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大阪メイン小説
- 1 :名無しさんちゃうねん :2003/07/04(金) 18:27 ID:???
- みんなで大阪の小説を作ろう・・・・・まぁ適当に書いてくれ(ぇ
- 588 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2006/09/03(日) 13:51 ID:???
- それでも付き合い始めはぎくしゃくしていた。
夏であったからかも知れないが、暑いからということを理由に手も繋がずに一緒に下校していた。
・・・たまに、一緒に帰らない日さえあった。
お互い、恥ずかしがっていた。
だから、メールではとても親密な事すら話すのに、一緒にいる時には昨日見たテレビの話・・・などの、くだらない話題しか話せなかった。
ぐだぐだとした関係は、付き合い始めて約1ヶ月後の夏休みに入るまでつづいていた。
俺は思ったのだ。
このままでは何の進展もない。・・・デートに誘おう。
『なぁ、榊。夏休みに入ってお互い時間に余裕もできたわけだしさ。・・・デートしない?』
返事はすぐに返ってきた。
「うん。行きたい。どこに行く?」
『・・・映画とか・・・どうかな。』
「・・・嬉しい。」
初めてのデートは、映画だった。
- 589 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2006/09/03(日) 14:03 ID:???
- 映画にはたくさん種類があったけど、榊が動物を大好きってことは知っていたから、俺は迷わず動物の出る映画を選んだ。
ポップコーンも何も買わずに、劇場に入るとまだ誰もいなかったので、後ろの列の真ん中あたり、特等席に座ることができた。
始まるまで20分以上あったが、お互い初めてのデートで舞い上がっていたからだろうか、メールの時みたいに楽しく会話ができた。
映画が始まって・・・。俺は映画の内容よりも、他のことに気をとられていた。
榊と手を繋いでみたい・・・。
でも、急に手を繋いだら思いっきり意識しているような感じだし・・・・・・葛藤はしばらく続いた。
だが、チャンスはすぐに訪れた。
映画の内容は飼い猫から産まれた子猫が一匹迷ってしまい、さまよい歩く・・・ちょっと悲しい・・・『子猫物語』。
そのチャンスとは・・・。
子猫が迷って2日目、雨が降り・・・グショグショになってるところを車が水を跳ねてされにグショグショになって・・・。
もう、いたたまれないシーン・・・。榊は、泣いていた。
グッと拳を握り締め・・・悲しみに耐えているようだった。
チャンスをずっと待っていた俺は、榊の手をそっと包んだ。
やっぱり驚いたようで、ビクッとした反応があったが・・・そのままおずおずと俺の手を握り返してくれた。
そのまま、俺たちはラストまで――飼い主と出合って母猫たちと幸せに暮らす――手を繋いで迎えた。
- 590 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2006/09/03(日) 14:07 ID:???
- 気が早い俺は、もう次の段階に進みたがっていた。
榊とキスがしたい。
榊とエッチをしてみたい。
だが、付き合い始めて1ヶ月で初めて手を繋ぐような純情野郎にそんな行為ができるわけでもなく・・・。
映画を見た後は、喫茶店でパンフレットを一緒に見て別れた。
・・・普通の、デート。
でも、幸せだった。
一度デートをしてしまえば、一度手を繋いでしまえば不思議なもので、
いくらでもデートができたし、その際に何度も手を繋いだ。
慣れたのだ。その状況に。
しかし・・・慣れは恐ろしいもので、次の段階へ早く進めと急かす原因ともなった。
せめて、キスだけは・・・。
メールをしていても、一緒にいても、そのことが何度も何度も脳裏を横切っていた。
- 591 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2006/09/03(日) 14:14 ID:???
- チャンスは時と共に訪れるものなのだろうか。
キスをするには最大のチャンスが到来。
誕生日。
俺の誕生日なのだ。
8月24日。夏休み終わり際だから宿題を溜め込んでいる人間が多いので友人に祝ってもらったことは少なかった。
だが、今年は違う。最愛の彼女がいるのだ。俺を祝ってくれる彼女。・・・素晴らしい。
事はトントン拍子に進んだ。
俺の誕生日は付き合い始めた頃に既に話していたから、8月の上旬には誕生日プレゼントは何がいいかすら聞かれていたから。
正直なことを言ってしまうと、『榊』そのものが欲しかったのだが、お互い純情であるし、キスもしてないのにいきなりそれは頼めなかった。
だけど、漫画とかだと付き合ってすぐエッチをしたりするし・・・俺の誕生日というビックイベントだ。
も・・・もしかしたら・・・?
気がつけば8月23日の深夜、1km先のコンビニまで自転車を飛ばしていた。
- 592 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2006/09/03(日) 14:24 ID:???
- 8月24日。
誕生日会は自分の家で行うことにした。
初めて榊と一緒に遊んだあの日、家に誘って愛犬を見せる約束もしていたし。
犬に会えるということで、榊はとても喜んでいた。
午前11時。親は共働きなので夜遅くまで帰ってこない。完璧なシチュエーションだ。誰にも文句は言わせない。
昼食は榊が家に来る際に買って来たマグネトロンバーガーだった(何故かお子様限定のセットを榊は買えていた)が、
夕食は榊が作ってくれる予定だ。
なんていい日なのだろうか!
昼食を食べ終えた後、庭に出ると柴犬のマメタロウが『俺』を迎えてくれた。
誰にでも人懐っこいマメが、何故か榊に向かって吠えているのだ。
初対面の相手にはよくあることだが、ちょっと異常なまでに・・・。
榊はしょんぼりしている。・・・かわいそうだ。
『おいおい、マメ!俺の彼女なんだぞ!ちょっとは愛想よくしたらどうなんだ?』
・・・この時、『俺の彼女』という言葉を口に出して、一瞬自己満足の世界に入り込んでしまったのは内緒の話だ。
しばらくすればさすがのマメもやっと榊になつき、榊もとても嬉しそうだった。
頭をずーっとなでなでなでなでなでなでなでなで・・・・・・・・・。
お腹の毛をわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃ・・・・・・・・・。
・・・あの、俺は?
- 593 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2006/09/03(日) 14:31 ID:???
- 30分以上、マメと戯れていた。
さすがの俺も待ちきれず・・・家に入って窓からその光景を眺めているしかなかった。
マメは昼にはずっと寝ている。歳でもあったし、榊と遊ぶのをやめて小屋に入ってしまった。
・・・その瞬間、初めて榊は俺がいないことに気づいたらしく、恥ずかしそうな顔をしながら家に入ってきた。
「・・・ごめん。」
真っ赤な顔をして、うつむいて榊は言った。
・・・あまりにもかわいい表情で・・・・・・どぎまぎとした上ずった声でしか返事できなかった。
・・・2時になった。
やることがない。
どうやら榊はゲームをすることはほとんどないらしく、ゲーセンでもUFOキャッチャーしかしないらしい。
仕方ないので、アルバムを引っ張ってきてマメの写真を見ていた。
こうゆう状況で、恋人同士ってのはどうゆうことをまったく知らない俺は、そうゆうことぐらいしかできなかった。
ぐだぐだとした時間を過ごし・・・4時。
ちょっと遅めのおやつにすることにした。
榊の手作りクッキー(妙な形をしていた。動物のつもりだったらしいが、何の動物か全くわからなかった。)にジュース。
形をひとつひとつ確認して、お互いに楽しみながら食べていた。
・・・和気藹々とした雰囲気。
チャンスだ。
- 594 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2006/09/03(日) 14:37 ID:???
- 『榊・・・。』
「・・・なんだ?」
緊張していたせいか、低めの声で話しかけてしまい、ちょっと警戒心を与えてしまった。
だが、ここまで(といっても話しかけただけだが)来たのだ。絶対に決行する!
『お願い・・・聞いてくれるか?』
「・・・なんだ?」
『・・・・・・キス・・・・・・していいかな・・・。』
「・・・っ!」
榊は目を見開いて、俺を見た。
俺はじっと榊の目を見つめ返した。
榊は恥ずかしそうに目線を反らして・・・顔を真っ赤にしているだけだった。
『だめ・・・かな・・・。』
・・・返事をしない代わりに、榊はギュッと目を閉じた。
目を閉じた榊の顔をじっくりと眺めてみた。
化粧もしていないのに長いまつげ。
ツンっとした高い鼻。
つつくと崩れてしまいそうなぐらい柔らかそうな唇。
俺はゆっくりと顔を近づけ・・・榊の唇に自分の唇を重ねた。
- 595 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2006/09/03(日) 14:44 ID:???
- 甘い・・・。
初めてのキスは、甘いジュースの味がほんのりと薫った。
榊の唇は予想以上に柔らかくて・・・。
言葉ではうまく説明できないような、幸せな感情に包まれた。
最初はただ唇を重ねていただけだったけれど、俺は榊をグッと抱き寄せると、舌を絡めさせようとしてみた。
歯が舌の進入を拒んだが、俺の舌の存在に気づくと榊は少し口を開いて・・・俺の舌を受け入れてくれた。
今まで知らなかったが、人の舌は案外ひんやりとしていて・・・舌を絡ませていると、なんとも言えない気持ちになる。
お互いの初めてのキス。だから、舌は何をしていいか全くわからずに、ただただお互いの口の中で暴れまわるだけだった。
しかし、俺の理性を飛ばすには十分であった。
慣れ。
恐ろしいこの感情は、またしても次の段階へ無理やりステップアップさせようと俺の背中を押す。
しかし、俺にはもう理性はなかった。
抱き寄せていた腕をはがすと、榊の巨乳に服の上から触れていた。
榊はやはりビクッとしたが、されるがままに揉まれていた。
とても柔らかく、大きすぎて手に包み込めない・・・。
今まで想像の中でしかなかった白黒の世界が、どんどん彩られていく。
車は急に止まれない。
人の理性も同じこと。
胸を揉んだ勢いで、俺は榊をベッドに押し倒した。
- 596 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2006/09/03(日) 14:51 ID:???
- 「ちょっ・・・ふぐぅっ・・・。」
何かを言おうとした榊の口を、自分の口で塞いだ。
胸を右手で揉みしだき、左手は榊の股間へと・・・。
榊の今日の格好はいつもよりおめかしだった。そう、いつもよりは。
だから下はジーパンだった。
股間のあたりを摩ってみたが、感触はジーパンの生地だけ。その下がどうなっているのか全くわからない。
しかも焦っているためか、脱がしてみようとしてもどこをどうすればいいのかすらもわからない。
仕方なく、流れで榊の乳首を吸ってみたくなり、口を離すと榊のシャツを脱がそうとした。
・・・だが、それは榊の手で拒まれた。
「・・・や・・・やめよう?」
とても怯えた表情だった。
・・・俺はハッとなった。
俺がしていたことは、付き合っているとはいえ、レイプとほとんど変わらなかった。
『・・・ああ。・・・・・・ごめんな。』
・・・すごく、恥ずかしかった。事を急ぎすぎたあまり、榊を悲しませてしまった。
しかも、このことは俺すらも悲しませることとなった。
「・・・帰る・・・。」
『えっ・・・?・・・・・・夕飯は・・・?』
「・・・・・・ごめん。」
最悪だ。
もう終わりだ。
付き合って3ヶ月たつかたたないかの時に、よりによって俺の誕生日に、別れることになるのだろうか。
- 597 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2006/09/03(日) 14:55 ID:???
- とりあえず俺は、榊を家まで送ることにした。
無言のまま歩く二人。超きまずい。
榊の髪はさっきの騒動でちょっとくしゃくしゃになってしまっている。
・・・・・・もう、俺は一体何をやらかしたんだろうか・・・。
自己嫌悪の状態だと、時が進むのは案外早く、家に到着するちょっと前の辺りで榊が別れをつげてきた。
ちょっとだけ、希望を残して。
「・・・後で、メールする。」
『・・・うん。』
「じゃあ・・・。」
たったそれだけの会話をして、別れた。
家に着いて残っていたのは、榊が持ってきていた俺への誕生日プレゼントだった。
・・・・・・涙が流れた。
俺はなんてことをしてしまったのだろうか。
・・・・・・ボロボロと涙が流れた。
- 598 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2006/09/03(日) 15:03 ID:???
- プレゼントの中身は猫のぬいぐるみ。
一緒に手紙も入っていた。
誕生日おめでとう
あまり普段喋らない私に優しくしてくれてありがとう。
何もしてあげられない私と付き合ってくれてありがとう。
いつか私からも何かをしてあげたい。
それがいつになるかわからないけれど、きっとする。
愛する健介へ
・・・俺は、泣くしかなかった。
メールを送ろうにも、今の俺にはそんな資格がないようにしか思えなかった。
その矢先、榊からメールが届いた。
- 599 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2006/09/03(日) 15:06 ID:???
- 急に帰ってごめん。
約束の夕飯も作ってあげられなくてほんとにすまないと思ってる。
ただ、勘違いしないでほしい。
健介が嫌いになったから帰ったんじゃなくて、
ただちょっと驚いてしまったから・・・つい・・・。
気を悪くしないでくれ。
誕生日プレゼント、置いてきてしまった・・・。
中はもう見た・・・?頑張って選んだんだ。飾ってくれたら嬉しい・・・。
直接言いたかったけれど、誕生日おめでとう。
・・・俺は、今日、人生で一番多く涙を流したかもしれない。
- 600 :27GETTER ◆pXWVmj9lto :2006/09/23(土) 23:56 ID:???
- >>586-599
凄く遅くなりましたが乙ですw
うわぁ、なんか……感動しました。
- 601 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2006/10/21(土) 01:21 ID:???
- 俺は後悔の涙を流した。
流したはずだった。
でも、キスをして以来、考えていることは常に・・・榊と交わることだった。
恥ずかしいことだが、四六時中榊の裸や、感じる部位はどこだろうとか、どうしたら喜んでもらえるだろうとかを想像しては、
その期待に胸を膨らまし、その反面、自分の浅はかさに胸を痛めていた。
しかし、榊とはデートをする。
そして、毎回のように部屋に連れ込み・・・キスをした。
一度してしまえば慣れたようで、榊もキスそのものは拒まなくなった。
数回目のデート、いつものように部屋に榊を連れ込み、いつものようにキスをして・・・。
胸をそっと揉んでみた。
少し体を捩じらせたが、拒む様子は見られなかった。
- 602 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2006/10/21(土) 01:28 ID:???
- あの時とは違う。
榊の肩に手を添え、ゆっくりと力を入れてベッドに押し倒す。
前のことからは時間が経っていたから、これにも拒まれることはなかった。
見てみたかった。
榊の裸を。
榊の恥ずかしがる顔を。
俺を愛してくれる表情を。
恋愛なんて肉欲と性欲だと誰かが言っていた。
俺は年齢から来る性欲を、榊の肉体でもって解消しようとしているのだろうか?
しかし、今の俺にそんなことを考える余裕どころか、思考回路そのものを持ち合わせていなかった。
押し倒した後、服の下に手を入れ、下着の上から胸を揉んでみた。
ブラのデザイン越しにわかる胸の弾力。
その状態を楽しむこともなく、ブラを少し下にずらして、乳首に触れる。
勃起していた。
- 603 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2006/10/21(土) 01:35 ID:???
- 乳首に触れられたのに、それでも榊は拒まなかった。
いけるとこまでいってやる。―――その時持ち合わせていた俺の稚拙な思考回路が出した答えだった。
乳首を指で優しく摘む。どれくらいの力をくわえれば気持ちいいなんて全くわからない。
舌で愛撫すれば痛くはないか・・・?
そう思った瞬間、既に榊の服を脱がしにかかっていた。
「・・・電気・・・消して・・・?」
震える声で榊が言った。
これだけの体を持ってしても、やはり裸を見られるのは恥ずかしいのだろう。
言われた通り電気を消したが、それでも窓の外からの明かりで明るいまま。カーテンを閉めても大して変わらなかった。
仕方なく、布団を被ることにした。布団の中にも少し明かりがあったが、逆にそのほうがセクシーに感じられた。
服を脱がす・・・。
服を脱がせたとき、榊の巨乳がゆさゆさと揺れた。ずれたブラから少し乳首が見えていた。
ブラを外す前に、胸を上にぐっとあげ、手を離す。・・・ゆさゆさと揺れる胸。
とんでもなく興奮した。だから、一度だけではあきたらず、何度も榊の胸を揺らして遊んだ。
しかし、俺の性欲はブラを取るようにせかした。仕方なくブラを外すことにした。
- 604 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2006/10/21(土) 01:41 ID:???
- うっすらと暗い布団の中。
目の前にあるのは榊の巨乳。
100円玉サイズのピンク色の乳首に、ぽっちりと乳首がたっていた。
この状況でどうすればいいかわからない男がいるだろうか?いや、いるわけがないだろう。
俺は本能で榊の乳首にむしゃぼりついた。その時に榊は小さい声で「んっ・・・」と喘いだ。・・・それがまた俺を興奮させた。
夢中で榊の乳首をなめ続けた。
時には吸い、舌で転がし、指で摘み、そしてまた舐め・・・。
その度に榊は小さく喘ぎ声を出す。やめようにもやめられない状況。
今すぐやめれば100万やると言われようと、俺は間違いなく首を横に振り、榊の乳首を愛撫し続けるだろう。
―――やめておけばいいものを。
この状態の男にはエスカレートはつきものだと断言できる。
乳首を弄ることにも限度があった。
俺は榊と何度かキスをして、胸を揉んでいる手をゆっくりと榊の下半身へと伸ばす。
- 605 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2006/10/21(土) 01:48 ID:???
- ジーンズの股間のあたりをゆっくりと上下にさする。―――拒む様子はない。
さらにもう少し力を加えて上下にさする。―――やはり拒まれない。
この状態なら・・・
そう思い、榊のジーンズを脱がしにかかると、榊は俺の手を掴んできた。
榊の顔を見ると、目が潤んでいた。
その時の俺は榊の気持ちが読めなかった。
だが、思い直すと・・・その目には、『拒否』よりも『怯え』の表情が伺ってとれた。
俺は榊にキスをし、無言の「大丈夫だよ」という合図を送る。・・・何が大丈夫なんだか全くわからないが。
そしてもう一度脱がそうとするが、またも手を掴まれてしまった。
最後に、決定的な一言。
「・・・やめよ・・・?」
その声は震えていた。恐怖におののく、肉食動物を目の当たりにした小動物のような気配。
俺は血に飢えたライオン、榊はウサギ。
このまま食べてもよかったはずだった。
だが、俺にも良心はまだあったようで・・・・・・ライオンを抑えることができた。
- 606 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2006/10/21(土) 01:50 ID:???
- それでも俺は完全にやめることは考えられなかった。
だから、榊は上半身裸のままでいらせたまま、布団の中でずっとキスをし続けた。
たまに胸を揉んだりもしてみた。
どさくさに紛れて下半身に手を伸ばすと、やはり拒否された。
そのうちに、榊は服を着たいと聞かなくなり、仕方なく完全に行為を終わらせることにした。
榊が帰った後、ベッドに染み付いた榊の香りを嗅ぎ、あの胸の感触を思い出しながら自慰行為に浸った。
- 607 :眠名有 ◆h8AqQULsMs :2006/10/22(日) 02:09 ID:???
- おお、なんとか踏みとどまったかw
これでまだしばらく幸せだなw
- 608 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2006/10/23(月) 22:28 ID:???
- 何かが違ってきていた。
俺は榊に愛されたくて・・・付き合ったはずだった。
それが・・・今は、なんなのだろうか。
性交することが目的なはずではないのだけれど、自分でもそのつもりは全くないのだけれど、客観的に見てしまえば・・・。
榊も、俺がそれが目的で付き合いだしたんじゃないだろうか・・・と感じ始めているのだろうか?
そんな気持ちがあるのに、俺は榊の肉体を求め続けた。
だって、しょうがないんじゃないのか?
17歳。
ちょうどヤりたい盛り、真っ只中。
さらに、相手はナイスバディの持ち主で、美人と来たものだ。
この条件が揃っていて、足踏みをし続けろなんて・・・。
腹ペコ状態の犬に超高級の1kgステーキを『待て』と命令しているようなもんだろう。
良心があった。
だから、ある程度、そう、胸を揉んだりだとか・・・その程度くらいは、許して欲しかった。
- 609 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2006/10/23(月) 22:40 ID:???
- 俺もその気持ちを伝えた。強制的にヤりはしないから、せめてガス抜きに・・・と。
嫌々ながらも、榊は了解してくれた。
俺は、一、二週間に一度しか榊の肉体を舐ることができなかった。
だから、俺はその時間をとても大切にしたかった。1分1秒でも無駄にしたくなかった。
だが・・・そんな俺の態度が、やはり『ヤりたいだけ』の気持ちとして受け取られてしまったのだろうか。
ある日、デートで午前中に会い、映画を見て、何かご飯を食べて、ちょっとブラッとしたら午後からは家に帰って・・・と俺は胸を躍らせていた。
そして予定通りに飯を食べ、ちょっとブラついて・・・。
「なぁ、榊。家・・・行かない?」
「え・・・。」
嫌そうな口調だった。でも、俺は時間を無駄にしたくない一心で焦っていた。
「いいじゃ〜ん。な?」
「・・・・・・やだ。」
いつもより、冷たい口調だった。嫌がっているフリでもなんでもない、『拒絶』。
その圧倒的な威圧感に、違う焦りが俺の内に目覚めた。だが、どうすればいいか焦りで解決策も見出せない。
しかし、榊はその想いを淡々と告げ始めた。
「・・・本当に、私のこと・・・好きなの?」
榊は俺の名前を呼ばない。以前『恥ずかしいの?』とからいかいながら聞くと、恥ずかしそうに俯いた。
その表情がたまらなく好きだった。・・・けれど、その『名前を呼ばない』ことが、理由なはずでもないのだが、俺の中で何かを理由付けにして相手を追いやろうとする
卑しい心が、榊を悪者にしようとしていた。
- 610 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2006/10/23(月) 22:45 ID:???
- 「いつまでさ・・・俺の名前呼ばないつもりなの?」
「・・・え?」
やめろ。
「俺さぁ・・・結構・・・傷ついてるんだよね・・・。いつまでたっても名前呼ばれなくて。他のカップルとかうらやましいぜ、全くよぉ。」
やめてくれ。
「・・・・・・・・・うん。」
「俺は・・・愛されたくて、榊と付き合ってるわけだけど・・・。・・・なんか、榊からの愛情、・・・あるにはあるけど、もっと・・・具体的な形で受け取りたいな。」
やめろ!
「・・・やっぱり、私の・・・が・・・目当てだったのか。」
「え・・・?」
もうだめだ。取り返しはつかないぞ。
「・・・帰る。」
「ちょ、ちょっと!榊!」
その時の榊を呼び止めた俺は、怒らせた榊をなだめて仲直りしよう・・・という心よりも、
今ここで逃したら性交するのがまた伸びる・・・という、最低最悪な心のほうが半分以上を占めていた。
俺は最低な男だ。
それをわかっていながら、俺はまた卑怯な言葉を使って榊をなだめ、だまし、そして、家へとほぼ無理やり連れ込んだ。
- 611 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2006/10/23(月) 22:53 ID:???
- 家に着いて・・・。
部屋に入って。
その頃には、もうお互い笑いあっていた。
家の犬とちょっと戯れて・・・心が和んだかな?と卑怯な俺は頃合を見計らっていた。
榊の隣に座って、キスをして、いつものようにベッドに押し倒した。
胸を揉み、少しずつ服を脱がし、直接乳房をもみ、乳首を舐め・・・。
ここまでならとても手馴れてしまった。悲しいことだ。
これは本心の俺も思っていた。どうせなら、ヤるまでの動きを慣れた方がよっぽど・・・。
もう、今日までで、ズボン越しに下半身を触ることをほぼ許されていた。
ついさっき、体が目的なのか?ということで喧嘩をしていたのに、俺の中でそれは卑しい心で埋め尽くされていて、考えるスペースがなかった。
そして、下半身に手を伸ばそうとしたとき・・・。
「やめよ・・・?」
「・・・やっぱり、今日は・・・嫌。」
卑しい俺は必死だ。笑えるほどに。
「・・・なんで?・・・怖いの?・・・大丈夫だよ?」
「嫌なの!」
そして榊は服を手早く着ると、布団に包まってしまった。
卑しい俺はなんとかなだめて、キスくらいはしたいと思っていた。
でも、榊は拒絶し続けた。
卑しい俺はそこで消えた。残されたのは、傷つけられた榊と、なだめようのない場と、自己嫌悪に陥る本心だけだった。
- 612 :大阪の兄 ◆vN8PWvI6WE :2006/11/30(木) 21:20 ID:???
- お久し振りです。
もう一か月以上放置してたんですね、申し訳ありません。
もうじき仕事が一段落つくのでもう少々お待ちください。
- 613 :眠名有 ◆h8AqQULsMs :2006/11/30(木) 23:28 ID:???
- 期待してます。
ワクテカ
- 614 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2007/02/17(土) 10:49 ID:???
- お久しぶりです
読み返せば読み返すたびにドロドロした内容に自己嫌悪。
リアル体験交えて書いたらここまでドロドロになるか。リアル俺の器ちっさ。
仕事終わりません。頑張ります。
- 615 :名無しさんちゃうねん :2007/02/17(土) 22:58 ID:???
- がんばってー
- 616 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2007/03/04(日) 17:33 ID:???
- 最近、進行中のSSのまとめ方が思いつかないので今までのSSをまとめたサイトを作っている最中です。
アナザーストーリーや、誤字脱字の修正・・・早い話が、私の都合の悪かった部分を全部消したものが掲載される予定です。
進行中のSSのまとめ方も考えている最中ですから、もうしばらくお待ちください。
- 617 :眠名有 ◆h8AqQULsMs :2007/03/07(水) 23:24 ID:???
- >リアル体験交えて書いたらここまでドロドロになるか。
え……
とりあえず、期待してますのでー
ていうか、よく考えたらもう大阪がメインじゃない気がする……
- 618 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2007/04/26(木) 00:48 ID:???
- 俺は、考えていた。
なんで自分は存在しているんだろう?
自分が幸せになるために、どれだけ他人を傷つけただろう?
自分は生きる上で、どれだけの恥をかいて生きてきただろう?
人は、恥をかくために生きている・・・そうなんじゃないだろうか。
榊と連絡が取れなくなって一週間。
教室で会っても目を逸らされる。他の連中もそのただならぬ雰囲気にはある程度気づいているらしく、
あの滝野でさえも首を突っ込もうともしなかった。
それでよかった。
俺は、恥で、榊にしてきた今までの行動の恥で、死んでしまいたかった。
舌を噛み切るか、手首を切り落とすか、首を掻っ捌くか・・・。
だが、もちろん、そんなことをする勇気も根性も俺にはなかった。
結局のところ、俺は、悟ったとおり、恥をかきながらそれからも生き続ける、という選択を選んでいたことになる。
- 619 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2007/04/26(木) 00:53 ID:???
- それでよかったんじゃないか、と思う。
・・・所詮、高校生同士の付き合いなんて、ママゴトみたいなものにしか過ぎない。
俺たちのように、自ら金を稼ぐこともせずに付き合っているような連中には、特に。
・・・でも、わかってほしかった。
・・・何を、とはうまくいえない。
好きという気持ち。
男としての欲望を満たしたかった気持ち。
榊のことをもっと知りたかった気持ち。
・・・次ならきっと、もっと、うまくできるだろう、という気持ち。
でも、もう、どうにもならないだろう。
榊の中での俺の評価は地の底、そう、まさに・・・底辺だ。
榊は、俺を信じていてくれた。
なのに、俺はそれを・・・いとも簡単に裏切ったんだ。
榊が仮に、また話しかけてくれるようになっても、もう・・・やりなおせない気がする。
俺はあまりにも恥をかきすぎた。
- 620 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2007/04/26(木) 01:01 ID:???
- そんな矢先、ちょうど榊と連絡が取れなくなってから3週間くらい経った頃、変化があった。
それまでは、もう、俺たちは別れてしまったかのようにまわりは振舞っていた。
榊との交友もないことから、至極当然のように、その友人らと話すこともなくなっていた。
それなのに、いや、だからこそ、とでもいうのだろうか・・・?
放課後に、神楽が・・・話しかけてきた。
「なぁ・・・ちょっと、いいか?」
「・・・ん?」
「まぁ・・・教室で話すのもなんだし、屋上に・・・。」
「・・・何の用?」
「いいからさ、ホラ・・・な!?ちゃんと来てくれよ!?」
周囲を気にしてか、それだけ言い残すと神楽は教室を出て行った。
・・・用件があるとしたら、だいたいわかる。
榊関係。
もう別れて欲しい、という伝言を伝えられたか、
ヨリを戻したい、という伝言を伝えられたか。
後者はほぼありえない。と、なると、前者か。
・・・わざわざ言われなくても、俺たちはもう・・・とっくに終わったようなものじゃないか。
それでも、神楽を屋上に待たせ続けるわけにもいかないので、俺はさっさと用事を済ませるべく、屋上へ向かった。
- 621 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2007/04/26(木) 01:09 ID:???
- 「・・・よっ!」
屋上に上がると、フェンスの前の腰掛けられるくらいの段差のところに神楽はいた。
・・・周囲には他のヤツはいないようだ。完全に神楽だけだ。
「・・・で、用事って?」
「・・・・・・お前、変わったなぁ・・・。前はもっと、明るかったのになぁ・・・。」
なんだそりゃ。・・・用事はそれか?・・・もちろん違うことはわかってる。
「・・・やっぱり、榊と・・・その・・・・・・なんだ・・・。」
「ああ、別れたことが関係あるのかもな。」
「え!?」
なんだよ、え!?って。ああ、まだ別れたことにはなってないからか?
でも、どうせ終わりを告げに来たんだろ?
「・・・やっぱり、そう考えてたんだ。」
「何が?」
「・・・榊がな、『きっと彼はもう私と別れたつもりでいると思う』って言ってたから・・・。」
おお、榊。そこまで俺の気持ちがわかるのに、残念だよ、本当に。
「・・・用件がよくわかんないんだけど、何?」
「あ、あのな?・・・私、その後、榊に尋ねたんだ。」
なんてだよ・・・。俺のダメ男っぷりか?
「もし、別れるようなら、・・・私が付き合っていいかな、って。・・・かなり図々しいとは思ったけど・・・!」
・・・は?
「でも、もう・・・迷う必要・・・ないよな。」
何を・・・?何をだ・・・?
突然の出来事に俺はまだ状況を理解できないでいる・・・。
「私と・・・付き合ってくれ!!」
- 622 :名無しさんちゃうねん :2007/04/26(木) 01:30 ID:???
- だからageるなって
- 623 :名無しさんちゃうねん :2007/04/26(木) 16:21 ID:???
- できればこういうスレは上げないでほしい
- 624 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2007/04/27(金) 21:40 ID:???
- 不注意でした。すいません。
sageるやり方はこれでよかったでしょうか・・・。
- 625 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2007/04/27(金) 21:41 ID:???
- こうだっけ・・・?
- 626 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2007/04/27(金) 21:42 ID:???
- あ・・・どうしよう、ageてしまった・・・!
ごめんなさい・・・。
さがるまで書き溜めて引っ込んどきます。
- 627 :名無しさんちゃうねん :2007/04/28(土) 23:09 ID:???
- そこまで自粛しなくても・・・
ただ、これからは気をつけて頂ければよろしいかと
- 628 :大阪の兄 ◆HE9HPX9s7M :2008/04/09(水) 01:54 ID:???
- まだ・・・需要はあるのかな?
まぁもう・・・ストーリー忘れてるからただのSSしかかけませんけどね。
それでもいいなら・・・。
- 629 :名無しさんちゃうねん :2008/04/09(水) 02:00 ID:???
- >>628
おかえり
見てる奴はちゃんと見てるから心配しなくても大丈夫だ
任せたぜ
- 630 :◆vN8PWvI6WE :2009/09/29(火) 17:56 ID:???
- ・・・まだ、あったんだ。懐かしいな。
- 631 :◆HE9HPX9s7M :2009/10/14(水) 00:50 ID:???
- こうだっけ
- 632 :名無しさんちゃうねん :2009/11/11(水) 13:15 ID:???
- >>631
頼む、是非とも続きを書いてくれ
- 633 :◆HE9HPX9s7M :2010/03/20(土) 00:03 ID:???
- 「なんや…もう、なにがどーなっとんのかわからんな…。」
夜の繁華街を一人で歩く女子大生。
つい先程まで飲み屋である合コンがあったのだ。
彼女がぽつりと呟いたその言葉。
それは、そこであったある出来事を指していた。
「ねぇねぇ、春日さんって彼氏いるの!?」
「あ、それ、超気になる!!」
違う大学の男性陣が一気に詰め寄る。
どの男の頭の中は『ぼーっとしたタイプだからお持ち帰りできる』という
いかにも下品で低俗なもので満ちていた。
そうとも知らず「んーと」「えーと」と必死に悩み、
「ごめんな…正直私、そういうの…ようわからんねん…」
ここで半数が散る。もう半数はまだまだ食い下がる。
「あっ、あっ、だったら俺が教えてあげるよ!?」
「あっ、ずりーな、だったら俺も!!」
ここまで来て、他の女子陣からの嫉妬からくるストップがかかる。
「ちょっとぉ、私たちのことは〜!?」
「あ〜、あたしぃ、ちょっと酔ってきちゃったなぁ…」
気がつけば、春日歩本人の周囲には男性はおろか女性すらいない。
いつもいつもこうだった。最初は男が寄ってくるが、少し口を開けばいつの間にやら去っている。
それでも何度か声をかけられ続けたことはあるが…その先、どう会話を続ければいいのかわからない。
結局は恋愛に発展することなく、春日はいつも一人身であった。
違う観点から言えば彼女は――――処女のままだった。
- 634 :◆HE9HPX9s7M :2010/03/20(土) 00:18 ID:???
- 「智ちゃんも…いつの間にやら海外やからなぁ…」
滝野智。高校での仲良しグループで唯一同じ大学へ進んだ友達。
そんな彼女、ひょんなことで出会った留学生と恋に落ち、そのまま大学を辞め、海外へ。
一緒に過ごす予定であったろうキャンパスライフはなんと一年という短さで幕を閉じていた。
3日に1度は連絡を取り合うが、幸せな生活を送っているらしい。
「私にも…幸せ、こんかなぁ〜…」
ちょっとむしゃくしゃしてハンドバッグをブンブンと振り回すと、通行人にぶつかった。
「あ、ごめんなさい」
「ってぇ〜。うわ〜、超いてぇ、骨折れたかもしんね。」
「うわ、マジかお前!?おいお前何やってくれてんの?」
よりによって『まだいたの?こういうタイプ』と鼻で笑われるような行為を
平然とやってのけるような人生の底辺を這いずり回るタイプだったらしい。
「あの、ホンマ、ごめんなさい」
「いやいや、もう慰謝料払ってもらうしかねーっしょ。」
「あ〜、イテ、マジイテェ。」
「ほら、こいつこんなにいてぇっつってっから。な、50万払って」
「えっ…そんな大金、払えるわけあらへん…」
「あ〜、ならさ、体で払って。あそこ俺らの車あっから。はい、乗ろうね。」
彼女の心臓の鼓動はどんどん加速していった。あまりの鼓動の大きさに、
頭がおかしくなってしまうのではないかと錯覚してしまうくらい、ドクンドクンと脈打っていた。
『嫌や…そんなん嫌や…。私、初めては好きな人に…。』
「おい、何グズグズしてんの?嫌なわけ?じゃあ金払えるの?」
「さっさと来いやコラ!」
いつの間にか骨折したと大げさに騒いでいた恥ずかしい男は何もなかったかのように振る舞い、
彼女を車に詰め込みよからぬ行為に及ぶ準備を手伝う側に回っていた。
それでも彼女は気付かない。
ただでさえ酔っていたところに突然の出来事。正常な判断能力なんてとうの前に失われていた。
『あかん…私、もうこの人らに犯されてしまうんや…。』
- 635 :◆HE9HPX9s7M :2010/03/22(月) 01:29 ID:???
- 「はいはいはい。君たちそこでやめとこ〜ね」
声のする方へ3人が一斉に目を向けた。
この状況に錯乱している彼女にはその声の人物が男で、
自分を助けてくれる存在かもしれないとしか判断できなかった。
「あ〜?」
骨が折れたと騒いでいた男が声の主に体を揺らしながら近寄ると、肩を思い切り突き飛ばして――――
と思った瞬間、ドサリという音と共に男は地面に這いつくばっていた。
声の主は男の首に足をかけると、彼女を羽交い締めにしていた男を表情のない目つきで口を開いた。
「あー、これ、正当防衛だからさ、文句、言わないでね?
3秒あげるからさ、その子、離してよ。」
短いフレーズで話す、はっきりとした声だった。
「いーち」
「ふ、ふざけんじゃねぇぇ!!!」
おそらくこのような状況は初めてなのだろう。それが男を逆上させた。
彼女を締める腕にグッと力が入った。
その痛みに彼女が苦悶の表情を浮かべたからか
逆上したことに腹を立てたからか
それとも最初からそのつもりだったからか
その理由は定かではないが
「にっ、さん!」
子供が友達をからかう時のように声の主は笑顔でカウントを一気に早め
『ごきん』
鈍い音が聞こえて、倒れていた男は動かなくなった。
- 636 :◆HE9HPX9s7M :2010/03/22(月) 01:55 ID:???
- 「「…え?」」
男も、彼女も、目の前の事態にそう声を漏らす他なかった。
首を折った?…殺した?
「あーあ、君が大声、出すから。俺びっくりしちゃって、やっちゃったじゃん。」
もう動かない男の首元から足を離すと、ふぁぁと大きな欠伸をひとつ。
そして再び口を開いた。
「ね、君も、ああなりたくないでしょ?さ、彼を置いて、彼女も離して、行きなよ?」
そう言われたところで男も彼女も動けない。
一度にたくさんのことが起こりすぎたため、声の主の言うことが理解できないのだ。
パァン!!!
それを察したのか、動くきっかけを与えるが如く両手を強く打ち合わせた。
すると男は助けてくれだの殺されるだの叫びながら逃げ出していった。
彼女も逃げ出したかったが、腰が抜けてその場にへなへなと座り込んでしまった。
(あかん…あかん…このまま居たら…こ、殺されてまう…)
だけど体は動かない。
目線は死体と近寄ってくる声の主を交互に見比べることをやめようとしない。
「大丈夫?春日さん」
「…え?」
何故この男は自分の名を知っているのか。
その疑問で目線は男を捉えたまま動かなくなった。
「あー、やっぱわかんない?俺もさっきの合コンにいたんだよ?
ちなみにね、あの人死んでないから。安心して。何をどうしたかは秘密。
気絶してるだけだからそのうち目ェ覚めるよ」
ホラ、と言って転がっている男を蹴飛ばすと、うぅっと低い唸り声をあげた。
その様子に彼女は心のどこかで安心していた。死んでいない、その事実に。
とはいえ、声の主が誰だかわからないままであるし、自分が無事であるという確証もない。
何か、何か言わないと。でも、声が出ない。金魚のように口をぱくぱくさせることしかできない。
「…あー、もしかして色々あって混乱してる感じ?…ちょっと移動しようか」
車借りるよ、と聞こえるはずもない男に声をかけると、彼女の手を取って暴漢らの車に乗り込んで発進させてしまった。
走らせて間もなく、やっと彼女は声を出せた。
「この車、なんやイカ臭いなー…。」
- 637 :下駄 ◆FoWMLIHGkc :2010/09/26(日) 15:35 ID:???
- うわ!
気付くの遅かった!!
乙です
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