世の中のすべての萌えるを。

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あずまんが百合萌えスレ 2

1 :名無しさんちゃうねん :2004/04/27(火) 01:00 ID:???
 と言うことで、まだまだ続くよ、百合萌えスレ
 ちよさか 阪ちよ ゆかりにゃも に 阪カグ

 ハハハ
 た〜のし〜いぞ〜お
 
 特殊嗜好なので、嫌いな人は、笑って許して
 基本的にsageの方向で

 前スレはこちら
http://www.moebbs.com/test/read.cgi/oosaka/1044502785/l50

101 :『あたしの悩みあなたの悩み』《5》 :2004/12/24(金) 01:10 ID:???
 思わず顔を上げた神楽に、あんぱん食べよ、あんぱん、と大阪はきびすを返して、自分の席にパタパタと小走りに駆けた。

 手元にはあんぱんがある。
 それもまるまる一個ではなくて、半分にちぎれている奴だ。普通は半分に割った、と表現するはずの物は、大阪のぎこちない手のひらでちぎられて、神楽の手元にある。
「どーぞ」
「あ、ありがとう」
 なんであんぱんなんだよ、とはいえない。なんだかごまかされているみたいな気もするけど、神楽はすすめられままあんぱんを口に運ぶ。甘い。もぐもぐ噛んでいると、大阪が。
「ふお! 中まであん、つまっとる!! 」
「あたりまえだろ。あんぱんなんだから」
 やや呆れ気味に神楽が言うと、いいや普通のあんぱんは、ここまでつまってない、もっとこう控えめやねん、と反論した。言われてみればそうかもしれない。
「あんぱんってやー? 」
「ん? 」
「クロワッサンとは、違うやろ? 」
 突然珍妙な問答が始まって、神楽は目をぱちくりさせる。ああ、と答えて、大阪の言いたいことを理解した。
 そうか、そうだよな。
 物事って、一種類だけじゃないんだ。
「……パンの種類って、一杯あるな」
「パンツの種類も一杯あるやろ? 」
「あ、ああ、一杯あるな……」
「あたしの履いてるの、見る? 」
「じゃあ、後で」
「見せたら神楽ちゃんのも、見せてな? 」
「いや、別に見ても面白いもんじゃ、ないよ」

102 :『あたしの悩みあなたの悩み』《6》 :2004/12/24(金) 01:11 ID:???
「面白いか面白くないかは」
 人によって違うねん、と言って、大阪はまたパンを口に含んだ。もむもむ、顎が上下するのが見える。廊下からの明かりに頼るだけの、この薄暗い教室で。

「世の中には、色んなパンがあるもんな」
 咀嚼したあんぱんを喉に流しこんで、神楽が言った。
「普通のパンって言われて、食パンを思い浮かべる人もいるし、メロンパンを思い浮かべる人もいる。でも、パンはパンだもんな……。
 だから勝手に、自分が何なのか決めちゃわなくって、いいんだ」
 そう言い切ってしまうと、自分が少し楽になったのが、神楽には分かる。自分がならなくちゃいけない、と思っているパンの形は、もしかすると自分にあってないパンの形かもしれない。
「聞いた話だけど、クロワッサンと、普通のパンって生地から違うらしいもんな。
 クロワッサンは、生地にどんどんバターを重ねていって、だからあんなにきれいな層が出来るんだって……。
 けれど、もしクロワッサンにアンコをはさんでも、それはあんぱんじゃないもんな。美味しいか美味しくないかは別のこととして。
 だから、あれをしなきゃいけない、しちゃいけないとかって、自分を型にはめなくてもいいんだよな? 」
 同意を求めて大阪を見ると、この少女は感心した顔をして、へー、クロワッサンって、そうやって作るんか。知らんかった、と言った。
「いや、そういうんじゃなくて、人間には色んな種類があるよね、ってことを、大阪が言いたかったんだよな? って尋ねたんだよ! 」
 期待はずれの返答に、思わず神楽の声が大きくなる。そして言い切ってしまってから、なんだか必死な自分に、急に頬が熱くなった。
 そんな神楽の様子を分かってか分からずか、大阪は、うん、とこっくりうなづいた。
「うん」
「うん、なんだよ」
「そんな感じのこと、言おうとした気がする」

103 :『あたしの悩みあなたの悩み』《7》 :2004/12/24(金) 01:11 ID:???
「そんな感じって、どんな感じのことだよ」
「え? でも神楽ちゃんは、もうあたしが言いたいこと、理解してくれたんやから、余計なことは言わなくても……」
「言、え」
「え? 」
「言、え、よ」
「えー? 」
「そこまで言ったんなら、言ってくれよ」
 お願いだから、と神楽はすがる。
 自分の考えいたったことと、話し相手の言おうとしたことの、話題の齟齬が気持ち悪い。一瞬間があいて、大阪が、しょうがないな、と折れた。
「あのな、あんぱんは、カミングアウトしようとしたあたしの気持ちを落ち着けるために、食べようと思った」
「カミングアウト? 」
「そー、クローゼットから、出る」
 うなづく大阪の目が、すっと細められる。
 満足そうな、試すような猫の瞳のように。
 その時神楽は、始めて明かりが廊下からだけでないことに気が付いた。窓の外に。
 蒼い、月が出ている。

「あたしは、つまったパンが好き」
 中に何かつまったパンが好き、と手元のあんぱんを見る。噛み跡が丸く残っている。
「神楽ちゃんは、あんぱんやねん」
 色も大きさもすごくたのもしいあんぱんや、と大阪は告げる。茶色い柔らかい神楽。
「クロワッサンはとても美味しい」
でもあたしはどちらかと言うと苦手、と大阪はまたちょっぴりだけあんぱんを齧る。
「あんぱんはつまってるのがいい」
 中までぴっちり、あんがつまってるのが好き、神楽ちゃんは中まで一杯つまってる。
「あたしは、クロワッサンみたい」
 中はすかすか、だけど見た目は悪くないやろ? 自分でも知っとお、と大阪は笑う。
「あたしは自分のこと嫌いやった」

104 :『あたしの悩みあなたの悩み』《8》 :2004/12/24(金) 01:12 ID:???
 意外そうな顔をする神楽。そんな神楽に、今では随分好きになったけどな、と大阪。
 だから、何がいいたいかと言うとな、あたし男の子よりな。

「女の子の方が、好きなん」

 ぱっと、神楽の顔色が変わる。
 それは嫌悪とか物珍しさとかではなく、いや、勿論それも混ざっているのかもしれないが、それよりも純粋な驚きの方が混ざっていた。
「そ、れは、女の子に、恋愛感情を持つってこと? 」
「女の子にも恋愛感情を持つってことやな、つまり」
「苦労、したんだな」
「なんでー? だって、それって何も悪いことないやない」
 心配そうな神楽に、いつも通り、いつものように答える大阪。けれど、その声には少し痛みがあるように感じる。それは神楽の思い込みだろうか?
「でも普通は、男の子の方を好きになるんじゃないのか? 」
「じゃあ、あたしは普通じゃないの? 神楽にとって」
 問い返されて、神楽は言葉に詰まる。大阪は変わっている。しかし悪人ではない。おっとりしていてぽーっとしていて、けれどそれは悪ではない。だから、普通だな、と答えた。
大阪は、神楽ちゃんは真剣やな、と笑った。
「気持ち悪いと思ったら、気持ち悪いでも、ええんよ」
 ええんよ、と言いながら、かすかに大阪の声のトーンが下がった。それをごまかすためか。
「だって女の子の方が好きって、変やもん、普通やったら」
 と言葉を続ける前に、んんっ、と喉を鳴らして声を整えた。
「だから気持ち悪いなら、気持ち悪いって、言って。そしたらあたし、それは仕方ないと思うから」
「じゃあ、言う。ごめん、正直、気持ち悪い。でも……」
「それなら、それで、ええねん」
 話を続けようとする神楽の言葉を、にこ、と大阪は笑って打ち切る。だから、よくないよ、そんなの全然、と神楽は言う。自分が本当に言いたかった言葉とは、別の言葉で。

105 :『あたしの悩みあなたの悩み』《9》 :2004/12/24(金) 01:13 ID:???
「そんなこと言うことないじゃないか、私に。私は、よくわかんないよ、そんなの。
 なんでそんなこと、素直に言えるわけ? 私だったら、言えない。だって、気持ち悪いって、嫌われてるのと同じことじゃないか?
 せっかく友達になったのに、嫌われたくないよ、私は」
「でもな、神楽ちゃんに嫌われても、あたしは女の子好きな自分も、好きやねん」
 はっきりとした大阪の声。揺るがない声。決意のある、声。
「神楽ちゃんが、このことであたしを嫌うなら、しょうがないけどな。でもあたしは、あたしのことが好き。
 友達のことが好きなのと同じくらい、自分のことが好き。だからあたしは自分を裏切らない。今年の三月に、そう決めた」
 ぱん、と突き放されたような気がして、神楽は悲しくなる。
 違うんだよ、大阪。違うんだ。
 自分の気持ちを釈明しようとする、悩む、言葉に詰まる。大阪が気持ち悪いんじゃないんだ。神楽が気持ち悪いと思ったのは、大阪に対してではない。
 そう、神楽が感じた気持ち悪さは、そんなことではない。
 言わなくては、きちんと、言わなくては。
 それでも大阪は、さっきの神楽の言葉に傷ついているだろう大阪は、にっこり笑ったまま決して痛みを見せようとはしない。
「それやから、あたしのこと嫌いな神楽ちゃんも、あたしは好き。だから……」
 ぱっと、神楽の手が大阪の手を握る。言葉を遮るのは、今度は神楽の番だ。その勢いに驚いて大阪はびくっとして、食べかけのあんぱんが、手から、落ちて。
 だから神楽ちゃんも、あたしのこと嫌いにならんといて、と小さな小さな声で続けた言葉を、呟いた。
「嫌いになるわけ、ないだろ!! 」
 ビン、と教室に声が響く。その声の大きさに、二人は動きをぴたりと止めた。大阪の手を握ったまま、握られたまま。その柔らかい手はすべすべした玉子のようで。神楽の手の中でひんやりとして。
 けれどもこんなふうに神楽がぎゅうっと握っても、決して壊れない。壊れない大阪。
 力が入りすぎて、ふるふる震える神楽の手。

106 :『あたしの悩みあなたの悩み』《10》 :2004/12/24(金) 01:13 ID:???
「私は、頭固いから、女の子のこと好きになってもいいって、そう考えると、だめなんだ」
「だめ? 」
「だって、私も、そうかもしれないから! でも、自分で認めることなんて、出来ないから!! 」
 ――言ってしまった。
 大阪はどんな顔してるだろう。その目を見る。気になって見てしまう。その懇願するような、神楽の瞳。そしてそれを受け止める、大阪の優しい目、優しい声。
「今、自分が、気持ち悪いの? 」
「気持ちわるい……。このままおとなになって、おとこのひととセックスして、こどもつくるの、きもちわるい」
「それで? 」
「じぶんが、じぶんいがいのものに、なりそうで、きもちわるい……。
 だから、おんなのこ、好きかもって、みとめるのも、きもちわるい。
 もし、見ないでいたら、ふつうのせいかつが、できたはずなのに」
 自分が何なのかわからなくてきもちわるいの。
「いやだよ、おおさか、そつぎょうするの、嫌」
「神楽ちゃん……」
「そつぎょうしたら、みんなと、はなればなれになる」
「神楽ちゃん」
「そして、おとなになって、女にならなくちゃいけない。そしたら、おおさかとも、あえない」
「……神楽」
「ねえ、おおさか」
 私、男に生まれたかったよ。
 その神楽の言葉に、始めて大阪の瞳に浮かんだ、心の痛み。けれど震える神楽を見て、大阪は一度深く深く目を閉じて、口を開く。
「なればええやないの。男に」

 唐突な大阪の言葉に、神楽が震えながら大阪を見る。

107 :『あたしの悩みあなたの悩み』《11》 :2004/12/24(金) 01:14 ID:???
 え? 何言ってるの、大阪? なればええのよ、男の人に。手術でも何でもして。そんな人一杯おるで。
「いっぱい、いるのか? 」
「うん。自分は本当は男なのに、女の身体で生まれてきたって言って、手術したり注射したりして、男になる人」
「注射か、手術も、ちょっとやだな……」
 ふ、と現実的な対処法を聞いて、神楽はちょっと落ち着いてしまう。なあ、大阪、もし私が男になったら、どうする? 神楽ちゃんが男になっても何になっても、神楽ちゃんは友達よ? 
「けれど、恋愛対象には、ならんけどな」
「……どうして? 」
 だって、あたしが好きなのは、女の子のほうやって言ったやろ? そう大阪が言って笑った。不思議に目はとろんとさせている、大阪。だから神楽は誘われるようにキスしようとしたら、大阪が、ス、と顔をよけた。
「ダメや、て。それ」
「なんで」
「なんでも。ダメ」
 そんな風に、人によっかかったら、あかん。そう言って、大阪は足元に落ちているあんぱんを拾って手で払い、今までで一番大きく口を開けてあんぱんを食べた。
「大阪、りすみたいだ」
 苦笑して神楽は大阪の髪を撫でる。大阪は撫でられるままにされている。その手のひらに、微かに咀嚼と嚥下の感覚が伝わっている。大阪が食べているのを、感じる。
「パン、おいしーなあ」
「大阪」
「うん、あんぱん、美味しい。あんぱん、あたし大好きやから」
「大阪」
「あんぱんは」
 大阪の、言葉が止まる。神楽の親指が、大阪の唇の上に重ねられてるから。
「大阪、唇に、あんこ、ついてる」
 ぐいぐい、と親指でこすると、乾き始めたアンコがぽろぽろと落ちる。強くこすられて思わず顔をしかめた大阪の唇に、神楽がそっと口づけた。

108 :『あたしの悩みあなたの悩み』《11》 :2004/12/24(金) 01:14 ID:???
「……アンコ、とれた」
 小さく囁く神楽に、大阪は、神楽ちゃんは、あたしのことどう思ってるん、と問いかけた。どうって……? あたし、好きな人と同士でないと、キスしたくない。じゃあ大阪はどうなんだよ。ダメや神楽ちゃん、質問には質問で、答えない。
「ずるいぞ、大阪」
「ずるくないわ、そんなん」
 ずるいのは、神楽ちゃんやないの、好きともなんともいわんで人にキスして。いたずらっぽく言う大阪の目は、笑っていない。微かに潤んだその瞳。けれども澄んだその瞳。その大阪の言葉を間に受けて、うなだれて神楽。
「ごめん」
「謝らんといて、もう」
 微かに苦笑した大阪が、少し考えた顔をしてから、あ、アンコついとる。

 手馴れた細い指が、神楽の顎を持ち上げる。
 手馴れた細い舌が、神楽の唇の端に触れる。
 手馴れた細い唇が、神楽の唇の上に重なる。
 けれどそれはカタカタ震える、初めてみたいなキス。
 囁く声。大阪の潤んだ声。
 かぐらちゃん、あたしのスカートの中、見たい?

 ドキドキしながら、うなづく神楽。まるで大阪のドキドキがうつったみたいに。何度もキスを繰り返しながら。
 大阪の、エッチ。
 そうよ、あたしはエッチなん。でもエ。

 ……ッチな自分も、すきぃ。
 数秒続けられたキスに遮られた言葉を、大阪は小さな声で続けて、机の上に腰掛けた。

109 :『あたしの悩みあなたの悩み』《13》 :2004/12/24(金) 01:16 ID:???
 ほら、かぐらちゃん、見たい?
 うん、大阪の、見てみたいよ。
 神楽ちゃんかて、エッチやん。
 そんなことないよ、エッチは。

 重ねられる唇、カタカタ。

 エッチなのは、大阪のほうだ。
 ほならやっぱり止めとこかな。
 だめだよ。私に見せてごらん?
 そんな命令しても、あかんよ。

 重ねられる唇、カタカタ。

 見たいなら神楽ちゃんめくり。
 え? わ、私がめくるのかよ。
 そや、その方がどきどきする。
 ドキドキしたら、どうなるの?

「もっともっと、興奮してまう」

 とろんとした目で大阪が神楽を見つめて。
 窓の外には、いつかみたいに月が。
 神楽の手は、そろそろと大阪のスカートに伸びて。
 柔らかい布が微かに微かに上がっていって。
 太ももを滑っていくその感触に、大阪が微かに身を強張らせて。

 そんな時に、誰かがばたばたと駆けて来る音。

「あ」

110 :『あたしの悩みあなたの悩み』《14》 :2004/12/24(金) 01:16 ID:???
 慌てた大阪が、机から落ちた。

                 *

「ほんと、楽しかったですよぉ。ね? 榊さん? 」
 ちよちゃんが、体育祭の帰り道に言い張っている。秋晴れの中、滞りなく行われた体育祭。今年優勝できなかったのに、楽しかったと繰り返す、自分達より年下の同級生を、神楽たちはからかっていた。ただ榊だけはにっこり微笑んで、うなづいた。
 ちよちゃんがなぜこんなに、楽しかった、と言うのか、本当はこの仲間はわかっているつもりだ。なぜなら、みんな楽しかったのだから。けれどそれを素直に口にしないのが、18歳の少女達の、小さなダンディズムなのかもしれなかった。
 そんな中、あからさまに不満を言う声がある。
「あたしなんか、大阪の特訓にまで付き合ったのにさー」
 大阪パン食い競争でビリっけつなんだもんな、と滝野智が文句を言った。
「特訓って、何の特訓だよ」
「よし! よみに教えてやろう。まず、吊るされたパンをくわえるために、跳躍力を身につけなくてはならない!! 」
「……跳躍力」
「それから、バランス感覚」
「ばらんす、かんかく……」
 呆れているのか驚いているのか、ぽかんとしてる水原暦に満足げな視線を送ると、ぱっとその標的を別の方向に向けた。
「それなのに、大阪ったら、あたしにくれる約束だったあんぱん、神楽と一緒に食っちまいやがんの!! 」
「だ! だから、その代わり私がマグネ奢っただろ!! 」
「そりゃそうだけど、食うなよぉ、人のあんぱん」
「そやでー、あたしかて、次の日別のあんぱん買ってきたやろー? 」
「あたしはあの時あの瞬間、疲れた身体を癒すために、あんぱんを食べたかったのだー! あーもう!! 」
 神楽と大阪の反論にも、智はまるで聞く耳を貸さない。智ちゃん子供みたいですね、そう言って苦笑いしたちよが神楽を見ると、神楽がなぜか、耳まで真っ赤にしていたので、微かに首をかしげた。

111 :『あたしの悩みあなたの悩み』《15》 :2004/12/24(金) 01:17 ID:???
 そう、あの瞬間。大阪のスカートを、神楽が捲り上げる瞬間、滝野智が飛び込んできたのである。
 大阪の特訓に付き合っていた智は、下で大阪が着替えてくるのを待っていたらしい。知り合いがきて話をして来たので、その相手をして時間を潰していたが、待ちきれなくなって教室まで駆け上がってきたのだ。
 自分が食べたかったあんぱんが、すでに二人の手(?)でほとんど食べられてしまったと知り、大騒ぎした智に、大阪と神楽がマグネバーガーと、あんぱんを奢ったのである。
大阪がうまく机から落ちていたおかげで、智にはさっきまで何をしていたか、知られずにすんだのだ。
「誰が子供みたいだ、ちよすけー! 子供に言われたくないぞー」
「だって、あんぱん一つでこんなに大騒ぎする智ちゃんは、子供以外の何者でもありません」
「そうだよな、ちよちゃん、こんな女にはなりたくないよな」
「キー! このよみ眼鏡!! 食べ物のことに人一倍うるさいお前に言われたくねー!! 」
 大騒ぎする周囲から、少し遅れて歩き始める大阪に、打ち合わせたように神楽が歩みをそろえた。
「大阪、惜しかったな」
「なにがー? パン食い競争で、ビッケだったことー? 」
「いや、そうじゃなくて」
 あんぱんとれなくってさ、と神楽が言った。吊るされていたパンの中、大阪がくわえたのは、メロンパンだった。
「メロンパン、中身つまってないじゃん」
 そう言った神楽を、大阪はじっと見つめて。それから満面の笑みを浮かべた。
「でもおいしかった! 」

112 :『あたしの悩みあなたの悩み』《16》 :2004/12/24(金) 01:17 ID:???
 そうか? うん、メロンパン、美味しかったから、これはこれで、ええねん。そうか。新しい味の喜びに目覚めた。
 あの時のことをすっかり忘れたみたいな大阪の顔を見て、神楽は少し寂しい気持ちになる。あの日からほんの一週間たつかたたないかだけれど、大阪の様子は前と変わらないいつもの大阪で。あの時言った言葉が本当かどうか、わからなくなる。
 ――あたし、女の子の方が、好きなん。
 その言葉を思い出すと、神楽はその後のことを思い出して、そっと頬が熱くなる。胸元に、ちくりとするどい痛みも感じる。今もちょうどその時を思い出してしまって、大阪を見ながら、赤面した。
「神楽ちゃんは、真面目やね」
 大阪はそんな神楽の顔を見て、ちょっと微笑んで、ぴたりと足を止めた。つられて足を止める神楽。その唇に、大阪がすばやくキスをする。
神楽のまぶたが閉じられる。その瞬間。

「あ、神楽ちゃん、スカートの下に、ブルマ履いとー! 」

 ぱっと珍しくすばやい動きで、神楽のスカートの前がめくられる。
「わ、ば、ばばばばか!! 」
 あはは、と駆けていく大阪に、前を歩いていた友達が振り向いた。神楽の悲鳴に、はしゃぐ滝野智。
「おー! 大阪! スカートめくりか!! 」
「やるなー、大阪の癖に……」
「そう言うよみは、どんな下着かなー? 」
「止めろよ、ばか」
「と、言いながら油断してる榊ちゃんの」
「……!! 」
 ――全く、バカだよな、こいつらは……。
 大阪を追いかけながら、神楽は思う。もう数ヵ月後には、別々の道を歩むであろう友達。頼りになる奴、一緒にバカ出来る奴、そして守ってやりたい奴……。
 それはいつも同じ役割じゃなくて、その時その時で変わっていく物なんだろう。だからきっと神楽のことも、みんなそう思っていてくれているに、違いないのだ。
 頼りになって、一緒にバカ出来て、守ってやりたい、と。

113 :『あたしの悩みあなたの悩み』《17》 :2004/12/24(金) 01:18 ID:???
「待てー、大阪、まぁてー!! 」
「あはは、そう簡単には、待たれへん」
 わざと、ゆっくり、追いかける神楽。本気で逃げる大阪。けれど片方は本気で捕まえたくて、もう片方は、捕まえて欲しくて。
「めくれるもんなら、めくってみー」
 冗談めかした大阪の、誘いの声。あの時の続き。
「よーし! 神楽!! めくれよ、大阪のスカート!! 」
「ともちゃん、もう邪魔せんといてー」
「なんだとー! 逃げる邪魔するに決まってんだろー! こんなことー!! 」
 わし、と大阪を捕まえて智が叫ぶ。
「それ! 神楽、大阪のスカートの中、見てやれ!! 」
「おう! 」
 駆け寄る神楽に、つかまれてもがく大阪。けれどその動きには力がなくて、止めて止めてと言いながら、目はとても嬉しそうで。

「ほら、歩!! 」
 
 体育祭の終わった黄昏間際の日の下、神楽の手が大きく跳ね上がった。

                                  了)

114 :名無しさんちゃうねん :2004/12/27(月) 22:10 ID:???
>>97-113
すっげー乙


100越えage

115 :名無しさんちゃうねん :2004/12/28(火) 00:24 ID:???
          \キタ━━━━━━━━━!!! / /:::::::ヽ___
━でお待ち下さ\  \●ノ\●ノ    / 丿 ::.__  .:::::::::::::
      ∧_∧(\へ■   ▼へ /  / /。 ヽ_ヽv /: 
ち下さい(  ゚∀゚)  \  > <  /  / / ̄ ̄√___丶
 ∧_∧( つ  つ   \∧∧∧/━━ | .:::::::::: / / tーーー|ヽ
(  ゚∀゚)そのままキタ━< 激 >    | .:::::.  ..: |    |
( つ  つ         <  し >    | :::    | |⊂ニヽ|
そのままキタ━でお待ち <  く  >/ /| :    | |  |:::T::::|
──────────< キ >──────────
キタ━━━━(゚∀゚)━━ < タ  >    ┏┓    ┏━━┓
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キタ━(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚) < !!!! >┗━┓┏━┛┃┗┛┃┏
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キタ━━━━━(/━∪━━∪━∪━━∪\      ┗┛  
キタ━━━━ /┃ しばし  キタ━━(゚∀゚)━!!!\

116 :名無しさんちゃうねん :2004/12/29(水) 00:40 ID:???
さげ

117 :名無しさんちゃうねん :2004/12/30(木) 11:12 ID:???
今更新作がうpされたことに気づいた…
百合萌えスレに、百合ゆえの葛藤をこういうふうに表現するとは、と感心しきり。
そこらへんあんまり深く考えていなかったもので。
雰囲気もいいですし。
GJです。

118 :回天 ◆xEhewlNweg :2005/01/08(土) 21:32 ID:???
その日の学校の帰り、私は大阪さんに呼ばれて、大阪さんの家に来ていました。
少しゲームをやって、目の休憩もかねてお茶とお菓子を食べてたときでした。
「なぁちよちゃん。ちよちゃんは…… 早よ大人になりたい?」
唐突に言われて、わたしは「へ?」て言っちゃいました。
「だから、大人になってみたいて思わへんか?」
「私は……」
答えに困りました。
確かに、前に大人になりたいと前に言いましたが、大人と子供ってどう違うんでしょうか?
「わかりません。大人と子供の区別っていったら、18歳か20歳になった時ってくらいしか……」
「私はな、そんなんとちゃうと思うねん」
そう言った大阪さんと目が合いました。
その瞬間に、ドキン!て感じがして、心拍が高まります。
体がほんのり熱くなってきて、頭がすこしボ――っとします。風邪を引いたときみたいです。
「好きな人ができたら、大人やと思うねん。ちよちゃんは好きな人、おる?」
好きな人……私は好きな人ができたことがありません。
だからどんなのか知らないのですが……
「好きになるって、どんな感じですか?」
「せやなぁ……」
何か嫌な予感がします。このドキドキ感がもしかして……
「その人見とると理由なくドキドキして……」
ドキドキしてます。
「体熱くなってきて……」
熱いです。ポカポカです。
「頭とろーんてしてきて……」
してますしてます。
「そんで、やっぱり、ず〜〜〜っとその人といたいなぁって思うんや」
……いたいです。大阪さんと離れたくありません。
大学は海外になるかもしれませんけど、本当は嫌です。
大阪さんといつまでも一緒に……

119 :回天 ◆xEhewlNweg :2005/01/08(土) 21:32 ID:???
って…… これってもしかしてのもしかしてですか!?
何考えてるんですかっ!!
大阪さんは女性です。私も女性です。
女性が女性を好きになるなんて……!
「で、ちよちゃんは…… ははーん。その顔やと、やっぱりおるな?」
慌ててるところを大阪さんに言われてギクッとなりました。
「図星やろ。で、誰なんや?」
「あっ、あの……」
み、見ないで下さい〜〜。余計にドキドキしちゃうじゃないですか〜〜!
「言ってみ〜〜」
大阪さん、ともちゃんみたいに意地悪です。この顔、絶対に私が動揺してることに気づいてます。
私はいつもこんな役です。もうっ。私も悪戯しますからね!!
私は大阪さんに抱きついて、思いっきりキスしました。
映画や話とかできいたり見たりした事はありましたけど。あんなのして気持ち悪くないのかな、と思ってましたけど、全然違いました。
すごく心地よくなれるんです。ずっと、このまま大阪さんといたい。そんな気持ちになります。
「!!」
突然、大阪さんが口のなkに舌を入れてきました。
いくら好きな大阪さんのでもこれは嫌ですから、離れようとしましたが―――離れられません。
頭に霧がかかったように、何も考えられなくなって、力が抜けていくんです。
それどころか、大阪さんの背中に手を回して、大阪さんの舌に自分の舌を絡めてしまいました。
自分の意思じゃないのに……
体が、言うことを聞かないんです。
それだけじゃなくて、大阪さん、唾液まで入れてきたんです。
言うことを聞かない体は、コクンとそれを飲んで、代わりに自分の唾液を、大阪さんに送り込みました。
大阪さんも、コクンと音を立ててそれを飲みました。
すごい恥ずかしいんですが……
何か、変な感じがします。
体の中に大阪さんが染み込んできてるような―――大阪さんと一つになっていくような感覚が、私を支配していくんです。
「ぁっ」
大阪さんがやっと開放してくれました。
でも、何なんでしょう。胸の中に、穴が開いたような感じがします。
すごく、すごくすごく切ないんです。
「あの……」
「ちよちゃん、すごく積極的やなぁ」
そう言うと、もう一回キスしてきました。
大阪さんを抱きしめて、舌をからめて、唾液を送りあう。
さっきと同じ事をしていますが、もう、体は言うことを聞いてます。
いつの間にか、それが私の意志になってました。
大阪さんとそういうことをしたい。いつまでも。時が許すまで……

120 :名無しさんちゃうねん :2005/01/09(日) 09:21 ID:???
面白かった。以下批評。
良いところは良くて、悪いところは悪い。
玉石混淆。
玉はあるんだ。磨こう。

121 :名無しさんちゃうねん :2005/01/12(水) 20:07 ID:???
表現も面白いし、テンポもいい。
でも、スムーズに話を進められればもっといいかも。
唐突さを感じるところが幾つかあるもので。

122 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/01/27(木) 02:28 ID:???
遅くなりました。>>9の続きです

123 :「Winter Dust〜雪幻〜」 :2005/01/27(木) 02:29 ID:???
「Winter Dust〜雪幻〜」
季節はまだまだ寒さが厳しい冬――
とある駅前にて眼鏡をかけた少女が立っていた。茶色く長い髪をなびかせながら・・・・・・
彼女は今、ある人を待っている。

(少し早く来すぎたかな?)
駅に設置されている時計を見ながら少女は思った。少女の名前は水原暦。
大人びた顔と魅力的なプロポーションを保っている。
時計を見ると待ち合わせの時間にはまだ余裕があった。張り切りすぎて
早く来すぎてしまったようだ。それぐらいに気持ちが逸っていた。
そして少し時間が過ぎた時、この場所に彼女の待ち人が現れた。
髪は黒く暦と同じくらいに伸ばしており、サラサラしている。
長身で綺麗に整った顔立ちは誰もが振り向かずにはいられないほどの女性だった。

「榊!」
暦が相手の名前を呼んだ。そう彼女が呼んだのはクラスメイトの榊であった。
暦も榊も両方とも相手を見つけて明るい表情になる。

「ごめん。ひょっとして遅れた?」
「大丈夫だよ。私が早く来すぎただけだから」
「そうか。良かった」
榊は不安そうに尋ねるが暦は笑って答える。
それを聞いて榊も安心した表情になる。

「行こうか」
「うん」
夏の時と違い、他のメンバーは誘っていない。二人だけの旅である。
彼女達は来た列車に乗って旅立つ。

「なあ榊、これから行く所ってどんなとこなんだ?」
「着いたらわかるよ」
彼女達が乗ったのは新幹線で、目的地までビュンビュンとスピードを出していた。
列車の風景はどんどん変わっていき、雪一色に染まっていた。

「見てみてよ榊。雪だよ」
「うん、綺麗だ」
子供のようにはしゃぐ暦に対し、榊は穏やかな笑みを浮かべる。

124 :「Winter Dust〜雪幻〜」 :2005/01/27(木) 02:32 ID:???
そして列車はあっという間に目的地に着いた。
駅名には小諸と書かれていた。信州の長野にある駅である。
そこからさらにバスを使い、目的地に着いた。
そこは高度2000メートルに位置する高峰高原という場所だった。

「ここがそうか」
「うん」
暦に聞かれ、榊は頷く。彼女達がつく頃には雪もやんでいた。
その高原にあるホテルに泊まる事にして部屋に移動した後、彼女達はスキーウェアへと着替えた。

「な、なあ榊」
「ん?」
暦は何だか照れくさそうに俯きながら榊に呼びかける。榊は少し不思議そうに振り向いた。
彼女達はスキーをレンタルしてスキーをはいたとこだった。

「実はその・・・・・・私、スキーだけはあんまりうまく滑れないんだ。
だから、その・・・・・・教えてくれないか?」
確かに暦の動きはどことなくぎこちなかった。

「うまく教えられるかどうかわからないけど、出来るだけの事はしてみる」
と榊は答えた。

「ありがとう榊」
そういう訳で二人は初心者コースへと続くリフトへと乗ることとなる。

「でも意外だな」
正直な感想を榊は口にした。

「そうだろうな。前にともと行った時も私よりともの方がうまく滑れるんだよ。
その事でともにバカにされてあの時は悔しかったな」
「そうだったんだ」
元々、榊はあまり喋る方ではない。だから受け答えがそっけなく感じられてしまうのは
仕方がない事だろう。
そうこうしているうちにリフトは頂上に着いた。

「じゃあ、私からやるから」
そう言って榊は滑り出す。スポーツ万能の榊だけあって、その滑り方はとても洗練されていた。

125 :「Winter Dust〜雪幻〜」 :2005/01/27(木) 02:33 ID:???
「やっぱり榊はうまいなぁ」
ため息をつく暦。榊はしばらくして止まり、滑るように促す。

「榊みたいにやればいいんだな」
暦は榊の見よう見まねで滑り出す。しかし、やはりうまく滑る事が出来ず、
尻餅をついてしまう。慌てて榊が駆け寄る。

「大丈夫?」
「いたたた、やっぱりいきなりは無理か?」
差し出された手をとりながら暦は立ち上がった。ほんのりと頬を赤く染めながら・・・・・・

「ごめん」
「榊が謝ることないって」
そうして、また教える事となる。回を重ねるごとに暦は少しずつうまくなっていた。

「うん、だんだん上手になってきている」
「本当か。榊がそう言ってくれると嬉しいな」
暦の笑顔を見た榊は鼓動が早くなるのを感じた。思わず視線を暦からそらしてしまう。

「もうこんな時間。そろそろお昼にしよう」
「そうだな」
そういう訳で下にあるレストランで昼食を食べる事となった。

「そんなに少なくていいの?」
「あんまり食べ過ぎるとまた体重増えちゃうからな」
しかし、暦の頼んだメニューは榊ですら心配する程、少量だった。

「でも・・・・・・・」
「大丈夫だって。心配しすぎだよ、榊は」
まだ不安げな表情の榊に暦は笑って答えた。外を見ると雪が降り出していた。
しかし、まだそれ程降っていなかったので続行する事となる。
暦はまだ、ぎこちない部分があるものの来たばかりの頃に比べると大分、
スムースに滑れるようになっていた。

「まだ、体が一緒の向きになっちゃう時があるな」
榊は特に何も言わなかったが、柔らかく微笑んでいた。

126 :「Winter Dust〜雪幻〜」 :2005/01/27(木) 02:34 ID:???
しばらくは滑り続けていたものの、だんだん吹雪いてきたので
ホテルに戻ろうと二人は決めた。

「遭難されたらしゃれにならないからな」
「うん」
そう言う訳で二人はレンタルしたスキー用具を返却し、ホテルに帰る事となった。
ここのホテルはスキー場のすぐそばなので移動には困らなかった。
だが、その時暦は体がフラッとなったかと思うと、そのまま座り込んでしまった。

「あ、あれ?おかしいな。力が入らない」
どうやら昼にあまり食べなかったのが原因らしい。いやこの分だと朝も
あまり食べていないだろう。

「やっぱり食事はちゃんととった方がいい」
「榊の言う通りだな。って、えっ?」
暦は突然の事に戸惑う。急に自分の体がフワリと浮かび上がったからだ。
何事かと思うと、榊が暦を背中に乗せたのだった。要するにおぶったのだ。

「え?え?榊、何してんだよ!?」
「何って?おぶっているんだけど・・・・・・」
「だ、大丈夫だって。歩けるよ。それに私重いし」
「平気。暦は軽いから」
恥ずかしさからか暦は抗議するものの、榊は特に気にしていなかった。
軽いと言われて暦はますます顔が赤くなってしまった。

(でもあったかいな、榊の背中)
吹雪で寒いはずなのに、榊の背中はとても暖かかった。暦はそのまま榊の背中におぶさる事にした。
その後で疲れをとるために入浴する事となった。ここは大浴場がある為、そこに入る事にした。

(やっぱり榊はスタイルいいなぁ)
脱衣所にて、榊が一糸纏わぬ姿になったのを見て暦は見とれてしまった。

「そんなに見られると恥ずかしい・・・・・・・」
視線に気づいたのか、榊は顔を赤くさせながらその体を
バスタオルで慌てて隠した。

127 :「Winter Dust〜雪幻〜」 :2005/01/27(木) 02:35 ID:???
「ご、ごめん。つい・・・・・・」
慌てて暦も視線を外した。彼女の方はすでにバスタオルを巻いていた。
入浴を済ませ、夕食の時間となり彼女達は夕食をとる。

「今度はちゃんと食べよう。栄養が足りないのはよくない」
「あ、ああ、そうだな」
さっきおぶられた事を思い出し、暦はまた顔が赤くなった。

食事を済ませた後、二人はホテルのロビーのすぐそばにあるラウンジへと移動した。
そこから見える景色は絶景だった。既に雪もやんでおり、
下に広がる街などの光景がありありと浮かんでいた。

「綺麗・・・・・・・」
榊はその景色に見とれていた。

「榊に一番見せたかったのはこれなんだけど、気に入ってもらえて何よりだよ」
「ありがとう。とても嬉しい」
榊はとても優しい笑顔を浮かべている。暦はそんな榊にそっと寄り添っていた。
胸の鼓動が高鳴るのを感じた。
その後、おみやげコーナーに行くとあるものが目に付いた。とあるぬいぐるみである。

「ねここねこ」
榊が呟く。それも通常のねここねこと違い、色が黒かった。
どうやらこの付近でしか生産されていないものらしい。
榊はそれを二つ買って、ひとつを暦に渡した。

「これ?私にくれるのか?」
「うん。前に約束したから。おそろいのぬいぐるみ買うって。
だから、これは私から暦へのプレゼント」
「ありがとう榊。覚えていてくれたんだ。私、とても嬉しい」
暦はこれ以上にないくらいに微笑んだ。その笑みに榊もニッコリ微笑む。

「喜んでくれて私もとても嬉しい」
そんな榊に暦は腕を組んできた。

「このねここねこ、大切にするよ」
暦はまるで子供のように目を輝かせていた。そんな暦を榊はかわいいと思った。

128 :「Winter Dust〜雪幻〜」 :2005/01/27(木) 02:36 ID:???
部屋に戻ると昼間の疲れが出たのか、彼女達は一気に眠くなった。
彼女達は互いに寄り合い眠ることとなった。

「こうして一緒に寝るのって夏の日以来だな」
「うん」
二人共、密着し合っている。顔と顔が接触するかしないかの距離だ。

「それで思ったんだけど、やっぱり私は榊の事が大好きみたいなんだ。
どんどん想いが溢れてきて止まらないんだ」
「私も君にどんどん惹かれていくのを感じる。あの日以来、何となく疎遠に
なっちゃったけど、やっぱり私は暦が好き」
素直な言葉を口にする二人。

「弥生・・・・・・・」
初めて暦は榊の名前を口にした。

「何、暦?」
名前で呼ばれて一瞬キョトンとなったが、榊は聞き返す。

「キス・・・・・・・していい?」
しばらくの間があった。やがて、榊はゆっくり答える。

「いいよ」
榊は目を閉じて頷いた。聞いた暦も答えた榊も、互いに心臓がドキドキいってるのが聞こえる。
そして二人の唇と唇は重なり合う。それは一瞬の事だったけれど、二人にとっては
永遠にも等しい時間だった。

そして帰る日となり、ふたりだけの旅行を終えて帰路に着く二人。
電車に揺られながら、頭を寄せ合う。

「楽しかったな」
「うん」
榊と暦が寄り添うようにねここねこのぬいぐるみも同じ様に寄り添っていた。

「あの・・・・・・・」
珍しく榊の方から口を開いた。

129 :「Winter Dust〜雪幻〜」 :2005/01/27(木) 02:38 ID:???
「何だ?弥生?」
暦は頭をもたげて尋ねる。

「卒業したら、私達は別々の大学に行く事になる」
「・・・・・・・・」
「私は高校を卒業したら一人暮らししようかと思ってる」
暦は口を挟まずに榊の喋るのを聞いている。

「高校を卒業したら・・・・・・・その時は・・・・・・・私と一緒に暮らさないか?」
言い終えて、榊は俯いてしまった。暦はしばらく何も言わなかった。

「・・・・・・・ありがとう。是非そうさせてもらうよ」
やがて暦は榊の手をとって言った。

「よかった」
榊は口元をゆるめてそう言った。
しばらくすると、旅の疲れが出たのか、榊は眠ってしまった。
暦はそんな榊を自分の胸元へと抱き寄せた。

「夏の時やホテルに泊まってる時とは逆になったな。今は私の胸の中で眠って
くれているんだから」
暦の胸の中で榊はすやすやと寝息をたてている。

(弥生といる時は本当の自分をさらけ出せる。そしてそんな私を弥生は優しく
包み込んでくれる。そんな弥生が私は・・・・・・)
いつしか暦も眠気に誘われ、一緒に眠りに着く事になる。
駅に着き、彼女達は自分達の街へと歩き出す。その手はしっかりとつながれている。

「そうだ。ひとつだけ言い忘れた事があるんだ」
「実は私も・・・・・・」
わざとらしいくらい明るい声を暦は出す。榊も何か言おうとしている。
そして二人は同時にある言葉を口にする。

「愛してる。他の誰よりもずっと」
そんな二人を祝福するかのように暖かな風が吹いたのだった。
                    FIN       

130 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/01/27(木) 02:41 ID:???
つー訳で終わりです。ここまで遅くなってしまって本当に申し訳ないです。

131 :National defense chairman(国防委員長) ◆pD5R0lbW0. :2005/01/27(木) 02:43 ID:???
>>130
お疲れ様です。

132 :名無しさんちゃうねん :2005/01/27(木) 21:24 ID:???
淡々と進んでいくきれいなフレーズがいいです。
ちょっと何かが欲しいような気もしますが。

133 :名無しさんちゃうねん :2005/04/01(金) 03:55 ID:???
智とみうら

134 :涙のダイエット名無し :2005/04/01(金) 07:25 ID:???
上がりすぎだからさげ

135 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/04/06(水) 23:53 ID:???
智とみうらはやってるのか?

136 :名無しさんちゃうねん :2005/04/07(木) 03:40 ID:???
>>135
>智とみうらはやってるのか?

・智とみうらは、やってるのか?
・智とみうら流行ってるのか?

どっち?微妙に気になって眠れません。

137 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/04/07(木) 20:29 ID:???
>>136
下の方。変換されなかった。

138 :名無しさんちゃうねん :2005/04/18(月) 22:42 ID:???
>>137
流行ってる予感

139 :名無しさんちゃうねん :2005/05/15(日) 21:16 ID:???
だれか期待あげ

140 :名無しさんちゃうねん :2005/05/15(日) 22:03 ID:???
ageはルール違反・・よってスーパー

141 :名無しさんちゃうねん :2005/07/10(日) 01:35 ID:???
神楽にゃもとかないのかな?顧問や担任で縁が深いし、
神楽の進路の過程とか見るとにゃもへの尊敬や憧れはあるし。

同人ならあるかもしれないけど、ネットのSSでゆかりにゃもの片方と生徒のは見つからない…

142 :名無しさんちゃうねん :2005/07/10(日) 09:37 ID:???
にゃもが神楽を性奴隷に調教するため、榊に負けたのを部の恥さらしだと言ったりして少しづつ追い詰めていく
エロSSなら読んだ希ガス。ここだったか、2chのエロパロ板かは忘れたが。

143 :名無しさんちゃうねん :2005/07/11(月) 02:21 ID:???
>>142
情報サンクス、エロ系か探してみます。そういやこのスレの中に大阪×にゃもがあった

144 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/07/11(月) 02:29 ID:???
ベタだが、恵那×みうらはないものか?

145 :名無しさんちゃうねん :2005/07/11(月) 03:09 ID:???
この板としては、みうらはむしろ智と(ry
最近2人のキャラスレを見てない人にはわかんないだろうけど

146 :名無しさんちゃうねん :2005/08/19(金) 00:34 ID:???
よく作れるものだなあ・・・
http://azuao.s31.xrea.com/fupbbs3/obj/obj47_1.gif

147 :名無しさんちゃうねん :2005/08/19(金) 02:34 ID:???
>>146
おお!作った人GJ

148 :名無しさんちゃうねん :2005/08/19(金) 07:08 ID:???
上がりすぎだと思う

149 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/08/19(金) 14:44 ID:???
>>146
ズキュウウウウウウウン
作れる人は凄いなぁ。

150 :名無しさんちゃうねん :2005/08/19(金) 15:51 ID:???
>>144
無いなら貴方が書けばいいじゃない

151 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/08/20(土) 00:23 ID:???
>>146
よく出きてるなぁ

>>150
うーん。何か思いついたらやってみます。

152 :名無しさんちゃうねん :2005/08/20(土) 09:40 ID:???
>>146
すげぇテクだ!……だが、鼻の穴を吸ってるようにも見えてちょっとだけw

153 :名無しさんちゃうねん :2005/09/11(日) 18:36 ID:???
>>144
昨日2人の百合ネタな絵を見て、描いた強者は誰だと名を見たらよつばスタジオの里見氏でした。
ってスタッフのしかもお偉いさんがそれでいいのかと小一時間(ry

154 :名無しさんちゃうねん :2005/09/13(火) 21:31 ID:???
さげ

155 :名無しさんちゃうねん :2005/09/13(火) 21:55 ID:???
>>153
詳細キボンヌ!!!!!

156 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/09/14(水) 00:28 ID:???
>>153
うわ、それ気になる。どういったものだったの?

157 :名無しさんちゃうねん :2005/09/14(水) 14:54 ID:dbjhtEdQ
>>153
な、なんだってー!

158 :名無しさんちゃうねん :2005/09/14(水) 19:53 ID:???
>>155-157
みうらが「ど、どこ触ってんだよ!?」とか言ってた。よつばスタジオHPの恒例企画「よつばとおえかき」のNo.506参照。でも正直絵あまり上手じゃないや

159 :名無しさんちゃうねん :2005/09/14(水) 23:10 ID:???
百合だけでなく、みうら=ふたなりを連想させる内容ーっ! フォー! 

あと327の「えなみうらジャンボ数年後」もいい感じ。漏れの脳内設定である「みうらは将来ジャンボの妻に
なる」を予感させてくれて超ハッピー♪

160 :名無しさんちゃうねん :2005/11/24(木) 22:51 ID:???
いきなり投下!エロいのは後半だけ

 智ちゃんはやっぱり・・・

161 :智ちゃんはやっぱり・・・ :2005/11/24(木) 22:51 ID:???
智「で、本日の議題ですが!」
暦「何だよ」
榊「・・・」
智「立題!誰がタチ(S)で誰がネコ(M)か考察してみようと思いますっ!まずはー・・・」
暦「・・・はい」
智「はい!よみくん!何でしょう!?」
暦「何で・・・唐突に?」
榊(うんうん)
智「分かってないなよみは!」
暦「何が(はぁ)」
榊「・・・」
智「百合萌えに・・・いやエッチなSSスレにおいて!
誰がタチで誰がネコか!それはエロSSを書く上でとても
重要な事なのです!」
暦「・・・まぁ完っ全に作者の偏見だな」
榊(ていうかそれが今回のSSの趣旨・・・)
暦「・・・はい」
智「はい!よみくん!度々なんでしょう!」
暦「何で・・・私と榊なんだ?」
榊(うんうん)
智「分かってない!ホントに分かってないなよみは!」
暦「何が(はぁ・・・)」
智「それはあんたがSの極みで榊ちゃんがMの極みだからだ!」
暦「・・・やっぱり作者の偏見じゃん・・・(否定はしないけどな)( ̄ー ̄)ニヤリッ」
榊(猫・・・あ、悪くないかも)(///)
智「で。まずは神楽からだ」
暦「分かりやすいとこだな」
智「神楽は・・・」
暦「ネコだな」
榊(うんうん)
智「典型的なツンデレ!」
暦「体育会系で・・・胸の話になるとすぐ赤くなるところとかな(うんうん)」
榊(・・・何だかんだで水原もノってる・・・)
智「じゃ、ちよちゃんは?」
暦「難しいな」
榊(ちよちゃんまで考察してどうするんだろう・・・)

162 :智ちゃんはやっぱり・・・ :2005/11/24(木) 22:52 ID:???
智「タチ」
暦「ネコ」
榊(あ、分かれた)
智「ああ見えてちよすけはやり手だ。間違いない」
暦「にゃも先生の話を理解できていないちよちゃんだぞ?ちよちゃんに限ってそんな・・・」
榊(今更本編による裏づけなんて無意味だと思うけど・・・ひとまず水原に一票)
智「人間の性情は知識の有無で推し量れるものではない!」
暦「じゃお前のちよちゃんサディスト説の理由は何だ」
榊(それは結構気になる)
智「ちよちゃんが負けず嫌いなのはお前もよく知ってるはずだ!(ズビシッ)」
暦「!」
榊(あれ・・・何か節でもあるのか?)
智「ふふ・・・理解したようだな!負けず嫌いのちよすけが!勝ち手に回りたがる
ちよすけが!受け手に回ろうはずが無い!故にちよすけはSだ!」
榊(成程・・・)
暦「・・・」
智「ふっふっふ」
榊(智ちゃんに軍配・・・)
智「では大阪についてだが・・・」
暦「・・・ある意味ちよちゃん以上に難問だな・・・奴の混沌たる性情は・・・」
榊(確かに・・・春日の脳内は推し量れる域じゃない・・・)
智「タチだ!」
暦「タチ」
榊(ん・・・意外とあっさり)
智「あぁ見えて、だな」
暦「実はテクニシャン」
榊(えぇ?)Σ(゚Д゚;)
智「胸をコンプレックスに思ってるところが」
暦「逆に奴を駆り立てている」
榊(ビックリだ)
智「で・・・一通りの考察が終わったわけだが」
暦「待て」
榊「うん」
智「へ?」
暦「お前はどうなんだ?」
智「・・・は・・・?ど・・・どうって?」

163 :智ちゃんはやっぱり・・・ :2005/11/24(木) 22:52 ID:???
暦「お前はタチなのか?」
榊「それともネコ・・・」
智「ふ・・・二人とも・・・なんかコワイよ?あ、あたしはタチに決まってんじゃん・・・?」
暦「ホントにそうか?」
榊「智ちゃんは・・・」
智「ちょっ・・・!?何!?・・・っ!?ひゃんっ・・・!」
暦「んん?感度いいなぁ?智は(もみもみ)」
榊「智ちゃんはネコだと思う・・・(ふにふに)」
智「ちょ・・・止めっ・・・?ふぐっ!?」
暦(智の唇は柔らかいなぁ♪)
榊(あ、ずるい・・・じゃ私こっち・・・)
智「ん・・・んーっ!(あ・・・っ!?榊ちゃん・・・乳首・・・吸わないでぇっ・・・)」
暦「こら榊、(私の)智を勝手に弄るな」(クチュクチュ)
智「んにゃ・・・ふにゃぁぁ・・・はぅっ・・・」(とろ〜ん)
榊「・・・智ひゃんをひほひひめふふほはよふはひほほほふ・・・
(智ちゃんを独り占めするのは良くないと思う)」(ナメナメ)
智「はうぅっ・・・んにゃ・・・ひゃんっ・・・」(とろろ〜ん)
暦「何だ、お前もこいつが欲しいのか」(クチュクチュクチュクチュジュックジュック)
智「あっあっあっあっあっあぁんっ・・・(ちょっ・・・よみ・・・激しすぎ・・・っあぁっ・・・)」
榊「だって智ちゃん・・・ネコみたいだから・・・欲しい」(レロレロレロピチャピチャピチャ)
智「っあぁ・・・っあぁっ・・・っあああぁっ・・・
(やぁん・・・榊ちゃん・・・絶・・・対わざと・・・音立ててる・・・あん・・・)」
暦「ふん・・・確かにネコみたいに鳴くな・・・」(ジュックジュックジュックジュック)
榊(うんうん)(ピチャピチャピチャピチャピチャピチャピチャ)
智「はにゃっ・・・うにゃぁっ・・・っは・・・く・・・ぃく・・・」
暦「んん?何だって!?もっと大きな声で言ってみろ!?(可愛いなぁ♪)」
榊(うわ・・・水原ってやっぱりドSだ・・・)
智「いくっ・・・いくぅっ!」
榊(で、智ちゃんはドM♪)
智「んにゃあぁーっ・・・・・・・・・・・・・・・!」(ぷしゃぁっ)
暦「あーあ・・・イっちゃった」(なでなで)
榊(行為の後は優しくしてあげないと可哀想だ・・・)(なでなで)
智「うぅ・・・ひどいよぉ二人ともぉ・・・(TДT)」(しくしく)
暦(あぁ・・・可愛いなぁもう・・・このネコは♪)(ほっぺつんつん)
榊(いいなぁ・・・水原・・・うらやましいなぁ・・・)(髪の毛さわさわ)
智「ふぇぇーん・・・」
(しかしまんざらでもない智ちゃんでしたとさ)

                      終

164 :名無しさんちゃうねん :2005/11/24(木) 23:06 ID:???
以上です。榊+よみ×智はやりたくて仕方の無いシチュでしたので。
妄想の赴くままに書きました。死ぬほど反省してるので勘弁してください。

165 :名無しさんちゃうねん :2005/11/25(金) 00:29 ID:???
GJ!榊よみ×ともちゃん(*´Д`)
やっぱりともちゃんといえばあずまんが一ネコが似合うと思う

166 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/11/25(金) 00:41 ID:???
>>164
お疲れ様です。ともがメチャメチャかわいかったっス
終始冷静な榊さんも良かった。

167 :名無しさんちゃうねん :2005/11/27(日) 10:47 ID:???
グッジョブ。やっぱ泣いてる智ちゃんは可愛いなぁ……ハァハァ。

168 :眠名有 :2005/12/23(金) 20:13 ID:3MYyrnCE
>>164
GJ。
榊さん冷静ですね。

はっはっは、約一年間の封印を解いて、ボンクラーズの野望再びっ!


ちなみに『回天』=『眠名有』
まぁ、皆知ってるだろうけど

169 :眠名有 :2005/12/23(金) 20:14 ID:???
ああああぁぁぁぁあ!!!

吊ってきます。

いや、投下したら吊ってきます  ○| ̄|_

170 :ボンクラーズの野望 :2005/12/23(金) 20:16 ID:???
「ちよちゃん……」
もう、私は大阪さんのなすがままでした。
この口付けで、私は全身から力が抜けてしまい、骨抜き状態です。
私と大阪さんは抱きしめたまま横になり、見つめ合いました。
大阪さんの大きな瞳は、まるで私の心の全てを見透かしているようです。
「ちよちゃんの気持ちはうれしい。けどな……」
大阪さんの顔が曇りました。
「私には恋人がおるねん」
私だって、こういうパターンの回答が来ることの予想もしました。
けど、やっぱり、やっぱり辛いです。
せっかく勇気を振り絞ってキスまでして、ここまでしたのに……
「二人」
「へ?」
今、二人って言いましたよね。
もしかして、不倫をしてるんでしょうか?
「私な、恋人っちゅうんは友達の進化系やと思うんや。
 具体的に言うなら、友達が三つ星レストランのタイヤキ、親友が四つ星レストランのタイヤキ、恋人が五つ星レストランのタイヤキやねん。
 けど、三つ星とか、四つ星とか、五つ星レストラン言うても沢山あるやろ?」
「はぁ……」
えっと、大阪さんが言いたいのは、友達が親友沢山いるように、恋人が沢山いてもいいという事でしょうか?
少なくとも、五つ星などのレストランにタイヤキは無いと思います。
大阪さんが耳元に口を近づけて、囁きました。
「昨日は別の五つ星レストランやった。今日は、五つ星のちよちゃんタイヤキを食べようと思うんや」
その直後に私の耳を甘噛みしてきたんです。
「ひあっ!」
ゾクゾクっとした感覚が脳を直撃しました。
「ふぁぁ、おおさひぁっさん」
「ちよちゃんにも、後でご馳走するで。他の五つ星タイヤキ」
大阪さんが私の耳を噛んで、舐めて、唇で挟む度に、脳髄がドロドロに溶かされてしまいます。
それに気をとられていて気づかなかったのか、いつの間にか私制服の中に大阪さんの右手が忍び込んでいました。
私の胸をパーの手でグニグニと押しました。
そうされると、悲しくも無いのに切なさが込み上げてくるんです。
切なくて、切なくて……
「怖いか、ちよちゃん」
いつの間にか、目尻には涙が溢れていて、右手は大阪さんの左手をしっかりと握っていました。
怖くないと言ったら嘘になります。
大阪さんが怖いんじゃありません。
こんなことされて、変になってしまう自分が怖いんです。
どこか、深い穴に落ちていくようで……
そんな私の心を知ってか知らずか、大阪さんが三度目の口付けをしてくれました。
舌を絡めて、唾液を送り込んで、歯茎や頬の裏側を舐めあいます。
大阪さんの鼻息は頬を撫でた後、さっき舐めていた耳をゾクゾクさせました。

171 :ボンクラーズの野望 :2005/12/23(金) 20:19 ID:???
「ぷはっ、おおさかさん、私、私っっ」
「切ないんやろ?蕩けそうなんやろ?」
「はい」
私は掠れそうな声でうなずきました。
「気持ちええんやろ?そんで、そう感じとる自分が恥ずかしいんとちゃう?」
「そうです」
「何か来そうなんやろ?ゾクゾクの塊みたいのが」
「はい」
何ででしょう?
大阪さんに嘘がつけません。
自然と、本音を話してしまいます。
「怖いんやろ?」
「はい」
「けど、期待しとるんやろ?」
「…………」
大阪さんの指が、突然私のパンツの中に入り込みました。
「ふぁひゃぁっ!!」
「どうなんや、ちよちゃん」
いつもの大阪さんと変わりません。
おっとり声で、大阪弁で、ぼんやりとした瞳で。
けど、洞察力というものがすごく上昇しているような気がしました。
見透かされてます。
私の全てが。
あの千里眼のように全てを見通す大きな瞳で。
「ほら、言ってみ」
「そ、そうれしゅっ、ふぁあっ!」
ゾクゾクが内股から背骨を上ってきます。
腹部を超えて、手で愛撫されている胸を通り過ぎて……
ダメです。
ゾクゾクが爆発してしまいます。
「あんっ、おおさかさん」
それから私の乳首をキュッてつねります。
「あふぁぁぁっ、あああっ」
ゾクゾクが一気に膨れ上がって、私の脳内を埋め尽くしました。

172 :ボンクラーズの野望 :2005/12/23(金) 20:19 ID:???
「あっ?」
その辺まで来たときに、大阪さんの手が、体が、私から離れました。
ゾクゾクは、澱みと疼きと切なさに変わって、体に染み込んでいきました。
「どうして……」
なんでこんな意地悪するんですか?
最後までしてくれないんですか?
全部わかってるのに…… どうして?
「そろそろ、タイヤキを食べさせ…… ちゃうねん。
 他のシェフにもタイヤキ食べさせてあげるねん」
「へ?」
大阪さんは私から離れると、インターホンへ向かいました。
私は夢中で気づかなかったけど、いつの間にかベルが鳴っていたようです。
「ああ。ええで。丁度ええとこやねん。鍵は開いとるで」
大阪さんがそう言った直後、ドタドタドタと廊下を走る音がしました。
しかも、一人ではありません。
大阪さんが入れるお友達で、こんなにはしゃぐ二人は……

173 :眠名有 :2005/12/23(金) 20:20 ID:???
以上です。
あー、皆さんスーパーさげにしておいてください。
すみません。

174 :名無しさんちゃうねん :2005/12/24(土) 05:28 ID:???
>>173
乙です、4人が集まってこれからどうなるのか…やはり4(ry

ttp://boyish.s150.xrea.com/tomo/src/1132759584326.jpg
これなんて同人誌か分かる人いる?色々回ってたら画像だけ見た

175 :164 :2005/12/24(土) 19:34 ID:???
>>174

「犬玉」ですね。
実は自分のSSもそれの影響から
衝動的に書いたもんです。

「タチ」「ネコ」の言い回しが萌えで。
しかもさかとも・・・珍しいです。

176 :名無しさんちゃうねん :2005/12/27(火) 00:03 ID:???
>>175
早速ググったり同人誌サイト見たりしたけど見つからなかったorz
また探してみるよ、どうもありがとう。

さかともはいいですよねえ、個人的に2番目と1番目に好きなキャラなのもあるけどw
ペアとしてもちょうど正反対のキャラクターを見せている所がまた。
現実でもそういう人ほど仲良くて周囲から疑問視されている事ってよくあるし、
実は内面はかなり近いものを持ってたりで。そんなこんなでもっと増えてほしいカップリングだったりする

>>160-164も面白かった、GJ

177 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/12/27(火) 00:33 ID:???
>>175
嗚呼!藍川道場ってサークルのとこの本ですね。
知ったのはついさっきですが・・・・・・・・
こういう組み合わせがあったとは全然気づきませんでした。
でも何かいい組み合わせです

178 :164 :2005/12/28(水) 22:18 ID:???
>>176
ちゃんと公開されてる同人誌サイトはあるので頑張って見つけて下さい。
流石にURL貼るわけにはいかないので・・・ヒントだけ・・・

同人○○○ってとこです。

知ってる人は知ってるかも。虫食いの
三文字は全て大文字アルファベットです。

179 :眠名有 :2005/12/31(土) 20:46 ID:???
よっしゃ!大晦日に投下やー

180 :ボンクラーズの野望 :2005/12/31(土) 20:46 ID:???
「おーす、大阪ぁ。ちよちゃんはどうよ?」
「ったくちよちゃん相手なんだから、少し手加減してやれよ」
やっぱり。
ともちゃんと神楽さんでした。
私は今から二人に……
嫌悪感はありません。
むしろ、大阪さんの恋人なんだから、私も恋人になれるかなという期待さえあります。
「ともひゃん…… 神楽しゃん……」
最後までしてもらえなかったせいで、まだ少し呂律が回っていません。
けど、大阪さん一人にされてこんなになってしまうんだから、三人でされたら……
そう考えるだけで背筋がゾクゾクします。
「おうちよすけ。どうだった、大阪のテクは?
 すっげーだろ?あいつ、人の弱いとこ見抜くのすっげー得意なんだぜ?」
「大丈夫かちよちゃん。大阪、お前ちょっと激しすぎだぞ」
二人とも、普通でした。
ともちゃんは私をからかって、神楽さんは少し心配してくれて。
「さ、シェフが登場やー。これからちよちゃんタイヤキの味見やでー」
「「おー!」」
そう宣言すると、皆が服を脱がせ始めました。
私は、中途半端にされたせいで体は痺れ、脱力して、まったくと言っていいほど動きませんでした。
動けたとしても、抵抗するどころか、自分で脱いでいたかもしれません。
心の中で皆さんを浴していましたから。
ものの数秒で、私は一糸纏わぬ姿になりました。
ともちゃんが私の股の間に入り込みました。
今、あそこを見られてる。そう考えると、恥ずかしくて気絶してしまいそうです。
「うひゃー、ちよすけ。もうドロドロじゃねぇかよ。じゃ、さっそく」
そう言うなり、私のあそこに口付けしました。

181 :ボンクラーズの野望 :2005/12/31(土) 20:47 ID:???
「にゃうっ!」
時にはザラザラと刺激して、時にはヌルヌルとぬめって、時にはやわらかく撫で上げて……
「はみゃっ、うみゃぁ!ひゃめれす、そこはひたないれしゅよっ!」
けど、汚い所なのに…… すごく、すごく気持ちいいです!!
「大丈夫だって」
そう言って、その割れ目の上にある突起を舌で突きました。
「ひっ、はああぁぁぁっ!!」
今までのゾクゾクを何倍にも凝縮したような感覚。
本当に、そこから胸くらいまでが一気に溶かされたような……
「ストップや」
もう少しで、ゾクゾクが爆発しそうなんです。
けど、大阪さんはそうなる度に止めてしまいます。
「最初が肝心やねん。最初にできるだけ焦らして、大きいのを体験させんとあかん」
大阪さんの意図は良く分かりません。
けど、しばらくはこの中途半端にしかしてもらえないという事は分かります。
正直怖いです。最後までされたら、私はどうなってしまうのか……
強すぎる刺激のせいで死んでしまうかもしれません。
けど、期待してしまっています。
そうじゃなかったら、こんなに胸が切なくなるわけがありません。
「ちよちゃん、がまんや。そうすればすっごく気持ちよくなれるねん」
「もっと、ですか?」
ゴクン
生唾を飲み込みました。
今でさえ体は蕩けてしまっているのに、これ以上……
「いやか?」
「ぃぃぇ」
恥ずかしくて、すごく小さい声で答えました。
大阪さんにしか聞こえないくらいなのに、体が羞恥心でカッと熱くなって、切なさが増します。
「じゃぁ、一斉にいくで」
「ぇ?ふひゃっ、にゃっ、ひゃふっ、きゃうぅ」
ともちゃんの舌はあそこや内股を、
「んんっ」
大阪さんの舌は耳や口、首筋、背中を、
「ひゃ、あふっ」
神楽さんの舌は右の胸や鎖骨の窪み、脇の下、わき腹を、
「はふぁ、ひみゅぅ」
そして、もう誰がどこにおいているのか分からない、6本の腕――30本の指が、手足の指の間から、腕、太もも、お腹、時には舌と一緒になって私を責めるんです。
さっきのともちゃんのやり方とまったく違う責め方。
一気に、まるで噴水のように込み上げさせるようなのではなくて、湧き水のようにジワジワと、ゆっくりじっくり……

182 :ボンクラーズの野望 :2005/12/31(土) 20:47 ID:???
「ず、ずるひっ、ですよ…… 3人ひぇっ、いっぺんになんて」
「ボンクラーズは3人で一人前やもんなぁ」
「おう」
「それは、別にこれの、ふあぅっ」
ゾクゾクがある程度大きくなってきたら刺激を弱めて、それがある程度下がった刺激を強めて。
痒い所に手が届かないようなもどかしさ。
そういえば、大阪さんが最初にタイヤキと言っていました。
頭から食べられるか、尻尾から食べられるか、場合によっては少しずつ両方からというのもあります。
三人でいろんなところからかじり付かれるというのも。
行儀が悪いけど、上の皮だけ食べて、中の小倉やカスタードを舌や指ですくい取られて。
それで美味しさをかみ締めながら、じっくりと味わわれて。
そう、私はタイヤキです……
だから、皆さんに味わってもらわないといけないのかもしれません。
「ちよちゃんは一人でしたことあるのん?」
大阪さんが耳に息をかけながら聞いてきました。
「ひゃ、ないれひゅっ」
「そうかー まぁ、かわいそうやし、そろそろ一回目やな」
それを合図にしたかのように、三人が一斉に刺激を強くしました。
「ひゃふぁぁっ!?あ、あああうぅっ!」
一番驚いたのが、ともちゃんが私の中に舌を入れたことでした。
にゃも先生が「中はねぇ、外のやつよりも桁違いに気持ちいいのよ」て言っていましたが、その通りです。
自分でさえ触れたことないのに、そこを触られるともう神経がパンクしてしまいそうです。
「ひむっ、きゅうぁぁああっ!!」
それ以外にも、神楽さんは私の右胸の乳首を歯と唇で噛みながら、時々舌で転がします。
「も、ふぁあぁ、もうっ、もうっっ!むむぅっ!!」
大阪さんは私の唇を奪って、短い舌を絡めます。
そ、そんなにされたら、私は……
「ひゃむっ、むゅっ!」
ともちゃんがあそこを噛んで、突起を内と外から指で押さえつけました。
神楽さんが右胸を強く吸い付きながら噛んでその先端を舐め、左胸を強く摘みました。
大阪さんは私の舌に舌を絡め、右手は耳を、左手は首筋を軽く摘んで引っかきました。
それが、最後の瞬間、何とか感じ取れたことです。
「くむっ、んむぅ――――っ!!!!」
その一瞬後には、ゾクゾクの塊が大爆発を起こして、私の頭の中は真っ白になっていました。
何十発もの、白ともピンクともつかない花火が私の頭を埋め尽くします。
その一発が爆発するたびに私の体がビクビクッ痙攣しました。
一瞬気絶したような感覚。
頭の中が靄がかかったようになって、体がとっても重くなって、力が抜けて……
なのに体はもっと敏感になって、皆さんと触れている部分どころか、体と床が触れている部分からも甘い痺れを送り込んでくるんです。
さっきのすごいゾクゾクの余韻に浸っているのに、体はすでに新しいのを欲しています。
私の体、一体どうしちゃったんでしょう?

183 :ボンクラーズの野望 :2005/12/31(土) 20:49 ID:???
「あっ」
突然、三人分の温もりが消えてしまいました。
喪失感が私の胸を満たし、今までの切なさをもっと強くした切なさが体を疼かせます。
そんな私を尻目に、皆さんはなにか話しているみたいです。
早く…… 早く来てください。
私、皆さんがいないと壊れてしまいそうです。
「え、やっ!」
「大阪、おとなしくしろ!!」
「こういうのは言いだしっぺがやらなきゃって決まってるんだよ!」
「あかんて、ちょ…… ああっ」
ドタン!バタン!!
な、なんかすごい音ですよ?
大阪さんが何かされてるらしいんですが大丈夫でしょうか?
「ほれ、ちよすけ。
 今度は大阪にお礼をする番だぞ」
大阪さんは手首を縛られて、私の前に座っていました。
恥ずかしそうに足をぴったり閉じて、頬を赤らめて。
「ちよちゃん……」
透き通るように白くてスベスベの肌。
大きくて綺麗で、全てを見透かしていそうな瞳。
少し長くてしなやかな髪。
心臓の音が一気に高まります。
「ほら、ここをこうやってだな」
ともちゃんがいきなり大阪さんのあそこを指で引っかきました。
「ひゃう!?」
グチュという、さっきは私から発せられていた音が聞こえました。
「お。大阪はちよちゃんのを見て感じちゃったようですなぁ」
「そんならともちゃんはくぁ、ふぁぁ」
抗議の声も、ともちゃんの刺激の前に消されているみたいです。
それから数秒、大阪さんを弄くった後、ともちゃんは手を抜き取りました。
そして、おいしそうに手に付いた液体を舐めとります。
「ちよすけ、今度はお前の番だ」
ゾワリ
快感とは別の、変な感覚が私の中で蠢きました。
大阪さんの悶える姿をもっと見たい。
本気で怖くなって泣き出すほど弄くってみたい。
その後に最後までしてほしいと懇願するほど焦らしてみたい。
撫でて、摘んで、引っかいて、舐めて、吸って、噛んで。
大阪さんの全部を刺激して、私と言う存在を大阪さんの中に焼き付けたい。
気が付くと、私は大阪さんとキスが出来そうな位置にいました。

184 :名無しさんちゃうねん :2005/12/31(土) 22:03 ID:???
>>178
ありがとう見つかった、あそこにあったとは見逃してた。
絵柄や表情、台詞回しが独特というか、あずまんがらしさを意識してない感じで面白かった。
しかし検索してサークルは出ても本の方が出ないのはなんでなんだろ

185 :名無しさんちゃうねん :2006/01/25(水) 20:52 ID:???
>ボンクラーズの野望

エロいねー
気が向いたらエロパロにも投下して欲しいなー

186 :風児 ◆iQwkicAw :2006/02/09(木) 23:39 ID:???
ご無沙汰です・・・久々に書いたのですが文章の劣化がひでぇ・・・のに
えろえろSS書いちゃった・・・。あー・・・疲れた・・・。

※鬼畜度高めのアブノーマルちよともSSです。苦手な方は見ないように・・・

187 :風児 ◆iQwkicAw :2006/02/09(木) 23:40 ID:???
旧友との、再会。
それは必ずしも、双方が喜びを汲み取りあう事が出来るものである・・・とは限らない。
自分なりの、友情の形。―それが、ただの独りよがりでしかないとしたら・・・?

「久しぶりですね、ともちゃん」
「やーちよちゃん・・・って。あんた、ホントにちよちゃん?」
「あ、ひどいですよー」
「あはは、冗談だって〜」
「あはは・・・さぁ、あがって下さい」

おさげは、卒業。ちよの赤い髪は、ストレートに彼女の腰の丈まで伸び、そして靡いていた。
その雰囲気は、かつての高校時代、ちよ、智とお互いに仲の良い間柄にあった4人の友人の中の一人、
背格好が高く、物静かだった榊を思わせるものがあった。
一方の智は相変わらずのショートヘア。というのも、婦人警官・・・しかも機動隊という仕事柄にある彼女は、
髪を伸ばすという事をあえてしなかったのだろう。
―背も伸び、大きく雰囲気の変わったちよと、対照的にほとんど変わっていない智。
並んで歩けば、最早、立場はかつての高校時代の時と全く逆転していた。
しかも智は元々童顔である事が災いし、既に二十代後半であるにも関わらず、面持ちが高校時代から
殆ど変わっていなかった。その為、傍から見れば、ちよの方が「お姉さん」に見えたに違いない。

188 :風児 ◆iQwkicAw :2006/02/09(木) 23:40 ID:???
「ともちゃんはミルクティーでしたよね」
「あ、ありがと。・・・皆は来てないの?」
「ええ・・・残念ですけど・・・タイミングの悪い事に・・・ともちゃん以外は都合がつかなくて」
「っけーっ!何だあいつ等・・・折角ちよちゃんが9年ぶりに日本に帰って来たってのに・・・」
「まあまあ・・・さ、召し上がってください」

玄関を過ぎ、ちよの自室に案内された智は、軽く毒付いた後、差し出されたミルクティーを口に含んだ。

「でも、ちよちゃん本当大人になったよね」
「あはは、そんな事ないですよ」
「私なんかさー、相変わらず胸小さいままで身長も伸びないしさー・・・」
「・・・立場の逆転・・・ですね」

―ちよの謎めかした言葉。その刹那。智には殆ど見えなかった・・・が、ちよの口元がわずかに吊り上がった。
智は、ちよの謎めかした言葉と態度に、怪訝そうに返答する。・・・だが。

「・・・は?・・・っつ!!??・・・っああっ・・・??」

―その瞬間、智の胸に、焼け付くような痛みが走った。

―ミルクティーに何か入れられた・・・?―

智の認識。・・・だが、遅い。遅すぎた。

「―すぐすみますよ」

薄れゆく意識の中、ちよの鋭く、残酷な笑みと言葉を、智は、確かに、そして痛切に感じとっていた。

189 :風児 ◆iQwkicAw :2006/02/09(木) 23:41 ID:???
「・・・ん」

・・・智の目がゆっくりと、そして確実に開かれた。状況の、把握。智はそれを優先した。まず目に入ったのは、
冷たい鉄の天井。ただでさえ寒々しい部屋であるにも関わらずに、服は全て剥ぎ取られていた。天井にも壁にも
所々にしみのような跡があった。地下室、だろうか。美浜邸にこんな物々しい部屋があった・・・にわかには信じられない智。
―背中にあるのは硬いベッドの感触。どうやら、寝かされているらしい。

―ちよちゃんに・・・何か・・・された・・・―

あのミルクティーには何か薬品が混入されていたに違いはない。麻酔の類・・・いや、それだけではなかった。
智は体を起こそうとする。―が、出来なかった。足は広げられ、それぞれがベッドの足と太目の鎖で繋がれていた。
手は、手首の部分に枷がつけられ、頭の上に引き伸ばされ、枷からこれもまた太目の鎖が伸び、拘束されていた。
―だが、そんな事よりもさらにおかしな事に智は気付いた。・・・いや、気付いてしまった。

・・・自分の体が、異様に縮んでいる事に。

190 :風児 ◆iQwkicAw :2006/02/09(木) 23:41 ID:???
「お目覚めですか・・・」
「っ!・・・ッひっ・・・・・・よ・・・ちゃん・・・」
「可愛いですよ、その格好。クスクス」

智の体に、戦慄が走った。無理もなかった。非現実的な現実が、わけもわからず自分の身に降りかかり、
しかも、それを自分に理不尽に施した、目の前の女の顔が、あまりにもまがまがしく微笑みかけてのだから。

「・・・っぁ・・・ぇ・・・ナニ・・・が・・・ゎ・・・たし・・・・・・っぅなっちゃ・・・った・・・の・・・?」
「見ての通りですよ。ともちゃんは『10歳』まで縮んだんです。クスクス」

―10歳。・・・あの頃の、ちよの年齢―

「これ・・・私がアメリカ(むこう)で開発した新薬なんですよ」
「・・・しん・・・ゃ・・・く・・・・・・?」

先時から、舌が上手く回らない。だが、認識は出来る。ちよは、薬ビンを片手に続けた。

「ええ。脳以外の細胞を全て『若返らせる』人類の夢の新薬・・・名前はまだありませんけどね。―もっともそれは・・・
100倍に薄めて使えば、の話ですが。クスクス」
「・・・っぇ・・・?」
「クスッ・・・逆に分量を増やして服用すると・・・ある副作用がでてしまうんですよ・・・クスクス」
「・・・・・・??!・・・」

ちよは意味深な言葉を吐き、薬ビンをテーブルに置き、立ち上がった。
一方の智は、ちよの尋常でない振る舞いに、「ビクン」と体をこわばらせた。

191 :風児 ◆iQwkicAw :2006/02/09(木) 23:42 ID:???
「・・・っ!!!ぁ・・・ィやっ・・・こない・・・でぇっ・・・!・・・」
「クスクス・・・ともちゃんは怖がりですねぇ・・・クスクスクスクス」

震えながら首を振り、拒絶する智。―だが、ちよは全く拘泥する事はなかった。ちよの大き目の手が、智の腹部に伸び、触れたー・・・その瞬間。

「・・・っ!!!!・・・っぁぁああああああああああああんっっっっっ・・・!!!!!」
「・・・これが、副作用です・・・クスクス」

―智は強烈に喘いだ。有り得ない。腹部に手が触れただけ。たったそれだけであるはずなのに、
腹部から、脇腹、背中、胸と秘所、首筋と足、顔と足の指の間・・・波紋を広げたかのように、体全体に快感が走った。
しかも、その快感の度合いが尋常ではない。元来、智は感じやすい体質ではあったが、これは異常だった。

「体中の神経が・・・異常に過敏になり・・・僅かな触感でも『感じてしまう』ようになります・・・クスクス」
「うアッ!あンッ!ひゃアんッ!ひぃんっ!っあああああんっっ!」

説明しながら、ベッドの端に腰かけ、智の涙ぐむ顔と反応を愉しみながら、ちよは執拗に、智の腹部から、次いでは腰周り、首筋、
耳の中・・・胸と秘所を除く体中の性感帯を、触れるか、触れないかの絶妙な手つきで撫で回していった。

192 :風児 ◆iQwkicAw :2006/02/09(木) 23:42 ID:???
「でも勘違いしてはいけないのはー・・・」
「あンっ・・・ふぁぁっ・・・ふぅんッ・・・ああっ・・・」

快楽に浸る智に聞こえているのかいないのか。・・・後者である。しかし、ちよは構うことなく、手を智の
小さな胸の先端まで這わせていき・・・

「当然、『痛み』も増すということです・・・クスッ・・・」

―ちよは、智の硬くなっている乳首を指で弾いた。

「・・・ぇ・・・?・・・・・・っっっ!!!???うあああああっ!!!痛いッ!痛いよぉぉォッ!」

激痛。ちよは優しくはなかった。智を快感のみに浸らせておくはずがなかった。
ちよはさらに、智の乳首を引っ張り上げ、左右に激しく動かした。

「うぁ゙っ!ああ゙っ!痛いっ!痛い゙ぃっ!やめ、やぇてっぇ・・・ちよ・・・ちゃんんんんっ!」
「・・・・・・クスッ・・・・・・だめですよー・・・止めません・・・クスクス」
「ッああ゙・・・あうぅっ!いはぁ・・・あっ・・・うぁぁっ・・・ん・・・」
「クスクス・・・ともちゃんは泣き虫ですねぇ・・・」

ちよは智を弄び、悦に浸っていた。自分の手の動きに、確実に反応する愛玩動物。大半は痛めつけるように、
智の体を抓り、また押し付け・・・しかし、時には愛撫を交える、といった具合に、痛みと、快楽、それらを交互に、
意地悪く智に与え続けた。

193 :風児 ◆iQwkicAw :2006/02/09(木) 23:43 ID:???
「―あれれ・・・?・・・ともちゃん・・・だめじゃないですか・・・クスクス・・・」
「ふぇ・・・?ッぁあ・・・?」
「お漏らししてますよ・・・」

ちよのまとわりつく蛇のような言葉と同時に、智の秘所に強烈な快楽が走り抜けた。

「ひゃっ!?」

智は再び、体を仰け反らせ、反応する。それによって、ちよの加虐心をくすぐると言う事が智には
分かっていても、反射行動にはいかなる人間も抗う事は出来ないのだ。

「でも・・・これはただのおしっこではありませんね・・・おかしな粘り気があります・・・クスクス・・・」

ちよは、智の秘所から溢れ出る愛液交じりの粗相を、右手の中指と人差し指で拭い取り、薄く笑い、続けた。

「―ともちゃん、感じてるんですね?私にいいように弄ばれて、感じてるんですね?クスクス」
「ゃあ・・・ぃゎないでぇ・・・そんぁことぉ・・・」
「ともちゃんは変態ですねぇ・・・!」
「あぷ」

智に覆いかぶさるように、ベッドに乗り上げたちよは、粗相のついた2本の指を、智の小さな口に押し込んだ。

194 :風児 ◆iQwkicAw :2006/02/09(木) 23:44 ID:???
「舐めなさい」
「ぅぷ・・・」
「早くっ!!」
「いひゃっっ!!」

突然語気が強くなったちよに命令され、智は恐怖し、躊躇いの態度を示した―が、その瞬間に、怒気の含まれた言葉が
投げかけられ、同時に左手で秘所を強く抓られ、例の如く全身に激痛が走った。
―嫌だ、痛いのは嫌だ・・・―脳裏にその言葉がよぎった以上、智には素直にちよの命令を訊く選択しか残されていなかった。

「・・・そうですよ・・・もっと強く舐めなさい・・・」
「ッぅっ・・・うぅっ・・・」

ちよは、智の柔らかく、小さな舌を感じながら指を智の口内で躍らせ、そして蹂躙していった。
上あご、舌の裏、口内肉の横側まで。・・・一頻り・・・否。十分すぎるほど執拗に智の口内を犯したちよは、
やがて2本の指を智の口内から、唾液を引きながら抜きとり、ようやく智の口内を解放した。
―依然として、目尻から涙を流す智。顔色は赤い。嫌でも感じてしまう体にされてしまったが故である。
仕方の無い事だった。・・・だが、智は問わずにはいられなかった。回らない舌と、涙声で、ちよに詰問した。

195 :風児 ◆iQwkicAw :2006/02/09(木) 23:44 ID:???
「―・・・ょ・・・ちゃん・・・なんで、何で・・・こんな・・・ひどぃことすぅの・・・?」
「・・・私は発言を許してませんよ?」
「ひぃっ!痛っ・・・」

凍りついた言葉、再び理不尽に智を痛めつけるちよ。乳首を、弾く。

「―『復讐』ですよ」
「・・・っ・・・!・・・?・・・」

乳首に次いで、今度は秘所。豆を抓り上げる。

「私はずーっとともちゃんを憎んでましたから・・・。いつか・・・いつかひどい目に遭わせようって決めてたんですよ」 
「・・・ひぅっ・・・!そんぁ・・・ぁたしが・・・痛っ!・・・ナニしたってぃうの・・・ぉ・・・ひくっ・・・」
「それですよ、ともちゃん・・・。自覚もない。そこが腹立たしいんです・・・」
「・・・あああああああんっ!痛いっ、やめ・・・やめてぇっ・・・豆・・・引っ張らないで・・・っ!」
「『やめて』?ともちゃんはやめてくれなかったじゃないですか。私が子ども扱いしないでってどんなに頼んでも
やめてくれなかったじゃないですか。いたずらばっかりして。私がやめてってどんなに頼んでもやめてくれなかったじゃないですか・・・!」
「・・・そんな、そんな事・・・で・・・ぅあっん・・・!」
「言うに事欠いて『そんな事』ですか。塵も積もればなんとやら、ですよ。それにこの事は皆承認してくれたんですよ」
「・・・え・・・?」
「大阪さん、榊さん、神楽さん・・・無論よみさんもです。皆ともちゃんを憎んでたんです」
「・・・ぅ・・・そ・・・嘘・・・でしょ・・・?」

智の中で、何もかもが音を立てて崩れ去っていく。全て、独りよがりでしか無かった。あの輝いていた青春時代は、
全て独りよがりでしかなかった・・・。そんな。そんな。皆、皆私の事が嫌いだった・・・・・・・・・

「・・・だからこうして、ともちゃんを子供にして、私がともちゃんから受けた屈辱を何倍にもして味あわせて、
全てを奪い去っていく・・・それが、私の『復讐』です」
「・・・ぁ・・・ぁあ・・・・・・」
「壊します。ともちゃんを・・・」

196 :風児 ◆iQwkicAw :2006/02/09(木) 23:44 ID:???
―遂に、ちよの指が智の秘所の中へと滑り込んでいった―

「ぅあああああああああああああっっん!」

激しい音を立て、ちよは指を出し入れする。乱暴に・・・それでいて、どこか官能的に。
最早、快楽と痛みの区別もつかない。余りの激しさに、秘所の粘膜を傷つけ、僅かに血が飛び散る。
だが、ちよは構うことなく、更に激しく指のピストン運動を強めていった。

「イってもいいですよ。ともちゃん・・・」
「ひぅぅっ・・・!」

指は秘所に、同時に智の耳を噛みながら、囁きかける。

「うぁ゙っ!ふぁ゙っ!ひああっ・・・く・・・イくぅ・・・っ!」
「どうぞ」
「うぁああぁぁぁあっー・・・!」

智は昇天した。体中の力が、膣液とともに抜けていく。智は、拘束された体をぐったりとさせ、
憔悴していた。

「はぁ・・・はぁ・・・あ・・・」

―終わった。自分の運命は未だ絶望的であるにしても、愛の無い非情な行為からは解放された。
・・・かに見えた。

197 :風児 ◆iQwkicAw :2006/02/09(木) 23:45 ID:???
「どんな気分ですか?ともちゃん・・・クスクス」
「・・・」

智は涙目で、ちよから目を逸らした。下手な事を言えば、また何か酷い事をされる―そう考えての、賢明な判断だった。

「―それじゃあ、もう一度・・・!」
「・・・ぇ・・・っ!?ふぐっ!」

ちよの手が神速で智の口に伸び、―その刹那、智は、口の中に再び薬品を飲み込まされた事を認識した―
その瞬間。

「っ!!あああああああああっっっ!!!」
「クスッ・・・この薬は即効性がありますからね・・・」
「うあああっ!あ、熱いっ!体が熱いよぉっ!」
「・・・先ほどの薬の・・・亜種ですよ・・・それは」
「ひゃあああああっ!」

智の秘所から、粗相が音を立てて噴出した。その量も尋常ではない。

「今度の薬は若返りはしません・・・つまるところ、性感帯の過敏化を主目的としたただの媚薬です」
「ひゃはあああああああっ!うひゃはあああああっ!ひああああああっ!」
「ただし、その効力は先ほどの薬のざっと100倍・・・脳神経にも影響を及ぼし・・・常にエクスタシー状態になるので
体に力が入らなくなります。・・・そして先ほどの薬とはある特殊な化学反応を起こし・・・排泄機能を異常に促進します。つまり・・・」
「ひひゃああああああっ!止め、止めてぇっ!おしっこが、おしっこが止まらないぃぃっ!」
「括約筋に力が入らないので、おしっこも止められないわけです・・・クスクス」
「ひゃああああああああああっ!」



「復讐はまだまだこれからですよ・・・クスクスクスクスクスクス」



                         終

198 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2006/02/09(木) 23:47 ID:???
>>187-197
乙!
リアルで閲覧させて戴きました。
怖い、怖いよちよちゃん。。
そして、嗚呼・・・可愛そうな智ちゃん。

199 :風児 ◆iQwkicAw :2006/02/09(木) 23:50 ID:???
あー・・・くそ・・・書けん・・・
全然えろく書けん・・・

やっぱり向いてないのか・・・。自分でダメ出しすると・・・
「皆が智を嫌っていた」のくだりはいらなかったかも・・・。
精神面で追い詰めるってことで書いたはいいけど完全に描写不足・・・

すみません出直しますね・・・orz

200 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2006/02/09(木) 23:53 ID:???
>>199
精神面ですか・・・そこは難しいですよね。。
次の作品にも、ご期待させて頂きます

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