世の中のすべての萌えるを。

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大阪メイン小説

1 :名無しさんちゃうねん :2003/07/04(金) 18:27 ID:???
みんなで大阪の小説を作ろう・・・・・まぁ適当に書いてくれ(ぇ

301 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/04/14(木) 21:41 ID:???
それから、持参のお菓子をみんなで食べながらバラエティー番組を見た。
時刻は10時をまわろうとしていた・・・。
「あ、そろそろ消灯前の点呼だ・・・。」
「俺班長だから一旦帰らなきゃいけないな。・・・その後、また来ていい?」
全員は赤い顔をして俺のほうを見つめている。ちよちゃんを除いて。
「あっ、あのさ、別になんかするわけでもなく・・・。」
「いーんじゃないんですか?こう言ってるんですし。」
「ちよちゃん、コイツはこう言ってるけどね?夜中になったらよみと・・・。」
水原の顔は耳まで真っ赤になっている。期待していたのか・・・?
「しないから、しないから・・・。そこのソファーで寝かせてもらえばそれで十分だから。」
「ち、しないのか。じゃあいいんじゃないのー?私知〜らない。」
「私もいいと思うけど。榊は?」
「・・・いい。」
「私もええと思うでー。」
「じゃあ決定ですね!」
本当に何もするつもりはない。ただ、水原と同じ部屋で一夜を過ごすことができるのが嬉しかった。
「ありがと。じゃ、俺部屋に戻るね。」
「怖い話しよなー。」
「お、まかせといてくれ!怖い話は春日翔だ!」
榊とちよちゃんが凄い表情になっていたが・・・。見なかったことにしよう。

「はーい、班長。全員いる〜?いるわね〜?いないわけないもんね〜。ほいじゃおやすみ〜。」
・・・まだ誰も言っていないのに勝手に解散してしまった。谷崎ゆかり・・・最も教師に向いていない女・・・。

302 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/04/14(木) 23:50 ID:???
「修学旅行特別企画・・・。春日翔が語る恐怖の話・・・。」
大阪が目を見開いてそれらしいことを言った。
「こ、怖い話はやめてください!私、寝れなくなっちゃいますよー!」
「あー、じゃあちよ助は布団でも被ってれば?私ら聞くから。」
「ううう・・・。」
「持ちネタはたっくさんあるんだけどねー・・・。せっかくだから学校にまつわる怖い話でもしようかな?」
「お、どんな話だ?」
「・・・水ネタ?」
「プールの第4コースがどーのこーのってネタじゃないだろうな?あの手は聞き飽きたぞ。」
「いや、水は水でもちょっと違うんだな。・・・もう学校の水に触れれなくなるぐらい怖い話だよ。」
「ゲッ・・・マジかよ・・・。私聞くのやめよっかな・・・。プール入れなくなっちゃ困るし・・・。」
「ケッ、神楽もちよ助レベルか〜?しょうがない、私とよみと大阪と榊ちゃんの4人で・・・あれ?榊ちゃんは?」
「ちよちゃんと一緒に寝てんでー。」
「・・・私とよみと大阪の3人で聞くからいーもーん。明日聞きたくなっても知らねーからなー。」
「くっそー・・・。よーし!聞いてやろうじゃないか!」
「じゃ、話すよ。」

303 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/04/15(金) 00:06 ID:???
「ところで・・・皆はさ、学校の水道水飲める?」
神楽と滝野は首を縦に振った。
「・・・おいしいか?」
「運動後の一杯はサイコーだな!」
「そうか・・・。この話はな、水道水を飲めないタイプの人の話なんだ。」
『ま、その人のことをA子さんとしようか。そのA子さんはね、さっき言ったとおり、学校の水道水なんてとても飲めない。潔癖症の人だったんだ。
 ある体育の時なんだけど・・・すごく暑い日でね。運動していて気分が悪くなっちゃったんだ。
 A子さんは元々体が丈夫なほうじゃなかったしね。・・・それで、先生に言って保健室へ行こうとしたんだ。
 でも、どうにも咽喉が渇いて渇いて・・・。脱水症状を起こして、眩暈すら起きていたんだって。
 それで、体育館脇の水飲み場・・・。いつもは近づきもしないのに、フラフラとした足取りでそこに向かうと、蛇口をひねったんだ。
 そして流れ出る水を蛇口に口をつけてグビグビと飲み干していく・・・が、どこかおかしい。
 口を離してみると、そこから流れ出ていたのは水ではなく、蟻の大群だったんだ・・・!
 丁度その日、断水が行われていてね。給水タンクの中に蟻が入り込んでいたんだ。蟻を大量に飲み込んだA子さんは食道や胃を噛まれ・・・病院に搬送されて入院したんだ。
 だけど・・・ある夜、A子さんがいなくなってね。色んなところを探したんだけれど、まったく見つからない・・・。
 そして次の日、学校の蛇口を捻ると、真っ白に染まった水が出てくるんだ。これは何事かと教師が屋上の給水タンクを確認しにいったんだ。
 給水タンクを覗いてみると・・・。そこには体中が真っ白に染まったA子さんの水死体があったんだ!
 ・・・彼女はその出来事が許せなかったらしくてね。漂白剤を使って水を消毒しようとしたらしいんだ。が、足を滑らせて転落・・・。
 A子さんはその漂白剤で目や髪、様々な部位が真っ白に染まっていたという・・・。
 それ以来、彼女が水をすすったその水道からは真っ白に染まった蟻が大量に流れれるらしい。だから、その学校のその蛇口は封印されてしまったんだ。』
「こ・・・こえぇぇ・・・。」
「ど・・・どうすんだよー!なんか水が怖くなってきたじゃねーかよー!」
「わ・・・私、歯磨きしよ思てたんやけど・・・きょ、今日はええわ・・・。」
「・・・翔のバカー!怖くて眠れないじゃないかーーー!!!」
話を聞いていたそれぞれが恐怖に身悶えていた。・・・大成功。

304 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/04/15(金) 00:11 ID:???
「ちよちゃんたちは寝てるのかなー?」
榊とちよちゃんが一緒に寝ているベッドにゆっくりと近づく。
布団がカタカタと震えている。・・・どうやら聞いていたらしい。
「ちよちゃーん。榊ー。大丈夫〜?」
・・・返事がない。まぁ、仕方のないことだが。
「さてと、次の話行きますかー。」
「や、やめろー!寝れなくなるから!寝れなくなるから!!」
「あ、大丈夫大丈夫。次の話は感動できる怖い話だからさ。」
「結局は怖い話じゃねーかー!やめろー!!」
「・・・恋の話なんだけどなぁ・・・。」
「是非聞かせてくれ。」
さっきまで震えていた水原が身を乗り出してきた。
「・・・そうこなくっちゃね。さ、残りはどうする?聞く?寝る?」
「ここまで来たら乗りかかった船だ!水恐怖症にならないように、その感動怖い話で感動させてもらおー!」
「神楽が聞くんだったら私もだー!」
「私も〜。」

305 :名無しさんちゃうねん :2005/04/16(土) 06:45 ID:???
続きが期待できる展開。どうなる?どうなる?

306 :名無しさんちゃうねん :2005/04/22(金) 20:45 ID:???
続きを・・・

307 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/04/22(金) 21:14 ID:???
>>305-306
すいません・・・最近だるくてどうにもならなかったので・・・。
決して怖い話が考え付かないとかいう意味じゃないんですよ?
今日の深夜、元気があったら更新します。

308 :ライダーキック小さじ二杯 ◆jPZ1HpW6/Q :2005/04/22(金) 22:08 ID:???
こっちのスレでは「はじめまして」ですね。

うわー、文章上手いですねぇ・・・続き期待してます・・・

元気があったら・・・ということは元気を注入すれば良いのか・・・
げんき〜でろ〜

309 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/04/22(金) 23:38 ID:???
ラ・・・ライダーキックさんだ!
初めましてです!ライダーキックさんのSSは幾つも拝見させていただきました。
お褒めにあずかり光栄であります。
いや〜、これは書かないとダメですな。よし、頑張るぞ!

310 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/04/22(金) 23:56 ID:???
「今から話す話はね、恋の話なんだ。」
『ある学校にひとつのカップルがいたんだ。とても仲が良くてね。皆からも温かい目で見守られていたぐらいに。
 同じクラスで、どんなときも一緒で。キスとかぐらいはしたけれど、健全なカップルだったんだ。
 ある日、そのカップルの男の子が病気になってしまってね。当時の医学じゃ不治の病と言われていたものにかかってしまったんだ。
 その女の子はとても悲しんでね。毎日、毎日お見舞いに行ったんだ。でも、その願い叶うことなく男の子の容態は悪化するばかり。
 病気にかかって2週間ぐらいしたころ・・・いつもどおり女の子が病院に行くと、ベッドに横たわっているのがやっとの男の子が
 起き上がってベッドに腰掛けていたんだ。勿論、女の子は驚いたよ。病気が治ったのかな!?・・・そう思ったんだ。
 だけれど、そうじゃなかったんだ。男の子はこう言ったんだ。
 「僕はもうダメかもしれない・・・。だから、君にこれをあげるよ。これを僕だと思って、大事にしてあげてくれ。」
 男の子がくれたのは、真っ赤なルビーが輝く指輪。・・・彼は病気になる前、彼女へのプレゼントへと必死にお金を溜めていたらしいんだ。
 女の子は大粒の涙をポロポロと零して、「ただただ貴方の病気がよくなることが私の一番の幸せなのに・・・。」そう言った。
 女の子は登校のとき、左手の薬指にその指輪をはめて行ったんだ。勿論、そんなものは校則違反。だから、彼女はそこに包帯を巻いて怪我をしたと誤魔化した。
 指輪をもらった次の日・・・。彼女がいつもどおり、病院に行ったんだ。・・・彼はいつもより、とても顔色が悪く、動悸も激しかった。
 彼女は泣き崩れた。もう彼の死が近いことを悟ったから。男の子は、病気でやせ細った腕を上げ、彼女の頭を撫でながらこう言ったんだ。
 「僕はもう・・・死んでしまうだろう・・・。でも、心配しないで。僕は何があろうとも、君を永遠に愛し続けるから・・・。」
 彼は枯れた声でそう言うと・・・死んでしまったんだ。』
「うわー・・・悲しい話だなー・・・。」
「まだ続きはあるよ。」

311 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/04/23(土) 00:19 ID:???
『実は・・・彼女はとても美人でね。その彼氏が死んだことで、校内中の男子がどよめいたよ。
 次の彼氏は誰だ!?ってね・・・。彼女は死んだ男の子のことを永遠に愛し続けると心に誓っていたのにね・・・。
 だから、どんな人が告白してきても・・・彼女は首を縦に振ろうとはしなかったよ。
 でもね、その中に、どんなに断ろうともしつこく迫った男がいたんだ。それは・・・彼女の担任の先生だったんだ。
 前々から彼女のことを好きでいてね。彼が死んだことでチャンスと思ったんだろう・・・。彼は必死に説得したよ。
 「死んだ人はもう2度と還らない。大切なことは、悲しみを乗り越えて新しい愛を育むことなんだ。」ってね・・・。
 笑っちゃうだろ?先生がだぜ・・・?勿論彼女は断ったさ。それでも、先生はしつこくせまった。
 逃げようとする彼女の左手を掴んで逃がさないようにした。―――その時だ。
 彼女の包帯をした薬指から真っ赤な血がボタボタとこぼれ始めたんだ。先生は焦ってね、逃げてしまった。
 彼女はとても驚いて、包帯を外してみると・・・彼からもらったルビーの指輪から赤い血が流れていたんだ。
 彼女は思い出したんだ。「何があろうとも、君を永遠に愛し続ける」この血は、彼が私を守ってくれた。彼女はそう思った。
 だけど、先生は諦めなかった。何度も、何度も彼女に迫った。その結果・・・彼女は首を縦に振ってしまったんだ。
 元々、その気はあったんだ。だけど、彼との約束が、彼女の首を縦に振らせようとはしなかった。・・・刻が彼女を約束を破らせてしまったんだね・・・。
 付き合い始めて数日後・・・先生は、彼女に指輪を外すように言ったんだ。そりゃそうだろうね。血が出る指輪なんて、気味が悪いもんな。
 彼女は指輪を外そうとした・・・。しかし、指輪は外れようとはしなかった。それどころか、彼女が指輪を外そうとした瞬間、また真っ赤な血が流れ出したんだ。
 先生はとても気味悪がったさ。「これはアイツの呪いだ!」ってね。・・・先に約束を破ったのは彼女のほうだというのにね。
 彼女はどうしようもない絶望にかられた。指輪が一生外せないから?違うね。彼を裏切ってしまったことに自己嫌悪を抱いたんだ。
 彼女は強く想った。「私は・・・この先、彼を一生愛し続ける・・・。何があろうとも・・・。この先生とも別れよう・・・!」
 そう想った瞬間!指輪にはまっている真紅のルビーの色がみるみると薄くなり、透明のダイヤモンドの指輪になったんだ。
 その指輪からは・・・血ではない・・・。透明の、そう、まるで涙のような・・・人のぬくもりを持ったような温かさを秘めていた。
 勿論、指輪も外れるようになっていた。そして彼女は・・・涙を流し・・・その場に泣き崩れたそうだ。』

「な・・・なんていい話なんだ・・・。」
「これのどこが怖い話なんだよー・・・。」
いつの間にかちよちゃんや榊も目覚めて、皆で一緒に泣いていた。
「やれやれ・・・わかんないかな?・・・彼女は、彼が死んだ後、一度彼を想い続けると誓っただろう?
 それなのに、裏切って先生とくっついてしまった。・・・最終的には、また彼を想い続けると誓ったけどね。」
「それが・・・なんなんだ?」
「いいかい?男の子は、女の子がもう自分を裏切らないと想って・・・その指輪の呪いを解いたんだ。それなのに、また裏切ったりしたら・・・。
 どうなるんだろうね。・・・そう考えただけでゾクゾクしないか?」
「あ・・・あ〜・・・。なるほどねー・・・。あははー・・・聞かなきゃよかったなー・・・。」
「そ・・・そうですね。さ・・・榊さん。一緒に寝ましょう。」

312 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/04/23(土) 00:29 ID:???
話を終えて・・・皆はそれぞれのベッドへと滑り込んだ。
「さてと、俺も寝ようかな・・・。」
榊とちよちゃんが一緒に寝たことで、ベッドが一式余っていた。だから、そこで寝ることにさせてもらった。
自分がベッドに潜って、数分が経った頃・・・ベッドをクィッと軽く引っ張られた。
頭を出してみると、目の前には水原が立っていた。
「どうしたの?」
「い・・・いや〜・・・一緒に寝ようかな〜・・・って。」
「あはは、怖かったの?」
「うん・・・。もし、翔がいなくなったら・・・って考えちゃって・・・。」
ベッドの上、男女がふたりきり。普通ならば・・・もう説明不要の展開へと行くはずだったんだが・・・。
「エッチなことはしないからね。」
「・・・少しぐらい、してもいいのに・・・。」
「う〜ん・・・怖い話でビビらせて、そこをつくのはちょっと卑怯かな〜?なんて。やっぱ、自分の魅力だけで持ち込みたいからさ。」
「十分翔は魅力的なんだけどね・・・。でもまぁ・・・いっか!」
水原は抱きついてくると、俺の首筋に軽くキスをして、そのまま眠ってしまった。
気がつけばもう12時を過ぎていた。・・・俺も眠ることにしよう・・・。

313 :ライダーキック小さじ二杯 ◆jPZ1HpW6/Q :2005/04/23(土) 01:17 ID:???
おお!来ましたね!お疲れさまです!上手いですなぁ・・・

エッチなことをした場合、をちょっと妄想してしまいました。
溜まってるんですかねぇ?私・・・抜いてきます・・・

314 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/04/28(木) 21:50 ID:???
続き・・・どうしようかなぁ・・・。

315 :質問推奨委員長 ◆EIJIovdf8s :2005/04/28(木) 22:02 ID:???
ぜひ見たいです

316 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/04/28(木) 22:43 ID:???
・・・とても気持ちがいい。ああ・・・水原・・・。
そんなこと・・・したら・・・うぅっ・・・・・・。

「はっ・・・!」
・・・夢だったのか。
とても生々しい夢だった。水原とセックスをする夢だった。
「・・・溜まってんのかなぁ・・・。」
そうやすやすとセックスはしないと自分で言っておいて・・・少し後悔。
ふと、胸元に寝ているはずの水原がいないことに気がついた。一体どこへ・・・?

ちゅぱ・・・ちゅぱ・・・

「うっ・・・!」
股間に妙な快感を覚えた。もしや・・・。
布団をゆっくりとめくると、水原が自分の肉棒を咥えていた。
「よっ・・・よみちゃん・・・何やってんの・・・!」
「だって・・・寝ていたら私のお腹に翔のおちん○んが当たってきたんだもん・・・。なんか・・・してあげなくちゃいけない気がして・・・。」
・・・なんということだ。夢の出来事が半ば叶ってしまった。
「・・・嫌じゃないの?」
「・・・案外、ずっと前からやってみたかったんだ・・・。なんてな、フフッ・・・。」
水原は妖しい笑みを浮かべると、再び自分の肉棒を懸命に吸い始めた。
・・・はっきり言って、まだ未体験の童貞に我慢できるほどたやすい快感ではなかった。
水原が肉棒を咥え始めて3分も経たないうちに限界の波が訪れようとしていた。
「ごめん・・・よみちゃん・・・出るっ・・・よっ・・・!」

ドクッ・・・ドクッ・・・

今まで感じたことのない強烈な快感が全身を駆け巡った。
まるで溶けていってしまうような・・・身動きがとれなくなってしまった。
布団の中からモゾモゾと水原が出てきた。口元がぷっくりと膨れている。・・・精液を口に溜めているようだ。
ニッコリと笑ったかと思うと・・・グビリ、と咽喉を鳴らした。
「あっ・・・。の・・・飲んだの?」
「・・・おいしかったぞ・・・。」
「よ・・・よみちゃん・・・。」
「セックスは・・・いつか、翔から、してね・・・。私・・・いつでも大丈夫だから。」
水原は胸元に顔を押し付けて、再び寝息を立てて眠り始めた。

317 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/04/28(木) 22:57 ID:???
ピピピピピピピピピッ!!!  タンッ・・・

とうとう朝まで眠れなかった。・・・あまりにも強烈すぎる体験だった。
「おはよーございまーす!・・・あれ・・・?なんか、臭くないですか?」
「ん〜・・・?・・・あ、ほんとだ。なんだこの臭い。」
「なんや・・・スルメみたいな臭いやなぁ・・・。」
・・・まずい・・・。これはまずい・・・。なんとか場を誤魔化す方法は・・・。
目に付いたのは、ホテルの備え付けのパックお茶だ。沖縄だけあって、他にはないうこん茶のティーパックだ。
「あ〜、朝は一杯のお茶に限るんだぜ!?さ、飲もうぜ飲もうぜ!」
大袈裟にバサバサと歩き回って、においを分散させる。窓も開け、なんとかこの場を誤魔化した。

2日目。スキューバダイビングを体験し、その日を終えた。
また今日も、水原の部屋に泊まりこみ――――
「ちょーーーっと待ったぁぁぁ!!!!!」
滝沢が突然引き止めてきた。
「な・・・なんだよ・・・。」
「昨日・・・水原たちの部屋で一夜を過ごしたそうじゃないか・・・?」
「い・・・いや、あれはただ単に遊びに行ったら疲れて眠っちまっただけで・・・。」
「問答無用!!!今夜はどこにも行かせん!おい、みんな!やっちまえーー!!」
部屋の住人全員が襲い掛かってきた・・・!!!
・・・無論、勝てるわけもなく・・・。布団でスマキ状態にされてしまった・・・。
水原・・・ごめん。今夜は君のところへ行けそうにないよ・・・。

「今日、春日君来るんじゃなかったんですか〜?」
「うん・・・どうしたのかな?」
「よみー、よみー。ちょっと来て〜。」
「なんだよ・・・。」
「あんた・・・今朝・・・。春日にフェラチオしただろー・・・。」
「うっ・・・ば、バカだな。そんなわけ・・・。」
「嘘をついても無駄だー!ちくしょー!2人してえろえろなことしやがってー!キィー!!」
「でかい声でそんなこと言ってんじゃねー!ちよちゃんがいるだろーがー!!!」

何処か遠くで水原と滝野のケンカする声がしたような気がした。
・・・幻聴までするなんて・・・。助からない今・・・もう寝てしまったほうがいいようだ・・・。

318 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/04/28(木) 23:10 ID:???
「おはよー。昨日はどうしたんだ?」
「ちょっと部屋の衆にスマキにされてね・・・。」
「・・・何があったんだ・・・?」
「いやー・・・よみちゃんの部屋に泊まったことがバレたみたいで・・・。」
「ま・・・そりゃバレるよな・・・。今日の離島プラン、別々なんだろ?」
「ああ。・・・ちくしょー、あいつら・・・。女子が一番多い場所選びやがって・・・。俺はよみちゃんと一緒に西表島に行きたかったのに・・・。」
「しょうがないよ・・・。・・・まぁ、しっかり楽しんでこよう。・・・帰ってから、海で一緒にいられるみたいなんだしさ・・・。」

―――離島プランin宮古島
「ギャーー!!助けてー!!」
「あはははは〜。か〜おり〜ん。た〜のし〜いね〜?」
「楽しくなんかっ・・・ありませーーーん!!」
木村先生がお気に入りの生徒を追っかけまわして遊んでいる。・・・なんでクビにならないんだろうか?
「よし、みんな!木村先生の勇姿を見ろ!俺たちも、あの姿勢を見習って、女子生徒を手の内に入れようではないかー!」
「「「「おーー!!」」」
・・・もう勘弁してくれ・・・。

―――離島プランを終え・・・海。
「なまこ〜。」
「ギャーーーーーッ!!!」
水原が走って逃げてきた。・・・どうしたんだろうか。
「よみちゃん、その髪型かわいいねー。・・・で、どうしたの?」
「おっ・・・大阪のバカヤローがなまこ投げてきやがった・・・!」
「なまこが怖いの〜?なんで〜?」
「だっ・・・だってあんなグニグニしてて太くて・・・やわらかいかと思ったら硬くて・・・!」
バタバタと手を振り回して怒っている水原の手を取り、耳元で囁く。
「俺のもえらくかわらない気がするけど・・・。俺のは、好き?」
水原は顔を真っ赤にし、手を払って海に戻っていってしまった。
・・・さすがに、調子に乗りすぎたかな・・・?
かと思えば、水原はある程度深いところへ行くと、こちら側を振り返った。
キョロキョロと周りを見渡し、近くに誰も居ないことを確認すると
「私はーーーー!!!!翔のは好きだぞーーーーー!!!!」
と、叫んだ。・・・恥ずかしいやつめ・・・。
手を振って応えようとすると、水原の背後から滝野が現れて水原を水中へ押し込んだ。・・・またケンカになったようだ。
・・・相手にできない。

319 :ライダーキック小さじ二杯 ◆jPZ1HpW6/Q :2005/04/29(金) 00:50 ID:???
おお、来ましたね!
・・・・・・・・・

やはり
よみは
エロい


320 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/04/29(金) 19:35 ID:???
・・・今回はエロ抜きって書いてたの、完璧に忘れていた・・・。
ああ・・・よみちゃんごめん・・・。貞操は最後まで守るから許してくれ・・・。

321 :名無しさんちゃうねん :2005/04/29(金) 21:06 ID:???
>>320
ええ〜・・ここまで来たら最後まで行こうよ

322 :水原暦の貞操を守る会 ◆oUb7ILt9cE :2005/04/29(金) 23:37 ID:???
護ろう☆貞操

323 :名無しさんちゃうねん :2005/04/30(土) 00:23 ID:???
>>322
それじゃつまらんだろw

324 :名無しさんちゃうねん :2005/04/30(土) 00:28 ID:???
>>320
いや、もうやっちゃってw期待してるからww

325 :名無しさんちゃうねん :2005/04/30(土) 00:41 ID:???
>>324に同意
エロい方が健全ですw

326 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/05/07(土) 10:58 ID:???
近頃忙しいので更新は5月下旬になります。すいません。

327 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/05/09(月) 21:19 ID:???
「いや〜、修学旅行面白かったよね〜・・・。ほんっとに・・・。うん・・・。」
今日は土曜。修学旅行を終え、約一週間が過ぎようとしていた。
今、水原の部屋で2人っきりで過ぎ去りし思い出を語り合っていた。
「よみちゃんに・・・初めてあんなことしてもらっちゃったしね・・・。」
「・・・あははは・・・。な、なんだか今思うととんでもないことしちゃった感じだよ・・・。」
「そうだよ・・・。よみちゃん。俺は・・・俺はよみちゃんにはずっと清いままでいてほしかったな・・・。」
そう言うと、水原はしょぼくれた表情になった。よかれと思ってしたことを後悔しているようだ。
「いっ、いや、そうじゃないんだ!してくれたのは・・・嬉しかったよ。でも・・・その・・・お、俺たちはまだ付き合って間もないんだから・・・。」
「そういうことはしちゃいけない・・・って?」
「そっ、そう。もし仮に・・・とんでもないことが起きて・・・俺とよみちゃんが離れ離れになることになって・・・もう二度と会えなくなるとして・・・。
 その時もう関係を持ってしまっていたら・・・俺はどうにも責任を取れなくなってしまう・・・。だから、いつまでも一緒に居られることが確定してから・・・。」
「それって・・・結婚が決まったら・・・ってこと?」
「いやっ、そっ、そうじゃなくて!そうじゃなくて・・・。そうなのかもしれないけれど・・・。」
「いいよ。」
「え?」
「翔となら・・・私、結婚しても絶対後悔しない!私の全てを受け入れてくれる人なんて・・・後にも先にも1回きりな気がする・・・。」
「い・・・今決断しちゃダメだよ。俺、将来何がしたいなんて高3になっても決まってないし・・・。生活力があるかどうかなんて全然わからないんだし・・・。」
「大丈夫だ!そのときは私が働いて翔を養ってあげるよ!」
「あはは・・・な、なんかそれヤだな・・・。」
「え〜?今は主夫ってのもアリなんだよ?それに、翔みたいな優しい人が子供育てたら、翔みたいな魅力的な人に育ちそうだし・・・!」
「・・・今ここで将来の話するのって、なんか・・・くすぐったい感じがするね・・・。あははは・・・!・・・出かけようか!」
「どこに行く?」
「おいし〜パスタ料理の店見つけたんだっ!お昼ごはん、まだだろ?行こうぜ!」
「うわ〜・・・また太っちゃうのヤだな〜・・・。」
「その後、運動でもしよう。綺麗な公園見つけたんだ。今日は土曜日だし、夜までいくらでも、時間はあるんだ。さ、行こう!」
太ることを恐れて文句をたれる水原の手を引いて、部屋を後にした。

328 :ライダーキック小さじ二杯 ◆jPZ1HpW6/Q :2005/05/10(火) 02:14 ID:???
おおっ、なんかあま〜い!

329 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/05/11(水) 20:24 ID:???
甘いまま終わらせたいなー・・・。

330 :名無しさんちゃうねん :2005/05/11(水) 21:26 ID:???
エロを忘れないでほしいなー・・・。

331 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/05/19(木) 06:01 ID:???
とりあえずどんな風にするか決定しました。
来週頃には完結かも。

332 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/05/24(火) 19:42 ID:???
さて、仕事も片付けて暇ができたので一気に完結まで持ち込みます。
自作は今作で何度か伏線を引かれた神楽さんの話にしようかと思ってます。

333 :名無しさんちゃうねん :2005/05/24(火) 20:18 ID:???
期待!期待!

334 :質問推奨委員長 ◆EIJIovdf8s :2005/05/24(火) 20:31 ID:???
神楽ちゃん期待

335 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/05/25(水) 00:18 ID:???
夏休みになり、皆は本格的な受験体勢に入ってしまった。
俺もその一員のはずなのだが・・・どうも最近体調が悪い。
風邪・・・なんかとは違う気がする。夏風邪だろうか・・・?
「それでさー・・・。・・・・・・なぁ、翔、聞いてる?」
「・・・・・・・・・え?あ・・・ごめん。聞いてなかった・・・。」
「最近よくボーッとしてるなぁ・・・。何か悩み事でもあるのか?」
「いや・・・そうじゃないんだ。ただ・・・体調が悪くってさ。夏風邪だと思うんだけど・・・。」
自分で夏風邪ではないと分かっていた。・・・が、水原に余計な心配をかけたくない。
「そうか・・・。今度ちよちゃん家の別荘で勉強会があったんだけど・・・行けそうにもないか?」
「ん・・・多分ダメっぽい・・・。それに、俺って他に人がいたりすると集中できないタイプだからさ。どっちにしろ行かなかっただろうし。よみちゃん行ってきなよ。」
「そう・・・。ちょっと、残念だなー・・・。早く夏風邪治して、勉強しろよ!」
その日は街に出かけるつもりだったが・・・水原が俺の体を考慮して行かずに帰宅した。

それから、寝るときには扇風機にタイマーはかけるようにしたし、色々と夏風邪対策をしてみたのだが・・・。どうも治らない。
いよいよ親も気味悪がって、病院に行くよう薦めてきた。もちろん、自分自身でも気味が悪い。
あの日から丁度2週間が経った今日、俺は1人で総合病院に足を運んだ。

「あのー、どんな感じでしょうか?」
様々な検査を受け、医者と対面して尋ねてみる。いつもなら患者を安心させる柔らかな表情で話すはずが、妙に顔が強張っていた。
・・・何か悪い病気だったのだろうか。
「・・・君は今日、1人で病院に?」
「ええ・・・まぁ。」
「お家に、親御さんはいるかな?」
ドクンッ・・・!
「・・・あっ、はい・・・!母親が・・・。あっ、あの・・・何か悪い病気だったんですか・・・?」
医者は依然険しい表情でカルテを見つめている。もしや、命に関わる病気だったのだろうか?

336 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/05/25(水) 00:28 ID:???
医者が自宅に電話して、自転車で30分はかかるであろう道を母親は10分で来た。
車は運転できない母が。タクシーでかけつけたというのか・・・?
医者は待合室に行くように言ってきた。不安で心が張り裂けそうな中、俺はゆっくりと待合室に戻った。

待合室で待つこと10分・・・。再び医者の元に呼ばれた。そこには、泣いている母親がいた。
「実はだね・・・。大変言いにくいのだが・・・。・・・・・・君の病気は・・・白血病だ・・・。」
ドクンッ・・・!
「は・・・白血病?・・・ははは。ま、まさか!冗談でしょう!?」
信じたくない・・・!まさか自分が・・・!!
「・・・残念ながら・・・。」
ドクンッ・・・!ドクンッ・・・!!
「・・・し・・・死んじゃうんですか!?ねぇ!?僕、死んでしまうんですか!?」
「お、落ち着いて・・・。君の場合、発見はまだ早いほうだったからどうにかなるはず・・・。」
「あ・・・じ、じゃあ・・・助かるんですね!?死ななくて済むんですね!?」
「・・・・・・。」
「あれ・・・?なんでですか?発見が早かったんでしょう・・・!?」
ドクン、ドクン、ドクンッ・・・!!!
「ねぇ!?助かるんでしょう!?あなた今そう言った・・・!!」
ヒューッ、ヒューッ・・・!
「・・・!?・・・いっ・・・息が・・・苦しっ・・・!」
「キャアアアア!?翔ーーーーー!!!??」
薄らぐ意識の中、母親の悲痛の叫び声だけが遠く耳に残っていた・・・。

337 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/05/25(水) 00:45 ID:???
『・・・・・・ここは・・・どこだ・・・?』
かすかに臭う薬品独特の臭さ・・・。目の前に広がる真っ白な天井・・・。
・・・・・・。

夢 じ ゃ な か っ た の か ・ ・ ・ 。

「あ・・・気がついた・・・・・・!」
母親が顔を覗き込んで呟いた。
「よかったわ・・・。あなた、病名聞いて過呼吸状態に陥ったらしくて・・・。」
「ああ・・・そう・・・。」
母親の方も見ず、ただ真っ白な天井を見つめて話を聞いた。
「・・・あのね、お医者様の話だと・・・。治療に骨髄移植ってのをしなくちゃならないらしいんだけど、適合する人ってのがあるらしいの。
 その確率ってのが結構低いらしくて・・・。早期発見で、そのドナーを探す期間に余裕があるらしいの・・・。」
「・・・ふーん。」
「とりあえずは・・・学校に行けるそうよ。」
「そっか・・・。」
「あなた・・・3時間も眠っていたのよ。その間、ずっと『よみちゃん』って言い続けてて・・・。だから・・・呼んでおいたわ。」
目を見開いて母親の方を見ると、窓の外を見つめている水原の姿があった。
「今日はとりあえず、病院に泊まりなさい。お母さん帰るから・・・。それじゃ、水原さん。」
水原は軽く母親に会釈をすると、部屋を出て行くまでその後ろ姿を見ていた。
「・・・白血病・・・だってね。」
「ああ・・・。・・・あーあ、ついてねーなー・・・。」
「・・・え?」
「だってさ、せっかくよみちゃんみたいな可愛い子が彼女になって、・・・結婚しそうな関係なのに・・・まさか白血病なんてなー・・・。あははは・・・。」
「笑い事なの?」
水原は顔を伏せてツカツカとベッドに近づいてきた。
「死んじゃうかもしれないんだよ!?なんで笑ってられるの!?ねぇ、翔死んじゃうかもしれないんだよ!?翔が死んだら・・・私・・・私・・・!」
目から涙がポロポロと零しながら、水原は叫んだ。
「・・・死にたくねぇなぁー・・・。ははっ・・・。」
自分の頬にも涙が伝っていることに・・・自分の顔に触れて初めて気付いた・・・。

338 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/05/25(水) 01:11 ID:???
「何が・・・早期発見だっ・・・!!!」

あの日から2ヶ月。木々の葉は赤く染まり、いつもなら読書の秋だ食欲の秋だとくだらない会話を交わしているはずだった。
夏休みを終え、1ヵ月もしたころ・・・突如容態が悪化し、吐血、吐血の毎日。一度眠ると目がずっと覚めなくもなってきた。
学校生活はその1ヵ月で幕を閉じ、ドナーが見つかるまで病院に入院することになった。
入院した日から、毎日毎日水原が見舞いに来てくれる。今日学校であったこと―――滝野がまたバカなことをしたり、ゆかり先生が大暴れしたり―――
その時間は退屈することはないが、水原が帰った後、胸の中にポッカリと穴が開いたような感覚に襲われる。
「・・・なぁ、よみちゃん。・・・たまには、ちよちゃん達と遊びなよ。それに・・・勉強とかしなくちゃ・・・。」
「いいんだよ、私が望んでやっていることなんだから・・・。・・・今日は調子どう?」
「ん・・・。ほぼ普段と変わらないんだけどね・・・。ただ、よみちゃんが来てくれると元気が出るのは確かかな・・・。なんてね。」
今日も面会時間ギリギリまで水原と談笑して・・・水原は帰って行った。
『・・・そういえば、もう少しでよみちゃんの誕生日だな・・・。明日外出許可を取ろう・・・。』
いつもなら孤独な夜が、明日外出するというだけで希望に満ちた、暖かな夜だった。

久しぶりに街に繰り出す。一度自宅に戻り、ありったけの貯金を持ち出してきた。
向かう先は・・・宝石店だ。
初めて体験する、高級な気配。ジーパンにカッターシャツというラフな格好な自分が場違いな気がしてきた。
清楚な格好の女性店員がにこやかな表情で近づいてきた。・・・恥ずかしがっている場合じゃないな。
「あ・・・あの。彼女にプレゼントで・・・10月生まれだから・・・10月の誕生石のついた指輪を見せて欲しいんですけど・・・。」
「はい、トルマリンの指輪ですね。トルマリンはー・・・。」
店員はトルマリン、トルマリン・・・と呟きながら店を見回す。と、見つかったらしい。
「あ、こちらですねー。」
ハートの形をかたどったものや、様々な指輪があった。予算は・・・10万円―――普段からあまり金を使うほうではなかったからな
10万円で買える指輪は、3つしかなかった。シンプルなデザインのものと、∞の形のものと、ハートがちりばめられたもの。
こういうセンスを持ち合わせていないので・・・宝石が一番大きいシンプルなデザインの物を選んだ。
何号かと尋ねられた。水原の指の太さはしっかりと感覚に残っている。その女性店員の指の太さと比べて、なんとか購入した。

病室に戻ると、椅子の背もたれによっかかって眠っている水原の姿があった。
このままでは起きそうな気配がないので・・・頬をツンツンとつついて、起こした。
「あ・・・おかえり。・・・もー、外出するならいつ頃帰るか言って行けよなー。」
「あはは・・・ごめんごめん。ちょっと買いたいものがあったからさ。」
「何を買ったの?」
「・・・ふっふっふ。ヒ・ミ・ツ・だ!」
「・・・帰ろうかなー。」
「あわわわ・・・。で、でもこればっかりは教えらんないな・・・ごめんね。」
水原は頬を軽く膨らませていじけた素振りを見せた。・・・この表情、あと何回見れるのだろうか・・・。

339 :ライダーキック小さじ二杯 ◆jPZ1HpW6/Q :2005/05/25(水) 01:58 ID:???
お疲れ様です。

・・・ってえええぇぇぇ・・・
甘かったのが一気にハードに・・・

340 :名無しさんちゃうねん :2005/05/25(水) 13:08 ID:???
全米が(ry

・・・翔さん・・・死ぬの・・?

341 :…助けてください……助けてください!! :2005/05/25(水) 17:19 ID:???
これが・・・これが、運命だというのか・・・?
なんて残酷なんだッッ!!

342 :名無しさんちゃうねん :2005/05/25(水) 19:58 ID:???
俺の・・・俺の骨髄を使ってくれ!!
俺のが合わなければ友達を山ほどつれてきてやる!!
だから・・・死ぬな・・・よみを・・・独りにするな・・・

343 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/05/25(水) 20:21 ID:???
予想以上の大反響に驚きです・・・。
今夜も続きを(多分)書きます。こうご期待。

344 :名無しさんちゃうねん :2005/05/25(水) 21:10 ID:???
今夜は泣かせてください

345 : :2005/05/25(水) 21:58 ID:???
お初にお眼にかかります。
こちらに書き込むのは初めてですが毎回楽しみにさせてもらってます。
いつの間にか引き込まれている自分がいました、続きを楽しみにしてます

346 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/05/25(水) 23:32 ID:???
明日は遂に水原の誕生日だ。まだ朝の7時だというのに、これ以上とないぐらいの清清しさだ。
多分今日も水原は来るのだろう。なるべく誕生日の話題に触れないようにして、明日になってビックリさせてやろう。
入院してから度々吐血をしていたが、今日はそれらしい雰囲気も感じない。
いい誕生日イブになりそうな気がしてならない。

・・・・・・まだ10時か。
どうしてこう、楽しい時間が訪れるまでの時間ってのは流れるのが遅いのだろうか?
しかし・・・。いつもなら病気の影響でこの時間帯は眠り続けているはずなのだ。何故眠くならないのだろうか。
あまりの調子の良さに気味悪さを感じる・・・。

4時を過ぎた。そろそろ学校が終わって、水原が校門を出る頃だろう。
恐らくはあと20分もすれば来るはずだ。さっきより、さらに時間の流れを遅く感じる。

―――ドクンッ・・・!ドクンッ・・・!!

・・・?なんだ?・・・何か体に違和感を感じる。・・・一体・・・。
「うっ・・・・・・ゴホッ、ゴホッ!!」
・・・血だ。・・・なんだ、やはり今日もいつもどおりだったのか。
「ゴホッ、ゴホッ!!・・・がはぁっ・・・・・・!!!」
・・・なんなんだ・・・!?何かいつもと違う・・・!血の量も、咳き込み方も・・・!!
「がはぁっ、ぐっ・・・!・・・ゴハッ、ゴハァッ・・・!!」
ヤバイ・・・!ヤバイヤバイヤバイヤバイ・・・・・・・!!
ナースコール・・・を・・・!鳴らさなければ・・・!!

意識が・・・薄らいで・・・い・・・く・・・・・・

コン、コン。  『水原でーす。入りまーす。』

347 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/05/25(水) 23:46 ID:???
・・・目を開くと、あたりは闇に包まれていた。
何時だろう・・・。枕元に置いている時計に目を向けると、2時を回っていた。
確かあの時・・・水原の声が聞こえた気がする・・・。
この時間、非常識的で、気も引けるが・・・・・・ナースコールを手に取ると・・・ゆっくりとスイッチを押した。
鳴らして1分もしないうちに、息を切らした看護婦が病室に駆け込んできた。
「どうされたんですか!?」
「・・・あ、いや・・・すいません。・・・大した内容じゃあないんです・・・。・・・僕が気を失ったとき、高校生の女の子が来てませんでしたか?
「あ・・・すいません。私、夜勤なんで昼間のことはよく知らないんです。・・・あ、確か記録の中にそんなのがあったような・・・。確認してきましょうか?」
「あっ、いや。いいんです。・・・・・・確認するまでのことじゃあ・・・なかったみたいですから。ご迷惑おかけしました。おやすみなさい。」
「あ・・・はい。おやすみなさい。またお体に異常があったら、遠慮なく鳴らしてくださいね。」

・・・こんな形で、誕生日を迎えさせたくなかったな・・・。
・・・なにより、明日生きていられる保障があるかどうか・・・。不安が募ってきた・・・。
誕生日プレゼントはベッドの下に隠してある・・・。
また寝ている間に水原が帰ってしまわないよう・・・手紙を書いておこう。
『よみちゃんへ
 もし俺が寝ていたら、ベッドの下を調べてください。
 起きているときに渡したかったのですが、やっぱり当日に渡したいので・・・。
 中身は・・・開けたときのヒミツです。

   誕生日おめでとう!      翔より』

まさか夜中に手紙を書くことになるなんてなぁ・・・。
ふふっ、と笑いが口からこぼれてしまった。
これが当日、使われることがないように・・・祈りながら再び眠りについた。

348 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/05/26(木) 00:05 ID:???
目が覚めた。・・・もう2時を過ぎている。丸々12時間眠っていたのか。
病気が眠らせる。病気が俺の日常をあざ笑うように蝕んでいく・・・。
愛する水原の誕生日だというのに、入院以来初めてというぐらい・・・体調が優れない。
水原が来るまであと2時間余り。・・・また昨日みたいに病気が発病しないことをただただ祈り続ける・・・。

コン、コン 『み・・・水原です。・・・入ります。』

「どうぞー。」
勢いよく扉が開いた。水原が恍惚の笑みを浮かべ、駆け寄ってきた。
「よかった・・・!よかった、よかった・・・!!」
「あはは、心配かけてごめんね。」
「昨日・・・私が病室に入ったら・・・。翔が叫びながら血を吐いてて・・・。私、もう怖くて・・・。」
「ごめん・・・。怖い思いさせたくなかったのに・・・。」
「今日は・・・大丈夫なの?」
「ああ・・・。まだ血は吐いてないよ。・・・・・・あのさ、ちょっと取って欲しい物があるんだ。」
「え・・・何?」
誕生日プレゼントはベッドの下から着替えが積み重ねられている下に置きなおした。
「その服のとこにさ、よみちゃんがくれた服、あるでしょ?それ取り出してみてくれるかな。」
「ん・・・いいけど・・・。一体なんなん・・・・・・あれ?・・・これ・・・・・・?」
よくある、蒼い箱・・・。手にとって、それと俺の顔を、代わる代わる困惑の表情で見ている。
「・・・18歳の誕生日、おめでとう。・・・開けてみてよ。」
「・・・指輪だ・・・。綺麗・・・・・・。」
「多分、ピッタリなはずだよ。よみちゃんの、薬指に。」
あまり言うつもりはなかったのだけれど・・・ここまで来れば最後まで言ってしまえ・・・!
「・・・病気が・・・治ったらさ・・・。・・・結婚・・・してくれないかな・・・?」
「翔・・・。・・・・・・うん・・・・・・喜んで・・・・・・!」
そう言葉を発した瞬間、水原の頬を涙が伝った。
「・・・今はそんな大した事ない・・・アクセサリの一端に過ぎないような指輪だけど・・・。働けるようになったら、もっと大きな指輪をプレゼントするよ。」
「・・・いらないよ・・・。私・・・翔が元気になってくれれば・・・それでいい・・・!」
「あははは・・・!・・・たまには俺にもかっこつけさせてくれよ・・・。ずっとかっこ悪いままで・・・早いところ挽回したいんだ。」

349 :名無しさんちゃうねん :2005/05/26(木) 00:14 ID:???
死ぬなーーーー!!いやマジで

350 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/05/26(木) 00:25 ID:???
「かっこ悪くなんてないのに・・・。」
「・・・あー、言っちゃったよ・・・!やっべーなー!・・・なんとしても、病気に勝たないとなっ・・・!」
「・・・そうだね・・・!・・・あのさ、修学旅行のときに話してくれた指輪の話、私今でも覚えてるんだよ。」
「ああ・・・。あんなヘタな語りで、よく印象に残ってたね・・・。言っとくけど、俺が死んだらさっさと他にいい男を・・・」
「死ぬなんて言うな!翔は・・・絶対に治るんだ!私・・・私、ずっとずっと翔の側にいたい!翔と幸せになりたい!」
「ごめん・・・。・・・そうだ・・・。指輪、つけてみてくれないかな・・・。・・・いや、つけさせてくれ。」
指輪を受け取り、水原の左手を手に取ると、しなやかな薬指に、そっと指輪をはめた。
水原の白い手に、ヴェルデリスと呼ばれる緑色のトルマリンが、水原の優しい空気を強調していた。
「綺麗だよ・・・。とても。気に入ってもらえたかな・・・?」
「翔のくれる物で・・・気に入らなかったものなんて今までただの一度もないよ・・・。」
「そっか・・・。よかった。・・・よみちゃん、大学受験頑張ってね。」
「ああ・・・!いい大学に入って・・・卒業したら・・・会社に勤めて・・・翔を養ってあげるよ。」
「ちょ・・・お、女に働かせるわけにはいかないぞ・・・!?」
「はぁ・・・?今時遅れてるね、翔は。前も言っただろ?主夫は流行ってるんだって。」
「・・・さっさと病気を治さないと本当にそうなりかねないな・・・。やばいやばい・・・。」
「そっ!さっさと病気を治すんだな!」
入ったときとはうってかわって、いつも通りのあっけらかんとした態度の水原が戻ってきた。

351 :名無しさんちゃうねん :2005/05/26(木) 00:26 ID:???
トルマリンって何色だっけ?

……とにかく翔死ぬなーーーっ!!

352 :ライダーキック小さじ二杯 ◆jPZ1HpW6/Q :2005/05/26(木) 01:02 ID:???
あまい、あまいよぉ!

353 :名無しさんちゃうねん :2005/05/26(木) 01:33 ID:???
これではまるで・・・翔が修学旅行で話した『感動できる怖い話』の冒頭と
同じではないか!!
まさか自分がそんな状況に陥るとは思ってもみなかったろうなぁ・・・
・・・がんばれ翔ッッ!!

354 :名無しさんちゃうねん :2005/05/26(木) 15:44 ID:???
下げで進行したほうが良くない?一応エロスレなんだし。

355 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/05/26(木) 19:50 ID:???
>>351
色々あるみたいで、一番一般的なのが緑。水色とかピンクとかあるらしいけど、
多分緑が一番安いだろうから・・・。(笑)

>>353
思惑に気付いてもらえて少しニヤリです。
・・・この後・・・終わらせ方は2つあるけれど・・・どうしようかな。

356 :質問推奨委員長 ◆EIJIovdf8s :2005/05/26(木) 20:59 ID:???
二つ出してみればいかがでせうか?

357 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/05/26(木) 21:26 ID:???
>>356
感動が2分割されてしまうのでそれはあまり・・・。
少し長くなるけれど、より感動できるエンドにしようかと思ってます。5月には完結予定。

358 :名無しさんちゃうねん :2005/05/26(木) 23:19 ID:???
とにかく死ぬなーーーー!!

359 :名無しさんちゃうねん :2005/05/26(木) 23:40 ID:???
翔が助かったら助かったで、ハッピーエンドで感動できるし、
しかし、死んでしまったとしても、最期まで水原暦を愛し続けた春日翔という
一人の漢(おとこ)の生き様が感動を呼ぶ・・・

いろいろと生存希望派の反感を買うかもしれないけれど、俺は後者の結末を見てみたい。

360 :名無しさんちゃうねん :2005/05/27(金) 00:05 ID:???
助かるか、死ぬか決めるのは作者だしな。

ただ、どちらが来ようとも俺はただ読んで泣くだけだ。

361 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/05/28(土) 12:21 ID:???
―――学校
「やっぱり・・・どこか元気ないですね、よみさん・・・。」
「しょうがねーよ・・・。・・・春日が病気なんだし・・・。」
水原は、教室で過ごすとき、ほとんどが窓からボーッと空を見上げたままでいた。
心配した友人が面白い話題を吹きかけても、その場では笑っていても・・・気持ちはそこにないような素振りしか見せなかった。
「はぁ・・・。・・・トイレにでも行こう・・・。」
水原が教室を出て、廊下を歩いていると・・・向こうから来た人が急に目の前で立ち止まった。
顔を上げてみると・・・木村先生がそこにいた。
「な・・・なんですか?」
普段が普段、木村先生の奇行に付き合わされたくないが為、やや警戒気味に問いただしてみた。
「・・・・・・彼の・・・。春日君の容態は・・・どうなのかね。」
「・・・そんなことですか。依然変わりなく・・・適合者をただ待ち続けている状態です。」
「そうか・・・。」
「用がないんだったら、これで失礼します。」
気分が悪くなった。まるでこれは、あの指輪の話と瓜二つじゃないかと・・・。
「いや・・・。ちょっと待ってくれないかな。」
「なんですか?」
いよいよ自分を誘惑しに来るのか?・・・水原の気分は少しずつ怒りを増していった。
「適合者・・・。呼びかけってのを、やってみたかね・・・?」
「・・・はぁ?」
「この学校は・・・大きい。とても。生徒数も全校生徒で1200人はいる。その中に、春日君に適合する者がいるかもしれない。」
なにを言っているんだ・・・?この教師は? 突然の木村先生の提案に、反応しきれないでいる水原がいた。
「聞いたよ。谷崎先生から。君も、彼女も、調べてもらったそうじゃないか。残念ながら、適合者ではなかったと・・・。」
「ええ・・・。・・・それで、なんなんですか?」
「もう察しはついているのではないかね?・・・どんなに小さな確率でも、やってみなければ0%のままなのだよ。」
そういい残すと、木村先生は階段を降りて行った。

『どんなに小さな確率でも、やってみなければ0%のままなのだよ』

この一言がただただ頭の中でこだましていた。水原はその場で立ちつくし、今何をしようとしていたかも忘れてしまっていた。

362 :ライダーキック小さじ二杯 ◆jPZ1HpW6/Q :2005/05/28(土) 19:03 ID:???
おお、来てるー!・・・ってかキムリン・・・

363 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/05/28(土) 20:49 ID:???
その日、授業が終わり、いつものように放送部がクラシックを流している。
いつもなら、水原は全て聞いてから帰宅していたが・・・。今はそんな余裕も、一緒に聴く春日もいない。
カバンを手に取り、病院に行こうとすると、急に放送用のマイクから雑音が入った。
『うわっ、木村ザザッ生!なんザザッか!?』
『いいからどきザザッえ。ほんの10分ザザッ借りるだけだ』
『ほザーッ10分って・・・!うわぁ!?』
キーン!というマイク特有の金きり音が学校中に響いた。その直後、木村先生の声が入る。
『あー、あー・・・。えー、生徒諸君。ちょっとその場で話をやめて私の話を聞いていただきたい。』
ざわざわと周囲が騒ぎ始める。水原自身も、何がなんだかわからないでいた。
『えー、実は・・・我が校の3年生の男子生徒1人が、白血病という重い病気を患っています。
 3年生諸君はご存知のはずです。1,2年生の皆さんにもこの事実は是非知っていただきたい。
 私が今、放送ジャックをしているのは他でもない、その男子生徒の支援について提案するためです。
 白血病の治療には・・・骨髄移植が必要なのです。ですが、それには適合する人間というものがあるそうなのです。
 その男子生徒の為に、彼に親しい友人やその担任・・・谷崎先生も検査をしてみたのですが・・・どちらも適合できなかったそうです。
 察しのいい生徒諸君にはもうわかったはずです。どうか彼の為に・・・骨髄を提供していただきたいのです。
 どこに行けばいいかわからない方。私が前もって学校掲示板に既に場所を明記したポスターを貼り付けておきました。
 どうかお願いいたします!どうか、どうか彼の為に!皆さんの学園の仲間が苦しんでいるのです!どうか、どうかー!!』
『木村先生、何考えてらっしゃるんですか!』
『黒沢先生!あなたも彼の為に骨髄を提供してくださーーーい!!!!!!』
しばらくドタバタと騒音が続いたと思うと、プッツリと放送が切れてしまった。
「木村先生・・・。」
いつしか自分の頬に涙が流れていることに、友人から話しかけられてやっと水原は気付いた。

364 :質問推奨委員長 ◆EIJIovdf8s :2005/05/28(土) 20:59 ID:???
木村先生(´;ω;

365 :侍マニア ◆u0Ibi1CU9. :2005/05/29(日) 19:28 ID:???
やっぱり木村先生はイイヒトや〜

366 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/05/29(日) 21:55 ID:???
「・・・ってなことがあったんだ・・・。」
「へぇ〜・・・。あのキムリンが、俺の為にネェ・・・。」
「今回ばっかりはあの人を見直したよ、私は。」
「俺も。・・・しかし、よみちゃん・・・。骨髄移植の検査受けてくれてたんだね・・・。」
「あ・・・うん。」
水原は黙っているつもりだった。愛する人のため、検査を受けたが・・・それが適合していなかったなんて、言い出せなかった。
「痛かっただろう・・・。俺なんかの為に・・・。」
「”なんか”だなんて言うな!」
「あっ・・・ごめん。」
「もう二度と!自らを見下げた態度を取るな!あなたは、とても大きな存在なんだから・・・!」
「よみちゃん・・・。」
二人っきりの病室。数ヶ月ぶりのキスを静かに交わした。
互いの手は背をまわり、いつしか熱く強い抱擁へと移り変わっていた。
「痩せたな・・・。毎日見てるからほとんど気付かなかった・・・。」
「嫌なやせ方だよ・・・。少し太り気味であろうと、健康であったほうがずっとずっと幸せだ・・・。」
「・・・それは、私に言っているのか?」
「やだなー、よみちゃん。よみちゃんは全然太ってなんかないってばー。」
「どーだか・・・。」
久しぶりに、痴話ゲンカもした。
今日までにあまりできなかったことが、何故かまとめてできた。
そう・・・それはまるで最後の見納めだと神が言わんばかりに・・・。


『いよいよ死も近づいてるってとこか・・・。よみちゃんには黙っておこう・・・。』

367 :ライダーキック小さじ二杯 ◆jPZ1HpW6/Q :2005/05/29(日) 21:59 ID:???
(泣)

368 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/05/31(火) 22:33 ID:???
最近眠くて眠くてしょうがないので予定ズラしてEndは来週にします。

369 :名無しさんちゃうねん :2005/06/05(日) 17:46 ID:???
まだかなまだかなっ!(ワクワクテカテカ

370 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/06/05(日) 20:22 ID:???
マジで眠いんです・・・。本当にごめんなさい。
今日できれば頑張って更新しますので・・・。・・・ぐー・・・。

371 :名無しさんちゃうねん :2005/06/05(日) 22:46 ID:???
やる気ーでろー
でも、無理はするなよー

372 :名無しさんちゃうねん :2005/06/05(日) 23:00 ID:???
あー・・・そんな急がんでも〜
洗練された文章で最後を飾ってほしいのす。

ガンガレ!

373 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/06/09(木) 00:08 ID:???
・・・ラストはもう決定しました。
でももう眠くてどうにもなりません・・・。
しばらく休暇取るので6月末に完成させたいと思います。(その間にちょくちょく書くかも)

期待して待っててください。・・・ぐー・・・。

374 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/06/12(日) 09:23 ID:???
―――水原の部屋
『・・・木村の計らいで・・・500人もの生徒が骨髄を提供してくれたけれど・・・どれもが翔には適合しなかった・・・。
 私にはわかる・・・。翔・・・あなたが無理をして笑顔を作っていることを・・・。
 そして・・・もう先が永くないことも・・・。私に必死に隠していることを・・・!』
死が近いことを隠していることがなおさら真実味を出し・・・そのことに水原は涙を流さずにはいられなかった。

「どうしてなんだ!?勉強も運動も!特別秀でているわけでもない!
 やっと・・・やっと私にも幸せになれるチャンスが来たと思ったのに・・・!
 神様はそれすらも奪う!・・・私は幸せになっちゃいけないというのか!?」
あまりにも過酷な神の意思に、憤りを感じてきた。
自問自答をすればするほど・・・水原の心は少しずつ闇に包まれていった。
ベッドのシーツを握り締め・・・枕を涙で濡らしていく・・・。
今までの翔との思い出が頭の中を駆け巡っていく・・・。
その時ふと、先日の木村の言葉が頭に浮かんだ。

『どんなに小さな確率でも、やってみなければ0%のままなのだよ』

「そうだ・・・!私はまだ何もしてやいない・・・!」
絶望。水原の心に重くのしかかるその言葉に、希望という光が差しつつあった。
「翔が傷ついている間に・・・私が何もしないでどうするんだ!?私にはまだ・・・きっと何かできることがあるはずだ!」

涙を力強く拭うと、枕を放り出し、水原はすぐさま机に向かい、ペンを静かに走らせた・・・。

375 :名無しさんちゃうねん :2005/06/12(日) 17:05 ID:???
更新キタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━!!!!!

好きだ!よみ!

376 :質問推奨委員長 ◆EIJIovdf8s :2005/06/12(日) 17:08 ID:???
いったいどんな結末に…

377 :名無しさんちゃうねん :2005/06/12(日) 18:30 ID:???
投稿ラヂオで・・・

378 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/06/12(日) 19:36 ID:???
貴様ァァァ!前の風邪のことといい、先にネタを言って何が面白いィィィ!(涙)
・・・変えよう・・・。・・・・・・ラストも変わりそうだなこりゃ。

379 :名無しさんちゃうねん :2005/06/12(日) 20:15 ID:???
>>377
空気嫁

380 :ライダーキック小さじ二杯 ◆jPZ1HpW6/Q :2005/06/12(日) 21:37 ID:???
ああ・・・自分のイメージの中で
続きが勝手に浮かんでくる・・・
○○とか××とか・・・
文章を読む面白さはこういうところにあるんですね・・・

期待してます。・・・たぶん△△な展開だと勝手に想像。

381 :名無しさんちゃうねん :2005/06/13(月) 00:15 ID:???
>>378
個人的にベタな展開というか、王道みたいなノリの方が萌えるので
変えないで欲しいなあ。

無理に捻らずにベタな展開というのもアリだと思う。
そっちの方が萌える…
すべては作者さんが決めることですが…

382 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/06/17(金) 20:08 ID:???
>>379-381
もうラストの方なんで、白血病についてもう一度勉強しておきました。
あらかた間違ってなかったですが、「これは!」的なネタがあったので。
・・・王道かなぁ・・・?まぁ、期待に添えるよう頑張ります。

383 :質問推奨委員長 ◆EIJIovdf8s :2005/06/17(金) 20:12 ID:???
ウホ…期待してます

384 :名無しさんちゃうねん :2005/06/18(土) 07:48 ID:???
俺さ、この作品読んで「誰かを助けたい」って思ったよ。
でも何していいか分からんのだ。

とりあえず献血行ってきた。
「若いのにご立派ですね。」ってキレイなねーちゃんから言われたよ。

そのあと趣味の同人誌買って帰った。何やってんだ俺orz

385 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/06/23(木) 19:57 ID:???
やばやば、下がりすぎだ。
もうじきです、もうじきなのです。
今となってはむしろ>>377に感謝です。
ぶっちゃけラジオで助けを求めるなんて非現実的すぎてどうかなーなんて思ってたんです。
おかげで隠れていた道を発見。しかもそこには凄い宝がッ!
期待しててください。

386 :名無しさんちゃうねん :2005/06/23(木) 23:39 ID:???
期待大・・か?
とにかく死ぬなーーー!

387 :384 :2005/06/27(月) 22:17 ID:???
スレ違いだったらスマソ

思った。
日本中の健康な香具師みんなが献血すれば血液不足解消できるんじゃね?

また行ってきたよ。献血
今度はクラス全員を連れてな。うち不良校だけど健康だけが取り柄。
40人中39人健康体、A型16人、B型11人、O型8人、AB型4人
ひとり200mLづつ(違ったかな)で7.8Lか・・・
実際は検査で50mLくらいしか残らないらしいけど

よし、今度は全校生徒を引き連れよう。

おまいらも献血しやがれ

388 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/06/28(火) 19:48 ID:???
学校ってことは学生の方ですか。
ちょっとした豆知識ですが、枝豆は大豆(違
日本に足りない血はA型とO型なのだそうです。
A型なのはもちろん、日本人のほとんどがA型であることから。
O型は少ないのですが、全般使える血として使うからやはり不足がちなのだそうです。

さぁ、私の仕事もやっと目処が立ったので今日から更新できそうです。
完結編、お楽しみください!

389 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/06/28(火) 23:19 ID:???
―――学校にて
「ちよちゃーん!」
朝、水原は登校したてのちよちゃんを見つけると、すぐさま走りよってきた。
「あ、おはよーございまーす!・・・どうかしたんですか?」
「・・・なぁ、ちよちゃん。・・・確か前さ、アメリカに知り合いがいるって言ってたよね?」
「あ・・・まぁ、はい。」
「や、やっぱりちよちゃん家の知り合いだから、あっちでもスゲー人なんだよな!?」
「えと・・・お父さんは、会社の社長さんだよって言ってましたけど・・・よくは知りません。」
「・・・ちよちゃん。翔の病気、白血病は・・・適合するのは兄弟で4人なんだが、他人となると10万人に1人になるんだ。
 でも、翔に兄弟はいない。その10万人に賭けるしかないんだ。
 日本の人口は全部で1億6000万人。つまりは・・・1600人だ。少ないようで、実際この数字は多いほうらしい。
 見つからないようで、見つかるのが今の現状らしい。・・・だけど、何故か翔のドナーは見つからない。このままでは、翔が・・・!
 だから、私、考えたんだ。日本国内がダメならば、日本国外・・・海外は・・・って。」
「・・・・・・はい、そういうことでしたら・・・私も協力させてもらいます!」
「こ、これ・・・3日かけて、その知り合いの人宛に手紙を書いたんだ。・・・間違いとかあるだろうから、直してもらえるかな・・・?」
「勿論です!さぁ、やりましょう!」

翔を救うことに関して、水原は必死だった。共に将来を誓い合った恋人を、失うわけにはいかなかったのだから・・・。


―――放課後、ちよの部屋
「・・・はい、これで大丈夫です!完璧です!」
「よし!ありがとう・・・!ありがとう、ちよちゃん!」
「お礼はいいです。さぁ、早く出しましょう。」
「あ・・・ちよちゃんのお父さんにもお礼言わないとな。」
「いえ、いいですよ。お父さん、恥ずかしがり屋ですから・・・。」
「そ、そうかな。・・・じゃあ、代わりに・・・いや、手紙書かせてくれ。」
「・・・・・・出した後にしてくださいねっ!」

390 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/06/28(火) 23:51 ID:???
手紙の返事は、思っていたよりもずっと早く来た。一週間はかかると思いきや、三日で返ってきたのだ。
しかも、手紙そのものが帰ってきたのではない。・・・当の本人が訪れたのだ。

ちよちゃんの通訳の元、水原は大会社の社長、ジェイクと会話をした。掻い摘んで言えば、次のような会話だった。
―――
「ほ、本日はわざわざ来日していただき、ありがとうございました。」
「なに、最近退屈してたとこでね。自分の恋人を必死に助けようとする少女の助けが来たとなっては来ないわけにもいかないだろう?」
「大変恐縮です。・・・で・・・その・・・骨髄のほうは・・・。」
ジェイクは持ち前の白い顎鬚を撫でながら、フフッと笑ってみせると、軽快に言った。
「私の会社の財力を持ってすれば、探すことなぞわけないことだ。どれ、君の恋人に会わせてくれないかね?」
「ぜ・・・是非、宜しくお願いします!」
―――これが、美浜家でのこと。今は病院で、翔とジェイクが会話している。
この会話もまた、ちよちゃんの通訳の元成り立ったものなので、掻い摘んで言うと―――
「は、初めまして・・・。」
「初めまして。君が、春日翔君だね?話は聞かせてもらったよ。」
「話っていうと・・・。」
「君が白血病患者ということも、もう死期が近いことも、ね。」
「そん・・・っ!」
翔はすかさず、水原のほうを向いた。水原はただ、頭を垂れているだけだった。
『そうか・・・・・・やっぱり、よみちゃんには、隠せないよなぁ・・・。』
「はい・・・その通りです。」
「・・・実はね、そこの眼鏡をかけた美しい少女に、あることを頼まれたのだよ。」
「・・・あることとは?」
「ホッホッホ、君もいい恋人を持ったもんだ。そこの少女はね、君のために、私のところへ手紙を書いてきたのだよ。」
「手紙を・・・?」
「そう。『恋人の死期が近い。小さな確率にでも今はすがりたい。どうか助けてくれ。』・・・とね。」
「・・・よみちゃんが・・・。」

391 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/06/29(水) 00:13 ID:???
「・・・思えば、私もこの地位に立つまで色々な山場を体験してきたよ。
 死に直面するようなことなど、何度あったことか・・・。でもね、私もその小さな確率にかけて、こうして生きているのだよ。
 どうかね、死ぬことを隠して生きていくより・・・小さな確率にかけてみないかね?」
「・・・でも、僕はどうすれば・・・。」
「なに、大したことじゃあない。もし、助かれば、そこの少女のみを一生愛し続ければいいだけだ。」
「え・・・?そんな簡単なことでいいんですか?」
「簡単なこと・・・?私にとって、これ以上とないぐらい難しいと思うことだがね。」
「・・・え?」
「私はもう2度、離婚を経験してきた。どちらも、お互いに永遠に愛し合うことを心から誓ったはずであったのだ。
 それがなぜ別れたかというと・・・何故だろうね、私でも不思議だ。恋人であったときは永遠を予想できていた。
 なのに結婚してしまうと、お互いに安心しきってしまったのだろうね、冷めてしまったのだよ。」
翔はただ老人の話に聞き入っていた。
「結果はお互いの浮気で離婚だ。それが2度もあったのだ。今、私は1人だ。娘、息子が1人ずついるが、どちらも腹違い。
 何を思ったのか・・・駆け落ちなどしおって・・・。私にはもう恋心というものがわからなくなってきていた。
 だが・・・どうだね、この少女は。君の為にここまでしてくれるなんて・・・。とても私は嬉しかったよ。
 これもまた、私にとっての小さな賭けだ。果たして君は、少女を永遠に愛し合えるか?という、ね・・・。どうかね、君にできるか?」
翔は、ちよちゃんに耳打ちをした。ある言葉を英訳してもらい、自分自身で伝えるつもりなのだ。
翔はジェイクの目を見て、一言、こう言った。
「Why not?(できないわけがないでしょう?)」
ジェイクは、顎鬚を撫でながらさっきと同じように、年寄りの風格のある笑い声を出した。
「・・・ほっほっほ。実にいい眼をしている。・・・いいだろう、その約束、破ったときには・・・。」
「破るわけがないでしょう?」
今度は、ジェイクは高笑いをした。それにつられ、病室にいた全員も笑った。ちよも、水原も、翔自身も・・・。

392 :ライダーキック小さじ二杯 ◆jPZ1HpW6/Q :2005/06/29(水) 01:00 ID:???
お疲れ様です。ジェイク社長・・・なかなかやるな・・・
続きが気になりますです・・・

393 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/07/03(日) 01:29 ID:???
それからはあっという間の事であった。
ジェイクの言っていた通り、あれほど探しても見つからなかった骨髄は2日後に病院に届いた。
それから即手術、翔は一命を取り留めた・・・。
その日以来、言うまでもなく水原はとても機嫌がよくなった。

「おーい、でぶー。」
「ん〜?なんだい、ともくん。」
「うわっ、きもちわるっ!ニヤケ顔がもっと気持ち悪いっ!」
「あー、そうかー?悪かったなー。あははははっ。」
「・・・ちくしょー!つまんねー!」
・・・こんな感じだ。

翔自身も次第に体力が回復していき、2月には退院できるという驚異的な回復力を見せ付けた。
そして本日、2月18日、春日翔の退院の日・・・。
「おめでとう、翔君。私、今だから言うけど、死んじゃうんじゃないかって心配だったのよ・・・?」
入院してからずっとつきっきりだったナースが目に涙を浮かべて言った。
「はは・・・僕自身ももうだめだ!って思ってたんですけどね・・・。」
「これも、あなたの彼女のおかげよね!・・・あーあ、私、翔君のことちょっと気になってたんだけどなー・・・。」
「ちょ、ちょっと!やめてくださいよっ!ジェイクさんとの約束、知らないわけじゃないでしょう!?」
「ふふふ、わかってるわよ。ちょっとからかっただけじゃない。・・・本当に、おめでたいわね。彼女さんはまだ来ないのかしら?」
「今4時だから・・・もう少しだと思います。」

コツ、コツ、コツ、コツ・・・

病室の外から革靴の心地の良い音が聞こえてきた。半年間、聞き続けてきた音だ。
「来ましたね・・・。」
「そうね。うふふ、私はちょっと席を外すことにしましょうかね・・・。知ってるのよ?あなた達がここで何をしてたか・・・。」
「や、やだなぁ・・・。」

ガチャリ・・・   ゆっくりと、病室の扉が開かれ、橙色の髪がサラリと見えた。

「翔!退院おめでとう!!」

394 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/07/03(日) 01:51 ID:???
3月・・・。翔本人はジェイク社長の計らいで皆と一緒に高校を卒業することができた。(学力的にも上のほうであったのが幸いだった)

今日は水原の合格発表日の翌日。昨日は仲良しメンバーでマジカルランドへ行った。
そして今日は・・・。
「・・・着いたね。」
「・・・着いてしまったな・・・。」
2人は隣の県の、山奥のひっそりとした温泉地へと来ていた。
水原の合格祝い兼、翔の退院祝い兼、そして・・・2人の愛を育むが為に・・・。
他に宿泊客は誰もいない。旅館は還暦は越えているであろう老人夫婦が営んでいた。
つまり、この旅館には水原と翔の若い2人しかいないのだ。
部屋に荷物を置いて、窓から外を眺めた。そこからは、冬空に似つかわしい乳白色の美しい温泉が見えた。
「・・・よみちゃん、ここ・・・混浴みたい。」
「・・・・・・!・・・い、いいんじゃないか・・・?他には誰もいないみたいだし・・・私たち、そんな余所余所しい関係じゃないでしょ・・・?」
「そ・・・それもそうだよね!じゃ、じゃあ、入りに行こうか!」
「えっ・・・!?・・・・・・あ、や、やっぱり別々に入ろうよ・・・。」
「あっ、うん・・・。そ、そう、そうだよね。」
やはりまだ、お互い羞恥心を取り払わずにいられなかった。そういう意味では、まだこの2人は青い果実だったと言えようか・・・。

395 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/07/03(日) 02:07 ID:???
2人が入浴を終え、5時ごろになると夕食が運ばれてきた。
見た目はとても質素な精進料理だったのだが、味はかなりよかった。
この旅館、ある意味穴場だったんじゃないか、と2人は思っていた。
食事をあらかた終えようとしていたとき、2人の元に何かが運ばれてきた。
・・・徳利と猪口だった。
「あの・・・これって・・・。」
「お酒じゃよ。これを飲んだ後は温泉にはしばらく入らぬようにな・・・。死んでしまうかもしれんからの・・・。」
「あ、あの、僕らは未成ね・・・「あー、ありがとうございます!丁度飲みたかったところなんです!」
翔が未成年だから断ろうとすると、水原が会話の途中で遮ってしまった。
「そうじゃろ、そうじゃろ。ゆっくり飲みなされ・・・。」
老爺は入れ歯のない口をもごもごと何か食べるように動かすと、ゆっくりと部屋を出て行った。
「・・・よ、よみちゃん!お酒なんて・・・!」
「かたいこと、なしにしようぜ。・・・私は高校卒業したし、翔は退院したし・・・。祝い酒だよ。・・・な?」
「・・・まっ、いっか!」
本当はいけないことだとわかりながらも、2人して飲みなれない焼酎をちびちびと飲み干していった。
3つあった徳利の中身が丁度空になろうかというタイミングで、今度は老婆が入ってきた。
「お布団を引きますので・・・。ちょいと荷物をどかしますよ・・・っと。」
その年齢、体つきからは考えられないほどテキパキとした動きで、部屋に布団を敷いてくれた。・・・1組。
「よいしょ・・・っと。今夜は冷えますから、お2人で暖かくしてお休みくださいませ・・・。」
老婆のその言動は、浅い意味なのか、深い意味なのか・・・。酔っていた2人は、その言葉を鵜呑みにしていた。
「よみらん・・・。あっらかくして寝ろって・・・。」
「うふ・・・じゃあ、おねんねしよーか・・・。うふふふふ・・・。」
翔は呂律の回らない舌で、水原はとても甘えた声で言った。
先ほどまでの青かった2人は、酒という成長の水を経て、熟した赤い果実へと熟れていっていた・・・。


その日、ひなびた旅館で水原と翔の2人は身も心も結ばれた・・・。

396 :名無しさんちゃうねん :2005/07/03(日) 10:13 ID:???
よかった、本当によかった・・(泣)

397 :名無しさんちゃうねん :2005/07/03(日) 20:44 ID:???
よかったな(TAT)

398 :ライダーキック小さじ二杯 ◆jPZ1HpW6/Q :2005/07/03(日) 21:36 ID:???
よかった・・・ウェーイ!!

399 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/07/08(金) 21:10 ID:???
続き書く時間がまた・・・。
少々お待ち下さいませ。

400 :大阪の兄@41 ◆HE9HPX9s7M :2005/07/13(水) 21:48 ID:???
その日、小鳥のさえずりで翔は目覚めた。
頭が割れるように痛い・・・。記憶も定かでない・・・。
「何が・・・あったんだっけ・・・。」
ゆっくり、順番に思い出す。
露天風呂に入ったあと、夕食を食べて、酒を出されて、飲んで・・・。
その後からの記憶が霞のようにおぼろげになっている。
ふと、自分のおかれている状況を見直す。
一対の布団。何故か裸の自分。まだ寝ている水原。
そっと布団をめくると・・・水原も裸・・・!その瞬間、記憶が戻った。
「・・・ヤったんだった・・・。」
初めての体験が心の底から愛している彼女。そして場所はひなびた温泉。
メルヘン?ファンタジー?他にこんな体験ができる人間がいるだろうか?
ただただ翔はその場で昨夜の出来事の余韻を噛み締めた。
時計はまだ5時半を指していた。まだ水原は目覚めそうにない。
「朝風呂にでも・・・入るかな。」
備え付けの浴衣を適当に着込むと、朝冷えの心地よい廊下へと出た。
窓の外を眺めると、そこにはこんこんと美しい雪が降り注いでいる景色があった。
「3月なのに、雪なんてなぁ・・・。山奥だとこんな天気もあるのかな。」

風呂に入り、部屋に戻ると食事をしている水原の姿があった。
「あ、よみちゃん、おはよう。」
口の中に食べ物が入っているからか、ニコリと微笑んで返事をした。
翔も水原の隣へ座り、朝食をとることにした。
「翔。」
「んー?」
翔が味噌汁を飲んでいるとき、水原が話しかけてきた。
「食べ終わったらサ・・・また・・・しない?」
「ゴホッ・・・!」
水原の淫乱な発言で驚いた翔は、飲んでいた味噌汁を少しこぼしてしまった。
「あっ・・・ごめん、大丈夫?」
「ゴホ、ゴホ・・・。大丈夫・・・。・・・・・・したいの?」
頬を少し赤らめて、水原はコクンと頷いた。
「昨日の夜のこと・・・あんまり覚えてないし・・・ね?」
「・・・・・・わかった。」
短く返事をすると、翔は残った朝食を素早く平らげた。

「うふふ・・・私、デザートになるんだね・・・。」
「よみちゃんにとっても、俺はデザートだろ・・・?」
2人でクスクスと笑った後、布団の中で2人は再び結ばれた。

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