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あずまんがSSを発表するスレッド パート4!!

1 :あずまんが王子 ◆N1Y4rpky/o :2005/05/14(土) 00:04 ID:???
前スレのリンクです。
あずまんがSSを発表するスレッド パート3

http://so.la/test/read.cgi/oosaka/1081700484/

暴力・猟奇・グロなど読み手を選ぶ内容のSSは以下のスレッドに投下する点は前スレと同じです。

グロまんが大王
http://www.moebbs.com/test/read.cgi/oosaka/1081698529/

新しいスレでも、またがんばりましょう。

201 :うちゅー ◆UCHU/Xh/xE :2005/09/19(月) 01:46 ID:???
 家の中を捜索する。普通の、幸せな家庭そのものだ。
木村の奇人さを示す証左はそこにはなにもない。
まるで文字通りの頼れる大黒柱に支えられた、
完璧な理想の一家の香りが漂ってくる。
だが騙されないぞ。私はついに木村の部屋と
おぼしきものを2階で見つけ、ゆっくりと侵入した。
私の父の部屋と雰囲気がよく似ているが、
書斎にでもあるような大きな机が鎮座している。
家でも仕事をするためだろう。
古典の参考書や本などがたくさん並んでいる。
私はその机に向かう。
こういうところに大事なものも収納しているはずだ。

202 :うちゅー ◆UCHU/Xh/xE :2005/09/19(月) 01:47 ID:???
 ……あった。いきなり私の写真が出てきた!
学校の制服を着ていて、夏服だ。
なかなか可愛く撮れてるじゃないか。
カメラのほうを見て、にっこりと笑っている……おかしい。
私は木村にこういう笑顔を向けたことはないし、
写真に撮られた記憶もない。そもそも木村は学校に
カメラを持ってきたのを見たことがない。
木村は変人だが、真性の変態ではない。
それならやつはとっくに職を失ってる。
失業しないていどのきわどさで木村は自身の欲望を発散し、
だからこそ私は耐え難い精神的な負担を受けているのだ。
やつは決定的なことをしない。つまり終わりがない。
それがかえってたちの悪さとなっている――そんなことはどうでもいい。
この写真の正体だ……そうか。

 これは私じゃない。

203 :うちゅー ◆UCHU/Xh/xE :2005/09/19(月) 01:48 ID:???
 木村の、奥さんだ。そうだ、やっぱりそうだ。
引き出しの奥をさらに探すと、ちいさなアルバムが出てきた。
開いてみると、昔の木村がそこにいた。
「うわ木村先生って髪型もメガネもそのまんま!」
 うちの学校ではない。詰め襟の黒い制服を着ている。
となりには例の私によく似た、私の学校の制服を着た少女が立っている。
背景は知らない学校の文化祭で、
周囲には木村の学校の制服がわらわらと背景となっている。
木村の通ってた高校で撮ったものだろう。
二人は仲良く手を繋ぎ、あの変態がやはり大きく口を開いたまま、
頬だけ染めて棒立ちだ。そして――ようやく得心した。
少女の微笑みが、誰に似ているのか、わかった。

「奥さんなんだ……」
 木村が私を気に入っている理由がわかった。
奥さんの若いころに私はよく似ているのだ。
顔形、髪型、背丈、そして胸のサイズまで。
しかも学校までおなじ。あまりにも似ているので、
私自身が奥さん自分と見間違えたほどだし。

204 :うちゅー ◆UCHU/Xh/xE :2005/09/19(月) 01:48 ID:???
 いまの木村の好みはおそらく、
現在の奥さんの体格そのまんまなのだろう。
高校2年や3年の段階からあれほどのグラマーな体にどうやって
成長できたのか分からないけど――私はどうだろう?
きっとだめだな。私の母を見たらわかる。
私は木村の奥さんのように美しくはなれないし、
胸も大きくなれない。私はあくまで凡庸なままで終わるだろう。
だけどいまの私はとにかく奥さんの若いころに似てるわけで、
だから木村は私を気に入ってるんだ。

 それだけ分かれば長居は無用だった。
私は自分でも感心するくらい慎重に侵入者がいたという痕跡を消すと、
家に帰った。秘密さえ分かれば、あとはなんとでもなる。

205 :うちゅー ◆UCHU/Xh/xE :2005/09/19(月) 01:49 ID:???
 月曜、私は木村先生を校舎の裏に呼び出した。
「どうしたんだいかおりん?」
 婉曲に言っても仕方ない。私はいきなり本題を切り出した。
「木村先生の奥さんって、若いころは私に似ていたんですってね」
「…………」
 木村が黙った。反応しない。
「それで木村先生が私だけを特別扱いするのは、
教師としてどうかと思います」
「…………」
「あのー。それで、できれば、今後は」
「一等賞ーー!!」
「ええええ?????」
「あなたは私の一等賞になってね。ぴったしかんかーん!」
「ええ?」
「髪の色が違いますね」
「……はい?」
「黒い髪のかおりんは、私の一等賞になってね、
と言いました。だから私は一等賞になりました」
 木村は完全にどこかの世界の住人になっている。
私でない、誰かに語りかけるように。
「だけど! ――黒い髪の彼女は、私が大学3年生のときに、
別の世界に旅立ったのです」
「え?」
 木村の濃いメガネの間から、きらめく筋が垂れ落ちていた。
「召された彼女には、茶色の髪の妹さんがいました。
彼女は私にいいました。二等でもいいから、私を側に置いて下さい」
「あの……木村先生」
「私はいいました。だめだ、君はボクの一等賞になりなさい、と」
 重い話になってきた。これは、かなり秘密なんてどころじゃない話だ。
「だから互いに一等賞になったのです! おしまい!」
 木村はそれ以上語ろうとしなかった。
私をじいっと見つめ、そして奇声を発すると、
そのまま怪しい足取りで私の元から去った。

206 :うちゅー ◆UCHU/Xh/xE :2005/09/19(月) 01:51 ID:???
 ……断片だけだが、なんとなく事情はわかる。
黒い髪の私によく似た彼女は、すでにこの世の人ではない、
ということが。妹なら、笑顔が似てるわけだ。
髪の色も、体格も違っている。
だけど笑顔はおなじだった――私の戦いはおそらく、
私の敗北でその幕を閉じそうだった。私にはもう、
これ以上「戦う」ことは、きっとできない。

207 :うちゅー ◆UCHU/Xh/xE :2005/09/19(月) 01:52 ID:jpqwowDk
「かおりーん、なんか最近、
あまりキムリンのこといわなくなったな。どうしたんだ?
なにかあるんなら相談してみろよ。クラスが違ったといっても、
いちおうは友達なわけだしさ」
「え――ああ。滝野さん心配してくれてありがとう。
でももうそれはいいの」
「どうしたんだー、かおりん。抵抗を止めたのかー?」
「うん、なんか疲れちゃって」
「大丈夫か、大事にしろよ」
「ありがとう」

 で。

「滝野さん! あなたね! 私が木村先生と出来たって噂流したの!」
「えー、違うのー?」
「キー! 私は榊さんひと――とにかく、違うったら違う!」

  END

208 :質問推奨委員長 ◆EIJIovdf8s :2005/09/19(月) 02:57 ID:???
木村先生にそんな過去があったとは…

このスレは木村×かおりんを応援しています

209 :名無しさんちゃうねん :2005/09/19(月) 06:20 ID:???
かおりんメインの話とっても良かった
やる時はやる女の子だったのね

210 :名無しさんちゃうねん :2005/09/19(月) 12:26 ID:???
ちょっとホロリとした。グッジョブ。
誰か絵のうまい人、挿絵キボンヌ。

211 :名無しさんちゃうねん :2005/09/19(月) 21:52 ID:???
いい話だな・・こういうのを待っていた。

212 :名無しさんちゃうねん :2005/09/19(月) 22:08 ID:???
>挿絵
確かにあずまんがが一番熱かった時代なら、誰かがウプしてくれる可能性
もあったが……それも遠い昔の話。

213 :名無しさんちゃうねん :2005/09/19(月) 23:16 ID:???
木村の大学3年のエピソードも詳しく知りたい

214 :うちゅー ◆UCHU/Xh/xE :2005/09/20(火) 00:22 ID:???
思わぬご好評を頂きかたじけない。
長編に集中したいのでSSはよほどのことがない限り
書かないことにしてるけど、今回は突然降ってきたネタが
なにげに良さそうだったので、忘れぬうちに書き殴って
推敲もせず投稿してしまった。あちこち接続おかしいまま。

>>213
長くなりそうなので私にはむりぽ。原作から離れすぎたオリジナルストーリーは
なるだけ展開しないようにしてるので(というか調子に乗って長編のネタを注ぎ込んで
しまったりしたら目も当てられない)、書きたい人が適当に書いてくんなまし。
そこで「なぜキムリンがモテたのか」をなんとかして明かさないといけない、
という難問中の難問に挑戦しなければいけないわけですが。

215 :名無しさんちゃうねん :2005/09/21(水) 19:56 ID:???
>>214
良い話でした・・・木村は実はナイスガイていうのは好きだなあ・・・
とにかく乙。

216 :(ー・∋眠)<.。oO(眠い名有り) ◆4sS6D/pkQc :2005/09/21(水) 20:20 ID:???
>>214
木村の違う一面が見える良い作品でした。

おつ。

217 :名無しさんちゃうねん :2005/09/22(木) 03:11 ID:???
>>214
いい話です・・・乙。

>>原作から離れすぎたオリジナルストーリーはなるだけ展開しないようにしてるので

確かに原作から離れたオリジナルストーリーは作品の世界観が壊れる事もありますからね。
もはやあずまんが大王じゃなくて完璧オリジナルみたいになっちゃうと・・・

218 :名無しさんちゃうねん :2005/09/22(木) 03:36 ID:???
小説としては凄くよくできていて、読んでいて面白いんだけど、
でも、よく考えると「あずまんがSSである必然性はあるのか?」
ってのがたまにあるよね。

219 :名無しさんちゃうねん :2005/09/22(木) 13:29 ID:???
個人的には名前のあるオリジナルキャラが出てくるのはちょっと…
なんかオリキャラだと感情移入しずらいんだよな。
まあ、一人ぐらいならぎりぎり許せても複数になるとなあ…

あずまんがSSから離れてただのオリジナルになる危険性があると思う。

220 :名無しさんちゃうねん :2005/09/22(木) 23:53 ID:???
魅力的なキャラクターや世界観を自前で作り上げるのは、難易度が超高いですよ。
でも、プロが描いた大ヒット作品の設定を流用すれば、難易度は下がり、ある程度
の力量がある人なら、自分のアイデアのSS化にチャレンジできるわけです。
「必然性」と問われれば、書き手がその元ネタが好きだから! と答えるしかない
ですね。

221 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2005/09/25(日) 17:01 ID:???
久しぶりにSS以外で意見を言いますね。

>>220
難易度は既存設定を使って作品を作ることの方が上ですよ。
自分で設定を作ることの方がよほど楽です。
面白いネタが湧いてもそれが設定に合っていない場合は没にしなければならないし、
設定からネタを考えるとネタ自体がチープになりやすいですから。
そしてつい短絡的に目先を変えてみて、後で激しく自己嫌悪に陥ることに。

222 :名無しさんちゃうねん :2005/09/27(火) 00:42 ID:???
既存作品を元ネタにSSを書く場合、
元の世界を大事にする人にとっては難易度は高く、
己の妄想を最優先する人にとっては難易度は低いということかな。

223 :うちゅー ◆UCHU/Xh/xE :2005/09/27(火) 00:57 ID:???
難しいかという難易度よりは、その人にとって根気が続くのは
どちらの方法かな、という気もする。腕というのは必要に応じて、
すなわち挑戦することで勝手に追いつくんで。まああんまし
続けてもスレ違いな気もするんで、これ以上はSS書きの控え室で
行うということでどうでっしゃろ。誰か新作投下してくれたら早いですけどね。

224 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2005/09/27(火) 12:47 ID:???
>>223
じゃあ、投下
【頑張りやさん】

225 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2005/09/27(火) 12:48 ID:???
「ハッピバースデー ディア大阪さん〜♪ ハッピバースデー トゥーユ〜♪」
わーぱちぱち
今日は大阪さんの誕生日。
大阪さんの家にみんなで集まってパーティーです。
歌の後はお約束の、ふー。
そのケーキ、頑張ってスポンジから作ったから腕が筋肉痛です。
焼きメレンゲのねここねこも苦労したんですよ。
……あれ?なんで吹き消さないんですか?
「ちよちゃん、ごめん。ろうそく一本足らへん」
え?ごめんなさい。
慌ててろうそくの数を数えてみます。
1、2、3、……17
あれ?
「合ってますよ?大阪さん17歳ですよね」
「ちゃうねん。18やねんで」
「おいおい、大阪。何ボケてんだよ。高二だから誕生日がくれば17だろ」
よみさんが突っ込みを入れましたけれど、それでも大阪さんは首を横に振りました。
「ちゃうねん。私、小学校の頃、1年間学校行けへんかったからみんなより一つ年上やねんで」
……そんな大事なこと、今言われても……
場が一気に沈みかけた、その時。
「そんなのどーでもいいじゃん」
強引に雰囲気を戻したのは、智ちゃんでした。
「ろうそく足りないんならさっさと付け足そーぜ」
「うん、早くちよちゃんのケーキ食べたいもんな」
「また太るぞー」
「うるせーバカ」
「あはは……じゃあ、付け足しますね」
その場は何とか持ち直し、それからは何事もなくパーティーは進みましたが、大阪さんの
一言はパーティーの間中、私の心にわだかまっていました。

226 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2005/09/27(火) 12:49 ID:???
ですから、パーティーが終わって洗い上げをお手伝いさせてもらっている途中に、大阪
さんのお母さんにそれとなく聞いてみる事にしたんです。
……後悔しました。
私はまだまだ子供です。
大阪さんのお母さんが話しにくそうに困っているのを見て、あきらめれば良かったのに。
それでなければ、ちょっと嫌がる素振りを見せてくれれれば良かったのに。
でも、お母さんも大阪さんと同じく優しかったから、私は人の家庭の事情に踏み入って
しまいました。

227 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2005/09/27(火) 12:50 ID:???
――大阪さんは、こちらに引っ越してくる前は、お父さんがいませんでした。
それも、死んでしまった訳ではなく、離婚。
大阪さんの妹さんはお父さんが引き取り、大阪さんはお母さんが引き取って。
お母さんは頑張りやさんで大阪さんを一人で育てようとして。
大阪さんもいい子で頑張りやさんだったので、お母さんが一所懸命働いてるのを見て、
わがままも言わず、ついでに体の不調も言わず、気づいた時には栄養失調で……
前々からおかしいと思っていたんです。
高校生の大阪さんが私と同じくらい足が遅いなんて。
やっと理解しました。
子供の時、そんなことがあったから。
成長期の栄養失調は身体を萎縮させて、後々まで尾を引くそうですから。
「それなのに、あの子ったら、中学を卒業したら働いてお母さんを楽にしたるから、
なんて言うんよ。だから、そんなんあかんって、高校くらい行かせてやらなって、
再婚することにしたのよ」
お母さんはそう私に言った後に、つぶやくように付け加えました。
「でも、神様っているものやね。まさか再婚したおかげで弥生の成長した姿も見ることが
できるなんてね」
だから、私は事情を知ってしまった罪をなんとか埋め合わせようと、一所懸命に説明しま
した。
榊さんが大阪さんに負けないくらい優しくて、頑張りやさんで、思いやりのある人だってことを。
(Fin)

228 :質問推奨委員長 ◆EIJIovdf8s :2005/09/27(火) 18:31 ID:???
大阪…そんな泣かせるエピソードがあったなんて…

229 :名無しさんちゃうねん :2005/09/27(火) 18:35 ID:???
大阪と榊さんが姉妹だったのかー!
GJ!!

230 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2005/09/27(火) 20:28 ID:???
話は変わりますが、そろそろ自分の作品をまとめて(気になるところは修正して)
WEB公開しようかと思っていますがいかがでしょ。

231 :(ー・∋眠)<.。oO(眠い名有り) ◆4sS6D/pkQc :2005/09/27(火) 21:09 ID:???
見たい!早く!!
作品乙でした。またまた独創的でポンポンと読めて面白かったです。


萌えBBSのSS全部をまとめるのって不可能かなぁ……
少なくとも一人じゃ絶対無理だな。

232 :名無しさんちゃうねん :2005/09/27(火) 21:47 ID:???
SSのリンク集サイトみたいのをCGIで作ってみようか…って思ったこともあったんだけど。
気分が乗らなくてやめた。

233 :名無しさんちゃうねん :2005/09/28(水) 17:49 ID:???
>>230
是非!

234 :名無しさんちゃうねん :2005/09/28(水) 22:54 ID:???
すげー久しぶりに大阪板にキタら,蛍石氏の野望が達成されていたとは…!

とりあえずおめでとうございます。


しかし,前スレ581で野望の進捗状況をお尋ねしたのは俺なんですが,あれからもう10ヶ月もの月日が流れてしまったのね……

>>230 は,是非おながいします。

235 :質問推奨委員長 ◆EIJIovdf8s :2005/09/28(水) 23:00 ID:???
いいと思います

236 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2005/09/30(金) 22:26 ID:???
ウェブページ作ってみた。
宣伝やー
http://www91.sakura.ne.jp/~fluorite/

237 :質問推奨委員長 ◆EIJIovdf8s :2005/09/30(金) 22:48 ID:???
>>236
お疲れ様です

238 :うちゅー ◆UCHU/Xh/xE :2005/10/01(土) 00:21 ID:???
アニメ化前に作ったgif四コマが出てきたので公開。
当時はごく仲間内だけ(非あずまんがコミュニティ)に公開し、
2ちゃんねるにも大阪板にも投下しなかった。

こすぷれい (創作)
http://nekojarashi.ojaru.jp/az/az_ss_extra.html#36

中国 (創作)
http://nekojarashi.ojaru.jp/az/az_ss_extra.html#37


>>236


239 :名無しさんちゃうねん :2005/10/01(土) 18:56 ID:???
>>236 乙 

早速,お気に入りに追加しましたー

240 :名無しさんちゃうねん :2005/10/17(月) 00:17 ID:???
ミルクチョコ氏のSSをもう一度読みたい。。。

241 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/11/08(火) 20:02 ID:???
編集会議室の次スレです。
http://so.la/test/read.cgi/azuentrance/1131446577/
前スレはあと40ちょっと程あります(11月8日8時現在)。

>>240
妻大阪に萌え萌えだった・・・俺もまた読みたい。。。。。

242 :名無しさんちゃうねん :2005/11/21(月) 01:11 ID:AhN.Bun6
・・・ここで、話すのもなんですが、蛍石さん、うちゅーさん、限界さん、念のためにお聞きしますが
あなたがたは、あずまんがラウンジの「SS書きの編集会議室」の存在に気付いておられますか?

243 :うちゅー ◆UCHU/Xh/xE :2005/11/21(月) 21:48 ID:???
>>242
私はすでに過去の人ですよ。

244 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2005/11/21(月) 22:12 ID:???
気付いていますけど何でですか?
書き込まない訳なら、私は個人的に某光の巨人が大嫌いなので、光の巨人コラボ作品
の打ち合わせをやっているようなところにはいまいち足が向かないんですよ。

245 :名無しさんちゃうねん :2005/11/21(月) 22:44 ID:???
>>244
はぁ・・・それより、あなたのウェブページの更新が停滞しているようですが(「4コマ」という
部文をはやく読みたいです)・・・・・・

246 :名無しさんちゃうねん :2005/11/21(月) 22:46 ID:???
>>124
限界さん、続きまだなんですか?

247 :名無しさんちゃうねん :2005/11/22(火) 00:09 ID:???
>>246
ここまで時間が経ってたらもう無いでしょ。

248 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/11/22(火) 02:00 ID:???
>>244
そこまで嫌われているとは思いませんでした。
残念です。

249 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2005/11/22(火) 07:48 ID:???
>>244
精進します。(この頃忙しくてすみません)

>>248
別にあなたが嫌いな訳でもあなたの作品が嫌いな訳でもないし、私が光の巨人を
嫌いだからと言って光の巨人ファンの人を軽蔑するとかそういうわけではない
ので勘違いしないでね。

250 :うちゅー ◆UCHU/Xh/xE :2005/11/22(火) 17:25 ID:???
http://www.ringolab.com/note/natsume2/archives/004000.html
これの上のほうにある

「あずまきよひこ『あずまんが大王』『よつばと』
(メディアワークス)の、ひたすらキャラが存在する空間を
読者に遊ばせ、読者が勝手に想像する多様さをできるかぎり
保証しようとした「間」は、いわば受け手の「読み」と「表現」が
かぎりなく近くなった時代のマンガ様式なのかもしれない。」

という一文は、あずまんが系のコラージュが他の漫画・アニメと
強烈な親和性を持つ理由としてなるほどと頷けるものがある。
ほとんどのコラはコラ元の作品の作風や勢い、絵柄、癖というものを
利用したものだが、あずまんが系だけはコラ先に対して溶け込む
という性質を持っている。これは他の多用されるコラボレーションの
方法論とはあきらかに異なるもので、ポストあずまんがを目指す
後発作品のどれもが到達できていない特徴であろう。

といった話題もOKなのでしょうか?

251 :うちゅー ◆UCHU/Xh/xE :2005/11/22(火) 17:27 ID:???
間違えて発表スレのほうに投下してしまったorz

252 :ケンドロス ◆KPax0bwpYU :2005/11/22(火) 22:55 ID:???
>>249
あ、そういう事ですか。
早とちりしてすいません。

253 :名無しさんちゃうねん :2005/11/24(木) 01:50 ID:???
>>250-251
いったい、どこのスレに投下するつもりだったんです?

254 :うちゅー ◆UCHU/Xh/xE :2005/11/26(土) 00:16 ID:???
(`・ω・´)

255 :名無しさんちゃうねん :2005/11/26(土) 06:54 ID:???
内容的にコラボ・クロスオーバースレかな?
(でもその後投下した様子がないんだよな)

256 :眠名有 :2005/12/01(木) 22:37 ID:SrN9ZjQo
思いつきネタです。とりあえず投下

257 :キトクの智 :2005/12/01(木) 22:38 ID:SrN9ZjQo
その事件は、一本の電話から始まった。
ちよ、よみ、榊は冬休みの日曜日ということで、ちよの家に集まっていた。
コタツに入り、蜜柑とお茶をその上において雑談をしている。
「あー、来年は私たちも受験生だなぁ……」
「そうですね。よみさんはどこを受験するつもりですか?」
「そうだな、私は―――」
ピピピピピピ……
部屋においてあった電話の子機の五月蝿い電子音が、会話を中断させた。
「はい、美浜です」
「ちよちゃん!!」
声の主は大阪だった。
いつものおっとりした声とは違い、かなりあせっているようである。
「大阪、どうしたんだ?そんなに焦って」
「あんな、ともちゃん……肺ガ……で…… 今キトク……やねん」
「は!?」
あまりに唐突なことだったので、状況がわからないようだ。
「だから、とも…ゃんが肺……んになって……もーて、今キトク……やねん!」
泣いているようで、ところどころ詰まったり、途切れたりして良く聞こえないが、状況は理解できた。
「え、どどどどういうことですか!ともちゃんが!?」
「ええから……早ぉ病院に来て!!住所は―――」
ちよはすぐに言われた住所をメモすると、すぐに電話を切った。

それからは何があったか覚えていない。
とにかくそこにいる全員に電話の内容を伝え、大通りに出てタクシーを拾い、大阪が言った病院へ向かった。

258 :キトクの智 :2005/12/01(木) 22:39 ID:SrN9ZjQo
「ともちゃん!」
「ともっ!!」
口々にその病人の名前を言いつつ、病室のドアを開けて入ってきた。
すでに大阪と神楽がベッドの側に立っている。
涙もろい神楽はもちろん、大阪のとぼけ顔も涙や涎でグシャグシャになっている。
「大阪さんっ!智ちゃんは…… 智ちゃんはどうなんですか!?」
ちよが大阪に迫って、半分泣きながら尋ねた。
「ちよちゃん。残念やけどな、ともちゃんは……」
その言葉で、先ほどまで半泣きだった顔が本泣きになってしまった。
会話を始められない空気が、病室の中を満たしていく。
「ったく、うるせぇよお前ら」
沈黙を破ったのは、ベッドの中にいる病室の主だった。
ちょっと不機嫌なようで、どうやら寝ていたのを起こしてしまったらしい。
真っ先に布団の首の部分に駆け寄ったのはちよだった。
「ともちゃん…… あの、その……」
「ちよすけ、心配しなくていいぞ。私は大丈夫だから」
満面の笑みで、智がちよの頭をなでる。
ちよは気づいていた。布団の上に沢山のシミができているのに。
それと、智の声が少し震えていた……

259 :キトクの智 :2005/12/01(木) 22:39 ID:SrN9ZjQo
コトンと自販機の取り出し口に、カップに入ったミルクティーが出てきた。
「……人間、突然だよな」
「うん」
「ともぢゃん……」
暦と榊とちよの三人は、とりあえず気分を落ち着かせようとしていた。
自販機でドリンクを買って、まずは状況を自分に飲み込ませようとしている。
「なんでこんなことに、なっちゃったんでしょう……」
ちよのミルクティーに少しずつ塩味が足されていく。
「ともちゃん、何にも悪い゙っこどなんてしてないのに」
そういえばカップが落ちてこなくて、智が泣き叫んだ時もミルクティーだった。
智は調子に乗っていろんなことをした。
おさげを引っ張るのは日常茶飯事。
人の怖いもの、嫌がるものをわざとやったりする。
妙な因縁をつけたりもした。
それなのに憎めない存在だった。
いや、憎めないどころか楽しい思い出になった。
「何で……」
そういえば大阪が走馬灯を見たいと言っていたのも思い出した。
きっとこういうのが走馬灯なのだろう。
人間の意識というものはすごい。
本当はとてつもなく長い時間なのに、脳内ではそれが数分、数秒で整理されてしまう。
まるで人間の人生の儚さと同じように……
「そろそろ病室戻ろうか」
「そうだな。あいつもいつまで持つかわからないし……」
「はい……」

病室に戻ろうとすると、智の主治医と見られる医者が部屋から出てきたところだった。
そんなにおじさんというのではなく、かなり若い医者のようだ。
それを見て、思わずちよはその医者に駆け寄ってしまった。
「と、ともちゃんは治らないんですか!?お願いします、ともちゃんを治してあげてください!!」
「ちょっと、お嬢ちゃん」
流石に医者も困っている。
それでもかまわず、ちよは彼の足にしがみつく
「すみません。ほら、ちよちゃん」
とっさに榊がちよを制す。
「だって、ともちゃんが…… ともちゃんが……」

260 :眠名有 :2005/12/01(木) 22:40 ID:SrN9ZjQo
とりあえず前半投下。
後半も今週の土曜日か日曜日には投下する予定です。

261 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/12/02(金) 22:19 ID:???
>>260
お疲れ様です。

去年の丁度今頃の名無しさん時代に
俺は名有り氏の作品を拝見させてもらっていました。
>>大阪が亡くなる作品(のリメイク)。

262 :眠名有 :2005/12/04(日) 20:17 ID:Ai/cX5oI
さーて、予告どおり続きの投下じゃー

263 :キトクの智 :2005/12/04(日) 20:17 ID:Ai/cX5oI
「大丈夫だよお譲ちゃん。人間、肺炎くらいじゃ死なないよ」
「「「へ!?」」」
流石にこれの答えには全員が素っ頓狂な声を上げた。
肺炎!?
智は肺がんで危篤のはずである。
「あの、だってともちゃん『キトク』って……」
それを聞いて、その医者が突然笑い出した。
「はっ、あははははは」
「え、ええ?」
突然のことに動揺する三人。
「貴方たちもですか。まぁうちの病院では良くあることらしいですけど……
 私がこういうのに遭遇したのは初めてなもんで」
「私も、ちょっと気になっていたんだ」
どうやら榊も少し気になっていた節があるようだ。
「ここの病院の名前って……」
榊に言われ、ちよと暦が医者の胸の刺繍に視線をやる。
「「ああ――――――――っ!!!!」」
そこには緑色の糸でこう縫われていた。



『木徳病院』

264 :キトクの智 :2005/12/04(日) 20:18 ID:Ai/cX5oI
「私が?肺がんで危篤!?んなわけねーに決まってるじゃん!あはははははは」
「あははははは〜〜〜 そうやったんかぁ。どおりで妙にあせっとるおもったけど」
「やべぇ、腹痛ぇよ〜〜」
病室にも聞こえたらしく、三人が入った瞬間もう大爆笑である。
まさかボンクラーズにこうも笑われることがあるとは思っても見なかった。
「ほ、本当に心配したんですからっ!」
「っくそぉ。今ほど恥ずかしい思いはしたことねぇぞ」
「けど、こうなって本当に良かった。」
まったくもってその通りだ。
ギャグとして済んでめでたしめでたしである。
「で、大阪さんと神楽さんはさっきなんで泣いてたんですか?」
確かに。
事情を知っている二人があんなグシャグシャの顔をしていなければ、すぐに誤解が解けたはずだ。
「それはだな」
「これやー」
大阪が背後から取り出したのは…… シャキッとした歯ごたえが美味しそうなタマネギサラダだ。
「大阪がさぁ、家で作ってくればいいのにこっちで作るんだって言うからさぁ」
「せや、これは切り立てのシャキッと感が大切なんや」
どうやらそれが大阪のこだわりらしい。
「まぁ火使わないからいいけど、私の頭の側で切るもんだからこっちも目が痛いのなんの」
なるほど、三人が泣いていたのはこれが原因というわけである。
結局、こういうオチになってしまった。
「ったく、どうしてこういうのでも心配してバカ見るかなぁ……」
本当に智がいなくなるという事を真剣に受け止めようとしていた暦は嬉しいやらアホくさいやらだ。
「普段野菜食べへんからなー、ともちゃんの血がドロドロ血や思うて作ったんや。タマネギは血をサラサラにするねんで」
確かに。智は鍋などでも肉ばかりしか食べなさそうだ。
「あの、ところで電話の時はなんていってたんですか?」
そう。もう一つの誤解の原因である。
「あー、あれなぁ。えーっと……」
はて、何と言ったかと大阪は頭の整理をしていく。
答えが出るのには数秒かかった。
「『ともちゃんが肺が肺炎になってもーて今木徳病院やねん』て言ったんや」
「『前に前進する』とか『馬から落馬する』とかならばまだわかるが……」
この大ボケには、流石のよみも突っ込む気がうせた。
大体「が」を連続して使用すること自体、日本語としておかしい。
普段なら訂正が聞くものの、今回は本当に洒落になって…… 否、洒落になってしまったか。

265 :キトクの智 :2005/12/04(日) 20:19 ID:Ai/cX5oI
「これで良かったじゃないですか」
「まぁな」
これでよかったのだ。
智は死なないし、悲しみなんてものも無い。
どんなにバカにされたって、悪戯されたって、こうして全て笑って終わればそれでいい。
帰る途中で、暦は泣いたり心配したりして疲れた分という理由をこじつけてタイヤキを買った。
また智に何か言われるかもしれないが、それでもいい。
どうせ笑って終わらせれるから。

266 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/12/04(日) 22:36 ID:???
>>263-265
やられた・・・
見事に騙されました。
お疲れ様です。

267 :名無しさんちゃうねん :2005/12/05(月) 01:52 ID:???
>>263-265
うわ、すごいですね。
こういうとき電話の「…」の部分はオチが隠されてるものだけど今回は騙されましたよ。

268 :あさひわ ◆UCHU/Xh/xE :2005/12/15(木) 18:46 ID:???
>>257-265
逆手に取ったネタや良し

269 :眠名有 :2005/12/23(金) 20:05 ID:3MYyrnCE
皆さん、感想ありがとうございます。
死ぬようなSSばっかり書いていたので、引っ掛けてみようとやってみました。
初めての挑戦でしたが、好評でよかったです。

さて、次を投下します。。

270 :神楽と榊とかおりんと :2005/12/23(金) 20:06 ID:3MYyrnCE
 神楽…… あの、その……

 ?

 き、君の事が好きなんだ。

 何言ってるんだ?そんなの当たり前じゃないか。

 いや、友達としてじゃなくて、恋愛対象として……

 えぇっ!?

 変だよな。女の子同士でこんなこと。

 あの、その……

 ごめん。私、どうかしてた。今のは忘れ―――

 いいよ。

 え?

 別に榊のこと嫌いじゃねーし、愛せるかどうかは付き合ってみなきゃわかんねぇよ。

 本当に、本当にいいのか?

 ったく、今言ったじゃねーかよ。

 ――っ。神楽ぁ……!

 おいおい泣くなよ。お前らしくもねえぞ。

271 :神楽と榊とかおりんと :2005/12/23(金) 20:07 ID:3MYyrnCE
早いなぁ。
あれからもう一年半も経つのか。
昼休み。屋上で寝そべってた私は、青空を見上げながらあの時のことを思い出していた。
我ながら、何でその場でOKできたのかわからない。
けど、榊と一緒になって本当のあいつを知ることができた。
それまでは無口で無愛想。それでいて成績もスポーツも抜群で、単にライバルとしてかっこいいと思ってた。
だけど、本当はやさしくてかわいいものが好き。
今思うと、あいつを無視してマウンテンバイクの話をしていたのが恥ずかしいな。
あいつにそんな趣味は無い。
でも、私の話を聞いてくれた。
何であんなに真剣に聞いてくれたのか、聞いたことがあった。
答えは「神楽とお喋りするなら、どんな話でもいい」だった。
いつもあいつは私を優先して、気を配ってくれている。
友人やライバルとしてではなく、恋人としてあいつを見るようになって、いつの間にか、あいつといる時が一番の幸せになっていた。
「はぁ……」
でも、それも今日でお別れだ。
今日は卒業式―――皆が離れ離れになってしまう日だった。
ちよちゃんはアメリカに。
ともと大阪は同じ大学、
私とよみは同じ大学にいくメンバーはいないけど、大学はともや大阪のと近い。
けど、榊は……

272 :神楽と榊とかおりんと :2005/12/23(金) 20:08 ID:3MYyrnCE
 神楽。私、本命が受かったんだ。

 マジかよ!やったな、榊!!

 うん……

 どうしたんだよ?うかない顔して。

 それが、北海道大学なんだ。まさか、受かるとは思ってなくて、半分記念受験で……

 …… 遠いな。

 神楽とも、離れ離れに……

 そうだな。

 蹴ろうかな。この大学。

 な、何言ってるんだよ!せっかく受かったんだろ!?

 私は、この高校に来るまで友達と呼べるような友達を持ったことがなかった。
 初めてがちよちゃんや智だったんだ。
 そして、友達を超えて親友になったのも、それをも超えて恋人になったのも、君が始めてだ。

 …………

 私が何を心の支えにしてきたと思う?
 胸を張って「神楽の恋人です」て言えるようになりたい。
 その気持ちと、神楽と一緒にいる時間。
 それが心の支えになっていたんだ。

 それと大学と何の関係があるんだよ?別に別れるわけでもあるまいし。

 神楽……

 なんだよ。

 君は強いな。

 ?

 私は弱い。君がいないとダメになってしまいそうだ。

 え?

273 :神楽と榊とかおりんと :2005/12/23(金) 20:08 ID:3MYyrnCE

 私、無口だろ?
 だから、誰にも話せないで、一人で悩んで……
 それなのに、何でかわからないけど、君には全て言えた。
 いや、こっちから言いたくなった。
 いつも私の悩みや相談を聞いてくれて、慰めて、癒してくれた。

 そ、そうなのか?

 もう、神楽無しじゃ生きていけない気がするんだ。
 北海道で暮らし始めたら、私は誰と顔を向けて話せばいいんだ?
 手紙やメールでも、君には会えない。
 遠く離れた人になったという虚しさが増すだけだ。

 …………

 バカなのかもしれない。
 神楽と別れるというわけでもないのに、自分の夢を捨てるのは。
 理性ではわかっている。けど、感情がそれを許さない。
 君と会えなくなるのが怖い。

 お前、そこまで……

 神楽。いつも君は、私をリードしてくれた。
 学校でも、お喋りの時も、デートの時も。
 そして、私が悩んだときも……

 榊……
 
 この前の大学だって、あそこほどではないけど良い所だし、神楽の大学とも近い。
 頼む、今回も私を導いてくれ。
 君の選択で間違ったことは無い。

 …………私は、
 私は榊が正しいと信じる方をやるしかないと思う。
 私だって、榊と離れ離れになるのは辛い。
 だけど、そんなことで人生振っちゃいけないと思うんだ。
 でも、もし私がいないことが、榊を潰してしまう。
 それだけは嫌だ。
 だから、榊の決断に任せる。

 …………

 こ、これじゃぁ導いたことになってないよな。けど……

 ううん。今回も導いてくれたよ。
 まだ、入学金の振込みまで時間がある。だから、その間一人で考えてみる。
 ありがとう、神楽。

274 :神楽と榊とかおりんと :2005/12/23(金) 20:10 ID:3MYyrnCE
私は、それから榊とあまり喋らないようにした。
榊の決断に干渉しないように。
確か、あいつの入金て明日だっけ?
結局答えはどうなったんだろう。
カチャ
屋上の扉が開いた。
「あんた、こんなとこで何やってんの?」
かおりんだ。
「別に。ちょっと考え事。これからのこととか」
「へぇー」
何だろ。かおりん、どこか幸せそうだ。
妙にウキウキしてる。
「どうした?何か嬉しいことでもあったのか?」
「へっへー。実は、北海道大学の獣医学科。合格しちゃった!」
「!!それって」
「まさか、繰り上げで合格できるなんて夢にも思わなかった。ああ、神様。私を見捨てなかったんですね……」
それからも「ああ、榊さんと同居申し込もうかな」とか「もしも榊さんと職場まで同じになったら」とか、自分の世界に入り込んでる。
でも、すごいよなこいつ。ここまで榊に惚れてるんだから。
私よりも、かおりんの方が恋人になる資格があるのかもしれない。
「でさ。丁度あんたに聞きたいことがあったのよ」
「何?」
「どうすれば榊さんと仲良くなれるの!?」
そんなこと考えてもなかった。
いつの間にか仲良くなって、いつの間にか付き合って。
私は私らしく、榊は榊らしく行動していただけ。
それだけだったから。
「あんた、あの無口な榊さんとすっごく上手く喋れるじゃない。
 どうすればあんなに話題が繋がるのよ?
 私は、榊さんと同じ大学に行くんだ。だから、上手に話せるコツとかあれば教えてほしいなぁ……」
かおりんは、自分の夢が榊と一緒になることになっている。
人生をかけていると言ってもいいな。
「あいつは、喋るのが苦手だ。だから、こっちから話しかけていけばいい」
「うんうん」
「それと、ああ見えてかわいいものが好きだ。ねここねことかな」
「へぇー」
真剣な目でこっちを見ている。
もしメモ用紙とシャーペンがあれば、メモを取りそうなくらい真剣だ。
すごい。榊に対してここまで……
こいつと一緒の方が、榊は幸せかもしれない。
そんなことを考えてしまった。
ただでさえ不器用なのに、こんな不安定な精神。
思いついてしまったことを止めることはできなかった……
「あ、ちょっと用事を思い出した。悪い!じゃぁな、かおりん!!」
適当に理由をつけて、私はその場を去った。
榊は、まだ校内にいるはずだ。

275 :眠名有 :2005/12/23(金) 20:11 ID:3MYyrnCE
前半終了です。
後半は(もしかしたら3回になるかもしれないから、中盤?)は今週か来週の土日に。
それではまたー

276 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/12/23(金) 21:01 ID:???
>>270-274
乙!
何方の作品かと思えば、名有り氏の作品でしたか。
ああ・・・なんて言うか・・・萌えるなぁ、もう。

後半にご期待させていただきます。

277 :名無しさんちゃうねん :2005/12/24(土) 15:57 ID:???
>>275
GJ!
ああ…神楽、はやまらないでくれよ
榊さんにとって自分がどういう存在かよ〜く思い出せよ

ドキドキして待ってます

278 :眠名有 :2005/12/24(土) 23:43 ID:xd2ebIE2
短いけど区切りがいいので投下しまつ

279 :神楽と榊とかおりんと :2005/12/24(土) 23:44 ID:xd2ebIE2
「神楽、どうしたんだ?こんな所に連れてきて」
私は、教室の前にいた榊を体育館に連れ込んだ。
誰もいない体育館の壁は、校舎からの笑い声などを遮ってしまい、不気味なほど静かだった。
「今日、決心したんだ」
「何をだ?」
「その、そのだ……」
言いたくねぇ。言いたくねぇよ。
けど、言わなくちゃいけねぇんだ!
もう決心したんじゃないか。何を迷ってるんだよ私!!
「うん」
私の葛藤が通じてるのかもしれない。
榊は、無言で待ってくれた。
「――っ、別れよう」
「え?」
言っちまった。
とうとう、言ってしまった。
「神楽、もう一度言ってくれ」
榊だって、今のを幻聴だと思いたいんだ。
聞き逃してなんかいないのはわかる。
目尻に涙が浮かんでるから。
「別れ……よう」
もう一度、今度は少し涙声で言った。
それを聞いた榊の目から、涙が溢れ出した。
でも、目を拭わなかった。
「嘘…… だろ?」
「私の存在が榊を苦しめるなら、私は」
「苦しんでなんかない」
「苦しんでるじゃねぇか!」
思わず怒鳴ってしまった。
榊が一歩後ずさる。
「そうやってお前は、いっつも一人で考え込んで。
 私だけにしか、言いたいことを言えないのか!?
 私無しじゃ生きていけないのか!?
 もし、もしもだ。私が死んだりしたら、お前は私を追って死ぬのかよ!!」
「私は……」
チクショウ。何で視界が霞むんだよ。
これでいいのに。これでいいはずなのに……

280 :神楽と榊とかおりんと :2005/12/24(土) 23:45 ID:xd2ebIE2
「お前言ったよな。私がいつもリードしたって!
 だから、今回も私が先だ。
 榊が私のために人生を振るのは嫌だ!!」
「…………」
私だって、これを決心するまでにすごく悩んだ。
こんなこと言って北海道に行っても、榊が潰れるような感じがした。
けど、かおりんがいる。
あいつと一緒なら、榊も安心だ。
「分かってる。分かってるんだ……」
こいつだって分かってるんだ。
分かってるけど、できないんだろ?
だから、もう私という幻影に振り回されちゃいけない。
叶わない想いは、キッパリと断たないといけないんだ。
「それと…… 好きな人ができたんだ。男で。告白したら、OKされた」
「!!」
嘘だ。けど、こうでもしねぇとこいつは別れることができない。
そんなやつだって事は、この付き合ってきた時間でよく分かっていた。
「どうして……!」
榊の顔が見る見る青ざめていった。絶望しているのかもしれない。
榊の気持ちは痛いほど良く分かるさ。けど、もう少し、もう少しなんだ。
私は無理に平静を装って話を続けた。
「別にお前が嫌いになったわけじゃない。けどさ、私たち女同士だろ?
 結婚もできないし、子供も作れない。虚しくなるだけのような気がしてさ。
 だから、卒業を機に」
「もういい!!」
私の言葉を最後まで聞かないで、榊は体育館から飛び出していった。
こんなのは初めてだ。
涙を拭いもせずにドアを開けっ放しにして、あいつは出て行った。
これで会うことも無いから、あいつとの最後の別れか……
「―――っ、ひっく」
溜まっていた涙が溢れ出した。
榊と別れることじゃない。嘘をついてしまったことに。
どうしてこう私は無神経なんだろう?
最後の嘘なんて必要なかったんじゃないのか。
榊を、絶望させるつもりなんてなかった。
だけど、これでいいんだ。これが私たちにとって最善の道なんだから……

281 :眠名有 :2005/12/24(土) 23:46 ID:xd2ebIE2
>>276-277
どうも。今回は短いですが、たぶん予想できてたんだろうなぁ。
この後どうしようかすごく迷っているので、少し遅れるかもです。

282 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/12/24(土) 23:49 ID:???
>>279-280
お疲れ。
リアルで見ました。
自分は百合とかあまり分からない人ですが、
恋愛物として普通に読むことができました。
続きにご期待しています。

283 :名無しさんちゃうねん :2005/12/24(土) 23:51 ID:???

>>281
この手のものはageるなと前から何度も言われてるはずですが?
学習能力ないんですか?あなたは。

284 :名無しさんちゃうねん :2005/12/24(土) 23:53 ID:???
仕方ない下げに協力しよう
>>281さんいい加減に理解してね
そんなだから叩かれるんじゃないの?

285 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/12/25(日) 00:00 ID:???
沈下にご協力させていただきます。

百合っていうジャンルも、やはり読み手を選ぶのですかね。

286 :名無しさんちゃうねん :2005/12/25(日) 00:06 ID:???
>>279-281
お疲れ様です。

さて、自分も沈下に協力しますよ。

>>284
その言い方は流石にあてつけがましいのでは?

287 :名無しさんちゃうねん :2005/12/25(日) 00:07 ID:???
上げていいSSのジャンルってなんなんだろうね
沈下協力さげ

288 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/12/25(日) 00:15 ID:???
>>287
ほのぼのマターリ系〜ソフトなえっち未満な作品とかでしょうか?
誰でも気兼ねなく読めるといった感じの。

まぁ、敢えてage、sageの選択方法を決め付けてしまう必要は無いと思うのですが、
そこは作者さんの自己判断と言った具合でしょうかね?

289 :名無しさんちゃうねん :2005/12/25(日) 01:00 ID:???
百合は百合萌えスレでだけやれよなとは思うな
百合嫌いとしては。

290 :名無しさんちゃうねん :2005/12/25(日) 01:50 ID:???
>>281
乙です。
自分としては復縁して欲しいけどなぁ
個人的にTHE ENDよりはHAPPY ENDが読んだ後ホッとするし
何より好き同士なら困難があっても一緒にいる方が幸せだと思うしね。
とにかく期待と不安を渦ませながら続きを待ってます。

291 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2005/12/25(日) 20:26 ID:???
せっかくクリスマスなので一本書いてみました。
【諸人こぞりて】

292 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2005/12/25(日) 20:27 ID:???
刺すような寒さの中を夕日が静かに地平線の下に沈んでゆく。
クリスマスソングをハミングしながら、目標は西に向かって歩いていく。
いつもは勘の強いヤツだけど、浮かれてて私達には気付かれていない。
ちきしょう。絶対現場を抑えてやるからな。

293 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2005/12/25(日) 20:28 ID:???
「かぐらー。明日のイブ、ちよちゃん家でお泊り会するんだ。あんたも来ない?」
私は昨日そう言って誘ったら。
「あ、ごめん。用事があるんだ」
断りやがった。
彼氏か?って聞いたらそんなんじゃねえよって言ってたけど、この智ちゃんの目は節穴じゃない。
裏切り者は許せねー。
というわけで今日はお泊り会は中止。
神楽を尾行する会に変更だ。
「ねえ、ともちゃん。人のプライベートを覗くのはよくないですよー」
「わかってないなあ、ちよちゃん。友達なのに隠し事する方がまずいに決まってるじゃん」
「そうかなー?」
「大丈夫、神楽の選んだ彼氏がどんな顔かちょっと見るだけだから」
よみの声に榊ちゃんも無言で頷く。
「うー……でもやっぱりだめですよー」
「そういうちよちゃんは何でここにおるん?」
「それはその……えへへ」
ちよちゃんが照れくさそうに笑う。
なんだ、優等生ぶってるくせしてやっぱり神楽の彼氏見たいんじゃん。

294 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2005/12/25(日) 20:28 ID:???
美味しい豚まん屋の前を30mほど行った店の前で神楽は立ち止まった。
私達は急いで電柱の陰に隠れる。
そっと様子をうかがうと、神楽はガラス越しに店の中を覗いていた。
「何の店だ?えーと、ローマ字でなんか書いてあるな。……ほげつどってなんだ?」
「宝月堂。ケーキ屋だな。あ、誰か来るぞ」
よみの声に少し頭を引っ込めて、注意深くその誰かを確認する。
そいつは白髪で眼鏡をかけていた。同じくケーキ屋の前で立ち止まる。
すると神楽はそのおっさんと何か話を始めた。
「神楽、オヤジ趣味だったのか?」
「ちょっと待ってください。あれは教頭先生じゃないですか?」
「何?」
なるほどな、昔から疑問だったんだ。
あいつが私と同じ高校に入れるなんて絶対おかしい。
きっとあの胸で教頭を誑かしていたに違いない。
よし、みんな踏み込むぞ!
と思った瞬間口をふさがれた。
「うーうー」(なにするんだよ、よみー)
「慌てるな。まだ決まった訳じゃない」
そんな事言って決定的瞬間を逃したらどうするんだよー。
「あ、神楽ちゃん教頭先生と別れてまた歩き始めたで」
……
「ほらな」
うるせー。

295 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2005/12/25(日) 20:29 ID:???
しばらく尾行を続けると神楽はコンビニに入っていった。
「ここで待ち合わせかな」
「ありえるな。暖かいし雑誌とか立ち読みしてれば時間を潰せるし」
「それに対して私達は寒空の下で待たなきゃならないわけか。ちくしょー!責任者でてこーい!」
「言い出しっぺはお前だろ」
なにおう!
よみにあまりに腹立つことを言うので何か言い返そうといろいろ考えてみたけれど、うまい文句が思い
つかなかった。
これで勝ったと思うなよ、よみ。
「でも、そんなに待たなくて済みそうですよ。ほら、もう出てきました」
もうかよ。ちょっと拍子抜けだな。
見ると玄関の辺りで誰かと話してる。
背は私と同じくらいの短髪の男の子……
「ちゃうねん。あれは千尋ちゃんや」
なんだとー!!
「相手とは違うみたいだな」
「いや、わかんないぞ。神楽は男っぽいし女の子を好きになっても不思議はない」
「んなわけないだろ。第一千尋にはちゃんと彼氏がいるぞ」
「え?ウソ」
「ウソなもんか。ほら、噂をすれば陰だ」
よみの指先をたどると良く知った顔が向こうから歩いてきた。
「うちのクラスの長谷川?あいつら付き合ってたの?」
「知らなかったのか」
……どいつもこいつも私に黙ってうかれやがって。
ひやかしてやるー!
と思った瞬間羽交い絞めにされた。
なにするんだよ、よみー。
「あとにしろ。今は神楽の相手を探る方が先だ」
あ、そうか。
仕方ない、千尋の件は冬休み明けの楽しみに取っておこう。

296 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2005/12/25(日) 20:30 ID:???
さらにしばらく尾行を続けると、神楽はなんか白い家の前で立ち止まった。
神楽がドアチャイムを鳴らすとすぐドアが開いて、誰か出てきた。
神楽はぺこりと頭を下げると家の中に入っていく。
ドアが閉まった。
「なあ、今神楽を招きいれた人の顔、見えたか?」
「いいや。逆光だったからな。大阪はどうだ?視力両方2.0なんだろ?」
「あかんかった。でも大人の男の人みたいやったで」
「これは確定だな。顔を見れなかったのが残念だけど、しかたない」
ちっちっ。よみくん。ここであきらめるなんて2年3組の峰不二子こと滝野智の名が廃るってものよ。
横目でよみを確認する。
……よし、油断してるな。
いっせーのーで!
私はチャイムに向かってダッシュした。

297 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2005/12/25(日) 20:31 ID:???
「おい、こら待て!」
よみも追ってきたけどもう遅い。
間一髪でチャイムをプッシュ。
ぴんぽーん♪
「やっちゃった」
「やっちゃったじゃねー!」
ちょっとあって、ドアが開いた。
「はい、どなたですか?」
落ち着いた男の声。
そこにいたのは30歳くらいのちょっと渋くてかっこいい男だった。
「おまえが神楽の彼氏かー!」
「こら、智。ごめんなさい、なんでもないんです」
すると男はにっこり微笑んだ。
「ああ、神楽さんのお友達ですか。私達の教会へようこそ。歓迎しますよ」
教会?
あれ?
まごまごしていると神楽がドアからひょっこり顔を出した。
「あれ、何でおまえらここに?ちよちゃん家でお泊り会じゃなかったのか?」
あー、その、えーと。
「実はー、たまには教会でクリスマスを迎えるのもいいかな、って思いまして」
お、ちよちゃん、ナイスフォロー。
「へー、そうなんだ」
「しかし、意外だな。神楽が切支丹なんて」
「切支丹ってなんだよ。クリスチャンだよ」
「まあまあ、外で話しているのもなんですから中にお入りください。いくつか賛美歌を歌いますので
これをどうぞ」
そう言って牧師さんが渡してくれたのは、楽譜のコピー。
題名は聞いたことのないものだったけど、ちよちゃんがこっそり小声で歌ってくれたのを聞いたら
よく知ってる曲だった。
だからそこでついほっとしてしまったんだ。
その後起こる惨劇を予測するべきだったのに。
(Fin)

298 :風児 ◆iQwkicAw :2005/12/25(日) 22:33 ID:???
神楽が・・・新しいですね。
よみにかかれば賛美歌も惨事歌に・・・w

乙です。

299 :名無しさんちゃうねん :2005/12/26(月) 21:14 ID:???
久しぶりの蛍石さんだー。
乙です。

300 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2005/12/26(月) 22:13 ID:???
>>292-297
お疲れ様です。
神楽についての題材の着眼点にとても良い意味で凄く驚かされました。

それにしても・・・嗚呼。 その後の惨事が目に浮かぶ・・・

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