世の中のすべての萌えるを。

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大阪メイン小説

636 :◆HE9HPX9s7M :2010/03/22(月) 01:55 ID:???
「「…え?」」

男も、彼女も、目の前の事態にそう声を漏らす他なかった。

首を折った?…殺した?

「あーあ、君が大声、出すから。俺びっくりしちゃって、やっちゃったじゃん。」

もう動かない男の首元から足を離すと、ふぁぁと大きな欠伸をひとつ。
そして再び口を開いた。

「ね、君も、ああなりたくないでしょ?さ、彼を置いて、彼女も離して、行きなよ?」

そう言われたところで男も彼女も動けない。
一度にたくさんのことが起こりすぎたため、声の主の言うことが理解できないのだ。

パァン!!!

それを察したのか、動くきっかけを与えるが如く両手を強く打ち合わせた。
すると男は助けてくれだの殺されるだの叫びながら逃げ出していった。

彼女も逃げ出したかったが、腰が抜けてその場にへなへなと座り込んでしまった。

(あかん…あかん…このまま居たら…こ、殺されてまう…)

だけど体は動かない。
目線は死体と近寄ってくる声の主を交互に見比べることをやめようとしない。

「大丈夫?春日さん」

「…え?」
何故この男は自分の名を知っているのか。
その疑問で目線は男を捉えたまま動かなくなった。

「あー、やっぱわかんない?俺もさっきの合コンにいたんだよ?
 ちなみにね、あの人死んでないから。安心して。何をどうしたかは秘密。
 気絶してるだけだからそのうち目ェ覚めるよ」

ホラ、と言って転がっている男を蹴飛ばすと、うぅっと低い唸り声をあげた。
その様子に彼女は心のどこかで安心していた。死んでいない、その事実に。
とはいえ、声の主が誰だかわからないままであるし、自分が無事であるという確証もない。

何か、何か言わないと。でも、声が出ない。金魚のように口をぱくぱくさせることしかできない。

「…あー、もしかして色々あって混乱してる感じ?…ちょっと移動しようか」
車借りるよ、と聞こえるはずもない男に声をかけると、彼女の手を取って暴漢らの車に乗り込んで発進させてしまった。

走らせて間もなく、やっと彼女は声を出せた。

「この車、なんやイカ臭いなー…。」

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