世の中のすべての萌えるを。

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スレッドが大きすぎます。残念ながらこれ以上は書き込めません。

【他作品】クロスオーバー・あずまんがSSスレッド【コラボ】

1 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/09/03(土) 23:44 ID:???
ここはあずまんが×他作品のクロスオーバー作品用スレッドです。
あずまキャラを他の世界観に置き換えたり、また逆も然り。
そんな想像を作品にしてどんどん投下していって下さい。
また〜り楽しんでいただければ幸いです。

★主な注意事項
1.対象範囲は「あずまんが大王」及び、連載中の「よつばと」とします。
2.ここの作品はいわゆる「戦い系」の長編作品を多く含みます。
3.他人の作品に対し罵倒、中傷は絶対にしないでください。
※その他の注意事項は、>>2以降で記載します。

2 :質問推奨委員長 ◆EIJIovdf8s :2005/09/03(土) 23:46 ID:???
お、ゲタ×あず楽しみにしてますよ

3 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/09/03(土) 23:48 ID:???
★このスレッドでの注意事項です
1. 作品の展開・都合により「『あずまんが大王』『よつばと!』のキャラが死亡する」、
 「『あずまんが大王』『よつばと!』キャラの身体・精神が傷つく」
 等の(精神面を含む)暴力的な表現、またグロテスクな描写が出る場合があります。閲覧は自己責任でお願いします。

その様な描写を含む場合、作者は、自身で文章中の暴力・グロ表現の程度を考えた上で、
予め注意書きのテンプレートである

===========================
この作品はグロテスクな表現が含まれています!
閲覧は自己責任で!!!!!
===========================

を投稿する文の一番上に記載する事をお勧めします。
また、単純に殺人・猟奇・グロのみを扱ったSSの投稿は
『グロまんが大王』
ttp://so.la/test/read.cgi/oosaka/1081698529/l50
でお願いします。

2. クロスオーバーなので他の作品との絡みがあります。
   その系統が苦手な方には、申し訳ありませんがあまりお勧め出来ません。

3.エロ、非エロのどちらを書かれても構いません。
  但し、板の性質上、過激なものは避けてください。
  (ソフトなえっち程度ならOKです。)

4.常にsage進行でお願いします。強制下げになっていますが、万一スレが上がってしまった場合は、
  感想などでスレに書き込む際、メール欄に「supersage」と入力してください。

5. 大型AAについては文章スレッドであるので使用しないでください。

6. スレの趣旨に関係のない書き込みはしないでください 。

7.作者さん達はどんなに遅くてもいいので自分で創作した物語を完結させるように頑張ってください。

8.合作・リクエスト等の打ち合わせや、長くなりそうな議論・雑談等は『あずまんがラウンジ』の「SS書きの編集会議室」
  にて行ってください。

9.他のスレ、板、およびHPから、このスレに転載された作品は批評しないでください。

4 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/09/03(土) 23:53 ID:???
主な関連スレッドのリンクです

SS書きの編集会議室 3
http://so.la/test/read.cgi/azuentrance/1117200622/
【あずまんが】SS書きの控え室7
http://so.la/test/read.cgi/oosaka/1115481963/l50
あずまんがSSを発表するスレッド パート4!!
http://so.la/test/read.cgi/oosaka/1115996693/l50
SS書きの控え室@大阪板 SSまとめ
http://azu.qp.land.to/

5 :名無しさんちゃうねん :2005/09/03(土) 23:54 ID:???
ゲッターの続きもここで書いていくのかな

6 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/09/03(土) 23:57 ID:???
>>2
下駄板もよろしくお願いします。
>>5
そのつもりです。
板の方では書く予定は今のところありません。

うpロダです。
修正した作品のまとめサイトへの転載の際にご利用ください。
http://azu.qp.land.to/upload.html

7 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/09/04(日) 00:31 ID:???
>>1
乙です

8 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/09/04(日) 00:34 ID:???
>>1
お疲れ様です

9 :名無しさんちゃうねん :2005/09/04(日) 09:50 ID:???
ちょいとさげさせてもらいますよ。

10 :(ー・∋眠)<.。oO(眠い名有り) ◆4sS6D/pkQc :2005/09/04(日) 10:31 ID:???
>>1
そういえばこのごろ創作板のほうばっかりやってたからなぁ。
そろそろ再開せんとだめか。

11 :名無しさんちゃうねん :2005/09/04(日) 17:29 ID:???
ミルクさんは?
氏はどうするんだろう?

12 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/09/04(日) 22:10 ID:???
沈下作業・・・っと。
前スレ、という言い方は変ですが、控え室も次スレを建てるのですか?

13 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/09/04(日) 22:14 ID:???
>>12
10以下まで沈めてからUPした方がいいですか?
それ7の方で話が出てるからそちらで話した方がいいと思います

http://so.la/test/read.cgi/oosaka/1115481963/464-473
とりあえずここからの続きです。

14 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/09/04(日) 22:22 ID:???
>>13
沈下しつつ投下、というのでいいと思いますよ

15 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/09/04(日) 22:25 ID:???
>>14
分かりました

16 :第57話 「いつか見た未来」 :2005/09/04(日) 22:29 ID:???
「初めてレイに変身した時もレイの力を取り戻せた時も考える事は一緒だった。
私は大好きなみんなを守りたいって気持ちが私の背中を押した。あの時、
自分を取り戻せたのはよつばちゃんや恵那ちゃん、みうらちゃんのおかげだと思ってる。
それに他のみんなからもらった優しさと強さと勇気に私は支えられた。本当にありがとう」
いつになく饒舌な榊。こういった事は普段は中々話せないせいもあるだろう。

「お礼なんてそんな。あたしはそんな大した事してないよ。それよりも
あたしは知りたい。どうしたらやよい達のようになれるのかって?
あたしはセイバーと一緒になったけど、どう振舞ったらいいか分からないまま戦っている。
どうしたらそんなに無敵の強さを持てるのかって」
「それは私が出すべき答えじゃないよ。よつばちゃんが自分自身で出さなきゃ
いけない答えだよ」
よつばの肩に手を置いて榊は言った。

「自分自身で出す答え・・・・・・」
よつばはその言葉を胸の奥へとしまっていく。だが、そんな時、警報アラームが鳴った。

「作戦室に行ってみよう」
「うん」
よつばと榊は急いで作戦室に急行する。彼女達が作戦室に入ると、
メインモニターには新たな怪獣が姿を現していた。

「グラムド!!」
そうそれはかつて榊達HOLYとウルトラマンジャスティスが戦った敵グラムドだった。
黒い鱗に羽とまるでドラゴンを連想させるそれは口から火炎を吐いて街を破壊する。
しかし以前にはなかった第3の目が額に加わっていた。
恐らく何者かによって改造されたのだろう。

「東京のお台場にてグラムドが出現!」
「もしかしたらメタモリア星人の仕業かもしれないわね」
澪がメインモニターで状況を確認する。恵那は先程のメタモリア星人の言葉を思い出していた。

「データが出たよ。以前現れたグラムドを再生させて強化しているのがわかった。
多分弱点も克服されていると思う」
紗奈がグラムドUのデータリンクを終える。その間にもグラムドは建物を破壊している。

「こうしちゃいられないわ!全員出撃!!」
「了解!」
「私も参加させてほしい。一緒に守りたいんだ!」
「分かりました!ではよつばちゃんと一緒に出撃してください!」
「ありがとう」
恵那に向かって榊はお礼を言った。

17 :第57話 「いつか見た未来」 :2005/09/04(日) 22:31 ID:???
「クリムゾンフレア出るよ〜」
「こっちも準備OK!」
「いつでもいけます!」
クリムゾンフレアにはみるちー、ゆか、あずさの三人が乗っている。

「ホワイトトルネード出るぜ〜!」
みうらはホワイトトルネードに搭乗している。

「ブルーエクレール出ます!」
「ブラックシャギア〜行くぞ〜!」
榊はよつばの後ろに乗る形となる。

「現場に到着!これよりグラムドに攻撃を開始します!」
「了解!先陣はあたしが行くよ!」
まず、みうらがグラムドUに威嚇射撃をして、牽制する。
するとグラムドUはみうらのホワイトトルネードを追いかける。

「行こう、みるちー、あずさちゃん」
「了解しました。分離して攻撃しましょう!」
「よっし、分離!!」
淡々と喋るゆっきーの妹あずさ。クリムゾンフレアはレッドファルコン同様、分離が出来るのだ。
1号機にあずさ、2号機にみるちー、3号機にゆかが乗っている。
三人はトライアングルフォーメションで背後からレーザーで攻撃を開始する。
くらったグラムドUだが、それを無視してホワイトトルネードを追いかける。

「やばい!追いつかれる!!」
「させないわ!えい!」
恵那が両者の間に割って入って、ミサイル攻撃をする。グラムドUは
額にくらった影響で多少飛行バランスを崩すが、なおも飛んでくる。
そして新たに加わった第3の眼から怪光線を発射する。

「うわ、あぶねぇ!」
2機ともギリギリでかわした。後を追う三機も目からの怪光線で寄せ付けない。

「えな!みうら!やよい」
「うん、二人を助けよう!」
地上からレーザーを発射する二人だったが、あまり聞いておらず
急降下しながらの火炎攻撃にさらされる。
二人はその衝撃でブラックシャギアから落とされてしまう。

18 :第57話 「いつか見た未来」 :2005/09/04(日) 22:33 ID:???
「大丈夫、よつばちゃん!」
「うん、平気」
榊は素早い身のこなしで、よつばはよく分からないうちに窮地を脱していた。
だがグラムドUはしつこくみうらや恵那を追いかける。

「しつこい奴だな」
「このままだといつかは捕まってしまうわね」
それを見て、よつばはスターフラッシュを取り出す。

「よつばちゃん」
「行ってくるよやよい!やよい達が守った世界を今度はあたしが守ってみせる!セイバー!!」
よつばはスターフラッシュを胸につけて変身する。見る見るうちによつばからウルトラマンセイバーへと
変化していき、そして巨大化していった。

「きゃっ!」
「しまった!」
ついに恵那とみうらが捕まってしまった。だがそこにセイバーが空に
飛び上がり下からグラムドUの腹を殴る。グラムドUはそれをくらってそのまま落下していく。

「セイバー!ありがとう!」
「よし、これで体制を立て直せる!!」
恵那とみうらは機体を持ち直す。落下したグラムドUは地面に叩きつけられるが、
すぐに起き上がる。

「はぁぁぁ、デュワッ!」
セイバーは上空から楔状の光線を放った。ウルトラショットである。
しかし、グラムドUはそれを火炎で吹き消す。

「せいやぁ!」
セイバーはそのまま急降下して両腕のパンチ攻撃を叩き込む。グラムドUは後ろに倒れこんだ。
さらにグラムドUは目から怪光線を発射するが、セイバーはそれを側転してかわす。
そこにグラムドUが突進してきた為にセイバーは後ろに仰向けに倒される。
今度は空を飛んで襲い掛かってくるグラムドUだが、セイバーはしゃがみこんでやり過ごす祭にボディにパンチを入れる。
これによってグラムドUは地面に再び体を打ち付ける。

「やっちゃえ、セイバー!」
「これならいけるかも」
「油断は禁物です!」
はしゃぐみるちーとゆかと対照的に警戒するあずさ。

19 :第57話 「いつか見た未来」 :2005/09/04(日) 22:36 ID:???
「恵那ちゃん!そっちに宇宙人反応が出てるよ!」
「多分メタモリア星人だよ。気をつけて」
澪と紗奈が警告を発する。

「分かったわ、ありがとう」
「グラムド相手にここまでやるとはな、やるではないか。ウルトラマンセイバー」
突如挟み撃ちにする形でメタモリア星人がその姿を現した。

『かつてジャスティスによって倒されたグラムドを復活させたのはお前だな』
セイバーが喋る。どうやら彼もまたよつばとは違う人格を持っているようだ。

「その通りだ。ウルトラマンセイバー、いかに貴様が強くても私とグラムドの
前では無力だ。かつて地球を守ったウルトラ戦士達はもうこの地球にはいない。
すなわち貴様を倒しさえすればこの地球は我々のものとなるのだ」
『そんな事はさせん!お前達を倒してみせる!!』
「出来るかな?それが貴様に。ふん!」
メタモリア星人はいきなりダッシュして襲い掛かってきた。その見た目どおりスピーディな動きをする。
セイバーはメタモリア星人のパンチ攻撃を見切ってかわし、その腕を取って投げ飛ばした。

「こしゃくな!」
メタモリア星人はセイバーの足をかけて転ばせる。転んだ所にグラムドUが
のしかかろうとするが、セイバーはギリギリでそれをかわす。
グラムドUは地面に体を再び叩きつける事になった。
のしかかろうとするセイバーに対してメタモリア星人が横から蹴飛ばしてきた。

「セイバーを援護するわよ!」
「了解!」
「私も行く!」
恵那の指示で攻撃を再開する。恵那、みうらがグラムドU、榊とクリムゾンフレアに
乗る三人はメタモリア星人に攻撃する。

セイバーはグラムドUのドリル攻撃をグランセイバーで破壊する。
さらにメタモリア星人を蹴り飛ばし間合いを開く。

「くっくっくっくっ。さすがはウルトラマンセイバー。思ってた以上の強さだ。
だが、これならどうかな?ラスヴェート!!」
メタモリア星人の目が光る。すると何と死んだはずのラスヴェートが
ビットを連れてここに現れたのだ

20 :第57話 「いつか見た未来」 :2005/09/04(日) 22:38 ID:???
「そんな!ラスヴェートは私達が倒したはずだろ?何で!?」
「驚くのはまだ早いぞ。ラスヴェート、私の一部となれ!!」
するとラスヴェート及びビットがメタモリア星人に吸い寄せられてやがて一つの存在となった。
紫色アーマーを装着して、胸部にはミサイル発射装置が取り付けられている。

「メタモリア星人のバトルアビリティが一気に増大したわ!」
「ラスヴェートを取り込むなんて・・・・・・」
澪と紗奈は表示されたメタモリア星人の数値の上昇に驚く。

「こんな宇宙人、今まで私が見た中ではいなかった」
榊にとっても初めて見る宇宙人だった。

「何かこんな風に吸収して強くなる奴、昔の漫画でいなかった?」
「確かいたような気がする」
「それが現実となった訳ですね」
みるちーとゆかとあずさも愕然となる。

「これが私の能力だ!私はこうして他者を取り込む事でいくらでも変型できるのだ。
それはセイバー、貴様も例外ではない。貴様を私の一部としてくれる。無敵の強さを手にする為にな」
メタモリア星人がダッシュしてくる。迎え撃とうとしたセイバーだが、
何とメタモリア星人は目にも止まらぬスピードでセイバーにパンチをかわし、
後ろに回りこみ、セイバーを殴り飛ばした。

「ぐはっ!」
セイバーは海面に叩きつけられた。追撃しようとするメタモリア星人の蹴りを
ガードするものの、今度はグラムドUが黒煙を吐き出してきた。

「うっ!ごほぉ!」
それをくらったセイバーは喉をおさえて苦しみ出す。どうやら今回のはジャスティスの時と違い、
猛毒となっていたようだ。そこに第3の目からの怪光線が襲い掛かりセイバーに直撃する。

「ぐふっ」
セイバーのカラータイマーが点滅を始める。そこにメタモリア星人がストンピングをしてくる。
三回程、踏まれた後にセイバーはメタモリア星人の足を掴んで投げ飛ばす。

「デュワッ!」
今度はグラムドUに向き直って攻撃しようとするが、グラムドUに逆に蹴飛ばされてしまう。

「セイバー!!」
すかさず恵那達が援護する。少しのけぞるグラムドUとメタモリア星人。

21 :第57話 「いつか見た未来」 :2005/09/04(日) 22:40 ID:???
「こざかしい奴等め!」
メタモリア星人は胸部から無数のミサイルを発射する。これに恵那の乗る
ブルーエクレールとみうらの乗るホワイトトルネードの機体に当った。

「きゃっ!」
「まずい!恵那脱出するぞ!!」
「分かったわ!!」
恵那とみうらは緊急脱出する。クリムゾンフレアの三人はかろうじてかわした。

「死ねセイバー!!」
グラムドUの怪光線とメタモリア星人のミサイルがセイバーを襲う。
セイバーは再び地面に叩きつけられる。なおも二体の猛攻にさらされるセイバー。
榊も地上から援護するが、メタモリア星人も目から光線を発射してきた。
その為、榊も吹き飛ばされてしまう。だが、その時榊はある事に気づいた。
何とシャインリングが指にはめこまれているのだ。

「ここが本当に未来なのかどうか分からない。それでも私はここを守りたい!
恵那ちゃんを、みうらちゃんを、よつばちゃんを、みんなを!!」
榊が叫ぶ。するとシャインリングが青く輝きだす。今やセイバーのエネルギーは尽きようとしていた。
恵那やみうらも必死で応戦する。

『弥生、彼を、セイバーを助けるぞ!』
「レイ!でもどうして・・・・・・・今までレイを感じられなかったのに」
『私にもわからない。だが、今はこうして感じられる。彼女を、セイバーを助けるぞ!』
「うん。レイ!!」
シャインリングからまばゆいばかりの光が発せられ、それが榊の体を包み込む。
青い光は上空高く浮かび上がる。そして一人の巨人となる。

「あれは・・・・・・・ウルトラマンレイ!!」
「懐かしいね。私達が小さかった頃、地球を救ってくれたウルトラマンの一人だったよね」
その姿を見た澪や紗奈はそうこぼした。

「レイが出てきたって事は弥生がまた変身したのか」
「そうみたいだね。またこうしてレイの姿が見れるなんて思わなかった」
みうらも恵那も昔の事を思い出していた。

「奇跡が起こったのかな?」
「かもしれない」
「まるで始めてレイが姿を現したガロン・リットルの時みたいですね」
やや興奮気味に言うみるちーとゆかだけでなくあずさもやや興奮気味だ。

22 :第57話 「いつか見た未来」 :2005/09/04(日) 22:43 ID:???
「えいやぁ!」
レイはセイバーを攻撃していた二体に突進していく。まずグラムドUの羽を掴んで
そのまま地面に叩きつける。

「何故だ!?何故貴様がここに現れる!?」
そう言いつつミサイル攻撃をしてくるメタモリア星人だが、レイはその攻撃を
すべて弾き返し、メタモリア星人にバックドロップをくらわせる。

『強き思いが私をここに引き寄せたのだ!大丈夫か?セイバー』
レイはセイバーに向き直り、セイバーを助け起こす。

『あなたはウルトラマンレイ!伝説の戦士であるあなたとこうして会えるとは。
あなたがいれば百人力だ』
『では一緒にあのグラムドUとメタモリア星人を倒そう』
『はい!』
セイバーとレイはそれぞれの相手へと向かっていく。セイバーはメタモリア星人へ、
レイはグラムドUへと。

「皆さん、私達も続きますよ!」
「わかってらい!」
全員了解の合図を送るTEAM HOLY ZWEIの面々。

「デュッ!」
「エイヤっ!」
セイバーはメタモリア星人にダッシュして近づき、ラリアート攻撃で地面に引き倒す。
レイはグラムドUが尻尾で攻撃してきたが、逆にそれを掴んでドラゴンスクリューの
要領できりもみ回転させて倒す。
メタモリア星人のミサイル攻撃をかわして、セイバーはレイの方へ投げ、
レイはグラムドUの目からのの怪光線をそれをジャンプしてかわして
後ろに回りこんでセイバーの方へ蹴り飛ばす。それぞれの相手が変わった。

「今更貴様が復活したところでどうにもなるまい!老兵は黙って朽ちていけばいいものを愚かな!」
メタモリア星人はレイを見て嘲笑する。そして今度はラスヴェートが持っていた
ビームライフルで攻撃してくる。直撃して吹き飛ばされるレイ。

「うおおおおお!」
「ぐはっ!」
そしてセイバーの方も第3の眼の光線と火炎の複合攻撃に苦しめられる。
レイはメタモリア星人に投げ飛ばされ、セイバーはグラムドUの空中奇襲攻撃に苦しめられる。
だが、そんな彼等の窮地をTEAM HOLY ZWEIの面々が助ける。
そして澪と紗奈がそれぞれ二体の弱点を見つける。

23 :第57話 「いつか見た未来」 :2005/09/04(日) 22:45 ID:???
「グラムドUの弱点は新しく出来た第3の眼だよ!そこを狙って!!」
「メタモリア星人は額の部分がそうだよ!」
澪がグラムドUの、紗奈がメタモリア星人の弱点を伝える。

「ありがとう、澪ちゃん、紗奈ちゃん!じゃあ、行こうかみうらちゃん!」
「行こう、恵那!」
そうして彼女達はメタモリア星人の方へと向かっていく。

「私達はグラムドの方を行こう!」
「うん!」
「では私が牽制します!その間にお二人はグラムドの弱点を攻撃して下さい!」
まずあずさが、グラムドの喉に向かってミサイルを叩き込む。セイバーはそれを見て
グラムドUの攻撃をかわして後ろに回りこみ、グラムドUを後ろから押さえつける。

「行くよゆか!」
「うん!ツインビーム発射!!」
みるちーとゆかの乗る一号機と二号機のビーム砲が組み合わさり、ひとつとなって
グラムドUの第3の眼に直撃する。悲鳴をあげ、眼を押さえるグラムドU。

「これでもくらえ!」
みうらは持っていた何かを投げ付けた。それはメタモリア星人の胸部にあたる。
そして一瞬動きが止まる。
それはかつて滝野智が使用していたレイストームだった。意図を察したレイは後ろから星人を締め上げる。

「えい!」
恵那の放ったレーザーがメタモリア星人の額に直撃する。

「がふあああああ!」
メタモリア星人は額を押さえてのたうち回る。

「ドラァッ!!」
グラムドUの体を持ち上げ、放り投げるセイバー。追撃を入れるクリムゾンフレアの
三機と連携が取れている。

「えやあああ!」
レイはメタモリア星人をジャアイントスイングで投げ飛ばす。こちらもすかさず
恵那とみうらが追撃を入れるといった抜群の連携プレーだ。
そしてセイバーとレイは互いに顔を見合わせて頷き合う。

24 :第57話 「いつか見た未来」 :2005/09/04(日) 22:47 ID:???
「だあぁっ!」
レイとセイバーは互いに側転しながら相手に蹴りを入れる。二体は大きく後ろに吹き飛ばされる。
そして二人は光線の発射ポーズを取る。

「おおおおおお、えいやぁ!」
レイは腕をL字型に組んで発射するレイバーストショットを、セイバーは腕を十字に組んで発射する光線
(ただし手の位置はシェイドと違い左右逆)『ライトニングストリーム』をそれぞれ放つ。
くらったグラムドUとメタモリア星人は粉々になって吹き飛んだ。

「やったね!みうらちゃん!」
「ああ、やったよ恵那!」
恵那とみうらは抱き合って喜び合う。

「何とか勝てたね」
「レイとセイバーと私達が頑張ったからかも」
と澪と紗奈も握手していた。みるちー、ゆか、あずさも互いに手を振り合っていた。

『ありがとうレイ。あなたのおかげで敵を倒す事が出来た』
『私だけではない。セイバーとTEAM HOLY ZWEIが力を合わせたからこそだ』
レイとセイバーはがっちりと握手している。

「シュワッ!」
二人のウルトラマンは空へと飛び立っていく。そしてよつばと榊の姿へと戻る。

「やよいありがとう。でもこうして一緒に戦えたなんてすっごい感激した!」
「そんなに言われると少し照れる」
榊が照れくさそうに言った。その時、またも異変が起きた。榊の服が元に戻っていたのだ。
HOLYの隊員服になっていたのだ。そんな所に恵那達が駆け寄ってきた。

「よつばちゃーん。弥生さーん。大丈夫〜?」
恵那が大きな声を張り上げてこちらにやってくる。

「みんな、大丈夫だぞ!」
「うん、この通り」
「あ〜やよい!HOLYの制服着てる〜!懐かしいなぁ!」
みうらがその服を見て言った。

「何だかこうしてるとかつてのHOLYと今のHOLYが一緒になったみたいだね」
「私達、この制服を着た人達に守られていたんだよね」
「かなめ姉さんと一緒に戦った人達・・・・・・・・」
そんな時、榊の体が急に光だし、段々と薄れていく。

25 :第57話 「いつか見た未来」 :2005/09/04(日) 22:49 ID:???
「どうしたんだろう弥生さん?」
「多分、帰るんだと思う。元の世界に」
それをモニター上で確認する澪と紗奈。

「やよい、もう帰っちゃうの?」
「多分ね」
よつばのどこか悲しそうな表情に榊は少し困った顔をして答えた。

「残念だな。弥生がいれば心強いのに」
「そういう訳にも行かないでしょ。こっちの世界の弥生さんがいるのにやっぱり
過去の世界の弥生さんがここに居続けるのは」
「そうだけどさ」
みうらは少しふてくされたように顔を背ける。

「それと弥生さん。未来は一つだけじゃありません。ここに来たからって
これが決定した未来じゃないんです。これはその中の一つにしか過ぎません。
それだけは忘れないで下さいね」
「うん、分かったよ」
恵那からの言葉を榊は笑って頷いた。そして榊の姿はもうほとんど透明に近くなっていた。

「さようならみんな。頑張ってね」
「さようなら、弥生さん」
「バイバイ、弥生」
「ちよちゃんの事よろしくお願いします」
「少しの間だったけど、一緒に行動できて良かったです」
「かなめ姉さん達が一目置いた理由が分かりました。さよなら」
恵那、みうら、みるちー、ゆか、あずさの順に手を振る。

「ありがとう弥生さん。そしてさようなら」
「彪乃姉さんが目標にしていた弥生さん。私もいつかあなたみたいになれるように努力します」
モニター上から手を振る澪と、静かに目標を語る紗奈。そんな二人にも榊は笑って答えた。
最後によつばと目が合った。榊はシャインリング、よつばはスターフラッシュを見せ合って笑う。

(よつばちゃん、大変かもしれないけど、恵那ちゃん達と力を合わせればきっと
どんな敵が来ても大丈夫だよ。私もそうだから)
(おう、やよい!がんばるぞー。またな〜)
そして榊の姿は完全にこの世界から消えた。

26 :第57話 「いつか見た未来」 :2005/09/04(日) 22:50 ID:???
「行っちゃったね」
「何だよ、もう終わったのかよ。折角出撃しようかと思ったのに」
それは恵那の通信機から発せられた。そしてそこにいたのは一人の青年だった。
だがその青年はTEAM FLAMEそっくりの服を着ていた。

「京介さん!」
そうそれは相田京子の弟相田京介だった。

「おいおいその呼び方やめてくれよ。今はTEAM FLAMEの隊長だぜ!
しかし残念だな〜折角弥生さんに会えるチャンスだったのに」
「お姉さんの後を継いだのよね。でも私達から見れば京介君だよ」
「そうそう。相変わらず京介君は弥生さんに弱いのね」
みるちーとゆかが冷やかして京介は「うっさい!」と言ってそっぽ向いた。皆から笑いがこぼれた。
その後ろには彼の親友の工藤、そして青森七瀬らしき姿があった。そして上野英次の息子らしき姿も。

「榊さん!榊さん!」
誰かに呼ばれて榊は目を覚ました。そこにはいつものメンバーが心配そうに顔を覗かせていた。

「ここは?」
「良かった!気が付いたんですね!」
ちよが安堵の表情を浮かべる。

「私は一体・・・・・・・」
「機体が墜落した時はもうダメかと思ったよ。生きてて本当に良かった!」
「そうだ、あのワームホールは?」
「ああ、あれか。すぐに閉じたよ。榊が落ちてからわりとすぐに」
「え?」
神楽の発言に榊は思わず言葉に出して言った。

「弥生ちゃん、心配したで〜」
歩も少し泣きそうになっている。この様子だとジャスティスと一体化
している彼女ですら知らないだろう。

「でも榊ちゃんって悪運強いよな〜まるでウルトラマンみたいだ」
深い意味はないのだろうが、智の言葉にビクっとなる。

「おいおい冗談言うなって」
と暦がありえないというふうに手を横に振る。しかし榊は先程までの出来事が気になってうわの空だった。

「どうしたんですか榊さん?」
「何だか浮かない顔してますけど」
「え?いや何でもない」
かおりんと千尋にそれを指摘され、慌てて榊は何でもないふうに振舞う。

27 :第57話 「いつか見た未来」 :2005/09/04(日) 22:55 ID:???
「あら?お出かけ?」
「うん、ちょっと」
「行ってらっしゃい」
数日後、弥生はかつてレイの力を取り戻すきっかけとなった公園へと足を運ぶ。
出かける祭に久瀬怜香に挨拶をしつつ。マヤーも一緒だ。
特にあてがあった訳ではない。足が自然とそちらに向いたのだ。

(あれは私の見た夢?それとも本当の未来?)
『未来は一つだけじゃありません。それだけは忘れないで下さいね』
(未来は一つじゃないか・・・・・・)
未来で出会った恵那の言葉が思い出される。彼女は公園のベンチに座って、
その事を思い出していた。TEAM HOLY ZWEIやセイバーの事を・・・・・・・

「あっやよいだ〜やよい〜」
誰かが自分を呼ぶ声がする。そこにいたのはよつばだった。榊が見た未来ではウルトラマンセイバーへと
変身する人間となる。後ろには恵那やみうらもいる。

「あっ、お久し振りです〜。モーグの時以来でしたっけ」
「そっか。そんなに経つんだ」
「久し振り恵那ちゃん、みうらちゃん、よつばちゃん」
「な〜、また遊ぼう。今度はサッカーしよう」
「でも人数が」
「10人いりゃ十分しょ」
よつばが榊の手を引っ張っていった。
そして今度はみるちーやゆか、紗奈や澪、京介、工藤もここにやってきた。

「私達も来ちゃいました」
「彪乃お姉ちゃんが遊んで来いって」
「何で俺まで付き合わなきゃいけないんだよ、先輩」
「文句言わないの!誘ってあげてるんだから」
「そうだよ京介君!」
「ぶっちゃけ俺スポーツ苦手ッス」
不満タラタラの京介をみるちーとゆかが諌めるといういつもの光景が展開される。
工藤も付き合わされたらしく眠そうな目をしている。
そして5対5でサッカーをする事になった。

「たのしいな〜やよい〜」
「うん、楽しいねよつばちゃん」
(未来は一つじゃない。でもなるべくならこの子達が戦う事のない未来がいいな)
心の中で榊はそうなる事を願っていた。
第57話  終           第58話へ続く

28 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/09/04(日) 23:08 ID:???
次 回 予 告
地球に向かって惑星アルゴルが衝突する!
それを知ったHOLYの面々はこれを撃墜しようと乗り出すが、
その裏にアルゴルの支配者ガルザードが暗躍する。

「撃てるものなら撃ってみるがいい!ふははははは!」
「地球もアルゴルも救ってみせます!」
この事態にV7もムーンキャッスルの面々も協力する。

次回 ウルトラマンジャスティス
第58話 「震える宇宙」
「僕達が動くのにはちょうどいい」
そしてTEAM GENESIS隊長も動きだす。

29 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/09/04(日) 23:12 ID:???
なんつーか成長後のよつば達が全く想像つかなかったので何とも言えない
出来になってしまいました。
劇中で恵那も言っている通り、セイバー絡みは未来のうちのひとつって事で。
本当はTEAM FLAMEも攻撃に参加する予定だったのですが、しんどかったんでカットしました。

劇中のラスヴェートは機動新世紀ガンダムXのモビルスーツの一種で
名前とビットの設定はそのまま、メタモリア星人は名前の通り変身・変型を
意味するメタモルフォーゼ、もしくはメタモルフォーシスと何の捻りもありません。

30 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/09/05(月) 01:20 ID:???
予告間違い。
アルゴルじゃなくてモタビアだったorz
アルゴルはシェイドの方だ。

31 :ONE WEEK(168HOUR) :2005/09/05(月) 05:25 ID:???
>>251-254(8月3日)
>>379-382(8月4日0000〜0600)
http://so.la/test/read.cgi/oosaka/1115481963/408-413(8月4日0700〜1200)

1300・新潟県新潟市大河内総研本社
国防政策諮問委員会、民間や学会から国防・防衛政策を提案する防衛庁の諮問委員会である。その委員であり委員長を兼任する大橋慎平は一週間後の会議に向けて資料を読んでいた。

「失礼します。」
大橋理事長の腹心であり、わが国の国防政策や東アジアの軍事情勢に詳しいアナリストの三浦と、同じくアメリカの国防政策とロシアの国防政策に詳しいアナリストの村田が執務室に入ってきた。
「まあ、かけてください。呼んだ理由は分かりますね?」
「来週の国防政策諮問委員会の件ですね?」
「この状況が悪化した場合、対露・対米関係が主な議題に上ることは必死です。外務省・防衛庁・情報機関から刻々と情報は入ってきていますが、このままでは我々は62年のキューバ危機やチキン・ゲームに突入しかねません。」

「私はそうならないと思いますね。」
スタバの新潟マグに入ったコーヒーを飲みながら村田が言った。
「ロシアとしてみても、北方領土関係を除けば我々との関係は良好です。現に情報機関の情報を分析してみたら、極東軍および太平洋艦隊に主だった変化はありませんからね。」
「私も同感です。中国・韓国のカウンターパートとの情報を総合してみても、ロシア軍に主だった情勢の変化は見受けられません。」
「問題はそこではありません。現在のわが国の国防政策の根幹を揺るがす事態です。その点では76年のミグ25亡命事件に等しい事態です。わが国の防空システムに欠陥があったとは思えない事態ですからね。」
「確かにそうですが、空自の情報では海水面ぎりぎりの超低空で飛行したらしいですから・・・分かりますよね?」
「レーダーはその性質上、ある一定度の高度以下の飛行物体はキャッチすることが出来ない。特に防空レーダーはな。そうですね?三浦さん?」
「そうです。B−767AWACSもレーダーサイトもキャッチできませんでした。」

「やっぱりあれですか?B−8ジョイントスターズでも導入しないとダメですかね?」
「理事長、我々の国防政策の根幹は『専守防衛』ですからね。北朝鮮や湾岸、中東で戦争を行うなら話は別ですが・・・」
「で、諮問委員会ではどういえばいいと思いますかな?」
「私はこう考えています。現状の国防政策は基本的に堅持すべきです。陸・海・空各自衛隊の充足率は人員・装備・施設を含めて90%を越えております。
また、巨大生物対策を含めて首都圏・近畿圏・中京圏の各部隊への装備・訓練も良好です。」
「僕もそう思うね。村田君。」
そう言って理事長は笑った。
「ではこの方針で行こうではないかね?」

32 :ONE WEEK(168HOUR) :2005/09/05(月) 05:29 ID:???
1400・東京都千代田区永田町・首相官邸内危機管理センター(ホーム)

「では、緊急のEXCOM Jを開催する。」慎吾の厳かな声が響き、会議が始まった。
「この数時間での変化を報告してもらいたい。まずは外務省から。」
「はい。モスクワの大使館ベースでの報告ですが、ロシア外務省・国防省は正式に組織立っての関与を否定してきました。」
重田外務長官が報告した。
「モスクワのパニック・ルームの報告でも同じですね。FSBなどの情報機関との協議でも同じです。」
河原端NIC長官が同様の報告をした。
「ウム・・・やはりか。僕もそう考えていたよ。ロシア政府が正式にわが国を攻撃する理由は無いのだからな。で、貴殿らの見解は?」
「よろしいですか?爆破事件と同時刻に近畿圏の某所で不振な電波をキャッチしております。」
岡田ICSA通信傍受局長が報告した。
「興味深い情報ですね。詳細を。」
「分かりました。我々ICSAは予てより近畿圏・北九州圏などとある組織の強いところで電波を収集し予防行動を行っております。
その過程で我々の関西ステーションが爆破事件の前後、不振な電波をキャッチしたのです。その詳細は・・・」
そう言って岡田はICレコーダーのスイッチを入れた。

「・・・目標はチャプスティック。目標はチャプスティック・・・」
「爆破事件後です。」
「・・・目標は爆破された。繰り返す、目標は爆破された。」
「なかなか興味深いですね。ICSAのキャッチする周波数だと民間のものはありえませんからな。」
柳田内閣調査部長が興味深そうに頷いた。
「まったくだな。で、岡田君。君はどう考える?」
「私の見解ですか?私はあの組織だと思いますね。」
「松浦警備局長、君の見解は?」
「私も岡田局長の見解と同様ですね。私もその情報を知っておりますが、その段階からすでに公安関係に調査を命じております。」
「で、どうなのですか?」佐々木補佐官が非常に興味を持って質問を投げかけた。
「我々の調査にぬかりはありません。」


同時刻・東京都武蔵野市吉祥寺
そのスタバは東急百貨店吉祥寺店のまん前にあった。その店の二階のカウンター席で一人の青年がマンゴーシトラスフラペチーノを飲んでいた。
彼の目の前には書類があり、それを眺めながらである。
「ここ、よろしいですか?」一人の少女が彼にそう尋ねた。
「どうぞ、構いません。」そう言って少女は本日のコーヒーを持って腰を下ろした。
少し経ってから彼の携帯がユーミンの「中央フリーウェイ」を奏でた。

「はいそうです。ええ、ええ、綾瀬風香嬢。住所は・・・ええ、ええ。分かりました。」
そう言って彼は電話を切った。
「あのう・・・あたしに何か用ですか?」
隣に座っていた少女がその青年に声をかけた。
「綾瀬風香さんですか?私、こういう者です。」
そう言って差し出された名刺にはこう書かれていた。「PTCO 西條俊之」と・・・
「飲み終わりました?ではご一緒にお願いできますか?」
そう言って風香と西條は東急百貨店の地下駐車場へと向かい、止めてあった彼の乗用車である日産・フーガに乗り込んだ。
そのとき、一人の男が運転席に乗り込み後部座席に風香と西條が乗り込んだ。
「こ、これって・・・誘拐?!」
「ご安心ください。誘拐ではありません。出してください。」
そういうと車は地上へと出て、五日市街道を一路西へと向かって走り出した。

33 :ONE WEEK(168HOUR) :2005/09/05(月) 05:33 ID:???
同時刻・東京都千代田区永田町・首相官邸危機管理センター(ホーム)

「ですから問題はこの件を発表するか否かをまず決定することです!」
国家公安委員会政策担当副長官補の佐野信子が声を上げて主張した。
「佐野さん、その件だが非常にデリケートな問題だ。」
官邸でマスコミ対策を担当する官房主席副長官の津山吉正が言った。

「怪獣とウルトラマンが直接ぶつかり合う、HOLYやFLEAMが直接ぶつかり合うものを正規軍どう品ぶつかり合う従来の戦争と規定した場合、
我々がこれからやろうとしているのは第二次大戦の中国共産党やユーゴ・ソ連共産党のパルチザン、ベトナム戦争時のベトミン・ベトコン、ソ連のアフガン侵攻の際のムジャヒディンに近い戦闘になる。
もっと言えばですね、我々にとってのこれはテロとの戦いなのです。もはや戦争です。」
「津山副長官の言はごもっともですが、国民全般にこの戦争に意義と大儀、さらには非常時への備えを喚起する上でも公表すべきでしょう。」
NCCA副長官村越武則が提案した。ちなみに今行っている会議は各省庁間を衛星通信や光ファイバー回線で結んでいるTV会議方式である。
出席者はほとんどがビジネススタイルである。首相以下のメンバーは無論クールビズ、自衛官は全員制服を着用している。

「統幕議長、この戦争に対する自衛隊の基本的な考え方を伺いたい。」
「非正規戦、これをLICなどとも言いますがこのための戦闘を想定する形で我が自衛隊は兼ねてより部隊育成に力を注いできました。陸自の7個旅団に3個空挺団、直轄部隊を投入できます。自衛隊の備えは万全です。」
「委員長、警察庁長官。警察の備えは?」
「各都道府県警の重装備部隊を投入できますが、防衛庁と違って我々は普段の警備活動がありますので主力は自衛隊になると思います。」
長谷川長官が言ったその内容に慎吾はいささか驚いた。
「長谷川長官、私は自衛隊と警察の関係はもう少し緊張感あるものだと考えてきたが・・・」
「しかしながらそんなことを言っていられる情勢下にはもうありません。自然災害に周辺各国の安全保障環境の変化、大規模テロの危険性など危険がいっぱいです。
そのような情勢下で情報機関同士や自衛隊との関係を悪化させるのは国家にいらぬ損害を及ぼしかねません。」
「私も同意見だ。」
長谷川のこの言葉にTVスクリーンの向こうの河原端NIC・栗宮ICSA・大塚防衛庁の各長官と副長官以下の高級スタッフは頷いていた。
「で、具体策だがどのように行う?問題はそこだ。」
慎一郎が議題を前に進めた。

34 :ONE WEEK(168HOUR) :2005/09/05(月) 05:33 ID:???
同時刻・五日市街道
「私をどこに連れて行くんですか?」
風香は不安になって西条に尋ねた。
「いまに分かります。」
フーガは五日市街道から国道16号線に入り右手に見えてきたある施設に入った。
「IDカードを見せてください。」
日本人警備員がIDカードの提出を求めた。運転手がIDカードを見せると車はすんなりとその施設内に入った。
「ここは?」
「在日米軍司令部・在日米空軍司令部・空自航空総隊防空指揮所のある横田基地ですよ。」
車はランウェイを突っ切ってある施設の前で停まった。
「さあ、行きましょうか?」
そう西條にせかされて、風香は施設の中に入った。施設はどこでもあるオフィスビルのようになっており、各フロアではビジネススタイルの職員が働いていた。
「ここは?」
風香の質問を無視する形で西条は彼女を会議室に通した。

「お座りください。」
彼女がいすに腰を下ろすと西条はおもむろに机の上に写真を広げた。
「彼女をご存知ですね?」
「ご存知も何も・・・百合子先輩ですよね?」
「では、彼女が光の超人に変身できる事はご存知ですよね?」
西条のその言葉に風香は凍りついた。
「我が組織は光の超人に関して具体的な研究を行っております。その出身から能力さらには姿を消した後までですね。その過程において、我々はこの写真を撮影した。」
そこにある写真には百合子が変身する瞬間が写っていた。その時、会議室のドアが開き女性の職員が入ってきた。

「大橋さん、何かお持ちしましょうか?」
「コーヒーを2つお願いします。」
「大橋・・・さん?」
ドアが再び閉まった後、風香は怪訝な顔で西条を向いた。
「これはこれは申し訳ありませんな。この仕事をしているときは西条で通しているのですよ。本名は大橋秀信と言います。この組織のpart time case officerです。」
「大橋・・・?」
何かを思い出しそうな表情を浮かべて彼女は秀信を見ていた。
「多分あなたの考えているとおりですよ。私の父は永田町におりますからね。」


同時刻・東京都千代田区永田町・首相官邸危機管理センター(ホーム)
「ですから、あの組織は完全に壊滅せねばならんのです!」
西谷防衛副長官が強硬論をはき始めていた。日本政府部内ならず最近各研究者や大学関係者の中で台頭しつつある強硬論を代表する形で、である。
この裏には勢力を増しつつあるATDFへの警戒感があった。そんなことはさておき・・・
「しかしだ、西谷君。壊滅と言っても問題は山積しておる!空爆で破壊すると言ってもどこにあるか分からんのだ!」
会議は白熱していた。

35 :ONE WEEK(168HOUR) :2005/09/05(月) 05:35 ID:???
1600・各所

夕方のニュースは各報道機関とも17時前後より始まる。それに間に合うように記者会見が始まった。
最も、各TV局とも16時より報道特番を行っていた為に生中継となった。
「やっぱり東京TVはやんないか・・・」
「それはそうだろう。あの放送局は何があってもダイアグラムは変更しないよ。」
官邸の首相執務室では慎吾と慎一郎、ジャック、後藤と津山、阿倍の官邸スタッフが画面を見ていた。

「それでは会見を始めます。」異例なことに会見を今回行ったのは石田報道官でも後藤官房長官でもなく小沢副総理だった。
「昨夜、兵庫県の明石海峡大橋が爆破されたことはご承知おきのことと思います。
今早朝、一部報道機関に届いたロシア軍機と思しき爆撃機から発射されたミサイルの映像を関係各機関が分析した結果、限りなく真実に近いことが判明いたしました。」
記者団の中からざわつきが起こった。
「また、ロシア政府に照会した結果ロシア空軍内部でTU−160ブラックジャック爆撃機一機が消息不明になっており、映像との関連が懸念されるとのことです。
しかしながら、ロシア政府は今回の件にはまったく関与しておらず被害にあった日本国民ならびに日本政府関係者に遺憾の意を表明いたしました。」

「副総理、事件の詳細はどれぐらいまで判明しているのですか!?」
「質問は後でお答えいたします。今回の件につき、政府は以下の方針を決定いたしました。
@今回の件に関する被害者への補償・損害の補填を速やかに行う。
A明石海峡大橋の修復作業を迅速に進めるべく緊急の財政措置を行う。
B次の攻撃に備えて首都圏・近畿圏・中京圏の自衛隊部隊および防空部隊に淳警戒態勢をとらせる。
C宗谷・津軽・對馬の各海峡、東京湾・大阪湾・伊勢湾、関門海峡などの重要航路でのテロを警戒すべく海上保安庁に指示を行う。
D重要ターミナル駅・国際空港・港湾施設でのテロを警戒すべく警察庁に指示を行う。」

「なるほど・・・政府は今回の件をテロ行為と認定したわけですか。」
横田の施設では秀信と風香は大型モニターを見ていた。
「テロ行為?」
新潟ではまったく同じ台詞を言った孝明を見て菜穂子が聞いてきた。
「そもそも今回、ロシア政府がコミットメントしているなんて考えるほうが可笑しいんだよ。あっちにしたって問題を起こしたいわけ無いじゃない。冷静に考えれば・・・
けっきょく行き着く先にあるのは破壊行動しかない。しかも、国家の関与していないもの。それを知っている単語でなんと言うか?テロと言うんだよ。
「でもテロって・・・一体誰が?」
「綾菜、これは僕の個人的見解だけどそれは多分あの組織ではないかと睨んでいる。」
「あの組織って?」
翔が孝明に質問した。
「ああそうだったね。翔ちゃんは聞いてなかったっけ。」そう言って孝明は掻い摘んで「DIABRO」の説明を行った。
「そんなことがありえるの?」
「20年前までネットワーク上で存在するテロ組織なんて誰も想像がつかなかったじゃない?それと同じだよ。」
そう言って孝明はペットボトルのジンジャーエールを飲んだ。
「この国には不安定化を望んでると思しき勢力がごろごろしている。まあ、全世界中でもそうだが・・・」新潟市内の大河内総研本社の理事長室では老人が同じ映像を見ていた。
「しかし理事長、このままでは我々は不正規戦に突入です。」
「いいかね、この戦いは従来の不正規戦とも異なる。まったく新しいスタイルでの戦闘になるだろうね。」そしてここでも同じ映像を・・・
「いよいよ始まったな。これは我々への宣戦布告と見ていいだろう。」
「ではアーリマン、あの計画を始めますか?」
「始めようではないか?ベルゼブブ、バフォメット。」

36 :ONE WEEK(168HOUR) :2005/09/05(月) 05:38 ID:???
1700・東京都福生市ほか・横田基地

「大変だったんですよ、アメリカからこの基地を借りるの。」
秀信がそう風香にいった。ここは施設の最上階にあるカフェテリア。

「この組織は一体・・・?」
「大河内総合研究所調査部別班にHISC社調査部別室、さらにはNICとICSAの工作部の中でも極秘の機関が集って出来たのがうちです。」
「よく言っている意味が分からないのですが・・・」
「すみません。」
そう言って秀信は顔を赤くした。
「日本最大のシンクタンクである大河内総合研究所というのが新潟にあるんですね。そこの調査部が持っている極秘の特殊行動組織と、どういう行動をしているのかは秘密ですよ、
日本最初の民間軍事会社HISC社の極秘行動組織に情報機関の工作組織の中での最高機密機関が結集して出来た組織が我々『シス』ですね。」
「シス?」

「スターウォーズにでてきた悪のジェダイのことです。もっとも、守るのはジェダイですが・・・」
「どういうことですか?」
「我々はある組織の存在を確認しておりましてね。」
そう言って秀信はコーヒーを飲んだ。
「その組織は侵略宇宙人の手先と化して侵略行動を行おうとしているらしいのですな。まったく許しがたい連中ですな!
しかしながら、その連中はいってみればアル・カイダみたいなもんでネットワークを張り巡らしているのですよ。もっと言えばネットワーク上で存在する組織といったところでしょうか。
政府としては、いや新潟の老人としてはそんな事態は許しては置けないわけですな。そこで、ネットワークに対抗するために新たな組織を作った。それが我々な訳です。」
そう言って秀信は一冊のファイルを差し出した。

「我々がまず行ったのは連中の目的の分析です。その点は簡単でしたよ。優秀なアナリストとCO、ケースオフィサーという現場行動官を引っこ抜いてきたんですからね。
その結果出たのが、デュナミストの抹殺とでた。」
滑走路に着陸する米空軍のC−17グローブマスターV大型輸送機の爆音が響いた。
「・・・どういうことですか?」
「簡単なことです。ウルトラマンは抹殺するのに手間がかかるしほとんど不可能。しかし・・・」
「変身する前なら簡単、というわけですか?」

「その通り。しかも彼女たちは変身できることを周囲の人間には言っていない。実質上『自己責任』となっているわけですね。」
「百合子先輩を、暗殺する・・・」
「そう難しいことでもないですよ。一発の爆弾、いや銃弾さえあれば事足りる。聞いたことがあるでしょう?第一次世界大戦の引き金となったのはセルビアの青年がオーストリアの皇太子に向けてはなった一発の銃弾だった。
しかも、彼女たちが死んでしまえばウルトラマンと共生関係になっているためにウルトラマンも死んでしまう。その事態はなんとしても避けたい。」
「私にどうしろと?」
「この組織に入って、平井百合子嬢を守ってほしいのです。」
「しかし私は普通の女子大生ですよ?そんなこと・・・」
風香がそういうのを確認してから秀信は自分の携帯電話であるところに電話をした。しばらくしてからある人物がカフェテリアにやってきた。

「風香ちゃんも来てたんだ。」
「こ、小岩井さん?!どうしてここに?」
「小岩井さんは今では現役を退いてはいますが、わが国情報機関切っての優秀なエージェントだったのですよ。今回、現役復帰をお願いして組織のナンバー3についていただきました。」
「風香ちゃん、その人は大切な人なんだろう?彼女を守らないで良いのかい?」
「小岩井さん、後はよろしくお願いします。」そう言って秀信は席を立った。

37 :ONE WEEK(168HOUR) :2005/09/05(月) 05:39 ID:???
1800・新潟県新潟市・関屋浜
「ここから見る日本海に沈む夕日が僕は一番好きだね。」
日産・エクストレイルの運転席の座席を倒して孝明はそう言った。
「そうだもんね。たかくん、よくあたしと一緒にここで夕日を見てるもんね。」
助手席に座っている菜穂子がそう言って笑った。
「綺麗ですね・・・」
後部座席では翔と綾菜が夕日に見とれていた。

「東京ではなかなかこの光景は見られないでしょう。」
そう言って孝明は車の窓を開けた。心地良い潮風が車内に入ってくる。
「でも、私は冬の日本海も好きだなぁ。あの荒々しい日本海なんか見ていると自然ってすごいなぁって思うよ。」
綾菜がそう言ってここに来るときに買ったタリーズのコーヒーを飲んだ。
「今日の夕飯どうするの?おば様方は「今日は外食よ!」って言っていたけど・・・」
「そうなるんじゃない?なおちゃん。」
そのとき孝明の携帯が鳴った。

「はいもしもし。うん、うん、分かった。じゃあ行くね。」そう言って彼は携帯を切った。
「今日は翔ちゃんの歓迎会だってさ。じいちゃんもばあちゃんも来るって言っていた。」
「場所は?」
「これから行くさ。」そう言って彼は車のエンジンをかけた。

38 :ONE WEEK(168HOUR) :2005/09/05(月) 05:56 ID:???
>>30
お疲れ様です。

セイバーを新シリーズでやって欲しいと思います。

39 :名無しさんちゃうねん :2005/09/05(月) 07:23 ID:???
sage

40 :名無しさんちゃうねん :2005/09/05(月) 16:30 ID:???
ゲッター降臨期待さげ

41 :名無しさんちゃうねん :2005/09/07(水) 20:21 ID:???
チェーンジすーぱーさげ
>>1
続き待ってますよ〜

42 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/09/08(木) 22:21 ID:???
>>40-41
現在製作中です。
毎度ながら亀ですみません。

43 :第58話 「震える宇宙」 :2005/09/09(金) 01:56 ID:???
ウルトラマンジャスティス
第58話 「震える宇宙」

遥か広大な宇宙―――
この宇宙をあてどなく旅をしていた怪獣がいた。かつて東雲という男を名乗り、
堀江紗奈を育てていた怪獣ザビロンだった。ザビロンは今レイディアス星雲に
あるマッド星に立ち寄っていた。
ここにいる筈のマッド星人の姿は出かけているのか見かけない。

「こんな所にいたのか。裏切り者が!」
「誰だ!?」
声がしたのでそちらを見てみるとそこには一人の異星人らしき人物がいた。

「あなたは・・・・・・・ガルザード!何故、こんな所に!?」
ザビロンが驚いたのも無理はない。ガルザードはかつてザビロンやザナック、
ミルファがいる星モタビアの支配者だからだ。任務に失敗すれば仲間をも殺す
非情の性格をしており、ラシークやカミニートといった部下を一撃で葬り去っている。
そのガルザードだが、顔は地球人とほとんど変わらないものの、
いたるところに機械を埋め込んだ後があった。サイボーグと言っても差し支えない。
またその腕は爬虫類のようにザラザラしている。

「決まっているだろう!貴様を殺す為だ!これからやる余興としてな」
ガルザードは言うがはやいか、いきなり腕からいくつもの光弾を発射して襲い掛かってきた。

「おぐっ!やるしかないのか!?」
突然の不意打ちにザビロンはなす術なく倒れてしまう。ザビロンは意を決して羽根から風を発生させて飛ぶ。
そして空中から体当たりしてガルザードを吹き飛ばす。
さらに口から光弾を連続発射して命中させる。

「くっくっくっくっ、それが貴様の限界か!?」
だが、ガルザードはまるで応えていない。逆にガルザードが目にも止まらぬ高速移動で
ザビロンにダメージを与えた。その一撃でザビロンは倒れた。

「うぐっ・・・・・・・」
「まだ生きているとはさすがだな。だが、次で終わりにしてやる」
ガルザードが必殺の一撃を放とうとした時、何者かが彼を殴り飛ばした。

「誰だ!?この私を殴り飛ばしたのは?」
「俺だよ」
そこにいたのはマッド星人だった。頭が三角形の形状で体のあちこちに棘状のものが生えていた。
体の色は白と黒がミックスされており、腕には凶器と思える曲刀が装着されていた。
目が怪しく赤く光っており、赤いマントを装備している。

44 :第58話 「震える宇宙」 :2005/09/09(金) 01:58 ID:???
「貴様か。戦う事しか能のない低俗な宇宙人が!」
「人の星で勝手な事してんじゃねーぞ!」
「どうやら先に死にたいらしいな。ふん!」
ガルザードの指から発せられた光線をマッド星人は後ろに下がってかわした。

「この野朗!くらえ、ソリッドクラッシュ!!」
マッド星人の右腕からエネルギー弾が発せられた。

「ふん!こざかしい!」
それをガルザードはいとも簡単に光弾で相殺した。しかもマッド星人の方がやや後ろに吹き飛ぶ。

「少しはやるな。だがこちらも色々忙しくてな。今日のところは見逃してやる。
命拾いしたなザビロン」
そう言ってガルザードは姿を消した。

「ちっ!ガルザードの奴、調子こきやがって!おっとこうしちゃいられねぇ!」
マッド星人は地球のとある人物に交信を試みる。

その頃月面基地にあるムーンキャッスルの司令室にて5人の人間が集まっていた。
ムーンキャッスル基地司令官橘瞬、ムーンキャッスル基地副司令官和田明菜、
ムーンキャッスル艦隊参謀長谷川一志、基地司令官の副官結城かなめ、そして松田千秋の五人だ。

「俺達だけを集めての話って事は外部に知られるとまずい話って事か?先輩」
この場には他に隊員がいないからか、橘の事を先輩と呼んでいる。

「まあ、そういうことだな」
橘はタバコを吸いながら、答えた。

「一体どういう事かしら?それはHOLYのあの子達に関係あるの?」
和田が腕組みをしながら聞いてきた。

「どっちかと言えばGENESISの方だな。あの二人が何かを企んでいる」
「先輩に交信してきたんですか?」
「どうして今まで黙ってたんですか?」
責めるような口調でゆっきーと松田が詰め寄る。

45 :第58話 「震える宇宙」 :2005/09/09(金) 02:02 ID:???
「お前等が地球に帰還してる時だったからだよ。とにかく落ち着け。」
橘が二人を席に座らせる。

「で、具体的にどんな事を?」
「聞かなかったから知らん!」
「はあっ!?」
これには他の4人も呆然となった。

「どうして聞かなかったんだよ!?」
「下手に深入りするのもどうかと思ってな。ただ分かっている事がある。
奴等ウルトラマン達のデータを集めている。ジャスティス、レイ、コスモス、シェイドの
四人を重点的に最近はインパルスやトリニティーについても調べているようだ」
「ウルトラマンの研究!?」
橘は橘でGENESISの動きを探っていたらしい。(というより二人の動き)これにはメンバーも驚いた。

「何が目的なのかしら?」
「さあな、そこまでは分からない。あの様子だと政府にも分からないように
動いているな。大したものだよ」
「止めなくていいんですか?」
ゆっきーが少し心配そうに聞く。

「具体的に何をするのか分からない以上、下手に動くと危険だな。今は様子を見るしかねーだろ。
それにどうもこれから忙しくなるみたいだぜ」
その橘の言葉どおり、急を告げる連絡が入った。橘以外の四人に緊張が走る。

そしてTEAM HOLY基地では眼鏡をかけて茶髪のロングヘアーの隊員水原暦に
向けてマッド星人と交信していた。

「じゃあそのガルザードって奴が何か仕掛けてくるかもしれないってのか?」
「その可能性は十分にあるだろうよ。奴は過去二度地球を狙っているからな」
そしてマッド星人は暦の通信機からの通信を切った。

「どうやらもう初めてるみたいだよ」
かおりんが青ざめた表情でモニタースイッチを入れる。するとある物体が
猛スピードで動いているのが映し出された。

「一体どうしたんですか?」
ちよ達も作戦司令室に入ってきた。

「これは一体?」
「惑星モタビアよ、しかも地球に向かって真っ直ぐ飛んできている」
「惑星だって!」
「そんなものを飛ばしてきたら自分の住む星もなくなっちゃうじゃないか!」
流石の智と神楽も動揺している。

46 :第58話 「震える宇宙」 :2005/09/09(金) 02:05 ID:???
「星など変わりはいくらでもある!所詮、つくりものなのだからな!」
高笑いを浮かべてガルザードは言った。

「自分達の仲間を巻き添えにする気か?」
「私にとっては自分がすべてなのだよ。使えない者は切り捨てる。それだけだ!
ラシークもカミニートもとんだ役立たずだったので死んでもらった!
いずれは星を裏切った逃亡者であるザビロン、ザナック、ミルファもまとめて殺してやるがね」
榊の怒りもガルザードは軽く受け流してしまった。

「私にとっては必要のない者ばかりだから、強力な破壊兵器で撃って粉々にしても構わんぞ。
撃てるものなら撃ってみるがいい!ふはははははは」
高笑いをあげてガルザードは通信を切った。

「彼の言ってる事は嘘じゃない・・・・・・」
千尋が星の内部をスキャンする。だがそこで千尋の表情が曇る。

「どないしたん千尋ちゃん?」
心配そうに歩が尋ねる。

「モタビアの住人はもう死んでるわ!恐らく毒ガスが何かで」
「何だって!?」
メンバー全員に衝撃が走る。

「どこまで汚い奴なんだ!まるでドルズ星人みたいだ!」
かおりんもモタビアをサーチした。暦は握りこぶしを握る。

「もうこうなったら破壊するしかあるまい!あまり気は進まないが、
しかしこのまま行けば地球に衝突してしまうのだからな」
そこに松岸が入ってきた。

「やっぱりそれしか方法はないんですか?」
「ガルザードを除く全ての人間を殺されていてはモタビアはもはや巨大隕石と
何ら変わらない。ならば爆破してしまえと、上層部も政府の人間も言ってきた。
全くこういうときだけは息ピッタリだな」
ちよの問いに松岸は表情を変えないまま答えた。

「気持ちは分かるけど、今回ばかりは・・・・・・・」
榊はちよと同じ目線になるようにしゃがみ込みながら諭す。榊の表情も納得
いってない顔だ。他に方法がないとはいえ、他人の星を壊していいものかと思っているのだ。
他のメンバーはある程度割り切っており、歩は何を考えているか分からない。

「榊さん・・・・・・・分かりました」
まだ納得がいってないものの、ちよはそれに了解する事にした。

47 :第58話 「震える宇宙」 :2005/09/09(金) 02:08 ID:???
「エクセリオンのゼロドライブイリュージョンと、ムーンキャッスル艦隊、
特にバーミンガムに搭載されているフレアレインXXを使えばモタビアの破壊は
十分に可能だろう!早速任務にとりかかってくれ!」
「了解!」
「ちょっと待ってくれ、松岸総司令」
誰かが回線に割り込んできた。そこには見覚えのある顔があった。

「橘!じゃなかった橘先輩!」
「橘先輩!」
そうそこに映し出されたのはムーンキャッスル司令官橘瞬だった。

「お前今呼び捨てにしたな水原。そしてこうして顔を合わせんのは久し振りだな美浜。
それと榊と上條と佐倉だっけ?」
重要な話があるにも関わらず橘は四人に挨拶した。

「あ、どうも」
「始めましてかも」
「あの・・・・・・それより話を」
つられて挨拶してしまうかおりんと千尋に、先を促す榊。

「おおっとそうだった。総司令さんよ。もう少し人員を増やせないか?ちょっと厳しそうだぜ」
「しかし、これまでのケースからあまり集中させすぎると今度は手薄になった
こちらが攻められてしまう。以前のデゾリス、そしてムーンキャッスルの件で
それは君も分かっているだろう」
松岸の言う件とは39,40話と54,55話でそれぞれ起こった話である。
デゾリスにタイラントが、ムーンキャッスルにクール星人が現れ、そちらの
援護に行った隙に超獣ドラゴリー、怪獣アストロモンス、スペースビーストグランテラに
攻め込まれた件である。

「言われてみればそうだな。仕方がない。じゃあ現状の状態でどこら辺で
迎撃すればいい?」
「宇宙座標L583ポイントってとこね。ここを越えると地球にも影響が出始めるから気をつけて!」
かおりんはすぐにシュミレーションを終えて橘と他のメンバーに知らせた。

「了解!」
「よし、では早速迎撃作戦を開始する!」

48 :第58話 「震える宇宙」 :2005/09/09(金) 02:10 ID:???
こうして地球に迫り来る死の惑星となったモタビアを迎撃すべく、行動が開始された。
まずHOLYはグランテラの時のように半分に分ける。暦、智、神楽、ちよの四人が
エクセリオンならびにグリーンキャリバーに乗って宇宙へ飛び立つ。
エクセリオンならグリーンキャリバーを収納する事も出来る。
オペレーターとしてかおりんと千尋、そして万が一地球に敵が現れた時の為に
歩と榊が地上に残った。
地上ではTEAM FLAMEが、宇宙ではムーンキャッスルと連携する手筈となっている。
準備は順調に進んで今や、エクセリオンの発射のカウントダウンへと入る。

(歩さん、弥生さん!聞こえている?)
そこに誰かが歩と榊の頭の中に語りかけてきた。彼女達は今、エクセリオン
発射地点を防衛する為に周辺を警戒している。

「その声はゆりゆり!?一体どこから」
「近くには姿があらへん」
歩も榊も辺りを見回すが、百合子の姿はどこにも見当たらなかった。

(こうしてテレパシーで話しているのだから近くにはいないわ。それはそうと
私は今翔さんと一緒にいるの)
(お姉ちゃん〜弥生お姉ちゃん〜。あたしの声聞こえるとるか〜)
妹である春日翔の声も聞こえてきた。流石に立ち入り禁止空域となっていた為に
今回は近くまで来る事が出来なかったのであろう。彼女達はずっと遠くにいるのだ。

(翔ちゃん!)
(聞こえとるで〜)
(では本題に入るわね。私の方でも惑星モタビアの質量を調べてみたんだけど、
エクセリオンとムーンキャッスルの艦隊で迎撃するのは少し厳しいわね。
そこで歩さんにジャスティスに変身してもらってモタビア破壊に協力してほしくてよ)
(あたしが?)
(そうよ)
百合子の説明は続く。

(でも、敵に妨害されたら?)
(それを食い止めるのが私達の役目よ。弥生さん、あなたには地上に敵が
現れた場合に頼むわね。私は宇宙に現れる敵を叩くわ。翔さんは臨機応変に
対応して!)
(了解や〜)
榊の疑問に答え、百合子もまたてきぱきと指示を出す。

49 :第58話 「震える宇宙」 :2005/09/09(金) 02:12 ID:???
「エクセリオン発進します!」
ちよがボタンを押すと、エクセリオンは宇宙へ向かって発進していく。

同じ頃、ムーンキャッスルでも月からいくつもの艦隊が出発するところだった。
その中にはバーミンガムの姿もあった。

「バーミンガム発信準備はいい?」
「いつでも。しかし今度の相手は惑星か。何か緊張するな」
「相手が何であれ、それを撃つのが私達のする事よ!発進するわよ!」
「了解!バーミンガム発進!」
和田、長谷川、松田の乗るバーミンガムが先陣をきる。残る艦隊が後に続く。

「ムーンキャッスル迎撃部隊発進しました!」
「分かった。これで済めばいいんだけどな」
ゆっきーの報告を受けて橘はなにやら不吉な予感を覚えた。そしてその予感は現実のものとなる。

「エクセリオンが発進したわ!急いで!!」
「分かったで〜ジャスティース!」
ジャストランサーを掲げて歩はウルトラマンジャスティスへと変身する。
ジャスティスは空を見上げる。

「ジャスティス!モタビア爆破に協力してくれるのか」
松岸が現れたジャスティスを見て呟いた。だが、その時レーダーが異常をキャッチした。

「総司令!地底から二体の怪獣反応を検知!ジャスティスのいる場所に一直線に進んできています!」
「何だと!?」
かおりんが異常を知らせる。そして直後にその二体の怪獣が姿を現した。
その怪獣二体は似た様な固体をしており、片方は無数の口があり一つ目という
グロテスクな外見をしており、さらにはドリル状の物体もいたるところに生えている。
背中にグランテラと同じような角がある。
もう一方は背中に無数に角のようなものが生えている。こちらは二つ目である。

50 :第58話 「震える宇宙」 :2005/09/09(金) 02:17 ID:???
「怪獣のデータが出ました。一つ目の方はプラズマ。二つ目の方はマイナズマと出ています。
多分ガルザードがジャスティスの邪魔をする為に送り込んだものかと思われます!」
千尋が二大怪獣のデータを読み上げる。

「いけない!ジャスティス、あなたはその怪獣達と戦っている場合ではないわ!」
ファティングポーズを取ったジャスティスだが、百合子に止められる。

「私が行く!レイ!」
シャインリングを使って榊はウルトラマンレイへと変身する。
ジャスティスとプラズマ・マイナズマの間に割って入る。

『レイ!』
『ここは私に任せろ!ジャスティス、君は一刻も早く宇宙へと飛ぶんだ!』
『すまない!シュワッ!』
ジャスティスはレイに敬礼しつつ空へと飛び立って行く。

その様子をTEAM GENESISの二人も見ていた。

「他の隊員は地上に現れた怪獣の迎撃に向かわせたぞ。俺もそっちに行くけど
お前はどうするんだ?」
「僕は宇宙に行くよ。そろそろお披露目したいからね」
「そうか。じゃあ先に行ってるぞ」
「ああ」
後藤もまた部屋を出た。

51 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/09/09(金) 02:32 ID:???
今回和田が橘が「何の研究をしているかよく分からない」のくだりで
橘は何かを隠しているんじゃないかと疑うシーンがありましたが、
前の事もあってカットしました。

>>38
うわ、しばらく出してない間に風香まで(シェイドも含めて)。
しかしこうも正体バレまくってると隠す意味ないんじゃないかと思えてしまう。
(変身の瞬間まで撮られてしまっては)

52 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/09/09(金) 02:35 ID:???
>>51
それはデスね。「公然の秘密」「部内秘」ってやつですよw

(ちなみに後々に取った奴を出しますが・・・)
それはそうと質問が。

53 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/09/09(金) 02:37 ID:???
えーと会議室に移った方がいいですか?

54 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/09/09(金) 02:38 ID:???
そうしましょうか。書き込んでおきます。

55 :ONE WEEK(168HOUR) :2005/09/09(金) 03:20 ID:???
1900・新潟県新潟市・東掘通
その店の中ではデキシーランドジャズが流れていた。
ここは新潟市中心部、東掘通にあるイタリアンレストラン。ここでは生演奏でジャズを聴きながら食事が出来る。
「ここか・・・先月来たよね、じいちゃん。」
「そうだったか?孝明?」
新潟市では毎年7月に市内中心部でジャズフェスティバルがある。市内の喫茶店・ホテルのバーラウンジ・TV局のホールなどで生演奏のジャズを聞きながらコーヒーやウィスキーを傾ける。
しかも、どんなドリンクでも一杯500円で。(実際にあります。今年、私は参加しました!ぜひお越しを!)

「新潟祭りも総おどりも好きだけどね。僕はジャジーな男だからね。そう言って慎平はキャンティの入ったグラスを回した。
「では、春日翔さんの健康を祈って!乾杯!」
そう言って慎平はグラスを掲げた。菜穂子・涼子・佳奈・順子の5人はワイングラスを、
奈津美・絵里・孝明・紗子・由衣・綾奈・菜穂子・そして翔の8人はミネラルウォーターの入ったグラスで乾杯した。食事はもちろんイタリア料理である。そして、食事が始まった。

「どうですか?新潟もなかなか良い所でしょう?」
そう言って慎平が翔に話しかけた。
「そうですね・・・最初のイメージだとなんか田舎、って感じがしたのですけど・・・」
「新潟は田舎ではありませんよ。日本海側、裏日本で最初に政令指定都市になった巨大な都市です。もっとも、いまどこもそうですが市の空洞化が起こってはおりますけどね。
おおっと、今はこの手の話題をやめましょう。」
「お爺様にお聞きしたいことがあるのですが・・・」
「何でしょうかな?」
周囲では大橋家の面々がグラスとナイフとフォークを片手に話題に花を咲かせていた。
「あたし、もっと慎平さんが怖いもんやと思ってました。」
標準語から関西弁に変わって翔が話を始めた。

「まあ、そう硬くならずに、いつも話しているような感じで話してくれて良いのですよ。そうですね・・・個人的な考えですよ。
いまから話すのは・・・私は伝統的な保守主義者です。それはよく分かると思います。ですからね、正直怖いのですよ。国家利益・従来からの共同体利益を尊重する考えたかのあまりあなた方の存在がこれらをぶち壊す存在に思えてね。」
グラスを回しながら慎平が言った。
「そやかて、あたしらそんなに敵対してないやん。」
「政府関係者はそのほとんどが等しくある戦いを経験しています。それは・・・」
「それは?」
「権力闘争というやつです。政治家・官僚・自衛官・・・公務員ならず民間でもそうですが、その経験を行ってきたやつは等しくその可能性には敏感になるのです。
そして、自分の手の届かない光の超人が現れた。権力闘争に加えていつ敵になるか分からないその可能性、こいつを無視して政策決定や行政を行うことは出来ませんな。」そう言って慎平はワインを口に含んだ。
「いいキャンティですな。」

「ふーん。でも最近その雰囲気が変わってるような気がするんやけど・・・」
「that’s right。私が変えた。」
そう言って慎平は笑った。
「正確に言えば、我々大河内総研が基本政策の草案を作ってEXCOM Jに提案した。基本方針だから厄介な国会審議もなし!ってな訳です。」
そう言って慎平は笑った。
「なんで?」不思議そうな顔をして翔が慎平を見つめた。

「ほら、そこで肉を頬張っている男の子と、ミネラルウォーターじゃ物足りなくなってキャンティに手を伸ばそうとしている女の子のせいですよ。」
翔が慎平の指した方向を見ると孝明がローストビーフを頬張りながら綾菜と談笑し、菜穂子がキャンティを嗜めながら紗子と由衣と談笑をしていた。
「あいつらのせいで僕たちは保護しなきゃいけなくなったよ。
もっとも、好きだけどね。慎一郎も慎吾も丈史も父親のような感じなんだよ。無論実際の父親の裕正は不安で不安でしょうがないだろうけどね。
まさか、インパルスとトリニティーだけ味方でジャスティスもレイもシェイドも、そしてコスモスもエネミーというロジックはとなると取れないからね。」
そう言ってカナッペを慎平は口に入れた。
「どっちにしてもこれからが戦争だよ。」

56 :ONE WEEK(168HOUR) :2005/09/09(金) 03:23 ID:???
2000・東京都千代田区永田町・首相官邸

新潟で優雅な夕食が進んでいるころ、首相官邸では慎吾以下の外交・安全保障政策を担当する職員が仕事を行っていた。
今の大橋慎吾政権は従来の内閣よりも大きく異なる点がある。
「40日戦争の結果死去した大平正芳を見よ!自自公(自民・自由・公明)政権の末期の混乱で死去した小渕恵三を見よ!
内政・外政・党務を一人の人間が従事することは大きな障害になるのだ!」
と言ったのは当時政治学者だった大橋慎一郎現首席補佐官だった。

「私の内閣では以下のように取り計らう。党務は主に幹事長と官房長官に一任する。経済・財政政策では首席補佐官をリーダーとして各省庁と補佐官、顧問に学者、財界人を統括して欲しい。
外交・安全保障政策は私が直接取り仕切る。」
トロイカ制を敷くことで作業効率と政策の即効性を目指す大橋政権の手法は批判もあったものの巨大生物災害時、国家存亡の危機にある政権にとっては有効な手段であった。
「で、どうなのかね?」あまり吸うことの無い葉巻を吸って、慎吾は質問を投げかけた。
「6日に広島入りした後、10日まで総理は休養ですからね。骨休めをしてきてください。」
「高橋君、ところがそうもいかんのだ。」コーヒーを飲みながら慎吾はため息をついた。
「で、どうなのかね?例の計画の進捗状況は?」
「今回の件のあるなしにかかわらず、防衛庁と国家公安委員会はこの計画には乗り気ですからね。首尾よく行きそうです。」
「それは良かった。何背、実地で動かすのは今回が初めてだからなぁ・・・」
国家公安委員会と防衛庁、NCCAが共同でとある壮大な訓練の実施が迫っていた。なんらの警告なしである「武装勢力」の潜水艦が日本海側に漂着し武装集団が上陸、山間部に逃走したとの想定で住民の避難訓練・自衛隊の現地展開・警察の大規模検問の実施等々の訓練である。

「この計画は大規模な仮想敵国の漂着上陸や大規模災害に際しても有効だと私は考えている。佐々木君、何か異存はあるかね?」
「無いですね。最も、コンピューターシュミュレーションでも出来そうな気もしなくも無いですが・・・」
「PCではね、バグが出ないよバグが。今回の演習は対国家の先頭を想定したものでは無論無い。目的はあの組織の壊滅だ。私の目の黒いうちにあの組織をぶっ潰してやる!」静かに慎吾はそう言い放った。
「佐々木君、高橋君、そして諸君。我々はこの戦いに勝利する。そうだ・・・高橋君、石田君と協議してな、広島でこの件に関して演説を行いたい。至急調整をお願いする。」

57 :ONE WEEK(168HOUR) :2005/09/09(金) 03:26 ID:???
同時刻・東京都新宿区市ヶ谷本村・防衛庁

「総理はこの計画にGOサインを出したのですか?」
防衛庁最高首脳会議の席上、西元裕筆頭政務官が発言を行った。
「政務官、私はこの計画には賛同しかねる。」
「どうしてですか?長官。」
「君も知っているだろうが、わが国の防衛政策の根幹は専守防衛だ。この計画はその根幹を揺るがしかねない。もっと言って、国家のこの日本国を私は滅亡へのパンドラの箱を開ける政策を実行には移したくない。例え巨大生物の害が迫っているとしてもだ!」
日本国防衛庁、国防政策を立案・執行する機関のトップに君臨する大塚謙太郎防衛庁長官はきっぱりと拒絶した。防衛庁部内は二派に分かれる。
大塚長官、大滝副長官、高橋国際担当副長官補を中心とする穏健派、西元副長官、西谷副長官、水島政策担当副長官補を中心とする強硬派である。その強硬派が提案したのがこの計画「V2計画」である。

「よろしいですか?!この計画にはわが国の将来がかかっておるのですぞ!」
「そんなことは分かっているさ!しかしね、この計画を実行するとなると我々は大量破壊兵器を製作しない国是を放棄することになる。この戦いは自分たちのモラールにもかかるきわめて重大な事態だ。我々の一存では決定できない!」大塚はそう言って拒絶した。
「しかし、国家の生存を最優先すべきです!」
「正規戦は連中に任せるべきでしょうな。」
日本のジョセフ・ナイ(元国防次官補・ハーバード大教授)と呼ばれる高橋副長官補が発言を求めた。
「よろしいですかな?我々が予算をかけて正規戦を行う必要などないのです。その予算はATDFに任せればよい。むしろ我々は非正規戦、これから起こるであろう「DIABRO」との戦いに備えて人員の確保と装備の充実を図るべきですな。」
「ほかにも何か考えがあるのだろう?高橋君?」そう言って大塚がにやけながら言った。
「勘が鋭いですね。長官。ええ、あります。この機会にATDF内の反主流派を一掃するのです。」
そう言って高橋は自分の戦略を語りだした。

58 :ONE WEEK(168HOUR) :2005/09/09(金) 03:26 ID:???
2100・首相官邸・執務室

慎吾は読書を楽しんでいた。その本のタイトルは「戦略の本質」(4532165296)
「どうですか?戦略組織論から歴史から網羅していますからね。」
そう言って高橋補佐官が部屋に入ってきた。
「高橋君、こいつはいい本だ。個人的にはこの本の前の「失敗の本質」も私は好きだが、この本もまた素晴らしい。しかしまあ・・・私はキューバ危機に際してのケネディかねぇ。」
「閣下、私が薦めた本は「八月の砲声」ではないのですよ。」
「ハッハッハ、「戦争と政治とリーダーシップ」を薦められてアフガン戦争とイラク戦争に邁進したジョージ・W・ブッシュじゃないんだからさ・・・」
そう言って慎吾は困惑した。」

「申し訳ありません。この戦いはブッシュ政権、いやアメリカにとってのテロとの戦いじゃないのですから・・・」
「その通りです。」
そう言って楠田軍事問題担当補佐官が入ってきた。
「宇宙空間防衛システム「アルテミスの首飾り」を調子は良好です。防衛庁も太鼓判です。」
「ペンタゴンは面白くないようですがね。」
そう言ってワシントンに太いパイプのある苅谷国際安全保障担当書記が同じように入ってきた。
「当然でしょう。これまで20世紀の間連中の軍事バランスが世界を支配してきた。アメリカと言う絶対のミリタリーバランスが世界の均衡を保ってきた。
ソ連と言えども世界の海洋ではそのアメリカの強大なシーパワーに依存していたのですからな。」
「その点で言えばマハン大先生は正しかったわけだな。」

「そうです。首相閣下。しかしながら連中は「宇宙」と言うフロンティアにおいてのミリタリーバランスをATDFに、もっと言えば我々に奪われてしまった。」
「まあ好きでなったわけではないが・・・しかし我々にとっては巨万の富を築くにはちょうど良い。60年代にケネディは宇宙と言うフロンティアを目指した。いまは我々がそのフロンティアを手に入れるのだ。
その第一歩が「ムーンキャッスル」だ。あれはただのATDFの前線基地ではない。1500名の日本の「軍人」が居住する列記とした軍事基地なのだからな。」
「その軍事基地の利用価値をいかが考えますかな?閣下。」航空宇宙局長官真田憲一郎が執務室に入ってきた。
「アルテミスの首飾りの運用センターはあそこにある。それを管理すべくATDFの2000名とは別個に1500名が駐屯している。来年度には「diplomatic project」によって建造された宇宙戦闘艦5隻が配備される。
対巨大生物にかこつけた宇宙進出計画が始まるのだよ。必要なのは明確な目標と口実であって、「正義」だの「倫理」だのは必要ない。そうだろ?諸君。」
マキャベリの忠実な弟子である慎吾はそう言って後ろの棚からシングルモルトウィスキーを取り出して人数分のグラスを出した。
「栄光ある未来に、乾杯。」

59 :ONE WEEK(168HOUR) :2005/09/09(金) 03:30 ID:???
2200・兵庫県神戸市・大橋淳の部屋
「ちゃ〜らららららっららら〜」
淳は鼻歌で「ボレロ」を歌いながら彼のノートPCを操作していた。彼はいま、「萌えるBBS」と言う名の掲示板にはまっていた。彼のHNは「全国人民代表委員」という・・・

<あの事件はすごかったですね。政府の対応をどう考えます?>すぐにレスが返ってきた。
<政府の対応はまあまあじゃないですか?もっとも、政府の公式見解が正しいと仮定すればの話ですが・・・>
<ロンさん手厳しいですね。>いま、淳と交信をしている相手はHN「ロン」と言う相手である。
<だってそうでしょう?まあ、今回の件が64年のトンキン湾事件や歴史上あまた存在した「謀略」の類の可能性もあるのですから・・・>
<しかし、いま政府が謀略を行う物理的な理由がないじゃないですか?>
<いいんちょ、その見解はちょっと甘いな。歴史上の謀略は「内政が不安定化しつつあるとき」に行われることが多いのですよ。>
<ロンさん、しかしいまいまこの国の内政が不安定化してますか?わたしにはそうは思えないのです。>

<そうですね・・・>ここでHN「がっちゅ」さんが入ってきた。
<そろそろスレ違いじゃないですか?>
<そうですね・・・ロンさん、メルアド教えてもらえませんか?MSNのメッセンジャーを使いましょう。>
<そうしましょうか・・・>そう言って淳と「ロン」とのメッセンジャーを使った会話が始まった。
<しかし・・・あなたとこうして話をしていると、初めて合った気がしませんね。>
<そうですね・・・ロンさん。>
<匿名掲示板で無い以上、本名を明かしませんか?>淳はそう提案した。

<そうしましょうか?まず私から・・・私、大橋秀信と言います。>
<え・・・もしかしてヒデ?僕だよ、淳だよ。>
<ええ!!!!淳なのか?道理で初めての気がしない訳だな。淳だったとは・・・>
<最近元気なの?>
<こっちはもう忙しくてさ。お前聞いてない?じいちゃんが新組織を立ち上げてそのメンバーの一員に選ばれてさ・・・>
<ぜんぜん聞いてない。だって俺、神戸だから・・・>
<まあ、神戸じゃしょうがないか・・・>
<最近孝明は元気なのか?聞いた話じゃ菜穂子ちゃんとひと悶着あったらしいが・・・>
<この回線は安全じゃないからね・・・どこかに安全な回線ある?>
<おいおい。ここは実家でも官邸でもないんだぜ。安全な回線なんて無いよ。>安全な回線とは、盗聴・傍受されない回線のことである。幼いころから情報関係者と親しくしていた彼らにとって通信の安全は何よりも重要なものである。
<しょうがないか・・・明日、そっちに行くわ。>
<OK。じゃあ、明日の1100に新大阪駅で。>
<いや、明日の同じ時間に神戸空港にしよう。そっちのほうが近いだろう?>
<そうするか・・・>

2300・新潟県新潟市・大橋家
「翔さんもう寝た?」秀明は菜穂子に尋ねた。
「ええ、ぐっすりと。」
「なかなか楽しい夕食会だったね。」そう言って秀明は自分のPCを操作し始めた。
「たかくん・・・大丈夫かしら?」
「何がだい?」
「今日聞いたその組織があたしたちを狙って行動し始めたら・・・」

「それは大丈夫だよ。」秀明は断言した。
「うちには私兵集団、無論悪く言ってね、のHISCがある。知っているでしょう?あの組織は大河内の大叔父が中心となって作った日本最初のPMCだよ。
そう簡単には突破できない。それに連中は完全武装だよ。イラクで市街戦を戦えるだけの訓練は積んでいるし・・・それに。」
「それに?」
「いざとなったら僕がなおちゃんを守るよ。」そう言って秀明はデスクの中からFN5−7ピストルを取り出した。
「君に指一本触れる敵は全員射殺してやる。そんなことはさておいてさ、明日どこ行こうか?翔ちゃんの体の具合は思ったよりも大丈夫そうだから新潟観光をしようと思うんだ・・・」こうして8月4日は過ぎていった・・・

60 :名無しさんちゃうねん :2005/09/09(金) 11:46 ID:???
相変わらず読みにくい
改行ぐらいはしてくださいな

新作降臨期待で沈下します

61 :(ー・∋眠)<.。oO(眠い名有り) ◆4sS6D/pkQc :2005/09/11(日) 09:13 ID:???
久しぶりに見たら、皆さん頑張ってるではありませんか。
つーことで、創作と発表スレに投下したついでに、こっちも投下ー

http://so.la/test/read.cgi/oosaka/1115481963/325
の続き……

二ヶ月も投下してなかったのか自分

62 :あずまんが太平洋戦記 :2005/09/11(日) 09:13 ID:???
第弐章【三人の過去 U】
ガッシャン!ガシャ!ガシャン!
……ドアがロックされた。2、3回押したり、引いたり、蹴ったりしているが、開かない。
「さて、どうするか……」
頭の上あたりから風が吹いているのを感じる。ちよの説明では特殊に配合された気体だというのを聞いた覚えがある。
そんなことを思い出しても、結局どうする事もできない。このまま待つことにしよう。
不老の体だろうが、全身癌細胞だろうがどうなってもかまうか!
そんな気になり、何故か入っていた鶏を抱えて、五星は深い眠りについた……

プシュゥ―――、ビィ〜〜〜〜
放射線の照射が終わったことを知らせるブザーが鳴った。
「ふぅ」
仮眠から覚めた五星はため息をついた。まぁ、今は何とも無いが、これからどうなるか……
それを考えると、少しは気が重くなる。
と、そんなことを考えてると、足音が近づいてきた。おそらく、この機械を動かした犯人。懐から拳銃を取り出した。
ちよは人体研究の第一人者で、負傷した兵隊をたちまち治すような技術についても研究し、実用化まであと少しだ。
その命や研究を狙っている人物は山ほどいる。五星の護衛の給料が高い理由だ。
さて、足音はカプセルの前で止まった。そして、扉が開けられ―――
ガッ!と、その人物の顎を蹴り上げ、カプセルから飛び上がりざまに、
両手で握った銃――彼が自分で作った50口径のオートマグだ――をそいつに向けた。
「動くな!!手を頭につけろ!」
だが、その人物はうつぶせのまま動かない。
――気絶したか?それとも、蹴りが強すぎて首の骨を折っちまったか?
そんなことを考えて、彼はその人物を改めて見直した。
どこかで見たことのある後姿だ。とくに、この肩まであるセミロングヘアは……
――ま、まさかな。
頭に浮かんだ顔を忘れようとしつつ、肩を軽く蹴って仰向けにした。
「っちゃ〜〜〜」
予感は当たった。彼の目に前には、泡を吹いて倒れている大阪がいた……

63 :あずまんが太平洋戦記 :2005/09/11(日) 09:13 ID:???
「……かさん ……さかさん!!」
大阪はちよの声で目を覚ました。
「ちゃうねん。私は何も怪しいもんやないで」
「何寝ぼけてるんですか!?」
「あれ?ちよちゃん?」
「ったく、貴方は一体こんな夜中に何やってんですか。博士のカプセル使って……」
「せやな。バレてまったらしゃぁないな」
彼女が目を瞑る。かなり重要な事をいうのだろうと、二人とも唾を飲み込んだ。
「私卵が好きやねん」
「は?」
素っ頓狂な事を言われ、二人は拍子抜けしてしまった。
「せやから、あの鶏を不老不死にして、毎日卵が食べたかってん」
「…… それだけですか?」
「それだけ…… やけど?」
「「…………」」
――そんなくだらん理由で自分は放射線当てられたわけかよ……
流石にその発言には怒るというよりも呆れてしまった。
「大阪さん。実はですね―――」
ちよは大阪に、一応五星が今までに至った経緯を簡単に話した。
「ええっ!?すまんな五星ちゃん。あとでジュースおごってあげるさかい許して!」
「………… 自分の命はジュースと同じですか……」
「と、とりあえず五星さんは検査を行いますから、こっちへ」
そんなことで、このあと数時間かけて精密検査が行われた。幸いなことにどこにも異常は無く、良好だった。
結局五星は、大阪にビール一本をおごってもらった後、普通にちよの護衛の任務を全うしながら、眠りについた。

64 :あずまんが太平洋戦記 :2005/09/11(日) 09:13 ID:???
数日後―――
パァン!
乾いた音と共に、白い白衣を着た研究員が、胸から鮮血を噴出しながら、地面へバッタリと倒れた。
「ったく、懲りないねぇー」
五星はまだ硝煙の残るマグナムを懐へしまった。
研究員は防弾チョッキを着ていたが、さすがに至近距離のマグナムは防げなかったようである。
「毎度、毎度…… 物騒なんだから」
研究員にまぎれて、暗殺者が研究所に侵入していたのだ。
「終わった…… んですか?」
ロッカーの中からちよの声がする。
「ん?ええ。まぁ」
葉巻に火をつけながら、彼はロッカーの扉を開けた。右側の頬や肩に、点々と返り血がついているが、何も気にしていないようだ。
ちよはロッカーから出ると、その暗殺者を見下ろした。
「これで…… 五星さんは何人殺したんですか?」
「知りませんよ。自分は、給料がもらえればそれでいいし」
そう言ってボサボサの髪を掻く。正直、彼にとっては他人の死などどうでもよいのだ。
「私のせいで…… 一体何人の人が……」
ちよが「グスッ」と泣いてしまう。
「博士の責任じゃありませんよ。こいつらだって何人殺してきたか……」
「じゃぁ…… 今回も手伝ってください」
そういうと、彼女は死体を抱え上げ、外に出て行った。
「はいはい」
それを見送ると、彼は戸棚から血で赤く染まったモップと雑巾、バケツを取り出した。
血が染みになったらもう取れないので、そうなる前に掃除を済ませねばならない。
心臓をモロに撃ち抜いたので、床だけでなく、壁にまで血が飛び散っている。
水を汲んで、先ずは雑巾でコンクリート製の壁を拭く。
もう何回も使った雑巾は、さながらゾンビが着ている服みたいだ。
しばらくしてバケツの水が赤色に染まると、水を替える。この作業を4回ほど繰り返して、やっと壁のほうは一段落ついた
今度は床だ。こいつは少々時間が経っているため、モップで拭いただけでも取れない。
さらに4回ほど水を替えた後、細かいところを雑巾の上から爪を立ててこそぎ落とす。
これでやっと掃除が終わると、今度は外に出て行った。

65 :あずまんが太平洋戦記 :2005/09/11(日) 09:14 ID:???
研究所横の大きなモミの木。昔はクリスマスツリーとして使っていたが……
いつごろだろうか?ここを墓場として使い始めたのは。
最初の頃は、五星が海へ沈めるなり、山へ埋めるなりしていたのだが……
ちよがここに墓を作ろうと言って、ここに死体を埋めるようになったことは覚えている。
「掃除終わりましたよ」
「ありがとうございます」
五星がそこに来ると、すでにちよと大阪が穴を掘って、そこに先ほどの男を横たわらせていた。
ちよが組ませたのだろうか、手がちゃんと祈りの形になっている。
空模様はかなり酷く、いつ雨が降ってもおかしくないほど、紫色の雲が空を覆っていた。
「神様、どうかこの人を天国に連れてってください」
無論、二人とも宗教とは殆ど無縁なので、お経を読んだりすることはできない。
ちよは心から、五星は形だけ祈るだけだ。
「博士も丁寧ですね。自分の命を狙ってた奴らですよ」
「スパイとは言っても、死んでしまったら皆同じですから」
スコップで死体に土をかぶせながら、そんな話をした。
その目には涙が溜まっている。五星にはその感覚がわからないが……
それをグッと拭きながら、ちよはスコップを動かした。
死体はすぐに土に埋まって見えなくなった。あとは、何年もしてここで朽ち果てていくのみだ……
「さぁ、行きましょう。そろそろ夕食時ですし……」
そう言ってちよがその場を離れた瞬間だった。
ズガガガガガッ!!
耳を劈く轟音と共に、彼女の意識は吹っ飛ばされていた……

66 :あずまんが太平洋戦記 :2005/09/11(日) 09:14 ID:???
「……ゃん ……よちゃん」
特徴的なおっとり声で、ちよはようやく気がついた。
「おお……さかさん?」
どうやら研究室のソファーに寝かされているようだ。
「よかったなぁ。雷に打たれたんに、大したことなくて」
頑張って看病したのだろう。この暑い夏なのに冷房が止められ、毛布布団がかけられている。
「五星…… さんは?」
さすがに暑い。寝ていたのに体中着衣水泳でもしたかのようにビッショリと濡れている。
「? 五星ちゃんおったん?あそこにいたのちよちゃんだけや」
「えっ!?」
その言葉にちよは驚いた。五星は仕事の事はきっちりやる人物だ。
自分に何も言わずに消えるはずがない……

「…… ったく、ここはどこだ?」
一人の男が地面に倒れていた。周りには本当に何もない、ただの荒地だ。
「よく思いだせ。自分はどこにいた。どこに―――」
そうこう考えているうちに、更なる疑問が思い浮かんだ。
――自分は――― 誰だ?自分はなんていう名前だ?
とにかく自分の置かれた状況を考える事にした。
服装はジーパンに黒い半袖シャツに、薄手の長袖の上着。
武器はナイフと、通常の拳銃とマグナム銃。残弾は残りそれぞれ20発程度。
自分に関する記憶は消えているが、その他の記憶は消えていない。現に『銃』などの名詞は覚えている。
あとの持ち物は…… ポケットの中に財布があった。
まぁ、こんなものあってもただのちり紙程度にしか使えない。
そう思いつつ、ポケットに財布を戻す時に、気づいた。折りたたまれた新聞記事が……
記事の見出しは『謎の剣発掘 未知の鉱物か?』というものだった。場所は富士山。
「行くってみるか」
ぱっと思い浮かべると、日本地図が頭に思い浮かべる事が出来た。大丈夫だ。知識は消えてない。
とにかく、一日待つことにした。
磁石がないので、日の出、日の入り、太陽の南中する時間を利用して、正しい時間を計測する事にした……

67 :あずまんが太平洋戦記 :2005/09/11(日) 09:14 ID:???
「ってことですよ。結局自分が飛ばされたのは弥生か古墳ごろの時代だった。
 博士の実験でこの体になってなきゃ、数千年も前にお陀仏してましたよ。
 もっとも、考えていたのよりも50年も早く会えるとは思ってもみませんでしたが……」
話をしているうちに、アッサムがいい頃合になった。
「あの後、落雷したモミの木の辺りの草を調べたんです。
 そしたら弥生や縄文時代に生えていたものでした。容易に予想は出来ましたよ」
カップを暖めていた湯を捨て、紅茶と砂糖、それと暖めた牛乳をそこに注ぐ。
ミルクティー独特の良い香りが三人を包み込む。
「それで、他に私達の歴史とちがったことは? どうぞ」
ちよがアッサムを五星に渡す。
「ありませんよ。なーんにも」
五星はそれをを飲みながら答える。彼にとって、ミルクティーなどを飲んだのは何年ぶりだろう。
「にしても、よう生きとったなぁ」
「誰のせいですか……」
大阪は大阪で、まったく責任を感じていないようだ。
「で、何で急に歴史に参加しようと思ったんですか?」
今度はビスケットをテーブルの中央に置いた。やっといい感じでティータイムができる。
「理由は簡単。 暇になってきたからですよ」
「そうですか」
ズ…… と、ちよは静かにアッサムに口をつけた。

「アンノンの位置は?」
「方位166、距離12000、速度22ノット。さらに接近してきます。約15分後に接触しますね」
「にしてもなんだよ鼓動って。鯨かなんかじゃないのか?」
「やっぱり神楽はバカだなぁ。鯨なら鳴き声が入るだろー?」
「じゃぁお前はわかるのかよ!」
結局この二人は喧嘩以外する事がないのだろうか。
昔からこうなので、CICの面々はただ苦笑するか無視するだけで、誰も止めようとはしない。
「怪獣だぁ!」
「はっ、お前こそバカじゃねーか」
「なんだと―――!怪獣がいるってのか―――!!」
「いるさ!」
「いるわけねーだろ!!」
「さっきの鳥みただろーが!!」
「うっ……」
確かに。さっきの鳥はおかしい。
大きさといい、光線をだすのといい明らかに普通の生物ではない。いまだに信じられない。
「じゃぁお前はその正体知ってんのかよ!」
「知ってるわけないだろ!」
「じゃぁお前も知ったかじゃんか」
「うるせー!」
この喧嘩はまだまだ続きそうだ。

68 :あずまんが太平洋戦記 :2005/09/11(日) 09:14 ID:???
「そうそう博士。こいつを調べてもらえませんか」
そう言って鞄から五星がビンを取り出した。
なんだろうか。見るからに怪しいドロドロした透明な赤色のスライムらしき物が入っている。
「あー、洗剤でよお作ったなぁ」
「そうじゃなくてですね…… こいつは真珠湾で発見されたものです」
「一体これは……」
「博士の言葉でいうなら、細菌かウィルスといったところですよ」
「これが…… ですか」
ちよはそのビンを手に取り、注意深く光にすかしている。
「で、なぜこれを?」
「そいつの被害ってのが…… こいつです」
そう言って、もう一つビンを取り出した。そのビンの中身は―――
「!」
「うわぁ!ああぁぁ…… く、黒い悪魔や!人類のお終いや!!」
ダンゴムシだった。だが、大きさが洒落にならない。体長は軽く5センチはある。
「大阪さん、そこまで驚かなくても……」
「博士も見たでしょう。あの鳥。おそらくあれも……」
ちよと五星の目があった。
――貴方は昔から裏で計算して行動していましたね。
すぐに視線はそれた。
五星は下を向いている。軍帽のせいで顔は下半分しか見えない。
――今度は何を考えているんですか?
彼女には、軍帽の下の顔が少し笑っているように見えた。
「とにかく、そいつの正体を暴いてください。
 米英の連合軍、謎の巨大生物。前門の虎と後門の狼諜報を相手に戦って勝ち目はありませんからね」
そう言いつつ、五星は立ち上がった。
「さてと、そろそろ休憩も終わらせないと。滝野と神楽少佐、後はドドンと西島か……」

「昔っからお前はなぁ!」
「お前こそ!!」
こっちはまだ喧嘩が続いていた。
酔っ払っているのではないか?と問いたくなるほど激しく、アホらしい内容だ。
正直に言うならば、小学生レベルの口喧嘩だ。
先ほどから喧嘩を見ていた士官達も、さすがに飽きて仕事をしている。
「まったく―――」
「お前はいっつも―――」
突然、二人の会話が止まった。
先ほどまでうるさかったのが、不気味なほどに静まり返り、機械の電子音と、機械を操作する音以外の音がぽっかりと抜け落ちた。
何事かと、士官達が二人の方を見る。
「まずい……(智、感じるか?)」
「(感じてるよ!)おい!機関始動!全速力だ!!」
「アスロック、目標の音紋セット!」
先ほどまで喧嘩していたのはどこへ行ったのやら。
二人で、ちゃんとダブらない命令を出した。

69 :あずまんが太平洋戦記 :2005/09/11(日) 09:15 ID:???
ブオオオオォォォ……
この時代のエンジンとは比べられないほど静かなエンジン音が、艦内にかすかに響く。
無論、五星はそのことを知っているので驚く事は無い。
――機関始動?何かあったのか!?

「アンノンの位置は!?」
「方位172、距離4000です」
「ばっきゃやろー!どうしてこんなに近づけたんだ!!」
「艦長が聞いてないからでしょうが!」
そう。一応史樹はさっきからず――――っと報告していたのだ。
「そんなことはどうだっていい!」
もう無茶苦茶である。
――!!
一瞬、嫌な予感がした…… と思った次の瞬間には、二人とも声を上げていた。
「「取り舵一杯!バウスラスター始動!!」」
命令どおりに、艦が左に傾き、旋回していく―――そのときだった!
ザガアァッ!ザバァァァァ!!
突然、右舷に水柱が立ち上がったのだ!

ザガアァッ!ザバァァァァ!!
その水柱は、五星たちが乗ってきた水偵を、子供がおもちゃ遊びの如く空中へ放り投げ、海面に叩きつけてバラバラにしてしまった。
もしも回頭してなければ…… この『やまと』もおもちゃになっていただろう。
その振動はかなりでかかった。かなりでかい艦だというのに、軽く5度は傾いた。

「な、何だ!?」
廊下を歩いていた五星は迷いもせずに水密扉を開けて外に飛び出した。
グワォォォゥゥゥ―――
人間の言葉では形容しがたい音―――否、鳴声が響いた。
周りは何も無い海なのに、映画館で聴いているかのような音だ。
真黒の体。尖った牙。巨大な背びれ…… 今までに見たことの無い生物だった……

70 :(ー・∋眠)<.。oO(眠い名有り) ◆4sS6D/pkQc :2005/09/11(日) 09:15 ID:???
と、ここまで投下ぁー
さぁこれからもがんばろー



勉強もしなきゃ('A`)

71 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/09/15(木) 23:53 ID:???
>>70
新作乙。さあ続きだ。大分時間かかってしまった。

72 :第58話 「震える宇宙」 :2005/09/15(木) 23:59 ID:???
「えいやぁ!」
レイは二大怪獣が動くより先に接近して、プラズマに空中二段蹴りをくらわしてダウンさせる。
もう一方のマイナズマは体をがっしり掴んでダウンさせる。

「弥生お姉ちゃん」
その戦いを見守る翔と百合子。

「トアッ!」
プラズマ、マイナズマの二体の攻撃をかわして、レイは後ろから殴り倒す。
しかし、次に二体の反撃にあってしまう。マイナズマが角から発したマイナス電撃光線と
プラズマの角から放ったプラス電撃光線の直撃を浴びてしまい倒れる。

「ぐふっ!」
そしてそこから戦況が一変する。両者に挟まれ、左右から猛攻を受け、投げ飛ばされる。

「弥生お姉ちゃん!コスモース!」
「待ちなさい!まだ・・・・・・・」
しかし翔はそれを百合子の制止を振り切り、コスモストーンを掲げて変身した。
コスモスはすぐにエクリプスモードへとチェンジしてプラズマとマイナズマに
走りよりダブルチョップをくらわした。その一撃でうつ伏せに倒れる二匹。

『レイ、大丈夫か!?』
『ああ、大丈夫だ』
『一気に攻めよう!』
『そうだな』
レイがプラズマを、コスモスがマイナズマをそれぞれ片手で投げ飛ばす。
二大怪獣はそれぞれ電撃光線を発射するが、レイとコスモスはそれをかわし、
後ろに回りこんで互いの頭をぶつけさせる。ゆっくり仰向けに倒れる二大怪獣。

そして宇宙ではエクセリオンとムーンキャッスル艦隊が合流していた。

「また会ったわね!一緒に協力してあの惑星を破壊するわよ!」
「そうだな。それにもうじきジャスティスもこっちに来るしな。ジャスティスとも
合流できればもう大丈夫だ」
暦と和田は少し笑いながらそう言った。しかし・・・・・・・

「どうもそうも行かないみたいだぜ!」
「ええ。ジャスティスに向かって何かが接近してきます!」
長谷川はオペレーターからの報告を、ちよは千尋からの報告を受けて難しい顔をする。
それは宇宙の彼方からジャスティス目掛けて接近している。そしてそれの姿が明らかになり、驚愕する。

73 :第58話 「震える宇宙」 :2005/09/16(金) 00:00 ID:???
「あれはベムスターじゃないか!」
「あーもう!どこまでもしつこい奴だな!」
五角形の口に梟のような顔をしたそれは紛れもなくベムスターだった。
智と神楽もそれを見て少しうんざりした表情になる。
ベムスターはジャスティスの背後に追うように現れた。

「迎撃しますか?」
「ダメよ!フレアレインXXはモタビア破壊の為に使うものよ!
ここで無駄にエネルギーを消費するわけにはいかないわ!」
松田の提案に和田は首を横に振った。

「こちらもそれは同じです!」
「けど、このままじゃジャスティスと構える事になっちまう!」
その様子は地上にいる百合子にも分かった。

「やはり現れたわね」
百合子はチラリとコスモスとレイを見るが、見た感じ優勢だった。それを見て百合子は決意する。

「黒き光よ!我の姿を変えよ!!」
デスブリンガーを構えて百合子はウルトラマンシェイドへと変身する。
猛スピードで宇宙へと飛んで行く。

「かなめちん!戦闘準備に入るように伝えろ」
「え?だからかなめちんはやめてください!」
橘の言葉に一瞬唖然となるが、ゆっきーはそれを残っている隊員達に伝えた。

ジャスティスにもうすぐでベムスターが追いつきそうになった時、
後ろからシェイドが現れ、ベムスターの体を掴んだ。

『シェイド!』
『急げ!時間がない!ベムスターは私が倒す!!』
『分かった!!』
ジャスティスは急いでモタビアへ向かう。

「でやああああああ!」
シェイドはベムスターの体を掴んだまま、そのまま地面へ急降下する。そしてそのまま体を叩きつける。
そこは月面基地だった。橘が予測していた通りになったのだ。
これまでの怪獣ならこの一撃で致命傷を与える事が出来ただろう。
しかし、ベムスターはその高さから落下しても全く平気だった。

「何てタフな野朗だ!」
橘が舌打する。現在橘はゆっきーや他の隊員と一緒に宇宙服を着てビームバズーカを装備している。
ベムスターのいる位置が基地に近すぎる為だ。艦隊はモタビア迎撃の為に出払っており、
衛星での攻撃も近すぎてかえって危険なのだ。

74 :第58話 「震える宇宙」 :2005/09/16(金) 00:03 ID:???
「はっ!」
シェイドはベムスターに体当たりする。ベムスターは後ろに勢いよく倒れる。
倒れたベムスターの上に乗りかかり、起き上がらせて投げようとするが、
逆に腕の一撃で反撃されてしまう。クルクル回転しながら後退するシェイド。
ベムスターが再びその腕で攻撃してくるが、シェイドは前進してその一撃をかわす。
だがかわし終わり、立ち上がろうとしたところを蹴られてダウンしてしまう。

その頃、地上ではTEAM FLAMEが援護に現れていた。

「レイとコスモスを援護するわよ!」
「了解!フレアビーム発射!」
京子がスペリオルドラゴンで二体の注意をひきつけ、そのスキをついて
上野英次と松戸幸成の乗るイエローシャークEX1からフレアビームを発射して
プラズマ、マイナズマの発した光線を相殺する。

「次は私達ね!絵里、準備はいい?」
「OKよ」
今度は川瀬絵里と結崎美里の搭乗するEX2号機からミサイルを発射する。
そして地上からはヒートスティンガーに乗った浅倉哲也と金沢尚登がレーザー砲でダメージを与える。
レイとコスモスも二体を殴り飛ばす。

しかし、ここで二体は思いもかけない行動に出る。何と二体がまるで磁石に
吸い寄せられるようにくっついたのだ。

「なんだぁあいつら、くっついちまってるぞ!」
「やな予感がするな」
浅倉と金沢の心配は当った。合体したプラズマとマイナズマのパワーは単体時の倍になっている。
今まで通じていたレイとコスモスの蹴りやパンチが弾かれてしまう。
反撃の強力なタックル攻撃を受けて二人は吹き飛ばされてしまう。

「ねえ、千尋。これって!?」
「どうやらデスクトラ、シニストラと同じタイプの怪獣みたいだね」
千尋のデータベースにはかつて似た様な攻撃をしてきた二大怪獣のデータが映し出されていた。

「厄介なタイプの敵だな」
「それだけじゃないですよ!このプラズマ、マイナズマ、パワー、スピード
どちらもデスクトラやシニストラより遥かに上です!」
「ますますやりづらいわね」
こちらでも絵里が分析していたが、それを聞いて松戸も美里も苦い顔をした。

プラズマ、マイナズマの電撃光線も合体する事で威力がアップしているらしく、
コスモスとレイはそれをくらってうつ伏せに倒れる。

75 :第58話 「震える宇宙」 :2005/09/16(金) 00:05 ID:???
「うっ!」
「ぐふっ」
倒れた二人を蹴り飛ばす二体。

「コスモス!レイ!」
上野がフレアビームを発するが今度は光線に逆に押し負けてしまった。
その光線をEX1、EX2はくらってしまう。

「くっ!しまった!」
「脱出します!!」
ヒートスティンガーも衝撃で車が動かなくなった。レイとコスモスのカラータイマーが点滅を始める。

「だあっ!」
シェイドはフォビトンレイジを放つが、ベムスターは腹の口でそれを吸収してしまう。

「シェイドの光線が効かないなんて!!」
驚くゆっきーをよそにベムスターはそんなシェイドに体当たりして地面に転がし、
蹴飛ばした上に踏みつけてくる。うつ伏せで踏まれたシェイドのカラータイマーが点滅を始める。

「シェイドを援護します!」
ゆっきー達がレーザー砲を発射する。だが、ベムスターはそれを上の口で吸収してしまった。
反撃に角から断続的に光線を発射してきた。橘がとっさにゆっきーをかばったので
ゆっきーは直撃を免れた。先程までゆっきーが居た場所が爆発する。
隙をついてシェイドはベムスターの踏みつけから脱した。

「ありがとうございます橘先輩!」
「ビームを吸収するとは恐ろしい奴だな!さすがどのウルトラ戦士も手こずっただけの事はあるな」
ベムスターはシェイドにもその光線を放ってきた。シェイドはそれを後ろに飛びのいてかわすが、
それを狙ったかのようにベムスターは空中から体当たりしてきた。
これにはシェイドも抗しきれず吹き飛ばされた。

「ぐっ!」
「戦力分断と衛星が使えないのがこうもきついとは思わなかったぜ!」
吐き捨てるように橘は言った。

そしてモタビアを破壊する部隊はジャスティスがビクトリューム光線、
ムーンキャッスルのバーミンガムを除く艦隊が攻撃を仕掛けた。
エクセリオンとバーミンガムはそれぞれの切り札を最大出力で発射する為のチャージを行っている。
副砲で変わりに攻撃を仕掛ける。

76 :第58話 「震える宇宙」 :2005/09/16(金) 00:07 ID:???
「やったか!」
長谷川が声をあげるが、その期待も空しくモタビアは何事もなかったか
のように地球を目指している。

「くそっ!やっぱりあれぐらいじゃ駄目かよ!」
「ちよちゃん、ゼロドライブイリュージョンの発射はまだか!?」
「あともう少しかかります!」
「急いでくれ!チャンスは一度きりだからな!」
今回暦はグリーンキャリバーに乗って迎撃に参加していた。

「松田さん、フレアレインダブルXXはどうなってるの?」
「あともう少しでフルチャージできます」
和田にそう報告する松田。

「はああああっ、でやぁ!」
ジャスティスはクラッシャーモードへとチェンジした。

地上でレイとコスモスが追い詰められていたその時、新たな攻撃がプラズマ、マイナズマを捉えた。
京子はその機体に見覚えがあった。

「まさか、TEAM GENESIS!」
「ああ、この通り実戦に出る事になった!TEAM FLMAE隊長さん、俺達と共同戦線と行こうじゃないか!」
「ええ、それはとても心強いわ!」
そこに現れたのはTEAM GENESIS副隊長後藤隆(ごとうたかし)だった。京子はニッコリ笑う。

「よーし行くぞ!宇都宮、貴水、小室、葛城!俺に続け!」
「了解です!!」
呼ばれた隊員はそれぞれ宇都宮博之(うつのみやひろゆき)、小室久志(こむろひさし)、
貴水(たかみだいすけ)、葛城一哉(かつらぎかずや)という名前である。

「ボーッとしている場合ではないぞ!我々も地上から援護するんだ!」
「言われなくてもそのつもりですよ!」
上野達も地上から攻撃する。空の方は後藤以外の人間が戦闘機で攻撃して注意を惹きつける。

「ガイモス、ガルト星人、ゴルゴレムに続いて俺達の番が回ってきたな!」
「隊長がいないのは残念だけど、今はそういうこと言ってる場合じゃないしね」
宇都宮と小室のやりとりである。レイとコスモスは起き上がり、ダブルキックを前後からボディにくらわせる。
プラズマ、マイナズマは光線を発射してくるが、GENESISはそれを全くくらわない。

「おっと危ない!」
「滅多に活躍出来ないのにこんなとこで落とされてたまるかよ!」
葛城と貴水は口笛を吹いた。

77 :第58話 「震える宇宙」 :2005/09/16(金) 00:08 ID:???
「隊長!私達はグラビトンワイヤーで相手の動きを封じます!」
「お願いするわね」
絵里達はちよ達のレーザーワイヤーと形式がよく似た物を取り出して一斉に発射する。
これによりプラズマ、マイナズマの動きが封じられた。

「やった!」
美里がガッツポーズを取る。

「俺はストライクバニッシャーを発射する。あんたはフレイムブラスターを
発射して奴を攻撃してくれ!」
「分かったわ!フレイムブラスター発射!!」
「ストライクバニッシャー、ロックオン!!」
京子は炎をまとったレーザーを発射する。フレアビームよりも威力は上で、
最近開発された。京子のスペリオルドラゴンのみに搭載された新兵器だ。
対して後藤のストライクバニッシャーは緑色のビーム砲だった。
それは同時にプラズマとマイナズマの合体している腹の部分を貫通した。

「よし!やったぜ!」
「今よ!とどめをさしてレイ、コスモス!」
後藤は快哉の声をあげる。

『敵は合体して何倍もの力を発揮している!こちらも連携技で倒すぞ!』
『分かったコスモス!』
レイとコスモスは上空高く舞い上がり、そのまま高速回転して敵目掛けて体当たりする。
『ダブルローリングアタック』である。くらったプラズマとマイナズマは大爆発を起こした。
そしてレイとコスモスはそのまま宇宙へと飛んでいく。

「モタビアを破壊しに行ったのね」
「・・・・・・・・・・」
後藤は何も言わず空を見上げていた。

ムーンキャッスルでも援軍が姿を現し、ベムスターを攻撃する。

「宇宙ステーションV7です、先輩!」
「ちょっと手こずってたからありがたいな」
ゆっきーが現れた戦闘機群を指ながら言った。

78 :名無しさんちゃうねん :2005/09/16(金) 00:11 ID:???
「苦戦の報告を受けて援護に来たぞ!」
「私達が来たからにはもう安心よ!任せておいて!」
先に言葉を発したのは隊長の深谷勇太郎(ふかやゆうたろう)で、白髪交じりの髪をした男だった。
恐らく松岸や上野よりも年上だろう。その後のセリフは女性隊員で浅野望(あさののぞみ)であった。
彼女の髪はややパーマがかっている。戦闘機は三機。

「初めまして。一緒に頑張ろう。え〜と、カナメにシュンだったよね」
陽気な声で語りかけてくるのは短髪で浅黒い肌をしたイリーナ・ジュレスだった。

「瞬って。俺一応司令官なのに」
「かなりフレンドリーな人みたいですね。友達になれそう」
流石の橘も呆気にとられた。しかし、ゆっきーは好感を持ったようだった。

「ったくイリーナの奴はいつも呑気だな」
「まあ、根詰めててもしょうがないからそれで俺はいいと思うけどね」
「木根!横川!喋っている暇があったらさっさと攻撃に移るんだ!!」
横川隆一(よこかわりゅういち)と木根信也(きねしんや)は副隊長の
古賀洋平(こがようへい)に怒られてしまった。
戦闘機の名前は『スターソルジャー』と名づけられ、三機には深谷、望とイリーナ、
横川、木根、古賀という組み合わせだった。
彼等はベムスターの角の光線をかわしつつ、ミサイルで攻撃する。

「ドラァッ!」
そこにシェイドも立ち上がり、ベムスターを体当たりできりもみ回転させる。
ベムスターはそれから立ち直り両腕を使って砂塵を巻き上げる。
シェイドの動きが止まった隙をついてその両腕で脇腹を攻撃してくるベムスター。
だがシェイドは一瞬のスキをついてベムスターの喉笛にチョップを一撃入れた。
これにのけぞって後退するベムスター。さらにそこをゆっきー達のレーザーが足元を攻撃する。
ベムスターはたまらず空へと飛び上がった。

「ヘアッ!」
それを追う為に飛び上がるシェイド。

79 :名無しさんちゃうねん :2005/09/16(金) 00:12 ID:???
「よし、トリプルビームだ!」
「ラジャー」
V7の面々は一斉にレーザーを発射して、ひとつに合体させた。それはベムスターの上の口に当たった。
吸収しきれなかったらしく、ベムスターはそれをくらってよろよろと急降下して地面に落下した。

「これでも食ってな!」
橘は懐から手榴弾を取り出してそれを腹目掛けて投げる。ベムスターの腹の口は
それを吸収してしまい、腹が爆発した。ベムスターはもがき苦しんだ。そこにシェイドが降りてくる。

「てやぁ!」
シェイドはエネルギーを丸めた光の輪『ウルトラスラッシュ』を投げて、
ベムスターの両腕と首を切断した。
ベムスターはそのままどうと倒れて爆発した。

「とりあえず礼は言っておくよ。ありがとう」
「何、同じ宇宙を守っている者同士、これくらい当たり前の事だ」
橘と深谷は互いにお礼を言う。シェイドはそのやりとりに興味を示さず飛んでいく。

「あたし達も行こう」
「そうだな」
V7のメンバーもそれに続いていく。橘やゆっきーはそれを見上げていた。

「ゼロドライブイリュージョン、発射準備完了しました!発射します!」
「フレアレインXX、チャージ完了!発射できます!」
「よーし、いっけえ〜!」
「今よ!撃ちなさい!!」
ちよと松田が状況を伝える。そして智と和田の掛け声と同時に発射された。
さらにジャスティスのダグリューム光線や他の艦隊からも光線が発射される。
これを受けたモタビアは粉々になって吹き飛んだ。

「いよっし!やったぜ!」
「油断するな、神楽!まだガルザードが姿を現していない!!!」
「やはり、そういうことか!」
喜ぶ神楽に釘を刺す暦。長谷川はお約束のセリフを言い出した。

(ごめんなさいザナックさん、ミルファさん、ザビロンさん)
ちよは心の中でその三人にわびた。何れもこのモタビアが出身の者達だ。

80 :名無しさんちゃうねん :2005/09/16(金) 00:14 ID:???
「その通りだ」
何もない空間から声がしたかと思うと、黒い波動エネルギーが飛んできてジャスティスに命中した。

「うぐおおおおお!」
ジャスティスはそのまま近くにあった岩礁地帯の大地にたたきつけられた。
さらにムーンキャッスル部隊の一部が巻き添えをくらって撃墜されていった。

「ジャスティス!」
「あそこです!モタビアを爆破したとこより少し離れた場所に誰かいます!」
ちよが指差す先にはすべての元凶と思われる敵が悠々と待ち構えていた。
悠然とそこに現れるはガルザードであった。腕を組んで相手を見下ろしている。

「モタビア破壊ご苦労さん。俺こそが全てにおいて無敵のガルザードだ。
君達にはまとめて死んでもらおう」
ガルザードはその大地に降り立つ。ジャスティスのカラータイマーはエネルギーを
大量に使った影響か点滅を始めている。

「ジャスティスを援護する!ゼロドライブイリュージョンの発射準備を!」
「こっちもフレアレインXXの装填を開始するわよ!」
暦がエクセリオンに指示を飛ばし、和田も第二砲発射を促す。

「そうはさせん!」
ガルザードの手が赤く光ったかと思うと、エクセリオンとバーミンガムは
たちまち行動不能になった。

「何だ、あいつ何しやがった!?動けなくなった!?」
「これじゃゼロドライブイリュージョン撃てないじゃん」
「どうやらサイコキネシスを使われたようです!」
「やはりそういうことか!」
この事態に焦る智と神楽、そして松田と和田であった。長谷川はまたも同じ単語を言っている。
他の戦艦はあっさり落とされてしまう。

「ガルザードの戦闘パワーはとてつもなく強力です!!」
「つまり、ウルトラ戦士といえども勝てないというのか」
「そんな・・・・・・・」
データリンクを終えた千尋の表情が引きつっていた。松岸の言葉にかおりんは愕然となる。

「さて次は貴様の番だ、ウルトラマンジャスティス!」
ガルザードのサイコキネシスによってジャスティスの体は空高く舞い上がり、
そのまま地面に落下した。

「うぉぉぉぉぉぉ!」
『ジャスティス!』
苦悶の声をあげるジャスティス。そこにレイ、コスモスそしてシェイドとV7の面々が現れた。

81 :名無しさんちゃうねん :2005/09/16(金) 00:17 ID:???
「これはこれは皆さんおそろいで。手間が省けたよ」
ガルザードは他のウルトラ戦士が来ても余裕の態度を崩さなかった。

「各機!目標ガルザード!攻撃開始!」
「了解!!」
V7メンバーは深谷の命令に従い、ガルザードに攻撃を開始する。
しかし、ガルザードは鬱陶しそうに首をひねるだけだった。

「目障りな蝿だ。消えうせろ!!ソニックダイバー!」
ガルザードがザビロンで見せた高速移動を今度は三機目掛けてやった。
くらった三機はたちまち地面へと降下していく。

「何てスピードなの!?」
「まったく見えなかったわ!!」
望とイリーナは一言そう洩らす。三機は不時着するハメになった。
ガルザードはそのソニックダイバーを今度はウルトラ戦士にくらわせる。

「ぐおっ!」
レイ、コスモス、シェイドがうつ伏せに倒れる。起き上がったウルトラ戦士は
合体光線を発射するが、エネルギーを消耗しきっている状態では十分な効果が得られず、かき消された。

「次はこちらの番だな。いくぞ、オーラバスター!」
冒頭、マッド星人やザビロンにくらわした光弾である。惑星破壊や他の怪獣と戦って
傷ついたウルトラ戦士達にはこれを避ける術はなくそのまま後ろに倒れこむ。

「ぐおおおおおお」
「ふははははは!貴様らを殺し、俺は宇宙最強の侵略者となるのだ!!
その実現まであと一歩だ!」
「くそ!?私達は手をこまねいて見ているしかないのか!?」
暦が悔しそうに歯噛みする。と、その時謎のエネルギー体が突然現れ、
こちらにむかって飛んでくる。それは白い光だった。

「副官!こちらに向かって何かが接近してきます!」
「敵なの!?」
「分かりません!物凄いスピードで迫ってきます!」
謎の光の接近に和田は歯噛みする。今の状況ではフレアレインXXが使えても
ガルザードには避けられてしまうだろう。そんな状況の中、新たな敵が現れたらひとたまりもない。

「あのエネルギー体は一体!?」
「初めて見る反応です!」
かおりんと千尋が急いでサーチするが、その正体を探る事は出来なかった。
やがてその光はジャスティス達を守るようにガルザードの前に立ちはだかる。

82 :名無しさんちゃうねん :2005/09/16(金) 00:19 ID:???
「貴様!?一体何者だ!?」
ガルザードも正体不明の物体の出現にやや苛立っている。やがてその白い光は
形を変え、ある姿を形成していく。そしてそれは一人の戦士となった。

「ウルトラマン?」
ちよが僅かに口を動かして言った。そこに立っていたのは確かに他のウルトラ戦士達と似た様な風体の戦士だった。
レイのように角目であり、頭には鋭利な刃物のようなカッターらしきものが付いている。
ボディカラーはパープルであり、胸元に三日月をあしらった黒いマークがある。
目の色も他のウルトラ戦士と異なり青い。そして最大の特徴は他のウルトラ戦士に
あるカラータイマーがないことである。
額にビームランプがあるので、恐らくそれが活動時間を知らせるのであろう。

「神楽、あのウルトラマン見覚えあるか?」
「わかんねぇ。ただなんかセブンっぽい気がする」
智と神楽は息を飲んで見守る。それは他の人間も同じだ。

「何者か知らぬが、邪魔立てするなら死んでもらおう」
ガルザードはソニックダイバーを使う。しかしこの巨人はほとんど微動だにせず、それをかわした。

「よくかわしたな。ほめてやろう。だがこれならどうだ、オーラバスター!!」
ガルザードが連続光弾を発射する。これに対して巨人はエネルギーを溜めて
T字型に腕を組んで光線を発射した。それはガルザードのオーラバスターをも
いとも簡単に破り、ガルザードにも直撃した。

「バカな!?この私がこんなあっさりと倒されるなんて!貴様は一体何者なんだ!?
ぐはぁぁぁぁぁ!」
断末魔の声をあげてガルザードは完全に消滅した。悠然と佇む巨人。

「消耗していたとはいえ、ウルトラ4戦士が追い詰められたガルザードを
いともたやすく倒すとは一体何者なんだ!?」
松岸もその巨人を見て呆然となる。
巨人は何も言わずに助走をつけて飛び去っていった。残るウルトラ戦士も姿を消した。

83 :名無しさんちゃうねん :2005/09/16(金) 00:21 ID:???
「どうやら地球とモタビアの衝突は避けれたみたいね。でも何だろう?この不安感は」
京子もモニターで様子を見ていたが、何か言い知れぬ不安が彼女の心を支配していた。

「何だろうな。勝ったんだけど素直に喜べないんだよな」
「神楽もか。あたしもだよ。シェイドが始めて現れた時みたいな感じなんだ」
「シェイドの時以上に私は違和感を感じたよ」
智や神楽、暦もどこかしら不安に思っていた。ちよは何も言わないが、その表情はとても厳しかった。

「あれが先輩の言っていた事なのかしら?とんでもない強さだわ」
「俺にはよく分からない。それよりV7の機体を回収しよう」
「了解!回収作業に入ります」
「助かるわ」
和田は難しい顔をして考え込む。それは長谷川も同じ事だ。松田だけはあまり気にしてないようだ。
イリーナが感謝の言葉を述べる。

「これが先輩の言っていた事なんですか?」
「・・・・・・・・・」
ゆっきーの問いに橘は答えない。ただ一点をまるで睨むように見ている。

変身を解いた四人は互いに顔を見合わせる。だが、誰一人口を聞こうとはしなかった。

「俺達の任務は終わった。引き上げるぞ」
「了解!」
後藤は他のメンバーにそう言ってTEAM GENESISはこの場より撤退した。HOLYも地球帰還となる。

後藤が戻ってくるとそこにはGENESIS隊長が座ってパソコンのキーを叩いていた。

「もう戻っていたのか流石に早いな」
「そっちもお疲れさん。見事な連携プレーだったじゃないか」
「よせよ。それでお前、あれになんてつけるんだ?」
「このチームにちなんでジェネシスとでもつけようかと思ってるよ」
「そうか。ジェネシスか」
隊長はニヤリと少し唇の端をゆがめて言った。まるでこれから起こる出来事を楽しむかのように。
余談だがザビロンはその後また宇宙の旅に出たという。

第58話  終                   第59話へ続く

84 :LIBRO著者 :2005/09/16(金) 00:41 ID:???
>>83
お疲れ様です。
予想が当たったな。

85 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/09/16(金) 00:57 ID:???
次 回 予 告
『よぉ、俺橘。何か今回はここもやる事になったみたいなんだけど、
次回はどうやらちょっとした再会があるらしいぞ。あとなんか車が敵らしい』

「久し振りだね、美浜さん」
「あなたは大山さん」

『俺らも多分出ると思う』
『次回ウルトラマンジャスティス第59話「安息」を是非見て下さいね』
『あ、こら!和田!俺のセリフとるんじゃねー!ジェットコースター怖い癖に!』
『それは今関係ないじゃないのよ!!』
暦「いいのか、こんなんで」

86 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/09/16(金) 01:01 ID:???
色々詰め込みすぎたかもしれないッス。
次回は今回よりは張り詰めてないと思います。

87 :LIBRO著者 :2005/09/16(金) 01:01 ID:???
お疲れ様です。

いま、執筆中です。かなり・・・

88 :ONE WEEK(168HOUR) :2005/09/16(金) 09:52 ID:???
第二部「マキャベリの弟子たち」(8月5日)
0600・東京都千代田区永田町・首相官邸
夜が明けた。しかしこのとき、首相官邸を中心とする行政府は眠れない夜を過ごしていた。
「全く、9・11直後のホワイトハウスもこんな感じだったのかね・・・」慎吾はサプリメントをコーヒーで飲み砕いた。
「でしょうね・・・最も、私のカウンターパートはどこぞの秘密のシェルターで影の政府を指揮していたでしょうからね。」そう言って小沢副総理がそう言って笑いながら紅茶を飲んでいた。
「で、状況は?」
「今朝の状況です。」
アーリーバードと呼ばれている報告書を飛鳥国家公安委員長は差し出した。
「うむ・・・朝食は今日はなんだったかね?」読みながら慎吾は不思議なことを言った。

「はぁ・・・ベーグルとコーヒーかと・・・」
「そうか。佐々木君、この件だが・・・」
「合衆国はこの件に関して関心を持っております。東南アジア海域における海上安全保障政策はわが国のシーレーンの安全保障に深い関係があります。」
「インドネシア・マレーシア・シンガポールの三国を統合した海上安全保障グループを組織する我々の計画はどうなった?」
「海上保安庁が積極的ですね。もちろん連中にとっては格好の枠組みでしょうが・・・」
「石原さん、どうですか?」首相の最も信頼する海上安全保障問題顧問の石原昭雄海上保安大教授が発言を行った。

「で、どう思いますか?」
「ASEANやARFの枠組みを利用した海上犯罪を封じ込めることは我々の国益に合致します。しかし、連中にはそのノウハウがありません。首相はご存知でしょう?」
「なるほど・・・で、海保にその役をやらせるわけですな?」
「USCGでは無理でしょう。連中は協力ですが、実際は軍隊です。この任務は警察業務の一環でなければならないのです。」そう言って手嶋官房副長官補が言った。
「全くだな。この世界は矛盾に満ちている。民族・宗教・資源・・・いずれ人類はひとつの共同体になる「かもしれない」。だがね、私はこう思う。そのためには強大な犠牲を強いる必要がある、とね。」
そう言って慎吾は新たなページをめくった。

「クーックックック。」気味の悪い笑い声を上げて慎吾は笑った。
「どうしました?」首席補佐官が入ってきた。
「time is coming。時が来たようだな、諸君。」慎吾はにやりと笑った。
「我々がついにマキャベリと韓非子の非常なる弟子になるときがな。」

同時刻・兵庫県神戸市
その時、大橋淳は死にそうだった。無論それは比喩である。
「あ〜!!稚内にロスケのICBMが命中しやがった!!」淳の叫びが部屋にこだました。
「おおっと、叫んではいかんね。」
そう独り言をつぶやくと彼は再びモニターを見た。彼のPCのモニターには「ヘックス」と呼ばれる表示が渦巻いていた。
彼がいま、徹夜で遊んでいるゲームは「現代大戦略2004〜日中資源戦争勃発!〜」である。

「全く!何を考えているんだこのクソコンピューターは!!北海道は放棄か?!」
彼が遊んでいるシナリオはその名もずばり「日本危機!」である。朝鮮半島に日本と中国、極東ロシアと沖縄にアメリカがいるシナリオである。そこで彼はアメリカを指揮していた。
「はぃぃぃ!?今度は旭川かよ!?じゃあ今度は札幌と函館か?!最終兵器彼女じゃないんだからさぁ・・・」
彼の予想通り、旭川・札幌・函館にロシアの弾道弾が着弾した。そのとき、彼の携帯が鳴った.

「はい、こちら在日米軍最高司令部。現在日本政府救援のために電話に出ることが出来ません。」
「もしもし?!僕だよ。」そう言って電話に出たのは秀信である。
「ああ、どうした?まだ6時だよ?」彼が契約しているCATVの映像がCNNを映し出した。
「アメリカはハリケーンで大変らしいな。WTIが急上昇している。父さんも慎吾叔父も大変だな・・・」
「ご心配ありません。わが国の標準の原油価格はドバイだからね。そんなに影響は無いさ。それに・・・」
「あの馬鹿でデブなアメ公と違ってわが国は脱石油社会まであと一歩だ。そうなれば・・・」
「アメリカに変わって宇宙と世界を手に入れられる。コンピューターと食料ではアメリカに負けたが、この戦いではアメリカに負けるわけには行かないね。」
「で、電話の用件は?」
「今日の1100に神戸空港に行くから。最も、同行が数名いるけどね。」

89 :ONE WEEK(168HOUR) :2005/09/16(金) 09:56 ID:???
0700・新潟県新潟市・大橋家

「僕ね、一回想像の翼を羽ばたかせたことがあるんだ。自分がもし、どこかの異世界に吹っ飛ばされたらどうなるかって・・・」
菜穂子が徹夜に等しい状態で読んだ小説の話題に割り込んで孝明が言った。
「どうなるの?」興味深そうに綾菜が言った。
「ひとつの国家、ひとつの軍隊、一人の国王。」
そう言って孝明はコーヒーをすすった。

「なに?それ?」
まじめな顔をして菜穂子が言った。
「映像の世紀の1930年代の場面で「総統閣下」がのたまわった台詞。原題は「ひとつの国家、ひとつの民族、一人の総統。」」
「それって・・・ヒットラーじゃない!?」
そう言って絵里は大笑いをした。
「僕が言ったら間違いなく革命家か、最悪ヒトラーだよ。その世界の人にとって。だってそうじゃない?ファンタジーであるのは10世紀ぐらいの世界で、テクノロジーも政治制度も現代並みじゃない。
現代が良いかどうかは別としてもね。もっとも、多量のちと汗の結果としての現代民主主義だから・・・ね。それを実現するために異世界で僕は革命家になる。そん時には僕はマキャベリの忠実な弟子だよな。」
ドアが開いてカエルの軍曹が入ってきた。
「軍曹、朝食をお願い。」
「任せるであります。ゲロゲロ。」
そう言ってカエルの軍曹はキッチンに向かった。

「今日の朝刊は・・・と、おお、なかなか面白くなってきたな。」
そう言って孝明が指を指した先には注目すべき記事があった。
「ロシア政府、対日賠償として天然ガス・原油のパイプラインの太平洋ルートへの早期着工を承認。」
「これのどこがおもしろいん?」
翔が孝明に尋ねた。
「最近の原油高は中国の旺盛なエネルギー資源にその原因の一翼があります。もっとも、アメリカの拙いイラク政策もありますけどね。中国はわが国の60〜70年代がそうであったように使用エネルギーの転換が起こっているのですよ。つまり・・・」
「いくらあっても足りない。」絵里が言い切った。

「さすが慎吾おじの後釜を狙って新潟一区からの出馬を狙っているとうわさの絵里ちゃん。そのとおり。」
「それはあくまでもう・わ・さ!!」
「まあいいや。先を続けよう。それでだ、中国のエネルギー消費なんてブラックホールみたいなもんだ。その旺盛な消費に世界のマーケットが混乱をきたしつつある。
その結果がWTI(ニューヨーク原油先物市場)が一バレル=70ドルを突破し80ドルに近くなるのも原因はいろいろあるが・・・」
「もっとも大きな問題は東シナ海じゃない?」
「なおちゃん、取れるか取れないか分からないものによくもまああんなに資金を費やすなと思うよ。原油の採掘なんて100本掘って3本当たれば万々歳の世界なんだよ。しかもあの海域はメタンハイドレードだらけ。もうわけわかめの世界だよ。」
「楽しい世界やな・・・あたしも大学は政治の世界に行こうかな・・・」

「翔ちゃん、面白いよ〜。うちのところ使えば良い。先を進めよう。そこで中国が興味を持っていたのはシベリアだよ。あそこなら原油も天然ガスもあるのは分かっているからね。パイプライン構想では中国が日本よりも先を進んでいたんだな。
ところが今回の事件で一挙に狂ってしまった。日本向けのルートが恐らく「賠償」代わりに選考が決定されてしまった。中国は面白くないだろうね。」
「連中はそれが狙い?」
「綾菜、僕はそれは違うと思う。そんなめんどくさいこと連中がするかな・・・」
「どういう事?」
「日中戦争は連中にとっては好機であることには間違いない。しかし、反「DIABRO」では日中露は共同戦線だ。対テロ戦争におけるアメリカとキューバとリビアの関係を見ても分かるでしょう。いつもは相反している我々は言ってみればひとつになっている。
しかも、「チベット」と言うデリケートな場所で事件を起こされたんだ。中国とて脅威だよ。」

「じゃあ、この結果は偶然?」
「大方慎吾叔父と慎一叔父の陰謀の結果じゃない?ロシア政府の因果関係には目を瞑る代わりに原油と天然ガスを要求した・・・」
「ありえる話ね。」
「だろう?絵里?そこのじいちゃんと大河内の勝叔父が絡んで・・・」
「政・学・行の鉄壁のトライアングルね。うちらは・・・」
「アメリカに学んだんだよ。」そう笑って孝明はコーヒーを飲んだ。しばらくしてゲロロの運んできた朝食をおいしく頂いた。

90 :ONE WEEK(168HOUR) :2005/09/16(金) 09:59 ID:???
「今日はどこに行こうか?実は昨日の夜じいちゃんから翔ちゃんを新潟のうまい店に連れて行きなさいって資金援助をしてもらったんだ。」
そう言って孝明はみんなに一万円札を5枚とゴールドのアメックス(アメリカンエクスプレスカード)を見せた。
「おお!!」
大橋家の中から声にならない声が起こった。
「ど、どういうことや〜〜?」一人分からない翔がうめいた。
「つまり・・・食べ放題。」絵里がそう笑いをこらえて言った。


0800・新潟県新潟市河渡地区
「おはようございます。孝明先輩。」
「だ〜か〜ら〜、僕は体育会系じゃないからその「先輩」と呼ぶなって言っているだろう?」
笑いながら孝明が言った。国道113号線沿いのとあるコンビニの前で大橋家ご一行様、孝明の運転に助手席の菜穂子、後部座席には絵里と奈津美と綾菜、それに翔が座っていた。
「今日はお招きありがとうございます。」
そう言って後部座席に對馬愛子(つしまあいこ)が乗り込んできた。ナビも菜穂子から変わった。ナビに座ったのは綾瀬直樹(あやせなおき)である。
「よし、どこに行こうか!?」
やけに張り切って孝明が言った。

「新潟らしいところ・・・新潟市とその近郊で・・・う〜ん。そうだ!!」
そう言って直樹がユビパッチンをした。
「たかさん、朱鷺メッセに行きましょう。」
「よし来たぁぁ!」
車は国道113号線から新潟市内へと向かって走り出した。しばらく走っていくと昭和シェル石油の貯蔵タンクだったところを通過した。

「1964年の新潟地震のとき、この石油タンクが燃えたらしくてね・・・母さんがよく話していたよ。」
孝明がそう説明を行った。
「燃えたんですか?」
「そうだよ?翔ちゃん。石油タンクって別にベムスターに襲撃されなくても燃えるんだよ。2003年の十勝沖地震でも約40年ぶりに、この言い方が正しいかどうか知らないけど燃えたからね・・・
人智ではなかなか難しい・・・さて、このままみなとトンネルを通過して一気に柳都を越える手もあるけど・・・真っすぐ行こうか。」車はそのまま直進した。
「ここが山ノ下地区。新潟の「シモ」と並ぶ市場の有名な地区だよ。僕の母さんもよく食料品を買っているんだ。」
「市場?」翔が尋ねた。

「うん。新潟市とその周辺は結構市場が盛んでね。スーパーよりも新鮮で安いから結構繁盛しているよ。うちのところでも市場が立つよ。」
車は山ノ下地区を通り過ぎ、宇部興産の工場を通過して新潟市中心部へと入る・・・かと思いきや。

「ちょっとよっても良いですか?」
その直樹の言葉を聴いて車は新潟西港に入って行った。彼らの乗る日産・エルグランドは新潟西港の旅客ターミナル付近で停まった。
「降りましょう。」そう言って8人は車から降りた。
「潮風がここちえ〜なぁ〜」翔がそう呟いた。
「今日はいるかと思ったんだけどな・・・」
そう言って残念そうに直樹が呟いた。
「残念だな。最も、ここの港は僕は好きだけどね。横浜とか東京港ってなんか忙しなくてさ、その点新潟港は・・・」
「静かだよね。」

よく晴れた晴天の日だった。港ではのんびりと釣りをしているおじさんが結構いた。
「つれます?」
そう奈津美が一人のおじさんに話しかけた。
「ぼちぼちだねぇ・・・」
「しまった。マックかモスかミスドでコーヒーでも買って来れば良かった・・・」そう残念そうに絵里が呟いた。
「まあいいじゃない?久しぶりに潮風を感じて翔ちゃんもうれしそうだよ。」
孝明が指し示す先にはターミナルの屋上で景色を見ている翔と菜穂子がいた。

91 :ONE WEEK(168HOUR) :2005/09/16(金) 10:00 ID:???
「菜穂子さんは不安やないんですか?ウルトラマンに変身することって・・・」
「最初は不安だった。バードンのときに始めて変身して・・・死に掛けていた、ほとんど死んでいたジャスティスとレイとシェイドと、そしてコスモスを救った時はとても不安だった。自分が死ぬかもしれない恐怖でさ。」
笑いながら菜穂子はそういった。
「そして始めてダークオブディアボロスと始めて戦ったとき、あたしは死に掛けた。もうすぐで死ぬかと思ったんだ。何とか生きて帰ってきたけど・・・あたしは怖くなって逃げ出したんだ。戦いから・・・でも・・・」
「でも?」
「たかくんがあたしを救うために変身してくれた。大橋のおじ様たちがあたしを救うために必死になってくれた。それであたしは踏ん切りがついたんだ。もう逃げない、あたしは戦うんだってね。」
そう言って菜穂子は手すりにもたれ掛かった。
「あたしは守るよ、この世界、ううん。たかくんも奈津美も絵里も紗子も由衣も・・・大橋のおじ様もおば様もおじい様もおばあ様も綾菜もみんなを守るために戦うのよ!」そう言って笑いながら右手を握り締めた。
「そう硬く考えなくてもいいんじゃないか?」そう言ってドアが開いて孝明が入ってきた。
「なおちゃん、行こうか?」


0900・東京都千代田区永田町・内閣府
そのとき、内閣総理大臣首席補佐官大橋慎一郎は内閣府の会議室である男たちを待っていた。
「どうぞ。」
彼の秘書官がその男たちを部屋に案内した。
「ありがとう、呼ばれるまで下がって良いよ。」
そう言って秘書官を下がらせた慎一郎はペットボトルを差し出した。
「首席補佐官のおもてなしがペットボトルとはねぇ・・・」
大河内投資銀行頭取にして大河内金融グループの総帥、大河内博がそう笑いながら受け取った。
「全くですよ。」
そういって同じように受け取ったのは大河内総合商事社長大河内勝である。
「で、どうなんですか?政府の政策は?今日はそのすり合わせでしょう?」
大河内製作所社長の大河内功一が言った。
「そうなんだよね。いつもやっている情報交換会だよ。もっとも、今回は早急の論題が多くてね。情報が集りやすいここになったわけだ。」
「政府部内も大変だね。最も、明石海峡大橋の件はうちに任せてもらえれば何とかするさ。」
そういったのは大河内総合建設社長の大河内景一である。
「そういえば彰さんは?」
「ああ、彰はいまイラク関係の受注でワシントンだ。」
大河内系の企業のいずれもが日本を代表する巨大コングロマリッドである。
「で、今日の論題は?」
「原油高と巨大生物災害が与える日本経済への影響、そして・・・」
「そして?」
「巨大生物に関する非正規戦が与える日本経済への影響とその対策、です。」
極秘の経済関係会議が始まった。

92 :ONE WEEK(168HOUR) :2005/09/16(金) 10:03 ID:???
同時刻・新潟県新潟市・万代島・朱鷺メッセ

朱鷺メッセとは、新潟県に新潟市が共同で出資した万代島再開発事業の一環のコンベンションセンターである。
その中核をなすのが日本海側最高の高さを誇る高層ビルである。その最上階で8人はコーヒーを飲みながら景色を見ていた。海の向こうには佐渡島が、後方には飯豊連峰や山々が聳えていた。
「佐渡か・・・行っても良いんだけど時間がねぇ・・・」
ストレートティーを飲みながら孝明が菜穂子に言った。
「行かなくて良いんじゃないの?で、お昼はどこに行くつもり?」
「なおちゃんも食欲旺盛だねぇ・・・いまいま10時のお茶をしているのに・・・まあ、あそこしかないんだけどね、行くとしたら決まっているよ。
ってか、新潟外の人を招いて案内するところってまずあそこ以外に思いつかない。」
「まさか・・・あそこ?」
菜穂子には分かったようだ。
「だからゲロロには朝食は軽くって言ってあるんだ。」
「そういえば何だかお腹が空いてきたような・・・」

「よし、そろそろ行こうか。夕方もう一回来るしね。」
そう言って車に戻った8人を乗せ、エルグランドは国道113号線を新潟市中心部へと走っていった。新潟市中心部の万代シティ前の交差点が見えてきた。
「ここの通りは別名「ポトナム通り」って言うんだ。」
運転席で孝明が案内を始めた。
「ポトナム通り?」
「1959年から始まった在日韓国朝鮮人の北朝鮮への帰国事業の日本側の港がここ新潟だったんだ。北朝鮮へ「帰国」した人々がその別れに植えて行ったのが、このポトナムの木だったんだよ。」
悲しそうな表情を浮かべて孝明が言った。
「この街は、朝鮮半島との交流の光も影もあるのさ。」

そこの交差点は国道113号線から入ると正面にダイエー新潟店が見える。車はその交差点を右折して新潟市のシンボル、万代橋を渡った。橋の両方はきれいに整備されていた。
「なんやきれいやな〜〜」
「あさってから新潟祭りだからね。みんな張り切っているのさ。」
そう言って孝明は一枚のCDをデッキに放り込んだ。
「あぁ〜あああああ、にいがたむ〜こ〜じ〜まぁの〜」
いきなり民謡がかかりだした。
「なんなん?これ?」
唖然として翔が尋ねた。
「新潟祭りのメイン、大民謡流しでかかる「新潟甚句」だよ。もっとも、佐渡おけさほどの知名度はないけどね。知っている?佐渡おけさって全国のカラオケボックスで歌えるんだよ?」
車は新潟市の中心、古町地区へと入って行った。国道7/8号線の両脇を金融・商業の企業が軒を連ねている。最近では大河内グループの進出が目覚しい。
正面にフジカラーの看板が見えてきた。車は古町モール7番町と8番町を隔てる交差点で停止した。

「孝明さん?あの建物は何ですぅ?」
翔が孝明に尋ねた。
「ああ、あれ?NEXT21っていう商業施設だよ。ラフォーレ原宿やいろいろなショップがテナントとして入っているんだ。もともとあそこには新潟市役所があったんだ。
もっとも、僕が生まれるずっと前の話だけどね。その向かいが三越、その斜め向かいが大和百貨店。面白い話をしようか?新潟の人って三越よりも万代シティの伊勢丹によく行くんだ。なんでか知ってる?」
「ううん。」
「なおちゃん、説明して。」
そう言って孝明が菜穂子に振った。
「古町ってきのう来たでしょう?その時車どこに止めた?」
「そう言えば・・・結構大きな駐車場やったな・・・」
「田舎にいけば行くほど持ち家率と車を持つ率が上がるのよ。公共交通機関があまりないからね。そうなるとみんな車になる。古町って、江戸時代やそれよりもずっと前から続く由緒ある街なのよ。となると・・・」
「駐車場の敷地が無い。万代シティって駐車場完備されているのん?」
「そうだな・・・古町に比べたら・・・ねぇ。」
そう言って孝明が言うと新潟に住んでいる全員が頷いた。そうこう言っているうちに車は東大通を越えて新潟市役所を通過した。

93 :ONE WEEK(168HOUR) :2005/09/16(金) 10:05 ID:???
「市長、書類ここにおいておきますね。」秘書に言われて新潟市長高山健一は顔を上げた。
「分かった。そこにおいておいてくれ。」
「この通りは昔、路面電車が走っていたんだ。新潟交通電車線って言うんだけどね。そのおかげでうちの中学は中学なのに冷房が入っているんだ。」
道路は次第にJR越後線と並行して走りだした。
「上を走るのはJR越後線、僕たちが通学に使う路線だよ。」
JR越後線の高架を潜り、道は再び信濃川と並行して走っていた。車は左に曲がり信濃川にかかる千歳大橋を越えた。

「後ろ見てごらん。」そう菜穂子に言われて翔は振り返った。
「体育館が見えるでしょ。そこがあたしたちが通っている石善中学高校だよ。」
「確かに新潟県庁の真正面やな・・・」
確かに学校は新潟県庁の真正面にあった。

「知事、首相は予定通り6日から新潟入りです。」
「そうですか・・・では6日の夜に古町の料亭の予約をお願いします。」
新潟県知事新谷武人は丁寧な物腰で秘書に指示を出した。
「あいつと飲むのも数年ぶりだな。」
車は新潟県庁前の交差点を右折した。
「もうすぐだよ。」
確かにすぐに目的地に到着した。
「『小嶋屋』?」
翔が不安げに聞いた。

「直樹、予約は取ってあるよね。」
「大丈夫大丈夫。」そう言って直樹と愛子は店の中に入って行った。しばらくして、
「OKだよ!」の声がした。
「なんやの?この店?」
「おそばの店だよ。」
そう奈津美が言った。
「新潟県中越地域で有名なおそばに「へぎそば」って言うのがあるの。
へぎって言うざるにふのりをつなぎに使ったそばが食べやすいようになった状態で盛られているのよ。おいしいわよ〜。たかくん、天婦羅付き?」
「オフコース!」
孝明は親指を上に立てて言った。


1000・東京都福生市ほか5市町村・アメリカ空軍横田基地
翔たちが新潟食いだおれの旅を始めたころ、緊張感で胸が張り裂けそうになっている少女が一人、横田基地にいた。
「今回は私に同行してもらえれば大丈夫です。」
そう言って待機していたボンバルディアCRJ200輸送機に秀信と風香、警護官6名の計8名が乗り込んだ。機はすぐに滑走路をランディングし始め上空へと消えていった。

「これからお見せする書類はNICとICSA、警察庁、海上保安庁、防衛庁情報本部、陸海空の各幕僚監部情報部の関係の情報すべてです。読後焼却、他言無用に願います。」
テーブルを挟んで向かい側には風香が座っていた。
「しかし・・・正直な話私は貴女がOKするとは思いませんでしたよ。」
「私も百合子先輩のことは見てきましたし・・・一回シェイドにもなりましたから・・・先輩がピンチに陥っているのなら、あたしも助けたいです。そのつもりで、この組織に入りました。」
「貴女は大学も彼女と同じでしたよね?大学構内での不審人物との接触その他に関しては貴女にお任せします。とりあえず、これを持っていてください。」
そう言って秀信は内線電話で警護官を呼び出した。

「斉藤さん、例のものを。」そう言って斉藤は風香に拳銃を渡した。
「シグ/ザウアーP2390です。あとの装備は横田に帰ってからお渡しします。」
「私は普通の女子大生ですよ。これの使い方なんて・・・」
「あとで小岩井さんにお願いしてもらうつもりです。」 

94 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/09/16(金) 10:06 ID:???
国防委員長が新潟観光・グルメガイドをお送りいたします。(笑)

95 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/09/25(日) 02:26 ID:???
菜穂子の話のくだりで咲月の存在が無視されてるのが残念。
一応、特訓した関係なのに。

96 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/09/25(日) 02:38 ID:???
>>95
あ・・・

その内出します。

97 :国防委員長 ◆Ps6jeUWgS6 :2005/09/25(日) 02:43 ID:???
>>59
でもっとケンドロスさんが食いつくと思った・・・

98 :第59話 「予兆」 :2005/09/29(木) 21:15 ID:???
ウルトラマンジャスティス
第59話 「予兆」
回転怪獣 ホイールスピン 登場

とある場所にて一人の眼鏡をかけた男が何やらモニターを見ている。
そこにはかつてウルトラ戦士達と戦った怪獣達のデータが入っていた。
彼はTEAM GENESISの隊長でもある。GENESIS自体は前回の戦闘でも功績をあげている。
だが、肝心の隊長はどこかへ行ってしまっていた。

「メビュート、ゴルザ、ネオガイガレード、ブラックキングあたりが妥当か」
「何をそんなに調べているんだ?」
後ろから声をかけられるが、彼は振り向かない。その間にも映像は切り替わり、
ジャスティス、レイ、コスモス、シェイドが敵と戦っている映像が映し出された。

「君か、後藤。いやどの敵がふさわしいかちょっとチェックしてるんだよ」
「チェックねぇ。今のお前がそんな事をする必要もないと思うけどな」
「念には念をって事さ」
モニターの映像には春日歩、榊弥生、春日翔、平井百合子が変身する瞬間までもが映し出されていた。

「しかし、あいつ等がこの事を知ったらどう思うだろうな?」
後藤の言うあいつらとは隊員達の事である。この事は隊員達には知らせていない。
知っているのは彼と後藤、そしてここには現われていないが研究スタッフ達である。

「まあ裏切られたと感じるだろうね。でも組織の上層部が情報を隠してるなんてよくある事さ。
ま、そこが固い結束力を持ってるHOLYやムーンキャッスルと僕達の違いだ」
後藤はともかく、彼はさほど隊員達をあてにはしていないようだ。
おもむろに彼は席を立つ。

「どこへ行くんだ?」
「一度くらいは会った方がいいと思ってね。もしもの時の為に」
「そうか。じゃあ俺はここにいるからさっさと行ってくるんだな、
で、場所は分かるのか?」
「それも把握している。じゃあ行ってくる」
そう言って彼は部屋を出ていった。
後藤が上を見上げるとそこには巨大な石像があった。

99 :第59話 「予兆」 :2005/09/29(木) 21:16 ID:???
同じ頃、月面に存在するムーンキャッスルでも以前と同じように五人の人間が集まっていた。
橘瞬、和田明菜、結城かなめ、長谷川一志、松田千秋の五人である。それぞれ参謀クラスの人間だ。

「先輩、ガルザードとの戦いで現われたあの巨人は何者なのですか?」
まず和田が口を開く。ジェネシスと名づけられたあの巨人の事だ。

「私達の味方だといいなぁ〜」
「そんなのそうである方がいいに決まってるじゃない!」
ゆっきーが気楽に言うと松田が咎めるような口調で言った。

「あれも後藤達と関係あんのか?」
「まあ関係あるといえばある。味方かどうかはまだ判別つかないな」
長谷川の問いに橘はやや曖昧な返答をする。

「そんな曖昧な返答ではなくてハッキリと言ったらどうなの?」
「俺自身もまだ完全には事態を把握していないんだ。推測だけでものを言う訳にもいかんだろ」
和田がビシィと指を指して言うが、橘はやれやれと首を振るだけだった。

「どっちにしろ、今はまだ様子見ってとこだな。ここんところの連戦で俺達も結構きついからな」
それに関しては誰からも反対意見は出なかった。

「あいつら、本当に何やらかそうとしているんだ?」
長谷川はそれがわからない為か少しいらついている。
とにもかくにもここで会議は一端終了する事になった。

「先輩、お疲れ様でした。これ飲んでいって下さい」
とゆっきーはコーラを差し出してきた。

「おっ気が利くな。ちょうど喉が渇いていたんだ」
そう言って橘はそれを飲む。だが・・・・・・・

「ぶっ!!」
橘はそれを吹き出した。危うく和田にかかりそうになった。

100 :第59話 「予兆」 :2005/09/29(木) 21:19 ID:???
「何やってんのよ、汚いわね」
「そうは言ったってこれ、思い切りぬるいぞ!炭酸なんて全然ねーし!」
「いつも「かなめちん」言ってるお返しです!」
「お前って相変わらず黒いよな」
「言えてる」
長谷川と松田はそんなゆっきーを少し白い目で見ている。

「勘弁してくれよかなめちん。こーいうドッキリは」
「だからかなめちんって呼ぶのやめてくださーい!!」
「何やってんだか。まるでコントね」
そんな二人のやりとりを見て和田は呆れていた。

「ところで長谷川君、千尋ちゃんの事どう思ってるの?」
「な、何を言い出すんだ松田さん!」
「こっちはこっちでなんだかなぁ」
と長谷川と松田の方を見てため息をついていた。

そしてその頃、美浜ちよは向こうでの大学の講義を終えて帰路に着いていた。
無論、出動命令がかかってないのでアメリカにいる。
今回メルビィ・クリスティは小説を書く資料を集めに取材に出かけている為に
家にはいないのであった。

「おっ、ちよじゃないか。久し振りだな〜」
「メルビィさんはまた取材旅行だって」
「あっ、こんにちはリックさん、フェリーさん」
声をかけてきたのは短髪でやや背が小さめの男のリック・ローランド、
長髪の男のフェリー・シモンズだ。どちらも金髪である。
彼等は16話にてちよと知り合った者である。
そこにもう一人駆け寄ってくる。この中で一番背の高いフェルム・リードベルトである。

「最近ますます活躍しているみたいじゃないか。こっちにもその話が伝わってきてるぜ」
「そんな活躍だなんて。私なんてまだまだですじょ」
ちよは少し照れたように頭をかいた。

「そうだ。さっき日本からちよに会いにきたって奴がいたぜ。
そこの喫茶店で待たせてあるから行ってきなよ」
「え?一体誰だろう?」
「おお〜ちよのボーイフレンドか?」
「へぇ〜ちよもスミに置けないなぁ〜メルビィさんが聞いたら黙ってないぞ〜」
「そ、そんな人いませんのだ!それにメルさんは関係ないです〜」
からかう三人にちよは顔を真っ赤にして否定する。

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