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あずまんがSSを発表するスレッド パート4!!

1 :あずまんが王子 ◆N1Y4rpky/o :2005/05/14(土) 00:04 ID:???
前スレのリンクです。
あずまんがSSを発表するスレッド パート3

http://so.la/test/read.cgi/oosaka/1081700484/

暴力・猟奇・グロなど読み手を選ぶ内容のSSは以下のスレッドに投下する点は前スレと同じです。

グロまんが大王
http://www.moebbs.com/test/read.cgi/oosaka/1081698529/

新しいスレでも、またがんばりましょう。

301 :眠名有 :2005/12/27(火) 18:26 ID:???
>>283-288
すいません。
sage進行スレじゃなかったのでつい……

>>291-297
蛍石さん乙ー
最後のよみさんの歌という落ちもよかったです。

302 :眠名有 :2005/12/31(土) 20:50 ID:???
大晦日一斉投下、3回目ー

303 :神楽と榊とかおりんと :2005/12/31(土) 20:50 ID:???
私は、また屋上にいた。
これでいいはずだ。
榊は私を忘れて、新しい大学生活を始める。
たぶん私のことを恨んでる。
だからこそ私を忘れて、かおりんと榊は一緒に幸せに暮らす。
もしかしたら、二人は恋人になるかもしれない。
いや、きっとそうなるな。
ぶっきらぼうで、マイペースな私と違って、かおりんは榊が全てだ。
榊が好きになったっておかしくない。
私があいつの中にいたら、またあいつは悩んで、苦しむ。
だから、これが一番の方法のはずだ。
なのに……
「何で、何でだよ」
何で涙が止まらねーんだよ!?
「榊ぃ」
やっぱり、榊と別れるのはつらい。
でも、私が決めたことだ。
もう済んだことだ。
これから悩んだってしょうがないじゃないか!
私は自分にそう言い聞かせて涙を拭いった。
けど、すぐに視界が曇る。
くそっ、止まれよ!ちくしょう……

ドタドタドタ
やけに派手に階段を上る音がした。
ともか?
丁度良いいや。
あいつとだべりながら帰ったら気もまぎれるだろうな。
そんなことを思いながら、私は明るく振舞おうと涙をぬぐって、無理に笑みを作った。
そんで、出入り口から出てきた人物に挨拶しようとした時だった。
「ちょっと、あんた!」
その影は私の胸倉を掴んで、壁に叩きつけた。
「な、なにするんだよ!」
「あんたこそ、何で榊さんを泣かせたのよ!!」
影はかおりんだった。
半分怒って、半分泣いている。
「全部聞いてたわよ!あの話!」
どうやら全部聞かれてたみたいだ。
「で、それが何なんだよ?」
「何なんだよじゃないわよ!あんた、あんなこといわれて榊さんがどれほど傷ついたか分かってるの!?」
「榊と一緒に暮らすんだろ?私はもうあいつの力にはなれない。だから、お前が」

304 :神楽と榊とかおりんと :2005/12/31(土) 20:52 ID:???
パァン!
私の頬に平手打ちが飛んだ。
手加減なし。かなり痛い。頬がヒリヒリする。
「あんたはまったく分かってないわ!私じゃ、あんたほど榊さんの力にはなれない!
 私は、榊さんと仲良くなれる方法聞いた。けど、あんたに別れろなんて言ってない!!」
かおりんの押し付ける力が、前よりも強くなった。
後ろのコンクリートに背中がゴリゴリ当たる。
「榊さんは、私じゃだめなの!あんたじゃなきゃ!!
 何年間も付き合ってきて、そんなことも分からなかったの!?
 それとも、あんたは榊さんに別れ話を言われて耐えれる?耐えれないでしょ!」
耐えられるわけねーだろ。
くそっ、また視界が霞んできた。
「私だって辛いさ!今も泣いてたよ!!
 けど、私のせいで榊の夢を潰すんなら、私はあいつの前から姿を消す。
 私なんかのために、人生を振ってほしくねーんだよ!」
「まだ分からないの!?
 榊さんにとって、あんたは生き甲斐になってるのよ!
 あんたと一緒に喋って、笑って、愛し合って…… それが全てだったの!
 北海道に行ってもあんたを忘れずに、いつか戻ってきてくれる。
 そのぐらい自分の恋人に自信持ったらどうなのよ!?」
また、力強く壁に押し付けられた。
頭を思いっきり打ったけど、不思議と痛みは感じない。
今、そんなことよりも考えることすらできなかったから。
「もう、いいんだよ」
誰に言ったんだろう。
かおりん?榊?
それとも私自身に?
私はかおりんの腕を引き離した。
ぜんぜん力をこめずに、ただ、普通に物をどかすように。
「ちょっとあんた!」
無論、かおりんはそれを許さない。
もっと強く私を押し付ける。
かおりん、お前の言いたいことは良く分かるよ。
けど、私はもうダメなんだ……
榊に言われて気づいちまったんだよ。
あいつを忘れないで離れ離れになってしまったら、私は―――
榊は私を強いと言った。
けど、あいつに言われて気づいちまったんだ。
だから―――
「一人にしてくれ」
もう傷を抉らないでくれよ。
私は、もう戻れないんだから。

305 :神楽と榊とかおりんと :2005/12/31(土) 20:52 ID:???
「もういいわ!」
ガッ!!
今度は平手打ちじゃなかった。
思いっきりグーで、まだ痛みのひいていない頬を。
受け身を取る気力もなかった。
頬と同じように後頭部ももう一回強打した。
口の端から血が流れた。
「あんたがどういう人間かもう分かった!榊さんは、榊さんは私がっ―――」
途中で言葉を止めて、踵を返してしまった。
結局、私は望みどおり一人になった。一人ぼっちに……
「良いんだよな。これで……」
起き上がる気力も、痛みを感じる気力も、血や涙を拭う気力すらも、体から消えうせていた。
空を見上げた。
卒業式の天気の代名詞とでも言いたくなるような春の青空が、どこまでも広がっていた……

306 :眠名有 :2005/12/31(土) 20:54 ID:???
うーん、最後のやつは神楽が何も考えられていないっていうのを表現してみたかったんだが……
難しいなぁ……

307 :名無しさんちゃうねん :2006/01/04(水) 19:23 ID:???
百合萌えスレでやれって、また叩かれるぞ。

308 :名無しさんちゃうねん :2006/01/04(水) 20:09 ID:???
やってしまった以上、もうどうにもなりますまい。

309 :風児 ◆iQwkicAw :2006/01/09(月) 23:13 ID:???
投下します。

「婦警さん」

310 :風児 ◆iQwkicAw :2006/01/09(月) 23:13 ID:???
天気がいい。本当に天気がいい。でも、仕事。私は憂悶気にミニパトに乗り込んだ。
あぁ・・・面倒くさい・・・。天職だと思ってたけど、どうだかなぁ・・・。
高校も大学も何となく・・・さすがに警察学校だけは何となくじゃ入れなかったけど。
やるときはやるっていうか、やっとかないとまずかったし・・・。

「大人になった」って言われるようになった。
・・・どうなのかな?良く分からない。大人になるってどういうことかな?
「大人になった」っていうか・・・今までが「子供すぎた」んじゃないかな?
いや、あんまり偉そうな事は言えないけど・・・打算的なところはあんまり変わってないし。
いつまでも「暴走女子高生」・・・「暴走婦警官」・・・なんて言ってられないじゃん。

昨日、よみから電話がかかってきた。結婚式来てくれって。
「ギャグ?」って言いかけちゃったけどなんとか呑み込んだ。
素直に「おめでとう」って言えた。(これも大人になったからかな?)
来週の日曜日は久々に皆に会えるっぽい。なんとまぁちよちゃんは研究で
忙しいのに教授さんに無理言って時間つくってもらって帰国して来る・・・らしい。
・・・でも分かんない。そりゃ勿論嬉しいんだけど。・・・不安なのかな?何がって。
変わってしまった自分を皆に見られることが・・・、怖い。
元気で、明るくて、羞恥心を知らない滝野智はもう・・・いないから。
全然恥じる事じゃ無いのも分かってる。人は変わるものだから・・・。・・・だけど。

311 :風児 ◆iQwkicAw :2006/01/09(月) 23:14 ID:???
「大人になる」って「つまらない人間になる」って事なんだよね、多分。
私自身、こんなに変わるなんて思わなかった。あの頃は・・・
「大人になってもこのままだな!」なんて思ってた。頭悪くて。運動できなくて。
人に迷惑かけまくって。そんな自分がどういうわけか・・・嫌いじゃなかった。
楽しかった。周りもそんな私を蔑む事なんてなかった。今思うと・・・私はすごく
友達に恵まれてたんだ。それが実感できる。皆に、「ありがとう」って言いたい。
心の底から、「こんな私と友達でいてくれてありがとう」って言いたい。

そう。こんな事を考えてる私はきっとつまらない人間なんだよ。
現状じゃなくて、過去ばっかり見て、「あの頃は良かった」の繰り返し。
その上、現状を「つまらない」「面倒くさい」なんて思ってる。最悪だよ。
どうしようもないんだ。こんな自分を見られたくない。これが、会いたくない理由。
・・・きっとよみに怒られるだろうなぁ・・・「子供じゃないんだから」って。

―ぁあ、あんなところに。駐禁だよそこ。私はミニパトを止めた。
ドアを開けると爽やかな風が舞い込んだ。真夏ってことを忘れさせてくれる。
まるで小春日和・・・夏でもこんな日はたまにあるもんだよね。

312 :風児 ◆iQwkicAw :2006/01/09(月) 23:15 ID:???
印をつける。交通違反の検挙率って低いんだよね。きっとこの車の運転手も
「どうして自分が当たってしまったんだ・・・」なんて言い訳するんだろうな・・・。
ご愁傷様。運が悪かったとしか言い様がありません。徹底してないからね。
「運が悪かった」なんてきっと警官の私が言っちゃいけないんだろうけど。
だって実際徹底してないじゃん。点数稼ぎのためにふらりと気まぐれに街に出て検挙。
そんなもんじゃん。・・・私も・・・そうだもん・・・。職務怠慢?・・・はっ。「仕事」はしてんじゃん。
・・・「怠慢」じゃないもん・・・。
嫌だな。「するべきこと」して、「点数稼ぎ」なんてレッテル貼られる。
・・・ううん。「するべきこと」・・・つーか、「それしかできない」んだよ。

「おわ!?」

・・・な、何だぁ?私は不意に声をあげた。・・・え・・・と、・・・お花・・・かな?
いや、そうじゃなくて。・・・子供は音もなく傍らに忍び寄ってきたりする。
気付かなかった。私は、傍らにかがみこんで地面に花の落書きをしていた子供を見やった。
私の駐禁の印が、「お絵描き」に見えたんだろう、きっと。・・・不思議な子・・・いや、
変な子、かな?変わった格好をしてる。頭には白いバンダナ、腰にポーチを下げている。
傍らのかごには満開のバラが詰め込まれていた。着込んでるのは・・・なんて言ったらいいんだろう。
とりあえず、「マッチ売りの少女」?っぽい。背中に羽がついてるけど。・・・よくわからん。
でも、可愛いかな。4つに結った緑の髪に、緑の目。日本人じゃなさそう。
ちょっと雰囲気がちよちゃんに似てる・・・かな。いや、幼すぎるか・・・。

313 :風児 ◆iQwkicAw :2006/01/09(月) 23:15 ID:???

「あ あのね これはお絵かきしてるんじゃなくてね?えーと」

私は言葉を選んだ。駐禁って言っても分からないだろうな・・・。

「悪い車にしるしをつけてるの。だからおえかきしないでね?」

「だから」って全然理由になってないけど、まあいいや・・・。伝わってくれれば。

「あ!ねーちゃんおまわりさんだ!!」
「あ うん そう」

緑目の女の子は頓狂な顔を私に向けた。・・・そんなリアクションされても・・・。
私はただ黙っていた。邪険に「あっちへいけ」と言うわけにもいかず、女の子の
次の一手を待った。・・・別に子供は嫌いじゃないしね・・・。

「これわるいくるま!?」
「うん そーなのよー」

そう。本当にそう。公衆の迷惑・・・それ以上に、いつも私をさっきみたいな
嫌ーな気分にさせる駐禁車。本当に嫌。この子よく分かってくれてる。ありがとう。

314 :風児 ◆iQwkicAw :2006/01/09(月) 23:17 ID:???
「みろ!みろ!」
―女の子はポーチをごそごそと探り、水鉄砲を取り出した。なんだろう?
・・・・・・。

「な?」

―あ?

「あ?」

・・・・・・・・・。

「これを やる」

―え?

「え?」

唐突に差し出されたバラ。・・・わぁ。綺麗だな。花のことは
良く分からないけど、「綺麗」なら「いい」んだよね。

「わぁ ありがとう」

ありがとう・・・。そう。素直に感嘆できるようになったんだよね、私。

・・・大人になったから。

315 :風児 ◆iQwkicAw :2006/01/09(月) 23:17 ID:???
「じゃあよつばはゆく! ねーちゃんもがんばれ!」

よつば・・・?よつばちゃん?うん、ありがとう。

「ありがとうねー」

・・・何でもない、体験。それでも、大切にしたい、体験。
不思議でちょっと変な子。背の羽が遠ざかる。私はその小さな背をしばらく見送った後、
もう一度手の中のバラを見やった。綺麗。本当に、綺麗。

「がんばろう」

自然に口をついて出てきた。なんだか、すがすがしい。仕事への憂鬱も、自分への嫌悪も、
どうでもよくなった。どことも知れない、どこから来たのかも知れない不思議でちょっと変な
女の子から貰った、不思議な気持ち。これからもきっと私は悩むんだろう。だけど、この不思議な
気持ちはきっと忘れない。ただ、ここにいる幸せ。忘れてしまっていたあの気持ち。
思い出させてくれてありがとう。・・・よつばちゃん。

来週の日曜日、楽しみだな。皆に会える。
・・・さっさと仕事済ませちゃおう。私は警棒を握りなおした。
                    
                                    終

316 :風児 ◆iQwkicAw :2006/01/09(月) 23:19 ID:???
以上です・・・
あず&よつばとリンクな妄想でした。

317 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2006/01/09(月) 23:20 ID:???
>>310-315
お疲れです。
あー・・・なんかこう、しみじみと情景や感情が伝わって来るって言うんでしょうか。
時の流れは残酷であるっていうのも感じられましたが、
それ以上に、爽やかな感じも受け止められました。

随分と挨拶が遅れましたが、今年もまたよろしくお願いいたします。

318 :眠名有 :2006/01/09(月) 23:27 ID:???
乙です。
宿題に負われながら読ませていただきました。

最初から最後までは短時間。それでいて感情がガラリと変化するのに、
ぜんぜん違和感が無く、スラスラと読むことができました。

319 :名無しさんちゃうねん :2006/01/12(木) 17:39 ID:???
乙。

あずとよつばとがうまくリンクしてるなぁ・・・。

320 :風児 ◆iQwkicAw :2006/01/12(木) 22:34 ID:???
>>317
げたさん感想ありがつです。
2人称小説は個人的にも好きな型でして。
ただ語り手の心情を淡々と書き綴っていくのが
どうしようもなく楽しい。そんな自分がいる。

あけまして・・・今年もよろしくです。
余談ですが今年の詣で引いたおみくじは凶。
・・・いざ現実でやらかすと全然おいしくねえっつの。
そんな近況。合掌。

>>318
感想ありがとです。眠さん。
上記参照のように2人称小説が好きな私。
全体の「流れ」を大切にして書きました。
違和感なく、見てくれが風の如くスラスラと読める作品。
・・・そう、眠さんの感じて下さったそれこそ私の求める
至高なる作風だったりします。・・・私は風になりたいのです。

>>319
感想ありがとうです。
・・・あの婦警さんの後姿がなんとな―――く成長した
ともちゃんに見えるのは多分私だけ・・・。
たこさんウインナーは成長とともに消えていった・・・。
合掌。

321 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2006/01/12(木) 22:37 ID:???
>>320
俺は自分の文章にもっと狂気さとか迫力とかを出したいですね。
ですが、風ですか・・・なってみたいなぁ・・・

322 :名無しさんちゃうねん :2006/01/23(月) 01:01 ID:???
>>305の続きってどうなったの?
ちょっと気になるのだが。

323 :名無しさんちゃうねん :2006/01/24(火) 20:02 ID:???
ところで>>305の続きはどうなるんだ?
少し気になるのだが。

324 :名無しさんちゃうねん :2006/01/25(水) 00:41 ID:???
続きは百合スレで書け。

325 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2006/02/05(日) 12:13 ID:???
時期ネタ。
【いじわる】

326 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2006/02/05(日) 12:14 ID:???
冬って何ですぐに日が落ちてしまうのかな。
まだ5時半なのに、辺りが暗くなり始めている。
さっきまで波間から見えていた川底の石も、見えなくなってしまった。
岸壁のコンクリートに腰をおろし、ふと思いついて奪ってきた教科書を開いてみる。
えーと、てゃれ……あれ……
だめだ。まるで暗号だ。全然読めない。
「かず君、こんなところにいたんだ」
聞きなれた自分の名前を呼ばれて振り向くと、僕の幼馴染が立っていた。
ちょっとだけ息を切らしているところを見ると、僕を追ってきたらしい。
「何の用?」
「何の用ってことは無いでしょ。ちよちゃん、泣いてたよ。悪いこと何もしてないのに、
どうしていじわるされるのかわかりませんって」
わかってるさ。
僕を悪く言いに来たんでしょ?
みるちーは幼馴染の僕より、ちよちゃんとの方が仲良しだもんね。
「謝ったほうがいいと思うよ」
言うと思った。
だけど。
「謝らないよ。ちよちゃんは裏切り者だから」
「裏切り者?」
「そうさ。だって考えてみろよ。いくら勉強ができるからって、一人で高校行かなくたっ
ていいじゃないか。5年のキャンプも、6年の修学旅行も一緒に行って、それから一緒に
中学に上がって、同じ制服着て、部活にも入って、それが普通だろ?なのにちよちゃんは
僕達を置いて、高校生になっちゃおうとしてる。そんなの卑怯じゃないか。これが裏切り
じゃなくて何なんだよ!」
「それで、ちよちゃんの教科書を奪って逃げ出したんだ。邪魔をするつもりで」
みるちーはため息をついた。

327 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2006/02/05(日) 12:14 ID:???
……そうだよ。高校にはテストでいい点を取らないと入れないって、親戚のお姉ちゃんか
ら聞いたんだ。いくらちよちゃんでも教科書が無きゃ勉強できないし、勉強が出来なきゃ
いい点なんて取れないはずだ。そしたらちよちゃんが高校に行っちゃうことは無いだろ?
「バカ」
「バカってなんだよ」
「バカだからバカなのよ。もう2月も真ん中じゃない。高校入試は3月の始めだよ?それ
に、ちよちゃんはちっちゃいけどすごく頑張りやさんだから、教科書なんかなくっても高
校受かっちゃうよ。かず君が何をしても、もう無駄。だからさ、謝ったほうがいいと思う。
早く謝っておかないと、ちよちゃんは高校に行っちゃって謝れなくなっちゃうよ。そした
ら一生いじわるっこだって思われちゃうよ?それでもいいの?」
そして、みるちーは僕からちょっと目をそらしたような気がした。
「好きなんでしょ?ちよちゃんのこと」
「な、何でわかるんだよ、そんなこと」
「それだけ顔に書いていればわかるよ。ましてや、かず君のことなら私は何でも知ってる
もん。とにかく、ちよちゃんとかず君が気まずいのは、私は嫌なの。どっちとも仲良くし
たいもん」
「そんなこと言ったって、もう手遅れだよ」
「そんなことない。大丈夫。ちよちゃん優しいから、謝れば許してくれるって」
「でも」
「そんなに心配なら、私も一緒に謝りにいってあげようか?」
ばかやろ。女の子につきそわれて謝りに行くなんて、いくらなんでもそんな格好悪いこと
できるかよ。
僕は勢いをつけて立ち上がった。
「行くよ。行けばいいんだろ?」
「うん。行ってらっしゃい」
みるちーがにっこり笑って手を振る。
あれ?うまくのせられたかな?
まあいいや。

328 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2006/02/05(日) 12:15 ID:???
ちよちゃんの家は、話には聞いてたけど、すごく大きかった。
門とかあって、庭が広くて、玄関までちょっと遠い。
だから、門についてたチャイムを鳴らしてもなかなか出てこないって思ってたのに。
その間に覚悟を決めるつもりだったのに、すぐ女の人の声で「どなたですか?」って返事
が返ってきたので意表をつかれてしまった。
おかげで少し声が上ずっちゃったじゃないか。
それでも何とか名前を告げると、声がちよちゃんに変わった。
「山内君ですか?どうしてうちへ?」
「あ、いや、今日のこと謝ろうと思って。それに教科書も返さなきゃいけないだろ」
「そうですか。今そちらへ行きますね」
ちょっとあって、家のドアが開いて、ちよちゃんが出てきた。
軽く駆け足で、こちらに来る。
「わざわざありがとうございます」
……まずこっちから謝ろうって決めてたのに、先にお礼を言われてしまった。
仕方ない。鉄格子の間から教科書をねじ込む。
「確かに返したからな。それと、今日はごめん」
そして今までしたことが無いくらい頭を下げる。
「そんな、いいですよ。ちゃんと、こうして返しに来てくれたんですし、気にしません」
「あ、ありがとう」
思わずお礼の言葉が出て、そして気付いた。
「ちよちゃん、エプロン姿だね」
「え?あ、えへへ」
ちよちゃんが照れくさそうに笑う。
「お母さんみたいだね。お手伝い?」
「今日は違いますよ。実は……あ、ちょっと待ってて下さいね」
そういい残してちよちゃんは家に戻っていった。
一体なんなんだ?
でも、その疑問はすぐに解けた。
「はい、これ。一日早いですけど」
ちよちゃんがそう言って差し出したものは。

329 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2006/02/05(日) 12:15 ID:???
「バレンタインチョコ?」
「手作りですよー。お口に合うといいんですが」
そんな。
「もらえないよ。僕、ちよちゃんにひどい事したのに」
「気にしませんって言ったじゃないですか。クラスのみんなには内緒にしておくから大丈
夫ですよ。それとも私の手作りじゃ嫌なんですか?」
そんなわけ絶対ありえない。あるわけない。
でも、はずかしいからなるべくあっさりと答える。
「そんなことないよ。嬉しいよ」
「じゃあ、もらってください」
僕は、素直にこくりとうなずいた。
「じゃあ、また月曜日に」
くるりときびすを返したちよちゃんに、僕は呼び止めるように言った。
「あのさ、ちよちゃん」
「はい、何でしょう?」
えーと
「……高校行っても頑張れよ」
「はい。ありがとうございます」
ちよちゃんが、僕の方を見て。
にっこり笑った。
(Fin)

330 :眠名有 :2006/02/05(日) 21:12 ID:???
乙ー
ほのぼのしていて、尚且つ歯切れが良くてよかったです。

331 :名無しさんちゃうねん :2006/02/07(火) 19:47 ID:???
あずまんが的ほのぼの感が満ちてますな。
ただ台詞にちょっとひっかかりを感じた。
説明口調っぽかったり、小学生らしいのかマセているのかの
語調が一定でなかったり。
あと蛍石さんなら、話の展開にもう一ひねり加えることもできるのでは。
まぁでもよかった。次作も期待。

332 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2006/02/08(水) 06:47 ID:???
>>331
感想ありがとうございます
口調の調整はHP掲載時に直すとして、一ひねりということはちゃんとみるちー側の
視点でも書いたほうがいいかな?




ところでなぜ「山内君」なのか気付く人は何人いるんだろう……

333 :風児 ◆iQwkicAw :2006/02/14(火) 00:16 ID:???
>蛍石様
はじめまして。
そして乙です。みるちーサイドも是非見たいです。

山内君・・・?はて・・・?

334 :名無しさんちゃうねん :2006/04/02(日) 17:48 ID:???
「オチツケともちゃん」

原作
オチツケオチツケこうたオチツケ
さとうとしなお作 岩崎書店

335 :オチツケともちゃん@ :2006/04/02(日) 17:49 ID:???
オチツケオチツケともちゃんオチツケ

パパ ママになんどいわれたろう
せんせいに なんど いわれたろう

オチツケオチツケ
いつのまにかあたしの口からも
オチツケオチツケともちゃんオチツケ

せんせいの ふやふやした こえ
ともだちの ほうせきばこみたいな ふでばこ
うんどうじょうから きこえる うんどうかいの れんしゅう
あの子の くるくるかわる えがお
きゅうしょくの おばさんの スリッパの音
あたしの あたまのなかは はやまわしの ビデオのよう

とおくから きゅうきゅうしゃの音
なに なに?
おもわず 立ちあがって
まどまで かけだしたら
ともちゃん スワリナサイ
ともちゃん オチツキナサイ
そうそう オチツケ オチツケ

オチツカナイ ぼくは
オチツイテル みんなと
オチツカナイ

ちひろちゃん パレットの上に とってもきれいないろ
がようしには とってもじょうずな おかあさんのかお
あたしの おかあさんは へんなかお

「ちひろちゃん そのいろ ちょうだい」
「やーよ まだ つかうんだから」
「かして」
「や」
「かして」といって あたしが手を のばしたら
水のたっぷりはいった バケツが ばーん!

あたしの はやまわしのビデオは
ときどき ていしボタンもきかなくなる
アタシハ ワルイコナンダ

336 :オチツケともちゃんA :2006/04/02(日) 17:50 ID:???
ひるやすみ こよみちゃんと ぶらんこ
ジュンバンよ ジュンバン
そう ジュンバン ジュンバン

でも あたしの はやまわしのビデオは
やっぱり とまらない
いつのまにか こよみちゃんの せなかをおして

こよみちゃん ぶらんこの下で ないている
こよみちゃん はなから ちが ながれている

せんせい とんできて
どうして ともちゃんは ワルイコなの
どうして ジュンバンが まもれないの
どうして こよみちゃんを なかせるの
どうして? どうして? どうして?
おおきなこえで ワンワンワン
アタシ コヨミチャン ダイスキダ
アタシ ダレヨリ コヨミチャント トモダチニナリタイ
アタシハ ワルイコナンダ

ママ また 学校に よばれた
せんせいたちの こまった かお
くどくど くどくど ちくちく ちくちく
ナントカ ナリマセンカ オカアサン
ママ あたまを さげたまま
いちども かおを あげないまま
ハイ ハイ ハイ ハイ
ちいさなこえで
スミマセン スミマセン スミマセン

アタシハ ワルイコナンダ

かえりみち
ママ
あたしのうでを
きつく にぎって
どんどん どんどん
ひっぱっていく
夕やけのなかに
ママのかおが
きえていく

337 :オチツケともちゃんB :2006/04/02(日) 17:51 ID:???
うちのなか あさ あたしが ひっくりかえした
テーブルが そのままに なっている
さらが われ ごはんが ちらばっている

ママ はえたたきを もつと
あたしのせなかを なんども たたく
ドウシテ ママヲ コマラセルノ
ママのかおも あたしのかおも ぐちゃぐちゃ
あたし ママ だいすきなのに
どうして イイコに なれないんだろう
あたしは どうして ワルイコなんだろう

ぱちんと はえたたきのさきが とんだ

338 :オチツケともちゃんC :2006/04/02(日) 17:52 ID:???
それから なんにちかして
でんしゃに のって
あたしは となりまちの
おいしゃさんに いった
あたしは くるくるまわる
いすに のって
おいしゃさんのまえを
ローラースケート
おいしゃさんは
にこにこして
あたしを みている

「おこまりのことは なんですか」
おいしゃさんが ママに やさしく きいた

ママ ぽつりぽつり ぽつりぽつり しゃべりはじめた
とちゅうで ハンカチ とりだした
「おかあさん ほんとうに よく がんばってきましたね」
と おいしゃさんが しずかに いった
ママ こえをあげて なきはじめた

「ともちゃん おいで ここに すわってくれる」
おいしゃさんが あたしを よんだ
あたしが いすに すわると
「ありがとう すわってくれて ありがとう」
そういった
「ともちゃんは かしこい子だ
おちつかなきゃ いけないって わかってる
ともだちに いじわるしちゃ いけないって わかってる」
ソウ ソウナンダ ワカッテルンダ
アタシハ ワカッテルンダ
「でも ついつい やっちゃう
それはね ともちゃんが いま
ブレーキのききにくい 車に
のっているようなものなんだ」
そういって あたしのあたまを なでた

あたしは ADHDなんだって
さんすうの にがてな 車
おんがくの にがてな 車
みんな いろんな 車に のっている
あたしが のってる ADHD号は
ブレーキが にがてな 車
あたしが じょうずに のれば
この車は けっこう すごいらしい
そう おいしゃさんが おしえてくれた

339 :オチツケともちゃんD :2006/04/02(日) 17:52 ID:???
かえりみち ママ あたしの手を
やさしく にぎって あるいてくれた
「ママ べんきょうしなくっちゃ
ともちゃんのきもちが わかるように
べんきょうしなくっちゃ」
そういって あたしのかおを にこにこみた
わらってる ママのかお ひさしぶりに みた

それから ママも パパも 学校のせんせいも みんな みんな
はげましてくれる ほめてくれる
ありがとうと いってくれる
あたしを みていてくれる
あたしの オチツカナイむしも
イジワルむしも やっぱり ときどき かおを だすけど
でも ママが わらっている日
おおくなってきた

きょうも あたしは つぶやく
オチツケ オチツケ
ともちゃん オチツケ
アタシ スグ イイコニ ナレナイケド
デモ アタシハ ワルイコジャ ナインダ

340 :オチツケともちゃん :2006/04/02(日) 22:24 ID:???
以上、滝野智が自称暴走女子高生であることの所以

たまたま絵本を読んでそのまま思いついて書きました。
原作が良く出来ているのでいじるにいじれず、結果としてほぼ丸写しになりましたが。

341 :名無しさんちゃうねん :2006/04/02(日) 23:00 ID:???
(o^-')bグッジョブ
よみが何だかんだ言って、腐れ縁で長く付き合っているのも、
智の真の理解者は、自分しかいないという思いもあるのか(*´Д`)ハァハァ

342 :名無しさんちゃうねん :2006/06/19(月) 04:09 ID:i-FD33ahhE
人集めのためにあえてageさせてもらいます。

343 :衣刀 ◆I179IHOA0g :2006/06/30(金) 19:25 ID:???
書いてもよろしいですか?

344 :衣刀 ◆I179IHOA0g :2006/06/30(金) 19:29 ID:???
「本音」

(中略)
ちよ「…ミートボール」
智「うわっ子供がいる!」
ちよ「子供じゃありませんー」
智「♪こっども〜こっども〜こっども〜!」
ちよ「じゃあ智ちゃんは何が好き?」
智「お、私か!?私は…」
よみ(どうせバナナとでも言うんだろうなぁ)
智「…ちよちゃんかな」
ちよ「へ?」
よみ「何!?お前…どういう意味で?」
智「そのままだよ。ちよちゃんが好き。」
よみ「バカだなコイツ。ちよちゃん、こんな奴の相手なんてしなくていいよ……ちよちゃん?」
ちよ「あの、智ちゃん。私のこと好きなんですかぁ?」
智「おうよ!私は嘘はつかないよ!」
ちよ「そうですか、えへへ…//
 ………でも、私は食べ物じゃないですよ(にこにこ)」
よみ(うわー、ちよちゃん、かわいー)

345 :衣刀 ◆I179IHOA0g :2006/06/30(金) 19:29 ID:???
一応終わりです、あ、もしかしてageた方が・・?

346 :名無しさんちゃうねん :2006/06/30(金) 20:02 ID:i-E17F7W0s
おお、確かに可愛い(≧∀≦)

347 :眠名有 :2006/06/30(金) 23:12 ID:???
おお、短くまとまってて面白く手よかったです。
乙。

348 :衣刀 ◆I179IHOA0g :2006/07/01(土) 21:20 ID:???
ありがとうございます、光栄です。m(__)m
暇ができたら、また書かせていただきますです。

349 :名無しさんちゃうねん :2006/07/02(日) 00:13 ID:i-m9hb2USY
>>344
ちよ好きの私にとっては、効きました。
百合なんだけど、百合ということをあまり感じさせず、シリアスに、尚且つ短くて、何度でも読み直せる…
今までの小説とはちょっと違った感じです。シリアスだけど効くってのは。ってか、保存しました。

350 :名無しさんちゃうねん :2006/07/02(日) 01:27 ID:???
どうでもいいけどさげようね。

351 :名無しさんちゃうねん :2006/07/02(日) 02:58 ID:???
新作投稿の直後は、ageてもいいと思うけど。

352 :名無しさんちゃうねん :2006/07/02(日) 03:01 ID:???
いや〜SSスレはsupersage進行がお約束でしょう
てかageられた方が書き手がやりにくいような気が

353 :名無しさんちゃうねん :2006/07/02(日) 03:13 ID:???
今まで色々あったからねえ

354 :名無しさんちゃうねん :2006/07/02(日) 08:28 ID:???
控え室はsageだけど、ここは別にageでもいい希ガス

355 :名無しさんちゃうねん :2006/07/03(月) 16:33 ID:???
しかし、今までにSSスレが上がったことによって息を吹き返した例も、あります。


では、このスレはageでもsageでもよくて、控室はsage進行っとのはどうでしょう?

356 :衣刀 ◆I179IHOA0g :2006/08/25(金) 23:28 ID:???
今回はギャグ。しかも一部パクリ・・出展は「せん○いのお時○」


ちよ「智ちゃん、すごい熱ですよ??お医者さんに注射してもらった方が・・」
智「痛いのイヤッ!私かよわいしー!こわいーー!!」
ちよ「智ちゃん?」
智「・・今度は何よ」
ちよ「そういえばそのピアスの穴、どうやってあけたの?」
智「 『ふとん針』 金ねーし」

357 :名無しさんちゃうねん :2006/10/31(火) 20:28 ID:???
ここはまったりしてていいねぇ

358 :USA :2006/11/15(水) 04:32 ID:???
storia campionato inglese calcio scopre mondo storia della costituzione italiana storia dell arte grande depressione letti antichi in ferro

359 :USA :2006/11/16(木) 23:11 ID:???
indirizzo web clip casa campagna renzo pezzani azione giovane brescia poste italiane telegramma lista praticante avvocato

360 :USA :2006/11/19(日) 11:26 ID:???
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361 :USA :2006/11/21(火) 07:19 ID:???
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362 :(ひみちゅ) :2007/04/07(土) 13:39 ID:???
1.ムーンブルク炎上

はるか昔。伝説の勇者ロトの血をひく若者によって竜王はたおされ、世界は光をとりもどしました。
若者はその後ひとりの女性とともに旅に出ていくつかの新しい国を築いたのでした。
それらの国は若者の子供たちによって、代々治められたと伝えられています。
そして100年の月日が流れました……

ここはムーングルク。ローレシアよりはるか南西の国。
城の中庭では王さまと若き姫さまが 平和な語らいの時をすごしていました。

「あーれー」
「よいではないか、よいではないか」

……何してるんですか。

「よいではないかごっこ」

……そうですか。まあ確かに平和かもしれませんね。太平楽とも言いますが。
しかし。
突然、空気を切り裂くような爆音が響き渡り、城が大きく揺れました。
王様はすぐにまじめな顔に戻り、叫びます。
「こ これは……!一体何が起こった!? 誰か!誰かいないのかっ!」
すると、それに答えるように一人の兵士が中庭に飛び込んできました。
「おお、アイダか。一体どうしたんだ」
「大変でございます!大神官キムラの軍隊が我がムーンブルクのお城を!」
「なんだと!キムラの野郎……こうしちゃいられねえ!すぐに兵士供を集めろ!それから足の速い奴を選んで、各国に救援を求めに走らせろ!」
「はっ!ただちに!」
指令を受けた兵士はすぐに中庭を飛び出していきました。
それから王は姫を中庭の端に連れて行きました。
しかじかの操作をすると、地面が割れて階段が現れます。
「いいか、トモ。おまえはここに隠れていろ」
「って父さんはどうするんだよ」
「俺は兵士供と戦うさ。……なんだ、その顔は?俺の娘がしけた面してんじゃねー。例え俺の身に何が起こっても笑ってろ」
空を何かが横切ります。
「さあ早く行け!」
王は娘を地下室に突き飛ばすと、身構えました。
「おのれ怪物!地下室の娘は死んでも渡さないぜ!」
「ほう。王女は地下室にいるのか」
いつのまにか王の後ろに現れていたホークマンがにやりと笑いました。
「何あっさりばらしてんだよ!」
しかし姫の叫びは地上の王の耳には届きませんでした。
「ぎょえー!!」
「ぎょえー!!じゃねーよ!このバカおやじー!!!」

そんな寸劇を繰り広げながら炎上するムーンブルク城を、やっとの思いで背にした兵士は、先ほど不意打ちでつけられた肩の傷を押さえつつ北に向かって走り出しました。
「一刻も早くこのことをローレシアに知らせなくちゃっ!」

363 :(ひみちゅ) :2007/04/07(土) 13:40 ID:???
2.ローレシア

数日後。
兵士はようやくローレシアにたどり着きました。
気づいたローレシアの衛兵達が駆け寄ります。
「そのキズはなに!?」
「一体何があったの!?」
しかし、兵士は力を振り絞って言いました。
「キズの手当てなどかまわない!すぐに王様に会わせて!私にはお伝えしなくてはならぬことがあるの!」
「……わかった。マツダ!そっちを支えて!城のみんなに気づかれちゃったら大さわぎになる!静かに運ぶのよ!」
「OK!」

衛兵二人に肩を抱えられてようやくローレシア王の元までたどり着いた兵士は叫びました。
「ローレシアの王様!大神官キムラの軍団が我がムーンブルクの城を!大神官キムラは禍禍しい神を呼びだし世界を破滅させるつもりです!王様!なにとぞご対策を……!」
王は立ち上がり、言いました。
「あいわかった。すぐに援軍をさしむけよう」
それを聞いて安心したのか、兵士はそのまま倒れてしまいます。
「イノウエ、この勇敢な兵士を教会へ運んでやってくれ。それからマツダ。将軍をここへ」
その時です。
「ちょっと待てよ、親父」
そこに現れたのは王子と見まごう程にガサ……もとい凛々しいカグラ王女でした。
「軍なんか出す必要はない。昔うちのご先祖様は魔王を倒したんじゃないか。私だってご先祖様と同じく勇者ロトの血を引いているんだ。キムラくらい私が倒して来てやるぜ!」「おまえはご先祖様と違って呪文が使えないだろう」
「気持ちがあれば大丈夫さ!!それに、ご先祖様は一人だったけれど勇者ロトは仲間がいたじゃないか。私が呪文を使えなくても呪文を使える奴を仲間にすれば」
「仲間か……確かにサマルトリアの王女達は呪文を使えるそうだが」
「それだ!」
カグラは言うなり部屋を飛び出していきました。
「ちょっ……おい待て!イノウエ、マツダ、何をしている!早くあいつを捕まえろ!」
「ですが、この兵士は?」
「他の奴を呼ぶから!」
「将軍を呼びに行くのは?」
「それも別の奴に頼む!」
3人がそんな問答を繰り返しているうちに、カグラはまんまと城から抜け出してしまったのでした。

364 :名無しさんちゃうねん :2007/04/09(月) 00:06 ID:v/LNZRyQ
ageage

365 :名無しさんちゃうねん :2007/04/09(月) 18:48 ID:???
ドラゴンクエスト?しかも2?
やはりボンクラ3人組なのか?

366 :693 :2007/04/29(日) 00:44 ID:???
長谷川小説です、良かったら読んでやってください。
ttp://so.la/test/read.cgi/oosaka/1074518861/697-706

367 :名無しさんちゃうねん :2007/04/30(月) 10:34 ID:???
かゆいね(誉め言葉)

368 :RebfLoole :2021/05/05(水) 09:30 ID:???
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