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【他作品】クロスオーバー・あずまんがSSスレッド【コラボ】

1 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/09/03(土) 23:44 ID:???
ここはあずまんが×他作品のクロスオーバー作品用スレッドです。
あずまキャラを他の世界観に置き換えたり、また逆も然り。
そんな想像を作品にしてどんどん投下していって下さい。
また〜り楽しんでいただければ幸いです。

★主な注意事項
1.対象範囲は「あずまんが大王」及び、連載中の「よつばと」とします。
2.ここの作品はいわゆる「戦い系」の長編作品を多く含みます。
3.他人の作品に対し罵倒、中傷は絶対にしないでください。
※その他の注意事項は、>>2以降で記載します。

401 :第63話 「銀色の瞳のイザク」 :2005/12/24(土) 22:34 ID:???
「ショックだよね。その大山って子とはあたしも知ってるだけに、尚更ね」
「はい」
落ち込んでいるせいか、ちよの声には元気がない。

「どうする?今日は大学もHOLYも休むかい?」
「大丈夫ですメルさん。みんなに迷惑かかってしまいますし、私は行きます」
「そう。でもくれぐれも無茶はしないようにね。あたしもちょっと原稿届けに行ってくるわ」
「はい、では行ってきます」
そう言ってちよは家を出た。
大学の講義を終えて、日本へと向かう。基地に向かう途中神楽とであった。

「よっ、ちよちゃん」
「あ、神楽さん。こんにちは。それに紗奈ちゃんも」
「こ、こんにちは」
紗奈は神楽の後ろに隠れるように挨拶する。

「もしかしてモーグ達を見に行っていたのですか?」
「そう。その帰りなんだよ」
モーグやリアードといった人間に害を与えない怪獣達は突然変異で出来た島に住んでいるのである。
モーグの生まれは浅霧高原であるが、木村琴音総監の計らいでその島に住まわせてもらう事になっているのだ。
今の所リアードとモーグが争ったという話はない。リアードは夫婦怪獣で浮気さえしなければ暴れないし、
モーグも元来大人しい怪獣なので暴れるといった事はない。

「面白かった?紗奈ちゃん」
「うん。とっても」
紗奈は随分と嬉しそうだ。今日は特別にその島の怪獣達とふれあうイベントをどこかが企画したらしく、
神楽はせがむ紗奈を一緒に連れて行ったのだ。

「彪乃お姉ちゃんも結構楽しんでたよ」
「くすっ、すっかりお姉ちゃんですね、神楽さん」
「へへっ、まあな」
鼻をこすりながら神楽は笑った。

「さてそろそろ基地に入らないとな。みんなが待ってる。じゃあな紗奈」
「そうですね。基地に入りましょう。またね紗奈ちゃん」
「うん」
そういう訳で二人は基地へと入り、隊員服へと着替えた。

402 :第63話 「銀色の瞳のイザク」 :2005/12/24(土) 22:36 ID:???
「何だか眠いねん」
「大阪もか。あたしもだよ」
「お前等ダレすぎだっての!もっとシッキッとしろよな」
机に突っ伏して眠る歩と智に呆れる暦。

「あ、そういえばちよちゃん。ちよちゃんに手紙来てたよ」
「何か、有名な科学者らしいけどちよちゃんの知り合い?」
とかおりんや千尋から言われ手紙を受け取るちよ。
早速封を開いて読むことにする。

「どんな事が書いてあるの?」
榊も気になるらしい。ちよと一緒に手紙を読むことにする。

「生物研究所のお知り合いの方からです。私ではなくてお父さんのお知り合いですけどね」
「でもちよちゃんに出したって事はちよちゃんに見てもらいたいものがあるからでしょ」
暦の質問にちよは「そうかもしれませんね」って呟く。そして続きを読む。

手紙を読んだところ簡単に要約するとどうやらこの差出人はクローン技術を用いて
絶滅してしまった動物をクローン再生して蘇らせようとしているらしい。
その最初のテストケースの実験をするから是非見に来てほしいとの事だった。

「で、どうするの?行くの?」
「はい。お呼ばれしている以上、やはり行かない訳にはいきませんから」
「じゃあ、あたしも一緒に行くー!」
「アホ!お前が行ってもしょうがないだろ!」
神楽が智の頭を軽く小突く。

「なんだよー!神楽にアホって言われたくないぞ〜。ボンクラーズの中で一番点数低いくせに〜」
「うるせー!ボンクラーズ言うな〜!」
智と神楽は言い争いを始めてしまった。

「また始まってもーた」
歩は机に突っ伏した状態でそれを眺めている。榊はどうしていいか分からずオロオロしている。

「ほら、お前等それぐらいにしておけ。とにかくちよちゃん。そこに行って来なよ。こっちの事は私達に任せておいてさ」
「分かりました。どうもありがとうございます」
暦に促されちよはその生物研究所へ行く事となった。

403 :第63話 「銀色の瞳のイザク」 :2005/12/24(土) 22:38 ID:???
その生物研究所へ行く途中の道のりでの事であった。これまで晴天だった天候が暗雲が
立ちこめ、今にも降り出しそうな様相を示してきたのである。

「これは急がないと降り出しそうですね」
ちよは駆け足でその研究所へ向かう。その頃、生物研究所ではいよいよ実験が開始されようとしていた。

「彼女が来るまで少し時間があるが、初めてしまおう。きっと驚くぞ」
「僕達のクローン技術が絶滅した種を復活させる事に役立つんですね」
「そうだ。そして最初のテストケースはこいつだ」
彼が指を指した先にはこう書かれていた。「アルテスタイガー、イザク」と。

「では早速、実験を始めるとしよう」
「はい!」
だが、この光景を宇宙空間にいるちよ父が見ていた事など、彼等は知る由もなかった。

「ふふふふふふ。お前達の実験とやらに協力してやろうではないか」
ちよ父は不気味に笑うとその眼を赤く光らせる。すると地上では突如雷雲が発生し、研究所を襲った。

「あっちは研究所の方ですね。何も起こらなければいいんですけど」
雷に怯えながらもちよは研究所へと急いだ。

「所長!今の落雷のショックで各器官に異常が発生しています!」
「何だと!?」
そして次の瞬間だった。イザクの遺伝子が収納されたケースから雄叫びのような声を聞いたのは。

「まさか、イザクが復活したのか!?」
「でも所長、これは明らかに異常です!うわああああああ!!」
そのケースをぶち破って何者かが、姿を現した。そしてそれはみるみるうちに
巨大化していって、研究所を壊していった。

「あれは!?研究所の方・・・・・・」
ちよも異常事態に気づいた。目指す先にある場所に何と巨大生物が出現したのだ!
それは明らかにとある動物を連想させる姿だった。

「銀色の眼の虎。まさか・・・・・・」
ちよが呆然となっているとその銀色の眼をした虎は俊敏な動きで駆け抜けていった。
その影響なのかどうかわからないが、大雨が降り出した。

404 :第63話 「銀色の瞳のイザク」 :2005/12/24(土) 22:40 ID:???
その頃歩と榊は奇妙な幻を見た。自分が複数のハンターと思わしき人間に追われ、それに抵抗して撃たれるというものだ。
息遣いからして人間でない事は分かった。それはほんの一瞬の出来事に過ぎなかった。
場所も日本ではなく、どこか遠い場所のようだ。

「弥生ちゃん、今のなんなん?」
「歩も見たのか。私も見た。でも何の事なのかよく分からない」
歩や榊の脳裏にその光景は焼きついている。そしてそれを考える間もなく警報ベルが鳴る。

「はい!分かりました。A地区のコンビナートに怪獣出現!出動要請が来ているわ!」
かおりんが通報を受け、皆に報告する。

「よーし出動だー!」
「でもまだちよちゃんが」
「そや、ちよちゃんがおらへん」
意気揚々と出撃しようとした智に対して歩と榊が不安そうに呟いた。

「連絡をとってみたんだけど、さっきの雷撃のせいなのか全然通じないんだよ」
千尋は首を横に振る。

「だったらなおの事早く行こうぜ!!」
結局神楽に押し切られる形で出撃する事となった。

「榊、あんたは地上から出てくれ。ちよちゃんと合流する為にも」
「分かった」
暦の指示に榊は従い、榊はブラックイーグルで出撃する事になった。

コンビナートでは先程巨大化した巨大な虎が暴れていた。その瞳は銀色に輝いている。
火炎を吐いてコンビナート周辺の破壊を始める。また身軽に動き回り、高く跳躍も出来るようだ。

「あれが今回の敵か。まるで虎だな」
「じゃなくて虎そのものだろ。まずは牽制してみるか」
暦はホワイトウイングに乗って、怪獣の足元を狙ってレーザーを射出する。
怪獣は素早く動いてそれを回避する。

「うわ〜はえぇ〜」
「怪獣なのに新体操の選手みたいに動き回ってるよ!」
智と神楽は怪獣の動きに感嘆する。

405 :第63話 「銀色の瞳のイザク」 :2005/12/24(土) 22:42 ID:???
「バカ!驚いてる場合じゃないだろ!回り込むぞ!ボンクラーズは三機に
分離して怪獣を三方向から仕掛けてくれ!私は正面から奴を惹きつける!」
「よっしゃ、神楽、大阪!レッドファルコン分離だ!!」
「おうよ!」
「分かったで〜」
言われた通りボンクラーズは戦闘機を三機に分離させる。
暦の乗るホワイトウイングは正面から怪獣に接近してギリギリまで惹き付けた。そしてそこから顔面にミサイルを叩き込む。
怪獣の額に命中して怪獣は痛そうに顔面を手でこする。
そしてその攻撃に怒ったのか、爪を使って落とそうとする。

「おっと!危ない!」
爪が機体をかすめたが、何とか持ちなおした。その隙をついて三方向から
回り込んだ三機が一気にレーザーを同時射出する。怪獣はそれに気づき、俊敏な動きでそれを回避する。

「あーもう!完璧にとらえたと思ったのにな〜」
「あんなにピョンピョン飛び跳ねられたら捕まえづらいよな!」
「どないするん?」
怪獣はそのスピードをもって彼女達を翻弄する。

「あの怪獣、どこかで見た気がする。直接って訳じゃないけど」
「え?それ本当?」
千尋はコンピューターをいじりながら呟く。かおりんはモニターから目を離さずに聞いた。

「ちよちゃん!無事で良かった!」
ブラックイーグルでちよ救出に向かっていた榊は崩壊し建物の前にいるちよを発見してホッとした。
しかしちよは呆然となっており、榊がその体に触れるまで気づかなかった。

「ちよちゃん、どうしたの?」
「榊さん・・・・・・これが落ちていたんです」
ちよからプレートが手渡された。そのプレートにはこう書かれていた。『アルテスタイガー イザク』と。

「それじゃあここは生物研究所。中の人達は・・・・・・」
「私の知っている人達は大怪我を負いましたけど、何とか助かってさっき救急車で運ばれました」
「そうなんだ」
しかし、それでもちよの表情は優れない。

「行こうちよちゃん」
半ば強引にちよを後ろに乗せて榊はブラックイーグルを発進させた。

406 :第63話 「銀色の瞳のイザク」[ :2005/12/24(土) 22:45 ID:???
「そうですね。ここでこうしていても仕方ありませんね」
ちよは乗ってからそう言ってきた。

(イザク・・・・・・・もしかして、さっき見たあの幻と関係が・・・・・・・)
そう考えた榊の脳裏に再びあのビジョンが浮かび上がった。
それは歩も同じで怪獣との交戦中にそれが突如浮かんできたのだ。

(え?これって!)
「大阪!何やってんだ!来るぞ!」
神楽に怒鳴られハッとなって前を見ると怪獣の爪が2号機を捉えていた。

「ああああああ!あかん」
2号機はそのまま失速していく。

「大阪!この!!」
智の乗る1号機がミサイルを発射するものの怪獣は素早く身を翻す。
さらには神楽の乗る3号機とホワイトウイングを口から吐く火炎で牽制した後、
目にも止まらぬスピードでこの場から逃走した。

「かおりん!レーダーで奴の動きを追えないか?」
「駄目!速すぎてレーダーじゃ追いきれない!!」
怪獣はどこかで地底に潜ったらしく、その姿は完全に見えなくなってしまった。

「銀色の眼・・・・・・やっぱり・・・・・・・」
途中から現場に到着したちよと榊もその様子を見ていた。
ちよは怪獣の姿を見て改めて何か確信を持ったようだ。

「歩、大丈夫か?」
榊はそのまま不時着した歩を助けにいった。幸い歩はどこも怪我を負ってはいなかった。

「平気やで、弥生ちゃん。それより怪獣は?」
「逃げた。それよりも歩、私はあのビジョンをまた見た。歩は?」
「あたしもや。だからこんな事になったんやけどな」
と、こんな状況なのに軽く笑ってみせた。

「あれは一体なんなんやろう?」
「さあ。でも今度出てきた怪獣と関係があると思う」
歩は榊の手を借りて歩くことになった。

「あれはイザクです」
二人のそばにやってきたちよは二人にそう告げた。

407 :第63話 「銀色の瞳のイザク」 :2005/12/24(土) 22:46 ID:???
「イザク?」
二人はちよの言葉に歩は榊の方に視線をやる。

「さっきちよちゃんが持っていたのに書いてあったんだ」
そう言って榊は歩に「アルテスタイガー イザク」と書かれたプレートを差し出す。

「じゃあもしかして?」
さすがの歩も気づいたらしい。それを見てちよは頷く。

「ええ。あの怪獣はこのイザクが巨大化したものと思って
間違いないと思います。とにかく基地に戻りましょう。詳しくはそこで話します」
ちよに言われて彼女達は基地へと戻る事となった。

「まだなの〜千尋〜」
「ちょっと待って!確かここら辺にあったと思うんだけど」
千尋とかおりんは基地にある資料室へと行ってとある書物を探していた。
データベースには怪獣や宇宙人に関するデータしか載っていない。
千尋はそれ以外の資料を探そうと思ってここにやってきたのである。
それに付き合っているかおりんはとても退屈そうだ。

「あった!これだ!」
そして千尋は一冊の本を取り出す。

「何それ?動物図鑑みたいけど」
「そう、あの怪獣に似たのをこういう本で見た事あるから調べてみようと思ったの」
言いながら千尋はページをめくる。そして見つけたらしく、そこで止める。

「あった!これだ」
「どれどれ?これがそうなの?」
そこにはアルテスタイガーイザクの事が載っていた。早速作戦室に戻り、それを持ち帰る。

「じゃあ、あの怪獣はそのなんとかタイガーが巨大化したって訳?」
「アルテスタイガーイザクだろ。それぐらい覚えろって」
智がアルテスタイガーの名前を言えなかったのを暦は咎める。

「ええ。あのプレートの文字から間違いないと思います」
「巨大化の理由は多分あの宇宙生命体が絡んでるって訳か」
神楽はまるでそこにいるかのように天を睨んだ。

408 :第63話 「銀色の瞳のイザク」 :2005/12/24(土) 22:50 ID:???
「そのイザクってのが載ってる資料を見つけてきたよ」
そこに千尋とかおりんが入ってきた。

「本当ですか?ちょっとそれ見せて下さい」
一番最初に飛びついたのはちよだった。

「どうしたのちよちゃん?随分慌ててるけど。まあいいけど、じゃあ開くね」
千尋はそう言ってイザクの事が載っている資料を開いた。
そこにはこう書かれていた。

『かつてアルテ平原一帯に生息していた誇り高い
アルテスタイガー最後の一頭で通称銀色の瞳のイザク。正式名称イザクプラチアード。
アルテスタイガーはかつて地上で最も美しい虎と言われていたが、
その毛皮と薬になる骨の為に人間によって狩られ1970年代に絶滅してしまった。
人間の手によってテリトリーから追いやられ、他の仲間と
散り散りになったイザクは重油混じりの水を飲みながら、最後の
最後まで人間と戦い続け死んでいった』

最後まで読み終えた時、重苦しい沈黙が流れる。アルテスタイガーイザクは
彼女達が生まれるよりも遥か前に人間達の手によって絶滅していたのだ。
そしてそのイザクは怪獣となって再び人間達の前に姿を現したのだった。

「何か私が前に育てたバレンシアのアレックスを思い出すな。アレックスの瞳にも
精製すれば薬になるって事があったものな。レイディアス星雲人がそれを狙って地球を攻撃してきた事も」
「あの時私は幸か不幸か、地球人にバレンシアの瞳を精製する技術はないって言った。
でももしあったなら、バレンシアもイザクと同じような運命を辿ったかもしれないね」
暦と千尋はかつて自分達が出会って育てた宇宙怪獣の事を思い出していた。

「イザクはもしかしたら私達人間を憎んでいるかもしれませんね」
ちよはポツリと呟く。その言葉に全員がそちらを見る。

「そうかもしれない。人間に狩られて最後の一頭にさせられてしまって
最後に絶滅させられたんだから。それも仕方ないかもしれない」
榊はうなだれるように頭を下げている。動物が好きな榊だからこそ
尚更アルテスタイガーイザクの境遇に同情してしまうのはかもしれない。

「だからと言ってこのまま放って置く訳にもいくまい」
突然誰かがこの回線に割り込んできた。服装からしてATDFや地球防衛軍残党ではない。

409 :第63話 「銀色の瞳のイザク」 :2005/12/24(土) 22:52 ID:???
「あなたは?」
「政府の防衛部長寺林康男だ」
その人間は手短に自己紹介をする。

「アルテスタイガーイザクがかつて我々人類が滅ぼした種であるのは間違いない。
そしてそのイザクがクローン怪獣として復活して、仲間達を滅ぼした
我々人間に復讐をしようとしている事も間違いないだろう。
しかし我々は黙ってイザクの犠牲になるつもりはない!よってイザクを排除する!!」
「待ってください!イザクの怒りを鎮める事は出来ないでしょうか?その怒りさえ鎮められれば」
「ウルトラマンにでも頼るか?だが、ウルトラマンも万能ではない。
それにいつも都合よく現われてくれるものではないだろう。その間に被害が広がる可能性だってある。やはり殲滅だ!」
「少し結論を急ぎすぎではないですか!?モーグやリアードのいる島へと移送してしまえばどうでしょう?」
ちよや暦が反論する。

「それもリスクがありすぎる!輸送に失敗した場合、被害は甚大なものとなる。
それに奴のスピードはATDFは勿論、我々のレーダーでさえ探知不可能だ!
そいつを見つけ出すのは容易ではない!これ以上犠牲を出さない為にも奴を叩く!そちらにもそうしてもらう!」
そういうと一方的に通信を切った。

「何だよ、イザクを助けようって気持ちはこれっぽっちもないのかよ!」
智は何も映っていないモニターに向かって悪態をつく。その時である。

「何とかイザクを助け出せないでしょうか?」
何とかイザクの怒りを鎮める方法はないかと思案する面々。
だが、この後とある人物からイザクに関して意外な事実が明かされるのであった。

410 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/12/24(土) 22:54 ID:???
リクエスト話を書いてみました。予告ではイザクを出す予定はなかったのですが、
ウルトラマン板の会議室で議論の末、イザクがこの話に適してるの事でサブタイトルごと
変えました。

一つ訂正。イザクを地面に潜らすのはマズったと思いました。これ以降ではその描写はありません。

411 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/12/24(土) 22:57 ID:???
>>400-409
お疲れ様です。
リアルでよませて頂きました。
ウルトラマン板での議論を読ませて頂きましたが、「イザク」とやらを使うようになったようですね。
普段よりも遥かに重たいテーマとムードが漂っているので、後半にご期待させていただきます。

412 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2005/12/24(土) 23:59 ID:???
>>400-410
お疲れ様です!!!

413 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/12/28(水) 03:40 ID:???
なんとか間に合った・・・
それでは、恐らくは今年最後になるであろう作品投下です。

414 :CHANGE GETTER ROBOT THE STORY  第8話 −CHANGE!!−(7) :2005/12/28(水) 03:43 ID:???
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この作品は暴力的・及びグロテスクな表現が含まれています!
閲覧は自己責任で!!!!!
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CHANGE GETTER ROBOT THE STORY

第8話 −CHANGE!!−(7)



雲を突き破り、地上から遥か遠くの上空で、
白色の陽光を背に浴びながら三つの戦闘機が連なり合って組み合い、
細い線と華奢な装甲で構築された戦闘機とは異なる一つの姿を形成する。

装甲と装甲がぶつかり合って舞い上がる炎の欠片の上を、機体の各所から迸る深緑色の閃光が機体を
包み込むように空中に線を引きながら、空の一角で雷雲のように激しい光が拡散する。

その光はしばらくの間空で煌きながら、陽炎のように
揺らめく炎が消えゆく様に、深緑色の余韻を残しながら、ゆっくりと消えていった。

暫しの間、深い静寂が戦場を包む。
時が停止したかのように、何者も身を動かすこと無くただただその場に立ち尽くす。

「その静寂は、ほんの僅かな時間だったが、彼らには永遠の様に・・・・・」

という比喩表現をよく見かけるが、これはその良い例だろう。
その静寂は、まるで永遠の様に思えるほどに長かった。
これなら、教室で授業を受けていた時の方が時間の感覚は早かっただろう。
その時、画面に混じる砂嵐の隙間を一瞬、何かが画面に映った。

画面に一瞬映ったそれは、巨大な赤い塊だった。

血のような濃い赤色の塊は、振り下ろされた刃の様に、
画面をズバっと切り裂くように、画面を横切った。

415 :CHANGE GETTER ROBOT THE STORY  第8話 −CHANGE!!−(7) :2005/12/28(水) 03:43 ID:???
「ひっ!?」

ゆかりが、悲鳴に似た奇妙な声を上げた。
似た声と言うよりは、もう完全に悲鳴になっていたのかもしれない。
聞きなれないその悲鳴が静寂を乱した。
それに連鎖し、何人かの生徒がそれに似た声を出した。
だが、その赤いモノは秒という単位よりも短い時間で画面から、視界から失せた。

それから一秒経ち、二秒経ち、五秒経ち、再び静寂の霜が室内に下りる。
だが、それは長くは続かなかった。

「い、今のは」

沈黙の霜の降りた空間を、一つの声が彷徨い歩く。
掠れ切ったその声を出したのは、滝野智だった。
何処へ向けて発信しているのかさえ分からない。
恐らく、彼女自身も、その言葉を誰に向けているのかは分かっていないのだろう。
彷徨う声と共に、彼女自身の身体も彷徨うように前へ前へと歩を進ませていく。

「今のは・・・今のは、今のは」

掠れた声を絞り出すように、その声は続く。
そのまま、足元が覚束無(おぼつかな)い行進を続けたまま。

「お、おい、智!! あっ!?」

暦が思わず手を伸ばし、亡者の様にふらふらと歩く智の右肩を掴み、
自分の元へと引き寄せる。

だがこの時、智は普段以上に注意感が無かったようだ。
心、ここにあらずと言ったものか。

智の身体ががくんと大きく揺れ、身体のバランスが崩れ、智の身体が床に吸い込まれる。
それも、頭から真っ逆さま。
と言っていいほどに。

ドガ! ドガドガッ!

冷たくひんやりとした床のタイルが、智の全身の肉を激しく殴打した。
反動で智の身体が数センチ浮き上がったほど、智の肉体は床に激しく叩きつけられていた。

「と、智!!!」

暦ははっとなり、すぐさま智を抱き起こす。
抱き起こした智の身体は、不気味な程に軽く、そして体温も低かった。
まるで、中身がスカスカの石膏製の等身大人形を抱き抱えているようだ。
顔の頬も、消えてしまったかのように、肉が凹んでいた。
此れが、異常なまでの恐怖が肉体に与える副産物とやらだろうか。

416 :CHANGE GETTER ROBOT THE STORY  第8話 −CHANGE!!−(7) :2005/12/28(水) 03:44 ID:???
「ごめん・・・ごめんよとも・・・」

暦の眼から、涙が落ち、智の頬で水滴が弾けた。
それに対して智は、無言のまま首を左右に振った。
口元から、恐らく、口内か唇の裏側を切ったのだろう。
一筋の血を流しながら、言った。

「ねえ・・・今の、今のは・・・今のってさ・・・・・・・」
「あ・・・ああ」
「生きて・・・るみたいだね・・・あの、ば・・・・・」

言葉を言い終える前に、智の目がすぅーっと閉じた。
気を、失ったようだ。
それは安堵感からの失神なのか、短時間のうちに頬の肉が削られた
にも関わらず、智の顔は幼子の様に穏やかだ。

「と、とも!! しっかり・・・」

その時。
掠れた言葉で、眼を閉じた友人に投げかけたその声は大きな音によって遮られた。
突如木霊した、一つではなく複数の大きな音によって。

一つは壁に、例えばコンクリートの壁に何かが「ドカッ」とぶつかるような鈍い音。
そしてもう一つは、その『壁にぶつかった何か』がぐしゃっと潰れるような激しい音。
壁に生卵をぶつけるような音とでも言ったところか。
びちゃびちゃと水滴が弾け飛ぶような音が、音と音の合間に紛れ込んでいた。

そしてもう一つは、仄暗い洞穴の奥で、硬い何かが次々と破裂していくような大きな音だった。
その音は非常に嫌な音で、その音を聴いた瞬間、生徒達は黒板を爪で思いっきり引っ掻いたような
不快な感覚に身を襲われた。
その音が耳の鼓膜を叩いて脳に振動を与えた瞬間、
体の筋肉が、神経がドクンと脈を打ち、一気にぎゅっと縮み上がる。

417 :CHANGE GETTER ROBOT THE STORY  第8話 −CHANGE!!−(7) :2005/12/28(水) 03:45 ID:???
「ひいいいいいぁぁああああぁあぁああぁぁあああああっ!!!!!!!!!!」

美浜ちよが泣いた。
その不快感に耐え切れず、両手で頭を押さえつけてわんわん泣いた。

「来ないで・・・来ないで・・・!!!」

狂った電子玩具のように、人形の様に華奢な手を、まるで結界を張るように振り回しながら、
困惑した声で泣いた。
言葉にならない言葉で泣いた。

「こっちに来ないでええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!」

既に枯れ果てたかと思うほどに泣いたはずなのに、
涙は、まだ溢れてくる。
溢れる涙で、少女の小さな瞳は飽和状態を起こした。
少女の眼から溢れる涙が、床に水溜りを作っていく。

「ひ、ひゃ・・・ひぐッ・・・・えぐッ・」

何時涙が枯れるとも分からずに、泣きじゃくるちよ。

だが、そこに光が射した。
潰れたようにぐしゃっとなった彼女の顔に、明るい光が射し込んだ。
ちかちかと輝くその光に彼女は顔を上げ、その光の方向を覗いた。
眼に溜まった涙のせいで光がやけに眩しく見える。
世界が一面、靄(もや)で覆われたかのようだ。

彼女は、眼を擦った。
小さなその手で小さな眼を。
眼の周りは赤く充血し、痛々しいまでに腫れている。

そして再び眼を向けた。
光が射す方向へ。

その瞬間、彼女の口から小さな声が漏れ出した。

ちよが見たその方向には、何時の間にか場面が切り替わった画面には。

鬼がいた。
巨大な紅い鬼が。

418 :CHANGE GETTER ROBOT THE STORY  第8話 −CHANGE!!−(7) :2005/12/28(水) 03:46 ID:???
甲羅の様に角張った頭部から紅い二本角を突き出した、鬼が。
その身に羽織った紅い布を、荒れ狂う嵐の中で揺れる帆船の帆の様に靡かせながら、
一面にヒビが入った体の、その内の一つの右腕で握り締めた仄暗い戦斧の刃を、
悶え苦しむ女王蜂の体に深々と突き刺しながら静止する。

巨大な、真紅の鬼の勇者がそこにいた。

「ギャガグググググアアアァアァァァァッァァァァァァァァッァアアアアアァァアアアァァッァァッァアアァアァァァッ!!!!!!!!!!!!!!!」

口元で無数に生え揃わせた牙の隙間と隙間から
音程と周波の両面の全てを苦痛に染めた、人間にとって
不快感の極まる悲鳴を機関銃の様に吐き出しながら
女王蜂は悶え苦しんでいた。

だが次の瞬間、口の牙の一列が跡形も無く爆砕された。

苦しみの悲鳴が噴出すその口に、重厚な装甲が施された左腕の拳が叩き込まれていた。
拳はそのまま女王蜂の口内を食い破り、その腕の側面に施された、ぎざぎざと波を打つ
銀色の刃で女王蜂の右頬をずたずたに引き裂いた。

「グガァァァァァッァァァァァァァァアアアアァッァァァァアァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

その叫びとともに、女王蜂の全身から夥しい量の体液が噴出し、
それが、戦斧を握る鬼へと雨の様に降掛かる。

紫色の鮮血で、紅(くれない)の装甲を彩った鬼の勇者。

機械仕掛けの鬼の名は、『ゲッター1』。

419 :CHANGE GETTER ROBOT THE STORY  第8話 −CHANGE!!−(7) :2005/12/28(水) 03:47 ID:???
「よォ、待たせたな」

その鬼の内部で、一人の男が、誰を相手ともなしに言った。
特に手入れを施さない、ボサついた黒髪の下に、飢えた猛獣さえも寄せ付けないであろう
凶暴な眼光を光らせたその男、『流竜馬』はそう言った。

「てめえに味わわせてやる」

ゲッター1の両腕が、女王蜂の首元と、斬撃で割れた装甲の内部に食い込み、
その巨体を一気に頭上にまで持ち上げる。
巨体を支える重量で、ゲッター1の両足のヒビが更に拡大し、地面に減り込む。

そして次の瞬間、ゲッター1は頭上高くまで持ち上げたそれを、


「うおおおおりゃあああああああああああああああああああああああああああああ
 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


凄まじい叫びと共に、一気に地面に叩きつけた。
轟音が鳴り響き、地面が陥没する。
女王蜂が地面に衝突するのと同時に、ゲッター1の背中のマントが大きく靡き、
ゲッター1は空高く飛び上がる。

「竜馬、こいつにはでかい借りがある。 ソイツをまとめて返してやろうぜ」
「てめぇに言われるまでもねぇ!!!!! 行くぜ隼人ォ!!!!!!!!!」

ゲッター1の両腕が、身にまとわり付くマントを振り払い、腰の真横でズバッと八の字を切る。
そして、ゲッター1の白い装甲の真ん中が六角形に窪み、そこから開いた赤いレンズに赤い光の粒が収束する。
粒は見る見るうちに増大し、収束した光も強い赤みを帯びていく。

「「喰らいやがれ!!!」」

竜馬と隼人、その両名がほぼ同時に叫ぶ。

「ゲッタァァァァァアアアアアアアアビィィィイイイイイイイイイイイイイイイム!!!!!!!!!!!!!!」

紅い熱線の剣、『ゲッタービーム』がゲッター1の腹部より放たれる。
だが、女王蜂まであと一歩、と迫った頃、女王蜂もまた、破壊された腹部より
蒼い熱線を吐き出した。

420 :CHANGE GETTER ROBOT THE STORY  第8話 −CHANGE!!−(7) :2005/12/28(水) 03:48 ID:???
紅と蒼。
色の異なる二本の閃光が、両者の間で交錯する。

「ぐおおおッ!!!!!!!!!」

八の字を切ったゲッター1の右腕が熱線の直撃を受けて装甲が焼け爛れ、
腕の右半分の装甲がもぎ取られる。
また、そこを突き抜けた熱線が背部のマントを貫いた。

だがこちらの方の、ゲッター1のゲッタービームは女王蜂の胸部へと突き刺さっていた。
灼熱の業火が、女王蜂の胸の装甲を焼け焦がし、全身に回った炎が内部にも
侵食し、女王蜂を焼き尽くしていく。
だが、それでもまだ完全な留めには至っていない。
女王蜂の体の破損箇所からは黒い触手が溢れ出し、それが炎の中で蠢いている。

「往生際が悪ィんだよこの野郎ォォオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!」

そのグロテスクな光景を前に、竜馬が激昂する。
そして、既に限界点に近くなっている炉心の出力を最大にまで上昇させ、再びゲッタービームを撃ちだした。

「くたばれえええええええええええええッ 蜂ノコの親玉がああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

先程のゲッタービームよりも更に倍近くのエネルギー量を持ったビームが、女王蜂を、
女王蜂の残りの全てを、一気に紅蓮の色で焼き尽くす。

「ギュオオォッォォォォォオッォオッォオォォォォッォォォォォォォォォォォォオオオオオッォ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

紅蓮の炎の中で、女王蜂が咆哮を上げる。
それが女王蜂の断末魔となった。
炎の中の触手は、次々と萎びたように折れ曲がり、ボロボロと炎の中で崩れ始めた。

崩れゆくそれをぐしゃぐしゃに踏み潰し、ゲッター1は空からこの地上へと舞い戻った。

地上に脚を降ろし、右の潰れた機体のセンサーアイで前方を睨み付ける。

421 :CHANGE GETTER ROBOT THE STORY  第8話 −CHANGE!!−(7) :2005/12/28(水) 03:48 ID:???
灯の燈っていないそこには、赤茶けた色の、今まで葬ってきた黒い蟻の1.5倍近い大きさを持った巨大な
蟻が、通常の蟻よりも更に大きく長い牙と鉤爪をがちゃがちゃと揺らしながら、
ゲッター1へと鋭い眼光を向けていた。

「・・・でかいな」

自機の倍近い巨体を持つ相手を前に、隼人が率直な感想を述べた。
ゲッター1の全長35mよりも、あの蟻は遥かに大きい。
70m近くはあるだろうか。
だが、その声からは、恐怖や絶望の類は、やはりというか、一切感じ取ることが出来なかった。

「最後らしくていいじゃねぇか・・・・行くぜ隼人ォオオオオオ!!!!!!!!! 
 最後の仕上げだ!!!!!!!!」

相変わらずの、『熱血』という言葉通りの態度で、敵の巨体と向き合う竜馬。

そして、ゲッター1の両肩の窪みが開き、折り畳まれた戦斧が飛び出した。
それを両手で掴み、ゲッター1は敵へ向かって飛び出した。

紅い布で全身を覆い隠し、撃ち放たれた砲弾の如く勢いで。









TO BE CONTINUED

422 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/12/28(水) 13:04 ID:???
あの後すぐに寝てしまいました。
今回の(7)で8話は終了です。
最初の8話がupされてから約8ヶ月近く経ってしまいました。
この長い期間の間、書く早さの遅い自分の文章を待っていてくださり、
どうも有難う御座いました。
これが今年の自分の創作SS最後の作品になるのですが、来年からはもっと書く早さを、
内容とともに上げて行きたいと思います。

また来年も、どうか宜しくお願い致します。

423 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/12/29(木) 20:50 ID:???
>>422
お疲れ様です。
一巻だけとはいえ、DVDを見たおかげで竜馬や隼人がどんな顔して
戦ってるか大分浮かびやすくなりました。さてこちらも続編投下です。

424 :第63話 「銀色の瞳のイザク」 :2005/12/29(木) 20:53 ID:???
イザクをどうしようかと思案している時、基地に誰かからの連絡が入った。

「はい、こちらHOLY」
出たのは千尋だった。

「分かった、ちょっと待ってて。神楽さん、あなたによ。紗奈ちゃんから」
と言って千尋は神楽に変わるよう促す。

「私に?もしもし紗奈か?私だ、どうしたんだ?」
訝しがりながらも神楽は千尋と変わった。

「彪乃お姉ちゃん!さっき出てきた虎みたいな怪獣だけど」
どうやら紗奈もイザクが現われたのを見ていたらしい。

「イザクの事か。紗奈も見たんだな」
「うん。そのイザクって事なんだけど・・・・・・」
「そういえば紗奈ちゃんは怪獣の心が分かるって言ってたわね」
やりとりを聞いて思い出したようにかおりんはポンと手を叩いた。

「そういえば紗奈ちゃんって怪獣に育てられたんやな〜」
「紗奈ならイザクが何を考えていたか分かるかも」
「でも分かったところで、私達人間に対しての怒りしかないんじゃないか?」
歩と智の二人はそこに希望を見出すが、暦はそうは判断しなかった。

「イザクの心が分かったんだな?」
「うん」
「で、イザクはどういう事を思っていたんだ」
「ただ生きたいって」
紗奈の言葉に神楽含め、近くで聞いていたものは呆然となった。
しかしちよだけはそれとなく気づいていたらしく、俯いている。

「何だって?私達人間を憎んでいたりとかはしていないのか?」
「うん。『生きたい』って思いだけが伝わってきてそれ以外の事は何も感じなかった。
あるいは思いが強すぎてそれ以外は感じ取れなかったのかもしれないけど、でも私にはそれしか感じなかった」
「そうか。他には?」
「ううん、他にはない。ただ彪乃お姉ちゃんには知らせた方がいいと思って」
「そうか、ありがとう紗奈。知らせてくれて」
そう言って神楽は通信を切った。

425 :第63話 「銀色の瞳のイザク」 :2005/12/29(木) 20:55 ID:???
「イザクは私達人間を憎んでいた訳ではなかった」
「ただこの地球で生きたい。それだけを望んでいる」
暦と榊の口からそれぞれ自然に出た言葉であった。
その後、再び沈黙がこの場を支配する。

「考えてみればそうかもしれませんね」
沈黙を破ったのはちよだった。

「どういう事〜?」
歩が間延びした声で尋ねる。

「イザクは確かにアルテスタイガー最後の一頭だったかもしれません。
でもアルテスタイガーは散り散りになって一頭ずつ倒されていったんです」
「そうか!イザクは自分が最後の一頭だなんて事は知らないんだ!」
ちよの言葉を引き取って暦が発言する。

「イザクが石油コンビナートを襲うのもそれで納得がいった。
かつての記憶がそうさせているんだね。
重油混じりの水を飲みながらアルテ平原を
駆け回って人間達と戦った時の記憶が」
「じゃあイザクはかつての記憶のまま、怪獣化したって言うの?」
かおりんの問い掛けに千尋は静かに頷いた。

「どーすんだ?憎しみを鎮めて大人しくなってもらうって方法は出来ないぞ!」
「けど、イザクが生きたいって思ってする行動は人間達を確実に犠牲にする」
普段なら何かをひらめきそうな智も今回ばかりは何も案が出なかった。
榊もすっかりショックを受けている。
もしイザクが人間に対して憎しみを抱いていたのなら、その憎しみを
自分とレイで受け止める事でその憎しみを鎮めようと考えていた。
だがイザクには生きたいという思いしかないと知った今ではその方法は使えない。

そんな彼女達の苦悩をあざ笑うかのようにレーダーが異変をキャッチする。
かおりんがそれをサーチする。

「大変!イザクが今度は京葉工業地帯に現われたわ!」
スクリーンには俊敏な動きでコンビナートを急襲するイザクの姿が映っていた。
既に政府の軍が出撃して攻撃を開始する。

「これ以上被害を広げてはならん!ここで奴を倒すんだ!」
「了解!」
政府軍は無数の戦闘機群と戦車を率いて攻撃を開始する。だが、俊敏なイザクの前に翻弄されっぱなしだ。
空の部隊はイザクの空中から飛びかかられ、地上部隊は火炎により次々に撃沈される。
遠く離れた場所からのエネルギー砲も素早いイザクには当てられず、逆に接近を許し、破壊されてしまう。

426 :第63話 「銀色の瞳のイザク」 :2005/12/29(木) 20:57 ID:???
「これ以上放ってはおけません!私達も出撃します!」
「了解!」
様子を見ていたHOLYはついに出撃を決意する。
前回とはほぼ同じ布陣に加えてちよもブルードラゴンで出撃をする。
しかし、各隊員には迷っている事がありありと分かるほど、その顔は冴えない。

「何故、あの宇宙生命体がイザクに対して地球生物の痕跡を残したか分かるか?」
通信が入ってきた。防衛部長の寺林だった。

「我々にわからせる為だ。あのイザクはかつて我々人間が絶滅させたという事に気づかせる為に」
寺林の言葉を全員黙って聞いている。寺林自身もまた苦渋に満ちた表情をしている。

「だが、ここでもしイザクを倒す事に躊躇すれば、あの生命体は
また別の絶滅した生物を利用して送り込んでくる。その連鎖を
断ち切る為にもイザクをここで倒さなければならないのだ」
そこで寺林は通信を切った。

「私はあれをイザクとは思わない。普段と同じ怪獣と思うことにする」
吹っ切れたのか暦はイザクに対して先制攻撃を仕掛ける。しかしイザクは宙返りをしてそれをかわす。

「もうやるしかねーのか」
「畜生!!わりぃイザク!!」
智も神楽もついに決心したのか分離して、イザクを挟み込んでレーザーを発射する。
イザクの背中と後頭部にそれぞれ命中する。イザクは火炎を吐いてコンビナートを破壊しつつ、二機に飛び掛る。

「させません!」
飛んだ所をちよがミサイルで攻撃する。足に命中してイザクは地面に着地する。

(ごめんなさい、イザク)
ちよは心の中で詫びている。地上の榊はまだ迷っていた。攻撃するべきか、しないべきか。
歩もジャストランサーを見つめて考え込んでいた。

(私は変身するべきなのか。それとも)
榊は葛藤していた。変身すべきか、しないべきか。

(ジャスティス、あたしはどうしたらええの?)
『それを決めるのは私ではない。君自身だ』
とジャスティスから答えが返ってきた。

427 :第63話 「銀色の瞳のイザク」[ :2005/12/29(木) 20:59 ID:???
(もしもマヤーがイザクと同じようになったら・・・・・・)
榊はもしもマヤーがイザクと同じ状況になったらと相像した。

(駄目だ。私には撃てない)
榊にはその引き金を引く事は出来ない。しかしイザクは攻撃の手を緩めない。
次々に破壊されていく建物。イザクの吐いた火炎で火の手はどんどんあがっていく。

「榊さん、迷っているのね」
「無理ないかもね」
その様子はかおりんや千尋にも伝わった。
しかし、その時ちよの乗るブルードラゴンがイザクに捕まった。

「しまった!」
「ちよちゃん!!」
思わず榊はイザクを撃ってしまう。
しかし、それでブルードラゴンはイザクの手から離れる事に成功した。

「ありがとうございます榊さん」
「お礼を言われるほどの事はしていない」
ちよにお礼を言われて榊はほんの少しだけ笑ったのだった。

「イザク、あんたは悪くないかのかもししれへん。でもあたしにも守りたいものがあるんや!ジャスティース」
ついに歩はジャストランサーを掲げてウルトラマンジャスティスへと変身する。

「うわっ!」
暦の乗るホワイトウイングはイザクの火炎攻撃にさらされ、機体を回転させながら宙を舞う。
だが、そこをジャスティスによって救われる。

「ジャスティス!」
暦は安堵の表情を浮かべる。ジャスティスはイザクと向き合う。

「がるるるる、うがあああああ」
イザクは咆哮をあげてジャスティスに飛び掛ってくる。両者は互いに接触して地面にもつれ合った。
地面を転がりあった後に、互いに後ろに跳躍して間合いを計る。

「だあっ!」
ジャスティスが空中で一回転して近づく。するとイザクもそれに対抗して空中で一回転する。
ジャスティスとイザクはそれぞれすれ違う。
ジャスティスが走ると、イザクもその俊敏さを生かして移動する。

「はっ!」
ジャスティスはジャスティススマッシュを放って牽制しようとした。
だが、イザクは低い姿勢で移動して回避した。
そしてジャスティスの周囲を包囲するように回り始めた。
そしてついに背後から目にも見えないスピードで一撃を加えてきた。

428 :第63話 「銀色の瞳のイザク」 :2005/12/29(木) 21:04 ID:???
「ぐはっ!」
ジャスティスは転ばされ、その場に倒れこんだ。蹴りを仕掛けるが、それも当らない。
逆にイザクに掴まれ、投げ飛ばされてしまう。立ち上がった所に素早い突進攻撃をくらう。

「はえぇ〜、何てスピードだよ!」
「さっきよりもずっと早い!」
智も暦も、いやこの場にいる中でそのスピードを捉える事が出来るのは榊ただ一人だけだ。

(歩・・・・・・・)
榊は固唾を飲んでこの状況を見守っている。

「ぐおおおおおおお!」
至近距離からの火炎攻撃をくらってジャスティスは吹き飛ばされた。

「ジャスティス!!」
たまらず神楽はジャスティスを援護しようとする。だが、ジャスティスはそれを拒否する。

「手を出すなって事かよ、ジャスティス」
「ジャスティス、宇宙人であるあなたがどうしてそこまでしてくれるんですか?」


「はああああああ!でやっ!」
ジャスティスはクラッシャーモードへとチェンジする。

「だあっ!」
イザクのスピードを見切り、ジャスティスはイザクの鬣を掴んだ。
そしてそれを持って投げ飛ばす。
空中戦になった時もイザクの爪の攻撃をかわして、逆に脇腹に蹴りを入れて地面に落下させる。
イザクが掴みかかってきたが今度はその勢いを利用してイザクを地面に叩きつけた。

「おおおおおおおっ!」
ジャスティスは勝負を決めようとダグリューム光線の発射体勢に入る。
だが、その時・・・・・・・

「俺は生きる!ジャスティス、俺はこの地球で生きる!!」
それは確かにイザクの声だった。それがジャスティスをはじめ、この場にいる全員に響いてきた。
そしてそれはかおりんや千尋も例外ではない。

「ねえ、かおりん。今のって?」
「もしかしてイザクの声?でもまさか・・・・・・・」
二人も戸惑っている。

429 :第63話 「銀色の瞳のイザク」 :2005/12/29(木) 21:06 ID:???
「いいえ。あれはイザクの心の叫びです!私にも聞こえました!」
きっぱりとちよは言い切った。

「私にも聞こえた・・・・・・」
榊も素直に呟いた。暦、神楽、智も頷いた。イザクは鬣を振り乱しながらジャスティスに向かってくる。

(ジャスティス、イザクは必死に生きようとしとる。だから)
『分かっている!そのイザクの気持ちに全力で応えよう』
ジャスティスはダグリューム光線の発射をやめ、砂塵を巻き上げながらイザクを迎え撃つ。
二人は素早いスピードで正面衝突をして大きく後ろに吹き飛ぶ。

「ジョアッ!」
ジャスティスのラリアートが決まり、イザクは地面に引き倒される。
しかし、イザクはそのジャスティスの足をすくいあげ逆に転ばせる。
ジャスティスが手を持って投げればイザクも逆に投げ返す。
イザクの火炎を受けながらもジャスティスは下から拳を突き上げてイザクを吹き飛ばす。

「ジャスティス・・・・・・・イザク・・・・・・・」
戦士の戦いを堀江紗奈も見守っていた。
ジャスティスの活動限界を知らせるカラータイマーが青から赤に変わるが、
ジャスティスはそんな事を気にもせずに戦い続ける。

「がああああああああ!!」
イザクが再び咆哮をあげる。超スピードでの一撃でジャスティスを地面に倒した後、
上にまたがってその爪で引っ掻こうとする。だが、ジャスティスはそれを頭一つ動かしてかわした。
逆にイザクの顔面に強烈な拳の一撃を叩き込む。
よろめいたイザクの鬣を掴んでそのまま地面に叩きつける。

「シュワッ!」
ジャスティスは空中高く飛び上がる。

「がるるるるる」
イザクもそれに対抗して跳躍する。

「だあああああああ!!」
ジャスティスは急降下しつつ右拳を突き出す。イザクも爪を突き立てる。

430 :第63話 「銀色の瞳のイザク」 :2005/12/29(木) 21:08 ID:???
ジャスティスとイザクがぶつかり合った瞬間、無数の光が弾け飛んだ。
そして最後に立っていたのはジャスティスだった。イザクは光の粒子となって消えた。
ジャスティスは自らの手でイザクを葬ったのだった。

「・・・・・・・・」
しばし榊はジャスティスから目を離せないでいた。ジャスティスは消え、歩の姿に戻った。

「イザク・・・・・・・」
ちよは一言そう呟き天を見上げる。

「歩、大丈夫か?」
榊は地面に膝をついている歩を発見して駆け寄る。

「弥生ちゃん・・・・・・・あたしにもはっきり聞こえたんや。
イザクが「生きたい!」って言ってるのが・・・・・・・」
歩は榊の方を見ないままに、喋った。

「こんなに後味の悪い勝利はないな。それがこれまで我々人間が犯してきた過ちという訳か」
寺林は静かに目を閉じる。だが、その拳は強く握られていた。

「中々面白い見世物だったぞ、ははははは」
宇宙空間に漂うちよ父は体を光らせつつ笑っていた。

「彪乃お姉ちゃん」
紗奈の肩をポンと叩く者がいたので振り返ると、そこには神楽がいた。
沈痛な面持ちをしている。

「ごめん紗奈。私はイザクを助ける事が出来なかった。
紗奈との約束を守る事が出来なかった」
「彪乃お姉ちゃんは悪くないよ!だから・・・・・・泣かないで。
お姉ちゃんが泣くと私も悲しいから」
いつの間にか神楽の頬には雫がこぼれていた。
紗奈にもそれはこぼれた。紗奈は神楽の胸の中に飛び込み、号泣した。

「そうだな。泣いたら駄目だよな。でも今は紗奈と一緒に泣きたい気分なんだ」
神楽はそんな紗奈を強く抱きしめる。

431 :第63話 「銀色の瞳のイザク」 :2005/12/29(木) 21:12 ID:???
「なあよみ。今度こそイザクは静かな眠りにつけたのかな?」
「さあな。でもそうであってほしいな」
地上に降りた智と暦はイザクが召されていった天を見上げていった。

「どうしてまた悲劇が起こるのかな?この前の大山君の時から立て続けに」
「千尋・・・・・・・」
辛い事を思い出したのか千尋は顔を背けてしまう。
そんな千尋にかおりんは声をかける事が出来なかった。
かおりんもまたほぼ同じ気持ちだったからだ。

「あたしがコズミューム光線を撃つようにジャスティスに言っていれば
もしかしたら救えたかもしれへん。でもあたしにはそれが言えなかったんや」
「でもそれじゃあ何も解決しない」
それまで歩の言葉を黙って聞いていた榊が口を開いた。

「もしあの時、コズミューム光線でイザクを救えたとしても、
あの宇宙生命体はきっとまた新しく人間に滅ぼされた
動物を改造して送り込んでくる。また同じ事のくりかえしになる」
「そして、その時はコズミューム光線も通じないように改造されている。
その時に私達はまた同じ思いをする事になるだけです」
声がしたので向くと、そこにはちよがいた。一瞬歩と榊はドキッとなったが、
ちよは言葉どおりの意味に捉えていたので大して気にした様子はなかった。

「イザクを倒したのは君たちじゃない。アルテスタイガーを絶滅させた我々人間なのだ。
その過ちは君達若い世代が背負うものではない。かつてイザクを絶滅させた世代である
我々が背負うべきものだ。我々はイザクの死を忘れない」
寺林が再び、通信回線に割り込んでそのメッセージを残していった。

「ちよちゃん」
「行きましょう。いつまでも落ち込んでいたら、また舞先生に怒られてしまいますよ」
ちよは明るく振舞ってそう言った。しかし、明らかに無理をしているのが分かる。

「そうだね、ちよちゃん。でもね・・・・・・・・」
「分かってるねんてちよちゃん。でもな〜ちよちゃんも
無理せんでええんやで。泣きたい時は思い切り泣いてもええと思うんや」
歩はちよと同じ目線になってしっかりと向き合う。

432 :第63話 「銀色の瞳のイザク」 :2005/12/29(木) 21:19 ID:???
「わ、私はそんな、泣くつもりなんて泣くつもりなんて、大阪さん!」
ちよはその場で泣きじゃくった。あえて歩は何も言わず、そのままにしておいた。
そんな時、一つの星が燦然と輝く。それはどの星よりも強く輝いていた。

「何かあの星、やけに輝いて見える」
「実際そうなんだろうな」
「もしかしたらあれがイザクなのかもな」
「うん、きっとそうだよ。彪乃お姉ちゃん」
智が言い出して暦、神楽、紗奈はその星に目を奪われている。

「あれがイザクなのかな」
「多分そーや」
「私はそうであると信じます!」
ちよは榊と歩にしっかりと手をつながれながら、その星を見上げる。

「イザクにとってみれば私達があの宇宙生命体に見えたかもしれない」
「千尋?」
衝撃的なセリフを吐く千尋にかおりんはぎょっとなった。しかし、千尋はすぐに何事も
なかったかのように笑顔になってかおりんの方に向き直った。

「なんでもない。みんなのとこに行こう。かおりん。そしてあの星を見に行こうよ」
「そうね、ここから見てもあの星はとても綺麗だしね」
とてつもなく重い言葉を言った後、千尋はかおりんと一緒にみんなの元に行った。
その星は千尋やかおりんが行った後もしばらく輝いていたのであった。

この地球で生まれ、そしてこの地球で必死に生きようとしたイザクはこうして
夜空の星になったのであった。

(イザク、あなたの事は決して忘れません)
ちよは心の中に深くイザクの事を刻むこむ事を決意するのだった。
第63話 終                 第64話へ続く

433 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/12/29(木) 21:30 ID:???
次 回 予 告

「とーちゃん、やまにいこー!」
よつばのこの一言でよつばと小岩井、そしてジャンボに恵那、みうらと
以前に釣りをしたメンバーに加え、やんだとゆかりとみなもを
加えて山へと出かける事になった。

「何であたし等があんた達のピクニックに付き合わなきゃならないのよ〜」
「ゆかり!誘ってもらっておいてそれはないでしょ!」
「何でお前までいんだよ!」
「やんだ、きらい!!」
何だかんだで盛り上がる一行。

しかし、彼等は恐るべき場所へと迷い込んでしまった。
そこは怪獣達が闊歩する恐るべき魔境だったのだ!

次 回 ウルトラマンジャスティス
第64話 「恐るべき怪獣魔境」
一行はこの魔境から生きて帰れるか?

434 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/12/29(木) 21:34 ID:???
リクエスト話終了です。
27氏にイザクを救う結末では駄目か?と聞かれましたが、
悲劇的にしろとのリクエストと、それでは何の解決にもならないと
劇中で触れている通り、結局この結末になりました。
今年最後の話が悲劇的なものとは何とも複雑です。

次回はレウルーラさんのリクエストの話でゆかり先生(ととーちゃん)
メインの話になりそうです。

435 :名無しさんちゃうねん :2005/12/29(木) 23:04 ID:???
今年のSSはこれで最後かな?

436 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2005/12/30(金) 00:59 ID:???
>>422
お疲れ様です!!!

>>433-434
お疲れ様です!!…お、次回、楽しみにしてますよ、KISSを。

>>435
……いや…「試作用」とはいえど、最後はこの私が…

437 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2005/12/31(土) 18:52 ID:???
===========================
この作品は暴力的・及びグロテスクな表現が含まれています!
閲覧は自己責任で!!!!!
===========================



「仮面ライダーゼルバ」  〜文章版パイロットフィルム(?)其の壱〜

−試作用『出だし』的シーン−


−西暦2016年

 空気が冷え切って冬の到来を思わせる11月のある日。深夜の公園。普通ならば誰もが
眠っているであろうこの時間に、三体の姿が入り込んできた。
もっとも、その三体の姿は、「人間」とは言い難く、概ね人の体型をしてはいるが、醜悪に蠢く
六本の腕と口から伸びる太い牙、黒に黄色の斑模様の太くやや短めな尾。蜘蛛を思わせる
目をした怪物だったのだが…。

「…こ、ここまで来れば……」

必死に走ってきたのか、蜘蛛のような姿をした彼等−もしくは彼女等?−はその場にうずくまり、
息を切らして激しく呼吸している。少し落ち着いてから周囲を見回し、やっと安心した様子で別の
方向へ向かおうとしたそのとき!・・・

Buoooo!Gyukiiii!!

公園の中にもう一つ、やや細身の影がオートバイのエンジン音と共に現れた。その影の姿は
全身にフィットする薄手のレザースーツのような黒い体皮と、
胸部や上腹部等は、胸筋や腹筋等を形作ったような青く染まった装甲が施されている。
腕部、脚部、肩、上腹部等の関節部分は筋肉繊維が剥き出しにでもなっているかのようで
少しグロテスクであるが、
その体躯は胸部と臀部の丸みをおびた膨らみと脇腹から腰にかけての括れなど身体の
格部分に見られる曲線は女性のそれである。
腰に金属製の大きなベルトをつけ、そのバックル部分は装甲と同様に青く輝いている。

「き、来たやがったか!」

先にいた蜘蛛の怪物達が数歩引き、身構えた。
だが、やや細身の影は随分と乱暴にバイクを止め、そのバイクから降りると、ゆったりとした歩調で
相手に近づいている。
そのたびに構えた彼らは後退し、公園の端にあった地下道の入り口に追いやられていく。

「随分とまぁ、往生際が悪いのね。他人は簡単に殺せるクセに、いざ自分が殺される側になると
こうなんだから。ま、そりゃそういうモンだわな〜」

438 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2005/12/31(土) 19:17 ID:???
やや細身の影が街灯の光の中に入った。その声、喋り方、体躯からして女性であることは確実だろうが、
彼女の仮面を被ったような顔は、それを思わせない面構えだった。
仮面全体の造形は見ようによってはドクロ(もしくはバッタ)のようにも見え、
昆虫の複眼を彷彿させる僅かに吊り上りぎみの大きな目は青く輝き、
口と思わしき部分は牙−それも肉食動物の歯というより、昆虫の顎−のようなカバーに覆われており、
額からはアンテナのように伸びる触覚器のようなモノが上空に向けて伸びている。

一方、今、彼女と向き合っている蜘蛛が人間に進化でもしたかのような怪物達は、六本の腕の先が鋭く
尖っていて、その腕は紅い血で染まり、それまで、その怪人達が行ってきた殺戮を容易に思い起こさせた。

追い詰められていた蜘蛛怪人達は開き直り、
三人のうち二人が仮面の女性に対して、口から糸を吐きかけた。女性はそれを側転して避ける。
そこに、あともう一人の蜘蛛怪人が腕を勢いよく振り下ろす。女性は体を捻ってそれを避け、回転した勢いで、
腕を振り下ろす攻撃をしてきた蜘蛛怪人の一人の顔面に肘打ちを叩き込み、たたらをふんでよろけた蜘蛛怪人に
上段回し蹴りを叩き込み、吹っ飛ばして地下道入り口脇の街灯に叩きつけた!

Gaguoon!

蜘蛛怪人達のうち、糸を吐いて攻撃してきた二人は、先ほど仮面の女性に蹴り飛ばされた一人を見捨てて
地下道に逃げ込んだ。

「お、おい!…酒井!大友!」

街灯のひしゃげた支柱からずり落ちた蜘蛛怪人は頭から、人間の物とは違う薄く透明度の高いピンク色の血液を
流しながら、自分を見捨てて逃げた仲間の『人間だった頃』の姓を呼んだ。
そして、仮面の女性−谷崎(たにざき)ゆかり−は、その蜘蛛怪人の前に立ち止まり、地下道のほうを
一瞬見やってつぶやく。

「ほんじゃ、そっちはお任せするかな。小岩井君」

439 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2005/12/31(土) 19:49 ID:???
蜘蛛怪人二人は薄暗い地下道をひた走る。と、その先にもう一つの影が、またしてもオートバイの
エンジン音と共に現れ、彼らの行く手を阻んだ。

Buooo!Kikiii!

その影はバイクを止め、そのバイクから降りるとヘルメット脱いだ。体型は普通タイプで、髪型は毛先が
少しボサボサぎみのセミロング、眠たそうな小さな目をした、どこにでもいそうな普通の人間の男性だ。
これ幸いと蜘蛛怪人達は彼に襲い掛かろうとした。が……
−−−違う。こいつは人間じゃない。さりとて自分達と同じ生命体とも少し違う。
直感的に彼等はそう判断した。そして、それを目の前で証明するかのように、男性は一瞬だけ左手を前にして
構え、直後に大きく開いた右手を突き出して叫んだ。

「変身!!」

そう叫んだ男性−小岩井修輔(こいわい・しゅうすけ)−の全身を紅蓮の炎が包み込み、徐々に退いていった炎の中から、
全身にフィットする薄手のレザースーツのような体皮、筋肉繊維が剥き出しになったような腕部や脚部等の関節部分、
ドクロ(バッタ)のような顔の、額の触覚器、牙のようなカバーに覆われた口、
と、先ほどの仮面の女性−谷崎ゆかり−に似た姿が現れた。ただし、こちらは少し違い、
胸部と上腹部や肩等の装甲と、腰の金属製のベルトのバックル部分の色は紅く、
全身の格部分に見られる直線的で引き締まったラインの体躯は男性のそれである。
そして昆虫の複眼のような僅かに吊り上りぎみの大きな双眸は、装甲とベルトのバックル部分と同じ色で
血のような紅い輝きを放って蜘蛛怪人達を威圧している。
先ほどの仮面の女性の姿を思い出し、そして目の前にいる男性のその姿を見て、蜘蛛怪人の一人は「人間だった頃」に
聞いた、ある『都市伝説』を思い出した。

(「『悪あるところに現れる正義の異形…鋼鉄の騎馬を駆るドクロ面の戦士…その名は…』」)

440 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2005/12/31(土) 19:55 ID:???
はい。以上、「試作用『出だし』的シーン」でした。
えーと、あずキャラの身体強化に関しましては、既に改造手術とかして本当に肉体強化とかしているので
戦闘とかできて当たり前なのだと納得していただければ幸いです。
正式版は仮面ライダー板のSSスレに投下する予定です。

P.S.
どうでもいいことなのでしょうが、『あずまんが漂流教室』という同人誌には素直に感動しました。

441 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/12/31(土) 20:02 ID:???
>>437-449
乙。
というかお疲れ様です。
全体的な文章や描写が凄くお上手ですね。
読んでてそう感じられましたよ。
大阪板への投下では無いようですが、投下される際は一声を。
是非とも拝読させていただきます。

『あずまんが漂流教室』ですか・・・俺もあれは読みましたよ。
あれはエロシーンさえ無ければ・・・とは思いますが、アレはアレでWW
ちなみに二号機の人は、いろんな面であの大阪に近いかもです。

容量が450を軽く越えていますが、次スレは480くらいででしょうか?

442 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2005/12/31(土) 20:09 ID:???
>>441 上
どうもです。試作用として予定しているのが全て投下し終わり次第、
正式版を仮面ライダー板に投下しますので、そのときは必ず一声、呼びかけます。


それが良いと思います。

443 :眠名有 :2006/01/01(日) 02:23 ID:???
>>422
いやはや、やっぱり描写の細かさはすごいですね。
あのグロの所とか。


>>434
乙ですー
次回はよつばと!ですね
楽しみにしてますよー

>>440
お、とーちゃんとゆかり先生ですかー
これは意外な組み合わせ。
期待してます。


さてさて、年末に全部落とそうと思ってたけど、こいつだけ送れてしまったので、新年最初の投下になりますよよよ。

444 :眠名有 :2006/01/01(日) 02:23 ID:???
五星が左のおさげをひっぱりながら答える。
無論、ちよはその間で弄ばれている状態だ。
「なんだか緊張するよなぁ…… だって軍神とか言われてた人だぜ?」
「そう?私なんかぜーんぜん緊張しなかったよ!最初に会ったのがー、五星を壁にぶつけた時ー!!」
「はきゃぁ〜〜〜……」
先ほどよりもつよめに引っ張る。
「未来から来た、て特権が無かったら使い物にならん奴だけどな」
「確かに、使い物にならないどころか、邪魔になるな」
「うみゃぁ〜〜〜……」
それに合わせて五星も強めに引っ張る。
ちよの小さな悲鳴には誰も気を止めず、どんどん話が進んでゆく。
「なんだと!私の戦闘機の腕を見ただろ!!」
「強度の弱い零戦で、いつ空中分解してもおかしくない速度で飛び回るバカがどこにいる。零戦の値段知ってんのか?」
「私はなー、度胸があるんだ度胸が!」
「……胸はねーけどな」
「うるさーい!私だっていつか神楽を越すくらい大っきくなるんだもんね――――!」
「なっ…… そんなことを大声で言うな!!」
「神楽いいよなー、一体サイズどんだけなんだ〜?」
「少なくともお前よりはでかいな」
「うるさぁ〜い!私だっていつかでっかくなるんだからな〜〜〜!!」
「お前、その台詞高校時代から言ってるぞ」
「ゔ!チクショー、よみも胸でかいからって神楽の味方するなー!」
「ったく、お前は……」
「そういえば」
五星が唐突にちよのおさげから手を離し……

445 :あずまんが太平洋戦記 :2006/01/01(日) 02:25 ID:???
「うわっ!」
「はぎゃぁ!!」
一気に力のバランスが崩れ、ちよもろとも智が椅子から転げ落ちる。
「あのクローン博士はどこ行きました?見かけませんでしたけど。」
「…………」
ちよは死んでいる。
無論、表現上であって実際に死んではいない。
「あーっと、それじゃぁ西島少尉は?」
「由なら、さっきあの白髪のやつと話してたよ」
「あいつと?いい趣味してんな」
桜には感情がない。”いい趣味”とはそういうことだ
「で、大阪さんは?」
「あー、捕虜の所だ」
「デイビットの所か?」
「あれ、五星ってあの小田雄二とキムタクとみのもんたとタモリを足して割ったみたいな捕虜と知り合いなの?」
よく分からない例えだ。
「まぁな。駐米武官補の時のな」
「あ、あのY.Gて」
「あのライターか。あれにはちょっとした逸話があってな……」
ここから五星の話が始まるが、長いので省略する。
「てなことがあったんだ」
「ふーん。あ、そういえばさぁ」
ここで智が何かに気づいたようだ。
「五星ってさ、記憶無かったてちよちゃんから聞いたんだけどさ、その五星大和って名前、どうやってつけたの?」
「ああ、この名前はだな……」

446 :あずまんが太平洋戦記 :2006/01/01(日) 02:25 ID:???
五星とちよが最初に出会ったのは海岸だった。
彼がボロボロな姿で浜辺に倒れていたのを発見したそうだ。
すぐに病院に連絡した。
医師の話では(まぁ彼女も大体分かっていたのだが)ちょっと海水を飲んだのと、体力を消耗しているだけとのこと。
しかし、記憶をまったく失っているという事も聞かされた。
困った人を見つけると助けたいのが彼女の性分だ。
数日置きに見舞いに来た。
大阪も一緒に見舞いに来た日のことだった。
「すいません、毎日」
「いえ、仕事場が近いんです」
とりあえず、将来五星と名乗るようになる男は、すでに体力を回復。
もうすぐで退院と言う所までにきていた。
「けど、名前が無い言うんは不便やなぁ」
「そうですね。そうだ、美浜さんと大阪さん。貴方方が名前を決めてください」
そういわれても困ったもんだ。
名前など結構長い月日を要して考えるもの。
こんな短時間で作れるものではない。
「あ!私にええ考えがあるで」
「へぇ、どんなですか?」
「山田太郎」
「「…………」」
数秒間時間が停止した。
「え?」
「大阪さん、それはどうかと……」
その後もいくつか意見が出た。
大阪一人で次々と出していく。
「田中太郎」「トム・スミス」「名無し権兵衛」「御子野 三養基」以下三十個ほど出たが、全部却下された。
「う〜ん、名前考えるのて難しいなぁ」
大阪は腕を組んで、目を瞑り「う〜〜〜」と唸る。
「大阪さん、まじめに考えてます?」
「あ!」
また何か閃いたらしい。
今回も適当なものだろうと思っていたら……
「奈良五星!」
まぁ、前よりはまともになっている。
「どこから思いついたんですか?」
「それ!」
と指差したのは、机の上に無造作に広げられていた新聞。
小さく「古代の神器か?謎の剣発見」という見出しだった。
読んでみると、奈良県で「伍星乃劔」という刀が発見されたというものであった。
それよりも、四メートルほども離れた位置で、こんな小さな記事を発見できるとは、流石は視力2.0。
たぶん、絶対にそれを超過しているが、計っていないので不明だが。
「それじゃぁ奈良は昔『大和』と言いましたから、『五星大和』というのはどうでしょう」
「ああ、それええなぁ」
「それならいいですね」
これで三人とも納得できる名前になった。
「なぁ、やっぱり『台 焼』言うんはだめかな」
「…………」

447 :あずまんが太平洋戦記 :2006/01/01(日) 02:26 ID:???
「ということだ」
変わった名前かと思えば、意外に単純な命名方法だった。
「面白くねー!だったら大阪の言った『台 焼』のほうが絶対よかったぞー!」
「人の名前で遊ぶな。そんなにいいなら自分の名前にしろ」
「いや、結構」
とりあえず、連合艦隊まで到着するにはヒマなのだ。
『海燕』を使っても良いのだが、4人も一編には運べない。
ヘリは陸上部隊の戦車を入れてしまったため格納庫から取り出せない。
つまり、この『やまと』で連合艦隊まで行かねばならないのだ。

「静かダ……」
窓から夕焼の光が入ってくる。
「ZZZ……」
大阪はまだ彼の膝枕の中で夢の中だ。
一応これでも軍人らしいが、絶対にそうは見えない。
敵の膝の上で寝るなど、いくら手錠をしていたとしても殺される可能性は高い。
自分を信頼しているのか、それともただのお人よしか、何にも考えていないのか。
もう一度窓の外を見ると、海鳥が夕焼空を駆けていた。

「土井大尉、五星さんは…… 何を考えているんですか」
「どういうこと?」
由は桜と右舷甲板に立っていた。
一応警戒しているが、イージスシステムは使用していないから大丈夫だ。
もしもイージスシステム展開中に甲板に出ようものなら、レーダーの電波が電子レンジ代わりとなり、あっという間に丸焦げだ。
「貴方は見た感じ五星さんと親しそうです。まぁ軍人なら機密を守るのが当然なんですけど……
 あの五星中佐にはそういうのよりも、個人的に行動しているような気がするんです」
潮風が桜の長い髪を棚引かせる。
夕焼けを綺麗に跳ね返すそれは、まるで宝石のようだ
「そう。それで、貴方の推理ではどんなことをしているの?」
「それがわかったら苦労しません。けど、貴方なら教えてくれそうだから」
「私もわからないし、別に知ろうとは思わない。でも、確かに何か考えてるよ」
由は頭をボリボリ掻く。何なのだろう、五星は悪い人ではない。
だが、腹のうちまで読めない……
それが彼女のどこか恐怖心を彼女の中に植えつけているのだ。
「この艦は太平洋戦争を一気に逆転する力を持っている。
 大本営とかよりも、山本長官や五星ちゃんのような人間が使ったほうが絶対効率的なのは間違いないわ」
それを、監視カメラで集音もしながら見ている人物がいた。
コピーだ。
この会話を見て何を思うのか。
自分のオリジナルとの親しい人物が、何をしようとしているのか。

448 :あずまんが太平洋戦記 :2006/01/01(日) 02:26 ID:???
ちよとコピーは五星を疑っている。
ともは何も考えていない。
大阪は寝ている。
暦と神楽は、人を傷つけずにこの戦争を終わらせたいと思っている。
榊は、傷ついた人を助けたいと思っている
五星の考えは不明。何かを狙っているのは確かだ。
桜は感情自体がない。
由は五星の考えを探っている。

幾人もの心を乗せて、『やまと』は夕焼の海を進む……

449 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2006/01/01(日) 20:02 ID:???
>>444-448
新年最初の作品投下、お疲れ様です。
登場人物の関係脈略の後の情景が眼に浮かぶようです。
それにしても、本当に絶好調ですね。
遅筆な俺には羨ましい限りです。

ただ今容量は473〜4程度ですが、次スレは480を目処に立てさせて頂きます。

450 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/01/01(日) 21:42 ID:???
>>444-448
お疲れ様です

>>443>>440
どうもです

451 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2006/01/02(月) 16:26 ID:???
>>440
お疲れさまです。とーちゃんとゆかりのコンビがまたライダーとは珍しい。
改造された経緯も気になります。

>>448
お疲れ様です。何個も短期間のうちに投稿できるそのひらめきが
とても羨ましい限りです。

>>449
お願いします

452 :名無しさんちゃうねん :2006/01/08(日) 09:17 ID:???
暇なのか?

453 :名無しさんちゃうねん :2006/01/08(日) 10:25 ID:???
>>453
何で会議室と同じ質問してんの?楽しい?

454 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2006/01/12(木) 00:47 ID:???
新年の挨拶・及びお詫び。

新年、あけましておめでとうございます。
お待たせいたしました。
CHANGE GETTER・・・略称「チェジゲスト」の9話目、(1)が出来上がりました。
これが新年初の投下となるのですが(昨年はどうも有難うございました)、
今回も、自分の筆力不足と言うか、作品の都合と言うようなことで、
「あずまんが大王」のキャラが一切出てきておりません。
新年早々これはどうしたものかといった感じかもしれません。
ですが、今回は視点がゲッターサイドということで、
どうかご了承ください。

455 : CHANGE GETTER ROBOT THE STORY 第9話 −DEEP RED− :2006/01/12(木) 00:49 ID:???
CHANGE GETTER ROBOT THE STORY
第9話 −DEEP RED−


「うおおおおおおおおりゃああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア――――――――――――――――ッ!!!!!!!!!!!」

修羅と異形。
二つの怒号が荒野に響く。
巨大な蟻が右腕を高々と振り上げ、それを自らに迫る紅い塊へと振り下ろす。
紅い塊の直径ほどもの刃渡りのある鉤爪の付いた、鎌の様な右腕を。

ガキィッ・・・

鈍く、だが鋭い周波の音が起く。
振り下ろされた刃はバツの字を斬って構えられた小振りな戦斧によって、
緑色の硝子のようなフィルターを甲羅のような頭部に散らばせた紅い鬼の眼前で留められていた。

だが質量の差は明確だった。

剣圧によってゲッター1の機体全体に負荷がかかり、
装甲のヒビは、ついに機械内部にまで亀裂を深め、
刃を受け止めた瞬間全身からは赤いオイルがぶわっと溢れ出した。
溢れ出した赤いオイルは、ゲッター1の赤い装甲更に赤く染め上げながらどくどく滴り落ち、
褐色に焼けた地面へと伝わっていく。
そしてその地面を、ゲッター1の足が踏み抜く。
オイルが染みこんだ土をぐしゃぐしゃと潰しながら、ゲッター1の両足の爪先が地面に喰い込んでいく。
女王蜂を持ち上げた際に入った、脚部装甲の亀裂からべきべきという悲鳴を上げさせながら。

それを褐色色の装甲で身を包んだ巨大な蟻は見降ろしていた。
蟻の口元でがちゃがちゃと忙しなく蠢いている触覚とは対照的に、
粗悪なプラスチックのような無機質な眼球の視線は、自分の眼下に存在する赤い塊。
それの一点にじっと注がれていた。

456 :CHANGE GETTER ROBOT THE STORY 第9話 −DEEP RED− :2006/01/12(木) 00:50 ID:???
「グギャググギャギャギャグググ・・・・」

自分の体躯を大きく下回る、それも満身創痍と言って違わない状態の
その赤い物体に黒い影を降ろしながらながら蟻が啼く。

「グギャアァァァァァァァァァァ」

組み合っている刃にぎりぎりと自重を重ねながら、長く余韻を漂わせるようなかんじで蟻が啼いた。
音程はまるで違うが、猫が欠伸を掻いた様な感じだ。
刃に込められる蟻の重量によってゲッター1の両足が、更に土の中深くへと埋まっていく。
亀裂からは、尚もオイルが溢れている。

「しぶとい」

蟻はそう言っている。
先程の啼き声の意味はそれだ。
頬を歪め、歯を剥きだしにして、格下のものを見下すように。
人間で例えるなら、正にそんな感じで蟻は言っている。

グ・・・ゴゴゴゴゴ・・・

ごりごりという摩擦音と共に、何かが動き出す。
そして、地面に一筋の太い柱の影が降りた。
それは、空高く挙げられた、右腕と対になる左腕だ。

「ギャアグゥアァアァァアァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!」

叫びの中に、殺意を込めながらの咆哮と共に、刃を下す。
陽光を浴びて白色の光を纏った刃が、地面と垂直に光の線を垂らしながら、
組み合った刃の束のその先へと落ちていく。

刃が、機体の眼前へと迫る。

その時だ。

457 :CHANGE GETTER ROBOT THE STORY 第9話 −DEEP RED− :2006/01/12(木) 00:51 ID:???


「―――ンだよ」


鬼が、口を開いた。
にやっと広がった唇の奥から覗く牙のような歯の奥で、
不敵さに満ちた声が零れた。

「ッ!?」

蟻の体が、誤作動を起こしたかのようにがくんと震える。
その声で。
不敵さと、暴力に満ちたその声で。

「図体のワリにゃあ・・・大したコトねェじゃねぇか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!」

真紅の鬼を駆る修羅。
流竜馬の、その声で。







TO BE CONTINUED

458 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2006/01/12(木) 00:53 ID:???
二度目・・・よりも多いかもしれませんが(板のほうでも書いたので)、
今年もまた、宜しくお願いいたします。

459 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2006/01/12(木) 22:07 ID:???
>>458
お疲れさまです

460 :第64話 「恐るべき怪獣魔境」 :2006/01/12(木) 22:09 ID:???
ウルトラマンジャスティス
第64話 「恐るべき怪獣魔境」
溶岩怪獣グランゴン 冷凍怪獣ラゴラス 登場

「とーちゃん、やまにいこう」
小岩井よつばの一言でとーちゃんこと小岩井は山に行く事になった。

「なんかこうしてみんなで出かけるの久し振りだね〜」
綾瀬恵那が生き生きとした表情で山を登る。

「私は釣りをした時の事思い出したな〜」
みうらも軽快な足取りで山を登っていく。

「それに今回は俺たちだけじゃないしな」
とジャンボは後ろを振り返る。

「何でお前がいんだよ!!」
「やんだ、きらい!!」
「俺もお前が大嫌いだよ!」
好青年風の男がよつばと喧嘩していた。彼はやんだ。小岩井やジャンボの後輩である。
見た目に反して大人げなくよつばとは犬猿の仲だ。

「何であたし等が付き合わなきゃなんないのよ〜」
「ゆかり、誘っておいてもらっておいてそれはないでしょう!」
それは谷崎ゆかりと黒沢みなもだった。前回のフロッグ星人の事件以来、
急速に親しくなった(と思っている)ゆかりと小岩井の仲を深める為にと
ジャンボやみなもが今回の事を企画した事は知る由もない。
よつばには山に行くとだけ伝えて小岩井を連れ出す事に成功したのだ。
何故それしか話さなかったかと言うと、よつばにはそれ以上の事を話しても
理解出来なかったであろうと判断された為である。
実際よつばは山に行くと言ったら最後まで話を聞かずに
飛び出してしまったくらいなのだから・・・・・・・
もちろん恵那もみうらもこの事は聞かされている。

「先輩も行くのか。だったら俺も行く!!」
本当はやんだは予定になかったのだが、たまたま遊びに来ていたやんだに
それを聞かれて、彼も一緒に来る事になったのだ。

461 :第64話 「恐るべき怪獣魔境」 :2006/01/12(木) 22:11 ID:???
(まあ予定外の奴が一人いるけど問題ないだろう)
(何でよつばちゃんとやんださんはあんな仲悪いんだろう?)
(さあ。私としては紗奈や澪も連れてきたかったけど、予定合わないんじゃ
しょうがないよなぁ)
(こういうのに付き合うのって私もお人よしよね。また母さんにお見合いの話されそう)
各人がそれぞれの思惑を胸にしつつも、ハイキングを楽しむのだった。

「えな、みうら〜きょうそうしよう!」
そう言いながらよつばはいきなり駆け出した。

「あ、よつばちゃん!待って!!」
「いきなり走り出すと危ないぞ〜」
恵那とみうらは慌てて駆け出す。

「本当、元気ね。あの子。ちよすけとそっくり外見なのに中身は全く
正反対っていうか」
「ああ、よつばは無敵だからな」
小岩井とゆかりは意図した訳ではないだろうが、一緒になって歩いていた。

「竹田先輩!小岩井先輩と一緒に歩いているあの女の人誰だよ?
何が起こったのか教えてくれよ」
「分かった分かった。説明するからあんまり顔を近づけるな」
ジャンボはやんだに親しくなった経緯を話した。

「ふーん、そうなのか。先輩がねぇ。そういう事なら協力しないと」
恵那は純粋に手伝おうと思っているが、このやんだとみうらは面白そうだから
手伝うというスタンスをとっていた。

「問題はどうやっていいムードを作らすかよね」
みなもは体育教師なだけあって何の苦もなく山を登っていく。

「あーあとチビ達を見失わないようにしなきゃな。はぐれたら元も子もない」
一応まだ見える範囲内にはいる。しかしそれでもジャンボ達はペースを少しあげる。

「あ、待ってください!」
やんだ達も慌てて後を追う。彼等は気づいていなかった。恐るべき場所に迷い込んだ事に・・・・・・・

462 :第64話 「恐るべき怪獣魔境」 :2006/01/12(木) 22:13 ID:???
「あーあれなんだ〜」
よつばが指差した方向には虹が見えていた。

「本当だ。でも何かがおかしいよ」
「あれ?あの虹って上下逆さまじゃん」
みうらの指摘した通りそれは上下逆だった。それと同時に地震が起こった。

「地震!?」
しばらく揺れ続けていたがやがておさまった。

「おーいみんな大丈夫か?」
大人達が駆け寄ってくる。しかしよつば達に怪我した様子はない。

「ね、ねえこれ」
みなもが驚いた声をあげてみんなを呼ぶ。

「何なのにゃも。大げさな声だして」
「これを見て!コンパスが!!」
言われた通りコンパスを見てみると針が狂っていた。

「うわ、こりゃあやばいんじゃないの?先輩」
やんだはその割にはあまり緊張感なさそうな声で言った。

「いやでも大丈夫だろ。ここまで来た道はほとんど直線だったから、
それに沿えば迷う事はないだろう」
小岩井も楽観的である。しかし、直後にそんな気分も吹き飛ぶ事態が起こった。

「とーちゃん、あそこにあながある。いってみよ〜」
「おい、ちょっと待てよつば!」
小岩井の制止も聞かず、よつばは穴の中へと走っていってしまった。
慌ててよつばを追う他のメンバーだが、その洞穴までの道のりはかなりあった。

「お前よくこんなの見つけられたな」
「よつばちゃん、凄い視力」
「よーしはいろう〜」
よつばはどんどん先に行ってしまう。

463 :第64話 「恐るべき怪獣魔境」 :2006/01/12(木) 22:14 ID:???
「何だよ、あいつ。体力底なしかよ」
やんだは息が上がっている。

「全くよ。追いかけるこっちの身にもなりなさいっての!」
「だらしないわねぇ。二人共」
ゆかりも小岩井に手をひかれる感じでへばっている。そんな二人を見てみなもは呆れる。

「おーいそっちに何かあったのか〜?」
ジャンボが三人に声をかける。

「なんかでっかいのがいた」
よつばの指差した先には暗くてよく見えないが、確かにそれとおぼしき巨大な生物がいた。

「ねえこれってどう見ても怪獣だよね?」
「それもモーグの時みたいに友達になってくれそうな顔じゃないよ」
それは以前みうらや恵那が目撃したモーグとは比べ物にならないくらい大きかった。
そしてその怪獣が炎のように赤い目を開いたのだ。

「おい、怪獣が目を開けたぞ!!」
「何か凄い目で睨んでないか?」
「ほら何やってるの?早く逃げましょう!!」
慌てて彼等はその場を離れた。それから数刻の後に岩を崩し、怪獣が現われる。
四足歩行で鉱物のような体をしている。また背中の部分は目と同じで
溶岩のように真っ赤だった。
怪獣は自分達を目覚めさせたゆかり達を狙いはじめる。

「こっちに来るよ〜」
「まったくヘトヘトなのに、また走らなきゃいけないなんて」
「そんな事言ってる場合じゃないだろ。追いつかれたら終わりだぞ!」
やんだやゆかりも疲れた体に鞭打って走る事になった。怪獣は火炎を吐いて
よつば達の近くを爆撃した。

「わーすごい!ひをはいた〜」
「よつばちゃんってどんな時でもマイペースだね」
「この状況を楽しめるあんたが羨ましいよ」
よつばはこんな時でも笑顔である。しかし、よつばの機転(というべきか)の
おかげで助かったのも事実である。

464 :第64話 「恐るべき怪獣魔境」 :2006/01/12(木) 22:15 ID:???
「とーーーーーーー!!」
よつばは少し大きめの石を拾い上げ、それを投げる。思った以上に
飛距離が伸び、怪獣はその石に目を奪われ、その石を追いはじめた。

「た、助かった」
「よつばちゃん、ありがとう」
何とか危機を脱し、みうらと恵那はホッと一息ついた。

「それにしてもお前、よくあんな事思いついたな。感心したぞ」
小岩井はよつばの頭を撫でる。

「あーあれな。いしがあったからなげた」
「つまり深く考えて投げた訳じゃないんだな。そんなこったろうと思った」
よつばの呑気な答えにジャンボはやれやれと両手を肩のとこにあげた。

「それにしてもここ何なのよ!怪獣なんて聞いてないわよ!」
「まったくだ!こんな危険なとこだったなんて聞いねーよ!!」
ゆかりとやんだは息をきらしながら不満を洩らす。

「とんだハイキングになったわね」
流石のみなもも疲れた表情で椅子に座った。

「そうか〜よつばはたのしいぞ〜」
「あれが楽しい〜?バッカじゃねーの!お前!!」
「ばかじゃない!やんだのほうがばかだ!!」
「俺はバカじゃねーよ!!」
またも喧嘩を始めてしますやんだとよつば。

「落ち着けよやんだ」
「何やってんだか・・・・・・・・!!」
ジャンボが後ろから抑える。しかし、その直後大きな音がして何かが背後から
歩いてくる音がした。

「ね、ねえみんなあれ・・・・・・・」
みなもが青ざめた顔で指を指す。

465 :第64話 「恐るべき怪獣魔境」 :2006/01/12(木) 22:17 ID:???
「何をそんなに驚いているのよ、にゃも・・・・・・・!!」
からかうように笑ったゆかりだが、後ろを見て驚愕する。
そこには先程と違った怪獣が姿を現したからだ。
二足歩行でさっきの怪獣とは逆で氷のような真っ青の体色をしており、
ブーメランのような角を生やしていた。

「おいおいここは怪獣の溜まり場かよ!」
「そんな事より早く逃げようって!!」
ジャンボはうんざりした表情で言った。
みうらは恵那とよつばの手をひいて逃げる。他もそれに続く。
この怪獣は口から冷凍光線を吐いてきた。それは木々を一瞬のうちにして凍りつかせた。

「お〜すげえ。こんどはこおりだ〜」
「いちいち驚く事じゃないって」
やはりどことなく楽しそうなよつばであった。このまま何とか逃げ切ろうと
するメンバーだったが、ゆかりが足を踏み外して坂を転がり落ちてしまう。

「きゃああああああ!!」
「あっゆかり!!」
「俺が行く!!」
みなもが行くより先に小岩井が飛び出していた。

「とーちゃん!」
「小岩井!!」

それより少し時間は遡る。
HOLY基地内でも今回のハイキングの事は話題になっていた。

「みんなでハイキングですか。何か楽しそうですね〜」
「ふっふっふっ、甘いな。ちよすけ。このハイキングはそれだけではないぞ〜
何とあのゆかりちゃんととーちゃんをいい機会だからくっつけようって側面もあるんだ」
「ああ、確かにあの二人満更でもなさそうだったからな」
ちよに対して智は指で「チッチッチッ」としながら、説明した。その説明に納得する神楽。

「長谷川君、かわいそうやなぁ。せっかくゆかり先生派やのに・・・・・・・」
「春日さん、だから違うって!長谷川君が好きなのは」
とかおりんは千尋の方を見るが、当の千尋は不思議そうに首を傾げる。

「どうしたのかおりん?私の顔に何かついてる?」
しかし、千尋は全く気づいていない様子だった。

466 :第64話 「恐るべき怪獣魔境」 :2006/01/12(木) 22:19 ID:???
「そういえばゆかり先生達は一体どこにハイキングに行ったんだ?」
暦はカロリーメイトを食べながら聞いてきた。智が「太るぞ」とからかったが、
「これくらいなら大丈夫」と切り返す。

「えーと確か霧隠山(きりがくれやま)だね」
千尋が彼女達が行った場所をサーチする。

「おい、そこってまさか・・・・・・」
「うん、ちょっと厄介なとこに行っちゃったみたいだね」
「どういう事?」
暦と千尋が難しい顔をしたので、榊が尋ねてみた。

「霧隠山はあらゆる磁気が狂ってしまって迷いやすい事で有名なの。魔境とも呼ばれてる。
下手をすると魔境に迷い込んでそのまま行方不明って事もある。
しかも最近になってそこに怪獣が現われたって情報まで入ってきてるの。
目撃情報まで寄せられてるわ。言うなれば怪獣魔境って奴」
「怪獣が現われたのはいつ頃から?」
「ジェネシス事件のあたりからだったと思う」
その時、ちよが複雑な顔をした。

「その怪獣の映像は出せるか?」
「ええ、今出すからちょっと待ってて」
千尋がスイッチを押すとよつば達を襲った二匹の怪獣が映し出された。

「これは?」
「片方は溶岩怪獣グランゴン。その見た目通り口から火球を吐く。生物でありながら
鉱物に近い特性を持ってる」
「つまり溶岩の中でも平気って訳か」
「もう一体は冷凍怪獣ラゴラス。口から吐くマイナス240℃の冷凍光線が武器だね」
「ちょっと待って!今霧隠山を検索してみる」
かおりんは慌てて霧隠山をサーチする。すると見事に怪獣反応が出た。

「怪獣反応が二つある!どっちも今は動いてないけど、いつ動き出すか分からないわ!」
「え!それじゃあゆかり先生達が危ないんちゃうん?」
「急ぎましょう!手遅れになる前に出撃しましょう!!」
「航空メカは使えないよ。磁場が狂ってから下手すると墜落の危険性がある」
「だとすると地上用のブラックイーグルとシルバースコーピオンしか使えないって訳か」

467 :第64話 「恐るべき怪獣魔境」 :2006/01/12(木) 22:21 ID:???
暦は腕を組んで考えこむ。

「とにかくこうしててもしょうがねぇ!出撃しようぜ!!」
「神楽の言う通り!行こうぜ!!」
「そうですね!ゆかり先生達を救出に向かいましょう!」
こうして彼女達も出撃する事になった。ブラックイーグルに榊、歩、
シルバースコーピオンには智、神楽、暦、ちよが乗る事になった。
霧隠山に着くとひどく通信状態が不安定となった。そして智が奇妙なものを見つけた。

「何だあれ?虹が逆さまだ」
「恐らくあそこが魔境の入口だろう!入るぞ!!」
「今の場所を覚えておきましょう。帰れなくなるかもしれませんから」
メンバーは意を決して魔境へと潜入する。そしてここをしっかり記憶しておく。
一応まだ通信は通じているが、いつ通信不能になるかは分からない。
入って早々に一同はグランゴンと遭遇する。

「おわ、いきなり出たよ!!」
「急ぎましょう!冷凍弾発射!」
「おうよ!」
グランゴンの火炎をかわして、神楽は冷凍弾をグランゴンに撃ち込んだ。
瞬時にグランゴンは凍りついた。

「とどめだ!!」
暦の撃ったレーザーによりグランゴンは粉々に砕け散った。

「やった!」
「意外にあっけなかったな」
「急ごう。よつばちゃん達を助けよう!!」
急いでよつば達の元へ向かう一行。そのよつば達だが、ラゴラスに襲われていた。
絶体絶命かと思われたその時、HOLYが到着した。

「氷とくればやっぱ炎だな」
各自それぞれ銃のカートリッジを取替え、バーナーをラゴラスに向かって発射する。
ラゴラスはそれを嫌がったのか、一度冷凍光線を吐いて抵抗を試みた事以外は
あっけない程に逃げたのだった。

468 :第64話 「恐るべき怪獣魔境」 :2006/01/12(木) 22:23 ID:???
「やりぃ!どっちも大した事ねーな!!」
神楽はすっかり上機嫌だ。

「みんな大丈夫ですか?」
「まあ、ここにいるメンバーはね」
尋ねるちよに対して疲れた表情でみなもは答えた。

「ゆかり先生と小岩井さんはどないしたん?」
歩が気になって発した言葉によつば除く全員がうっとなる。

「さっき智達が追っ払った怪獣が襲ってきた時、はぐれちゃったんだ!」
「向こうの方だよ」
と恵那はゆかり達が転がり落ちた方角を指差す。

「おめーらがHOLYか。何だ女ばっかなんだな」
やんだは初めて見るHOLYを凝視していた。

その頃、落ちたゆかりと小岩井だが幸いな事に二人共無事だった。

「いたたたた、これは結構効くわ」
ゆかりは落ちた時に背中を痛めたらしく、背中をさすっていた。

「どうやら二人共、無事みたいだな」
「そうみたいね。あーもうこんな気味の悪いとこ抜けてさっさとにゃも達と
合流しよう!」
「そうだな。よつば達が心配だし」
「痛っ!」
しかしゆかりは立ち上がろうとして右足に痛みを感じて座り込んでしまう。

「どうした?」
「どうも足を捻ったみたい。ちょっと痛い」
ゆかりは苦痛に顔を歪めながら言った。

「確かにちょっと辛そうだな。しょうがない」
そういうと小岩井は彼女の体をひょいと抱き上げ、おぶった。

「え?ちょっと何してるのよ!?」
珍しくゆかりが動揺して抗議の声をあげる。

469 :第64話 「恐るべき怪獣魔境」 :2006/01/12(木) 22:25 ID:???
「足を引きずって走るのはきついからこうした方がいいかと思ったんだけど」
「・・・・・・・・・」
照れているのか頬を染めて黙るゆかり。いつもの彼女らしくない珍しい反応だ。

「とにかく小岩井さんとゆかり先生を急いで探しましょう」
「そうやな〜」
シルバースコーピオンには既に二人以外のメンバーを乗せている。

「よつばもとーちゃんさがす!」
「駄目だ!下手に動かれて迷子になったらもう戻って来れないんだぞ!」
探しに行こうと駄々をこねるよつばを神楽は止めた。迷子という言葉に反応したのか
よつばはそれに従った。

この時、二大怪獣の活動の影響なのか霧隠山が噴火した。幸いよつば達の方には
溶岩は流れ込んで来なかったのだが、これの影響でグランゴンの破壊された
断片が元通り再生して復活を遂げる。

「そんな、どうして!?」
「流れ出した溶岩がグランゴンの体を再構成したんだよ!」
驚くかおりんに千尋は説明する。まだ通信機能は異常をきたしていない。

「あーもう!しつこい奴だな!倒したと思ったのに!!」
智が地団駄を踏む。

「ねえ、あっちを見て!!」
「どないしたんにゃも先生〜?」
みなもに言われて歩がそちらに視線を向けると、先程追い払ったはずの
ラゴラスが再び姿を現した。

「ちよちゃん、早くここから脱出しよう!このままじゃやばい!」
「でも小岩井さんとゆかり先生がまだ・・・・・・」
暦に言われちよは迷った。グランゴン、ラゴラスに先程と同じ攻撃を繰り出すが、
耐性がついたのか二匹ともその攻撃は通用しなくなっていた。
グランゴンとラゴラスはまるで何かに引き寄せられるように互いに近づいていった。
HOLYに攻撃されても全く取り合おうとしなかった。

470 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2006/01/12(木) 22:26 ID:???
リクエスト第2弾でした。

471 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2006/01/12(木) 22:27 ID:???
>>460-469
お疲れ様です
リアルで閲覧させていただきました。
久々に搭乗したよつばとキャラ、及び初登場のやんだ氏達の
後編に期待しております。

472 :レウルーラ ◆iCj5r1a15w :2006/01/13(金) 00:36 ID:???
>>460-470
お疲れ様です!
>>468-469
お?王道的な展開ですね。後半を楽しみに待っております。

………実を言うと、この64話を読んで気持ちが高ぶった勢いに乗って『仮面ライダーゼルバ』の
「試作用『必殺』的シーン」を投下しようと思っていたのに、それの文章を書いておいたルーズリーフを
紛失してしまったために、投下を延期せざるを得なくなってしまったため、ちょっとブルーな気分です。

473 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2006/01/14(土) 19:12 ID:???
容量が結構なものになってきましたね。

質問推奨委員長さんに質問なのですが、以前G2の戦闘についての
コトをお尋ねしましたが、8話(6)のアレで、原作のGの速度などを
文章で読者の方々に伝えることができてたでしょうか?

474 :名無しさんちゃうねん :2006/01/15(日) 23:56 ID:???
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|        超高速で〆のレス!! |     (巛ミ彡ミ彡ミ彡ミ彡ミ彡)ミ彡ミ彡)ミ彡)
\_ ______________/   ,,从.ノ巛ミ    彡ミ彡)ミ彡ミ彡ミ彡)ミ彡)''"
  ∨                       人ノ゙ ⌒ヽ         彡ミ彡)ミ彡)ミ彡)'
   / _             ,,..、;;:〜''"゙゙       )  从    ミ彡ミ彡)ミ彡,,)
  / ̄\     ,,..、;;:〜-:''"゙⌒゙          彡 ,,     ⌒ヽ     ミ彡"
  (・3・  )─::゙:゙                    '"゙          ミ彡)彡''"
  \_/  ``゙⌒`゙"''〜-、:;;,_              )   彡,,ノ彡〜''"
   \  ̄           ゙⌒`゙"''〜-、,,     ,,彡⌒''〜''"
      ゴオーーーーーッ            "⌒''〜"

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       `\√ズゴオーーーーーッ          ..….
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475 :名無しさんちゃうねん :2006/01/16(月) 00:03 ID:???
  (~''''''ー-、,厂ヽ ,,,,,,,,,,,                     ,,, r''''''~~ ̄ ̄ ̄~` ヽ、,
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.        丶、,,,,  /::::::::::::::::::::`丶,.    / i;;;;;;;;;;;;ト.ニー-、,,, \;;/ヽ' .!;;;;;;;;;i  .i .!;;;;/i;/ヘ;;`、   /
.         i;;;;;;;;;;;;;/:::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ、.  ′i;;;;;;;;;;;;;!/~ i;;;;;;;;;i`     ゝ::;;ノ  .!. ''' ''.イ .);;;ヽ  .ヽ、   さぁ、次スレに行くぞ!
         i;;;;;;;;;;;;/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ、. !;;ハ;;;;;i.! ゝ;;;;;ノ              '' ./;;;;;;;ヽ    `i
.        ト;;;;;;;;/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、!/ ヽ、;i^.、     、     ,.ィ      ノ;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ   |
        ヽ'-イ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ,  i.`      .   '.´   i    ./;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ  |
.         ''''''、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ!.      i       i   .イ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ .|
.           丶、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\,     ヽ      !  イ;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ'ー、;;;;;;;;;, | これからもよろしくな!!
              `丶:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ー-、.  ヽ、  .,.イ イ/|;;;;;i\;;;;;;;;;ヽ    |
.                `ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::~ヽヽ''':::ー-- ~.''::::::/ .ト\i `''''''';;;ヽ  .|
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