世の中のすべての萌えるを。

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スレッドが大きすぎます。残念ながらこれ以上は書き込めません。

【あずまんが】SS書きの控え室6

1 :◆5xcwYYpqtk :2005/02/03(木) 23:43 ID:???
 ストーリーの構成、キャラの造り方、言葉の使い方など、あずまんがのSSや
小ネタを作成する上で困ったことや、悩んでいること、工夫していること等を話し合う
スレです。
 また〜り楽しんでいただければ幸いです。
 ここで新作をUPすることも可です。

★主な注意事項
1. sage進行でお願いします。
2. 対象範囲は「あずまんが大王」及び、連載中の「よつばと」とします。
3. 他人の作品を善意であっても批評しないでください。(自分の悪いところを
教えてくださいというのは可です。)
※その他の注意事項は、>>2以降で記載します。

572 :幕間 ◆.kY34XtGRg :2005/05/04(水) 18:31 ID:???
40分歩いて、学校にたどり着く。

「おはよー」
後藤が、元気よく挨拶してくれる。

「おはようシュウジくん、春日さん?」
ゆかりちゃんも挨拶してくれた。
…………やはり、遅刻してしまったか。
「あんたたちねー仲いいのはわかるけど、別にそろって遅刻する必要はないのよ?」
「はい…すみません」
苦笑いしながら、席につく。


「おひゃー」
「あ、おはよーともちゃん」
滝野は、もうとっくに元気をとりもどしていた。
実際『あの日』以来大きな事件はまだなく、緊張感が薄れてきたのだろう。
「おはよう大阪」
水原も、また然り。
「よーっす大阪ーちくしょーアツいなコノコノー」
神楽さんが、からかう。
「たしかに今日は暑いですねー」
委員長も話にまざろうとしているが、イマイチ掴みそこねている。
「……そのアツいとは、少し違う」
これは榊さんだ。

「あ、そうだ大阪さん、進路希望のプリントかいて頂けました?」
委員長は、今日日直なのだ。
「あーあれ今日までやったん?」
「おーさすが忘れ物大王。しっかり忘れとるな」
滝野が感心している。
「私なー…シュウちゃんと同じ大学いこ思てんねん」
「…のろけかよ」
神楽さんは呆れ顔だ。
「でもアイツあんたより頭いいじゃん」
水原がシュウジの成績を思い出しながら言う。
シュウジは確かに不真面目だが一応平均点はキープしていた。
「えっそーなん!?」
「あんたじゃムリじゃねーの?」
滝野が追い討ちをかける。
「お前もムリだよ」
水原のツッコミで流れを閉める。
「えっと…次はシュウジさんの貰ってきます」
委員長は律儀だ。

573 :幕間 ◆.kY34XtGRg :2005/05/04(水) 18:31 ID:???
あのーシュウジさんー?」
委員長が話しかけてきた。めずらしい。
「えっと…なにかな?」
「あの…進路希望のプリントを集めてるんです」
委員長とは、なかなか喋る機会がなかった。
どうやら僕を怖がっている節があったようだ。
確かに斜に構えてるとこはあったし、ツリ目なのがいけなかったのかもしれない。
僕としても、特別話しかける理由がなかったため、それこそ委員長と一般の生徒という関係しかなかった。
(どんな関係だ…それ?)
自嘲気味な笑みが表情にでる。
「あぁはいはい、コレね」
「あ…そうです、はい」
そんな委員長が僕のことを名前で呼ぶのはみんながそう呼んでるからというのと、
大阪の彼氏である僕と少しでもコミュニケーションをとろうとしてのことだろう。
「クスッ……」
苦笑が漏れる。
委員長の気持ちは分かるのに、なんでほんの少し前まで大阪のそれに気づいてやれなかったんだ?
「えと……どうかしたんですか?」
委員長が心配そうな顔でこちらを伺ってくる。
せめて、委員長の気持ちにはすぐに答えてあげよう。
「いや、なんでもないよ。お仕事ごくろうさん…ちよちゃん」
愛称で呼んでみた。効果はてきめんである。
「は、はい!ありがとうございます」
委員長…ちよちゃんは、うれしそうに微笑みながらパタパタと職員室に向かった。
かわいいもんだ。校内中からの人気も分かる気がする。

574 :幕間 ◆.kY34XtGRg :2005/05/04(水) 18:39 ID:???
4時間後

そろそろ、昼飯の時間だ。
「歩ー屋上いこうぜ」
「……うん」
大阪は、どことなく陰りのある返事をする。
(……?…元気がないな…)

大阪の元気がない理由に、思い当たる節はない。
だとすると……なにか嫌な予感がした。
『あの日』の映像がフラッシュバックする。
緊張が背筋を走った。


肩を並べて、屋上のフェンスにもたれる。
「なーシュウちゃん…」
「…なんだ?」
「お弁当作ってきたんやけど……食べてくれる?嫌やったら…ええんやけど」
大阪は、こっちを見ないで喋り、こっちを見ないで弁当を渡した。
手作り弁当……不意にジーンときた。
これも付き合うということの一つのカタチだな、と思った。
しかし、すぐに我を取り戻す。
(…いや、そうじゃない、そうじゃなくて)
「いや…ありがとう…それより、お前元気ないぞ…どうしたんだよ?」
「……………」

嫌な汗が、額から流れる。
沈黙は、嫌な予感を増長させた。

「………朝」

575 :幕間 ◆.kY34XtGRg :2005/05/04(水) 18:39 ID:???
「え?」
「……朝、ちよちゃんと仲よさそうやったな」

「…………え?」
「なんやずっとニヤニヤしてて……今までずっと委員長ゆーてたくせにいきなり『ちよちゃん』て呼んで」

…頭の回転が2秒ほど停止した。と、同時に嫌な予感は破裂して消えた。

「………それが、理由か?」
「………」
大阪は顔を少し赤らめてそっぽを向く。

(ア…アホかこいつ……)

「…あのなぁ、『ちよちゃん』ぐらい、みんなそう呼んでんだろーが」
「……せやけど、せやけど…」
大阪はそっぽを向いたまま答える。

(は…はぁ〜)
なんだかよくわからないため息がでた。
よーするにコイツは12歳の子供にやきもちを妬いていたというわけか?
なんとなく安堵するとともに、呆れ果ててしまった。
(意外に独占欲が強いのか…?)
(こりゃホントに浮気なんかしたら大変だな)
ふと、いまだ目線を合わせようとしない大阪の横顔を見る。

「…………」
そ〜っと、顔を、というか唇をその横顔に近づける。
「……わわ、なんや!?」
「…あれ…キス…だめ?」
「そうゆうのはムードを大切にせなあかんねん!ほっぺたにご飯粒が付いてるんは論外や」
どうやら、本当にご機嫌ナナメなようだ。
「…うぞ?」
「はぁ〜…そこ…ちゃう、もうちょっと下、ここや」
そう言って大阪は僕の頬に付いていたご飯粒を…口でとった。
「え…え!?」
大阪は何気ない顔で自分の弁当に視線をもどしている。
(僕は…ひょっとしてからかわれてるのか?……大阪に!?)

「ねーみんなーシュウジ君知らない?」

僕が軽いショックを受けていると、入り口の方から声がした。誰かが僕を探しているようだ。……って、みんな?
「ん…?あー─!!」

576 :幕間 ◆.kY34XtGRg :2005/05/04(水) 18:40 ID:???
10分程前

「おい、見えねーぞ」
後藤が小さく文句を言う。
「うるせーぞ後藤、黙ってろ」
神楽さんがこれまた小声で悪態をつく。
「おい、見ろよ弁当わたしたぞ」
大山がやはり小声で現状を報告する。

ちよちゃんたちと大山たちは、屋上の入り口の影でコソコソとシュウジたちを覗き見していた。

「なんだー?シュウジのヤツ手作り弁当もらってうれしくないのかな?」
滝野がシュウジの態度に不満の声をあげる。
「うーん…ともの作戦、失敗か?」
水原が不安気な声を出す。
「滝野さんの作戦?」
「あの弁当渡しの立案者は私なのだー!」
「失敗だったみたいだけどな」
「後藤うるせーぞ」
神楽さんがまた呟く。
「神楽さん……もしかして俺のこと嫌いですか…?」
後藤は涙目だ。
「なんか気まずそうですねーお二人とも」
ちよちゃんも話に割ってはいる。
「…彼…なにかしようとしてる」
榊さんもなりゆきで参加していた。
「あ……うわ、シュウジの奴キスしようとして失敗しやがった」
小岩井はなぜか双眼鏡を装備している。
「あちゃーなにやってんだあいつ」
大山も呆れている。

577 :幕間 ◆.kY34XtGRg :2005/05/04(水) 18:40 ID:???
その時
「…!!あ…」
滝野が声を上げる。
「お…大阪ちゃんの方から…」
小岩井は、双眼鏡を落としそうになった。
「…子供は見ちゃだめだ」
榊さんがちよちゃんの両目を隠す。
「私子供じゃないですよー」
当のちよちゃんは不満気だが。
その時、

「ねーみんなーシュウジ君知らない?」
千尋が、不意にみんなの背後から声をかけた。

「わわ!?千尋!?」
水原が慌てたせいで体勢を崩す。
「うわ、よみ、押すなー!」
滝野まで巻き添えだ。
「ちょ、何やってん……うわっ!?」
大山が滝野の下敷きになる。

ドサッ

結局総崩れである。
「イテテ……あ」
神楽さんが20メートルほど向こうで弁当をつついていた少年と目が合う。
「ん…?あー─!!」
シュウジが、こっちを指差して叫んでいる。
「ま…まずい、ヅラかるぞ!」
小岩井の掛け声で、全員脱兎のごとく逃げ出した。

「ちょ…ちょっと、ねえ、シュウジ君はー?」
千尋だけ、取り残された。
シュウジは、入り口まで走ってきた。とっくに滝野たちはその場から消えていたが。
「おれは……ここだ」
シュウジが千尋意外だれもいなくなった入り口を睨みながら答える。
「これ、借りてた本」
「ああ…」
「ありがとね、じゃ!」
そう言い残して千尋は走り去った。

578 :幕間 ◆.kY34XtGRg :2005/05/04(水) 18:41 ID:???
「どないしたんー?」
ノロノロと戻ってきた僕に大阪が不思議そうな顔で訊いてきた。
気づかなかったのか?まあ別にいいか。
「千尋に貸してた本を返しにもらいに行った。そんだけ」
「千尋ちゃんにどんな本貸してたん?」
「ドストエフスキー」
「ドス…トス…キー」
大阪は必死になにか考えている様子だった。
「ビーフジャーキーみたいなやつやな!?」
「………そうだよ」
なんとなく嘘をついてしまった。

千尋とは、中学の頃から知り合いだった。同じクラブに所属していた時期もあって、けっこう親しかった。
ただ、当時千尋と滝野たちはいわゆる「グループが違う」というやつで、千尋が滝野たちと喋るようになったのは高校に入ってからだ。


そんな回想にふけってたら、なんとなく間が流れていた。
僕は、頭から離れない疑問を口にしてみることにする。

「「なー」」

同時に大阪も呼びかけてきた。
二人して、青い空を見ながら。
「えっと…なんだ?」
「…シュウちゃんからでええで」

いろいろな迷いがあった。ムリに問いただしていいのか、とか。
でも僕だって大阪の彼氏だ。少しくらいなら、知っていいはずだ。
「結局さー、『最終兵器』ってなんなんだ?」

『最終兵器』
僕は『あの日』の翌日、大阪からその単語を聞いた。
大阪はあまり理解しきれていないらしく、その大阪の話では僕も当然理解できなかった。
それから一週間ほど経っているが僕は怖くてそれ以上その話題を避けていた。

579 :幕間 ◆.kY34XtGRg :2005/05/04(水) 18:41 ID:???
「ん〜せやから、私もよー分からへん」
「…そうか」
「ちゃうねん、私がアホなわけやなくて、専門用語が多すぎんねん」
「…そうか」
やっぱり、分からない。僕は質問をかえてみた。
「それ、治るのか?」
「ふーむ……」
大阪は額に人差し指をあてて考える素振りを見せた。
「聞くん忘れた」
「忘れるなよ……つーか、聞いたら教えてくれんのかよ」
「自衛隊の人たち、優しい人多いから」
「いや……これ以上極悪なヤツいんのかよ!?勝手に人の体改造して!」
「ちゃうねん、ほんまに親切やねん」
「…たぶん上の人に言われて仕方なく私の世話やってるんやと思うねん。
 私、直接からだ改造された人たちにはまだ会うてへんし…ごめんな」

大阪は、幾分困っている様子だった。やってしまった。
今一番傷ついてるのは大阪のはずなのだ。
こうやってほのぼのと手作り弁当なんか食べてるとそのことをつい忘れてしまう。
「いや、いーんだ…それより、さっき何言おうとしたんだ?」
「……それやねんけど…」
大阪の顔は真剣だった。

「……ドストエフスキーとビーフジャーキーって違うやろ!?」
「……わかってんじゃねーか」

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