を取り戻せ〜 :2004/06/20(日) 02:31 ID:???
七瀬はレッドファルコンの後ろに、怜香と榊はホワイトウイングに搭乗して送ってもらった。

「それにしても榊さんその格好とってもかわいいですよ」
「あたしもそう思うで〜」
「そ、そうかな。ありがとう」
七瀬や怜香に褒められたがちよや歩に褒められてさらに頬を赤く染める榊。

「それよりも怜香さん、さっきの話の続き終わってないわよ!」
かおりんがさっきの話の続きを開始する。

「そんなに言うならあなたも一緒に住む?私は別に構わないけど」
「え?本当ですか!?お言葉に甘えてそうさせていただきます!
その前に両親に相談しないと!ありがとう怜香さん!」
急に態度が変わるかおりん。

「本当にいいの?」
「私より弥生さんはどうなの?」
「私は別に・・・・・・」
「そう、なら決まりね」
とんとん拍子に決まってしまった。

「うわぁ〜この戦闘機って中入れるなんて感激です〜」
「そうだろ?あたしに感謝してほしいな」
「何でともがえらそうなんだ?」
「本当にこの七瀬はともみたいにハイテンションだな。百合子はよくこいつを
従えさせてたよな」
レッドファルコン機内ではしゃぐ七瀬と智に対し、呆れ気味の神楽と暦と対照的であった。

「とにかく、これからもよろしくお願いします七瀬さん、怜香さん」
「よろしくちよちゃん」
「よろしくですよ、ちよ先輩」
七瀬に先輩と呼ばれてちよは嬉しそうだった。そうして陽は落ちていく。

その頃、研究室で今回の戦いの様子を見ていた二人組は・・・・・・

「なあ、一ついいか?」
「何だ?」
「女って怖いな」
「・・・・・・・・・・・・」
第34話 終   第35話へ続く

269 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2004/06/20(日) 02:48 ID:???
次 回 予 告
高校卒業を記念して百合子を始めとする仲間から祝ってもらう綾瀬風香。
その日、風香は出来心で百合子が腕にはめている変身アイテム『デスブリンガー』
を持ち出してしまう。

「これって百合子先輩がいつも付けてるけど何なんだろう?」
そしてそれにより事件が起こってしまう。

怪獣が現れたその時、『デスブリンガー』が黒く輝く。
ウルトラマンジャスティスも現れるが・・・・・・

次回 ウルトラマンジャスティス
第35話 「光と闇を継ぐ者」
「大丈夫、私を信じなさい!」

270 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2004/06/20(日) 02:51 ID:???
もしかしたら次回は1、2話のリメイクになるかもしれません。その場合は
0話扱いって事にして、その後35話へ移行するかもです。

>>260
お疲れ。さてどう歴史が変わっていくのかな?
あとあんまり気にするな。

271 :あずまんが太平洋戦記 :2004/06/27(日) 22:54 ID:???
第弐部:逆転、ミッドウェー海戦!!
第壱章【謎の石版】

昭和十七年 五月二十ニ日
ザザァ…ザザァ…
「機関停止。投錨!」
横須賀で座礁の傷を癒し、一通りの訓練を終えた戦艦大和が、堂々とその大きな船体を停止させた。
瀬戸内海に浮かぶ柱島。真珠湾での戦闘以降、大和は破損した艦首の修理と、一通りの訓練を行った後、柱島に投錨した。
「平和だねぇ…」
五星が持っていた葉巻をポイッと投げ捨てた。海面に落ちた葉巻はジュッと音を立てて、灰をばら撒きながら海中に没していく…
「五星〜〜!!」
「ん?うわっ!」
智が、五星を甲板から突き飛ばす!が、智も五星に袖を掴まれた。
「ああっ!」
「道連れだ!んにゃろ〜〜!!」
ザッバァァ――――ン!
大きな水柱を上げて二人とも海へ落ちた… かと思いきや、五星の足に手すりの鎖が引っかかっている。つまり落ちたのは…
「くっそ〜〜」
「自業自得だ。自分を恨めよ」
五星は足に絡まった鎖を掴んで甲板に上がった。一方智は、足の付かない海でもがいている。
「残念だけど、内火艇は右舷から出すから(智が落ちたのは左舷のほう)お前は泳いで行け。なに、たかが数百mだ」
「覚えてろよ〜〜」
「着いたら自分の部屋に来い」
時はまだ五月、水泳にはまだ早い季節だった。

272 :あずまんが太平洋戦記 :2004/06/27(日) 22:54 ID:???
「へっくし!まったく、五星のヤロウ。覚えてろよ…」
バスローブの中の、さっき泳いだ疲れと、シャワーの温もりと水滴が残っている体で、智は五星の部屋の前にいた。
「ったく、人を運び屋にするなよな」
「いいだろ。面倒だったんだし…」
他に聞きなれない男の声がしたが気にせず中に入ることにした。
「おう、来たか」
「だれ?この人?」
智が訊ねた。
「ああ、お前に言ってなかったな。こいつは辻山達也。自分と同期だ。まぁ、ただの単細胞バ…」
と、言いかけたところで、辻山の拳が五星の頭に下ろされた。
「お前の話は五星から聞いてるよ。滝野智だったな…」
「あ、うん」
「じゃ、本題に戻ろうか…」
起き上がった五星が辻山の持ってきた資料を手に取りながら言った。
「座礁した大和の艦舷に石版が引っかかっていたそうだ」
五星の出した写真には、ドックの中の大和の艦首が写っている。確かに、故意としか思えないほど石版が上手くめり込んでいる。
「見てくれと言わんばかりだな」
「専門家に鑑定させたら、何処ぞやの古代文字に似ているのがあって解読に時間はかからなかったらしい」
「で、何て書いてあるの?」
ペラペラと資料をめくっていくと、そのお目当てのものはあった。
「え〜っと『時の揺り籠、最後の希望亀羅(ガメラと発音) 災いの影、邪鳥(ギャオス)とともに目覚める』… だとよ」
「なんじゃいなそりゃぁ」
「どっかの小説とかにでてきそうだねぇ… ん?五星、まだなんか入ってるぞ」
言われて五星が袋を逆さまにすると、中から何かが転がり出てきた。
「これは…勾玉?」
大きさ4、5cm程だろうか。それは琥珀色の勾玉だった。
「何だこれか」
「「何だ」ってどういうことだよ?」
何か知っているような五星に辻山が聞いた。
五星は自分の鞄の中から箱を取り出して、蓋を開けた。中にはその勾玉が10個ほど入っていた。
「現場にいたんで、ちょいとな」
彼はニヤニヤ笑っている。
「抜け目の無いやつだ」
「石版と一緒に亀裂に引っかかってたらしい。びっしりとな――って、おい、滝野!」
智は勾玉に勝手に紐を通して、首にかけていた。
「似合う?」
「豚に真じゅ…」
見もせずにそっけなく答えた五星に、彼女のチョップが炸裂した。
「いいのか?」
辻山が聞いているのは海軍の物の勾玉を勝手にあげていいのか?ということだろう。
「いいだろ、何十個こもあるんだし。そんなこと気にしてちゃ大きく生きられないぞ」
彼は「はぁ…」とため息をついた。五星といい、滝野といい… なぜこんな不真面目な奴が軍人になれるのか不思議である。
「何か言いたいのか?」
おまけに勘が鋭いときた。
「いや、別に。それより、飯の時間だぞ」
適当に話をごまかす。
「ひゃっほ〜ご飯だ〜〜」
「じゃ、何か持ってきてもらおうか…」
そう言うと、五星は電話に手をかけた。

273 :あずまんが太平洋戦記 :2004/06/27(日) 22:54 ID:???
ガツガツガツガツ…
智の飯をほおばる音が聞こえている。
「お前なぁ、行儀ってものを知らないのか?」
「いいじゃん、腹減ってるんだからよー」
ふと、五星が口を開いた。
「辻山も大変だな。珊瑚海大変だったらしいな。翔鶴の調子はどうなんだ?」
「飛行甲板がやられて、しばらくは使い物にならねーよ」
「ふーん。  そーだ、智」
五星が書類を智の前に置いた。
「一週間後、大和出撃だ。作戦についてはそれに書いてあるから読んでおけよ」
「ふぁひふぉー」
飯をほおばりながら答える智の前の書類には、こう書かれていた。
『AF(ミッドウェー)・AL(アリューシャン)作戦』

274 :あずまんが太平洋戦記 :2004/06/27(日) 22:55 ID:???
第弐章【再開】
「始まっちゃった、か…」
一人の少女が縁側で呟いた。春の暖かい風が彼女の長い髪をたなびかせる。
―三年後の八月に、ここは…
「どうしたんだ由。元気ないじゃん」
と言って声をかけてきたのは、由の幼なじみの神楽 勇だ。
「そう?」
「そーだよ!ほら!やる気出させてやる!!」
と言うが早いか、由の背中を思いっきりバシィ!と叩いた。
「っっっっ〜〜〜〜」
「どうだ?」
「痛いじゃないの〜!!」
そう言いながらも、由の顔に微笑みが戻った。
―本当、あんたの孫と性格同じよね
彼女がくすっと微笑むと、神楽が不思議そうな顔をした。
「何?」
「さぁね。あんたには教えてあげな〜い」
不意に、皆のことを思い出した。
幽霊の自分と優しく接してくれた彼女達…
あの時、雷に撃たれて、意識が戻ったら家にいた。成仏できたのかと思ったが、時間が戻っていたのだ。
―本当、智もこっちの世界に来ていたらなぁ。昔だったらこう思うだけで…
由は、幽霊のときにやったようにして、智を思い浮かべた。
―智…

「ん?呼んだ?」
食事を食べ終えて廊下を歩いていた智が五星に尋ねた。
「呼んでないぞ」
―気のせいかな?もしかして――由?
声の感覚で一つの予想を立てた智は、両手を合わせて心の中で語りかけた。もしかして、こうすれば…
―由か?

275 :あずまんが太平洋戦記 :2004/06/27(日) 22:56 ID:???
その声は由に届いていた。
―! 智、聞こえる?聞こえてるの!?
―由!!久しぶりだなぁ!
二人はお互いに再会を喜び合った
―で、今何処にいるの?
―今?柱島の海軍基地だよ
―柱島って―― あんた海軍に入ったの!?
―そーだよ
「おい、智行くぞ」
五星の声で、智は現実にもどされた。
―あ、悪いけどちょいと用事ができた。またねー
―ちょっ、智?おーい…
「まったく、せっかちなところは変わってないわね…」
由の独り言に、神楽が気づいた。
「どうした?」
「ううん、何でもない。それより、学校遅れない?」
彼は懐から出した懐中時計の針を見て驚く。
「げ!?遅刻しちまう!じゃぁな!!」
そう言うと、彼は小走りで角を曲がっていった…

276 :あずまんが太平洋戦記 :2004/06/27(日) 22:56 ID:???
それから数十分後。廊下を歩きながら、会議を終えた智は五星にいきさつを話していた。
「ふーん。で、今もそいつは幽霊… なワケはないな。もう一人の自分がこっちいるハメになるし…」
「幽霊ならここにいても見られないからいいのになぁ…」
「そんなことより、今は大和出撃の用意だ。そいつと話せるのも今のうちだぞ」
そう言って、五星は自分の個室へと入っていった。
智も自分の個室に入ると、煙草に火をつけた。白い煙があたりに漂う。1回深呼吸をしてから、智は精神を集中した。
―由〜 聞こえるか〜?
智の話し声が由の耳に届く。
―ん?まったく、さっきはすぐいなくなったくせに…
―悪い悪い。会議があったからさぁ
不意に、由が真剣な口調になった
―あのさ、次の作戦気をつけてよ。何か嫌な予感がするの…
―嫌な予感?
―なんか、あんたが撃たれてるのが思い浮かぶのよ
沈黙が一瞬流れたが、すぐに智の笑声がそれを消した。
―だぁ〜〜〜はっは〜 大丈夫。そんなこと気にしてて戦争やれないわよ
―ったく、こっちは本気で心配してるのよ
―大丈夫たって。私は不死身だ
―本当、昔っから変わってないわね。ところで、何で海軍にいるの?
―あのさぁ――――
智は簡単に今までの説明をした。
―なるほど。五星さん、あんたなんかを拾っちゃってたいへんね…
―なんだとー!
―ふふ、冗談よ
しばらく二人の思い出話が続いた。
まずは出会い、それから高校の卒業。大学生活。それから戦争…
―どっちの世界へ行っても戦争か…
―よみ達、今ごろどうしてるのかな…
会話をしているうちに、智はいつの間にか深い眠りへとついていた。
―智〜?おーい…
このゆっくりと会話が途絶えていったところを思うと、おそらく寝たというのは由にも予想できた。
「まったく…」
由はそれを見上げた。梅雨時の雨雲が空を覆っている。
「無事に帰ってきてよ」
彼女の頬には涙が伝っていた。再会の感動か、はたまた仲間を失ってしまうかもしれないという恐怖か。
彼女自身にもわからない、だれも意味を知らない涙が地面へと落ちていった…

277 :( ̄〇 ̄).。oO(眠い名有り) ◆CRIUZyjmw6 :2004/06/27(日) 22:58 ID:???
えーっと、続編完了です。
テレパシーの描写がここまで難しいものだとは思いもしませんでした〜
次でミッドウェー海戦に突入!
で、他の仲間も登場しますよー

278 :名無しさんちゃうねん :2004/06/27(日) 23:55 ID:XA42DhHU
前スレの方が上がってるのであげ

>>277
まぁ肩の力抜いてのんびりやれや

279 :名無しさんちゃうねん :2004/06/28(月) 00:54 ID:???
>>277
乙!

でもな。

>―智〜?おーい…

こういう時の「―」は二文字分使って「――」とするのが普通。
そして、台詞の中で「?」や「!」使った後は、一文字開けるのが普通。
三点リーダー「…」も二回続けて「……」と使うのが普通だが、あずまんが
では榊の台詞とかで「…」があるので、まあOKか。

280 :名無しさんちゃうねん :2004/06/28(月) 02:28 ID:???
ageるのは、感心しないな・・。

281 :名無しさんちゃうねん :2004/06/28(月) 09:59 ID:???
>>278

>>1を読め!

★主な注意事項
1. sage進行でお願いします。
2. 対象範囲は「あずまんが大王」及び、連載中の「よつばと」とします。
3. 他人の作品を善意であっても批評しないでください。(自分の悪いところを
教えてくださいというのは可です。)
※その他の注意事項は、>>2以降で記載します。

282 :名無しさんちゃうねん :2004/06/28(月) 15:49 ID:???
>あずまんがでは榊の台詞とかで「…」があるので、まあOKか。

漫画では三点リーダの数に決まりは特にない。
小説では2つが普通。そうじゃない小説もあるけど。
個人的には、一つだと『間』を表現してるように思えない。

>>280-281
確かにここはsage進行だけど、一回ageた程度でそこまで
神経質になることはないでしょう。もちろん、わざわざ
このスレをageたせいで変な奴が来るのは嫌ですが。

283 :メジロマヤー ◆HFDLMAyar6 :2004/06/29(火) 00:42 ID:???
sage同時進行で久々にSSを投下するか。

(前回から2ヶ月近く間が空いたので、再びあらすじ)
 ひょんなことから、ちよちゃんをサイボーグだと思い込んでしまった大阪が巻き起こす、
愛と感動とはまったく無縁の脱力ストーリーである。

「Secret Zone」  第10話「10→11」

「もうすぐちよちゃん誕生日だね」
 よみちゃんの何気ない一言から今回の話は始まったんや。
「そうなんです。私ももう11才になるんです。少しお姉さんになりますよー」
 ちよちゃんはそう言うと、元気よく右手を高く上げよった。どうやら、年齢が上がるこ
とが嬉しいみたいやな〜。よく考えたら、今はサイボーグになってもうたけど、昔は人間
やったんだから、誕生日はあるもんなぁ。やっぱり、自分の誕生日はサイボーグになって
も嬉しいんやろな。せやけど、サイボーグになったらこれ以上、体は成長しないんとちゃ
うか?
「へー、11才かぁ。でも、もっと若く見えるよね」
 智ちゃんが何気ない表情でボソッと呟いた瞬間、ちよちゃんの高く掲げた右手が少し力
なく下がっていくのを私は見逃さなかった。やっぱり、その辺はちよちゃん自身認識しと
るようや。やっぱり、サイボーグとなったことで体が成長しないことを少なからず悩んで
いるみたいやな。

「小学生の時も背の順で並ぶといつも前の方でした」
 ちよちゃんが元気なさそうな声で呟いとる。あかん、ここは私が事情を知っている私が
励まさないと。
「ちよちゃんはちっちゃい方がちよちゃんらしくてええで」
 私はちよちゃんの目の前に立ち、諭すように手を伸ばしながら言った。何としてもちよ
ちゃんを励まさないとあかんと思ったら、自然とそんな仕草になったんや。
「ちよちゃんが大きかったら、それ、ちよちゃんちゃう。ちよや!」
 そうやで、みんなから「ちよちゃん」ってちゃん付けしてもらえるのは、サイボーグに
なったからとは言え、ちっちゃいままやからそう言われるんやで。みんなからかわいいっ
てチヤホヤされるんやで。もし、ちよちゃんが私より背が大きかったら、そんなのかわい
くあらへん。ただの「ちよ」や。そんなの嫌やろ?みんなから「ちゃん」付けされなくな
るんやで。だから、ちっちゃいままでええやん。そんなことで悩まんと、元気だしてや。

284 :メジロマヤー ◆HFDLMAyar6 :2004/06/29(火) 00:42 ID:???
「榊さんはどうしてそんなに背が高いんですか?」
 あかん、まだ未練を残しているようや。榊ちゃんに背が高くなる方法を尋ねとる。いく
ら、榊ちゃんでもサイボーグの背を伸ばす方法は分からんやろうな。あっ、その前に榊ち
ゃんはちよちゃんがサイボーグってことを知らんか。
「小さいほうがかわいくていいよ……」
 おっ、榊ちゃんええ事言うなぁ。ナイスフォローや。
「えー、でも高いほうがかっこいいですよ」
「……かっこいい?」
 榊ちゃんが聞き返すように呟いとるが、それよりもちよちゃんはカッコよさに憧れて背
が欲しいと思っとるんか?サイボーグだからやっぱり背丈があったほうがいいということ
なんか?せやけど、改造手術を受けた以上、背を伸ばすのは無理なんやろ?何とか諦めさ
せないとあかん。榊ちゃん、上手く説得してや〜。
「かっこいいよりかわいいの方が……、その……強い……」
「つよい?」
 何やそれは?榊ちゃん、そんなんじゃちよちゃんは納得してくれへんで。ほーら、困っ
た顔をしとるやないか。やっぱり、私がもう一度説得せなあかんな。

「そういや榊ちゃんってまだ背のびてる?」
 私がちよちゃんを説得し様とした直前に智ちゃんがちよちゃんの頭を押しのけて、榊ち
ゃんに質問しよったために、私は自分の出るタイミングを失ってもうた。
「……みたい」
「やっぱり?一年の最初の頃より大きくなったよね。170こえた?」
「こえた」
 何やって。榊ちゃんの身長は170センチを越えとるのか。そりゃ大きいわけや。ちよち
ゃんが背が伸びなくて悩んでいるのに、榊ちゃんは大きくなり放題か。それはあかんで。
 あっ、でも、ちよちゃんが自分の背が伸びないことで悩まなくても済むええ方法を思い
ついたわ。
「ちよちゃん、なんか榊ちゃんに吸い取られとる」
 そうや、ちよちゃんの背が伸びないのはサイボーグだからやなくて、成長分を榊ちゃんが
全部吸い取ったからや。今後、ちよちゃんの背が伸びないことにみんなが気付いても、榊
ちゃんがちよちゃんの成長分を吸い取ったってことにすればみんなも納得できるし、サイボ
ーグだってばれることもあらへん。我ながらグッドアイデアや。

285 :メジロマヤー ◆HFDLMAyar6 :2004/06/29(火) 00:43 ID:???
「榊さん、私の身長取ったんですか?」
 あれ?ちよちゃんが榊ちゃんの顔をじっと見つめとる。
「取りましたね?」
 またや。ちょっと笑みを浮かべたまま、榊ちゃんの顔をじっと見つめとるで。
 ちよちゃんと榊ちゃんはお互いに黙って見つめ合ったまま黙り込んでいる。一瞬、その場が静まり返った。
「かえしてー、かえしてくださいー」
 突然、ちよちゃんが榊ちゃんに向かって手を伸ばし、自分の身長を返すように問い詰め
始めた。まさか、ちよちゃん自身も自分の背が伸びないのは自分がサイボーグだからでは
なくて、榊ちゃんが成長分を吸い取ったんやないかと思ったんやないか?それで「返して」
機能が作動したんやないか……。
 榊ちゃん、ゴメンな。私が思いつきで言ったことでちよちゃんがこんな反応をするだな
んて思わなかったわ。それと、ちよちゃんの「返して」機能を止める方法を知らんから、
どうすることもできんわ。

「かえしてー、かえしてー」
 まだ、ちよちゃんが「返して」を連呼しとる。榊ちゃんは戸惑いを隠しきれずに冷や汗
をかいとるな。せやけど、こればっかりは私のせいとちゃう。ちよちゃんにこんな機能が
隠されているだなんて私だって知らんかったんや。これは事故や。
「おー、榊ちゃん困ってる困ってる」
「やるなー、ちよちゃん。さすが11才や」
 私はとりあえず、自分が原因を作った張本人であることを隠すためにともちゃんの言葉
に相づちを打った。せやけど、そろそろちよちゃんを止めた方がええかもしれないな。途
中でバッテリーが切れたら大変やろうし。それこそちよちゃんがサイボーグだとバレてし
まうかもしれへんしな。
 私はとりあえず、ちよちゃんと榊ちゃんの間に割って入った。ただ、ちよちゃんを止めるつもりが、
どういうわけか榊ちゃんを制止するような動きになってしもうた。私の目の
前には榊ちゃんが立っとる。せやけど、榊ちゃんは立派な体つきやな〜。

286 :メジロマヤー ◆HFDLMAyar6 :2004/06/29(火) 00:43 ID:???
「でも、私としてはその胸が気になる」
 ふと榊ちゃんの体を見つめたときに、心の中で思ってたことが口からこぼれ出てもうた。
 私は榊ちゃんの胸をじっと見つめていた。榊ちゃんはまだ戸惑った表情を浮かべとる。
もしかしたら、ちよちゃんの「返して」機能による攻撃を受けたときからずっとこの表情
なんか?せやけど、私はそんな榊ちゃんの表情などお構いなしに、榊ちゃんの体をじっと
見つめ回した。
「ええなっ」
 自分で意識したわけでもないのに思わず感想が口から出てもうた。榊ちゃんはこんな立
派な胸をしてええなと思ったら、ポロッと出てもうた。せやけど、ほんまうらやましいわ。

「むー、確かにそれも気になるな」
 突然、智ちゃんが私の話に乗り出してきた。あんたはすぐに話に割り込んでくるな。
「ま、私も最近成長しとるのだがね」
「えっ、うそっ、仲間ちゃうん!?」
 話に割り込んだことよりも、智ちゃんの胸が成長していることに私はびっくりしてもう
た。胸ない仲間やと思っていたのに裏切られた気分や。何かショックやで。
「で、今どのくらい?おじさんに言ってみ?」
 智ちゃんが榊ちゃんの肩を抱いて、こっそり耳打ちするように近付いた。私もちょっと
気になるんで、榊ちゃんの隣に来て耳を傾けてたんや。結果は衝撃的やった。
「え゛!?うそ!?私との差が一段と!?」
 智ちゃんが大声で叫んだ。私も同じ気分や。どうして同い年なのにこんなに差があるん
や。ハッ、まさか、榊ちゃん、私達の成長分も奪ったんか?

「かえせー、かえせー」
 私は榊ちゃんに奪われた分を取り返すかのように手を伸ばした。智ちゃんも同じ動きを
しとる。
 榊ちゃん、ひどいで〜。私の成長分も奪うなんて〜。もしかして、私が冗談で榊ちゃん
が吸い取っているって言うたのは、実は本当だったのかもしれへん。ちよちゃんがサイボ
ーグなら、榊ちゃんは吸い取り魔や。今なら、その秘密を黙っといてあげるから、私の成
長分を返してや〜。一体何センチ奪ったんや〜?せやけど、榊ちゃんから比べれば、私も
智ちゃんも大した差はあらへん。やっぱり胸ない仲間やな〜。
(続く……んじゃないかな、そのうち)

287 :名無しさんちゃうねん :2004/07/01(木) 10:13 ID:vkCZwlJA
メジロ氏、乙〜乙〜乙〜Z〜乙〜

288 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2004/07/04(日) 02:18 ID:???
>>277
ついに全員参戦か。頑張ってや〜

>>286
久し振りの新作おつかれさまです。
吸い取り魔や胸ない仲間という単語にワラタ

では新作です。結局1,2話のリメイクになりました。

289 :降臨する光の戦士 :2004/07/04(日) 02:22 ID:???
ウルトラマンジャスティス 
第0話 「降臨する光の戦士」

どことも検討もつかない場所。
そんな場所にセミロングの髪をなびかせた少女がいた。

(ここどこなん?)
彼女の名前は春日歩という。不思議に思い、歩いてみる。普通に歩ける事から
地球と同じである事は分かるが、しかし地球とは異なる場所だ。
そしてそこに突如巨大生物が姿を現した。そいつは下は戦車で、上は二足歩行型の
恐竜といった変わった姿をしていた。それが一体化しているのだ。

「うわぁでかいなぁ」
しかしそんな事を言っている場合ではない。恐竜戦車は歩に向かって前進を始めたのだ。

「何であたしを狙うんや!?」
必死に逃げる歩だが、相手の方が動きは早い!追いつかれると思ったその時、
赤い光が目の前に飛び込んできて恐竜戦車を後退させる。

「今度は何や?」
赤い光はやがて形を変えて、巨人の姿となった。

「ウルトラマン・・・・・・」
無意識に歩は巨人を見てそうつぶやいていた。

「でやっ!」
巨人は恐竜戦車と正面から組み合った。恐竜戦車の前進が止まる。
巨人と組み合った恐竜戦車は尻尾で巨人を吹き飛ばす。転倒する巨人に
恐竜戦車は目からビームを発射して巨人に命中させる。

「ぐわぁ!」
追い討ちをかけるように戦車の砲台から砲弾を発射する。巨人はその攻撃をかわし、
恐竜戦車の頭の上に乗り、チョップ攻撃を駆使する。一体化している為に、
恐竜と戦車は分離化が出来ない。その為、真上が最大の弱点となっているのだ。
さらに巨人は恐竜の首を締め上げる。

290 :降臨する光の戦士 :2004/07/04(日) 02:23 ID:???
だが、恐竜戦車は体を傾かせ巨人を振り落とす。さらに恐竜戦車は突進して巨人を跳ね飛ばす。
転倒して立ち上がるさいに胸の青いランプが青から赤に変わり点滅を始める。

「せやっ!!」
巨人は両手を前に合わせる。すると両手から光のエネルギー波動が発射され、
恐竜戦車を粉々に破壊した。

「すごいなぁ」
歩の前にいる巨人がそびえたつ。しかし、誰かが自分を呼ぶ声が聞こえると、巨人は遠のいていった。
いや、歩自身が遠ざかっているといった方が正しいだろう。そして目の前の景色は一変する。

「あれ?ここどこなん?」
「大学だよ」
横を見ると、タコさんウインナーのような形をした短めの髪型をした少女が
呆れた表情でこちらを見ていた。どうやら夢を見ていたらしい。

「ああ、ともちゃんおはよう」
「本当にお前はよく寝るよなぁ。昨日もあんだけ熟睡したのに」
そこにいたのは高校時代からの同級生滝野智だった。高校を卒業してから三ヶ月経過している。

「ところで大阪、お前んとこにもこれ届いたか?」
智は一枚の紙を取り出した。そこに何かが書いてある。

「ともちゃんのとこにも届いたん?あたしもや」
歩もそう言って何かが書かれた紙を取り出す。この紙は昨日届けられた物だが、
その文面をまだ二人は読んでいない。早速読んでみる事にしてみる二人。

その時、大きな地震が起こり、何かが空から地面に落ちてきた。
ここからそう遠くない場所に巨大な何かの固まりが落下したのだ。

「な、何だ!?」
「地震や!!」
慌てて避難する生徒達。そしてその固まりから人間の倍以上の大きさの巨大生物が出現した。
その生物は凶暴な目付きと頭に生えた3本の角、そして両腕はカマのようになっていた。体の色は白い。
この巨大生物は前進を始め、辺りのビルを破壊し始める。

291 :降臨する光の戦士 :2004/07/04(日) 02:29 ID:???
知らせを受けた地球防衛軍機はただちに出撃し、この巨大生物『怪獣』に攻撃を加える。
しかし、怪獣は全く応えておらず、そのカマで出撃した防衛軍機を次から次に落としていく。

「あんなんで敵う訳ねーよ!」
「ともちゃん、とにかくここから逃げな!」
智の手を引っ張り、歩は走る。しかし、他の生徒やこの付近の住民達も逃げ
惑っている為にうまく逃げられない。突然現れた怪獣によりパニックに陥っているからだ。
避難誘導もうまくいっていない。この様子はTV中継を通じて各地に伝わっていった。

その頃、ある湾岸地区に6人の少女達が集めらていた。そこには立派なビルがそびえたっていた。
ツインテールの髪で一番小柄な少女に、髪がシャギーになってる活発そうな少女、
長髪で長身でありクールな印象を受ける少女、眼鏡をかけ茶色い髪の知的な印象のある少女、
おかっぱの髪をした少女、短髪のごく普通の少女だ。
美浜ちよ、水原暦、榊、神楽、かおりん、千尋といった面々である。

「やっぱりみんなこの手紙を見てここに来たのですか?」
小柄な少女が不安そうに尋ね、手紙を取り出す。智や歩が受け取ったものと同じものだ。

「ああ。あんなのが出てきたんじゃ、流石にここに書いてある事がでたらめだとは思えないからな」
「とにかくこの手紙の差出人に会ってみよう」
「ここにいる事は間違いないでしょうしね」
「それじゃあ行こう」
意を決してビルの中へと入っていく。中に入っていくと、広大なスペースで
かなり多くの職員らしき人が働いてるのが見えた。戦闘機を収納する格納庫も見受けられた。
そして彼女達に気づくとある一点の方向を指差した。それに従いその指差された方向の部屋へと
入っていく。どうやらそこは作戦室になっているらしく、スクリーンには暴れている怪獣が映し出されていた。

そしてそこに、一人の男がいた。
彼は明らかに階級が上と分かる軍服を着ていた。その顔には幾多もの修羅場を
くぐり抜けた事を物語る傷跡がそこかしこにあった。

「よく来てくれた。正直不安だったがな。あと二人程いないようだが、
必ず来てくれると信じている。私は松岸翔一郎(まつぎししょういちろう)
特別地球防衛組織Advanced Terrestrial Defence ForceことATDFの者だ。」
「あんな巨大生物が出てきたらそりゃあ嫌でも信じたくなるさ。で、この
手紙の内容なんだけどどういう意味だ?それに特別地球防衛組織って?」
神楽が手紙を見せる。そこにはこう書かれていた。

292 :降臨する光の戦士 :2004/07/04(日) 02:30 ID:???
「この手紙を受け取った者へ。君達の力を貸してもらいたい。もうすぐ地球は
ある者の脅威にさらされる事になる。それに立ち向かっていけるのは君たち
選ばれし者達だけだ。この場所にて待つ。来てくれる事を信じている」
「これってどういう意味なんだ?」
暦が尋ねる。 

「その通りの意味だ。君達にこの地球を未知なる脅威から守ってほしい」
「え!?」
榊が戸惑いの声を発する。他のメンバーも同様だ。

その頃、宇宙空間のとある場所に突如としてオレンジ色の生命体が姿を現した。
それはネコのような姿をしていた。だが、体のバランスがかなり不自然で
2足歩行である時点であきらかにネコと違う。その表情は不気味に笑っている。

「この地球は赤く染まった方が輝きを増す。その為には地球上にいる生命を
絶滅せねばなるまい。その尖兵として行くのだ、抹殺怪獣ガルーゼよ!全てを破壊しろ!」
この宇宙生命体は榊と歩の中に出現した「ちよ父」そっくりの姿をしていた。
彼は身体を白く光らせる。
それに呼応するかのようにガルーゼはさらに激しく暴れまわる。

「あんなのにどうやって戦うって言うのよ!?」
「私達戦闘なんてした事ないんですよ!」
かおりんも千尋もさらに激しく暴れまわるガルーゼを見て松岸に抗議の声をあげる。

「それは分かっている!しかし、それでも君達に頼むしかないのだ。君達が最後の希望なのだ!」
松岸の顔に苦渋の色が見えた。その表情が後がない事を物語っている。
後ろの映像では人々がガルーゼによって蹂躙されている映像が映し出されていた。
親とはぐれたのか泣いている子供もいる。

「戦闘機は動かせるのか?」
神楽が尋ねた。何か決意を固めた表情だ。

「神楽さん・・・・・・」
「お前、まさか出撃しようってんじゃないだろうな?」
その行動にちよと暦は驚いていた。

293 :降臨する光の戦士 :2004/07/04(日) 02:31 ID:???
「ああ、そのつもりだ」
「ちょっと待って神楽さん無茶よ!」
「勝てっこないわ!」
かおりんと千尋も咎める。

「だからって何もしないでじっとしてるなんて私には出来ねぇよ!私達が
どうして選ばれたか分からないけど、でも今はやるべき事をやるだけだ!」
「私も一緒に行く」
「榊まで・・・・・・分かったよ、こうなりゃ私も一緒に行ってやる!」
それまで黙っていた榊も一歩前に出る。それを見て暦も観念した。

「ああ、動かす事は出来る。ただ、そこの二人と美浜君は残ってもらう。二人は
オペレーターとして、美浜君はHOLYの隊長としてな」
「私が隊長ですか?それにHOLYって?」
「そうだ。君が隊長として彼女達に指揮を出すのだ。チーム名だ。意味は全員揃った時に説明する」
「私に隊長なんて・・・・・・」
不安げな表情になるちよだったが・・・・・・・

「大丈夫だよちよちゃん。ちよちゃんなら私達にうまく指示を出せるから」
「そう。自信をもって。私達も出来るだけバックアップするから」
かおりんと千尋がそんなちよにハッパをかける。

「かおりん、千尋さん。分かりました頑張ります!!」

その頃智と歩はガルーゼから逃げていた。しかし、ガルーゼは二人を狙ってカマを横に振ってきた。

「危ない!」
智が歩をかばう。カマはスレスレを通り過ぎた。しかし、そのカマから凄い風圧が発生し、
二人は吹き飛ばされた。二人共気絶してしまう。
ガルーゼはそれを見た後、方角を変えた。かつて彼女達がいた高校へと進み始めたのだ。

そこに二機の戦闘機がやってきた。今までどの国でも発表されてない新型機だった。
それに乗っているのは神楽、暦、榊の三人だった。三人とも隊員服と思われる服を着ていた。
胸にHOLYのマークがある。

294 :降臨する光の戦士 :2004/07/04(日) 02:33 ID:???
「怪獣を発見!攻撃するにはどうするんだ?」
神楽が松岸に尋ねる。初陣という事もあり、自動操縦となっている。神楽、榊が
乗っている戦闘機は「レッドファルコン」と呼ばれ、暦が乗っているのは
「ホワイトウイング」と呼ばれている。レッドファルコンは大型の機体、
ホワイトウイングはそれよりやや小さめの中型の機体だ。

「そこの赤いボタンを押せ。それでレーザーが発射される」
「了解!」
松岸の指示に従い、三人は赤いボタンを押す。機体からレーザーが射出される。
それはガルーゼのボディに命中して、ガルーゼはよろめく。

「効いているみたいだ」
「よし、一気に畳み込もう!」
二機はレーザー波状攻撃を展開する。今度は背中に命中する。しかし、それでも
ガルーゼは暴れるのをやめない。カマで反撃してくるが、ギリギリで二機はかわした。

「大丈夫ですか?皆さん」
モニターごしにちよが心配そうに見ている。

「大丈夫だよちよちゃん」
安心させるように榊は優しく微笑む。

「でもこれじゃ倒す事なんて無理だぞ、どうすればいいんだ?」
「それでもやるしかねーだろ!こういうのは気持ちの問題だぜ!」
暦に対して神楽は激を飛ばす。しかし、その顔には焦りがうかがえる。

(遅すぎたのか。我々のしてきた事は遅すぎたのか?)
松岸はモニターを見ながらそんな考えを巡らせていた。

その頃、歩は突如上空から降り注いだ赤い光に包まれた。
そしてそこに夢で見た赤い巨人が姿を現す。

(あんた誰なん?ウルトラマンやろ?)
問いかける歩に巨人は頷いた。巨人はテレパシーを使って話しかけてきた。
私はジャスティス、一緒に戦ってほしいと。

295 :降臨する光の戦士 :2004/07/04(日) 02:34 ID:???
(でもあたしには戦う力なんてあらへん)
『私と共になろう。私の身体はこの星では長時間維持できない。だから君の身体を
貸してほしい。しかし強制はしない。君が嫌なら私も諦めよう』
(ええよ、あたしはかまへんよ)
『ありがとう。まずはあの敵を倒そう!』
言い終えると巨人は赤い光となって歩の中へと入っていく。そして歩を
包んでいた赤い光が怪獣の前に立ちはだかるように移動する。

「何!?この赤い光は!?」
「綺麗な光」
「一体何が起こっているんですか!?」
かおりん、千尋は目の前の光景に魅入っている。ちよは何が何だか分からず困惑気味だ。
その赤い光は形を変え、人の形となった。赤を基調とし、青と銀も混じった色をしている光の巨人が姿を現したのだ。

「す、すげぇ」
そのまばゆい光で智は目を覚まし、その光景を凝視する。

「え?」
「何だよ、あれ?」
「新たな敵なのか?」
神楽、榊、暦の三人も突如現れた光の巨人に対してどう対処していいか分からないでいる。

(再び姿を現したのか。光の戦士!)
松岸は心の中で呟く。

「ヘアッ!」
巨人はガルーゼに向かって走り出す。砂埃が舞い上がる。ガルーゼはカマで
反撃してくるが巨人はこのカマを逆に掴み、投げ飛ばした。大きな音を立てて地面に倒れるガルーゼ。
しかし、ガルーゼもすぐに立ち上がり、反撃してくる。
左のカマの攻撃をくらい今度は逆に巨人が吹き飛ばされる。

「でやぁ!」
巨人は今度はそのまま倒れこむようにガルーゼに体当たりをしてガルーゼ共々倒れる。
追い討ちをかけようと飛び掛るが、ガルーゼにこれをかわされてうつ伏せに倒れる。

296 :降臨する光の戦士 :2004/07/04(日) 02:35 ID:???
のしかかってくるガルーゼを巴投げで投げ飛ばす。今度はその角から光線を発射する
ガルーゼに吹き飛ばされる巨人。

「はぁ!!」
その角を掴み、顔面を蹴飛ばす巨人。一進一退の攻防が続く。と、その時である。
巨人の胸にある青いランプが赤に変わり点滅を始めたのである。

「何だ?何かが光っているぞ!」
「危険信号じゃないのか?あの巨人の」
「そうかもしれない」
機体からその様子を見ていた三人も何かが鳴っている事に気づいた。

「エネルギーがなくなるのかしら?」
「あ、点滅が早くなった!」
「頑張って光の巨人!」
どうやらちよは巨人を味方と判断したようである。

巨人はその声援に後押しされてかガルーゼに突進しながら肘打ちを決めて組み合う。
しばらくその状態が続いたが、巨人が巴投げでガルーゼを投げ飛ばした。
ガルーゼは三本の角から同時に黄色い光線を発射する。

「やっ!」
巨人は大きく空中に飛び上がって攻撃をかわした後、そのまま急降下蹴りをくらわして、
ガルーゼの真ん中の角を折った。着地した後にガルーゼを頭上高く持ち上げて地面に叩きつけた。
しかしなおもガルーゼは立ち上がる。

「はあああああ!だああああああ!!」
巨人は両手を前に合わせ、前に突き出す。すると両手から光のエネルギー波動が発射される。
くらったガルーゼは粉々に砕け散った。『ライトエフェクター』と呼ばれる必殺技のひとつである。
歩が見た夢の中で巨人が恐竜戦車に向けて発射したものと同じものだ。

「やった!」
全員が快哉の声をあげる。

297 :降臨する光の戦士 :2004/07/04(日) 02:36 ID:???
「シュワッ!!」
ジャスティスは空へと飛びだっていった。

「どうやら私達の味方みたいだな、あの巨人」
「良かった」
飛び去っていく巨人を見送りながら、榊と暦はホッと一息ついた。

「お、あれともじゃん。ちょうどいい。迎えに行こうぜ。あいつなら
喜んでこの服を着そうだしな」
地上の智の姿を発見し、神楽は戦闘機を邪魔にならない位置に着陸させる。

「何かあたしらに用があるみたいだな大阪・・・・・・あれ?大阪は?」
歩がいない事に気づき、探し始める智。

少し離れた所で巨人の姿から歩は元の姿に戻っていた。

(あたしがウルトラマンジャスティスになっとった。信じられへん)
さすがに歩も今起こった出来事が現実なのかどうかいまいち把握出来ていない。
しかし、その手には変身する前には持っていなかった道具が握られていた。

「春日歩」
その時、自分の頭の中から声が聞こえてきた。

(一緒に戦うってこういう事やったんやな)
(そうだ。君がそれを使って私になって戦うのだ)
(これの事?)
歩の手に握られたスティック状の道具の事だ。先端は少し尖っていて赤い色をしている。

(それはジャスティランサーというものだ)
(ジャスティランサー?)
(君が極限まで努力をしてそれでもダメなその時、これを使うといい)
(ガルーゼは倒したが、敵はこれで諦める訳ではない。人々の平和を守る為にこれからもよろしく頼む)
(うん)
不思議なほど、歩は巨人=ウルトラマンジャスティスの申し入れを受け入れた。

298 :降臨する光の戦士 :2004/07/04(日) 02:37 ID:???
「おーい!大阪ぁ〜!こんな所にいたのか〜」
そこに智が歩の元へ駆け寄ってきた。歩は慌ててジャスティランサーを隠す。

「ともちゃん、ごめんなぁ。でも無事でよかったで〜」
「それよりも見たかあれ!すごかったよな!!」
「そうやな〜すごいで〜」
戦闘機が下りてきて中から人が現れた。それを見て二人は驚く。

「あ〜神楽によみに榊ちゃん!どうしたんだよその格好!?」
「へへ、あたし等地球を守る隊員になったんだよ」
「どういう事なん?」
「それはこれからお話します。一緒に来てもらえますか?」
通信機の画面に隊長である美浜ちよの顔が映し出される。

「ちよちゃんやんか〜何や〜みんないるやん」
「どういう事か聞かないとな。それにしてもまさかこんな形で再会するなんてな」
「ああ、私もそう思うよ」
溜め息をつく暦。

「それより、あの巨人名前何て言うのだろう?」
「ウルトラマンジャスティスや」
榊の言葉に歩はすぐ反応した。

「またお前は突拍子もない事を」
暦があきれる。歩が変な事を言うのは高校時代からだ。

「でもいいじゃんか。ジャスティスって!!」
「おお!!まさに正義の味方って感じだな!」
智と神楽は妙に納得していた。

「ウルトラマンジャスティスかぁ。確かに悪くないね」
暦もまんざらではなさそうだ。

「正義の光の巨人・・・・・・・」
榊もそんな言葉を呟いている。

299 :降臨する光の戦士 :2004/07/04(日) 02:39 ID:???
「とにかく私達の乗ってきた戦闘機で送るから乗っていけよ。大阪は私と榊の
戦闘機に、ともはよみの戦闘機に乗ってくれ」
「了解や〜」
「まぁあんな事があった後じゃあ大学の講義もないだろうし」
彼女達はこの地を後にする。

「これで全員揃ったね」
「総司令、説明していただけますね?」
「分かっている。全員がここに着き次第説明する」
かおりんと千尋に松岸はそう言った。

(ウルトラマンジャスティス。かつてこの地球をウルトラマンコスモスと共に守ってくれた
光の戦士・・・・・・とある星では光り輝く神と言われた赤き巨人)
しかし、頭の中では松岸は光の巨人の事を思い出していた。

その頃、歩はうとうとと眠くなってしまい、機内で眠っていた。そしてとある夢を見た。
彼女の前にオレンジ色の奇妙な物体が現れた。それは宇宙に漂う『ちよ父』と同じだった。

「あんたは前にあたしの夢に出てきたちよちゃんのおとうさん!」
「まさかお前が現れるとは思わなかったよ、ウルトラマンジャスティス!」
以前見た夢の時以上にちよ父の口調は厳しかった。思わずゾクッとなる歩。

「何言うとるん?」
「だが無駄だ。たとえウルトラマンといえど俺の計画を阻む事は不可能だ!」
歩を無視してちよ父は話しかける。その時、中のジャスティスが答える。

『お前の好きにはさせない!私はお前達のような平和を乱す者達を許さない!』
「せいぜいほざくんだな裏切者!」
それを言うとちよ父の身体が青く輝いた。それをモロに歩はくらう。
ハッと目を覚ます歩。前には榊と神楽がコクピットにいるのが見えた。それを見て歩はホッとする。
前の榊と神楽はそんな歩の様子には気づいていなかった。

(夢?でも何やったんや?とてもリアルな感じがした)
歩は胸の中にしまったジャスティランサーを見つめる。空は真っ暗になり夜となる。
それはこの先の事を予感させるような深い闇であった。

300 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2004/07/04(日) 02:41 ID:???
という訳で前半部は1話リメイクでした。後半部は2話のリメイクです。

怪獣に関しては最初の怪獣だからオリジナルの方がいいだろって事で
ああなりました。

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