世の中のすべての萌えるを。

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スレッドが大きすぎます。残念ながらこれ以上は書き込めません。

あずまんがSSを発表するスレッド パート3

1 :名無しさんちゃうねん :2004/04/12(月) 01:21 ID:???
あずまんが大王のSSを投稿するスレッドです。
みなさんドシドシ投稿してください。

前スレッド
http://www.moebbs.com/test/read.cgi/oosaka/1070830253/


[注意]暴力・猟奇など読み手を選ぶ内容のSSは別スレッドに投下お願いします。

801 :『春日十睡』 中編 2 :2005/04/26(火) 00:46 ID:???
後編は、今週中という、アバウトなくくりで申し訳ない
早ければ、水曜日
遅くても、木曜日

802 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/04/26(火) 20:58 ID:???
来た・・・新作がついに来た!!(20時間以上経った後で申し訳ない)

803 :名無しさんちゃうねん :2005/04/27(水) 01:44 ID:???
乙!
毎回、楽しみにしてるよ。

804 :『春日十睡』 後編 :2005/04/28(木) 05:32 ID:???
                       *

 懸命に反対したけれど、母は容赦をしなかった。いつまでもお正月気分はよくないというのだった。
「もういい加減表に出て、世間を知りなさい」
 こたつのことだった。
 わたしは今日も応接間に敷かれているこたつでうとうとしていたのだが、母が猛然とそのこたつを片付けようとするのだった。
「子供じゃないやから。もう大学にも受かったんだし」
「でも外寒いわ」
「いつまでも甘えとるんやないの!! 」
 こたつは寂しそうな顔をしている。だから抵抗した。母に蹴りだされた。おしりが痛い。「もう高校の頃は忘れて、世間を見なさい! 」
 母の言うことはいつも正論だ。口篭もっている間に、母はどんどんこたつをバラバラにしていく。押し入れに収めやすくするためだ。
「表出るのに、クローゼットにしまうなんて、矛盾しとるわ」
「あんたこそ早く、表に出なさい」
 わたしの反論など歯牙にもかけず、母はこたつを解体し終えて、それをしまうために二階に向かう。わたしは追っていく。やめて、やめて。
 二階の和室に来ると、こたつをしまう前に、母はわたしが来るのを待っていた。
「もういい加減あきらめさない」
「なんで? 」
 わたしは泣きそうになる。そんなわたしを見て、母は世間一通りの常識を語ってから。
「いつまでも居心地いいとこにいたら、歩はだめになるやろ」
「それはお母ちゃんにとって都合のいい話とちゃうの? 」
 わたしの反論は、うるさい、の一言でかき消される。母は押入れの戸を開ける。そこには高校の制服や、友達や先生が、きれいに片付けられていた。

 ばらばらになった神楽もきれいにしまわれている。

                    *

 東大寺に来たら潅仏会だった。
 潅仏会は四月八日である。ということは今は春なのだろう。桜が見事に咲いている。神楽と五百円ずつ払って、拝観料とした。
 奈良駅からここまで飛ぶように来てしまった。道の途中でたこ焼きを買って、二人で食べた。関西風のたこ焼きである。中身がとろりとして、熱を持っている。神楽は感激して、パクパク食べていた。12個入りが三百円は安い。関西人の常識からしても、安い。
 鹿のいる道抜けてたどり着いた東大寺は、午後の光を浴びて堂々としている。小学校の頃の、長距離遠足で来たことがある。吐く息が白いのは、春に成り立てだからだろう。桜霞に凍る息が重なった。

805 :『春日十睡』 後編 :2005/04/28(木) 05:32 ID:???
「寒いな」
「寒いね」
 どちらとも無く、二人で言った。大仏殿に続く道の先には、花の堂が立っている。そこに飾られているのは、幾多の花。潅仏会の花御堂だ。恥ずかしくなるくらい、花で埋め尽くされている。
「すげえな」
神楽がため息をついた。
花見堂の周りには人が群がっている。男もいる女もいる。その堂の中で、生まれたばかりのお釈迦様が、立っている。右手を高高と上げている。立っているというより、おっ立っているというくらい、堂々とした立ち姿である。
小さなニビ色の像で、どんな素材でできているのかよくわからぬ。銅ではないかと思う。生まれたてのお釈迦様は、水で満たされた器の中、心ばかり用意された陸の上でただ一人立っているのだ。その回りには、長い柄のひしゃくが四本置かれてある。
 ひしゃくが何のために用意されているのか不思議に思っていたら、お釈迦様に水をかける為にあるのであった。一人が水を汲んで、お釈迦様にかけ、また一人が水をかけした。お釈迦様が、鈍く光っている。
「なんで水をかけとるんやろ? 」
 神楽にこっそり問うと。
「水じゃありません。甘茶をかけているんです」
 と、側にいたおかっぱの少女に諭された。少女はそのお子さんをまじまじと眺めて、うっとりした。それからひしゃくで甘茶をパサパサとかけて、その場を離れる。慣れた手つきだった。
次の人を見て、驚いた。マリア様だった。マリア様は柔和な顔でお茶をさらさらかけて、そっと手を合わせる。そうしてみると、まるでお寺の娘さんのようだった。
「やっぱり誕生日は祝いに来るんだな」
 神楽が囁くので、うなづいた。勿論わたし達も甘茶をかける。細い柄のひしゃくは、甘茶を汲むと、思ったよりも重くなった。甘茶をかけると、少し経験な気持ちになった。お茶の名はおせんみこ茶に違いない。

 東大寺の中に入る。目の前に巨大な大仏があった。あれも釈迦なのだ。
 そんな当然のことを神楽に確認すると、やや時間が空いて、そうじゃないかと返事があった。眼前に広がる、右掌をさらす大仏は、成長して悟った釈迦である。私の背にある花御堂にいるのは、生まれたばかりの釈尊である。
 時を越えて二人の釈迦がいるのだ。変な気持ちだ。タイムスリップやな。何が? 生まれたばかりのお釈迦さんと、大人のお釈迦さん、二人おる。
「ああ」
 神楽は感心したような、気の抜けたような声を出して。
「あれがこんなに大きくなるのか」と言う。

806 :『春日十睡』 後編 :2005/04/28(木) 05:33 ID:???
 修学旅行の生徒たちが、ぞろぞろと入ってきた。添乗員が説明を始める。その隙間を縫って、二人で進んだ。

 釈迦は悟りを開いて仏になったのだと言う。ありとあらゆる煩悩から、自由になったものが、仏なのだと言う。また釈迦は生まれた後すぐ立ち上がり、天上天下唯我独尊、とのたもうたそうである。言葉の意味はよく分からない。
しかし、生まれてすぐに立ったというのが、すごい。わたしなどは寝てばかりいる。欲望から自由になるというのも、わたしにはとても出来ない。そもそも女は悟れないのだそうだ。煩悩深い生き物だという。
つまり、仏になることが出来るかどうかは、生まれたときから既に決まっているのではないだろうか? さっき、お釈迦様はたった一人で立っていた。それは全ての欲望から自由になるという、意志の現れなのではないだろうか。
芥川竜之介の短編に、「河童」という一編がある。河童として産まれるか、人間として産まれるか問われた河童の胎児が、自分は人間として産まれたいと意思表示する話である。もしかしたら釈迦も、同じような意思表示をしたことがあるのかもしれない。
 つまり釈迦は生まれる前から悟っていたということか。
 母の胎内から生れ落ちて、へその緒を分かたれてから、人は一人で生きるとは言え、生まれる前からただ一人であろうとするのは、並々ならぬ決意である。
仏は迷える衆生を導くのだそうである。そのために一人で立つのだという。立派なことだ、と思う。
 それで、今ここに二人の釈尊のいる理由がわかった。つまり彼の人にとっては、過去も未来も同じ人なわけだ。釈迦は産まれた時は悟っていて、成長する途中で悟りを失ったのだ。そして修行することで、産まれたときに戻ったのだ。悟った状態に戻ったのだ。
 確かに悩み苦しんでいる釈迦の像は見たことが無い。仏は苦悩しない。この世にある仏の写し身は、皆解脱した姿なのだ。
 一切から自由になれば。愛憎からも、欲からも、時からも自由になった仏という存在は、同じ場所に存在しても、何ら不思議は無い。そもそもどの世界でも一人でいるわけだから、自分と同じ自分がいても、それは同じ自分が二人でいるわけではない。
 自分が、自分で、一人で立っているだけなのだ。
「……でも、この仏さん、すわっとお」

807 :『春日十睡』 後編 :2005/04/28(木) 05:33 ID:???
 わたしの呟きを神楽が捕らえて、どうしたのかと首をかしげた。悟ることの出来ないわたしは、何でもない、という。大仏はじっと座っている。

 キリスト教のキリストの意味は、救世主という意味なのだと聞いた。敬虔なクリスチャンである大叔母は、先の大戦中にキリスト教系の学校に通っていて、だからといって詰め寄るわけでなく、冗談に紛らわせながらそんな話をしてくれたものだ。
 世界の罪を一心に受けて、十字架にかけられるキリスト。
 磔にされたその姿は、仏のような柔和はなく、神の子である人の罪と、人の身である苦悩に溢れている。お釈迦様のそんな姿は、見たことがない。
「イエス様はマゾなのよね」
 大叔母はそう言って、微笑んでいた。楽しんでいるのよ、ああ見えて、と。そんな彼女の洗礼名はマグダラのマリアだ。彼女がその名前を選んだ理由は、愛する人を茨の森に亡くしてきたからだというのだ。置いていかれて生きるのは、辛いものなのよ。
 生きるのが辛いから、自由になろうとする。けれど辛いからと言って自由になると、今度はなぜ辛いかをも見失う。何かを守ろうとするから、辛いのだ。
「だから私もマゾなのよ」
 辛いのに、その出来事を忘れることは出来ない。それが罪深い物であるからこそ、亡くなった人とその思い出まで背負って、大叔母は生きているのだ。大叔母は本当にその人が好きだったのだなあ、と思う。
そしてその出来事が、その教義に反する物であっても、そんなこともひっくるめて、救世主は身代わりになってくれたのだから、その愛は間違いでないのだと大叔母は言う。
「未来の私も、イエス様は救ってくれたのよ」と。
 だとすればわたしも救ってくれているのだろうか? それともわたしはキリスト教徒でないから、無理なのだろうか? 
 大叔母は何故女の身で産まれたんだろうか、と自問する。もし男の身として産まれておれば、彼女の愛はキリスト世界の罪でもなく、むしろ奨励されたはずだ。大叔母の愛した人も、死なずにすんだはずなのだ。
 それに女は、悟れない。

 神楽とわたしは接点が殆どないように見える、という。そんなわたし達が仏像を一緒に観ているのも不思議な気がする。でも語られない物語もあるのだから、一緒に観ていてもいい気がする。
目の前には増長天が立っている。仏法を護るために、仏殿には四方に四天王が立っているのだ。
武将の貫禄を見せるその像の後ろでは、火輪が延々と燃えている。それでいて場内を照らしているのは、明り取りの窓と入り口から漏れる、微かな日光だけなのだ。その足元に、何かが踏まれている。
「邪鬼だね」
 背中越しに話し掛けられて、びくりとする。水原さんが立っていた。眼鏡が光に反射して、目の表情は見えない。栗色の髪もきらきら光っている。普段からきれいな人だけれど、今日はその美しさにすごみがある。

808 :『春日十睡』 後編 :2005/04/28(木) 05:33 ID:???
「四天王はその足元に、各々邪気を踏みしだくんだ」
 そこまでいって彼女は、更に奥へと向かっていこうとする。どこへ行くのか尋ねたら。
「ともを助けに」
 そうなのか。
 ともとは、滝野のことであろう。滝野智は、わたし達のクラスメートで、共通の友人だ。水原さんとは幼馴染になる。水原さんは彼女から色々と迷惑を受けていて、困らされてきたと聞いている。何があったのだろう。神楽が水原さんに、聞いた。
「何があったんだよ」
「ともが踏まれてる」
 そうか。滝野は今踏まれているのだ。確かに彼女は騒がしい。小学生の男の子のように。そのせいかもしれない。だからきっと何か、滝野はやらかしたのだ。でもそんなところに行ったら危険だ。水原さんも踏まれるかもしれない。
「……確かにそうかもしれないけどな」
 わたしが懸念を示すと、水原さんははにかんで、答えた。
「でも一人よりはいいから、いいんだ」
 観光客の人ごみに、彼女は隠れて見えなくなった。迷いのない足取りだった。二人はずっと一緒だったからだろうか。彼女の細く長い髪の毛が、一本だけするすると長く伸びていたのが、見えた。

 走馬灯を見てみたいと思う。
 自分が生きてきた意味と理由を見つけるために。一つに繋がった過去から今までの道。わたしの罪は、産まれたときからあったのか。生じた時からあったのか。
 もし人間であることを選んだ河童のように、今のわたしであることをわたしが選んだとしたなら、なぜわたしは罪深い存在でなくてはならなかったのか。何故わたしは女でなくてはならなかったのか。
 次の多聞天も、邪鬼を踏んでいた。
 あの邪鬼も、邪鬼になりたくて産まれたのだろうか。踏まれるために産まれたのだろうか。
 いつもそんな思いは、白濁して、ぼんやりと夢の中に消えてしまう。わたしはえへへと笑う。そして急に悲しくなる。悲しいから笑う。だからどんどん曖昧になる。側に神楽がいる。でもそれは夢なのだとわたしはしっている。
「どうした? 大阪」
「何でもないよー」
 夢としっているから、わたしは目を覚まさない。わたしの夢の檻の中に閉じ込めるために、わたしは何でもない振りをする。しかし夢の方でわたしを留まらせてはおかないのだ。
 うつつも夢、夢もうつつ。夢は現実の延長線で、抗いつづける現実への延長戦で。

 先ほどのマリア様とおかっぱの少女が、以前わたしが焼肉で敗れた女性と話している。彼女は髪を前会ったときよりも更に短くしている。その頭には白薔薇の冠が飾られている。以前被っていたのは、贖罪のいばらの冠だったように思う。

809 :『春日十睡』 後編 :2005/04/28(木) 05:34 ID:???
 茨の冠の花が咲いている。きっと今日は潅仏会だからだと思う。花御堂の花のように、彼女の頭も花で飾られたのだ。真っ白な薔薇。マリア様に彼女は白薔薇の冠をかぶせて、笑った。そうするとなんだか二人が姉妹のように見えた。
「誕生日おめでとうございます」
 マリア様も微笑んだ。白い薔薇の花は、未来への栄光のようにきらきらと輝いている。
 気がつけばおかっぱの少女は、手首にロザリオを巻いている。なんだ、少女はマリア様の信者だったのか。そしてそのロザリオも、見覚えがある。そのロザリオは、もともと白薔薇の彼女が持っていたものだ。夜のバアでわたしが拾ったのだ。
 わたしが以前、同性愛者が語り、触れ合う目的で集われるパーティーに参加したとき、彼女と出会い、彼女の落としたロザリオを拾ったのだ。
 夢の中の記憶は曖昧で、もしかしたら違う記憶だったかもしれないけれど、あのロザリオは確かに拾ったことのあるロザリオだと、夢の中特有の確信をする。
 そうしていると、修学旅行の生徒たちが、彼女らに話し掛けた。上品そうな物腰に、深い緑の制服がよく似合った。あの時あんなに傷ついて、寂しそうだった彼女は、その中の一人に手を振って笑いかける。笑いかけられた少女が、小走りに彼女に近寄る。
 彼女らは楽しそうにグループになって、更に奥へと進んでいく。添乗員の声が聞こえる。
「こちらの柱を見て下さい? この小さな柱の穴を、通り抜けることのできる子供は、夜尿症、おねしょのことですね、が治ると伝えられています。太ってないかという、健康のバロメーターにもなりますよ? 」
 修学旅行の生徒たちがいなくなって、堂内ががらんとした。
「大変だよな」
 神楽が彼女達を見送って、ぽつりというので、え? と問い返すと。
「遠くから出張してきて、さ」
 と応えたので、思わず笑ってしまった。出張という言葉が、修学旅行にもなんだかあてはまるようだったからだ。

 最後の毘沙門天に、踏まれる覚悟をしていた。それなのにそこにあったのは売店だった。おみやげ物を売っている。理解した。だからわたしが入ることが出来たのだ。
 四天王は仏法を守る護法神である。東西南北を守る御方針である。そのうちの一角が破れておれば、わたしくらいの小鬼が入り込むくらいは、わけないことだったのだ。その売店には榊ちゃんとちよちゃんがいた。ピカニャーもいた。

810 :『春日十睡』 後編 :2005/04/28(木) 05:34 ID:???
「行こう」
 だから神楽はわたしの手をとって、言った。わたしはうなづく。
本当は今日は、みんなで誰かのお誕生日を祝ってから、ちよちゃんの家に泊まっていくはずだったけれど、それは取りやめたのだった。
 榊ちゃんと、ちよちゃん。私たちは二人を気遣って、パーティーの後でちよちゃんの家を出たのだ。ここで出会っては、折角の気遣いも無駄になろうというものだ。
 大仏様は大変だとわたしが言うと、神楽は、どうして、と尋ねた。だから今までつらつらと考えたことを言った後、ずっと一人で座っているから、と答えると、そんなことないんじゃないか。
「なんか色々立ってたじゃん。大仏様の周りにも、ほら」
 振り向いて入り口から大仏を見上げると、彼の人の周りには幾つもの仏が取り囲んでいた。そう言えば、四天王もいた。左右にも仏像が立っていた。今の釈迦も昔の釈迦もいたではないか。一人欠けていた毘沙門天は表で待っていた。
「そら、そろそろ始まるぞ」
 わたし達が一番遅れて来たようだ。気がつくとみんな外で待っている。滝野も水原さんもちよちゃんも榊ちゃんも。四天王も、仏様たちも。修学旅行生も添乗員も、みんな、みんな。輪になってマリア様を取り囲んでいる。
「ほら、歩。見て御覧なさい」
 呼ばれて振り返ると、大叔母がシスターと一緒に立っていた。言われたままみていると、マリア様が何かを抱いているのが、わかった。赤ん坊だとわかったとたん、ハッピーバースデーをみんなが歌い始めた。
 マリア様に抱かれた赤ん坊は、穏やかにすやすや眠っている。彼は苦しんでもいないし、人の犯せし罪に悩んでもいない。穏やかな寝顔。
「これだからねえ。これだからキリスト教徒は止められないのよ」
 大叔母がニヤニヤしながら、言った。
 気がつけば桜が咲いていると思ったのは積もった雪で、春なんかでは決してなかった。むしろ寒いくらいだったけれども、人の体温で周囲は暖かかった。なにより四天王の炎輪はぐるぐる燃えているのだから。
 夜になっていた。星を確認してみようと空を見上げたら、ヤドリギがぶら下がっていた。

                     *

 教室で一人で勉強していると、窓の外に何かが浮かんでいた。風船のようであったが、口をきいた。
「ハロー。エブリニャン」

811 :『春日十睡』 後編 :2005/04/28(木) 05:34 ID:???
 男性の声で、英語で話し掛けてくる。驚いた。見た感じ外国人ではない。人ですらない。何故英語で話しているのか尋ねると、娘がアメリカに行くのだという。その前に、Birdという単語が聞こえたので、鳥だったら? と聞いた。
「鳥ではない。我輩は猫である」
 と言い切る自称猫は、何かに似ている。
「猫でなければなんだと言うのだ」
 なんだろう。
 その自称猫の姿は、オレンジ色の風船で、細い手足がついている。ちよちゃんの家でみたような気もする。寝ている榊ちゃんを、そこで目覚めさせた。
 森前総理の名前が、自然に出た。丸い感じがそう思わせたのか。言った当人の、わたしですら意味がわからない。森前首相の名前が出たとたん、その自称猫は、さっと色が青ざめ、みるみる黒ずんで、最後にはぎらぎらと発光し始めた。
 そうか。もしかするとこれは、わたしの知らない、外国の猫かもしれない。だとすれば失礼なことを言ってしまった。英語で必死に謝る。外国の猫かもしれないからだ。
 すると教室に、ピカニャーが現れた。
 かつてピカニャーは、榊ちゃんを守ったのだと言う。野良猫に襲われたとき、100万ボルトの電撃を出して追い払ったのだと聞く。ネズミが電気を出すのなら、ネコも出せるに違いない。わたしを守りに来てくれたのだ。
 自称猫の注意がそちらに向いて、彼は発光を止めた。そして言う。
「……お前が本当のネコか? 私は猫舌だが、どうだ? 猫よ」
 わたしは何だか嬉しくなる。自称猫にとって、猫舌は猫の重大な要素のようだ。猫は好きだ。猫になりたいと思う。だからわたしも猫舌だと宣言したら、自称猫に、その舌を引っこ抜いてくれると脅された。何故だ。
 驚きながらも、実はわたしにはその理由がわかっている。わたしは猫ではないからだ。嘘つきは地獄で舌を抜かれると言う。とは言え、わたしはただ猫に憧れていただけなのに、それを嘘つき呼ばわりされるのはたまらない。
 飛び掛ってくる自称猫を跳ね除けようとして起き上がったら、水原さんがこちらも見ずに、おはよう、と言った。
 わたしはいつも寝ている。授業中でも寝ている。お風呂の中でも船をこぐ。けれどさっきまで、寝てはいない。ちゃんと勉強をしていた。それは間違いない。教室で一人で――。
 おかしい。
ここはちよちゃんの家だ。

 わたしはちよちゃんのぬいぐるみを枕代わりにして、眠っていたようだ。目の覚めた頭でよく見ると、それはわたしが以前に買って来たものだった。これが何故英語を喋るのだろう。
「それはちよちゃんのお父さんだ」
 榊ちゃんが低いいい声で、ぽつりと、言った。
 そう言えば娘がいるとこの猫も言っていた。娘がアメリカへ行くと。それで英語を喋る理由はわかったが、勿論それだけでちよちゃんの父親と断定はできない。その姿は、ちよちゃんとまるで似ていない。全然似ていない。
 それなのに榊ちゃんは、ちよちゃんのお父さんと断言する。それはきっと榊ちゃんも知っているからに違いない。自称猫と美浜ちよの共通点を。

812 :『春日十睡』 後編 :2005/04/28(木) 05:34 ID:???
 自称猫は、気球のように窓から現れた。そして美浜ちよはおさげで空を飛ぶ。

                                  (了)

813 :質問推奨委員長 ◆EIJIovdf8s :2005/04/28(木) 06:16 ID:???
おお
今までとはなんか違った作品でしたね
お疲れです

814 :うちゅー ◆UCHU/Xh/xE :2005/04/28(木) 23:42 ID:???
34 2005/4/28 初診察 (創作)

 大学を卒業し、研修期間を経て私は念願の獣医となった。
 今日は初診察だ。朝から緊張している。
高い鳴き声が私をはげましてくれた。
「マヤー……ありがとう。私は平気だよ」
 一緒に暮らし初めて何年にもなるが、
相変わらず私はこの子に救われている。
きっとこの子以上の猫には私は生涯出会えそうにないだろう。

815 :うちゅー ◆UCHU/Xh/xE :2005/04/28(木) 23:43 ID:???
 ドアが叩かれた。
「はい」
 私が返事をすると、ドアがゆっくりと開かれた。
 はじめてのお客さんは中年の女性だった。
胸元に猫を抱えている。毛は全身灰色で、
毛並みも良さそうだ。だが耳が垂れていて元気がないのが瞭然だった。
「どうしたんですか?」
「この子、昨日から急に元気がなくなって」
「わかりました。さっそく診察しましょう」
「はい――あの、ちょっとお聞きしてよろしいでしょうか」
「なんでしょう」
「そのお医者様の頭の上に寝ている猫は……」
「ああ、気になさらないでください。帽子です」
「でも……生きてますよ」
「帽子です」
「そうなんですか?」
「帽子です」
「しかもなんか……ちょっと見慣れない猫で」
「雑種です」
「先生、大丈夫ですか?」
「雑種です。とにかくその子をここに」
「はあ……」
 飼い主はしぶしぶ診察台に猫を置いた。
猫は小さく啼くと、私のほうに視線をあげる。

816 :うちゅー ◆UCHU/Xh/xE :2005/04/28(木) 23:43 ID:???

 なんだろう?

 奇妙な既視感が私の体を走った。かつての嫌な記憶、
トラウマ、そういったものだ。だが私はもう医者だ。
猫は平気になったし、もう私はかつての私ではない。
私が猫に嫌われていたのは、猫が嫌がるような興奮した
状態で接していたからだ。マヤーのときは緊張していた。
そのおかげでうまくいったのだ。
「どうしたんだい?」
 私は優しい声で、ゆっくりと手をさしのべた。
すると急に猫の毛が逆立ち、口を大きく開けた。
「……あ!」
 噛まれていた。見事な歯並びが、私の皮膚に食い込んでゆく。
「きゃあ、カミコちゃん!」
 飼い主が驚いて猫を引き離そうとする。
だが灰色のその猫は極上の小鳥を捕らえたかのように
あごに力を込め、ワニみたいにがぶりついていた。
 そうか。
 痛みのなか、私は理解した。

 この猫は、カミネコの子供か、孫だ!
 こんなときこそ、私の保険が生きてくる。
「マヤー! ゴー!」

 ……その日の夕刊にあるささやかながらエキサイティングな
記事が載り、警察から解放された私は日が明けるのを
待たずに夜逃げした。マヤーと共に。

817 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/04/29(金) 12:41 ID:???

なんかマヤーが榊さんのスタンドみたいですね

818 :名無しさんちゃうねん :2005/04/29(金) 21:40 ID:???
いい味出てますねー♪
でもこの頃にはマヤーも子猫ではなく、かなりデカくなっているわけで……そんな
巨大なものを頭に乗せて「帽子です」と言い張る女医・榊さんに激しく萌えた連休
初日の夜なのです。

819 :名無しsann ◆uMqIEZeEqo :2005/04/30(土) 20:47 ID:???
小ネタ…ではないな。中ネタ?

智「ご飯できたよー」
俺「お、これは…カレーか。いいねカレー」
智「はい、これあんたの分。でこれが私の分」
俺「…ともの分、俺より差がねーか?」
智「しょーがないじゃん。量たりなかったんだからー」
俺「いや…じゃあせめて均等に分けろよ」
智「いーから運んだ運んだ」

智・俺「「いただきまーす」」

パクパク

智「そーだ。ねー聞いてよ、今日さー、すっげームカつく駐禁野郎がいてさー、注意したら逆ギレしてきたのー。
  女だと思ってなめてんだよねー、あーゆうヤツらって」
俺「ふーん大変だったなー」

820 :名無しsann ◆uMqIEZeEqo :2005/04/30(土) 20:47 ID:???
モグモグ

智「は…はぁー!?てめぇともちゃんが嫌な思いしたっつてんだろーが!!なんだその対応わー!!
  こっち見ろ!カレー食ってんじゃねぇー!!」
俺「イ…イヤ、ホントスミマセン…ダカラ…クビ…ハナシテクダサイ……」
智「ん?…あぁ、ごめんごめん。ちょっとカっとなっちゃって。テヘッ」
俺「ぐっ…かはっげほ…てめぇ、殺す気か!!」
智「んー?『てめぇ』ってだれのことかな〜??」
俺「イ…イヤ、ホントスミマセン…トモサン…ダカラ…クビ…ハナシテクダサイ……」
智「はいはい。ったくさー、あんた女の子の気持ちがわかってないですなー。
  いい?こーゆー時は男はやさしく彼女をなぐさめんの!!」
俺「ハーハー…あー…よしよし、可哀想だったねー。そーゆーヤツ対処するのは大変だったでしょ?」
智「うーん…拳銃つきつけたら黙ったよ?」
俺「……おまえ…常備してんの?」
智「いや、実はモデルガンなんだけどさー、やっぱ制服は本物だし、けっこうみんなだまされんだよねー」
俺「…………」
智「どしたの?」
俺「いや…なんでもない……」
俺「けどさ、婦警やってたらそうゆうのって結構あるんだろ?」
智「…うん……でも、やっぱ学生のころからの夢だったしー…いやまぁ正確にはもう少し上を目指してたんだけど」
俺「ICPOだっけ?ともってバカだよな」
智「うるせー!今でもまだ可能性はなきにしもあらずだ!!…とにかく、まぁ楽しいし、やめないよ?」
俺「別にやめろなんて言わないさ。…ただ、まぁ俺の翻訳家業だけでも生活できないわけじゃないし
  辛くなったらいつでも選択肢はあるんだぜ、ってことさ」

821 :名無しsann ◆uMqIEZeEqo :2005/04/30(土) 20:48 ID:???
智「……うん」
俺「…結局寿退職もしなかったし、まぁ決意は固いかもしんないけどさ…うわっなんだよいきなり!?」
智「えへへ〜…ちょーっといい気分になったから今夜はあたしのほうから積極的にいってあげようと思って」
俺「え…あ…いや、ごめん、俺まだ仕事おわってないから…」
智「……あ?」
俺「いや…その…だから…今夜は徹夜なんだ…」
智「…だから?」
俺「今日は…一人で寝てくれないかなー…なんて言ってみたりして…ハハ」
智「……人がせっかく恥をしのんでサービスしてやろうと思ったのにー─!!バカー─!!もうお前なんか知らん!!でてけー!!」
俺「でてけって…」
智「うわー─ん!!」
俺「あ…おいっ!」
智「うるせー!」

バンッ!!
ともがキッチンの方に駆けていった。

822 :名無しsann ◆uMqIEZeEqo :2005/04/30(土) 20:48 ID:???
俺「おい、とも、どこ行くんだよー?」
智「冷蔵庫」
俺「は?」

ともは冷蔵庫からタバスコを取り出し、こっちに戻ってきた。

俺「とも…わかってくれるよな?お前だってもう大人だし…」

ブチュッッ
タバスコは、景気良く俺のカレーにぶちまけられた。

智「完食しなよ」
俺「………」

いや、こんなん食べたら胃に穴あくんじゃないでしょーか。

俺は小一時間土下座しながら「愛してるから」とか「今度必ず満足させる」などのセリフをはき続けるはめになった。

823 :名無しさんちゃうねん :2005/05/01(日) 18:08 ID:???
ともちゃんと付き合うヤツは大変だな、ということで。乙。

824 :名無しさんちゃうねん :2005/05/01(日) 19:17 ID:???
>>819-821
ワラタ。
ともかく乙

825 :名無しさんちゃうねん :2005/05/02(月) 06:31 ID:???
(SIC)さん、『(SIC)・ちよ編』の続きを早く書いてください!

826 :(ー・∋眠)<.。oO(眠い名有り) ◆4sS6D/pkQc :2005/05/03(火) 08:02 ID:qwCJ1a9U
うわー
なんか活気が溢れてきた。。

>>768-812
標準語の大阪なのに、違和感無く読めました。
今までに無かった斬新な作品だと思います。
>>814-716
乙。やはり子や孫でもマヤーが天敵なんですね。。
>>819-822
ともらしさが出ている作品ですね。
最後のタバスコのシーンですっごく笑わせていただきました。

827 :Moment But Happy Life 〜あっというまだけど幸せな命〜 :2005/05/03(火) 08:03 ID:???
まだ気絶してるだけだ。息してる。けど、このままじゃちよちゃんが……
どうすりゃぁいいんだよ!このまま、このまま死ななきゃいけないのか!?
くそっ、そんなのお断りだ!
まずは毒を吸い出すんだよな。
ちよちゃんが噛ませたのは―――どこだ?
落ち着け。ちよちゃんは右手に海蛇を持ってたんだ。だったら―――左腕だ!
左腕を捜したら…… あ、やっぱりあった。
私はその噛み跡を思いっきり吸った。
で、それを砂浜に吐き出す。それを何回もやった。
「だああぁぁぁぁ――――!!」
痺れる体を無理に動かして、私は立ち上がった。
一応精一杯の声を出したつもりだけど、いつもに比べるとかなり小さい。
もう左腕の感覚はない。けどそんなのお構いなしだ!
腕がダメで、ちよちゃんを持っていく事はできないから、榊ちゃんを呼びに行かなきゃいけないんだけど……
そのまま浜辺を歩き出した。
一歩、二歩、三歩……
全部の半分くらいをあるいたところで限界だった。目の前が暗くなってく……
「ちくしょう……」
死にたくないよ。けど、もうだめだよ……
脳裏に大阪の事が思い浮かんだ。
大阪。もう少しでお前のところに行くから……

828 :Moment But Happy Life 〜あっというまだけど幸せな命〜 :2005/05/03(火) 08:03 ID:???
ここは……この前の三途の川?けど、誰もいない……
――ともちゃん……――
「!! 大阪!?」
大阪の声だけが聞こえる。でも声が涙声になってるのがわかる。
「大阪。何で泣いてるんだよ?」
――なんでもないんや――
どうしたんだろう?
私が大阪にそのことを尋ねようとしたら、大阪が口を開いた。
――ともちゃん、がんばって。まだ二人とも助かるやろ?――
涙声のまま大阪が話し掛けてきた。
「無理だよ。もう動けないし……」
――だったらちよちゃんはどうなるんや?あのまま死なす気なんか!?――
そんなの死なせたくないに決まってるだろ!でも……
「でも、どうすりゃいいんだよ?」
私もいつのまにか涙声になってる。
――私にだってわからへんねん。けど、ともちゃんならやってくれる。そう信じてお願いしとるんや――
「ったく、わからないってなぁ……」
――ちよちゃんを、ちよちゃんを助けてあげてや。こんな終わり方、悲しすぎるで……――
「わかってるよそんなこと!でも、もう無理なんだよ…… 私も、ちよちゃんも―――」
もう、死んじゃうんだよ
――私の知っとるともちゃんはそんなんやないで。いつも元気で、前向きで、そんな悲観的なことは考えんかった……
  ともちゃん、もどってや。なぁ……――
「…………」
――ともちゃんは…… まだ生きとるやろ?――
何も言えない。でも大阪の行ってる事は筋が通ってる。
まだ私は死んでない。だからやろうと思えば何でもできるはずだ!
――それに、皆をまた悲しませる気なんか?それから―――.――
「あ―――もうっ、わかったよ!」
大阪には負けた。
「やれるだけのこと…… いや、やれないことでもはやってやるさ!!」
――はは。ええでええで。それでこそともちゃんや――
「じゃぁ大阪。一つだけ約束して。」
――何や?――
そりゃぁ、もちろん―――
「これが終わったら、また会いにきてくれ……」

「…………?」
今までのは夢?わかんない。
けど、状況は一緒だ。
私は砂浜の上にいて、ちよちゃんはあっちの方でぐったりしてる。
行かなきゃ…… 大阪と約束したんだから!
私はもう一度立ち上がった。
不思議と痺れは感じない。ただ妙に体がフワフワしてる。まずい、脳もやられてるのかな?
けど、そんな事考えてる暇はない。早く別荘に着かないと……

829 :Moment But Happy Life 〜あっというまだけど幸せな命〜 :2005/05/03(火) 08:06 ID:???
れから朦朧とした中で、何とか別荘にたどり着いた。意外に辛さは感じなかい。
そんで、もう家のドアの10メートルくらい前で
「お――――い!!皆、起きろ――――っ!!」
って怒鳴った。
「とも、どうしたの?」
気づいてくれたのはかおりんだった。屋根の上にいたみたいだ。あ、そっか。かおりんって天文部だっったんだっけ?
そんなことはどうでもいい!早く状況を知らせないと!
「ち、ちよちゃんが海蛇に噛まれた!」
「うそっ!」
「本当だよ。早く、さかきちゃんに解毒剤を!!」
「わかった!」
「私はまたちよちゃんのほうに行くから!」
私は皆をかおりんに任せて、ちよちゃんの所に行こうとした。
「うわっ」
って、一瞬気が遠くなって派手に転んじゃった。
「あ痛たたたた……」
「とも!!」
「大丈夫」
ちょっと頭を打ったけど、全然平気だ。
「私よりも、皆を呼んできてくれ!」
私は全速力でちよちゃんの方へ走っていった。少し体がフワフワするけど、そんなの気にしてられない。
――死ぬなよ!絶対に生かしてやるからな!

830 :名無しさんちゃうねん :2005/05/03(火) 11:16 ID:???
>「やれるだけのこと…… いや、やれないことでもはやってやるさ!!」
>れから朦朧とした中で、何とか別荘にたどり着いた。意外に辛さは感じなかい。
>かおりんって天文部だっったんだっけ?

文章全体の内容としてはすごくおもしろいですが、打ち間違いが多いです。
見せ場でこれをやってしまうと、せっかくの緊張感が台無しになってしまいます。


素人が差し出がましいことを言って申し訳ありません。それだけです。

831 :ミルクチョコ ◆.kY34XtGRg :2005/05/04(水) 21:43 ID:???
小ネタにしようと思ったら普通のSSになってしまいまつた…orz

毎日が喜びの連続。
それほど大きくないマンションで、大好きな人と一つ屋根の下。
大阪は、今とても幸せだった。


大阪「んー…おはよー」
彼 「あーおはよ」
大阪「あれ、なんでまだ寝巻きなん?」
彼 「今日は土曜日だ」
大阪「あ、そっかー…朝ゴハンなんにしよか」
彼 「いや、俺もう食パン食べたからおまえの好きなのでいいよ」
大阪「え、もう食べてもたん〜?気合いれよ思とったのに〜」
彼 「じゃあもう少し早く起きるんだな」
大阪「…むー」
彼 「いーからさっさと顔洗って来い」

こんなたあいのないやりとりが大阪は好きだった。

832 :ミルクチョコ ◆.kY34XtGRg :2005/05/04(水) 21:45 ID:???
永遠を誓い合ったのは、ほんの3ヶ月前。
大阪と彼…もとい夫が初めて出会ったのは学生時代だった。
大学3年生の秋の時、彼の方から告白してきたのだ。

大阪としても彼氏願望がないわけではなかったし、
見知って3年という時間は、大阪に彼が「いいひと」だと認識させるのに十分なものだった。

そして、彼は大阪が今までの女友達に覚えたものとはまったく異質の、
『愛情』を感じさせてくれる初めてで唯一の人でもあった。
大阪「あ〜パン焦げてもた〜」
彼 「なにやってんだよ……あれ、ポニーテールにしたのか?」
大阪「えへへ〜…どうやろ?」
彼 「いーカンジ」
大阪「えへへ〜」

大阪「あ、そーや。なー今日の夕方空いとるー?」
彼 「あ……ゴメン、今日俺だめなんだ」
大阪「え…なんか用事?」
彼 「う…うんちょっと、仕事関係で」
大阪「そっかー、ほなしゃーないなー。
   いや、ほら映画でも観に行こかな思とったんやけど」
彼 「その…ゴメンな」
大阪「ううん、ええよ。せやけど、大変やなー」
彼 「ま、まあな…」
大阪「ほな、私もう行くなー」
彼 「ああ…いってらっしゃい」

大阪「……ちゃうねん」
彼 「は?」
大阪「私はおでかけのチューが欲しかってん」
彼 「あーはいはい」

彼はなかば呆れ顔で大阪に口付けする

彼 「愛してるよ…」
大阪「私もや……」

833 :ミルクチョコ ◆.kY34XtGRg :2005/05/04(水) 21:45 ID:???
彼 「じゃ、いってらっしゃい」
大阪「いってきまーす」
大阪は笑顔で仕事に向かう。
大阪は保育士をしていた。
夫も会社勤めだ。夫婦共働きというやつである。
今日は土曜日だが、保育園は休みではない。


保育士1「あ、春日先生おはようございます」
大阪  「おはようございますー」
子供1 「あ、おおさかせんせいだー」
子供2 「おおさかせんせいおはよー」
大阪  「おはよー」

もともと子供が好きな大阪にとって、保育士の仕事は天職とも言えた。
さらに、学生時代からほとんど変わってない性格も、子供ウケがよかった。
ただ、先生としてはかなり致命的な性格ではあるが。

834 :ミルクチョコ ◆.kY34XtGRg :2005/05/04(水) 21:45 ID:???
大阪「は〜い、それではみんなでお歌を唄いましょう〜」

ちゃらちゃんちゃっちゃ ちゃらちゃんちゃっちゃ

大阪・子供達「「ねこふんじゃったーねこふんじゃったーねこふんじゃったらなかみでた♪」」


保育士1「春日先生!園児に変な歌おしえないでください!」
大阪  「ごめんなさい」


大阪 「え〜、みなさん次はお昼ねをしましょう」
子供達「はーい」

大阪  「ねんねーんーころーりーよーねんこーろーりー………ころりってなんやー?」
保育士1「いいから唄えー!!」

835 :ミルクチョコ ◆.kY34XtGRg :2005/05/04(水) 21:46 ID:???
子供1「すー…」
子供2「ぐー…」
子供3「くー…」
大阪 「よー寝とるなー…私もねむたなってもうた……スー…」

15分経過…

大阪  「スー…スー…」
保育士1「春日先生ー来客ですよー…ってなんで一緒に寝てるんですか!?」

大阪  「んー…なんですかー?」
保育士1「来客ですよ!…ほら、あの婦警さんですよ」
大阪  「あ〜はい、わかりました〜」

パタパタ
大阪は、特に急ぐでもなく待合室に出向く。
そして、イスにふてぶてしく座っている婦警に声をかけた。

836 :ミルクチョコ ◆.kY34XtGRg :2005/05/04(水) 21:46 ID:???
大阪「いらっしゃい〜」
智 「おひゃー……お、ポニーテール似合ってんじゃん」
大阪「えへへ、ありがと〜」

智は、たびたびパトロールと称してこの保育園に訪れてきていた。
園児までもが大阪のことを大阪と呼ぶのは、智がそう吹き込んだからだ。

大阪「せやけど、仕事サボっててええん〜?」
智 「いーのいーの、だいたいなんで休日まで働かなきゃなんないんだっつーの」
大阪「んー確かにそれは疑問や」
智 「でっしょー?…あ、そだ。大阪昼飯もう食べた?」
大阪「食べたでー」
智 「なんだーマックでも行こうと思ったのに」
大阪「今日は愛夫弁当やってん」
智 「……愛夫弁当?」
大阪「そー、私今日起きるの遅かったんやーそしたらダンナがもうお弁当作ってくれとってん」
智 「いいなー。よーし今度私も作らせてみよう……って、そーだ」
大阪「んー?」
智 「そーいや、さっきあんたんとこのダンナ見たよ」
大阪「あー、なんか仕事関係のことで出かけるとかゆーとったから」
智 「いや、なんか若い女の人と歩いてたけど…あれ、妹さんかな?」

大阪・智「「……………」」

837 :ミルクチョコ ◆.kY34XtGRg :2005/05/04(水) 21:47 ID:???
大阪「……えー!?………えー─ー!?……な、なんなんそれー!?」
智 「さ…さぁ…」
大阪「どこ!?いつ、どこで見たん!?」
智 「えっと…駅前のデパートの前で…ここにくる途中…」
大阪「なにしてんねん、智ちゃん行くで!!」
智 「へ?」
大阪「事件や!サスペンスや!あんた婦警やろ!!」
智 「いや…そうだけど…私、交通課だし…」
大阪「ごちゃごちゃ言うてる暇はないんやー!!」


保育士1「春日先生ー?あれ、春日先生知りませんか?」
保育士2「ああ、さっき急用ができたとかで早退しましたけど」
保育士1「急用…?ん?」

保育士1の机に書置きが置いてあった。

『土曜サスペンスなので、早退します。
                春日』
保育士1「…………?」

838 :ミルクチョコ ◆.kY34XtGRg :2005/05/04(水) 21:47 ID:???
駅前のデパートの前
 
大阪「ここで…見たんやな?」
智 「う…うん。ここに入っていった」
大阪「まだおるやろか」
智 「どうだろーあれから1時間くらい経ってるし…とにかく入ってみようぜ」
大阪「そ…そやな…」


1階・食料品売り場
大阪「どないしょーともちゃん、ほんまにおったら……」
智 「いや、食料品売り場にはいないと思うぞ」

2階・レディースフロアー
大阪「こんなとこでなに買ってるんやろ…?
   …バッグとか貢いでるんやろか!?うちの生活費をそんなことに…」
智 「いや、まだ見つけてないし」

3階・メンズフロアー
大阪「うーん…ここにもおらんな…」
智 「そだな」

4階・子供用品売り場
大阪「子供できたらここに来なあかんなー」
智 「そうだなー。今、その瀬戸際だけどな。」
大阪「…そうやった」
智 「……忘れてたのか?」

5階・生活雑貨売り場
大阪「う〜ん、おらへんなー」
智 「やっぱもう帰っちゃったかなー……(あー─!!)」
大阪「どないしたん?」
智 (し、しーっ!いた、いた!!)
大阪「え、どこ、どこ!?」
智 (ばっばか、大声だすな!)
大阪(どこにおるんー?)
智 (あそこ、ほら、ぬいぐるみ売ってるとこ!)
大阪(あ…ほんまや!…なにしてるんや?)
智 (んー…あ、テディベア買ったぞ)
大阪(ほんまや、あんな大きいのん……うちの生活費が……)

大阪の落胆ぶりは、智の目に余るものだった。

智 (…大阪…どうする……?)
大阪(……私…帰るわ……)
智 (…いいのかよ?現行犯だぞ?)
大阪(……………)

839 :ミルクチョコ ◆.kY34XtGRg :2005/05/04(水) 21:48 ID:???
夕方

ガチャッ

彼 「ただいまー……あれ、なんで歩もう家にいるんだよ」
通常、保育士の仕事はもうすこし遅くまである。大阪がこの時間帯に家にいるのは、異例といえば異例だった。
さらに、大阪の様子はもっと異例だった。
大阪「…私が家にいたらあかんのか」

大阪の顔は真っ赤だった。目も据わりきっている。そして、大阪は彼を睨んでいた。。その目頭には、かすかに涙の跡がうかがえた。

彼 「何言って…ってお前、酒くさいぞ!いったいどんだけ飲んだんだ!?」
大阪「うるさいで…なんでそこまでアンタに指図されな……ん?…あー─!」
彼のとなりに立っている、大きなテディベアを抱えた女性を指差す。

彼 「あ、ああ……彼女は、その…」
大阪「彼女わ!?彼女わやてー!?私がおらん思て女のコ呼んどったんかー!?」
彼 「いや、そーだけどそーじゃなくて……」
大阪「う………」
彼 「え?」
大阪「ぐすっ……うあー─ん!!」
彼 「お、おい!」

ドタドタ
バタンッ!

840 :ミルクチョコ ◆.kY34XtGRg :2005/05/04(水) 21:49 ID:???
彼 「お、おい、閉じこもるなって、話を聞けよ!」
大阪「アホ、アホアホアホー!愛してるってゆったクセにー!!」
彼 「だから違うって!あの人は」
大阪「だいたい…今日は仕事やってゆーてたのに…わたしが誘ったのも断って…女に会いに行ってたんや…」
彼 「いや、確かにそれはそーだけど、でもそれは…」
大阪「…もうええ……」
彼 「え……わかってくれたのか?」
大阪「離婚や…」
彼 「…へ?」
大阪「離婚やー─!!もうアンタとは一緒に暮らせへんー!!」
彼 「だー、もうっ!何言ってんだよ!いいから俺の話を聞け!俺はあの人とは何も無い!」
大阪「じゃあ…なにしてたんや…ぐすっ…あのテディベアは何なんやー!!」

彼 「あれはお前への誕生日プレゼントだよ!!」
彼はドアごしに叫ぶ。

841 :ミルクチョコ ◆.kY34XtGRg :2005/05/04(水) 21:49 ID:???
彼・大阪「「……………」」

彼・大阪「「……………」」

大阪「…………ふぇ?」
彼 「だから、お前、明日誕生日だろ?」
大阪「…うん」
彼 「でも、俺明日は本当に仕事が入ってて一緒にいてやれないんだ」
大阪「……」
彼 「だから、今日誕生日会するためにコッソリ準備しようと思ってたんだ」
大阪「………あの女の人は誰なん?」
彼 「俺の従兄妹だよ、結婚式の時にも居ただろ?」
大阪「……あのテディベアは…」
彼 「だからあれは…お前への誕生日プレゼントだ…
   その…ガキっぽいかと思うけど、彼女がそれがいいんじゃないかって」
大阪「あの人…従兄妹さんにはプレゼント探しの相談してたん?」
彼 「そうだよ。あと、誕生日会の準備の手伝いをお願いしてた」
大阪「……」
彼 「わかったか?」
大阪「…うん」
彼 「なら、出てきて彼女にあやまれ。お前は失礼だぞ」
大阪「………うん」

ガチャ

トボトボ

大阪   「…………ごめんなさい」
彼の従兄妹「いえ、そんな……こんにちは。お久しぶりです」

842 :ミルクチョコ ◆.kY34XtGRg :2005/05/04(水) 21:49 ID:???
彼 「…………な?」
大阪「………………」

彼は呆れ顔だ。大阪としてはかなり気まずい状況だった。

大阪「えーと…ちゃうねん、これは…その…」
彼 「………」
大阪「…こんどの学芸会で、先生がこうゆう劇をやるねん」

彼・大阪「「……………」」

彼 「…………やな学芸会だな」
大阪「…………そやな」

843 :ミルクチョコ ◆.kY34XtGRg :2005/05/04(水) 21:59 ID:???
御免なさい、
やきもちフェチなんでそうゆうのを書きたかっただけなんです。
スレ汚し申し訳ありませんでした。

844 :名無しさんちゃうねん :2005/05/04(水) 23:05 ID:???
GJ!!大阪、カワイイ〜

845 :名無しさんちゃうねん :2005/05/05(木) 18:18 ID:???
さくさく読めた、そして笑えた! GJでつよ〜♪ 続編をキボンヌ。

846 :名無しさんちゃうねん :2005/05/06(金) 15:11 ID:???
GJ
面白かった。

あと、非常に些細な重箱の隅をつつくような指摘ですまぬが。
「春日先生」と呼ばれてることについて、結婚後でも職場では旧姓で通し
てるとか、ひとことだけでも触れてると良かったかな、と。

847 :ミルクチョコ ◆.kY34XtGRg :2005/05/06(金) 21:36 ID:???
>>844-855
ありがとうございます。
そうゆうレスは、書く方にとって至上の栄養剤です。感謝感激雨あられ。

>>846
だー!!しまったー!!
えーっと、あとづけ設定になりますが…
大阪は結婚する前から保育士をしていたから、結婚しても職場ではそのまま…
ということで、カンベンしてください<(_ _)>

あと、実は、名無しsann ◆uMqIEZeEqo も僕なんです。
このスレではこのコテで行こうと思っていたんですが、やめました。
本当に遅ればせながらですが、>>824-825さん、眠い名有りさん、レスありがとうございました。

848 :名無しさんちゃうねん :2005/05/06(金) 23:16 ID:???
新作age

849 :ともちゃんのグチ :2005/05/08(日) 15:31 ID:???
なんかさびれてるのでネタ投下。

あのさー、私、基本的にあれじゃん。かわいい系じゃん。
かっこいい系か、かわいい系かで言うとかわいい系に属するタイプでしょ?
実年齢よりも下に見られるというか。
修学旅行で夜中パンツ下ろされるタイプってカンジ。
お前下の毛生えてんのかよ〜、とか言われて。
で、生えてるどころか、マ○コ真っ黒でその後気まずい雰囲気になるタイプっていうか。
まあ、黒くはないんだけどね。
て言うか、そんな事はどうでもいいんだっつーの。
で、この前映画を観に行ったんだよね。ゆかり先生ご推薦の「弟切草」を。
そしたらその映画、R15指定だったの。で、なんとそれに引っかかっちゃったんだから大爆笑!!!
ビーって鳴ったんだよ?いや鳴りはしないんだけど。
なんかチケット買う時、受付のお姉さんに、この映画はR15指定でして
年齢確認出来る物の提示をお願いします、とか言われちゃって。いや、マジでー。
そんなもん、完全にぶち切れ。プッツンだよ。もう、あったまきて。
アホかと。誰に口きいとんじゃと。
あのな、私はな、めちゃくちゃ講義聞くし、めちゃくちゃサークル所属してるし、
めちゃくちゃ私服で学校行くし、言うたら、ぼーぼーなんだよ。
大学生なんだよ。立派な。大学生なめてんじゃねーぞ、コラ。と。
しかも、いくらなんでも中学生はねーだろ?ボケが。
中学っつったらあれだろ、ちよちゃんとかだろ。
あんなもんと一緒にすんな、ボケが。あんな小動物とこのともちゃんを。
あのな言っとくけど、ちよすけなんかな、こちとら10秒で殺せるっつーの。オイ。
大阪なら20秒。神楽なら30秒で殺せる。
よみか、よみは10分だな。10分で私が殺される。たぶん。なんかそんな感じ。
まあいいや。くだんねー。

850 :名無しさんちゃうねん :2005/05/08(日) 16:21 ID:???
なんとかくコピペの改造っぽい気もするが……オチがワラタ。乙!

851 :名無しさんちゃうねん :2005/05/09(月) 14:09 ID:???
俺もなんか貼ろうか?

852 :名無しさんちゃうねん :2005/05/09(月) 17:13 ID:???
2ちゃんコピペをあずまんが風にするスレッド
http://so.la/test/read.cgi/oosaka/034992440/

ここで

853 : :2005/05/10(火) 17:54 ID:???


朝、目が覚めると隣に榊さんが寝ていた。

〜〜〜〜〜〜〜〜

今日は一週間に一度の授業が午後からの日だったので、読書やパソコンなど、無駄に寝る時間を遅めてから布団に入った・・・・ハズだった。
本当にそれだけのはずだった。
彼女を家に連れ込んだりしてないし(そもそも今は彼女なし)。
ナンパした女性を連れ込んだわけでもない(そんな事する度胸は無い)。
じゃあここにいる女の子は誰だ?

心地よい朝日に特徴的な目つき、すばらしいスタイルの黒髪美女が目の前にいて「あ〜榊さんだ〜」とか恥ずかしい事を一瞬思ってしまったが、これは可笑しい。
彼女は漫画の中の人物だ。
となると俺は見ず知らずの女性と一緒に寝ていた、と言う事になる。
!!?
慌てて自分とこの女性の服を確認したが、幸いどちらも乱れてもいなかった。
全く下世話な話だ。
今気がついたら、なんとこの女性子猫柄のパジャマなんぞ着てやがった。
・・・・・・・・・・・「・・・ん」
あ、起きた。
部屋を見回してるなあ・・・ヤバイ、目が合った・・どうしよう。

854 : :2005/05/10(火) 17:55 ID:???
悲鳴でも上げられるかと思ったが、この女性、ただ不思議そうに首をかしげるだけだった。
・・・・・・・・・妙な沈黙に耐え切れず、つい口を開いてしまった。
しかも「おはようゴザイマス」だと?
全く俺の頭はよほど混乱しているようだ。
おまけにこの人「ん・・・」と一言、ってか一文字。
深呼吸を一回。
軽く咳払いをしたら少し落ち着いた気がする。
「え〜っと、2,3聞きたい事があるんだけどいいかな?」
「(コクリ)」
「なぜ俺の家に?」
「・・・・・・・解らない」
「OK、じゃあ気がついたらココにいた訳か」
「(コクリ)」
「・・・・・・・・・・・・・」なんか一気に気が抜けた。
なんか色々と聞きたい事があった気がするけど、吹き飛んでしまった。
相変わらず無表情で座っているこの娘。
「あ〜、名前聞いていいかな、俺は黒澤修、大学生で一人暮らし、家族はいない」
途端、彼女は顔を曇らせ
「・・・・ごめんなさい」と
「ああ、いいって、勢いで出ちゃった事だし、だいぶ前に乗り切ったから」
そういうつもりで言った訳ではないが、ちゃんと表情がある様でちょっと安心した。

855 : :2005/05/10(火) 17:56 ID:???
それにしても、とても整った顔立ちをしている。
賢明そうな目、スラリとしたスタイル、綺麗な黒い長髪。
寝起きの目覚ましには贅沢すぎる光景に頭がノーガードになった時に、彼女の発言は俺の頭にショックを与えた。
「えっと・・・・・榊です・・」
「・・・・・・・・マジ?」
「?」
ちょっと待ってくれ、これは夢か?
・・・・・・・・・・・まんまやんけ!

「あ、あ〜・・・榊さんね・・・はは」
「・・・・・・・・?」
待てよ?もしこの榊さんが榊さんなら下の名前はどうなっているのだろう。
「下の名前って、聞いてもいいかな?」
「・・・・・・・・それが・・わからないんだ・・」
そうきたか。

「まあいいや、朝ゴハン食べながら考えよう」
なんかもうどうでも良くなってきた。

大して会話の弾む事無く食事が進んだが、面白い事に気がついた。
不思議な事に沈黙が苦痛ではない。
俺なんかだと女性と話すときに出来る無言の間は耐え難い事だが、なんと言うか彼女の場合、その場に溶け込んでいると言うか、緊迫しないと言うか、とにかく不思議だった。
・・・・・・・あ、ホントに良く噛んでる。

856 : :2005/05/10(火) 17:57 ID:???
食事中の会話でわかった事だが。
先ず、彼女はココにいる以前の記憶が無い。
もしやと思い、美浜や神楽などの名前を出してみても特に心あたりは無いようだ。
しかし一般教養や知識は人並み以上にあるらしい。
つまりいきなりこの世界にポンと出現した存在と言う事だろうか?
どうでもいい事だが、加えて無類の可愛い物好きらしい。

「学校には行かなくて良いんですか?」
ふとこんな事を聞いてきた彼女。
「ん、今日は午後の授業からだからね、榊さんは高校生くらい?」
「(コクリ)」
で高校の名前はわからないと。
全くおかしな話である。

857 : :2005/05/10(火) 17:58 ID:???
まあ、とりあえずなんと言うか、榊さんとの奇妙な生活が始まった。
当然客観的に見れば「女性と同棲」と言う事になるが、都合のいい事に生活に馴染む馴染む。
だが考えてみれば身寄りが全く無い訳で、警察にでも行こうものなら状況を説明した途端即あっち系の病院にでも連れて行かれてしまうだろうし、
別パターンとして俺が犯罪者扱いされるかもしれないと言う事で、とりあえず俺は普通の生活をおくって、榊さんは町を歩いたりして記憶の情報収集と言う生活リズムだ。
無償で世話になるのは困ると言う事で、家事をやらせてくれと要求されたが、大体の事は自分で出来るし、何より掃除なんかされるのは恥ずかしいと言う俺の意見があったので、食事と共同スペースの掃除のみと言う事でお互いに納得。
それにしても家事の手際がいい。
食事も交代でやるのだが榊さんの料理の腕に完敗し交代と言う名目で料理を教わったりなんかしている。
寝るところは勿論・・・・・別で。
客間を使ってもらっている。
何より物静かな人なのでリズムが崩れないところが有難い。
 

858 : :2005/05/10(火) 17:58 ID:???
最初は自分の服を貸していたものの、さすがに無理が出てくるので百貨店へ生活用品の買出し。
歩いていくには遠すぎるし、大型百貨店と言うものは駅の近くに無いため、愛用のバイクの出番である。
「どうかした?」
「いや〜、考えてみれば女の人乗せるの久しぶりだなあと感慨にふけっている所」
「・・・・・・・・」
「そういう目で見ない、車じゃなくて申し訳なかったねってんだ」
「いや・・・ただ初めてだから、安全運転で」
「まあそりゃそうだ、後ろにか弱い女性を乗せるんだから200キロ以上は出さないようにするよ」
「・・・・・・・・」
「・・・・冗談だって」


颯爽と走る。
都会からはなれている為、車も少なく、天気のいい日はツーリングがすばらしい。
最初はおっかなびっくりと言う感じだった榊さんも、春の風を堪能しているようだ。


「最初はとりあえず服だよね、後俺はちょいと電化製品を見てくるから一時間後にココに再集合と言う事で、と言うかせっかくだから少し周ろう」
家具売り場やインテリア用品、観葉植物などを見て周った。
ペットコナーでだいぶ長居してしまったが・・・・。

859 : :2005/05/10(火) 17:59 ID:???
2,3パターンの服と靴を買った後、諭吉さんを一枚預けて別行動。
一人ぶらぶらと電化製品を物色。
実際今のところ必要なものもなし、適当に時間を潰して、十五分前に集合場所へ向かった。
ベンチに座り二人分の飲み物を買うと、丁度榊さんも買い物を終えたようだ。
「早いじゃん、お疲れさん」
「ん、どうもありがとう」
缶のお茶を渡し、しばしの間休憩所で過ごした。

ふと、彼女が持っている荷物の中に、一際小さな袋が目に付いた。
聞くと、観葉植物売り場で妙に気に入ったので買ったそうだ。
無駄遣いして悪かったと彼女は謝ったが、植物は好きなので気にしなかった。
「行こうか?」
「(コクリ)」

地下駐車場に降りて、荷物をリュックに詰めて出発。
地上に出ると良い感じの夕日時だった。

860 : :2005/05/10(火) 17:59 ID:???
そして帰宅。
買い物の確認を済ませると、俺は風呂沸かし、榊さんは夕食の準備といういつものパターンだ。
当然俺のほうが早く終わるので、途中から榊さんの手伝いとなる。

「海老の皮むき終わりました」
「ん、じゃあサラダをお願いします」
「了解っす」
料理の時はなぜか自然と俺も敬語になる。
相変わらずテキパキ料理をこなす榊さんの助手兼訓練生って所かな。
なんにせよお陰で色々と料理を覚えられてありがたい限りである。
二人でやるとあっという間に料理が完成する。
今日もまた美味である。

「「ご馳走さまでした」」

やや上機嫌で皿洗いをする俺に、珍しく榊さんが話しかけてきた。
「・・・・修は変わっている・」
蛇足だが、少し前に敬語をやめるようにしてもらった。
敬語を使われるのが苦手と言うこともあるが、ただ単純に榊さんのような美人に敬語を使われるのは落ち着かないからである。
「そう?」
「・・・普通は私みたいな見ず知らずの人間を家に置いたりしない・・・と思う」
「・・・・ふむ・・」
「・・・・・・・・」
「・・・まんざらさ、赤の他人ってわけでも無いんだよね・・」
「え?・・・」
「ああ、いや・・俺と榊さんが知り合いだったって訳じゃないんだけど。まあ人間さ、一期一会って言うじゃん。俺は来るもの拒まずって考えだから」
「・・・・・」
実際困っていた。
俺は一方的に彼女を知ってはいるが、勿論彼女が俺を知るはずも無く、明らかに不自然なこの状況を説明する事はできなかった。

「単純にさ、ただ榊さんが困ってたからってんじゃだめかな?」
「え・・・」
とっさに出た一言に榊さんは顔を赤くしてうつむいてしまった。
ちょっと失敗したかも。

861 : :2005/05/10(火) 18:00 ID:???
その夜は少し眠れなかった。
当たり前の事だが、彼女は自分の存在に疑問を持ち始めている。
確かに「記憶喪失」で片付けるには賢明な彼女の事、完全に納得はできないのだろう。
しかしどうすればいいのだ。
現実には彼女は家族も居ない、友達も居ない、ましてや彼女が知ってる人間は今のところ俺一人だろう。
それは凄く孤独だと思う。
建前として、見覚えのある風景を探す、と言う事を日課にはしているが、当然そんな風景があるはずも無く。
彼女が存在すると言う事を公的に証明するものは何も無い。

その時、ドアをノックする音が聞こえた。

「・・・修、起きてる?」
「ああ、どうぞ」
彼女はさらりと髪をなびかせて俺の寝室へ入ってきた。
その姿に心奪われかけたが、今まで考えていた事が頭をよぎり、浮ついた心が静まる。
「どうかした?」
「ぇ・・っと・・」
どうやら先ほどの事が府に落ちなかったらしい。
まるで知らない所につれてこられて不安がっている子猫のようだ。
しかし劇中でもだが、彼女のこういう姿は初めて見る。
彼女に対し、綺麗だ、では無く、可愛いと思ったのはこれが初めてかもしれない。
「まあ、座るといいよ」
もともと半身起こした状態だったので、ベッドの脇に移動し、彼女の座るスペースを作った。
最初は戸惑っていた彼女も、思い切ったようにストンと隣に腰掛けた。
「眠れないの?」
「・・・(コクリ)」
「ん〜、ちょっとお話でも聞かせよう」
「?」
首をかしげる彼女だったが、俺の「眠れない女の子には眠たくなるまで昔話でも聞かせるもんだろ?」と言う言葉に、少しだけ頬を緩めた。

862 : :2005/05/10(火) 18:00 ID:???
そして俺はお話を始めた。
「昔、ある男の子が居ました。
彼は高校生になったばかりでしたが、同年代の人とは違い、心に虚無感を持ち、先の事に情熱を燃やすことができない男でした。
彼は勉強もスポーツも悪いわけではなく、不良ぶる事も無く、毎日きちんと学校に通っていましたが。
彼は高校生になってから心のそこから笑った事が一度もありませんでした。
彼は中学の時は普通の男の子でした。
いえ、どちらかと言うと行動的で、いつも集団の中心に居ました。
親友も沢山居ました。
しかし、事情で高校を遠くの学校を選んでから、友達と会うことも少なく、アレだけがんばって友達を作ってもほんの少し距離を離れるだけでこうも孤独になるものかと、捻くれた考えを持ってしまったのです。
その為、彼は高校に入ってから、積極的に友達を作らなくなりました。
学校では話す程度の友達なら居ましたが、プライベートで話すほどの友達を作れるほどの気力は彼にはありませんでした。
毎日を無機質に過ごしているうちに彼の心はどんどん熱を失い、次第に色々なことにも冷めた対応しか取れなくなってしまいました。
そんなある日、彼はある仲良しな女の子グループと出会いました。
彼女たちは、それはとても毎日を楽しそうに過ごし。
見ているこちらさえも楽しくさせてくれるほどの笑顔で、毎日笑っていました。
最初は彼もただ眺めているだけでしたが、だんだんと彼女達の作り出す空気を無視できなくなっていきました。
彼は思いました、どうせどんなに仲が良くたってたった三年で無くなってしまうんだ、何故そんなに笑えるのだ、と。
しかし彼女達は毎日変わることなく日々を満喫していました。
彼は気が付きました。
彼女達は先の事を暗く考えたりしないのだと。
毎日次の日を楽しみに生きているのだと。
そしてそれがどんなに人生を楽しくさせてくれるかを。
彼は早速クラスメイトを誘って遊びに出かけました。
勿論最初は上手く話せませんでしたが、もともとの性格から段々と打ち解けていき、最後にはこれ以上無いほど気の合う友達になりました。
その日も変わらず友達と町へ遊びにいった彼が、ふとショウウインドウを見ると、彼女達と同じ笑顔で笑っている自分が居ました。
とさ。
めでたしめでたし〜」

863 : :2005/05/10(火) 18:01 ID:???
「・・・いい、話だね・」
「そりゃどうも。まあ、この話で言いたいことは俺が女性に優しくする様に努力してるって事なんだけどね」
「・・・・・・・・・・・なんで?」
「その女の子達にはとある理由で会えなくてね、仕方ないからこの恩義をとりあえず世の女性へ、ってのが俺の結論」
「・・・なるほど」
「だから榊さんに世話焼くのも俺の自己満足だから気にしないでいよ、何より目の保養になるしね」
「・・・・・・・」
「まあ、そろそろ眠くなったろう?もう寝よう」
「・・・・・・・・・修」
「ん?」
「一緒に・・・寝ても・・いいか?・・」
「・・・・・は?」
「・・・・お願い・・」
「・・・・いいけど・・」

・・・・・・・流れ的に(というか彼女の眼に負けて)即答してしまったが、実際頭はパニくっていた。
結構すんなりとベッドに入り込んだ榊さんからは、随分とふんわりといい香りが漂ってきて、いやにも心臓がおかしくなる。
仰向けで両目を覆うように腕を頭に乗せているが、実際眠気は全く襲ってこなかった。
その時、自分の腕に感触を覚えた。
見ると、榊さんがキュっと腕を掴んでいる。
そういえば彼女は劇中で猫のぬいぐるみを抱いて寝ていたような。
「・・・修・・」
「眠れないの?」
「うん・・」
「・・・・」
「ずっと・・・・考えていた・・私が誰なのか・・。」
「・・・」
「・・・・・でも・・なんだか少し前から思い出せそうな気がしてきたの・・・」
「・・・・・」
「でも・・・それを思い出してしまったら、私はここから消えてしまう様な気がして・・・思い出さないようにしていた・・」

彼女は自分を思い出そうとしていた。
それは良い事だった、良い事に決まっている。
例え、彼女が元の存在に・・・架空の世界の存在に戻ったとしても。
それが彼女の本当の在るべき世界なのだから。
しかし・・・・

864 : :2005/05/10(火) 18:02 ID:???
「・・・・修?」
気が付けば俺は彼女を抱きしめていた。
「・・・ゴメン・・でも、少しだけこのままでいさせてくれ」
とてもか細く、儚げな彼女の体を、まるで壊さない様にやさしく抱きしめた。
「・・・ううん・・なんだか・・とても不安なんだ・・あと少しで消えてしまう様な気がして・・」
「・・・・消えやしないよ、榊さんはちゃんとここにいる・・」

・・・・・俺はこの時嘘を付いた。
なんとなくだが、解っていた。
彼女がもうすぐ居なくなってしまう事を。
しかしそれを認めたくなくて、少しだけ強く抱きしめた。
それに答えるように、彼女も俺の体に腕を回した。
体が密着していた。
驚くほど頭は落ち着いていた、ただ・・・彼女と離れたくなかった。

「・・・・・・・・行くな」
「え?・・」
自然に口が開いてしまった。
しまったと思った。
「・・・・・」
「・・・・・・・行きたく・・・ない・・」
じわり・・と彼女の声が震えた。
眼を瞑っていたが彼女が涙を流した事が解った。
・・・・・・・・知っているんだ。

別れが近かった。


段々と感覚が無くなってきた。
榊さんの感触、香り、すべてが遠くなっていく。
それが激しい眠気だということに気が付くまで少し時間が掛かるほど、感覚を根こそぎ持っていってしまっていた。
おそらくはこれでお別れだろう。
ここで眠りに落ちてしまったらもう二度と榊さんに会えない。
彼女は消えてしまう。
それが嫌でもがいていた。
当に体なぞ動かない。
瞼も開かなくなっている。
しかし眠らなかった。
だが少しづつだが確実に、彼女は遠のいていった。

865 : :2005/05/10(火) 18:02 ID:???

・・・・・・・ふと、頬に何かが触れた・・・・彼女の手だ・・・

意識が遠のく。
その時。
消えかかった彼女の香りが一瞬だけもう一度訪れた。
ほのかな感覚が在った。
・・・・・・・最初で最後の口付けだった。









・・・・・・・・・・夢を見ている。
手紙を読む夢だ。
手紙には綺麗な字でこんなことが書かれている。

866 : :2005/05/10(火) 18:02 ID:???
修へ。
いきなり貴方の家にお邪魔してしまってごめんなさい。
最初にここで眼が覚めた時、自分の居場所じゃなかったけど、とても安心できるところだと言うことが解りました。
自分が何者なのか気づいた時には離れたくないと思うくらい、貴方の隣は居心地が良かったです。
私は、もう帰らなければなりませんが、安心してください。
どうやら私は貴方の心の中に居るみたいです。
貴方は貴方のまま、貴方の道を行ってください。
そうすれば私も大丈夫だと思います。


なんだか相変わらず味気ない文章だな、と思った。






眼が覚めるといつもの生活に戻っていた。
一人分の食事を作って済ませ、学校に行く。
いつもどおりの朝だ。
不思議な事に、彼女と過ごした時間分、時が遡っていた。
全く持って不思議な体験だった。
今日は午後からの授業なのでゆっくり出来る。
一人で茶を飲んでいると、寂しさがこみ上げてきたが、俺は俺のリズムで生きるとする、いつもどおり、彼女のお願いどおりに。

ふと、テーブルの上に植物の苗が在るのに気が付く。
彼女が買ってきたモノだ。
名前は知らないが彼女に似て、儚くも凛とした綺麗な花を咲かせていた。



Fin

867 : :2005/05/10(火) 18:11 ID:???
まず最初に謝ります、いえ、謝らせてくださいw
いきなりかなりのスペースを埋めてしまい申し訳在りませんでした。
最初は短編にしたかったのですがこんな事に・・・
以前より、皆さんのSSに影響を受け、いつか自分もこのような物語を創って見たいと思って居まして。
連休を期につらつらと書き始めて見たものの、なんだか読みにくい文章になってしまいました。
もう一度修行し直してきますw

追伸
>814
>819
>831
素晴らしかったです、次回作を楽しみにさせていただきます。

868 :あずまんが王子 ◆N1Y4rpky/o :2005/05/10(火) 20:39 ID:???
>>867
なっっそう来たか!って感じの内容で面白かったです。全然読みにくくなんかないですよ。

あぅぅ・・・全然進まない…もとい進んでない…(Wд‘)ヒィィイ

869 :名無しさんちゃうねん :2005/05/10(火) 20:44 ID:???
>>867
いや、謝ることないって。
読みやすかったし、読後感も良かった。
また是非書いてください。

870 :名無しさんちゃうねん :2005/05/10(火) 21:41 ID:???
次スレどうするんですか?

871 :(ー・∋眠)<.。oO(眠い名有り) ◆4sS6D/pkQc :2005/05/10(火) 22:23 ID:???
>>843
いやぁ〜、勘違いって恐ろしいものですなぁ。
テキパキと物語が進んでいき、とても読みやすかったです。
自分の親族の顔を忘れるのも大阪らしいと思いました。

>>867
乙乙。
全体的に無駄がなく、すっきりとしている印象が受けました。
読んだあとに、どこかさっぱりとした感じもありました。
別に小説を書けば、容量が埋まるのは当然のこと。謝る必要はありませんよ。
これからもすばらしい作品を期待しています。

872 :ミルクチョコ ◆.kY34XtGRg :2005/05/10(火) 23:20 ID:???
>>867
すごく面白かったです。
現実の視点からSSを書くというのは斬新ですね。

それと、応援ありがとうございます。
大阪のやつの次回作はできてるんですが多少でかいんで次スレに投下したいと思います。

873 :質問推奨委員長 ◆EIJIovdf8s :2005/05/11(水) 03:08 ID:???
>>867
なんか引き込まれました
現実の世界からの視点だからなのか
感情移入がしやすかったですね
うん、榊さん可愛い

874 :名無しさんちゃうねん :2005/05/12(木) 18:44 ID:???
次スレどうするんですか?

875 :名無しさんちゃうねん :2005/05/12(木) 21:51 ID:???
もう、誰かが次スレ立ててしまって、ここは感想なり寸評なり雑談なりで埋まるのをまっても良いのではないか
そうでないと、長いのスタンバイさせてる人が投下しずらいだろうし。

と、いう意見を述べてみる。

876 :あずまんが王子 ◆N1Y4rpky/o :2005/05/13(金) 19:09 ID:???
まだあと124も残ってますが、ちと早くないですか?
それともこのスレの容量的にそろそろ書き込めなくなるって事ですか?

877 :あずまんが王子 ◆N1Y4rpky/o :2005/05/13(金) 19:10 ID:???
上げてしまった…すみません。ちょこっと下げます。

878 :(ー・∋眠)<.。oO(眠い名有り) ◆4sS6D/pkQc :2005/05/13(金) 20:32 ID:???
>>876
容量:残り6kb
さて、これだけをどうしませう

879 :名無しさんちゃうねん :2005/05/13(金) 21:03 ID:???
無駄遣いできないよな〜

と言いつつ無駄遣いするテスト

880 :穴埋め用でっちあげ短編 :2005/05/13(金) 21:28 ID:???

 数人で楽しげに盛り上がっているところに、通りがかるちよ。

とも「あー、ちよちゃん、いい所に」
ちよ「何話してたんですか?」
とも「うちらで、一番バカなのは誰だって話をしてたんだけど」
ちよ「気にしちゃだめですよー。ともちゃんにも、いい所はいっぱいあるんですから」
とも「…まだ、何も言ってねえよ」



881 :880 :2005/05/13(金) 21:31 ID:???
「穴埋め用」じゃないや。「埋め立て用」の間違い。

882 :あずまんが王子 ◆N1Y4rpky/o :2005/05/13(金) 23:10 ID:???
エ・・と…スレッド立てるには、まずこのスレ立てていいのか相談してみるスレ
に相談して、あとはもう立てちゃうだけでいいんでしょうか?
これで合ってたらそろそろ立てなきゃならんものですし、俺が立てちゃっていいでしょうか?
それとも俺みたいな新人はしゃしゃらないほうがいいんでしょうか・・。
大阪板に数週間来れないとかザラなのでスレ立てといて放棄っぽくなっちゃうし・・。
それでもいいのなら立てちゃいますよ?っつぅか容量重くしてすいません・・。意見キボム。

883 :名無しさんちゃうねん :2005/05/13(金) 23:11 ID:???
>>882
もう立ってるよ

884 :名無しさんちゃうねん :2005/05/13(金) 23:30 ID:???
>>883
え、嘘!? 見つからねえ…URLキボンヌ

885 :あずまんが王子 ◆N1Y4rpky/o :2005/05/13(金) 23:37 ID:???
>>883
俺も・・ちと見つからんっす。

886 :名無しさんちゃうねん :2005/05/13(金) 23:49 ID:???
釣りか?

887 :名無しさんちゃうねん :2005/05/13(金) 23:50 ID:???
すまん勘違いだった

888 :名無しさんちゃうねん :2005/05/13(金) 23:51 ID:???
>>882
新規スレを立てるならともかく、次スレは適当に誰かが宣言して立てて、
前スレにリンク貼ればOKです。
ちゃちゃっと立てて下さい。
スレタイは、あずまんがSSを発表するスレッド パート4 で。

>>883
立ってないようですよ?
少なくともあずまんがSSを発表するスレッド パート4は。

889 :あずまんが王子 ◆N1Y4rpky/o :2005/05/13(金) 23:52 ID:???
・・・で・・どうしましょ。

890 :あずまんが王子 ◆N1Y4rpky/o :2005/05/13(金) 23:53 ID:???
あぁ!かぶった!なんでもない!なんでもないぞぉ!

891 :名無しさんちゃうねん :2005/05/13(金) 23:54 ID:???
>>890
立てて下さい。皆のSSが読みたいよーウワァァン(AA略

892 :あずまんが王子 ◆N1Y4rpky/o :2005/05/14(土) 00:00 ID:???
ラジャー

じゃ立てます。もう"このスレ立てていいのか相談してみるスレ"
に相談しなくてもいいですね?異議はナシ、と。

893 :名無しさんちゃうねん :2005/05/14(土) 00:16 ID:???
誰もいなくなったところでネタ投下

ちよ日記
○月△×日
【6:30】忠吉の吼える声で起床。まだ眠い。顔を洗う。おさげがない。どこに行った?ブラはつけない。私には胸がない。
【6:45】朝食のかわりに牛乳を飲む。胃がタポタポする。イヤになる。「ワンワン!」忠吉の声だ。うるさいんだよ。私はお前の親じゃないただの12歳児なんだよ。「クゥ〜ン」うるせぇんだよこのぞぬが。
【7:45】ダルい登校。外ではうるせぇ猫が榊の手を噛んでいるじゃまだ殺すぞ。
【7:46】「う〜!」榊が悶えている。私にどうしろっていうんだよ。
【7:51】榊救出。神楽がネコを叩いたらしい。うだつの上がらない奴だ。
【8:12】今日は曇りだ。気分が盛り上がらない。早く皆に会いたい。
【8:15】榊がニヤニヤしている
【8:18】登校終了。着席。
【8:20】お腹がすいた。牛乳を飲む。また胃がタポタポする。
【8:32】みんなで談笑。榊のシラけっぷりにみんながいらつく。
【8:40】女教師ゆかり 登場。
【8:41】「出席とるわよ〜まずちよすけ!」 相変わらず元気な奴だ。「はい!」本当はどうでもいい。ショートホームルーム早く終われ。
【9:40】智に殴られる。痛い。今度こいつを呪い殺そう。
【9:41】「ちよちゃん大丈夫!?ともやめろよ!」よみだ。ツッコミがうますぎる。打ち合わせしてたのか?
【9:42】「ちよちゃん〜パンダの本やで!」さようなら、クソボケ漫才コンビ、こんにちはクソボケ知障。榊がニヤニヤしている。
【9:43】「わ〜かわいい!!」ただのお愛想だ。「ちゃうねん、こっちはもっとかわいいで〜」またちゃうねんか、このセリフには飽き飽きしている。
【9:45】休み時間終了。「次英語でしたよね?」格好だけ聞いてみる。
【10:31】ゆかりが来た。「ごめんごめん!今日ゲームの発売日でさ〜!」遅すぎる。帰れ。うだつの上がらない奴だ。
【16:12】帰宅。マヤーがなにか食べている。榊がニヤニヤしてこっちを見ている。いやがらせか?殺すか?
【16:20】マヤーがいると部屋が烏賊臭い。
【16:21】榊の手も烏賊臭い。
【17:19】忠吉がマヤーに食い物を分けて貰っていた。バタコがニヤニヤして見ている。
【22:35】あーまた明日も地獄だ。永眠。

894 :名無しさんちゃうねん :2005/05/14(土) 00:24 ID:???
ちょっと・・・バタコってw

895 :名無しさんちゃうねん :2005/05/14(土) 10:19 ID:???
永眠って……w

896 :(ー・∋眠)<.。oO(眠い名有り) ◆4sS6D/pkQc :2005/05/14(土) 17:46 ID:???
>>893
黒ちよキタ━━━━ヽ(´−`)ノ━━━━
とりあえず乙。

ひょっとして自分でこのスレ終わりですか?

897 :埋めますね :2005/05/14(土) 19:04 ID:???
                   r- 、                    ____
                    \ \                ,..:"~::::::::::::::::::::::":::,,...._
                     \ \_           /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;::\
   \\                ./ ̄|  \         /:::::::::::;:/:\;;:::i∧/:ト、:::::::::;:\
     \\              〔 ̄|__人 }       /;;::::;:::/i/   \:i'r=;;,ヽi:::::::::;;ヽ
      \\             | ̄ |  ∧       i:::::::V;;;ーヽ    i::::::::::::i,`i.'i::::;;;;;::::l
        \\           ヽ ̄)_  \     l::::./i i::::::::::l    'O;;:::ノ .' |;;;;;;;;;i;::i
         \\              \  \    i:::l ` ':O;;:ノ  ,          i;:;:;;;;;;;i;;;i                  次スレやー!
           \\              \  \  i:::i.     _ ...-ー''' i     i;;;;;;;;;;;;i;;i
            \\              \  \ |;;;i..    i .    ;     i;;;;;;;;;;;i;;i
              \\               \ 丿|;i;へ,    \   ノ    ノ i::::;:::i;;;;i
               \\              > /  / \.,    ` -‐   ノ:::::;;i;i;;;i;;;;i
                 \\            くノ  ノ   ~\________ ノ::;:::;:::;::::i;;;;i;;;i
                  \\  _,,:::========:::,,_くノ  ノ   ~\__ ::::::::i::::;::::;:::;:::ノ;;;i
                    ヽ..‐''゙. ` ´ ´、 ゝ   ^<_.       \ :::::::| ;; ;; i:: i: i;;i
                    .‐´      ゙         \::::_.      \/|.;;ノノi;ノ
                   /   \\            \::::_   ヽ V / l;i
       .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´      \\'            |       [l ヽ\
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙       .'       '  \ '           :::.      |\  | \
 ;;;;;;゙゙゙゙゙            /          ' \          .|::::::,         |  />
|::                                       :::          |/人
 ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                         |:::::::.:::        |Y \\
     ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................               ...........|:::::::::::        |.   \  ̄ ヽ
                ゙゙゙゙i;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙|::::::::____,,,,.,,,,,,,,,,,|   人__丿
             ノi|lli; i . .;, 、    .,,            ` ;  | i i i i i i i|
                  /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;   | i i i  i  i i \
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`,,| i  ! i  i  i i  i\
                  ゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili. 。 ;;,,|i;,:,i|liil| i i  i. i  i i i  i ヽ
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