世の中のすべての萌えるを。

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スレッドが大きすぎます。残念ながらこれ以上は書き込めません。

【あずまんが】SS書きの控え室5

1 :◆.B5vIcoKkk :2004/07/29(木) 06:25 ID:???
 ストーリーの構成、キャラの造り方、言葉の使い方など、あずまんがのSSや
小ネタを作成する上で困ったことや、悩んでいること、工夫していること等を話し合う
スレです。
 また〜り楽しんでいただければ幸いです。
 ここで新作をUPすることも可です。

★主な注意事項
1. sage進行でお願いします。
2. 対象範囲は「あずまんが大王」及び、連載中の「よつばと」とします。
3. 他人の作品を善意であっても批評しないでください。(自分の悪いところを
教えてくださいというのは可です。)
※その他の注意事項は、>>2以降で記載します。

576 :りきまる :2005/01/28(金) 04:15 ID:???
噂の挙動不審

それは二学期も半ばを過ぎたころの話。
「なあ、よみ。このごろ大阪の様子変じゃないか?」智が暦の机に片手を置いて、
声をひそめるように言った。
「大阪?」言われて暦は黒板の方に顔をむけた。もうみんな掃除を終えてくつろいでいる
のに、大阪はまだ一人で黒板を一所懸命に拭いている。
「さあ、わかんないけど………、気になることでもあるのか?本人に聞けばいいだろ」
「いやあ、そうなんだけどさ、なんか聞いたらだめなんじゃないかって気がしてさ」
智がそんなことを言うのは珍しい。暦は改めて大阪を見つめた。
背は低いほうで華奢な彼女は、黒板の高い所にぎりぎり手が届かないようで、
ぴょんぴょんと飛び跳ねながら黒板消しを操っている。それでは上の方はきれいに
消せないのだが、それでも何とかしてきれいにしようとしているようだ。
そんなことじゃ余計に時間がかかる、椅子の上にでものればいいのに、と暦は思った。
そんな大阪は普段どおりに見える。暦にはなにも分からなかった。
「ともの勘違いじゃないのか?」
「まあ、ならいいんだけどさ」
智はいつになく真面目な口調だった。
「誰かほかの奴にも聞いてみたらどうだ?なんなら手伝うけど」
「んん〜。どうしたんだ、よみ。いやに親切じゃないか。熱でもあんのかー?」
智はにこにこしながら言う。ほんと、感情を隠せない奴。
「中間テストも終わって、暇なんだよ」

577 :りきまる :2005/01/28(金) 04:36 ID:???
「え、大阪さんですかー?」
「そうなんだよ。なんか最近様子がおかしいような気がしてさー」
「ちよすけならなんか知ってるんじゃないかと思ってな」
二人にそう言われると、ちよは首を傾げてみせた。
「様子、ですか………。ううん、私には分かりません」
暦と智は顔を見合わせた。大阪といることが多いちよが言っているのだから、
本当に何にもないのかもしれない。
「あ、あの、役に立てなくてごめんなさい」
「いや、いいんだ。こっちの勘違いかもしれないし」
「ああ、そういえば」ちよは何となくわざとらしいほほ笑みを浮かべて言った。
「さ、最近レモンジュースに凝ってるとか言ってましたよ」


「え………?いや、わからない」榊はほとんど考える間もなく言った。
「このごろは帰るのも一人だし」
「へえ、いつも一緒に帰ってると思ってたよ。ところでどうしたんだ、その傷?」
榊の右腕には痛々しく包帯がまかれてあった。どうやって昨日までのテストをうけたんだろう。
「ああ、ちょっと猫にかまれて………」
「前にもそんなこと言ってなかったか?まあいいけど、気をつけたほうがいいぞ」
「あのさ」黙っていた智が口を開いた。
「大阪にどっか悪いところがあるとか聞かなかった?」
「悪いって………体がか?」まさか頭が悪いなんて言い出すんじゃないだろうな。
「聞いてない」榊もあきれ顔だ。いや、いつものとおりの無表情なんだけど、
なんとなく顔がこわばっているように見える。
「最近睡眠不足だとは言ってた」
「いや、そりゃいつものことだろ?」

578 :りきまる :2005/01/28(金) 04:38 ID:???
「だいたいさ、何でともは大阪の様子がおかしいって思ったんだ?」再び自分たちの席に戻ると、暦はさっきから聞きたかったことを聞いた。
「うん、なんっていうかさー、元気ないかなーって思ったんだよ」
「さっき体の具合がどうのって言ったけど、どういうことなんだ?」
「えっと、ちょっと待って」思い出してみる、とばかりに智は両手のひとさし指を
たて、左右のこめかみにあてがい手首を回し始めた。
「うん、あれは確かテスト一週間前の体育んときだったと思うんだけど、
あんときグランド走らされたじゃん」
「ああ、木村が来なかったときか」
「そうそう、そんとき私とちよちゃんがびりから二、三番でさ、大阪が遅れてたんだよ」
「それっていつもどうりじゃないのか?」
「でも私たちより六周も遅れてたんだぜ?それになんかしんどそうにしてたし」
「まあ走ってたんだし疲れるだろ。それだけか?」
「うん。いやでもなんかおかしかったんだよ」智はそう言って慌てて言い足した。
「そう、どっか違和感っていうか、夢見心地っていうか。吐きそうになったみたいだし………」そこまで言うと、智は突然口をつぐんだ。
「………」
「ん?とも、どうした」
「い、いやあ。何でもない」
それから智は口数を減らし、授業の時間になった。


結局その後は誰にも聞くことができないまま時間が過ぎ、最後の授業が終わった。
大阪のことは、きっと智の勘違いだったんだろうと、暦は解釈していた。
「とも、起きろ。帰ろーぜ」
智は机に突っ伏したまま起きようとしなかった。
「おい、とも。ねぼけてんのか?」
智は返事をしなかった。寝ているわけでもなさそうだ。
「もしかしてからかってんのか、とーもー!」
「………なあ、よみ」
「な、なんだよ」
暦は智の緊張した声にうろたえた。突然、智が顔をあげる。その表情もまた固く
思いつめているように見えた。
「よみ、分かった。大阪に何が起こったのか………」


つづく

579 :りきまる :2005/01/28(金) 09:50 ID:???
「はあ?分かったって、なんで?」
暦は智が冗談を言っているのではないことは分かったが、何か変な勘違いをしているのだろうと思っていた。
「………推理だ。つまり、その、」
智の顔は真剣そのものだ。
「今までの証言から得られる解答があるってやつか?」
「そう、それだ。私はひとつの解答をまさぐりだした」
(探りだした、だろ)しかしそんなつっこみも言えない程、智は真面目だった。
「今までの証言から最近の大阪の様子をまとめてみると、
1、レモンジュースに凝っている
2、寝不足だ
3、時々吐き気がしているようだ
4、もうすぐ十一月で、夏休みから三ヶ月たつ
5、大阪は体の不調を私たちに言おうとしていない
っていうことになる。つまり、大阪は………」智はそこで大きく息を吸い込んだ。
「に、妊娠してるんじゃないか」

580 :りきまる :2005/01/28(金) 10:03 ID:???
「クク、クハハハハハハハハハハハハハハハハ」
暦は不覚にも大笑いしてしまった。
「な、なんなんだよ、よみ。人が真剣に話してんのにさ!」
智が顔を赤く染めて言った。
「ハハフフクク、い、いや………プププ、分かっちゃいるんだが、ブフゥー」
「あ、あのなあ!」
「クク。悪い悪い、その、なんだ、大阪が妊娠って。あ、ありえねぇ」
「でもそれしか答えがでなかったんだよ。なんだよ、反論できるならやってみろよ」
「できるどころか、つっこみどころ多すぎなんだけどな」暦はようやく息を落ち着けて、
智のほうをじっと見つめた。
「まずお前が言った大阪の様子五箇条のうち、三つは意味をなさない。
具体的に言うと、時々吐き気がするってやつと、体調不良を隠してるってやつだな。
この二つは、とも、お前の勝手な思い込みだよ。体育のときの様子だけでよくここまで
考えることができたな。それに寝不足ってのはいつものことじゃないか」
「だ、だけど………」
「そもそもたったこれだけの情報で結論を出すなんてデータが少なすぎるんだよ。
これは私の勘だが、とも、お前その体育のときの大阪を見て、こいつ妊娠してるみたいだ
なって思ったんじゃないのか?」
「う、そ、それは」
(きっとまず結論ありきだったんだ。だから、本人には聞けないなんて思ったりしたんだろう?
ほんと、変なとこで人に気をつかうなあ)
しかし暦はそこまでは言わなかった。
「とにかくお前が言ったようなことは有り得ない。分かるだろ?」
「………でも、確かに変な感じだったんだけどなあ」
まだそう言う智を暦は腕を引っ張って立たせてやった。
「だからさ、その体育のときだけ、大阪の調子が悪かったんだよ」
「うーん、そうか、そうだよな。だいたいあの大阪が妊娠なんてありえねーよなー」
「お前がいいだしたんだけどな」
「うるせー馬鹿」どうやら智は納得したようで、にわかに元気づいた。
「あれっ、もう誰も残ってないじゃん。早く帰ろうぜー」
そう言うと智は机の側に立てかけてあった鞄をつかんで暦にむかって微笑んで見せた。

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